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    元スレ武内P「起きたらひどい事になっていました」

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    151 = 134 :

    武内P「人妻が、溢れた……?」

    アーニャ「ダー。今の美波は、アー、貞淑な人妻、です」

    美波「優しい夫。だけど、刺激が無く、物足りない日常……」

    武内P「待ってください! 不穏なモノローグを語りだしています!」

    アーニャ「ダー。所詮は、人妻です」

    美波「今は、とても幸せ。そう、そのはずなのに……」

    武内P「新田さん! 戻ってきてください、新田さーん!」

    152 = 134 :

    アーニャ「このままでは、美波が!」

    美波「私は、何を求めているのかしら?」

    武内P「これは……一体、どうすれば!?」

    アーニャ「このままでは……寝取られ? て、しまいます!」

    武内P「アナスタシアさん、そんな言葉をどこで!?」

    美波「わからない……誰でも良い……教えてちょうだい」

    アーニャ「美波に教わりました♪」

    武内P「新田さーん!?」

    153 = 134 :

    ガチャッ

    今西部長「――おお、ここに居たのかい」

    武内P「! 部長! 新田さんの様子が、おかしいのです!」

    部長「何?」

    美波「お義父さん……あっ、駄目です……!」

    アーニャ「ニェート! 部長は、お義父さんではない、です!」

    部長「ふむ……何が、駄目だと言うのかね?」

    武内P「部長も乗らないでください!」

    154 = 134 :

    美波「駄目……いけません、こんなの……!」

    部長「だから、何が、駄目だと言うのかね?」

    美波「駄目よ美波……! 夫を裏切れないわ……!」

    アーニャ「プロデューサー! 夫として、美波を止めてください!」

    武内P「何故、私が!?」

    アーニャ「はやくしないと、取り返しがつかなくなります!」

    美波「夫もアーニャちゃんも見てます……! いけません……!」

    武内P「どんなシチュエーションですか、一体!?」

    155 = 134 :

    美波「でも、もう……駄目ぇ……!」

    武内P「! 待ってください!」

    美波「!? あ、アナタ……これは、違うの!」

    武内P「新田さんは、私の大切な担当アイドルです」

    美波「アナタ……いえ、プロデューサーさん……」

    部長「ほう……ならば、目を離すべきではなかったねぇ」ニヤリ

    武内P「部長、少し黙っていてください」

    156 = 134 :

    武内P「申し訳ありません、新田さん」

    美波「……いえ、そんな」

    武内P「貴女の人妻が溢れるのを止めることが出来ませんでした」

    部長「何を言っとるんだねキミは」

    武内P「……私も、何を言っているかわかりません」

    美波「でも……おかげで、人妻が溢れるのを抑えられました」

    アーニャ「ハラショー! プロデューサー、すごいです!」

    武内P「はぁ……そう、でしょうか」

    157 = 134 :

    武内P「しかし……これは、困りましたね」

    美波「はい……私も、困ってたんです」

    アーニャ「いつもは、私が、アー、当て身をして止めていました」

    武内P「気絶させて止めていたのですか!?」

    アーニャ「ダー。そうでないと、止められなかった、です」

    武内P「……!?」

    部長「ふむ……これは、キミのお手並みを拝見するとしようか」

    武内P「待ってください! これは、かなりの大問題では!?」

    158 = 134 :

    武内P「なんとか、人妻を溢れるのを止めなくては……!」

    美波「頼りにしてます……アナタ♡」

    武内P「もう早速溢れているじゃないですか!」

    アーニャ「美波、とっても幸せそう! 美波、可愛い、です!」

    美波「ふふっ、アーニャちゃんも祝福してくれてますね♪」

    武内P「助けてください、部長!」

    部長「すまない、ちょっと煙草吸ってきても良いかい?」

    武内P「はい!? よりによって、今ですか!?」

    159 = 134 :

