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    元スレ武内P「起きたらひどい事になっていました」

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    601 = 588 :

    http://www.youtube.com/watch?v=ccpHvu2D1lE

    ドモン(なんだ……!? 歌が聞こえてくる……!)

    ドモン(やられすぎて頭がイカれちまったってのか……!?)

    ドモン(……いいや、違う)


    美波「~♪」


    ドモン「……ふっ、こんな時に歌うだなんて、どうかしてるぜ」

    ドモン「応援歌、ってやつか?」

    ドモン「……歌なんかで、何かが変わるわけが無い」


    ミケロ『そろそろ終わりだ! ドモン・カッシュ!』

    ヒュッ――ガシイッ!

    ドモン『……そう思ってたんだが――』

    ミケロ『何っ!? 受け止めただと!?』


    ドモン「不思議と力が沸いてきやがるぜ!」

    602 = 588 :

    ドモン『行くぞおおおっ!』

    ミケロ「な、なんだ!? なんだこのパワーは!?」

    ドモン「肘打ち! 裏拳! 正拳!」

    ドモン『てええりゃああっ!』

    ガガガガガガガガッ!

    ミケロ『ぐおおおおっ!?』

    ミケロ「なんだ……!? 奴に、一体何が起こってやがる!?」


    美波「~♪」


    ミケロ「ちいいっ! その耳障りな歌をやめやがれっ!」

    ミケロ『銀色の脚いっ!』

    ヒュパッ!

    ドモン「させるかッ!」

    ドモン『分身殺法! ゴォォッド・シャドー!』

    ガシィィッ!


    ドモン「……ミケロ。お前は悪魔に魂を売ったと、そう言ったな」

    ドモン「――だがッ!」

    ドモン『今の俺には、勝利の女神がついている!』

    ドモン『悪魔如きに、遅れを取るはずがないッ!』

    603 = 588 :

    美波「……ドモン……!」

    ドモン『確かに届いたぜ、ミナミの歌声が。だから――』

    ドモン「――今度は俺が見せる番だ!」

    ドモン「お前が女神の歌ならば!」

    ドモン『俺は戦神の指いいいっ!』

    http://www.youtube.com/watch?v=BvKWpyGQCK0

    ドモン「俺のこの手が真っ赤に燃えるぅ!」

    ドモン「勝利をつかめと轟き叫ぶっ!」


    ミケロ『くたばれ! ドモン・カァァァッシュ!』


    ドモン『ばぁぁぁく熱ッ!』


    ミケロ『虹色の脚ィィィッ!!』


    ドモン『ゴッドッ! フィンガァァァ――ッ!!』


    ガシィィィンッ!


    ドモン・ミケロ『おおおおおおおおおッ!』

    604 = 588 :

    ミケロ「そうだ! 俺はこれを求めていた!」

    ミケロ「ガンダムファイトは、こうでなくちゃ――」

    ピッ!


    ウォン『困りますね、勝手なことをされては』


    ミケロ「うるせぇ! 邪魔するんじゃねえ!」


    ウォン『いいえ。今すぐに引きなさい』


    ミケロ「……ちいいっ!」

    ミケロ『――とあっ!』

    ヒュッ――

    ミケロ『ドモン・カッシュ! 今日の所は見逃しておいてやる!』

    ドモン『ミケロ! 逃げるつもりか!?』

    ミケロ『はっ! 次に会う時までに、首を洗って待ってやがれ!』

    ドモン『待てッ!』


    ドモン「……ちいっ、逃げられたか」

    605 = 588 :

      ・  ・  ・

    美波「ドモンッ!」

    ドモン「助かったぜ。あの歌がなけりゃ……やられてたかもしれない」

    美波「もう、助けてくれたのはアナタと――」

    シュバルツ「ドモン、彼女には大きな借りが出来たな」

    美波「シュバルツさん、でしょ!」

    ドモン「お説教はよしてくれ、シュバルツ。もうヘトヘトなんだ」
    シュバルツ「ふん、それはお前が未熟な証拠よ」
    ドモン「……勘弁してくれ!」
    美波「ふふふっ!……本当、二人にはなんとお礼を言ったら良いか……」
    シュバルツ「そうだな……それでは、サインを一枚いただこうかな」パチッ
    美波「そんな……それだけだなんて……」

