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元スレ武内P「起きたらひどい事になっていました」

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501 = 496 :

部長「おっと、重要な事を忘れていた」

武内P「! まさか……やはり何か武器が!」

部長「旅に出る前に、事務所……ではなく、ちひろの酒場に寄りなさい」

武内P「……旅に出る前に、アルコールは」

部長「話は最後まで聞きなさい。そこで、仲間を探すのだ」

武内P「あの、仲間よりも先に武器を」

部長「行け、勇者よ! 世界を頼んだぞ!」

武内P「……」

部長「行け、勇者よ! 世界を頼んだぞ!」

502 = 496 :

  ・  ・  ・

武内P「……酒場、ですか」

武内P「……」

武内P「一人旅も悪くない。そう、思います」


武内P『上司の指示には、従わなければいけませんね』


武内P「!? 街を出ようとしたら、足が止まり、勝手に声が!?」

武内P「くっ……ですが、酒場は嫌な予感しかしない……!」


武内P『上司の指示には、従わなければいけませんね』


武内P「……!」

503 = 496 :

  ・  ・  ・

ちひろ「あら、遅かったじゃないですか」

武内P「……」

ちひろ「それじゃあ早速ですが、仲間は誰を連れていきますか?」

ちひろ「今は、この三人が在籍してますよ」


魔法使い

高垣




武内P「魔法使いさんで! 魔法使いさんで、お願いします!」

「うふふっ、とっても情熱的なお誘いですね」

武内P「待ってください! 実質一人しか居ないではないですか!?」

504 = 496 :

武内P「他に、他には誰が……!?」

ちひろ「すみません。スケジュールの関係上、高垣さんしか……」

「はーい♪ 輝く世界の魔法使いでーす♪」

武内P「……では、誰も連れていかないを選びます」

「うふふっ、めらめら燃えるから、メラ」

ボッ!

武内P「熱い!」

ちひろ「こんな感じで仕事にならないので、連れて行ってください」

武内P「いえ、しかし……!?」

ちひろ「お願いします、プロデュー……勇者様、助けてください」

武内P「……」

505 = 496 :

  ・  ・  ・

「世界を救うのが、正解です」

武内P「……出発は、酔いを覚ましてからの方が良さそうですね」

「大丈夫ですよ。酔ってなんかいません」

武内P「宿屋に……」

「二人で、ですか?」

武内P「実家に……」

「ご挨拶、ですか?」

武内P「旅の支度を整えようと、そう、思います」

「素敵なステッキがあると良いのだけど……」

武内P「……」

506 = 496 :

  ・  ・  ・

武内P「……こんぼうを購入したら、職務質問を受けるように」

「うふふっ、とっても強そうですよ」

武内P「……ありがとう、ございます」

「けれど、薬草はあまり買えませんでしたね」

武内P「そうですね。日本酒を買わなければ、もっと買えたのですが」

「ええ……ですけど、日本酒も大事ですから」

武内P「……」

武内P「兎に角、酔いも覚めたようですし、出発しましょう」

507 = 496 :

  ・  ・  ・

「……」


武内P「……」

「街から出るのを、待ち構えていますね」


「ふーん。アンタが私のプロデューサー?」


「どう、なさるつもりですか?」

武内P「街の、反対から出ようと思います」


「逃げないでよ! アンタ、私のプロデューサーでしょ!?」


武内P「反対から出れば、時間がかかって回り込めないと思います」

508 = 496 :

「ふーん! 私、悪いアイドルじゃないよ!」


「それは……少し、可哀想な気がします」

武内P「ですが……」


「しぶりんが、仲間になりたそうに見ている!」


武内P「あの、ご自分で言うのは、流石にどうかと……」


「しぶりんが、仲間になりたそうに見ている!」

「ちゃんと見ててよね! でないと、許さないから!」


武内P「……」

509 = 496 :

  ・  ・  ・

「私は戦士? まあ、悪くないかな」

「旅は道連れ、世は情け、ですね♪」

武内P「……バランスは、整ってきましたね」

「それで、これからどうするの?」

武内P「はい。ユニットも組んだことですし、街を出ようと思います」

「マーチに合わせて、街を出ましょう」

「モタモタしてると、置いてっちゃうから」

武内P「……」

510 = 496 :