    部長「ちょっと吸ってくる間に、何とかしておきなさい」

    武内P「待ってください! それは、あまりにも!」

    部長「キミに、一つだけ忠告しておこう」

    武内P「っ……忠告、ですか?」

    部長「……」

    ガチャ…バタンッ

    武内P「――何も言わないのですか、部長!」

    美波「ふふっ……二人っきり、ですね♡」

    武内P「違いますから! アナスタシアさんがいらっしゃいます!」

    160 :

    三船さんも呼んでこよう

    161 = 134 :

    武内P「アナスタシアさん! 新田さんを止めてください!」

    アーニャ「ニェート。それは、出来ません」

    武内P「!? 何故、ですか!?」

    アーニャ「アーニャと呼んでくれないと、駄目、です」

    武内P「……!?」

    アーニャ「夫婦だから、アー、愛称も無しはいけませんよ♡」

    武内P「溢れた人妻の影響を受けてるじゃないですか!?」

    162 = 134 :

    美波「ねぇアナタ……♡」

    アーニャ「マーマでも良い、です……パーパ♡」

    武内P「……!?」

    武内P「お二人とも、いけません!」

    武内P「私達は、プロデューサーとアイドルです!」

    武内P「それに、まだお昼ですよ!」

    武内P「嬉しいですけど……夜まで我慢なさってください♡」

    武内P「……」

    武内P「――私にも人妻の影響が!?」

    163 = 134 :

    武内P「いけない……! 気をしっかりもたなくては……!」

    武内P「私はプロデューサーだ……! 決して、人妻ではない!」

    武内P「人妻には、決して負けない!」

    美波「もう……意地悪言わないでください♡」

    アーニャ「ロシアでは……普通、です♡」

    武内P「ダーメ! ゴハンとお風呂を済ませてから、ね♡」

    武内P「……」

    武内P「んあああああ!?」

    164 = 134 :

    武内P(どうすれば……どうすれば、人妻から逃れられる!?)

    武内P(助けを……いや、駄目だ。人妻が増えるだけだ)

    武内P「……」

    武内P「!」

    武内P「――そう言えば、お二人ともそろそろお子さんは?」

    美波・アーニャ「えっ?」

    武内P「……」

    武内P(私だけ、人妻で無いから夫にされてしまうのだ……)

    武内P(ならば……私も人妻になってしまえば良い!)

    165 = 134 :

    美波「子供……ですか」

    アーニャ「それは……アー」

    武内P「子供って、良いですよね」

    美波・アーニャ「……」

    武内P「お二人の子供だから、やっぱりアイドルになったり」

    美波・アーニャ「……」

    武内P「あっ、もうこんな時間。それじゃあ、私はこれで……」

    ガチャッ…バタン

    武内P「……」

    武内P「……なんとか、脱出する事が出来た……!」

    166 = 134 :

    武内P「部屋の外までは、人妻の影響は無いようですね……」

    武内P「新田さんと、アナスタシアさんには申し訳ないですが……」

    武内P「……落ち着くまで、中に居て貰うしかありません」

    ドンッ!

    武内P「!? いけません、今、外に出ては!」


    美波『開けてください! どうして、閉じ込めるんですか!?』

    アーニャ『ひどい、です! これは、アー、家庭内暴力、です!』

    ドンドンッ!


    武内P「違います! これは、そういうのではないですから!」

    167 = 134 :

    美波『閉じ込めておきたいほど、愛してるって事ですか!?』

    アーニャ『ハラショー! そこまで、私を愛して!?』

    ドンドンッ!


    武内P「なんてパワーだ!? ドアが悲鳴を上げている……!?」

    武内P「落ち着いてください! お二人とも、落ち着いてください!」


    美波『「さよならだね」って、さ~い~ご~のこ~とば♪』

    アーニャ『耳に、残る、から、い~たいよ今も♪』

    美波・アーニャ『愛し~ているから♪』

    ドンドンドンドンドンドンドンドンッ!