    ドモン「おいおい、サイン? 有名人じゃああるまいし」

    美波・シュバルツ「……」
    シュバルツ「ドモン……お前、まさかまだ……?」

    ドモン「何がだ? しかし、あの歌はすごいもんだったぜ」

    http://www.youtube.com/watch?v=sXvyQotkrRc

    ドモン「何なら、アイドルになったら良いんじゃないか?」

    シュバルツ「……もう良い……もう喋るな、ドモン」
    美波「……ふふっ……あはははっ!」
    ドモン「? おい、どうして笑ってるんだ」

    ドモン「あんな歌だったら、聞けば力が沸いて――」
    シュバルツ「喋るなと言っているだろう、ドモン!」
    ドモン「……?」


    美波「あははははっ!」


    おわり

    606 = 588 :

    真面目な新田さんはこれでクリアーですね!
    寝ます
    おやすみなさい

    607 :

    書きます



    武内P「もうすぐ、次の街ですね」

    608 = 607 :

    「うん、かなりの強行軍だったけど」

    武内P「皆さんに野宿をさせるわけには、いきませんから」

    美嘉「だからって、一日で次の街に行くとはねー★」

    武内P「本来ならば車を出したかったのですが……申し訳ありません」

    「車が、来る間は無かったみたいですね」

    武内P「……」

    武内P「あの……縦一列で歩くと、そういう話だった筈ですが」

    凛・美嘉・楓「?」

    武内P「いえ……何でもありません」

    609 = 607 :

      ・  ・  ・

    みく「ちょっと待つにゃ! ここから先は行かせないよ!」

    武内P「野盗、ですか」

    みく「その通り! 水と食料を置いてくにゃ!」

    美嘉「お金はいいの?」

    みく「? お給料は、自分で稼ぐものでしょ?」

    「まあ、しっかりしてるのね。偉いわ」

    みく「みくも、もう子供じゃないからね! そういう所は――」


    「ふーん! 隙あり!」

    ヒュンッ!


    みく「にゃあっ!? あっぶな!? 今、ガチで斬りかかってきたでしょ!?」

    610 = 607 :

    「外れちゃったけど……どうたったかな」

    武内P「渋谷さんらしい、真っすぐで、良い『こうげき』でした」

    みく「凛チャン!? ちょっとは躊躇いを持って!?」

    美嘉「そうだよ凛。いくら野盗が相手でも――」


    美嘉「カリスマ!★」

    ブンッ!


    みく「ひええっ!? そんな棒で殴られたら死んじゃうにゃ!?」

    美嘉「あ、アタシも外れちゃったけど……ど、どうだった?」

    武内P「城ヶ崎さんらしい、躍動感ある、良い『こうげき』でした」

    みく「褒められるためにみくを攻撃するのやめてくれない!?」

    611 = 607 :

    「それじゃあ、次は私が……」

    みく「待って! 魔法は、魔法は本当にまずいから!」

    武内P「申し訳ありません。順番に行動する、決まりですので」

    みく「みくのターンは!?」

    武内P「最初の台詞で……はい、使われていますね」

    みく「ターンが使われる程喋ってたの!?」


    「めらめら燃えるから、メラ」

    ボッ!


    武内P「熱い!」

    武内P「……あの、高垣さんの職業、実は遊び人ではないでしょうか!?」

    612 = 607 :

      ・  ・  ・

    みく「」


    武内P「激しい、戦いでした」

    「まさか、ネコミミが取れたら死ぬとは思わなかった」

    美嘉「普段慣れてない衣装だと、気をつけないとだよねー★」

    テレレテッテッテー♪

    「あら? 今の音は?」

    武内P「おめでとうございます。高垣さんの、レベルが上がったようですね」


    楓のレベルが 1上がった! とくぎ 『利き酒』を覚えた!


    武内P「何も覚えなかったようですね、先を急ぎましょう」

    「新しい特技……これは、試してみる必要があると思います」

    武内P「何も覚えなかったようですね! 先を急ぎましょう!」

    613 = 607 :

      ・  ・  ・

    武内P「日が暮れる前に、次の街に辿り着けましたね」

    「ねえ、泊まる所はもう決まってるの?」

    武内P「はい。既に予約は取ってあります」

    美嘉「へー、さっすが準備が良いじゃん★」

    「温泉は、ありますか?」

    武内P「あの……普通の街ですので、温泉はありません」


    飛鳥「やあ、君達が勇者一行かい。セカイを救うため、戦いの旅をする者達、か」


    「! 魔王の影響が、こんな所にまで!?」

    武内P「いえ、彼女は普段からああいう感じです」

    614 = 607 :