  ・  ・  ・

美嘉「ヤッホー★」


武内P「……」

「街から出るのを、待ち構えていますね」

「あの格好、僧侶みたいだね」


美嘉「どう? アタシ流にアレンジしてみたんだ★」


武内P「……よく、似合っていると思います」

「けれど、どうして美嘉ちゃんが僧侶なのかしら?」

「ああ見えて、もの凄く奥手だからだと思う」


美嘉「は、はあっ!? そ、そんな事ないケド!?」


武内P「……」

511 = 496 :

美嘉「カリスマJK僧侶が奥手って、あり得ないっしょ!★」


「Vジャンプの攻略本にすら書いてあるよ」

「どうなさるつもりですか?」

武内P「今日は一旦出直し、明日出発しましょう」


美嘉「アタシめっちゃ役に立つと思うなー!?」

美嘉「勇者、戦士、魔法使いと来たら!?」

美嘉「アンタもわかるでしょ? ほらほら、正直に言いなって!★」


武内P「武闘家は、可能な限り中野さんをスカウトしたいですね」

武内P「片桐さんの場合ですと、酒場から移動出来なくなりそうです」

「?」キョトン


美嘉「ちょいちょーい!?」

512 = 496 :

  ・  ・  ・

美嘉「ホント、素直じゃないんだから★」

「美嘉、まだちょっと涙の痕が残ってるよ」

「涙の数だけ、レベルアップね」

「経験は無いだろうけど」

美嘉「は、はぁ!? チョーあるし!」

武内P「……」

武内P「メンバーも揃ったことですし、出発しましょう」

513 = 496 :

武内P「今から出発すれば、明日には次の町に到着出来ます」

「明日には、って……野宿?」

武内P「そう、なりますね」

美嘉「キャンプかー、えへへっ、ちょっと楽しみじゃん★」

「焚き火を囲みながらのお酒……これは、避けられませんね」

武内P「街の外は危険なので、飲酒は控えてください」

「めらめら燃えるから、メラ」

ボッ!

武内P「熱い!」

武内P「……お猪口で、ちょこっとだけですよ」

514 = 496 :

武内P「……お二人に、質問があるのですが」

「何?」

美嘉「エロい質問だったら、怒るかんねー?」

「そんな訳ないでしょ」

武内P「……親御さんの許可は、取っていますか?」

凛・美嘉「は?」

武内P「18歳未満の22時以降の外出は、親御さんの許可が無いと……」

凛・美嘉「……」

武内P「すみません。規則、ですので」

凛・美嘉「……」

515 = 496 :

  ・  ・  ・

専務「どうした。もう戻ってきたのか?」

武内P「仲間は集まったのですが、今日は遅いので一旦解散しました」

専務「ほう、もう仲間を集め終えたのか」

武内P「集まってしまった、という方が正しいですね」

専務「やはり、キミは優秀なようだ」

武内P「……そんな事はありません」

専務「それでは、明日に備えて今日はもう休みなさい」

武内P「……」

武内P「いえ、それは出来ません」

516 = 496 :

専務「? 何故だ」

武内P「自宅に帰らせるフリをし、パーティーを解散しました」

武内P「なので、気付かれる前に一人で旅立とうと思います」

専務「何を言っている? 解散した、だと?」

武内P「いえ、ですから……」


専務『勇者は逃げ出した!』


武内P「専務? あの、急に何を――」


『しかし! 後ろに回り込まれてしまった!』


武内P「高垣さん!? いつの間に後ろに!?」


『アイドルからは、逃げられない!』



おわり

517 = 496 :

意外! 楽しい!

