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    元スレ上条「いくぞ、親友!」一方「おォ!!」

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    タグ : - 一方 + - 上条 + - 木原 + - 農業 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :

    初SSです。

    もしも、一方さんと上条さんが一巻の時点で
    親友だったらというIF設定となっております。

    とりあえずまずは、序章的な物を投稿します。

    2 = 1 :

    「あー。今日の授業も終わり、かぁ。」

    そうつぶやきながら、
    特徴的なツンツン頭の少年、
    上条当麻は大きく伸びをした。

    「にゃー。カミやん、
    今日はタイムセールはいいのか?
    いつもならダッシュして行くのに。」

    「せやなー。なんか珍しいでー。
    どないしたんやー。」

    そう言ったのは、
    上条の住んでいる学生寮の隣人である
    土御門元春と、青い髪にピアスをしていて
    かなりよく目立つ、学級委員の少年だ。

    それを聞いて、
    上条は大変嬉しそうににんまりと笑って、
    こう答えた。

    「ふふふ……。よくぞ聞いてくれた!!
    聞いて驚け!!
    なんと、毎日不幸の連続である上条さんが、
    昨日、商店街の抽選で
    十万円分の商品券なんてものを手にいれたのです!!
    いやっほー!!幸せだー!!」

    あろうことか、涙まで浮かべながら
    上条は全力で小躍りする。

    そんな上条に
    親友二人は心の底から哀れみの視線を送るのだが、
    上条の方はあまりの嬉しさに全く気付かない。

    3 = 1 :

    「まぁ、そんなことはどうでもいいんだがにゃー。
    それなら今日は、
    久しぶりにゲーセンでも行こうぜい。」

    「せやな。行こうやー。」

    「あぁ、そうするか。
    じゃあ四人で……ってあれ?あいつは?」

    気が付けば教室からいなくなっていた
    もう一人の親友のことを、上条は尋ねた。

    「あぁ、あいつやったら小萌先生に呼ばれとったでー。
    羨ましいわぁ。
    放課後に小萌先生と二人っきりやなんて……。」

    「相変わらずのロリコンだな、お前。」

    「ちっちっち。ちゃうでー、カミやん。
    ロリ『が』好きなんやないでー。
    ロリ『も』好きなんやでー!!ぼかぁ、」

    己の持つかなり大量の趣味嗜好を
    一気に言おうとした青髪ピアスを、
    上条は拳で強制的に黙らせる。

    「ぐっはぁ!?いきなり何するんや、カミやん!
    ひどいわー。」

    「うるせぇ!この変態!
    俺を変な世界に引き込むな!」

    「カミやん、せめて義妹のよさをだな……。」

    そんな議論をしつつ、もう一人を待っていると、
    教室の扉が音を立てて開かれ、誰かが入って来る。

    その人物は、とても真っ白な肌と髪、
    それに真っ赤な瞳をしていて
    青髪ピアスと同じくらい、目立っていた。

    そしてその人物は上条達を見ると、
    呆れたように尋ねた。

    「なンだよオマエら、
    わざわざ待ってたのかァ?」

    4 = 1 :

    その少年--学園都市最強の超能力者(レベル5)
    一方通行(アクセラレータ)に上条は答えた。

    「まぁな。どうせすぐに戻ってくるだろうし、
    お前だけ置いてくのも悪いしな。」

    「ったく……。
    別にそンな気ィ使わなくてもイイっつゥのォ。
    オレが荷物取りに戻って来なかったら、
    どォすンだよ。」

    「にゃー。そんなこと言ってるけど
    ずいぶんと嬉しそうな顔してるぜい、一方通行?」

    「土御門くゥゥゥゥゥゥン?
    挽き肉になりてェならそォ言えよォ。
    今ならオマケで、
    たァっぷりとサービスしてやるからよォ。」

    「わー。アルビノ美少女に殺されるー。」

    「誰が女だァァァァ!!!」

    「アルビノ美少女か……それもええなぁ……。」

    「オマエもイイ加減にしやがれ、この変態がァ!!」

    「あぁ、もっと罵ったてやー!!」

    「だァァァ!!面倒くせェェ!!」

    「なんていうか……お前も大変だなぁ。」

    「そンなこと言ってる暇があるなら、
    こいつらどォにかするのを手伝いやがれ、上条!!」

    こんなやり取りの後、
    上条達は、地下街に最近新しくできたという
    ゲーセンへと向かう。

    5 = 1 :