      ・  ・  ・

    武内P「それでは、私は野宿をしようと思います」

    美嘉「いい加減観念しなって! 野宿じゃHPもMPも回復しないでしょ!」

    武内P「ですが、部屋が一つだけというのは、あまりにも!」

    「ふ、ふーん……わ、私は別に気にしないけど?」

    武内P「渋谷さん。貴女はアイドル、そして、私はプロデューサーです」

    美嘉「おーい、戦士と勇者でしょ」

    「えっと……とりあえず先頭が私で、凛ちゃん、美嘉ちゃんの……」

    武内P「!? 何をしているんですか、高垣さん!?」


    楓・凛・美嘉・武内P「……」

    スタスタスタスタ…


    武内P「勝手に『並び替え』をしないでください!」

    武内P「うおおっ!? 足が! 足が勝手に!」

    615 = 607 :

    楓・凛・美嘉・武内P「……」

    スタスタスタスタ…


    武内P「……ベッドが一つしか無い!?」

    美嘉「ヤバ……ど、どうしよっか///」

    「これは……『ゆうべはおたのしみでしたね』って事なのかな///」

    武内P「いけません! 落ち着いてください!」


    楓・凛・美嘉・武内P「……」

    スタスタスタスタ…


    武内P「無言でベッドに向かわないでください高垣さーん!」

    「その話、お受け出来ません」

    武内P「……!?」

    616 = 607 :

    「はい、一番乗りでーす♪」

    ぼふっ!

    「ふーん、ま、まあ戦士の私は、怖くなんて無いけど///」

    ぼふっ!

    美嘉「アタシ……僧侶じゃいられなくなくなっちゃう……///」

    ぼふっ!


    武内P「! ベッドの下に――!」

    ズザァァァッ!


    楓・凛・美嘉「潜り込んだ!?」


    武内P「チャーラーラーリーラッチャッラーン♪」

    楓・凛・美嘉「……zzz」コテンッ

    武内P「……危ない……所でした」

    617 = 607 :

      ・  ・  ・

    宿屋「おはようございます」

    宿屋「『ゆうべはおたのし』――って、ええっ!?」


    武内P「……」ゲッソリ


    宿屋「お楽しみすぎじゃあありませんか!?」

    武内P「いえ、ベッドの下で寝たら何も回復しなかっただけです」

    宿屋「ベッドの下!? それに、あの……」


    楓・凛・美嘉「……」ションボリ


    武内P「朝からお説教をしただけです。MPが減っているのは、はい、そのせいかと」

    宿屋「そ、そうですか……」

    618 = 607 :

      ・  ・  ・

    武内P「昨日の移動の疲れもあり、準備もあります」

    武内P「なので、二日間はこの街に滞在しようと思います」

    「そんなにゆっくりして良いの?」

    武内P「焦って行動して、皆さんに何かあっては困りますから」

    美嘉「あっ、じゃあさ……で、デートでもする?」

    武内P「いえ、私は昨日処理出来なかった書類を片付けようと思います」

    凛・美嘉「……」

    「けれど……準備と言っても、装備を選ぶのは一人では……」

    武内P「そうですね……その時は仰って頂ければ、お付き合い致します」

    凛・美嘉・楓「……!」グッ!

    武内P「?」

    619 = 607 :

      ・  ・  ・

    「悪いね、付き合ってもらっちゃって」

    武内P「いえ、装備を新調するのは、大事な事ですから」

    「……あのさ、ちょっと聞きたかったんだけど」

    武内P「? はい、何でしょうか」

    「私って戦士、でしょ? てっきり、ビキニアーマーかと思ってた」

    武内P「そう、ですね。その案もあったのですが……」

    「ふ、ふーん、そうだったんだ」

    武内P「……渋谷さんでは、その、はい……あの、すみません」

    「? 何、ハッキリ言って」

    武内P「……あの、そこまでサービスにならないと、会議で……はい」

    「!?」

    620 = 607 :

    「待って、納得いかない」

    武内P「し、渋谷さんには、渋谷さんの魅力があります!」

    「そんな事聞いてない。私、ビキニアーマー着るから」

    武内P「! 待ってください! それは、あまりに危険すぎます!」

    「私がビキニアーマー着たら駄目って言うの!?」

    武内P「そ、そうではなく! 『ぼうぎょ』的な問題が!」


    防具屋「『ここで装備していくかい?』」


    「はい!」

    武内P「まだ買っていませんから!」

    621 = 607 :

