元スレ武内P「起きたらひどい事になっていました」
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301 :
「……!」
彼の体を包んでいた黒い鎧が、その形を変えていく。
スライドした装甲の下は、金色に輝いている。
その輝きは、まるで血液のように鎧を縁取り、白い箇所も金色に染めていく。
胸に輝くのは、ピンクと、ブルーと、イエローの宝石。
そして、その中心には、一際多きな輝きを放つ虹色の宝石が現れていた。
「……綺麗」
思わず、こんな状況なのにその姿を美しいと思った。
可愛らしいぴにゃこら太のようなフルフェイスの下で、彼はどんな顔をしてるのだろう。
もしかしたら……うふふっ、苦手な笑顔をしてるかもしれないわね。
「SYAAAAAAAAAAA!!」
そんな彼に、クモの怪人が大きく跳躍し、飛びかかった。
けれど、
「――企画!!」
『CoooooooooooL!!!』
ブルーの眩しい程の光を纏った右足が、叩き込まれた。
ただそれだけで、さっきは彼をあんなに苦しめたクモの怪人が、
光の粒子となって消えていく。
『Full Combo!』
「GRUUUUUUUOOOOOOOO!!」
その隙をつこうと、ヒョウの怪人が恐ろしいスピードで駆けてくる。
それでも、
「――進行中です!!」
『Cuuuuuuuuuute!!!』
ピンクの眩しい程の光を纏った右拳が、そのお腹に突き刺さる。
ヒョウの怪人も、クモの怪人と同じように光の粒子となって消える。
『Full Combo!』
302 = 301 :
「KYUUUUOOOOOOO!?」
彼の、圧倒的な強さにコウモリ怪人は本能的に恐怖したのだろう。
分が悪いと見るや、その大きな翼を広げ、羽ばたいた。
「――待ってください!」
彼はそれを逃さず、銃の形にした左手から、イエローの眩い程の光を放った。
『Passioooooooon!!』
「KYUUU!? KYUUUOOOO!?」
『Perfect Combo!』
イエローの光の直撃を受けたコウモリ怪人。
ピンク、ブルー、イエローの光がコウモリ怪人を捕らえ、身動きをとれなくしている。
何かをしようとしているように見えるけど、それも上手くいかないみたい。
「アンコールが残っています。まだ、席を離れぬよう、お願いします」
彼はそう言うと、
「――ふっ!」
大きく跳躍し、左足を前に突き出した。
その左足は、今までよりも一際大きく――虹色に輝いている。
彼の背中から、虹色の光が溢れ出し、一直線にコウモリ怪人に向かっていく。
そして、まるで虹色の穂先の大きな槍の様に、
「せめて!」
彼のキック、はコウモリ怪人の体に大きな穴を開けた。
コウモリ怪人の体は、爆発したかのように、光の粒子となって消えていく。
「……名刺だけでも」
『LIVE SUCCESS!!』
303 = 301 :
・ ・ ・
「ええと……こういう挨拶って、あまり得意じゃないのだけど」
今日は、待ちに待った快気祝いの飲み会だ。
誰のって、それは勿論決まっている。
「……」
神妙な顔つきで、ビールのジョッキを手に持っているこの人の、だ。
大体、どうして私が乾杯の挨拶をしなきゃいけないんです?
誰の快気祝いだと思ってるんですか、全くもう!