    「なぁなぁ、今すれ違った子ら
    めっちゃ可愛かったことあらへん?」

    「オマエ、
    さっきもそンなこと言ってたじゃねェか。
    なンですかァ?
    女ならなンでもいいンですかァ?」

    「いややな~。
    この前も言った通り、ぼかぁ、」

    「もォ黙れ。ホントに黙れ。」

    「一方はまだまだ青ピ慣れしてないからにゃー。
    しょうがないぜい。」

    「オマエはその呼び方をやめやがれ。」

    「そればっかりはしょうがないだろ。
    ほら、お前の名前長いしさ。」

    「だとしてもよォ、
    もォちょっとまともなのがイイっつゥのォ。」

    「うーん……。
    せやけどそんなこと言われてもなー。」

    「そんなこと言われてもにゃー。
    アクセロリータもダメ、
    白もやしにウサギもダメと来たし、
    もうこれ以上はないんだぜい?」

    「どれもこれも、
    ただのイヤガラセじゃねェかァ!!
    あと、オレはロリコンじゃねェ!!」

    「あれ、違うのか?
    てっきり上条さんはお前はそうなんだと……
    ち、ちょっと一方通行さん?
    なんか黒いオーラがあなた様から出ているのは、
    上条さんの気のせいでせうか?」

    「いいぜェ、上条くゥゥゥン。
    オレがロリコンだなンて、
    その口が抜かすってンなら」

    6 = 1 :

    「まずは、そのふざけた口をぶち殺す!!」


    「いや、意味わかんないからな!?
    ついでに言うならそんなことをされるために
    上条さんはいるわけじゃありませんのことよ!!」

    「さてと、
    俺達は先に行ってますかにゃー、青ピさん?」

    「そうでんなー、土御門くん。」

    「いやいや、お前ら!
    俺を見捨てるなよ!
    だいたい元はと言えば、お前らが……。」

    そう、言いかけて上条の言葉が止まる。

    背後から、すさまじい程の殺気を感じたからだ。
    ゆっくりと、
    体を震わせながら、振り向くとそこには。

    「さァーて、と。
    楽しいお料理の時間だ。
    今日のメニューは、三下の活け作りってなァ。」

    とても愉快そうに
    引き裂いたような笑みを浮かべている、
    悪魔がそこにいた。

    その日、第七学区の路上にて、
    「不幸だぁぁぁぁ!!」
    というとても大きく、悲痛な叫びが轟き、
    道行く人々は大きく驚かされたという。

    7 = 1 :