       ・  ・  ・

    美嘉「アハハ、なんだか大変だったらしいじゃん★」

    武内P「はい。なんとか説得して、ビキニアーマーはやめていただきました」

    美嘉「アタシだったら、似合うと思わない?」

    武内P「そう……ですね。城ヶ崎さんなら、似合うと思います」

    美嘉「そ、そう? てっ、転職とか、してみようかなー」

    武内P「いえ、城ヶ崎さんは僧侶から転職出来ません」

    美嘉「へっ? なんで?」

    武内P「……申し訳、ありません」

    美嘉「いや、理由を聞いてるんだケド」

    武内P「……申し訳、ありません」

    美嘉「っていうか、何で謝ってるの!?」

    622 = 607 :

    美嘉「……まあ良いや、とりあえず薬草買って戻ろ」

    武内P「はい、薬草はとても重要ですから」

    美嘉「MPにも限りがあるからねー」

    武内P「他に、何か必要なものはありませんか?」

    美嘉「うーん……メイク道具も欲しいけど……」

    武内P「? どうか、されましたか?」

    美嘉「今は旅の最中だしね★ ナチュラルメイクで節約っしょ★」

    武内P「城ヶ崎さん……」

    テレレテッテッテー♪

    美嘉「へ? 何で今レベルアップしたの?」


    美嘉の計画性が 1上がった! 女子力が 3下がった!


    美嘉「待って!? 下がりすぎじゃない!?」

    623 = 607 :

      ・  ・  ・

    「うふふっ、昼間は大変だったみたいですね」

    武内P「そう、ですね……ですが、必要な事だったと思います」

    「疲れは、酒場で飲んで忘れちゃいましょう」

    武内P「しかし、アイドルとプロデューサーが……」

    「あら、今は勇者と魔法使いだから、問題は無いと思います」

    武内P「……たか」


    みりあ「ねぇねぇ、そこのプロデュー……じゃなくて」


    武内P・楓「?」

    みりあ「ゆう……でもなくて、お兄さん!」

    武内P「? はい、何でしょうか」


    みりあ「ぱふぱふしていかない?」


    武内P・楓「!?」

    624 = 607 :

    武内P「あの、赤城さん? 何を仰って……」

    「見損ないました」

    ぽこぽこっ!

    武内P「痛っ、あ痛っ、あの、まだ何もしていませんから!」

    「まだ?」

    ぽこぽこっ!

    武内P「何もしませんから!」

    みりあ「えへへ、仲間のみ……僧侶さんは、とーっても喜んでくれたよ!」

    みりあ「ぱふぱふしながらナデナデしたら、泣いて喜んでた! えへへ!」

    武内P「アニメのあのシーンはそういうのではありませんから!」

    「……貴方も、ぱふぱふに興味がおありなんですか?」

    武内P「……」


    勇者は逃げ出した!

    625 = 607 :

      ・  ・  ・

    「それで? ぱふぱふに興味はあるの?」

    武内P「ありません。というかそうですよね、同じ宿ですものね」

    美嘉「アタシは、その……アンタにされるのもアリかなー★」

    武内P「しません。しませんから、皆さんチラチラ見ないでください」

    「私、ショックでした。まさか逃げるなんて」

    武内P「……申し訳ありません。ですが、あの場合は……」


    「ずばり、毒針」

    ふっ!


    武内P「あ、チクッと……って、何をするんですか!?」

    「また逃げられたら、今度はショックで死んでしまうかもしれないので……」

    武内P「その逃がさない方法は、私が死ぬやつじゃないですか!」

    626 = 607 :

    「HPが赤くなれば、動きも鈍るかと思うんです」

    武内P「毒針は、確率で即死しますから!」


    「ふーん! 隙あり!」

    ヒュンッ!


    武内P「危ない!? 渋谷さん、乗せられないでください!」


    美嘉「いザキにしてみると、アンタってザ・キ持ちが分からない奴だよねー★」

    ポワンッ! ポワンッ!