    武内P「うおおおおおおっ!?」

    武内P「何故『Memories』を歌うとパワーが急激に上がるんですか!?」

    168 = 134 :

    武内P「これが……パワーオブスマイル……!?」


    未央「ねえ……何、やってるの?」

    卯月「中に……誰か、閉じ込めてるんですか?」

    「ねえ、どういうこと? 説明して」


    武内P「! 皆さん、これには、事情が……!」


    美波『!? 今、女の人の声がしたわ!』

    アーニャ『ニェ――ット! どういう事、です!?』


    武内P「それはしますよ! アイドル事務所ですから!」

    169 = 134 :

    蘭子「我が友よ! この狂乱の宴は、一体何事ぞ!?」

    智絵里「閉じ込めるのは……可哀想、です」

    かな子「クレープ美味しい~♪」

    「良いなー、杏も引きこもって楽したいよー」


    武内P「これには、事情が!」


    美波『事情って何ですか!? ひどい……ひどすぎるわ!』

    アーニャ『泣かないでください、美波。償いは、きっちりとさせましょう』


    みく「うっわ……Pチャン、最低にゃ」

    李衣菜「見損ないましたよ、プロデューサー」


    武内P「待ってください! 本当に、事情があるのです!」

    170 = 134 :

    莉嘉「とにかく、二人を出してあげようよ!」

    みりあ「うんうん! さんせー!」


    武内P「待ってください! そんな事をしては!」


    きらり「閉じ込めたりしないで、皆でハピハピするにぃ☆」

    ガチャッ!


    武内P「……ああ、なんてことだ」


    CPアイドル達「……さあ、説明してください」

    CPアイドル達「ねっ、アナタ♡」



    武内P「人妻が溢れてしまった」



    おわり

    171 :

    人妻と夜の生活編はよ

    172 = 134 :

    では、夜をドタバタ書きます

    173 = 134 :


    「……」


     夜、寝苦しくて目が覚めた。
     季節は夏――シンデレラプロジェクトの、恒例の合宿中だ。
     普段と枕が違うと眠れない、という細やかな神経では無いつもりだったのだが、
    蒸すような気温と、寝相で乱れたシーツのシワが気になる。


    「……」


     聞こえるのは、虫の鳴き声。
     田舎の虫は大きく、数も多いためその鳴き声は都会の比ではない。
     だが、今はその鳴き声も夜のBGMとしては相応しい。


    「……」


     モゾモゾと体を動かし、少しだけ体勢を変える。
     それだけで、また安らかな眠りの世界に戻れる。
     そう、思ったのだが、


    「グッスリ寝てる」
    「プロデューサーさんの寝顔、可愛いです♪」
    「ふーん。まあ、悪くないかな」


     私の部屋に、侵入者が居た。


    「!?」


     今の声は、ニュージェネレーションズの三人。
     何故、私の部屋に居るのですか、という疑問は一先ず置いておこう。
     今は、一刻も早く体を起こし、彼女達に注意をしなければいけない。
     よし、体を起こ――


    「……!?……!?」


     ――まさか、ここで、金縛り……!?

    174 = 134 :


     体が、動かない。


    「……!……!」


     声が、出ない。


    「……!?」


     金縛りは、疲れている時になるものだと聞いたことがある。
     しかし、まさか今、この状況でなるとは最悪の一言に尽きる。
     ニュージェネレーションズの彼女達の意図はわからないが、
    このままでは、為す術無く思い通りに事が運んでしまう。


    「さあ、宴の始まりぞ」


     神崎さん!?
     まさか、貴女まで居たのですか!?


    「しーっ、蘭子ちゃん。あんまり大きな声を出しちゃ駄目よ」
    「ダー。美波の言う通り、です」


     ラブライカのお二人まで!?


