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    元スレ上条「いくぞ、親友!」一方「おォ!!」

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    みんなの評価 : ★★
    タグ : - 一方 + - 上条 + - 木原 + - 農業 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    51 = 46 :

    一方通行は土御門、青髪ピアスとファミレスにいた。

    あの後、結局上条は小萌先生と生活指導のゴリラ教師こと、災誤先生に
    引きずられて行ってしまった。

    それで仕方なく、上条を置いて三人は昼ご飯にすることにしたのだ。

    「今日から夏休みだけど、お前らはどうすんだにゃー?」

    土御門の質問に対して、青髪ピアスはこう答えた。

    「もちろん、今年の夏休みこそ落下型ヒロインや
    雨の日のダンボールの中で震える猫耳少女を拾ったりするつもりやー。」

    「あァ、なンつゥかよォ……。
    オマエ、一度医者のとこにでも行って来いよ。
    確か、この学区にはいい腕した奴がいたはずだしよ。」

    一方通行は、青髪ピアスにちょっとした勧告をしてやる。

    52 = 46 :

    それを聞いて、青髪ピアスは彼にへらへらと告げた。

    「なに言うとんのやー。
    僕はとっても元気やでー、一方?」

    「あァ……。
    そォだったな。オマエは普段と変わンねェな。」

    遠い目で一方通行は外を見やる。

    「そうだぜい、一方。
    そう言えば、お前さんはどうするんだにゃー?」

    「どォって、言われてもなァ……。
    まァ、いつも通りに過ごすンじゃねェのか、多分。」

    土御門の質問に、彼は適当に答えた。

    「なんや、おもろない。
    一方は彼女とか、いらんのかいな。
    はっ!!まさか第一位ともなると、すでに……おのれ、一方!!
    一体、どんな娘や!!アルビノ美少女か?それとも年上のお姉さんか!」

    「先輩の巨乳お姉さんさんとか、
    黒髪ロングの中学生とかかもしれないぜい。」

    53 = 46 :

    青髪ピアスと土御門は思い思いに、勝手なことを抜かしている。

    それを聞いて、一方通行は額に青筋を浮かべながら二人に告げた。

    「いいぜェ、オマエら。
    オレに喧嘩売ってンだよなァ?
    上等だァ!愉快に素敵にビビらせてやンよォ!」

    「む、来るなら来いやー!!
    たっぷり相手したるでぇ!!」

    「上等だにゃー。
    お前の親父さんに習った木原神拳、
    もとい土御門神拳……見せてやるぜい!!



    こうして、第七学区のとあるファミレスにて
    漢たちの闘いが始まった。
    これを見た、この店の筋肉ムキムキの店長は後にこう語った。

    --これほどまでに、バカバカしい闘いは見たことがない、と。

    54 = 46 :

    さて、闘いが終わると三人はそれぞれ解散することになった。

    青髪ピアスは下宿先のパン屋の手伝いがあると言って、帰った。

    土御門は、『大事な用事』があると言ってどこかに行ってしまった。



    たいしてすることのない一方通行は、食料の買い足しと暇つぶしに
    デパートへ行くことにした。

    到着してまず、彼は本屋に行くことにした。

    「本屋なンざ来るのも、久しぶりだなァ……。」

    そんなことを彼は呟いた。

    新刊コーナーへ行ってみると、そこにあった本二冊に目を丸くした。

    何故なら、どちらも見覚えのある人物が表紙だったからだ。

    55 = 46 :

    まず一冊目は『むぎのと!』というマンガだ。

    どうやら、学園都市の超能力者(レベル5)の第四位である、麦野沈利と
    そのまわりの人々の、愉快な日常を描いたモノらしいが
    正直言って、一方通行にはどんなモノか全く、想像がつかなかった。

    一方通行は、彼女とはそれなりに面識はあった。

    時々、研究所で会ったことがあるのだ。

    確かに仕草だけ見れば、かなり優雅だし、美人でもある。

    しかし、その口ぶりはかなり悪い。

    おまけに少し怒らせるだけて、レーザーみたいなのが飛んでくる。

    だから、はっきり言って読む気にはなれそうになかった。

    一体、誰が著者なのだろうか?

