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元スレ武内P「起きたらひどい事になっていました」

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401 = 375 :


「どうした、何か可笑しいことでも?」


 すかさず、専務が私の笑いの理由を問うてくる。


「いっ、いえ! 何でもないです!」


 そうは言ったものの、彼女の視線が私から外れる事は無い。


「……」
「……」


 絡み合う視線。
 私達魔法少女ユニットは、今までで最大のピンチを迎えていた。


「……」


 そんな視界の端で、プロデューサーさんが体を小さくしているのが見えた。
 中腰の姿勢で、ゆっくりと、しかし一歩一歩確実に出入り口であるドアに向かっている。


「――んー! んー!」
「!? 離してください! 離してください、千川さん!」


 私は、そんなプロデューサーさんに駆け寄り、腰に抱きついた。
 上着を掴むだけでは逃げられてしまう。


「痛っ!? あの、爪が! 爪が突き立てられて!」
「んー! んー!」


 今の私に出来る、マジカルでも、プリティーでもない、全力の拘束。
 と言うか、普通、今のタイミングで逃げようとします!?


「……」


 専務は、そんな暴れる私達の様子を冷静に見つめていた。
 その目尻にうっすら涙が浮かんでいるのは、見なかったことにしよう。

402 = 375 :

  ・  ・  ・

「……兎に角、今日は何も無かった。良いですね?」


 絞り出すような声。


「「……はい」」


 疲れきった声。
 暴れたせいで私の髪は乱れ、プロデューサーさんはシャツのボタンが二つ程飛んだ。
 痛み分けというには、痛みが大きすぎた。


「……」


 私は、魔法少女マジカルチッヒという事が知られ、変身中の全裸も見られた。


「……」


 専務は、魔法少女プティーミッシーの姿を見られただけで、大ダメージだ。


「……」


 プロデューサーさんは、大きな秘密を二つ抱える事となった。
 魔法少女二人の正体を知るのは、どんな気持ちなのだろう。
 気にはなるが、それを聞く勇気は私にはない。


「それでは……私は、これで失礼します」


 今度は、誰もプロデューサーさんを止めない。
 そして、私もそれに続こうと、ソファーから立ち上がり――


「待ちたまえ。チッヒ、キミにはまだ話がある」
「……!?」


 ――かけた時、専務……いや、ミッシーがそれを止めた。
 多分、いや、絶対……プリティーで笑ったことを根に持ってるんだわ。
 ああ……今日中に帰れるかしら、私。

403 :

もっちー辺りがやらかしてもおかしくないネタだなぁ

404 = 375 :

誤)> 専務は、魔法少女プティーミッシーの姿を見られただけで、大ダメージだ。

正)> 専務は、魔法少女プリティーミッシーの姿を見られただけで、大ダメージだ。

405 = 375 :

  ・  ・  ・

「……」


 私は、二人の魔法……少女、はい、魔法少女の正体を知ってしまった。
 それは、不幸な事故であり、タイミングが悪かったとしか言いようがない。
 今後は、迂闊に路地裏に入るのは避けるべきだろう。


「……」


 上着のボタンをプチリプチリと外し、上着を翻した。
 シャツのボタンが二つ外れているので、風が服と少し寒い。


「……」


 彼女達は、平和を守るために戦っているのだ。
 ……そう、


「――笑顔のために」


 右のポケットからスマートフォンを取り出す。
 そして、ホームボタンを素早く三回押し、画面を起動。
 流れるように、暗証番号を画面を見ずに打ち込んでいく。


 ――3――4――6!



『LIVE――』



 スマートフォンから、二人分の女性の声が聴こえる。
 そして、スマートフォンを銀色のベルトにかざし、



「変身ッ!」



 私も、私の戦いに身を投じるため、変身した。



『――START!』



おわり

406 = 375 :

誤)> シャツのボタンが二つ外れているので、風が服と少し寒い。

正)> シャツのボタンが二つ外れているので、風が吹くと少し寒い。

407 = 375 :

眠気で誤字が多すぎるので寝ます
おやすみなさい

408 = 390 :

同じ世界線だったかw

409 = 389 :

繋がった

410 :

子供向け映画の抱きあわせみたいだ

411 :

>>410
戦隊のメンバーが決まったらやる予定です


申し訳ない
昔、自分の書いたものを読んだら止まらなくなりました
結構な長編なので、今日は書くかわからないです

412 :