「楓さん! いっちょ、カッコイイ所見せてください!」
「ちょっと未央、静かにしなって」
「そ、そうですよ!」
未成年の後輩達は、ジュースで乾杯。
お祝い事だもの、こういう時はパーッとやらないと駄目よね。
「……今日は、とっても沢山の人が来てくれました」
チラリと視線を向けると、彼は部屋を見渡した。
此処に居るのは、事情を知った人間だけ。
皆、彼にとても感謝している……勿論、私も。
「と、言うわけで、何か一言お願いしま~す♪」
そう言って、私はペタンと腰を座布団に下ろし、挨拶の役目をバトンタッチ。
「は……!? あ、いえ、その……!?」
自分にふられると思っていなかったのか、彼はとっても慌ててる。
うふふっ、こういう所は、本当に可愛げがありますよね。
ニコニコと笑う私に向かって、彼は言った。
「……その笑顔には、完敗ですね」
乾杯と、皆が一斉にグラスを合わせた。
私は、一人悔しい思いをしたのだけど、どうしてくれましょう。
おわり
304 = 301 :
ここ2日、非常に楽しゅうございました
おやすみなさい
305 :
おつ
終わりか?いつもオチつけるのうまくて感心するわ
306 = 301 :
ライダーは終わりですね
気が向いたらまた書こうかと思う程度には楽しめました
書きます
武内P「変身ヒロイン、ですか」
307 = 301 :
武内P「ラブライカのお二人に、そういう趣味があったとは……」
ガチャッ!
アーニャ「ミニャー ザヴート シンデレラ・ホワイト!」ビシッ!
武内P「白をモチーフにした、変身ヒロインですね」
美波「溢れる痴性の泉! シンデレラ・全裸!」ビシッ!
武内P「絶対にツッコミませんよ」
308 = 301 :
アーニャ「ドーブラエ ウートラ、おはようございます、プロデューサー」
武内P「おはようございます、アナスタシアさん」
美波「溢れる痴性の泉! シンデレラ・全裸!」シャキーン!
アーニャ「どう、ですか? 似合っている、でしょうか?」
武内P「はい。アナスタシアさんの魅力が引き出されているかと」
美波「溢れる痴性の泉! シンデレラ・全裸!」パカッ
武内P「ゴリ押しはやめてください。そして、脚を閉じてください」
309 = 301 :
美波「どうですか? この格好、似合ってますか?」
武内P「私に聞かないでください」
アーニャ「美波、とっても似合ってます!」
美波「うふふっ、ありがとアーニャちゃん♪」
武内P「アナスタシアさん、新田さんを甘やかさないでください」
アーニャ「イズヴィニーチェ……すみません」
美波「アーニャちゃん……アーニャちゃんが謝ることないわ!」
武内P「ええ、本当に」
310 = 301 :
美波「聞いてください、プロデューサーさん!」
武内P「聞きましょう、言い訳を」
美波「まだ、変身の途中だったんです!」
武内P「本当ですか?」
アーニャ「ダー。途中も見てもらった方が良いと、そう、思いました」
武内P「……なるほど。まだ、変身の途中だったのですね」
美波「どうしてアーニャちゃんに確認を取ったんですか?」
武内P「当然の結果です」
311 = 301 :
武内P「しかし……申し訳ありません、新田さん」
美波「? どうして謝るんですか?」
武内P「私は、てっきり別の趣味に付き合わされたと、辟易してしまいました」
美波「もうっ! ひどいですよ、それ!」
アーニャ「途中を見せたがったのは、美波では……?」
美波「プロデューサーさんでも、許しませんよ?」
武内P「何を許さないのか、仰ってください」
312 = 301 :
武内P「では、今度はちゃんと変身を終えてからにしてください」
美波「待ってください。まだ、この格好について何も聞いてません」
武内P「聞かないでください」
アーニャ「お願いします、プロデューサー。美波が、可哀想です」
武内P「……」
美波「溢れる痴性の泉! シンデレラ・全裸!」ビシッ!
武内P「クレイジーだと、そう、思います」
313 = 301 :
・ ・ ・
武内P「また全裸だったら、ひっぱたく。そう、考えています」
ガチャッ!
アーニャ「ミニャー ザヴート シンデレラ・ホワイト!」ビシッ!
武内P「先程よりも、アクセサリー等が増えていますね」
美波「くるくると回る一輪の花! シンデレラ・クリア!」シャキーン!
武内P「体にサランラップを巻いたら、叩かれないと思いましたか?」
314 = 301 :
アーニャ「変身、アー、完了、です!」ムフー
武内P「とても可愛らしく、また、凛々しい姿だと思います」
アーニャ「……スパシーバ!///」
美波「くるくると回る一輪の花! シンデレラ・クリア!」シャキーン!