518 :

言うべきか迷ったけど今回の楓さんはめんどくさい暴力ヒロインにしか見えなかった(小声)
一読者の戯言だから気にしないでね

519 :

結構いけるなこのパーティー

520 :

ちょっと

http://shindanmaker.com/303040

こいつを使って三題話して遊びます
アイドルの名前を入力してやろうと思うので、人居たら名前くださいな

521 :

三船美優

522 :

ユッキ

523 :

美穂

524 = 520 :

三船美優は『こうい、くらげ、電源』を組み合わせてお話を書いてください。


書きます

525 = 520 :


「……ふぅ」


 更衣室で着替えている最中、私はため息をついた。
 その姿を他の子に見られているとはわかっていたが、止められなかった。
 こんなため息なんてついたら、心配されるってわかってるのに。


「……これは、どうなのかしら」


 アニマルパークのお仕事がきっかけで、コスプレ……をするお仕事も増えた。
 そのおかげで、市原仁奈ちゃんとも一緒する機会が増え、仲良くもなれた。
 ……けれど。


「……」


 スマートフォンには、今度私が着る予定の衣装が表示されている。
 それは、くらげがモチーフになったキグルミだと聞いていたけど……。


「……スケスケじゃないですか」


 それは、キグルミと呼ぶには体のラインを強調するもので、
その上さすがモチーフがクラゲだけあってか大事な所意外は透明な素材で出来ていた。
 でも、これってちょっとエッチすぎませんか、プロデューサーさん?


「……」


 だけど、これもプロデューサーさんが取ってきてくれた大切なお仕事
 頑張らなくちゃと思う反面、あの人もこういった格好が好きなのかな、とも思う。
 だったら、普段からもっと大胆な格好をすれば……。


「……ふぅ」


 もう、何度目になるかわからない思考のループ。
 考えていても始まらないのは、もうわかった。
 せめて、プロデューサーさんにこの衣装を着た感想をじっくり語ってもらおう。
 そんな事を考えていたら、開きっぱなしになっていたスマートフォンの電池が切れたのか、
画面は真っ暗になっていて、電源が落ちていた。



おわり

526 = 520 :

姫川友紀は『め、音楽、風邪』を組み合わせてお話を書いてください。


書きます

527 = 520 :


「う~……」


 ベッドに横になり布団にくるまりながら、あたしは暇を謳歌していた。
 予報ではわかってたんだけど、あんなに雪が降るとは思ってなかったんだよね。
 ゆっきーが雪にやられて風邪を引くなんて、不覚だよ。
 ……やばい、一緒に飲みに行く事が増えたから、伝染ってる。


「ぅえっくしょん!」


 今、部屋にはあたし一人しかいない。
 だから、こんな豪快にクシャミをしても、アイドルなんだからと咎める人は誰も居ない。
 その事に自由を感じもするんだけど、


「……寂しいなぁ」


 なんて、口に出してみる。
 そう、今、あたしは風邪を引いて部屋に一人で、寂しいと感じてしまっている。
 普段だったらこんな事は無いのに、体の調子が狂うと、心の調子も狂う。
 ……これじゃあ二軍落ちだよ、トホホ。


「……なんて、こういう時こそ」


 そんなあたしを支えてくれるのは、今はキャッツしか居ない。
 本当は録画した試合を見たい所だけど、画面を見ると頭が痛くなりそうだから我慢。
 野球の試合を見ると頭が痛くなりそうだなんて、本当に不覚だよ!


「……」


 動くのが億劫なので、スマフォに入れてある音楽を流す。
 勿論、キャッツの応援歌だ。
 今のあたしを応援してくれるかのようなその歌声に、自然と勇気づけられる。
 ああ、早く元気になって、ビールを飲みながらキャッツの応援をしたいなぁ。


「……」


 応援歌に合わせて、あたしの体が勝手に動く。
 これも、ファンとしての……アイドルとしての習性? わかんないな。
 だけど、今は風邪を治すのが先決だ。
 こんな調子じゃ、三者凡退間違い無しだから、ね。
 だから、あたしは大人しくしない、風邪に負けてる体に喝を入れた。


「め!」



おわり

528 = 520 :

小日向美穂は『みち、はさみ、冷凍』を組み合わせてお話を書いてください。


書きます

529 = 520 :


「う、くくくっ……!」


 晩御飯は、冷凍食品のパスタ。
 今日のお仕事は帰りが遅くなってしまったため、食堂には私一人しかいない。
 なので、備え付けの電子レンジで温めようとしてるんだけど……。


「あ、開かない……!?」


 パッケージの表面についた水滴が、私の指をつるつると滑らせる。
 力が強いとは思ってなかったけど、こんな所で躓くだなんて。
 お腹が空いて力が出ない、とは言わないですよ?
 でも、せめてこれくらいはパッと手で開けたいじゃないですか!