    少し、気になった一方通行は手に取って見てみた。

    そこにはこうとだけ、書いてあった。

    『あいてむ きよひこ』

    「……。見なかったことにしよォ。」

    彼はそれを元の場所に置いた。

    56 = 46 :

    さて、もう一冊の方は
    『ばっち来い、超常現象 part2』というタイトルの本だ。

    気になる著者はと言えば
    これまた一方通行がよく知っている人物だ。

    そこにあった名を見ると、こう書いてあった。

    『木原 数多』

    そう、これは木原が長年の研究の成果から導き出した人生の指導書だ。

    あまりの面白さに、購入者は皆必ず、ブックオフに売ることで
    この本を様々な所へと広めているらしい、とのことだ。

    それって、ただ単につまんないんじゃ……などと言ってはならない。

    現に、part2が出ているのだ。とても面白いに違いない。

    そう思い一方通行はそれを手に取って、軽く立ち読みしてみる。

    結局、彼は買わなかった。
    それどころか10ページ程呼んで、挫折した。

    57 = 46 :

    さて、いい具合に時間を潰した一方通行は、食料の買い足しに行く。


    「ン、こいつもいいなァ。」

    そう言って、大根に手を伸ばして掴もうとすると、
    同時に誰かが、彼が掴んだのと同じモノを掴んだ。

    「あァ?」

    「えっ?」

    思わず、そっちを見やるとそこにいたのは

    「あっ!あなたは!!」

    「あァ、オマエは確か……。」

    いつぞや、路地裏でチンピラから助けてやった、少女がいた。



    「ぜェ……ぜェ……。
    こ、ここまで来りゃもォ、来ねェだろォ。」

    荒い呼吸を整えながら、一方通行は息をつく。

    あの後、少女は少し固まっていたのだが
    お礼がしたい、だの名前を教えろ、だのとしつこく聞いてきた。

    普通なら、名前ぐらいは教えてやったりするのだろう。

    しかし、彼は違った。

    58 = 46 :

    「まったく……。
    オレなンかに関わったら、ろくでもないだけだっての。」

    学園都市第一位を知っている。
    それだけで『スキルアウト』に狙われたりするのだ。

    現に、一度彼の『友達』である上条達は襲撃されたことがある。

    その時は、喧嘩なれしているだけあって
    返り討ちにできたらしいが彼女は、違うだろう。

    彼に怨みを抱く『スキルアウト』や能力者は多い。

    前助けた時よりもっと酷い目に遭うかもしれない。

    そう、彼は考えた。

    もう、あまり誰かを傷付けたくないから。




    結局、いつものスーパーで買い足しをした一方通行。

    彼が帰路についていると、声を掛けてくる影が一つ。

    「あら、一方通行じゃない。久しぶりね。」

    その人物を見て、一方通行は面倒そうに返す。

    「なンだ、芳川か。
    ここで、なにしてンだよ。」

    59 = 46 :

    そう聞かれたので、彼女--芳川桔梗はこう答えた。

    「ちょっとした買い出しよ。
    研究に夢中になると、皆して食事を忘れちゃうものだから。」

    彼女は、一方通行の義父である木原数多の同僚であり
    その昔は、彼の絶対能力進化(レベル6シフト)というテーマで
    彼の研究を木原や、他の研究員達としていた。

    だが、結局その方法は見つからず
    たった一人を除いて、今研究員達は皆、別の研究をしているのだ。

    「なるほどなァ。
    ……ったく、ちっとは健康に気を使えっつゥの。
    ただでさえ、オマエら研究員は貧弱なんだからよォ。」

    彼女はそれを聞いてくすり、と笑った。

    「オイ、何がおかしいンだよ。
    せっかく、人が心配してやってンのによォ。」

    60 = 46 :