上様期待

413 :

甘いの書きます

414 = 413 :


「……」


 シンデレラプロジェクトの、プロジェクトルーム。
 彼は、自分のデスクに座りながら眠っている。
 きっと、ちひろさんがかけてくれたのよね、あの毛布。


「……」


 起こさないように、そっとドアを閉める。
 だって、この人が居眠りをするだなんて、本当に珍しいんですもの。
 ドアの開け閉めの音で起こしちゃうだなんて、勿体無いわよね。


「……うふふっ」


 どうやって驚かせちゃおうかしら。
 無難に、大きな声でワッと?
 それとも、毛布をバサッと取って?
 ああ、ダメ……考えただけで、ワクワクしちゃうわ!


「……」


 すぅすぅと寝息を立てる彼に、忍び足で近寄る。
 ぐるりと回り込んで、すぐ、手を触れられる所までたどり着いた。


「……」


 彼は、まだ起きない。
 

415 = 413 :


「……」


 本当に、よく眠ってるわね。
 もしかして、アナタの目付きが良くないのって、
そうやって寝ててちゃんとベッドで寝てないから?
 だとしたら、ちゃんと寝たらどんな顔になるのかしら。
 目が、キラキラしちゃったりするの?


「……」


 つい、と顔を近づけて、彼の寝顔を間近で観察する。
 いつもの、眉間により気味な皺は無く、まるで子供みたいな寝顔。
 それがとっても可愛らしくて、母性本能をくすぐられてしまう。
 あっ、くすぐって起こすのも面白そう!


「……」


 くすぐったら、どういう顔で笑うのかしら。
 アナタの大笑いする姿なんて、見たことがないもの。
 穏やかな笑みか、噛み殺すような笑みだけ。
 大口を開けて笑ったら……低い声も相まって、悪役みたいになっちゃうかしら?


「……」


 彼が、自分では気付いてないだろう頭頂部の寝癖。
 それを、人差し指でピコピコと揺らしてみる。
 それでも、彼は起きない。


「……」


 いつもだったら、この段階で起きるんですけど、ね。
 これはもう、もっとイタズラする他に無いと思うんです。

416 = 413 :


「……」


 デスクの横にしゃがみこんで、寝ている彼を目線を合わせる。
 と言っても、目を開けてるのは私だけ。
 一方的に、私がこの人を観察している。


「……」


 じい、と睨みつけてみる。
 ぷん、と怒った顔をしてみる。
 しゅん、と悲しい顔をしてみる。


「……」


 だけど、彼は目を開けない。
 それは当然よね、だって、寝てるんですもの。
 だから、ふにゃっ、と変な顔をしてみる。


「……」


 ――が、すぐにやめた。
 寝たふりをしているんじゃないかと思ったけど、そうじゃないみたい。
 私のあんな顔を見たら、この人は絶対に反応を示す。
 すぐにやめたのは……もし、あの顔をしている時に目を覚まされたら、
それこそどんな顔をしていいかわからなくなっちゃうから。


「……」


 高垣楓の、貴重な変顔を見逃しちゃいましたね。
 ちょっとアレな、レアな顔でしたよ。

417 = 413 :


「……」


 どうしたら、この人は驚くかしら。
 せっかくだから、この状況じゃないと出来ない驚かせ方をしたいわ。
 ワッと驚かせるのは、いつだって出来るものね。
 ……やった事は、無いけれど。


「……」


 そっと、彼の肩にかかっている毛布をはいでいく。
 思いもよらず、その毛布の手触りが良くて、ホゥ、となった。
 大柄な彼のためか、毛布は大きく、かなりの余裕があった。


「……」


 お邪魔しま~す。
 と、私は言葉に出さずに彼に断りを入れた。
 口の動きはちゃんと「お邪魔します」としてたんだし、見てないこの人が悪い。
 アイドルを見るのがプロデューサーの仕事でしょう?
 居眠りしてないで、仕事してください!


「……」


 座る彼の隣にしゃがみ、同じ毛布にくるまっている。
 だけど、離れていてはせっかくの毛布が台無しだ。
 だって、私と貴方の距離が空いてたら、冷たい空気が入り込んじゃうから。


「……」


 そうならない様、彼に体を密着させる。
 スーツ越しに感じる、体温。
 近づく事で、より鮮明に聞こえるようになった彼の寝息。


「……」


 まだ、彼は目を覚まさない。

418 = 413 :


「……」


 こんなに無防備で、この人は大丈夫なのかしら。
 もしも私が悪い人だったら、大変な事になってましたよ。
 わかってますか?