武内P「変化している前口上が、イラッときます」
美波「くるくると回る一輪の花! シンデレラァァァ……クリア!」ズギャーン!
武内P「何故、名乗りをためたのですか?」
315 = 301 :
美波「どうですか? 私も、変身完了です!」
武内P「変身というか、変態です」
アーニャ「美波は、とっても可愛いです!」
美波「うふふっ、ありがとアーニャちゃん♪」
武内P「本当の感想を言えば、プラネタリウムに連れて行きましょう」
アーニャ「美波は、頭がおかしいです」
美波「アーニャちゃん!?」
武内P「何故、ショックを受けられるのか、私にはわかりません」
316 = 301 :
美波「聞いてください、プロデューサーさん!」
武内P「聞く価値があるのか、疑問ですが」
美波「サランラップじゃないんです!」
武内P「本当ですか?」
アーニャ「ダー。サランラップではなく、アー、クレラップ、です」
武内P「……なるほど。サランラップでは、無かったと」
美波「やっぱり、私にはサランラップより、クレラップの方が合うかな、って」
武内P「謎のこだわりを見せないでください」
317 = 301 :
武内P「ですが……申し訳ありません、新田さん」
美波「? どうして謝るんですか?」
武内P「ラップ一枚程度では、全裸と変わりません」
美波「ええっ!? そ、そうでしょうか?」
アーニャ「何回も巻いたら見えなくなると、言っていたような……?」
美波「ごめんなさい、これならいけるって思ったんですけど」
武内P「どこへいこうと言うんですか、貴女は」
318 = 301 :
武内P「良いですか。次が、最後のチャンスです」
美波「待ってください。まだ、この格好について何も聞いてません」
武内P「ひっぱたきますよ」
アーニャ「お願いします、プロデューサー。美波が、可哀想です」
武内P「……」
美波「くるくると回る一輪の花! シンデレラ・クリア!」シャキーン!
…はらっ
美波「キャアッ!?/// ら、ラップが……!///」
武内P「さっきは全裸でも平気だったのに、何故!?」
319 = 301 :
・ ・ ・
武内P「新田さんは、服を着てくると思いますか?」
アーニャ「ニェート。私は、美波を信じています」ニコッ
武内P「良い笑顔です。ですが、嫌な答えです」
ガチャッ!
美波「オークに捕らわれた騎士のプリンセス! シンデレラ・プリンセス!」ビシッ!
武内P「! 新田さんが、服を!?」
美波「くっ、殺せ!」
武内P「何故!?」
320 = 301 :
美波「私は、アナタ達になんか屈しないわ!」
武内P「今までで、一番変身ヒロインをしています、新田さん!」
アーニャ「スパシーバ! 美波、とてもカッコイイです!」
美波「くうっ! 駄目よ美波、負けちゃ駄目!」
武内P「頑張ってください!」
アーニャ「ファイトです、美波!」
美波「ああっ、だ、駄目ええええっ♡ 美波、いきますっ♡」
武内P「はい、そこに正座してください」
321 = 301 :
誤)>アーニャ「スパシーバ! 美波、とてもカッコイイです!」
正)>アーニャ「ハラショー! 美波、とてもカッコイイです!」
322 = 301 :
武内P「新田さん」
美波「ごめんなさい、プロデューサーさん♡ 私、負けちゃいました♡」
武内P「アナスタシアさん、新田さんのちょっと良い話を」
アーニャ「美波は、私に日本語を教えるため、ロシア語を勉強してます」
美波「あ、アーニャちゃん?」
武内P「成る程。新田さんは、とても優しいですね」
美波「や、やめてください……/// は、恥ずかしいですから///」