    そう言われ、芳川はさらにおかしそうにこう返した。

    「あら、ごめんなさい。
    君がまさか心配なんてしてくれるとは思わなくてね。
    それと、君の方がどっちかっていうと私達より貧弱だと思うわよ。」

    それを聞いて、一方通行は不機嫌そうに

    「ちっ……。こりゃ、心配して損したなァ。
    とっとと、帰って飯にでもしてろよ。」
    と、告げた。

    「ふふ、そうするわ。
    それじゃあね。
    明日にでも、研究所に遊びに来なさいな。
    皆、いつでも君を歓迎してくれるわよ、きっと。」

    そう言って、芳川はさっさと消えた。

    「さてと……。
    とっとと帰っとすっかァ。」

    そう、呟きながら一方通行は帰路に再びつく。

    61 = 46 :

    さて、翌日。

    一方通行は突然、不機嫌そうに目覚めた。

    理由は単純で、
    隣人である上条当麻の部屋のベランダから、
    彼自身の悲鳴が聞こえたからだ。

    「……アイツ、朝っぱらから何してやがンだ。」

    寝ぼけ眼で、彼はのろのろと私服に着替え
    外に出て、上条の部屋の前に立った。

    一応、礼儀としてノックしてから中に入った。

    「オイ。
    オマエ、朝っぱらから何してン……」

    文句を言いながら、入る彼の目の前には--

    唖然とした表情の上条と、
    何故か全裸でポカンとした表情をしている銀髪の少女がいた。

    62 = 46 :

    「………。」

    思わぬ光景に、一方通行の思考は一瞬止まった。

    しかし、すぐにその学園都市最高の頭脳はベストの答を出した。

    「失礼しましたァ!!
    どォぞごゆっくりィ!!!!」

    叫ぶだけ叫んで、彼は扉をおもいっきり、バターンと閉じた。

    それと同時に勢いよく扉が開いて、上条が出てくる。

    「待ってー!?
    お前は今上条さんのことを絶対勘違いしてる!
    お願いします、待って、ホント行かないでー!!!」

    そんなことを言いつつ、彼は一方通行にしがみつく。

    「うるせェ!!
    離しやがれ、このロリペド野郎!!
    オマエだけは、アイツらと違うと思ってたオレが馬鹿だった!!」

    「いや、マジで違うんだって!!とにかく、話を……っ!?」

    そう言いかけて、上条はいきなり扉の向こうに引きずられていった。

    「ち、ちょっとストップ!!
    姫、落ち着いて……ぎゃー!!
    不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

    すぐさま聞こえてきた悲鳴に
    一方通行は、宗教をよく知らないが思わず十字をきった。

    63 = 46 :

    「それでェ?いったい誰なンだよ、このガキ。」

    上条の悲鳴が止んでしばらくしてから

    「まぁ、とにかく入れよ。」

    と言われたので、上条の部屋に上がり込んでから
    一方通行はまず、それを聞くことにした。

    「あぁ、いや……それがな…………」




    上条から説明を受けて、最初一方通行は怪しんだ。

    なにせいきなり、『魔術』などというオカルト満載の事を言われたのだ。

    この街の住人全てが、同じ感想を抱くに違いない。

    「む。あなたもとうまみたいに魔術を信じてないみたいだね。」

    その感情は顔に出ていたらしく、
    インデックスとかいう少女(あきらかに偽名だと一方通行は思う)は
    むすっとした調子で告げた。

    現在、彼女はばらばらになった修道服を
    安全ピンで留めてあるモノ(とてもシュールだ)を着用している。

    64 = 46 :