「……」


 間近で睨みつけても、彼の反応は無い。
 その事が、ちょっぴり寂しい。
 だって、この人は私が何かしたら、必ず反応してくれるから。
 心からの賞賛や、諦めたようなため息。
 そして、極々稀にだけど……お説教も。


「……」


 つん、と人差し指で彼の鼻をつついてみる。
 だけど、本当によく眠っているのか、反応は無い。
 つんつん、と二回つつく。
 それでも、彼は眠ったまま。


「……」


 鼻をつまむのは……それは、ちょっと可哀想よね。
 絶対驚くとは思うんだけど、まだ、もうちょっと彼を眺めていよう。
 不器用で、真っすぐで、とっても可愛らしい寝顔の彼を。


「……」


 カチリ、コチリと時計の針が時間が進んでいるのを告げている。
 それなのに、何故かこの穏やかな時間は、止まっているように思える。

419 = 413 :


「……」


 だけど、そろそろ彼を起こしてあげなくっちゃ。
 こんな体勢で寝てたら体が痛くなっちゃうし、風邪を引いちゃうもの。
 それに、イタズラをして起こすと決めてたし、ね。


「うふふっ」


 思わず零れた笑い声。
 それが、零れ落ちないように口を両手で塞いだ。
 あっ、良い事を思いついちゃった。


「……」


 そっと、彼の横顔に顔を近づけていく。
 普通は立場が逆だけど、私はしゃがんで、座ってるから逆でも良いですよね。
 ……ん? なんだかおかしいような、そうでもないような?


「……」


 居眠りをしちゃうような王子様には、お仕置きです。
 そう思う私は、今、どんな顔をしているのだろうか。
 わからないけれど、彼が起きた時に言う言葉はもう、決めてある。


「……」


 ゆっくりと、彼の頬に唇を近づけていく。


「……起きてくださ~い」


 こうすると目覚めるのが、掟、でしょう?



おわり

420 = 413 :

お察しの方もいらっしゃいましたが、あの絵師さんの絵が大好きなのです



武内P「台風、ですね」

421 = 413 :

「はい、とても風が強くて……」

武内P「タクシーを呼ばれては?」

「貴方はどうするんですか?」

武内P「いえ、私は電車で……」

「だったら、私も負けていられません」

武内P「……あの、何故張り合う必要が?」

422 = 413 :

「私は、共に歩んでいこうと思います」

武内P「あの、駅は逆方向では」

「……」

バシバシ!

武内P「……すみません」

「私は、共に歩んでいこうと思います」

武内P「……」

「ファンの方達と、笑顔で!」

武内P「通行人の方は、ほとんど居ませんが……」

423 = 413 :

武内P「しかし……風邪を引いてしまいます」

「大丈夫です。傘が、私を守ってくれます」

武内P「あの、物凄い横殴りの雨なのですが」

「……」

バシバシ!

武内P「……すみません」

「此処は、ライトが暗すぎるわね」

武内P「……台風、ですから」

424 = 413 :

武内P「! すみません、携帯が……」

「はい、どうぞ」

武内P「……部長が、車で送ってくださると」

「!?」

武内P「……」

「!!?」

武内P「……お断り、しておきます」

「まあ、せっかくでしたのに……」

武内P「……」

425 = 413 :

武内P「……それでは、行きましょうか」

「ええ」

武内P・楓「……」


ズバンッ!


武内P「……一瞬、でしたね」

「……傘、壊れちゃいまいたね」

武内P・楓「……」

426 = 413 :

武内P「……やはり、タクシーを呼びましょう」

「それしか、無さそうですね」

武内P「料金は、私が出しますので……」

「まあ、送ってくださるんですか?」

武内P「いえ、あの、逆方向なので……」

「まあ、送ってくださるんですか?」

武内P「……」

427 = 413 :

武内P「それに、私の利用する駅は近いですし……」

「駅? え、聞こえません」

武内P「……」

「料金は、私がおもちします」

武内P「私は、駅まで歩いてすぐなので……」

「駅? え、聞こえません」

武内P「……」

「風が強くて、よく聞こえません」

428 = 413 :

  ・  ・  ・

武内P「タクシーを呼びました。すぐ、来るかと」

「お手数をおかけしました」

武内P「……」

「……?」


武内P「っ……!」

ダッ!