武内P「はい、正気に戻られたようですね」
323 = 301 :
武内P「新田さん、服を着た事は、とても素晴らしいと思いました」
美波「本当ですか?」
武内P「しかし、その後が今日一番で最悪でした」
美波「そ、そんな……!?」
武内P「まず、名乗っている時点で捕まっています」
アーニャ「プロデューサー、美波を責めないでください!」
美波「いいえ、もっと責めてください! もっと!」
武内P「何故、服を着たら言動がひどくなるのですか?」
324 :
この世界でミナミィはどんな立ち位置のアイドルなのか非常に気になる
325 = 301 :
武内P「……やはり、お二人には変身ヒロインは難しいかと」
アーニャ「……イズヴィニーチェ、すみません、時間、とらせてしまって」
美波「気にすることないわ。アーニャちゃん、頑張ったもの!」
武内P「新田さん、貴女は気にしてください」
美波「それに、アーニャちゃんは、いつでも私のヒロインよ♪」ニコッ
アーニャ「美波……スパシーバ!」ニコッ
武内P「……良い、笑顔です」
武内P「それでは、ひっぱたこうと思います」
326 = 301 :
・ ・ ・
武内P「……というわけで、昨日は大変でした」
ちひろ「うふふっ、お疲れ様です」
武内P「もう、二度とあの様な事が無いよう、願っています」
ちひろ「あら? 知らないんですか、プロデューサーさん」
武内P「? 何を……でしょうか?」
ちひろ「プロジェクトの子達が、変身ヒロインの話で盛り上がってる、って」
武内P「!?」
327 = 301 :
武内P「待ってください、その話は――」
?「ちょっと、本当に私からなの?」
??「大丈夫! しぶりんならいけるって!」
??「凛ちゃん、ファイトです!」
????「リン、応援、しています」
??「一番乗りは任せるわ!」
武内P「……」
ちひろ「五人組……美少女戦士、ですかね?」
武内P「……あのドアが開いて欲しくないと、本気で思います」
328 :
ちひろさんのキツイようでキツくない少しだけキツイ美少女ヒロインコスプレみたい…見たくない?
329 = 301 :
武内P「……」
ガチャッ!
凛「か、駆け抜ける蒼い風! ぷっ、プリンセス・ブルー!」ビシッ!
武内P「……」
凛「……」
武内P「……」
凛「……は、早く次の人――」
バタンッ!
凛「!?」
凛「なんで!? ねえ、どうしてドアを閉めたの!?」
武内P「……」
凛「……!?」
330 = 328 :
イジメかっ!
331 = 301 :
凛「……な、何!?」
武内P「いえ……別に」
凛「もう! この状況は何なの!?」
武内P「……」
武内P「――お前一人で立ち向かうつもりか、プリンセス・ブルー」
一同(乗った――!?)
凛「アンタまでふざけないで! バカにしてるの!?」
ガチャッ!
一同「台無しじゃねーか!」
凛「! 皆、来てくれたの!?」
一同「今、乗る!?」
武内P「……やはり、皆さんにはアイドルが一番向いています」
おわり
332 = 301 :
>>328
見たいので書きます
333 = 301 :
「えーいっ!」
今日は、事務所の近くに出たから助かったわ。
遠い所に出ると、移動が大変で困っちゃうものね。
「悪い心にさようならっ♪ 綺麗な心に、な~れ~♪」
ステッキを振って、ガシャットモンスターに魔法をかける。
そうする事によって、悪い心に取り憑かれた物は、元の姿に戻る。
今回悪い心に取り憑かれていたのは、古い、ぴにゃこら太のぬいぐるみ。
きっと、元の持ち主に捨てられて、悲しい思いをしていたのだろう。