    「プロデューサー……気持ちよさそうに寝てますね」
    「まな板の上の鯉、だね~」
    「どうせなら、一緒に飴玉も欲しいかなー」


     キャンディアイランドの方達も!?


    「……!?」


     どれだけ、この部屋に集まっているのですか!?

    175 = 134 :


    「にょわー☆ Pちゃん、お酒飲んでたもんねぇ」


     諸星さん……!


    「でも、莉嘉チャンとみりあチャンは良かったの?」
    「寝ちゃってたもん。しょうがないって」


     アスタリスクのお二人まで……!?
     しかし、城ヶ崎さんと赤城さんが居ないのは……不幸中の幸いか。


    「……!」


     体の自由がきかないため、耳に神経を集中する。
     私の耳に届かないように話しているつもりなのかもしれないが、
    今の私は、押し殺した彼女達の息遣いさえ聞こえる気がする。


     彼女達は、一体何をしようと言うのか?


    「それじゃあ、寝起きドッキリの練習開始だね」


     ……成る程、そういう訳だったのか。
     彼女達には、そういった仕事を入れた事はないが、今後に備えて、という事だろう。
     だとすればまあ、合点がいかないでもない。
     しかし、プロデューサーである私で練習とは……皆さん、今回限りにしてください。


    「はいっ♪ まず、ぬるま湯を股間にかけるんですよね?」
    「うん。そうすると、漏らしちゃうって話だけど……確かめないと」


     練習にしては、内容がハードすぎませんか!?

    176 = 134 :


    「……!」


     待ってください! それは、あまりに危険すぎます!


    「……!?」


     金縛り!
     何故、こんな重要な時に私は金縛りにあっているのだ!


    「聖杯より、我が友へ降り注げ」


     ちゃぷん、という音が聞こえる。
     彼女達は、本気で私の股間にぬるま湯をたらすつもりでいるらしい。
     何故、後先を考えないのか。
     もし、本当に私が漏らしたらどうするつもりなのか。


    「布団はもう剥ぎ取ったわ」


     いつの間に!?


    「浴衣は、アー、はだけさせますか?」


     いけません! 貴方達は、アイドルなのですよ!?


    「それは……寝てても、寒そうだからやめてあげよう?」
    「だねー。それは、さすがに気が引けるよ」
    「うんうん、パンケーキ美味しい~♪」


     皆さんの優しさの基準が、私にはわかりません!
     そして三村さん、パンケーキの匂いが尋常でなく鼻につきます!
     この時間に、他人の部屋で焼きたてパンケーキを食べないでください!

    177 = 134 :


    「それじゃあ~、Pちゃんの股間に~……」


     まさか、もう!?
     待ってください、心の準備が!


    「どうなるのか……ぷくく、楽しみにゃ」
    「ちょっと、笑ったら起きちゃうって……うくく」


     後で、アスタリスクのお二人には個別で話をします。


    「行くわよ、皆」


     新田さん……貴女をシンデレラプロジェクトのリーダーに指名したのは、
    最初の合宿の時でしたね。
     それがまさか、こんな事になるとは思ってもみませんでした。
     彼女達の、統率の取れた動きは……恐らく、貴女によるものなのでしょうね。


    「シンデレラプロジェクト、ファイトぉぉぉ……」


     おーっ、という、いつもの彼女達の掛け声は聞こえない。
     代わりに部屋に響いたのは、バシャリと、勢い良く私の股間に降り注いだ、


    「んああああああああっ!?」


     熱湯、そして、私の叫び声だった。
     ぬるま湯とは明らかに違う、生易しい温度でないそれに、
    私の体は危険信号を発し、金縛りを彼方へ吹き飛ばした。


    「……!?」


     私の叫びを聞いた彼女達は、あまりの驚きに絶句している。


    「うわあああああっ!? あっ、ああああっ!?」


     図らずも、逆ドッキリが成功した。

    178 = 134 :