「!? 待ってください!」

ダッ!


武内P「何故、追ってくるんですか!?」

「逃げるからです!」

429 = 413 :

  ・  ・  ・

「……ふぅ……ふぅ……!」

武内P「……高垣さん、タオルを」

「ありがとう……ふぅ……ございます」

武内P「あの、私は電車で帰りますから」

「……ああ、誰かさんのせいで濡れてしまったわ」

武内P「私のせい、ですか!?」

「それに、急に走って疲れちゃいました」

武内P「……!?」

430 = 413 :

「……」ジッ

武内P「……わかりました。タクシーが来るまで、此処に」

「?」

武内P「私は電車で帰りますからね?」

「タクシーが来るのに、ですか?」

武内P「はい」

「もう、ワガママを言って私を困らせて、楽しいですか?」

武内P「!? 待ってください! その発想はおかしいです!」

431 = 413 :

「雨に濡れて、一人で帰れだなんて……」

武内P「いえ、それは――」

「くしゃみ!」

武内P「? あの、今のは?」

「あっ、間違えちゃった」

武内P「?」

「はっくしょん!」

武内P「高垣さん、酔ってるんですか!?」

432 = 413 :

武内P「……わかりました。私も、タクシーで帰ります」

「うふふっ、最初から素直になれば良いんです」

武内P「……最初から、素直だったつもりです」

「あっ、タクシーが来ましたよ」

武内P「……」

「これで、やっと帰れますね」

武内P「……そう、ですね」

433 = 413 :

「それじゃあ、先に乗ってください」

武内P「……」

「私が乗りこんだ瞬間、走りだすつもりでしたよね」

武内P「……」

「……」

武内P「いえ、そんな事はありません」

「はい、先に乗ってください」

武内P「……」

434 = 413 :

武内P「……」

「反対側のドアから降りても、無駄ですよ」

武内P「……何故、でしょうか」

「私、一度やってみたかったんです」

武内P「……何をですか」

「前の男を追ってください、って」

武内P「……!」

「うふふっ♪」

435 = 413 :

ガチャッ

「はい、乗ってください」

武内P「……」

「……!」

ぐいぐい!

武内P「乗ります。乗りますから、押し込まないでください!」

「よろしい」

武内P「……」

バタンッ

436 = 413 :

武内P「……では、先に高垣さんの自宅に向かいましょう」

「あっ、少し寄る所が」

武内P「構いませんよ。まだ、時間も早いですし」

「ありがとうございます」


「運転手さん、この住所にお願いします」


武内P「スマートフォンに表示しておくとは、準備が良いですね」

「はい。台風ですし、せっかくの機会ですから」

武内P「? どこに行くつもりで――」


武内P「――近くの居酒屋の住所じゃないですか!」


「タイ風、ですよ」



おわり

437 = 413 :

忘れてたので書きます

438 = 413 :


「っ……!?」


 ガン、ガンとバスの車体にまた衝撃が加えられた。
 その衝撃を与えてくる影の正体は――怪人。
 頭部がウサギ、と言えば可愛らしいが、
その顔は醜く、残忍な性格を隠すことなくこれでもかと表している。


「……」


 プロデューサーさんが、ゆっくりと立ち上がった。
 揺れる車内を悠然と歩く姿に、私達は息を飲んだ。


「新田さん」


 唐突にかけられた、声。
 その声はいつものように低く、落ち着いている。
 私達が何かした時の方が、焦ってるんじゃないかしら。


「は、はいっ!」


 思考して、返事をするのが遅れてしまった。
 きっと、プロデューサーさんは大事な事を言う。
 プロジェクトのリーダーとして、聞き逃す訳にはいかない事を。


「私は、此処を離れます」
「離れるって……何を言ってるんですか?」


 今も、バスは高速で走り続けている。
 止まったら、ウサギの怪人によって私達は終わりだ。
 だから、離れるなんて、出来ないはずなのに……。


「皆さんをお願いします」


 そう言うと、プロデューサーさんは上着のボタンをプチリプチリと外し、上着を翻した。

439 = 413 :


「……」


 プロデューサーさんの腰元では、大きな銀色のベルトが、輝きを放っていた。
 

「私が、奴を倒します」


 右のポケットからスマートフォンを取り出した。
 ホームボタンを素早く三回押し、画面を起動。
 流れるように、暗証番号を画面を見ずに打ち込んでいく。


 ――3――4――6!