    「だってよォ、魔術だぜェ、魔術。
    なンだよ、変な呪文唱えりゃ山羊頭が願い事でも叶えてくれンのかァ?」

    あからさまに馬鹿にした態度で彼が言うと、彼女は

    「だから、ホントに魔術はあるんだよ!!」
    と若干イライラした調子で告げた。

    「あァーはいはい。
    ンな事言うなら証拠見せろ、証拠ォ。」

    そう言われて、彼女の言葉が止まる。

    代わりに上条が説明した。

    先程、自分が『霊装』とかいう魔術の物品に
    『右手』で触れ、それを壊したこと。

    それが彼女が今着ている修道服だということ。

    「ふーン。オマエの右手で壊れた、ねェ。
    じゃあ、確かに異能の力ではあンのか。」

    「あぁ。
    だから、まぁ魔術はともかくとしてさ追われてるのは信じるべきだろ。」

    一応、彼は納得したらしく

    「はァ……。まァそォだなァ。
    ン?オマエ、そォいや補習はどォした。」
    と話題を切り替えた。

    すると、上条は慌てて時間を確認する。

    「うわ、やべぇ!!
    ……えーと。お前は、どうする?
    ここに隠れてるなら合い鍵渡すけど。」

    65 = 46 :

    上条はインデックスの方を見て、尋ねた。

    「……いや、いいよ。
    君だって部屋を爆撃されるのは嫌でしょ?」

    彼女はさらりと、とんでもないことを言った。

    二人は、思わず絶句してしまった。

    さっさと、部屋を出て行く彼女を二人は慌てて追い掛けた。

    「オイ、いいのかァ?
    魔術師ってのが近くにいンのかもしれねェンだろ。
    だったら、ここに当分は隠れてりゃいいだろォが。」

    「……この『歩く教会』は絶対の防御力を持っているけど、
    魔翌力で動いてるから、その魔翌力で私が探査されちゃうんだよ。
    でも、今は壊れちゃったから敵はチャンスだって来るかもしれない。」

    それを聞いて、上条は申し訳なさそうに言った。

    「それは……悪かった。
    でもさ、だとしたらなおさらお前を外に出せねぇよ。」

    そんな彼の言葉に彼女はきょとん、としてから
    にっこりと笑顔でこう、告げた。

    66 = 46 :

    「……じゃあ。私と一緒に地獄の底までついてきてくれる?」

    その言葉に上条は黙り込む。

    一方通行は掛ける言葉を考えようとしたが思い付かなかった。

    彼女はそんな二人を安心させようと、こう言った。

    「大丈夫だよ。
    私にだって、仲間はいるんだよ。
    教会まで逃げれば匿ってくれるよ。」

    「教会って……。どこにあるんだよ。」

    「ロンドンだよ?」

    「オイオイ、どンだけ遠いンだよ。
    いったい何処まで逃げるつもりなンだ、オマエ。」

    一方通行が呆れ返る。

    それに彼女は答えて

    「うん?あぁ、大丈夫だよ。日本にもいくつか支部があるし、ね。」

    それだけ言うと彼女はピュー、という擬音を
    出しながらすたこらさっさと階段まで消えていった。

    「……変な奴だったな。」

    「あァ……。そォだな。」

    「あれ?
    あ、アイツ、フード忘れてってる。」

    上条は思い出したように『左手』でそれをポケットから取り出す。

    「……どうしよ?」

    「まァ、しょうがねェだろ。
    それより、補習はいいのかよ?」

    「はっ!?し、しまった、急がねえと!!じゃな、一方通行!!」

    そう叫んで、彼はダッシュで消えた。

    「はァ……。もう一眠りするか。」

    そう、彼は呟いて部屋へと戻る。

    68 = 46 :

    以上です!
    あれれ~おかしいぞ~?
    一巻の内容やるとか言ったのになぁ……。
    どうしてこうなった…。
    次からこそ、話を進めますので許して下さい。

    あ、あとミサワを出すのが20巻からなので、
    フラグ建てるだけで終わっちゃいそうです。
    ごめんなさい。

    結標も出るのがまだまだ先になりそうだし
    クリスマスネタをあーくンスレにでも投下するんで許して下さい。

    69 = 46 :

    重ねて、すいません。
    saga入れ忘れてました。

    71 :

    先に言っとく

    逃げろステイル!まじで!