    第七学区の地下街にある、
    最近新しくできたゲーセンに上条達は着いた。

    上条は大変疲れた様子で、
    おもいっきり肩を落としていた。

    「なんでだろう。
    まだ何もしていないのに動けないんだけど。」

    「なんや、カミやん。
    まだ若いのに、だらし無いでー。」

    「そうだぜい、カミやん。
    持ち前のスタミナはどうしたんだにゃー?」

    そう土御門と青髪ピアスが言うと、
    上条は大変お怒りの様子で、

    「元はと言えば、お前らのせいだろうが!!
    あーちくしょう、不幸だ……。」
    と、言った。

    「まァ、いいじゃねェか。
    今度なンでも好きな物おごってやるからよォ。」

    そう一方通行が言ったとたん、
    上条はかなり嬉しそうに、

    「ほ、ホントにいいのか?マジで?
    うわー!神様 仏様一方通行様ー!」
    と、彼に縋り付く。

    「だァァァ!!
    うっとうしいから離れやがれェ!!」

    お得意の『反射』で引き剥がそうとするが、
    彼には、まったく効かない。

    「あっと、すまん。
    つい嬉しくて、さ。」

    そう言って、上条は離れる。

    「はァ……。
    ホントなンなンだよ、その右手。」

    「さぁ……。俺だって、さっぱりだ。
    ホント、これがちょっとは生活の役に立てばなー。」

    残念そうに肩を落として、上条は言う。

    8 = 1 :

    「おおーい、二人ともー!!
    いつまで戯れてんだにゃー?」

    「せやでー。
    はっ!まさか、カミやん
    女の子だけでは飽きたらず、
    ついに男にまでフラグを……。」

    先に行ってさっそく遊んでいる、
    青髪ピアスが意味不明なことを言っている。

    そんな二人に、上条は

    「だから、
    上条さんはフラグなんて建ててません!!
    まったく……はぁー、彼女が欲しい。」
    と、返す。

    それを聞いて、二人は

    「にゃー。
    今の発言はつまり、
    俺達に喧嘩を売ってるんだにゃー、カミやん?」

    「上等や、カミやん。
    モテへん男の本気の怒り……。
    とくと、味わえやー!!」
    と、全力で上条に殴り掛かる。

    しばし、拳で語り合う彼らに
    一方通行は呆れた様子でいたが、
    どこか楽しそうに眺めていた。

    9 = 1 :

    さて、上条達が拳の語り合いをやめ、
    しばらくするとどこからか、
    「ようやく見つけたわよ、アンタ!!」
    という、好戦的な少女の声が上条達に届いてくる。

    その方向に上条が振り返ったとたん、
    雷撃が飛んで来た。

    「うおわぁっ!?」
    と上条は、とっさに右手をかざす。

    すると雷撃は偶然右手に当たり、消えた。

    そして上条はその雷撃を放ったであろう人物を見て、
    「あー。またか、ビリビリ。」
    とだけ、げんなりとしつつも返した。

    それを聞いた『ビリビリ』
    と、呼ばれた少女は怒ったらしく
    「だから、
    私の名前は御坂美琴だって言ってるでしょ!!
    このウニ頭!!」
    と返した。

    それを聞いた一方通行は
    (御坂美琴だと……?)
    と、怪訝そうに目の前の少女を見る。

    10 = 1 :

    御坂美琴--学園都市にいる
    230万人の能力者の内、七人しかいない
    超能力者(レベル5)の第三位で、
    常盤台中学に所属している。
    と、そんな情報が彼の頭の中に流れる。

    確かに、
    目の前の少女は常盤台中学の制服を着ているし、
    先程の雷撃を見れば
    御坂美琴であることは間違いないのだろう。

    ただ、こうも偶然に超能力者(レベル5)が居合わせるとは
    彼は思わなかったのだ。
    別に自分の事を教えるつもりなどないのだが。

    そんな彼の考えなど知らず、
    御坂はにやりと笑って
    上条にこう、高らかに宣言した。

    「さぁ、今日こそ私と勝負しなさい!!」

    11 :

    上条「おい一方通行、帰りにゲーセン寄って行こうぜ!!」 みたいなもんか

    一応支援

    12 = 1 :

    上条を除く三人は、ポカンとした。

    この女の子は、何を言っているんだと。

    そんな宣言を受けた、上条はと言えば

    「だからですね、御坂さん。
    上条さんには、女の子と戦う趣味はないんですよ?」
    と、やんわりと断ろうとしていた。

    しかし、当の本人は

    「えぇーい!問答無用!
    勝負しろったら勝負しろー!!」
    と、全力で雷撃をかます。

    「あぁー!ちくしょう!
    今日こそ大丈夫だと思ったのにー!!
    不幸だぁぁぁぁぁ!!!!」

    上条は全力疾走して、雷撃から逃げる。

    御坂の方も

    「待ちなさーい!!」
    と、バチバチと音を立てながら、追い掛けていった。

    後に残された三人は、
    ただ呆然と上条と御坂が
    消えた方向を見ていた。

    13 = 1 :