    武内P「あの、城ヶ崎さん? それも死にますからね、城ヶ崎さん!?」

    武内P「……わかりました。この中で、一人だけ望みを叶えようと思います」

    凛・美嘉・楓「!」

    武内P「誰が望みを叶えるかは、皆さんで決めてください」

    凛・美嘉・楓「……」

    627 = 607 :

      ・  ・  ・

    神父「凛さんを生き返らすには……150ゴールド」

    武内P「なるほど」

    神父「美嘉さんを生き返らすには……150ゴールド」

    武内P「お二人とも、同じ金額なのですね」

    神父「楓さんを生き返らすには……3000ゴールド」

    武内P「高い!」

    神父「じゃあタダで良いよ」

    武内P「!? 宜しいのですか?」

    神父「初回サービス。全員、タダで生き返らせるよ」

    武内P「それはとてもお得だと、そう思います」


    武内P「誰も生き返らせません」



    おわり

    628 :

    比較的まともだったのに巻き込まれた美嘉ェ……
    おつ

    629 = 607 :

    今西部長Pコミュ2書きます

    630 = 607 :


    「どうだね、高垣くん。ボイスレッスンの調子の方は」


     と、聞いてはみたものの、こりゃあただの世間話のきっかけにすぎない。
     彼女の歌声を聞いたのならば、そっちの方が順調というのはわかる。
     話をするには、まずは順序ってものが大事なのさ。


    「はい……トレーナーの方も、褒めてくださいます」


     うんうん、そうだろうとも。
     さあて、ここからが問題だ。
     何せ、私が今から手を入れようとしているのは……人間関係に関してなのだから。
     彼女と――……あの、不器用な男との、ね。


    「ふむ……あの男は、何か言っていたかい?」


     あの男、で通じる程度の期間は高垣くんと向き合ってきたつもりだ。
     現に、今の私の言葉を聞いて、目の前の美しい女性が顔を曇らせている。
     こりゃあいかん、いかんよキミ。


    「ええと……特に、何も」
    「何もかい? 一言も?」


     驚いた。
     あの男は、本当に自分が無口な車輪にでもなったつもりなのだろうか。
     車輪でも回ればゴトゴトと音を鳴らすというのに、何も……とは。


    「……はい」


     高垣くんは、モデルの世界からアイドルの世界に飛び込んできた人間だ。
     不慣れなことに戸惑うだろうし、そのために彼を付き添わせたりもしたのだが。
     ……どうやら、あの男は、言葉を発するのを恐れているらしい。
     自分の言葉が、輝かしい未来が待っている彼女へ悪い影響を与えてしまうのではないか、と。


    「ふうむ、そうか……」


     だがね、彼は思い違いをしている。
     言葉によって起こるすれ違いや、衝突もあるだろう。
     それを恐れて何も喋らず、無言で居続ける……それは、大きな間違いだ。
     無言も、‘言’という文字が入っているだろう?
     無言も、一種の言葉として相手は受け取る場合もあるのだよ。

    631 = 607 :


    「率直に聞くが、キミは彼が苦手かい?」


     高垣くんが話しやすいように、少しおどけた調子で。
     悪巧みをここだけの話で、というように、ニヤリと笑いかけてやる。
     内緒話というのは、人の口を時に硬く、そして軽くもするのだよ。


    「あの……私、思い出したんです」


     黙って、続く彼女の言葉を待つ。
     こういうのは、焦っちゃあいけない。
     柔和な笑みを浮かべて、相手が飛び込んでくるのを待つ。
     飛び込んできた所をガブリ、だ。


    「実は……人見知りだった、って」


     カツンッ、と私の張った意地悪な罠がマヌケな音を立てて不発に終わった。
     だが、それを表情に出すわけにもいかない。
     それにしても、高垣くんが人見知り?
     そりゃあ、一体何の冗談だい、ええ?


    「今更ですよね……でも、何故か、今まであまり気にならなくて」


     続けて、と先を促す。
     しかし、ふむ……そうか、人見知りが気にならなかった、ねぇ。
     彼女にとっては一大告白なのかもしれないが、私の思考は別の所にあった。


    「でも、こうして意識した途端に……」


     高垣くんは、彼に付き添われてレッスンを受ける事が多い。
     それで人見知りを感じる事が無かったというのは、果たしてどういう意味だろう。
     案外、あの男が無口を貫いていたのは、正解の一つだったのかも知れないね。
     その証拠に、不安を抱えもしたが、ボイスレッスンでは着実な成果を上げている。
     ……と、言うことは、だ。


    「もっと相談したいんですけれど、うまく……言葉が……」


     ここからは、私の出番という訳だね。

    632 = 607 :