    おつかれ

    72 :

    これからおもしろくなりそーじゃねーのよォ頑張れや

    73 :

    面白くなってきたな。期待してる

    74 :

    期待してるぞ
    1巻の再構成モノ化?

    75 :

    MNWに>>68のバックアップを取りました

    あのスレで投下待ってるぜ

    76 :

    こない

    77 :

    どもども、1です。
    更新遅れてすみません。
    モテない野郎どもでクリスマスパーリィとかしたりとかして忙しくって……。
    今日の夜にでも投下します。少々お待ちを。

    79 :

    このSSでの一方通行さんは学ランですよね!?

    てことは……
    学ランの下にウルトラマン?ww

    80 :

    こんな感じじゃないすかね

    81 :

    >>80
    それどこにあったの?

    82 = 76 :

    なつかしい

    83 :

    助言ってほどじゃないかもしれないけど、 」 の前に 。 を付けないほうが良いみたい。

    「こんにちは。」じゃなくて「こんにちは」みたいな感じでww

    84 = 79 :

    >>80
    俺も気になる
    どこにあった?

    85 = 77 :

    どうも、やって来ました。
    一応、言っておくとこのSSの一方さんは夏服の下にウルトラマンです。
    では、今から投下します。
    今回は少なめです。

    86 = 77 :

    一方通行はもう一度、昼前に目を覚ました。

    起きてまず、彼は洗面所で顔を洗って来ることにした。

    顔を洗いながら、彼は今日の予定を考えていた。

    適当にゴロゴロするか、それとも--

    そこまで考えて、彼は昨日の芳川との会話を思い出す。

    そうだ、研究所に行くか。

    久しぶりにあのふざけた研究者達のツラを拝みに行くのもいい。

    ついでに昼飯を奢らせてやろう。

    そう考えた彼は、研究所へと向かった。




    一方通行は電車やバスを使って、30分程で研究所に着いた。

    適当に警備員に挨拶していって、中に入る。

    奥にある部屋に入ってみると、いくらか知っている顔ぶれがいた。

    「おや?一方通行じゃないか。久しぶりだな。」

    「おぉ、本当だ。
    どうした?木原さんに何か用か?」

    知り合いの研究者達は彼に気付くと、近寄って来て声をかけてくる。

    87 = 77 :

    彼は、とりあえず質問に答えた。

    「いや、そォじゃねェ。
    たまたま近くを通ったから昼でも奢らせようと思ってな。」

    そう言った彼に、研究者達はニヤリとして告げた。

    「そりゃまた、タイミングがよかったな。
    ちょうど今、試作品を芳川さんが調理してる。」

    「そうだな、君に試食して貰おうじゃないか。」

    そう言われ、彼はものすごく嫌な予感がした。

    現在、この研究所では絶対能力進化(レベル6シフト)の研究を、
    たった一人を除いてやめて、新食材の開発をしている。

    完成した食材は、基本的に芳川が思い付きで調理するのだが、
    このアタリハズレが大きいのだ。

    上手くいくと、かなり美味しい。

    しかし失敗するとかなり酷く、正体不明の病気にかかったりする。

    88 = 77 :

    実際、一方通行は三回中二回ハズレを引いて、
    一ヶ月程学校を休むハメになった。

    そんな彼の訝しげな雰囲気を感じたのか、
    研究者達は安心させようとこう告げた。

    「大丈夫さ。今回は木原さんを含む五人で監修してるからな。」

    「そうそう。問題ないだろ、多分。」

    「それを聞いて余計心配になったわ、ボケ。」

    そんな感じに会話のキャッチボールっぽいモノを続けていると、
    奥の大型キッチンから何かが乗っている鉄アレイを抱えた芳川と木原が出て来た。

    「おりょ?なんだよ、お前来てたのか。
    来るなら、事前に連絡しとけって前から言ってるだろ。」

    それを聞いた研究者の一人が、

    「いえいえ、木原さん。
    『たまたま』近くを通ったらしいですから、
    まぁしょうがないんじゃあないでしょうか。」

    とニヤニヤしながら告げた。

    89 = 77 :