    結局上条がいなくなったので、
    三人はその場で解散することにした。

    青髪ピアスは下宿先のパン屋へと帰り、

    土御門は義妹に会いにいった。



    一方通行は夕食の材料を買いに、
    よく上条と来るスーパーへと行った。

    「まァ、こンなもンかねェ。」

    スーパーからの帰り道、
    一方通行は今日の戦利品を見てそう、呟いた。

    今日はサイコロステーキがかなり安値で手に入り、
    彼は大満足だった。

    別に彼には10億近い貯金があるのだから、
    安値でも高値でも、そう差はないのだが。

    「あァーあ。
    これも全部アイツの影響かねェ。」

    アイツ、とはもちろん上条当麻のことだ。

    彼の買い物に付き合うとどうしても、
    より安い物を求める買い物になってしまうのだ。

    おかげで、
    一方通行はかなりの買い物上手になってしまった。

    「はァ……。
    まったく、らしくねェなァ。」
    と、彼はぼやく。

    どこか、嬉しそうに。

    14 = 1 :

    寮までの近道になる路地裏を歩いていると、
    一方通行の耳に、怒号が届いて来る。

    「あン……?なンだァ?」

    空気の振動の向き(ベクトル)を操作して、集音すると、
    『スキルアウト』と呼ばれている、
    無能力者(レベル0)達の集団の一員らしき声と
    まだ幼さそうな少女の声が聞こえてきた。

    どうやら、
    少女の方が彼らに因縁を付けられているらしい。

    以前までの彼なら、
    くだらないの一言で切り捨てるだろう。

    だが、今は。

    「ったく……。
    あァあ、面倒だなァ、オイ。
    このザマじゃ、
    オレもアイツの事を笑えねェなァ。」

    そうぼやきながら、
    一方通行は声がした方へと向かう。

    15 = 1 :

    佐天涙子は、全力で路地裏を駆けていた。

    なぜかと問われたら、
    三人組の男達に追われているからだ。

    事の顛末は単純で、彼女が帰り道で
    偶然にも、『スキルアウト』の一人にぶつかり、
    そのまま因縁を付けられたので、逃げたのだ。

    しかしながら、
    彼女は追い詰められつつあった。
    彼女と彼らでは、地の利が悪いのだ。
    そして、ついに

    「あっ!?い、行き止まり?」
    完全に追い詰められた。

    「へへへ……。ようやく追い詰めたぜ。」

    「まさか、
    謝っただけで済むと思ってんじゃねぇだろぉなぁ、嬢ちゃん?」

    「その体で
    誠意をたっぷりと見せてもらわないとなぁ。」
    などと、彼らは気味悪く笑いながら
    彼女に近づいて行く。

    「ひっ……!?い、いやぁぁ!!」
    どうにか逃げようとするが、
    恐怖で足が震えて動けない。

    「ちっ……大声だすなよな……。」
    と、布で彼女の口元を、彼らの中の一人が押さえる。

    「むぐぅ!?むー!むー!!」

    (いやぁ!!御坂さん、白井さん、初春!!
    誰か、誰か助けてぇ!!)