    「キミの様な美しい女性に意識されるとは、私もまだまだ捨てたもんじゃないねぇ!」


     はっはっは、と笑いながら言う。
     今はこの話は終わり、というサインだ。
     高垣くんもそれを察してか、うふふと上品に笑っている。


    「――さて、この後の予定はわかっているかな?」


     笑いを上着のポケットにしまい込み、仕事の顔に。
     人間関係の事も大事だが、彼女のスキルアップも必要不可欠だ。
     彼女も、はい、と頷いた。


    「ダンスレッスン、ですね」


     ビジュアル面も、歌の面も文句のつけようが無い。
     だが、彼女が目指しているのはモデルでも、歌手でもない。
     高垣楓が目指しているのは、アイドルなのだ。
     何故、その道を選んだのかはわからないが……。
     彼女の言葉を信じるに、なんとなく、の割にはやる気に満ち溢れているね、良い事だ。


    「ポーズを決めるセンスは、多少あると思います」
    「そうだね、元モデルだから、そこは心配していない」


     問題は、その先。


    「でも……踊ったことはありません」


     彼女の年齢で、踊ったことが無い人間がアイドルとして大成した事があっただろうか。
     動きや筋力などは、若い内、十代の内に培われた物が大きく作用する。
     経験のない彼女が、果たしてどこまでやれるのだろう。


    「……」


     高垣くんも、それを不安に思っているのだろう。


    「まあまあ、まずは踊ってみてから考えようじゃあないか」


     そんな不安を取り除いてやるのも、今の私の役目だ。
     さあて、ちょいとばかり頑張ろうかね。

    633 = 607 :

      ・  ・  ・

    「……とりあえず、軽く音楽に乗ってみますね」


     ダンスレッスンをするホールには、私と、高垣くんと、


    「はい。お願いします」


     必要な事以外は喋ろうとしない、この男だけ。
     本当ならば初日からトレーナーを付ける予定だったのだが、断った。
     踊ったことが無い人間に、いきなりトレーニングをさせるのは酷というもの。
     急がば回れ、と言うだろう?
     クルリクルリと回ろうじゃないか、なあ、キミ達!


    「はぁっ……! はぁっ……!」


     真剣な顔で取り組む高垣くん。
     そのステップはとても拙く、見ていてこちらが不安になる。
     まるで、今にも折れてしまいそうな細い脚を懸命に動かしている。


    「――はい、ストップ!」


     パンと手を叩き、彼女の動きを止める。
     流れ続ける音楽の中、高垣くんは不安そうな顔でこちらを見ている。
     問題点を自分でもわかっている‘つもり’なのだろう。


    「踊ってみた感想は?」
    「足が……フラフラします」
    「うんうん」
    「こうなってしまうのは、何が原因でしょう?」


     真剣な顔で質問してくる彼女に、思わず笑みを返しそうになる。
     だが、私が今からしようとしているのに、それは、まだ早い。
     せっかくの機会だ、より良いタイミングで、最高のものを。


    「――キミは、どう思う?」
    「わ、私……ですか?」

     隣に立っている男の顔を見上げ、問うた。
     話を振られると思っていなかったのか、驚いたようだ。
     右手を首筋にやって困っている場合ではないよ、キミ。
     キミにはアイドルのために、人働きしてもらわにゃいかんのだからね。

    634 :


    「ああ、まずはキミの意見を聞こうじゃないか」


     まずは、と付ける事で彼の本音を引き出しやすくする。
     次に私が発言するとなれば、言いにくい事も、言い易くなるだろう。
     大丈夫、フォローは私に任せ給えよ。
     ……なんて、そんな視線を彼に向けると、


    「筋力不足かと、そう、思います」


     迷いなく、キッパリとそう言った。
     高垣くんを真っすぐ見た彼の顔は、プロデューサーの顔をしている。
     そうそう、それだよ。
     私はキミのそんな顔が見たくて、必死に引き止めたんだ。


    「筋力不足……ですか」


     それに対し、高垣くんも彼と視線を合わせた。


    「確かにそうかも知れません。私、脚が細いので大きな動きに耐えきれなくて……」
    「ですが、それも高垣さんの魅力の一つだと、私は思います」
    「そう、でしょうか? 何せ、ダンスの経験が無くて……」
    「はい。なので、トレーニングの内容やステップの練習等は、よく考える必要があるかと」
    「経験があるのは……精々踊り食いくらい、なんて」
    「……高垣さん?」