    それを聞いて、木原も

    「ほー。『たまたま』、ねぇ。
    『たまたま』なら仕方ねぇかぁ、うん。」

    と、同じくニヤニヤしながら一方通行を見ている。

    「ンなこたァ、どォでもいいだろ。
    それより、ソイツが例の新作なのか?」

    一方通行は話題を反らそうと、鉄アレイに乗っているモノについて聞く。

    「えぇ。そうよ。
    早速、皆で試食としましょうか。」

    「ん、そうだな。
    よしお前ら、全員呼んでこい。
    あ、『あいつ』も忘れんなよー。」

    芳川にそう言われ、木原は部下に命令する。




    やって来た研究者達は一方通行を見ると、それぞれ話し掛けてきた。

    「やぁ、元気してたのかい?」

    「見ないうちにまた、大きくなったわね。」

    「ほんと、ほんと。このままじゃ抜かれちまうなぁ。」

    そんな彼らに、一方通行は適当に返す。

    しばらくして、一人の男が入ってくる。

    その男は他の研究者と違い、
    大層疲れた様子でここ三日は寝てません、と言った表情をしていた。

    そんな男に一方通行は気軽に話し掛ける。

    「よォ、天井。
    絶対能力進化(レベル6シフト)の方法は見つかったのか?」

    90 = 77 :

    男--天井亜雄はそう聞かれ、笑って答えた。

    「あぁ……。とうとう見つけたよ。」

    それを聞いて木原は、

    「おいおい、ホントかよ天井。」

    と、若干信じられなさそうに言った。

    それを聞いた天井は自信たっぷりに返す。

    「あぁ、今回は自信があるよ、木原。
    『樹系図の設計者(ツリーダイアグラム)』の使用許可を申請したいんだが。」

    「オーケー。
    じゃあ、この後にでも申請しとくぞ。」

    天井亜雄は、一方通行の『絶対能力進化(レベル6シフト)』の方法を
    現在研究している唯一の人物だ。

    他の研究者達が諦めた中、彼だけがこれをずっと研究しているのは、
    とある計画で大きな失敗をしてしまい、多額の借金があるからだ。

    それを返済するために、
    統括理事会が多額の恩賞を用意している『絶対能力進化』に挑戦している。

    「へェ……。よォやっと見つけたのか。
    ずいぶン、待ったぜェ。天井くンよォ。」

    「あぁ……。長くなってすまなかったな。
    『実験』は演算の結果次第で始めよう。詳細はメールで追って連絡する。」

    そう聞いて、一方通行は『無敵』の能力に思いを馳せた。

    91 = 77 :

    夜、一方通行は第七学区のとある路地裏を歩いていた。

    なんだかんだでかなり遅くまで研究所で過ごしたので
    完全下校時刻はとうに過ぎ、早く帰るための近道をしているのだ。

    「チッ……。
    早くしねェと、こいつは警備員(アンチスキル)がうるせェな……。」

    この街には完全下校時刻を過ぎると、
    警備員(アンチスキル)と呼ばれている
    教師達による警察のようなモノが巡回し、
    うろついている生徒を発見次第、補導する。

    その他にも、能力者による犯罪を取り締まる、
    外部からのテロ行為を防ぐなど日夜活動をしている。

    「あァ、メンドくせェ……ン?あれは……上条、か?」

    92 = 77 :