    涙を流しながら、
    佐天は目を閉じて必死に願った。

    16 = 1 :

    その風の刃は何故か、
    それを放った男に当たった。

    「ぐあぁぁ!?」
    と、男は叫んで倒れた。

    「なンだ、なンだよ、なンですかァ?
    期待させといてこれかよ、オイ。
    風を使うなら、これぐらいやれってのォ。」
    そう少年が言ったとたん、
    とてつもない暴風が、残り二人を襲った。

    どちらも一言も無しに薙倒され、
    気絶してしまったらしい。

    少年は、何でもなさそうに佐天へ近付き、
    布を取ってやり声を掛けた。

    「オイ、オマエ大丈夫かァ?」

    声を掛けられた佐天は、
    目の前の光景に唖然としていて
    返事が出来なかった。

    「オイ、聞いてンのかァ?」
    もう一度少年に尋ねられてようやく、

    「はっはい!!だ、大丈夫……です。」
    と、返した。

    「なら、いいンだけどな。……立てるかァ?」
    と、少年に尋ねられたので彼女は

    「はっ、はい。何とか……。」
    とだけ、返した。

    「そォか。
    じゃあとっとと、こっから出るぞォ。」

    少年はそういって、彼女に立つように促す。

    17 = 1 :

    そして幸運にも、祈りは届いた。

    「まったくよォ、
    ホント不幸だァって感じだなァ、今日は。」
    と、けだるそうな声が不意に、佐天の耳に入る。

    まぶたを開いて見てみると、そこには。

    真っ白な髪に、真っ赤な目をした少年がいた。

    その少年を見ると、三人組は声を揃えて

    「なんだ、テメェは?
    野郎はお呼びじゃねぇんだよ。
    とっとと、帰りやがれぇ!!!」
    と、威嚇した。

    それを聞いて、少年は

    「そりゃ、こっちのセリフだ、格下ァ。
    無能力者(レベル0)は、とっとと帰って、
    ぶざまに布団の中で震えてろよォ。」
    と、挑発した。

    それを聞いて、一人が

    「はっ、上等だ。
    クソガキ、これを食らって
    格下かどうか、試してみろよぉ!!」
    そう言って、
    風で出来た刃を少年に叩き付ける。

    どうやら彼らは『スキルアウト』ではなく、
    能力が使えるチンピラだったようだ。
    おまけに見たところ、
    強能力者(レベル3)程度の能力者らしい。

    「む、むがー!!むー!!」
    佐天は必死に、
    少年に逃げるように伝えようとする。

    しかし、それは少年に当たらなかった。

    18 = 1 :

    「えっと、あ、ありがとうございました!!」
    路地裏から出るやいなや、佐天はそう言った。

    対して、一方通行は

    「そンな気にすンじゃねェよ。
    たまたま、通り掛かっただけだ。」
    と、面倒そうに返した。

    「そンなことよりよォ、
    もォ二度と同じことが無ェよォに気をつけろよ。
    今回は偶然オレが通り掛かったからいいけどな、
    次はもォ多分無ェぞォ。」
    と、ついでに注意する。

    すると佐天は、
    「はい……。気をつけます。
    あ、あの!あなたのお名前を聞いても?」
    と尋ねた。

    一方通行は少し考えて

    「……名乗るほどのもンじゃねェよ。」
    と、答えた。

    「え……。でも……。」

    「名前なンざどォでもいいだろ。
    じゃあなァ、気をつけて帰れよォ。」
    と、彼女が取り付く島もなしに彼は走り去った。




    「ここまで来れば、十分だろォ。
    ……やっぱ、オレみたいなのが
    人助けなンざするもンじゃなかったな。」
    と、彼はぼやいたが、その顔はどこか満足げだった。

    19 = 1 :

    さてようやく、住まいである学生寮まで
    彼は帰って来た。

    古ぼけたエレベーターで、目的の階まで行く。

    彼の部屋は上条の部屋の隣にあって、
    そのまた向こうには、土御門の部屋がある。

    彼は部屋の前に立ち、鍵を取り出したが、
    その必要はなかった。

    扉が突然、開いたからである。

    思わず、彼は身構える。
    最近はまったくないが、
    以前まで彼はよく、
    スキルアウトに襲撃されていたからだ。

    しかし、その心配はなかった。

    目の前にいる人物を見て、彼は驚いた。
    なぜなら、それは

    「お、親父!?」

    「おぅ!おっかっえりー!!
    よく帰って来たな、我が息子よー!!」

    彼の義父(ちち)である 木原数多だったからだ。

    20 = 1 :