「アナタも、寂しい思いをしてたのよね」
私は、ぴにゃこら太のぬいぐるみを抱え上げた。
少し古くなっているけど、きらりちゃんだったら綺麗に直せるかも。
事務所に持って帰ってあげよう。
「……」
かかえあげたぴにゃこら太のぬいぐるみを撫でる。
私は普段、アイドル事務所で働く、普通の事務員だ。
名前は、
「……千川さん?」
千川ちひろ。
「……プロデューサーさん?」
25歳、魔法少女も、兼業しています。
334 = 301 :
「あの……」
まさか、こんな路地裏に誰かが来るとは思わなかった。
それも、知っている人が現れるだなんて、なんて偶然。
「その、格好は……」
この人は、私が働く事務所のプロデューサーさんだ。
大柄で、無表情で、とにかく不器用だけど……凄く、真面目な人。
そんなプロデューサーさんの、初めて見る表情。
困惑の上から困惑を塗り固めて、ピクリとも動かなくなるほどメイクしたみたい。
「……」
その理由は、今の私の格好にある。
アイドルの子達の衣装よりもフリフリなスカートは、とっても短い。
ノースリーブで二の腕は見せているのに、胴体はガッチリガード。
髪型だって、普段のおさげじゃなく、フワフワと不思議な感じに纏まっている。
「……申し訳、ありませんでした」
プロデューサーさんは、ペコリとお辞儀をすると、私に背を向けて歩き出した。
心なしか、いや、明らかにその歩調は速い、速すぎる。
「ま、待って! ちょっと待ってください、プロデューサーさん!」
慌ててその後を追う。
声に反応して振り返ったプロデューサーさんは、本当に申し訳なさそうに、
「あの、本当に……はい、私は何も見ませんでしたから……」
私から目を逸らしながら、言った。
335 = 301 :
・ ・ ・
「私、魔法少女なんです」
一日の仕事を終え、事務所で二人きりになったタイミングを見計らい、言った。
今日はこの後誰も此処を訪れる予定は無い。
鍵もバッチリ締めてある、ぬかりは無い。
「そう……ですか」
プロデューサーさんは、私の言葉を正面から受け止め、華麗に流した。
そんな器用な真似、出来るんですね!
「プロデューサーさんも、見たでしょう?」
私の、魔法少女としての姿を。
「いえ……私は何も、見ませんでした」
「っ……!?」
頑なすぎる!
別に、趣味でああいう格好をしてるんじゃないんですからね!?
変身すると、ああいう格好になっちゃうだけなんですから!
「そんなに、私のあの格好はキツかったですか!? 記憶から消したい程!?」
「いっ、いえ! 少しだけ、その、キツいかなとは思いましたが――」
「いやああああああ! キツいって! ひどすぎるううううう!」
「!? ま、待ってください! ギリ! ギリセーフだと、私は思います!」
「ギリって何ですか! ギリってええええええ!?」
「……!?」
こんな辱めを受けるだなんて!
336 :
ちひろさん×魔法少女=田中ぷにえ
という単細胞な計算式が浮かんでしまった
337 = 301 :
・ ・ ・
「私、魔法女なんです」
良いわよ、別に。
私だってね、魔法少女にカテゴリーされるかなー、
と思って魔法少女って言ってただけなんですから。
少女じゃないなんて、とっくにわかってますよ。
「そう……ですか」
プロデューサーさんは、私の言葉を正面から受け止め、頷いた。
それが、少女って言ったことに納得してなかったみたいで、余計に腹が立つ。
「プロデューサーさんも、見たでしょう?」
私の、魔法女としての滑稽な姿を。
「……はい、見ました」
初めから、正直に見たって言えば済んだのに。
気を遣ってくれたのはわかるんですけどね?