「ふおおお……!」


 と、気合を入れてみても、開かない。


「ふううう……!」


 と、自然体でやっても、開かない。


「……」


 くう、と小さくお腹が鳴った。
 食堂で一人、冷凍食品の袋と格闘しながら、お腹を空かせる。
 それが、とても情けなくて、ははは、と渇いた笑いが零れた。
 そんな、下を向く私に、


「フヒヒ……使う、か?」


 と、声と共にハサミが差し出された。
 それに驚いて声をあげそうになったら、


「一人の食事は寂しいでしょうから、カワイイボクが居てあげましょう!」


 と、また反対側から声がかけられ、その声を飲み込む事となった。


「皆なら……美味しい、よね……」


 更に、また後ろからも。
 結局、その冷凍食品は袋ごと電子レンジに入れるタイプのもので、ハサミは必要なかった。
 けれど、私は、とても満ち満ちていた。


おわり

530 = 520 :

>>521-523
ありがとうございました!


明日早いので、今日は寝ます
また、気が向いたらこういう変な事しようと思います
おやすみなさい

531 :


「考え直す気は、無いのかい?」
「はい。申し訳、ありません」


 何度目の問いかけになるだろう。
 全く、この男の真面目さは評価していたが、ここまで頑固だったとは。


「……」


 ソファーに腰掛け、デスクの前に座りまっすぐこちらを見る彼と目を合わせる。
 彼の表情が最後に変わったのを見たのは、いつだろうか。
 私が覚えている限りでは、彼の元からアイドルの卵達が去っていった時、か。


 気にするな、とは言わない。
 だが、同時に珍しい事でもないのだ。
 アイドルを志した者が道半ばで力尽き、諦めるなど。
 大なり小なり、この世の中はそんな話で溢れかえっているのだから。


「部長には、大変お世話になりました」


 そう言って下げた頭の頂点では、いつもの寝癖がチョロリと立っている。
 それを見てか、この厳つい見た目にそぐわない繊細さに辟易してか、
私は右手を首筋にやり、ため息をついた。
 そして、無駄だとは思っていても、彼を引き止めるために声を発する。


「そう思っているのなら、続けてくれると助かるんだがね」


 彼は、とても優秀だ。
 少々コミュニケーション能力に欠ける部分はあるが、熱意は人一倍。
 考えてもみたまえ。
 輝くアイドルの手助けがしたいから、というポエミーな台詞を真顔で言う男だよ?
 そんな男が、たった一度の挫折で道を諦めてしまおうとしている。


「いえ……もう、決めたことですから」


 彼の目に、迷いは無い。
 しかし、私はとても欲深く、この男よりも遥かに意地が悪いのだ。
 さて、この不器用で、頑固で、真面目な男を……どうやって迷わせてやろうか。

532 = 531 :


「ふむ……そうか……」


 と、物分りの良い年寄りを装い、思考を巡らせる。
 自然と胸ポケットの煙草に手が行ってしまったが、
そうと彼に気付かれないよう、自然に元の場所に帰還させる。
 一服なんて、話を終わらせるための、良いタイミングだからね。
 それをわざわざ提供してやるわけにはいくまいよ。


「はい」


 まずいな。
 煙草の事を考えていたら、真っすぐなこの男の方が先にゴールに着いてしまいそうだ。
 気を引き締めなければならんな、うん。
 この男を崩すには……やはり、アイドルだろう。


「プロデューサー業に、本当に未練は無いのかい?」


 無い訳が、無い。
 彼の目には、未だに燻るものが、ハッキリと見える。
 それに少しでも、ほんの少しでも火が着けば、私の勝ちだ。
 さあ、どう答える?


「無いと言えば……嘘になります」


 違うよ、キミ。
 そうじゃあないだろう?
 私はね、そんな湿っぽい表情の男なんかは見たくはない。
 夢でも、希望でも、野心でもなんでも良い。
 燻らせているのなんて、何とも勿体無い話じゃあないか、ええ?