      ・  ・  ・

    「……」


     私の前で、城ヶ崎さんと、赤城さんを除く、シンデレラプロジェクトメンバー12人が正座している。
     事情はわかっているので、特に聞くことはない。
     聞くことはないが……説教だ。


    「皆さんの今回の行動は、行き過ぎています」


     いつもよりも低い私の声に、メンバー達は体をビクリと震わせる。
     彼女達を憎いとは思わない。
     だが、ここでしっかりと話をしておかなければ、私が今後もたない。


    「今後は、絶対にこのような事は無いように、お願いします」


     はい、と、全員が揃って返事。
     その肩は震えていて、泣くのをこらえているのだろうか。
     しかし、泣いても今回ばかりは簡単に許す訳にはいかない。


    「……あの」
    「はい、何ですか本田さん」


     本田さんが、おずおずと挙手をした。
     何か、言いたいことでもあるのだろうか。


    「ドッキリした?」


     彼女の言葉に対する私の返事をメンバー達はワクワクとした顔で待っている。
     此処に来てその質問が出来るとは、恐れ入ります。

    179 = 134 :


    「そうですね……はい、とても驚きました」


     私の答えを聞き、メンバー達は顔を見合わせ、笑った。
     それは、とても良い笑顔で、思わず見とれそうになるもの。


     しかし、心底腹が立った。


    「では、イタズラのお仕置きとして、一発尻を叩こうと思います」


     メンバーがざわつく。
     私の表情を伺おうとしているが、恐らく、何の表情もしていないだろう。
     反省を促すためとは言え、体罰はしたくはない。
     だが、それが彼女達にとって必要な事ならば、私は鬼になろう。


    「それじゃあ……リーダーの私から、お願いします」


     新田さんが手を上げた。
     その顔は、仕方ないという諦めの色が強い。
     まずは、彼女に反省してもらう事にしよう。


    「では、両手を壁について、尻をこちらに向けてください」


     聞きようによっては、とても艶めいた言い回し。
     彼女もそう思ったのか、他のメンバーを安心させるためか、少しおどけた口調で、


    「んっ……プロデューサーさん、優しくしてくださいね?」


     と、のたまった。
     さすがはリーダーですね……今の言葉を聞いて、メンバー達の緊張が少しほぐれたようです。


    「いえ、駄目です」


     私は、それを無慈悲に打ち砕いた。

    180 = 134 :


    「……!」


     天を貫くように、右手を高く振り上げる。
     イメージするのは、鞭。
     硬さだけでなく、しなやかさも併せ持つ鋼の鞭だ。


    「ぷ、プロデューサーさん……?」


     呼吸を整え、心を落ち着かせて、全身に回る血液を意識する。
     細胞の一つ一つを掌握し、全身の、髪の毛一本に至るまでの全てを連動させる。
     今の私は、プロデューサーではない。
     ただ一個の、尻を叩くためだけに存在する、兵器だ。


    「あのっ!? や、優しく! 優しくお願いします!」


     筋肉が、爆発の時を待ち、今か今かと叫び声を上げている。
     骨が、寸分の狂いも無く尻を打ち据えるため、残忍な笑い声を上げている。
     一瞬で、何十、何百回と、理想の尻叩きをイメージしては、最高のものに近づけていく。


    「……」


     果たして、それは成った。


    「や、やめ……おねが」


    「プロデュゥゥゥ――スッ!!」


     円運動の軌跡を描き、鋼と化した私の右手が、
    新田さん……いや、イタズラをした少女の尻に叩き込まれた。
     破裂音にも似た打撃音。
     衝撃は尻だけでは止まらずに、彼女の体を一直線に突き抜け、パプリと鼻水を噴出させた。


    「はああああっ!? ほっ、ほあああああ!?」


     辺りに、アイドルらしからぬ叫び声が響いた。

    181 :

    虎眼流並の張り手になりそう

    182 = 134 :