    彼の前、路地裏の出口近くに見慣れたツンツン頭が見えた。

    そのそばには見覚えのある白い修道服が見えた。

    なにか、あったのだろうか--
    なんだか嫌な予感がして、一方通行は声を掛けた。

    「オイ、オマエどうかしたのか……」

    途中で彼の言葉が止まる。

    何故なら、目の前には背中から大量に血を出している、インデックスがいたからだ。

    「どォした、なにがあったァ!?」

    慌てて彼は上条に問う。

    聞かれた上条は目の前の人物に驚く。

    「あ、一方通行か……?」

    「これは一体何があったンだよ!!
    ……いや、ンなこたァ今はどォでもいい。」

    そう言って、彼はインデックスに触れる。

    「あ……。何、してるんだよ。」

    「俺の能力を忘れたか?」

    上条の問いに答えつつ、彼は自分の能力である
    『あらゆる力の向き(ベクトル)の変更』で彼女に応急処置をした。

    93 = 77 :

    「……それで?
    一体何があったンだ。
    詳しく、聞かせろよ。」

    応急処置をしながら、一方通行は告げた。

    上条は少し躊躇って、口をゆっくりと開いた。

    彼女が、探査機能が残っているフードを取りに戻ろうとしたこと。

    戻ろうとした、そこを『魔術師』にやられたらしいこと。

    そうして補習から帰った自分の家の前に血まみれの彼女が倒れていたこと。

    追っ手の炎を操る『魔術師』と戦い、なんとか彼女を助け出したこと。

    ケガを治そうにも、IDを持たない彼女を病院に連れては行けないこと。

    全てを一方通行に話した。

    最後まで聞いて、彼は

    「クソったれが……。
    このガキが何をしたってンだよ。」

    とイラついた様子でつぶやく。

    まだ年端も行かない少女をこんな目に合わせた『魔術師』へ怒りが湧く。

    94 = 77 :

    「ホント……ふざけやがって……。」

    上条も同じことを思ったらしく、イライラした様子だった。




    「……ん、うぅ。」

    気を失っていたインデックスの声が不意にする。

    どうやら、一方通行の応急処置が効いたらしい。

    それでもケガは完全に治らないし、あくまでこれ以上の失血を防ぐだけだ。

    このままでは、彼女は死んでしまうだろう。

    だから上条はわらにもすがる思いで、目覚めた彼女の頬を軽く叩いた。

    「おい、聞こえるか?
    お前の十万三千冊の中には傷を治せる『魔術』はないのかよ?」

    そう、科学がダメならそれしかないのだ。

    それが彼女が気を失っている間に、二人が下した結論だった。

    95 :

    これは複雑な気分になる

    96 = 77 :

    インデックスはゆっくりと青ざめた唇を震わせながら告げた。

    「……ある、けどね、君には無理だよ。
    わた…しが術式を教えたところで……うぅっ……君の能力が邪魔、するから。」

    それを聞いて、上条は右拳を床に叩き付ける。

    「また、かよ……。
    また、この右手が悪いのかよ!!」

    一方通行は

    「だったら、俺がやる。
    オマエは右手で術式とやらに触らなけりゃイイ。」

    と提案したが、
    インデックスはそうじゃないと首をゆっくりふって答えた。

    「……そうじゃない、の。
    『魔術』っていうのは、元々、は……君達みたいな『超能力者』、みたいに
    『才能ある人間』に『才能ない人間』が追い付く、ために……ゴホッ、ゴホッ……生み出したの。
    だから、君達は根本的なところで『魔術』を使え……ないよ。」

    97 = 77 :

    二人は完全に絶望の淵へと追いやられた。

    つまり、この街の学生達では彼女を助けることなど最初から出来ないのだ。

    「くそっ!!くそっ!!!
    どうすりゃ、どうすりゃいいんだよ!?」

    上条は頭を抱えた。

    一方通行は自分を責めた。

    (ちくしょォが!!何が、最強だ!!何が、第一位だ!!)