「ですが……もう、決めたことですから」


 燻らせる程の物があるなら、最後まで、燃え尽きるまでやってみよう、と。
 ……そう、思って欲しい。
 自分にはもう、やりたい事、できる事などもう残っていない、と。
 そこまでやってみようと、そう、思って欲しい。


 そんな私の耳に、コンコンと、ノックの音が届いた。

533 = 531 :


 コンコン。


「……」


 とても控えめな、ノックの音。
 しかし、今はその主に構っている場合では無い。
 私は今、目の前の頑固者を説き伏せるために――


「……どうぞ。開いているよ」


 ――と、思ったが、中に入る事を許可した。
 何とも不思議な感覚なのだが、これと言った理由は無い。
 本当になんとなく……そう、なんとなくだが、ドアの向こうに居る人物が、
流れを変えるような気がしたのだ。


 ガチャリ、という音。
 ドアがゆっくりと開かれ、ノックの主が姿を現した。
 ……ほほう、これは……中々どうして。


「失礼します」


 中に入ってきたとびきりの美人は、その容姿によく合う、とても美しい声で言った。
 そして、男が、ほんの少し目を見開いた。
 ……いやはや、こいつは驚いた。


「あの……アイドル部門の面接会場は、ここでしょうか?」


 私の勘も、捨てたものじゃあないね!


「キミは?」


 流れが変わったのを感じる。
 さあて、こいつは思わぬカードが手札に入ってきたかもしれないぞ。
 彼女が、この男を切り崩すためのエースか、はたまたジョーカーか。
 それを考えるのは……うん、名前を聞いてからでも、遅くはないな。


「モデル部門の、高垣楓と申します……」


 キミ、知ってるかね?
 男を迷わすのは、いつも女だ。


 私は、二人には見えないように、ニヤリと口の端を釣り上げた。

534 = 531 :


「モデル部門の君が、どうして?」


 そうだ、確か見た事がある。
 モデル部門で人気の高垣楓くん。
 いやはや、入室して来た時にすぐわからないとは、
私も随分と視野が狭くなっていたらしい。


「その……アイドルの面接を受けさせていただこうと思って」


 視線が泳ぎ気味だ。
 成る程、確かにここは面接会場では無いし、いるのはむさ苦しい男が二人だけ。
 その内の一人は、今は無表情に戻っている大男だ。
 しかし、モデルからアイドルになろうという行動力の割に、腹が座っていない印象。
 人見知りの気でもあるのかな、この子は。


「残念だが、此処は面接会場では無いよ」


 それに、面接があるのは午後からだからね、と付け加える。
 それを聞いた高垣くんは、まあと上品に驚きながら、少し顔を赤くした。
 うんうん、美しいだけでなく、可愛げもあるじゃあないか。


「念のため聞いておくが、異動の許可は取っているのかね?」


 大事な事だ。
 許可も無しに勝手に部門を異動するというのがまかり通ってしまっては、
我がプロダクションは無法地帯になってしまうからね。


「ええと、許可はとくに取っていません」


 ……何だって?
 お嬢さん、君はまさか、思いつきでアイドルの面接を受けようと思ったのかな?


「この事を話すのも初めてで、なんとなく受けてみたくなって……」


 そうか、なんとなくか。
 なんとなくだったら、仕方ないね。
 そういう、なんとなくに流されて良いようになるというのを私も体験したばかりさ。

535 = 531 :


「なるほど、そういう事なら話は早い」


 私の言葉を聞いて、高垣くんは「え?」と首を傾げた。
 そんな何気ない仕草も華があるとは、恐れ入るね。


「今から、私が直接面接をしようじゃないか」


 なあに、少し予定が一人分早まっただけさ。
 ニコニコと笑う私に、高垣くんが愛想笑いを返した。


「面接に一人では不足だな……よし、君も参加しなさい」


 と、他人事のように私達のやり取りを見ていた男に声をかける。
 突然話を振られて戸惑っているようだが、そういう時こそ、隙が出来る。
 私はね、そんな隙を見逃してやる程お人好しじゃあない。


「なあに、歌を……聞かせて貰うだけさ」


 すぐに済むだろう? と、肩をすくめておどけた調子で言う。
 何も言わない彼に、高垣くんが不安そうな視線を向けている。


「……聞いて貰えますか? 私の、歌」


 意を決したように、高垣くんが彼に話しかけた。
 おずおずと話しかけるその様子は、まるで迷子の子供のようだ。
 君、女性に――アイドルになろうとしている者に、こんな顔をさせて良いのかい?