    「……ったく。
    帰って来れンなら、連絡ぐらい入れやがれ。
    この、バカ親父。」
    と、一方通行は義父を睨み付ける。

    あの後、木原に

    「とりあえず家に上がれよ」
    と言われたので、とりあえず上がってから
    一方通行は彼に文句を言うことにしたのだ。

    「いやな?俺も連絡入れようかと
    思ったんだがな?どうせだから、驚かそうと思ってよ。」
    と、特に悪びれた様子もなく木原は答える。

    一方通行はため息をつく。
    そォだった、この男はそォいうやつだった、と。

    「ていうかよォ、
    今は研究所に働き詰めで忙しいとか
    言ってたのに帰って来てよかったのか?」
    そう、尋ねてみた。

    すると木原は

    「いやー。実は、芳川がな?
    『貴方、あの子に会わないと仕事にならないのね。』
    とか、何とか言ってな?
    他の奴らまで
    『頼むから、一回帰って下さい。』
    とか、言い出しちまっててよー。」

    「それでノコノコ帰って来たと。
    そォいうことなのかよ?
    ……ったく。
    何他の奴に迷惑かけてンだよ。」
    と若干、彼は質問に対する答えに呆れる。

    21 = 1 :

    「まぁ、そんなことはいいだろ。
    ほら、それよりそろそろメシの時間だろ。
    久しぶりにお前のメシ、食わせてくれよー。」
    と、木原が言うので一方通行は

    「あァ、はいはい。
    喜べ、木原くン。
    今日は偶然にも、オマエの大好きな肉だ。」
    と、言って夕飯を作りにかかる。




    「ふぅ……。お前、また腕上げてねぇか?
    前、食った時よりさらにうまくなったな。」

    木原は一方通行が作った料理を平らげて、
    満足そうに言った。

    それを聞いて、一方通行は若干嬉しそうに

    「そォかい。」
    とだけ、返した。

    「さて、皿洗いぐらいは俺がやるよ。
    ほれ、お前はそこで座ってろよな。」

    そう言って、
    木原は皿を流し台へ持って行って、洗う。

    「それでどうだよ、学校は。
    毎日、楽しくやってんのかよ?」
    という木原の質問に

    「まァ……悪くはねェ、な。」
    と、一方通行は返す。

    「そうか、毎日すごく楽しいか。
    それならなによりだな、うん。」
    と、木原は言った。

    22 = 1 :

    これでも五年近く、彼の世話をしてきたのだ。
    彼が素直に『いい』だなんて言わずに、
    『悪くない』でなんでも済ませている
    という事ぐらいは、ちゃんと理解している。

    「ふン……。まァ、好きに解釈しやがれ。」

    実際彼は、それを否定はしなかった。





    「さてと、じゃあな。そろそろ俺は帰るわ。」

    そう言って、木原は玄関で靴を履き始める。

    「なンだ、帰ンのかよ。
    泊まってっても、別に構わねェぞ。」
    と、一方通行は少し残念そうに言った。

    それを聞いて木原は首を振って、答えた。

    「いや、そろそろ帰らなきゃならねぇ。
    いくら芳川が居るといっても、アイツらだけじゃ不安だ。」

    そう言った木原の顔は、
    完璧に父親から研究者の物になっていた。

    そして、最後に

    「まぁ、またいつか、帰って来るから
    そんな寂しそうな顔してんじゃねぇよ。」
    と言って、
    一方通行の頭を乱暴に、しかし、どこか優しげに撫でた。

    「ふン……。」

    一方通行の方は抵抗せずに、
    ただされるがままでいた。

    23 = 1 :