『LIVE――』



 スマートフォンから、どこかで聞いたことのある女性の声が聞こえた。
 あの声は、確か……。
 プロデューサーさんは、スマートフォンを銀色のベルトにかざし、



「変身ッ!」



 言った。



『――START!』



 プロデューサーさんの体を光が包み込んでいく。
 光の粒子はやがて形を成していき、鎧を纏わせた。


 鎧は黒を基調としたもので、所々白い箇所もあり、まるでスーツのよう。
 すっぽりと全身を覆うその鎧の胸元では、
ピンクと、ブルーと、イエローの宝石のような物が輝きを放っている。
 プロデューサーさんが今、どんな顔をしているのかは、
目付きの悪いぴにゃこら太のようなフルフェイスに覆われ、見ることは出来ない。


「……」


 だけど私は、確かにその向こう側に希望を見た。

440 = 413 :


「だ、だけど……相手は物凄い速さで走ってるんですよ!?」


 今のプロデューサーさんは、とても強そうに見える。
 けれど、あのウサギの怪人よりも早く走れるというのか。
 あんな、高速で動く相手をどうやって……。


「はい。ですが――」


 カツン、カツンと歩く音が車内に響く。
 私達は、息を飲んで続くプロデューサーさんの言葉を待った。


「――私一人では、ありませんので」


 プシュウ、と音を立ててバス前方の出入り口が開いた。
 ウサギの怪人から逃げるため、景色が物凄い速さで流れていく。
 プロデューサーさんは、



「ピニャコラッター!」



 そう言うと、バスの車外へ躍り出た。
 いくら鎧を着ているとは言え、この速さで車外に出たらただでは済まない。
 そう思った私達の耳に届いた、低い、低い音声。



『ぴにゃぴっぴ』



 大きな、黒い影。
 その、巨大な黒い影はプロデューサーさんと地面の間に潜り込むと、
プロデューサーさんの体を乗せ、疾風のように走り出した。



『Unit debut!!』

441 = 413 :

  ・  ・  ・

「……」


 吹き付ける風も、スーツのおかげでほとんど影響は無い。
 ピニャコラッターも、今か今かと暴れる時を待っている。
 エンジンのあげる唸り声が、今はとても頼もしい。


「さあ、行きましょう」
『ぴにゃー』


 私が声をかけると、ピニャコラッターが返事をした。
 このマシンは、ただの大型のバイクではない。
 人工知能を搭載した、正に、相棒とも呼ぶべき存在だ。


「……!」
『ぴ~――……』


 速度を落として左足を地面に付き、少々強引にUターン。
 スーツを纏った私の脚は、彼の重量を支えきる。
 それに、こんな所で倒れる訳にはいかない。


「ふっ!」
『――にゃ~!』


 彼も、私も。
 ターン終了と同時に、急加速。
 地面についていた左足が、アスファルトに擦れ火花を上げた。
 高速道路を逆走し、すぐに目標を捉えた。



「UUUUKYUUUUUUU!!」



 私達は、バスに体当たりをせんとしていたウサギの怪人に、



「善処します!」
『ぴにゃっぴ!』



 速度を緩めること無く、全力で突撃した。

442 = 413 :


「おおおおっ!」
『ぴにゃ~っ!』


 高速で走る二つの物体の、正面衝突。
 勝ったのは、



「GYUUUUUUUU!?」



 私達だ。
 当然の結果です。
 何故なら、私達は一人ではないのだから。


「……!」
『ぴにゃっぴ!』
「GYUUUU!? GYUUUUUOO!?」


 ピニャコラッターは、ウサギの怪人をその前方に乗せ、バスから引き離していく。
 ウサギの怪人が暴れて脱出しようともがくが、それは叶わない。


「少し、お時間を頂けますか」
「GYUUUUU!? GYUUAAAA!?」


 私の両手が、ウサギの怪人を捕らえて離さないからだ。


『ぴにゃっ!』


 運転をピニャコラッターに任せ、距離を稼ぐ。
 ここまで来れば、もう心配は無いだろうか。



「ピニャコラッター!」
『ぴにゃぴっぴ』



 私の声を聞いたピニャコラッターは、壁を駆け登る。
 私達は一塊となり、高速道路の外へと飛び出した。

443 = 413 :