明らかに私に優しくしてましたよ、プロデューサーさん。
あんな、危険物を扱うような態度って、無いと思います。
「コスプレとかじゃ、ありませんから」
「……」
「アイドルの衣装を着たいとかじゃ、無いですから」
「……」
バンバン、と机を叩く。
「はっ、はい! 仕方のない事なの、です……よね?」
「はいっ、そうなんです♪」
「……」
プロデューサーさん、右手を首筋にやって困らないでください。
338 = 301 :
「変身すると、あの格好になっちゃうんです」
変身しないと、ガシャットモンスターを綺麗な心に出来ないんです。
編み込みもほどけるけど、変身を解いたら綺麗に元通りです。
「そう……ですか」
「はい」
訪れる、沈黙。
プロデューサーさんは、その沈黙を打ち消すべく、言った。
「それでは……私は帰ります、ね」
そそくさと立ち上がり、カバンを掴むと早足でドアに向かう。
一刻も早くこの場を離れたい気持ちが伝わってくる。
「待ってください! なんか……その態度、なんかなんかですよ!」
「千川さん!? あの、仰っている、意味が……!?」
私は、プロデューサーさんの上着を両手で掴み、その場に引き止めた。
けれど、プロデューサーさんは上着を引っ張って、それに抵抗する。
男の人だけあって凄い力で、私はズルズルと引きずられてしまいそうになる。
だけど、決して、この手を離すわけにはいかない。
「んぐぎぎぎぎ……!」
「千川さん……!? あの、離していただけますか……?」
「待ってくれたら離します!」
「……」
突然、上着が私の胸に飛び込んできた。
飛び込んできたのが上着だけという事は……、
「上着を脱ぎ捨ててまで、逃げることないじゃないですか!」
「帰してください! 私を帰してください、千川さん!」
逃しませんよ、プロデューサーさん!
339 = 301 :
・ ・ ・
「ふーっ……! ふーっ……!」
この部屋の唯一の出入り口であるドアに背中をつけ、死守。
ここから一歩も出さないぞ、と睨みつける。
「……わかりました。もう、逃げませんから」
プロデューサーさんは、観念したようだ。
さすがに力づくで来られたら勝ち目はないけど、
私に怪我をさせないように気を遣ってくれている。
「一度、座って落ち着きましょう」
「……わかりました」
一方私は、大暴れをしたから座りたくてたまらなかった。
だから、プロデューサーさんの提案を受け入れ――
「……っ!」
――た、フリをした途端、この人は懲りずに部屋からの脱出を試みた。
だけど、貴方はそんな器用な演技が出来る人じゃないです。
お見通しなんですよ、そんな魂胆は!
「かーっ!」
私は、再度ドアに背中をつけ、今度こそ此処から離れないと誓った。
「……」
プロデューサーさんは、諦めてトボトボと自分のデスクへ戻っていく。
その背中が、やけに小さく見えた。
340 = 301 :
「……千川さんは、どうすれば納得していただけるのですか?」
椅子に腰掛けながら、プロデューサーさんはため息混じりに言った。
「実際に、私が変身する所を見てもらおうと思います」
目の前で変身すれば、この人もきちんと理解するだろう。
好きで、あの格好をしているわけではない、と。
「……わかりました」
良しっ!
今、わかりました、って言いましたよね!?
やっぱり今の無しって、駄目ですからね!?
「それじゃあ、耳を塞いでください」
「はい? あの……何故、耳を?」
そんなの、決まってるじゃないですか。
「さすがに、変身する時の言葉を聞かれるのは……恥ずかしいですから」
あれを聞かれたら、私は生きていけない。
どうして魔法少女が変身する時は、ああなのだろう。
本気で仕事している時の、菜々さんよりもキツいと思う。
「……わかりました」
私のそんな思いを感じ取ったのか、プロデューサーさんは素直に耳を塞いだ。
一刻も早く帰りたい、という願いが、この人の行動を迅速にさせている。
「それじゃあ……いきますね」
魔法のステッキを取り出し、天にかざした。
341 :
「リリカル♪ マジカル♪ シンデレラ♪」
キラキラと、魔法のステッキから光が溢れ私の体に降り注ぐ。
その光はやがて全身を包み込み、事務員の私を魔法少女に変えていく。
あっ、魔法女でしたね、すみませんね。
「輝く世界の魔法で~♪」
そう言えば、私が変身してる姿を見られるのって初めて。
人から見たら、どんな風に映ってるのかしら。
あとで、プロデューサーさんに聞いてみよう、っと。
「プリンセスにな~れ~♪」
あっ、今、髪型が変わった。
今までそんなに意識してなかったけど、
一回髪がほどけてセットしなおされるまでほとんど一瞬なのね。
こう、しゃらら~ん、ぽんっ、って感じ。
……あ、終わった。
「魔法少女、マジカルチッヒ♪」
これも、今まで言ってた癖で、変身した後は言わないと気持ち悪い。
本当、耳を塞いでるように言って、良かった。
「アナタのハートに、ログインボーナスっ♪」
気合で、変身後の決めポーズを省略。
いつもの、キャルンとしたポーズを見られたら、私は死ぬ。
「……――さあ、どうでした!? 本当に変身したでしょう!?」
どうでしたか!? 見ましたよね!? 私が変身したのを!