    そして撫で終えると、木原は

    「じゃあな、我が息子よ。達者でなぁ。」
    と言って、帰っていった。




    さて、木原が帰ってしばらくして
    明日の用意などを済ませた一方通行は、
    さっさとベッドに寝転がって、寝ることにした。

    「はァ……。
    今日はマジで眠ィな、オイ。
    働きすぎなのかねェ、こりゃァ。」

    そう、寝転がりながらつぶやく。

    思えば、今日はいろいろとありすぎた。

    今日一日の出来事を思い浮かべると、
    何故だか、笑みが込み上げてきた。

    「はは……。
    オレもずいぶんと、
    らしく無くなっちまったもンだなァ。」

    それがおかしかったのかもしれないな。
    そんなことを思いつつ、
    彼は幸せな気持ちで眠りに落ちた。

    24 = 1 :

    とりあえず、これで序章的な物は終了です。
    一週間以内にまた、来ます。
    次から一巻の内容に入るつもりです。
    ……それはそうと、同じネタのあるんですね。
    やっちまったかな……。

    25 :

    乙乙
    発想は近いけど展開は結構違いそうだしいいんじゃないかな
    続きを楽しみにしてます

    26 = 1 :

    一つ言い忘れてましたけど、佐天さんを出したのは
    一方さんとのカップリング候補にする予定だからです。
    他には、結標、ミサワ、打ち止めがいまんところの候補。

    28 = 1 :

    >>27 それで合ってます。
    ホントやっちまったァ……。

    29 :

    ニヤニヤが止まらない
    支援

    30 :

    乙!
    面白そうだな、支援。

    ただ、ちょっと、
    「」と、言った。
    みたいな表現が多いのが気になるなー。
    地の文って難しいけど、頑張って!!
    続きも期待してます。

    31 :

    この設定が大好きな俺は歓喜した

    32 :

    木原クンのキャラ崩壊がまたいいなww

    33 :

    >>30みたいな時は
    「告げた」とか「発する」とか「○○(ボソボソなど擬音)と口に出す」とかに入れ替えただけで
    バリエーションが増えるぞ

    34 :

    >>26
    俺が一方とってそれどこ情報?どこ情報よー?

    35 :

    こういうの見るたびに平和っていいよなあと思う
    二次創作の醍醐味っつーかなんつーか
    もちろん原作基準もいいけどな

    36 = 1 :

    どうも、1です。
    様々なご意見どうもっす。
    とりあえず、皆様の意見をいかせるように努力してみます。
    それと、一応は原作準拠で書くつもりです。
    話の間の日常とかも書いたりしますけどね!
    あんま、期待しないで見てやって下さい。

    38 :

    佐天さんだと……これで勝てる。

    39 :

    カップリング候補が某スレとだだかぶりだが佐天さんもみんなも可愛いから問題ないな

    40 :

    カップリングは結標以外でお願いしたい

    41 :

    結標とどう絡ませるか期待
    ワーストは登場まで遠いなぁ…

    42 :

    乙!
    俺はミサワとあわきんに一票入れるぜ。

    43 :

    乙~
    こういう木原くンは好きだな

    44 :

    >>42
    欲望深き人間達よ
    堕天使が放つ美しき光を求める俺を許してくれ
    (ミサワ一択だろ)

    45 :

    木原が義父という設定というのも何か違和感あったが良いなこう言うのも

    46 :

    どうも、1です。
    案外あっさりキリのいいとこまで書けたんで、投下します。

    47 = 46 :