     おっと、真面目な彼では、不思議な彼女の手綱はまだまだ握れないらしい。
     まだまだと言っても、今後も手綱を引けるようになるかはわからないが、ね。


    「筋力不足、か。うん、確かにそれもある」


     脱線しそうな彼らの話を無理矢理本線に引き戻す。
     私の言葉を聞いて、二人はハッとなってこちらを見た。
     その顔は、真剣そのもの。
     うんうん、実に素晴らしい、やる気に満ち溢れている。


    「よし、それじゃあ筋力がありそうなキミ、踊ってみたまえ」


     だがね、それだけじゃあ駄目だ。
     私は、男の肩にポンと手を置き、言った。

    635 = 634 :


    「わ、私がですか……!?」


     そんな事を言われるとは思ってもみなかったのだろう。
     この男がこんなにも面白く、慌てふためく様を初めてみたよ。


    「キミはダンスの経験はあるかい?」
    「あ、ありません」
    「ならば、丁度良いじゃあないかね」
    「何がですか!?」
    「筋力のある、ダンスの素人が踊ったらどうなるのか、見せてもらおうじゃないか」
    「……!?」


     優秀なこの男の事だ。
     私が冗談や酔狂でなく、本気で踊ってみろと言っているのがわかるだろう。
     だからこんなにも驚き、抵抗している。
     はっは、愉快愉快!


    「まあ……それは、私も少し興味があります」
    「だろう?」


     クスクスと笑いながら、高垣くんが言った。
     それに合わせて、私も少年の様にニヒヒと笑いながら相槌をうつ。
     大きな子供達を前に、大きな男はただただ困るばかり。


    「いえ、しかし……私は……!」


     全く、キミも頑固で融通がきかないな。
     仕方がない……あまり話し込んでいては、レッスンの時間が無駄になってしまう。
     特別に、私の手の平の上で、


    「私も一緒に踊ってやろうじゃないか、ほら!」
    「ぶ、部長!?」


     強引に男の手を取り、簡単なステップを踏む。
     どうせ手を取って踊るなら、キミみたいな大男じゃあなく美しい女性が良かったよ。
     ん? 美しい女性が、この場に一人居るじゃあないかって?


    「~♪」


     残念だが、彼女は今、笑顔で我々のダンスに歌を乗せている真っ最中なのさ。

    636 = 634 :

      ・  ・  ・

    「どうだい? ダンスレッスンは?」


     ダンスレッスンの終わり際、フラフラな様子の高垣くんに聞いた。


    「――ええ、とても……楽しかったです」


     そう言った彼女の笑顔は、とても輝いていた。
     それはアイドルに相応しい、唯一無二の表情。
     真剣な顔も良いが……やはり、こうでなくてはいけない。
     その一方で、


    「キミは楽しかったかい?」


     レッスンホールの壁にもたれかかって座る男が、息を切らしていた。
     上着はとうに脱ぎ捨てられ、ネクタイもとうに無い。
     シャツのボタンは二つ程外されているし、袖も思い切りまくっているね。


    「そう……です、ね……はい」


     途中からパートナーを交代し、私は彼と彼女が踊るのを見ていた。
     そりゃあそうだろう。
     何が悲しくて、男なんかと踊り続けなければならないんだね。
     キミも本望だろう? とびきりの美人と踊る機会なんて、早々無いよ。
     しかしアレだね……彼女はまだ立って歩けるというのに、


    「体力不足かと、そう、思うよ」


     私の言葉を聞いて、男はがっくりとうなだれた。
     それを見て、鈴の音を転がすような笑い声が響いた。


    「――よし! 飲みに行こうか!」


     キミ達も、今日の仕事はもう終わりだろう。
     汗をかいた後のビールは、染み渡るように美味いからねぇ!
     きっと、今日の酒はとびきり美味いに違いない!


     弾むような声と、諦めたような声。
     二つの声が、同じ言葉で、重なって私に届いた。
     パート分けとは、洒落たことをしてくれるじゃあないか。


    おわり

    637 = 634 :

    三ヶ月ほぼ毎日書くとは、俺が思っていた以上に俺はデレマスが好きなようです
    手と集中力はかなり取り戻せましたが、お察しの通りネタが尽き気味です
    ので、いつ終わるかわかりません
    おやすみなさい

    638 :

    毎日おつ 楽しく読ませてもらってます
    P含めみんな自由で頭Paになってるのと、まじめな話のギャップが好き 特に楓さん
    ネタとしては、頭Paのメンバーがステージ上がるとに急にまじめになって終わったら元に戻るとか面白そう

    639 :

    毎日乙

    640 = 634 :

    こうなったらもうどこまで行けるか試してみたくなりますね!