    自分には彼女を助けられない。

    それどころか、この街にいる全能力者達でもダメだ。

    知り合いの能力者達を頼ってもダメなのだ。

    (……待て、よ。)

    そこまで考えて、彼は自分の考えに違和感を感じた。

    確かにこの街の超能力者達ではダメだろう。

    ならば、それを開発する人達--教師や研究者なら?

    「なぁ……『魔術』ってのは『才能ない』一般人なら誰でも使えるんだよな?」

    上条も同じことを考え付いたらしい。

    「えっ……。う、うん。
    手順を間違えたら、死んじゃうけどわたしの力を使えば、大丈夫。」

    「上条……。
    オマエも同じこと考えたみてェだな。」

    「あぁ……。
    あの先生、もう寝てたりしねぇだろうな。」

    二人は自分達のクラスの担任である、月詠小萌の顔を思い浮かべた。

    98 = 77 :

    一方通行のケータイで、青髪ピアスから小萌先生の住所を聞き出した
    (何故知っているのかは不明。絶対、ストーキングしたと一方通行は睨んでいる)
    二人は、一方通行がインデックスを治療しながら抱える形で、小萌先生の住まいへと向かう。

    路地裏から歩いて十五分程で、そこに着いた。

    そこは、見た目十二歳の彼女には似合わない、ボロい木造二階建てのアパートだった。

    通路に洗濯機が置いてあることから、風呂場という概念はないのだろう。

    一部屋ずつ、表札を確かめていく。

    そうして、二階の一番奥のドアまで歩きようやく
    『つくよみ こもえ』
    というひらがなのドアプレートを見つけた。

    二回チャイムを鳴らし、上条は思いっきりドアを蹴った。

    しかし、ドアはびくともしなかった。

    上条は相変わらずの不幸らしく、かなり痛そうにしていた。

    99 = 77 :

    「はいはいはーい。
    対新聞屋さん用にドアは頑丈なのですよー。今、開けますねー。」

    がちゃり、とドアが開いて緑のぶかぶかのパジャマを着た、
    二人のクラスの担任である小萌先生が顔をひょこっと出した。

    どうやら、立ち位置の関係で、上条の後ろにいる一方通行が抱えている、
    血まみれのインデックスの姿は見えないようだ。

    「あれ?
    上条ちゃんに一方ちゃん。
    新聞屋さんのアルバイト始めたのですか?」

    「シスター抱えて勧誘する新聞屋がどこにいるってンだ?」

    「ちょっと色々困ってるんで入りますよ、先生。はいごめんよー。」

    二人は不機嫌そうに言いつつ、入ろうとする。

    100 = 77 :

    「ちょ、ちょちょちょっとー!?」

    小萌先生は慌てて、立ち塞がる。

    「いきなり部屋に上がられるのは困るのですよー!
    いえその、部屋がビールの空き缶だらけとか灰皿の煙草が山盛りとかじゃなくてですねー!」

    「先生よォ、俺が今抱えてるモノを見て同じギャグ抜かせるか試してみろよ。」

    「ぎゃ、ギャグではないので……ぎゃああ!?」

    「今さら気付いたのかよ!」

    「だ、だだだって上条ちゃんに隠れてて見えなかったんです!」

    驚いてあわわわと言っている先生を横に押して二人は中に入る。

    部屋の中は、ビールの缶が畳の上にいくつも転がり、
    古めかしいちゃぶ台の上の灰皿には煙草の吸殻が山盛りになっていた。

    「なンつゥか……ギャグじゃなかったンだなァ。」

    「こんな状況で言うのもなんですけど
    煙草を吸う女の人は嫌いなんですー?」

    「いや、そういう問題じゃないですから。」

    そんな事を言いながら、上条は床に散らばる空き缶を蹴り飛ばす。

    そうして出来た空き場所に一方通行はインデックスを仰向けに寝かせる。

    布団を敷く余裕など、ない。


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