    「……」


     お仕置きとは言え、彼女はアイドル。
     その体に痕が残るような打ち方はしていない。


    「んんんんん! これやば、んんんんん!」


     だが、私のプロデューサーとしての全てを用いて、尻を叩いた。
     その結果が、これだ。
     新田さんは、その場で尻を押さえてのたうち回っている。


    「では、次は誰にしますか?」


     私が視線を向けると、残されたメンバーがビクリと肩を震わせた。
     彼女達に、こんな顔をさせるのはとても心苦しい。
     しかし、やらなければならないのだ。


    「皆あああああ! 逃げてえええええ!」


     新田さんが、残された力を振り絞り懸命に他のメンバーを逃がそうとする。
     鼻水を垂らしながらにも関わらず、仲間を思いやるその姿勢には胸を打たれる。


    「では、次も新田さんという事で、宜しいですか?」


     その思いには、応えなければならないだろう。


    「アーニャちゃああああん! ファイトおおおおお!」
    「ミナアアアアミ!? なんで、私ですかあああ!?」


     わかりました、次はアナスタシアさんですね。

    183 :

    流石プロデューサーともなると鞭打も出来るのか

    184 = 134 :

      ・  ・  ・

    「ねえねえ、昨日の夜何かあったの?」


     赤城さんが、不思議そうに首を傾げている。


    「なんか皆、お尻を気にしてるみたいなんだよねー?☆」


     城ヶ崎さんの、お尻、という言葉を聞いて昨夜のメンバー達がビクリと動きを止める。
     休憩時間中だと言うのに、他のメンバーは全員立ったままだ。
     いや、双葉さんはうつぶせの状態で寝転がっているか。


    「いえ……私には、よくわかりません」


     右手を首筋にやろうと動かした途端、メンバー12人が身構えた。
     何故か、数名ほど壁に手をついて尻をこちらに向けているが、放置する。


    「あっ! そういえば、昨日の夜のドッキリどうだった?」
    「そうそう! アタシとみりあちゃん、寝ちゃったんだよねー☆」


     お二人の言葉を聞いて、少し考える。


    「そうですね……成功、だったと思います」


     確かに、かけられたのが熱湯でなければギリギリセーフだったかもしれない。
     ドッキリ自体は私の金縛りがあったにせよ、成功だったとも言える。


    「あーん! みりあも参加したかったー!」
    「それじゃあそれじゃあ、今晩はアタシ達がドッキリしにいくねっ☆」
    「……あらかじめ言ってしまっては、駄目なのでは」


     そう、言ってみたものの、赤城さんと城ヶ崎さんはやる気になっているようだ。


    「皆さん……赤城さんと城ヶ崎さんを止めてください」


     私の言葉を聞いて、数名ほどが必死で彼女達の説得に回ってくれた。
     残ったメンバーが軒並み壁に手をついて尻をこちらに向けているのを見て、私は頭を抱えた。



    おわり

    185 = 134 :

    回線の調子が悪いので、今日は寝ます
    おやすみなさい

    186 :

    ハマったな

    187 = 181 :

    大人アイドル組って脱糞してたっけ

    188 :

    総受けと見せかけてカウンターがデカいのはいい事だ

    189 = 147 :

    癖になってるメンバーが居ますね…

    190 :

    性獣ミナミィはドMかと思ってたんだけど、尻打ちには目覚めなかったのかな…?