「……!」
あらあら、まあまあ。
「……なんで目をつぶってるんですかああああああ!?」
342 :
高垣さんはアルコールを消防車のようにぶっ放つ魔法少女になってそう
343 = 341 :
「プロデューサーさああああああん!?」
耳を塞ぎ、目を瞑るプロデューサーさんの体をガクガクと揺する。
すると、プロデューサーさんはうっすらと警戒しながら目を開けた。
「……終わりましたか?」
「じゃ、ないですよ! なんで目をつぶっちゃったんですか!?」
目をつぶってたら、変身してるかわからないじゃないですか!
見てくださいよ、この格好!
完全に変身し損じゃないですか! 何だ、変身し損って!
「……手に、持たれていたステッキから光が溢れ……」
「眩しかった、とでも!? そんなに強い光じゃなかったでしょう!?」
「その……」
プロデューサーさんが、言いにくそうに口ごもった。
ハッキリ仰ってください!
見るって約束したのに、男らしくありませんよ!
「突然……千川さんが、全裸になったので……」
私は、掴んでいたプロデューサーさんの服から手を離した。
「……」
そして、ツカツカと入り口のドアへ向かう。
「あの……千川さん?」
ドアの前にたどり着いたら、振り返り、ペコリとお辞儀。
「お先に失礼します」
それだけ言って、ドアを壊さんばかりに勢い良く開け、部屋から脱出。
ドアを閉める時間すら惜しんで、
「……見られた――!」
私は逃げ出した。
344 :
かわいい
345 = 341 :
・ ・ ・
「うーっ!」
夜の闇に紛れ、私はビルの谷間を飛び、すり抜けていく。
一刻も早く事務所から離れたい、そんな思いを抱きながら。
誰かに見つかる心配はない。
だって、これでも魔法少女ですから。
「……見られたぁ……!」
路地裏に着地し、一人呟いた。
まさか、変身する瞬間、他の人から見たら裸になっているとは思わなかった。
知らなかったけど……裸の私を見て、って言ってたようなものじゃない!
「明日……どんな顔で出社すれば良いの……」
トボトボと、路地裏をあてもなく歩く。
当然、答えが返ってくる筈もない。
「……」
あの曲がり角を曲がったら、変身を解こう。
変身を解いたら、魔法も解けてしまう。
だから、見つからない所で、元の姿に戻らないと――
「変身~♪」
――と、思い、曲がった先で、光が溢れた。
「……」
ああ……あんな感じで、一回全裸になるんですね。
ポンッ、ポンッって感じに服が変わって……はー、キャルリンッって髪型が。
これは……確かに、突然見せられたらビックリしちゃいますよね、わかります。
「魔法少女――……っ!?」
本当……見なかった事にして帰りたいです……。
おわり
346 = 341 :
寝ます
おやすみなさい
347 :
最後は誰なんだ……武内P?(適当)
おつ
348 :
乙
25歳児か安部菜々さんじゅうななさいかもしれない
349 :
書きます
武内P「結構願望、ですか」
350 = 349 :
未央「うんうん、プロデューサーにもあるのかなー、って」
武内P「あの……結婚願望ではなく、ですか?」
卯月「あるんですか?」
武内P「いえ、今は仕事が恋人という感じですので……」
凛「そう言うと思った」
武内P「……」
みんなの評価 : ○
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