 一塊だった私達の影が、空中で二つに分かれる。
 それは当然、私達と、ウサギの怪人にだ。


「……」


 ピニャコラッターの上に立ち、彼を足場にして跳び、


「――企画!」
「GYUUUAAA!?」


『CooL!!』


 ブルーの光を纏った右の脚をウサギ怪人の頭部に見舞う。
 やはり、不安定な体勢で放った一撃では、あまり効果は望めない。


「――検討中です!」
「UUUKYUUAAA!?」


『Cute!!』


 しかし、それでも私は追撃の手を緩める事はない。
 ピンクの光を纏った拳をウサギ怪人の腹部に突き刺しつつ、地面に叩きつける。
 落下の衝撃が合わさったそれでも、仕留めるには至らなかった。


「KYUUUUUUUUU!!」
「ぐおっ!?」


 私の下で、ウサギ怪人が力を振り絞り、暴れた。
 あの速度が出せるだけの脚だ。
 その脚力は相当なもので、蹴り上げられた拍子に距離を空けられてしまう。


「――待ってください!」


 しかし、ここで逃がすわけにはいかない。
 ここで逃したら、いつ、またアイドル達にその牙を向けるかわからないのだから。


『Passion!!』


 私に背を向けて逃走を図ろうとしたウサギ怪人の脚を
銃の形にしていた私の左手から放たれたイエローの光が撃ち抜いた。

444 = 413 :


「KYUUU……KYUUUUU!!」


 それでも、奴は諦めなかった。
 最初の時の速さは見る影もないが、それでも、走り出す。
 一瞬、このまま逃してやろうと、そんな思いに駆られた。


「……」


 だが、それは出来ない。
 彼は怪人で、アイドルから笑顔を……その生命を奪おうとする者。
 そして私は、そんな彼女達を守る……プロデューサーなのだから。


「ピニャコラッター!」
『ぴにゃぴっぴ』


 呼ぶのが遅い、と言わんばかりに、ピニャコラッターが横に走り寄る。
 その背に跨り、私達は一つとなる。
 怪人を――倒すために。


『Tricoloooooor!!』


 ピンク、ブルー、イエローの3つの光を纏った‘私’は、ウサギの怪人に突撃した。
 3つの光の尾を引きながら、私はウサギの怪人を粒子にした感触を味わっていた。


『ぴにゃ~……』


 そんな私に、ピニャコラッターが声をかけてくる。
 彼のボディーを労るように撫でると、彼の鳴き声は止んだ。


 なくのはやめろ、ピニャコラッター。


 私達は、笑顔を守ったのだから。

445 = 413 :

  ・  ・  ・

「新田さん、ありがとうございました」


 合流したプロデューサーさんが、頭を下げてきた。
 それは、いつものとても丁寧なお辞儀。
 だけど、その表情はなんだか……。


「いっ、いえ……」
「……」


 プロデューサーさんがこんな表情をする理由が、私にはわからない。
 それなのに、今は、この人を放っておいては駄目な気がする。


「こちらこそ、ありがとうございました!」


 でも、こんな時にどんな顔をしたらいいかわからない。
 アイドルとして、リーダーとして、一人の人間として。
 こんな顔をしている人に、どんな表情を向ければ良いの?


「……」


 顔を上げて、プロデューサーさんを見る。
 私のそんな思いを察したのか、プロデューサーさんは右手を首筋にやって、困った顔をした。


「……新田さん」
「……」


 教えてください、プロデューサーさん。


「笑顔です」
「っ!?」


 思っていた事をズバリ言い当てられ、ビックリしちゃった。


「皆さんの笑顔のため、私はプロデューサーになったのです」


 だから、笑っていてください。
 そう言って笑ったプロデューサーさんの笑顔は、とても下手で、泣いている様に見えた。



おわり 

446 :


猫っぽいフルフェイススーツとなるとこんなんだろうか

447 = 413 :

ライダー意識なので、目がこれのでっかい感じかなー、と!
ってかこの画像クッソカッコイイすなw

448 :

フルフェイススーツっていいよね

449 :

あの魔法少女たちを千佳が見たらどうなるんだろうね

450 :

書きます


武内P「そろそろ、寂しさが限界です」


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