    >>638
    書きます


    武内P「皆さん、あと五分でLIVEが始まります」

    641 = 634 :

    CPアイドル達「はいっ!」

    武内P「良い、返事です」

    CPアイドル達「えへへ」

    武内P「しかし、早急に解決しなければならない問題があります」

    CPアイドル達「?」

    武内P「時間が無いので、手短に行こうと思います」

    642 = 634 :

    武内P「まず、本田さん」

    未央「?」

    武内P「欲しいものリストは置いていきましょう」

    未央「でも、これがないと何を買うか迷っちゃうから……」

    武内P「本田さんが今から行うのは、ショッピングではなく、LIVEです」

    未央「……はい」ムスッ

    スッ…

    武内P「リストと一緒に笑顔も置いていかないよう、気をつけてください」

    643 = 634 :

    武内P「島村さん」

    卯月「頑張ります」

    武内P「はい、頑張ってください」

    卯月「頑張ります。私、一生懸命頑張ります。精一杯頑張ります」

    卯月「頑張って頑張って、頑張った先に何があるんだろう? でも、頑張らないと」

    武内P「島村さーん!」

    卯月「はいっ♪ 島村卯月、頑張りますっ♪」

    武内P「良い、笑顔です」

    644 = 634 :

    武内P「渋谷さん」

    「?」

    武内P「私から、手を離してください」

    「ちゃんと見ててよね」

    武内P「後ろに回られているので、見えません」

    「……ふーん!」ムスッ

    スッ…

    武内P「はい、ムスッとしない。笑顔で、お願いします」

    645 = 634 :

    武内P「新田さん」

    美波「はい、何ですか?」

    武内P「衣装を着てください」

    美波「でも、この方がファンの人が喜ぶかな、って」

    武内P「もう一度だけ言います」

    武内P「衣装を着てください」

    美波「……」ムー

    ごそごそ…

    武内P「ちゃんと着てくださいね」

    646 = 634 :

    武内P「アナスタシアさん」

    アーニャ「?」

    武内P「私から、手を離してください」

    アーニャ「セクハラショー!」

    武内P「色々言葉を混ぜないでください」

    アーニャ「……イズヴィニーチェ、すみません」シュン

    スッ…

    武内P「はい、偉いですよ」

    「ふーん!」

    武内P「はい、渋谷さんも偉かったですよー」

    647 = 634 :

    武内P「神崎さん」

    蘭子「宴を前に、我が魔力は存分に高まっている!」ガクブル

    武内P「はい、とても頼もしいです」

    蘭子「我が友よ! 魂の饗宴、しかと見届けよ!」ガクブル

    武内P「はい、必ず。頑張ってください」

    蘭子「……私、頑張ります!」

    武内P「貴女の、開放された真の姿を存分に見せてください」

    CPアイドル達「……やさしい」ヒソヒソ

    武内P「ヒソヒソ話はやめましょうね、皆さん」

    648 = 634 :

    武内P「緒方さん」

    智絵里「失敗したら、きっと見捨てられちゃう……」ボソボソ

    武内P「緒方さん」

    智絵里「きっと、私一人だけ見捨てられちゃう……」ボソボソ

    武内P「絶対に、見捨てません」

    智絵里「……智絵里、行きます!」

    武内P「帰りをお待ちしています」

    CPアイドル達「……贔屓……ツインテ優遇?」ヒソヒソ

    武内P「違います。はいそこ、勝手に髪型を変えないでください」

    649 = 634 :

    武内P「三村さん」

    かな子「マシュマロ美味しい~♪」

    武内P「そのマシュマロをこちらに渡せば――」

    かな子「?」

    武内P「LIVE後、スイーツパラダイスに連れていきます」

    かな子「……預けて置きます」

    武内P「良い、判断です」

    CPアイドル達「……」スッ

    武内P「……わかりました。全員で行きましょう」

    650 = 634 :

    武内P「双葉さん」

    「……」

    武内P「双葉、杏さん」

    「……」

    武内P「緒方さん、三村さん」

    智絵里・かな子「はいっ」

    武内P「どんな手を使っても、起こしておいてください」


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