    191 :

    トラプリ見たい

    192 :

    >>187
    覚えてないので書きます

    193 = 192 :


    「……」


     キャハハ、と、女性達の明るい笑い声が響き渡る。
     アルコールが回っているのだろう、全員顔が赤く、とても良い笑顔だ。
     会話に流れなどなく、ただ、起こった事、起こりうる事を話しているだけ。
     にも関わらず、彼女達は必ず笑顔で話を続けている。


    「……」


     此処、シンデレラプロジェクトの、プロジェクトルームで。


    「いえーい! 飲んでる~!?」


     飲んでいません。


    「飲んでないわ」


     また、笑い声が響き渡った。
     本当に、どうして彼女達はここで酒盛りをするのだろう。
     確かに、広さ的には丁度良いし、ソファーもあって居心地は良いだろう。
     しかし、誰が後片付けをすると思って……ああ、だから此処に来るのですね。


    「かんぱーい!」


     何度目かの乾杯を尻目に、巻き込まれないようにパソコンの画面を見つめる。
     さすがに、仕事中の私の邪魔を直接的にする程、非常識ではないらしい。
     間接的には尋常でない程の邪魔をしているのだが、それを抗議する勇気は、無い。


    「……」


     早く、帰ってくれないだろうか。
     でないと、後片付けが出来ず、私も帰れない。

    194 = 192 :


    「はーい! 一番バッター、オナラしまーす!」


     本当に、酔っぱらいというのは最悪だ。
     自分も酔ってしまえば気にならなくなるのだろうが、その選択肢は私には無い。
     私まで酔ってしまっては、後始末をする者が居なくなるからだ。


    「Fight! Fight! Let's Go~! Fight! Fight! 頑張って!」


     自らのソロ曲に合わせてオナラをする事の、何が楽しいのか。
     私にはわからないが、彼女達は大いに盛り上がっている。


    「Fight! Fight! Let's Go~! Fight! Fight! 負けないで!」


     お腹が千切れちゃう、と言いながら笑っている人も居る。
     さすがは酔っていてもアイドル、パフォーマンスはとても素晴らしい。


    「フレーフレー、みんなでLet's Go! フレーフレー大きな声で!」


     この時のためだけの、オリジナルの振り付けだろう。
     彼女のダンスは、チアーを模したものというよりも、バッターのスイングのようだ。
     それを見られたのは喜ぶべきか、彼女がこれから放つアーチを悲しむべきか。


    「フレーフレー気持ちを込めて!」


     渾身のスイング。


    「Go~!」


     ブボッ!


     ――特大の、ホームランだ。


     ボッ、ボブリッ、ブッ、ブブッ!


    「!?」


     ――場外ホームランじゃないですか!?

    195 = 192 :


    「……!?……!?」


     スイングで、お腹をひねった瞬間にオナラを出そうとした。
     恐らく、それが彼女の放ったアーチを場外まで運んでしまったのだろう。


    「……」


     しん、と静まり返る室内。
     アーチストは、スイングを終えた体勢のまま微動だにしない。
     目線の先を追ってみるが、そこはただの壁だ。
     彼女には見えているのだろうか……青空に吸い込まれていく、白球が。


    「……」


     さて、ここから、私はどう行動すべきなのだろう。
     思考を巡らせてみるが、これが最善だ、というものは浮かばない。
     目の前で歌いながら脱糞したアイドルにどう対処するかなど、研修では習わない。
     どうすれば……どう――


    「チャッチャッチャッチャッ、チャララ♪ チャッチャッチャッチャッチャ♪」


     ……この、軽快な前奏は――


    「チャッチャッチャッチャッ、チャララ♪」

     待ってください!
     何故、貴女まで歌って踊り始めるのですか!?


    「ズン、ズン、ズン!」


     う、うわあ、あああああっ!?


    「バキューン!」


     ボブリッ!

    197 = 192 :


    「……!」


     モコリ、モコリと彼女の体のラインを強調するような服の臀部が膨らんでいく。
     しかし、それを気にする事無く、元婦警はバッターに歩み寄る。
     そして、両手を高くあげ、


    「いえーい! 2ランホームラン、ね!」


     ハイタッチを要求した。
     そして、パシンと打ち鳴らされる、友情の架け橋。


    「今のだと、連続ソロホームランですよー!」
    「あたし、野球そんなに詳しくないのよ!」


     こんな状況にも関わらず、彼女達の微笑み合う姿は、とても美しい。
     出来る事なら、腰から下を視界に映したくないと思える程に。
     いや……ああなったからこそ、彼女達の笑顔が輝いて見えるのか。


    「……」
    「……」


     残った二人が、すっくと立ち上がった。
     いやいや、もう十分です!
     もう、綺麗にまとまった感じがするではないですか!