    七月十九日----

    学園都市のとある高校はこの日、いわゆる『夏休み』を迎えた。

    「ふわぁーあぁ……。
    ようやっと今日から夏休み、かぁ……。」

    この高校の一生徒である少年、上条当麻は眠たそうにつぶやいた。

    終業式には必ずある、校長先生からの『ありがたいお話』に
    30分も耐え忍んだ彼の体力は、限界にあった。

    「何言っとんのや、カミやん。
    僕とカミやんには小萌先生の補習が一週間もあるやない。」

    青髪にピアスという、見た目がとんでもない学級委員の少年は
    むしろ、嬉しそうにニヤニヤして上条の揚げ足を取る。

    「あのー青髪ピアスさん?
    あなた様は一体全体何で、そんなに嬉しそうなんでせう?」

    そんな上条の問いに、青髪ピアスはさも当然そうに答えた。

    48 = 46 :

    「何でも何もないやろー!!
    これから一週間、毎日小萌先生との授業が楽しめるんよ?
    これを喜ばずして、何が補習なんやー!!!」

    ひゃっほーい、と青髪ピアスはくるくると上条の周りを
    バレリーナみたいに回っている。

    ……正直とてつもなくうざい。

    「はぁ……。
    お前に聞いた俺が馬鹿だった……。」

    そんな感じにブルーになっている上条に、近付く影が二つ。

    「よォ、せっかくの夏休み初日から何ブルーになってンだよ。」

    「そうだぜい、カミやん。
    一体、どうしたんだにゃー?」

    上条の親友である、土御門元春と一方通行(アクセラレータ)だ。

    「いや……。
    これから一週間、毎日補習だなって考えたら鬱になってきてさ。
    最近あのビリビリ中学生に、財布ごと商品券を焼かれるし。
    うふふふ、不幸だー。うふ、うふふふ、うふふふふ。」

    49 = 46 :

    口調は明るいが、顔はまったく笑っていない。
    おまけに背中からは、何だか黒くてどんよりとしたオーラが出ている。

    「あァ、そのォなンだ……。
    ……ドンマイ、上条。がんばれよ。」

    「ま、まぁこう考えるんだにゃー、カミやん。
    これが終わったら楽しい夏休みが待っているんだって。」

    思い思いの励ましを、二人は上条に送る。

    「そ、そうだよな。
    うん……。そうだよ!そうに決まってる!」

    その甲斐あってか、上条は無理矢理ポジティブに考えることにした。

    「にゃー。それでこそカミやんだぜい。」

    「せやせや。カミやんはそうでなくっちゃなー。」

    「まったくだなァ。
    そォしてるほォがオマエらしいわ。」

    いつのまにか、青髪ピアスも加わって上条を励ましにかかる。

    「うっし!!
    上条さんは完全復活しましたよ!!
    ありがとな、三人とも!!!」

    にこやかに、上条は三人に礼を告げた。

    50 = 46 :

    しかし、天におわす神様(大バカヤロウ)は上条のことが大嫌いらしい。

    「あ、いたいた。
    上条ちゃーん。ちょっといいですかー?」

    上条のクラスの担任である、月詠小萌が彼を呼んでいる。

    上条はとても嫌な予感がしたが、彼女の元へと行く。

    「えぇーと。
    何ですか、先生?
    補習は明日からだと、上条さんは記憶しているんでせうが。」

    その質問に、この見た目12歳の女教師は、ステキな笑顔でこう告げた。

    「その通りなのですよー。
    でもでも、上条ちゃんには追試が今からあるのです。」

    「……あぁー、先生?
    今なんておっしゃいました?
    上条さん、最近耳が遠いもんだからよく聞き間違えちゃって。」

    小萌先生はそんな上条にもう一度、丁寧に告げた。

    「だからですねー。
    上条ちゃんは他の子達と違って、
    補習だけじゃ足りない単位を補い切れないので
    今日、追試を受けて貰いたいのです。分かってもらえましたかー?」

    上条はその死の宣告を受けて、小萌先生にこう言った。

    「……えーと。
    先生、ちょっといいですか。」

    「あいー。どうしたのですかー?」

    上条は、おもいっきり息を吸って思いのたけを叫んだ。

    「……ふこぉぉぉだあぁぁぁぁぁ!!!!!」

    小萌先生は思わず、ひっくり返った。


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