    「四番は任せるわ」


     よく通る、美しい声。


    「トゥントゥントゥルトゥトゥーントゥトゥーン♪」


     ……そうですよね、口でやるとそんな感じになってしまいますよね。

    198 = 192 :


    「ムゥーンムゥムゥムゥーン、ムゥーンムゥムゥーン♪ ムゥ~ン♪」


     沸き起こる、爆笑の嵐。
     完璧な振り付けに対して、あまりにも卑怯な言葉と表情。


    「ティーンッ♪ ティーンティティーンティンティッティンッ♪」


     この元アナウンサーアイドル、完全に笑わせに来ている。
     既にバッターボックスから降りた二人は涙が出る程笑っている。
     そして、控える四番も肩を震わせ、ヒーヒーと呼吸困難に陥っているではないか。


    「プゥープゥープゥッ♪ プゥープゥプゥプゥープゥプゥー♪」


     アナウンサー時代のボキャブラリーを活かしているのだろうか。
     擬音が全て違うものになっているのが、彼女のこだわりを感じさせる。


    「これ……無理……!」


     ビチュッ!


     たまらず、四番が先にスイング。


    「テトリテトリトン♪ テトリテトテテ♪」


     バブンッ!


     順番は逆になってしまったが、三番バッターも特大のアーチを見せてくれた。


    「臭いわ」


     彼女達は、笑った。

    199 = 192 :


    「……」


     笑いの後に訪れたのは、不気味なほどの静寂。
     誰一人言葉を発しようとせず、何一つ行動に起こそうとしない。
     プロジェクトルームに立ち込める異臭。
     あの……後片付けは私がやるので、本当にもう、帰ってください。


    「「「「……」」」」


     そう、思った瞬間、四対八つの瞳が、ギョロリと私に向けられた。


    「……!?」


     思わず息を呑む……臭い。
     彼女達は、何故私に視線を向けているのだろう。
     他言するつもりは毛頭ないし、言ったとしても誰も信じはしないだろう。
     なのに、どうして私を見て――


    「アッ、ハイーヤーアーアーアアアーアー」
    「ちゃちゃりりちゃらららちゃちゃりりちゃらら」


     何故、四番の前奏を!?


    「待ってください! 私にも、しろと!?」


     抗議の声は、儚くもシンデレラ達の歌声にかき消される。
     彼女達の歌声は、止まらない。
     そして、私には理解出来る……出来てしまう。


     出さなければ、殺される。

    200 = 192 :

      ・  ・  ・

    「……」


     プロジェクトルームの片付けが終わった。
     臭いはまだ残っているが、それはこの際仕方ないだろう。


    「……」


     部屋の隅にあるビニール袋に目を向ける。
     あの中には、友情の結果と、恐怖の結果が詰まっている。


    「……」


     結論だけ言わせてもらうならば、私は脱糞した。
     情けなく、悲鳴を上げながら。
     あの時の恐怖は決して忘れることは出来ないだろう。


     ――ティロン♪


    「……」


     携帯に、LINEが入る。
     シャワーを浴び終えた、という連絡だろう。
     彼女達が戻ってくる前に片付けを終わらせた自分を褒めても良いと、そう、思います。


    「……!?」


     確認のために、携帯を開き……――愕然とした。
     カツリと、携帯が床に落ち、転がる。


    「何故……私の家で飲み直すという話になったのですか……!?」


     この時の私は、まだ知らない。


     これから先、何度も繰り返される悪夢を。



    おわり


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