「……はい、わかりました。私で、良ければ」


 状況が状況で無かったら、今の言葉を聞いて大笑いしていただろう。
 アイドルから離れようとしていた男が、アイドルに釣られたのだから。
 迷子の女に連れられて、道を真っすぐ進む男が迷う。
 こんな、愉快痛快、奇妙奇天烈な話があるかね!


「ははは! そうと決まれば、聞こうじゃあないか!」


 おっとと、我慢できずに笑ってしまったよ!

536 :

  ・  ・  ・

「……――さて、キミは彼女をどう見る?」


 響いてくる、美しい歌声。
 それを聞く邪魔になってしまうとは思ったが、これはあくまでも面接だ。
 もう一人の面接官の意見も、聞いておくべきだろう。


「……逸材、かと。それも、トップアイドルになれる程の」


 彼の言葉に私は満足し、頷いた。
 そう、彼女は逸材だ。
 惜しむらくは年齢……もっと早く、彼女をアイドル部門に引き抜いておけば良かった。
 だが、それを差し引いても、私の高垣くんへの評価は彼と同じ。
 それに、今までのモデルとしての経験が、今の彼女を形作っているのもまた事実。


「だが、難しい問題もある」


 それは、彼女が現在既にモデル部門で活躍しているという事だ。
 道すがら話を聞いてみたが、私が知っている以上に。
 そんな彼女をモデル部門の人間が簡単に手放すとは思い難い。


「そう……ですね」


 彼も、その事には気付いている。
 今の我が社に所属するプロデューサー達は、彼も含めて若い者が多い。
 アイドル事業部自体が、プロダクション内でもまだまだ新設の部門なのもある。
 そんな、先のわからない所、経験の浅い者に、彼女を任せようとは、
私だったらば絶対に思わないだろう。


「さて……どうしたものかねぇ」


 もっと早く引き抜いておけば、というのは、年齢だけの問題ではない。
 彼女がモデルとして成功し、モデル部門の人間が手放すのを渋るようになる前に、という意味もある。


 モデルとして、既に成功している高垣くんを任せるに足る人物。
 だが、その人物は一人で彼女をプロデュースするには足りない。


「何か、良い考えは無いものか……」


 さて、優秀なキミの事だ。
 わかっているんだろう?

537 = 536 :


「……」


 顎に手を当て、考えるフリをしながら、考える時間を与える。
 その間にも、高垣くんの歌声は私達の耳に届けられている。
 うむ、これならば文句無しに合格だ。
 文句などつけようものなら、今後のオーディションの敷居が高くなりすぎてしまう。


「困ったねぇ……本当に、困った」


 さて、彼女の歌声は、君の燻った心にも届いたのかね。
 そろそろ、彼女の歌が終わってしまう。
 私としては、それまでに君の答えが聞きたい所なんだが。


「……」


 しかし、それでもこの頑固者は動かない。
 いや、そんなに簡単に決意を翻しても良いものかと、そう思っているのかな。
 やれやれ、どうしようもない程、不器用な男だ。


「残念だが、彼女の申し出を断るしかない、か」


 だから、私のような男に簡単に転がされてしまうのだよ。


「待ってください!」


 思わず出てしまった大声に彼自身も驚いたようで、口に手をやっていた。
 はっは、私も驚いたよ。
 キミ、意外と大きな声が出るんだねぇ!


「しかし……それしか無いのではないかね?」


 それでも、私は追撃の手を緩めない。
 恐れるキミが迷った末、階段を登る一歩を踏み出すその時まで。
 踏み出す力はもう、彼女の歌声から貰っているはずだ。
 ――さあ!


「……部長が彼女を担当し、私がその補佐をする。それならば――」


 その手があったかとポンと手を叩き、続く彼の言葉を聞き続けた。
 それは、高垣くんの歌声と重なり、私は最高のデュエットを聞いている気分になった。

538 = 536 :

  ・  ・  ・

「あの、どうでしたか?」


 素晴らしかった。
 高垣くん、キミの歌声は、私に笑顔を届けてくれたよ。
 ああ、そこに居る、苦虫を噛み潰したような顔の男は放っておきたまえ。
 自分がしてやられたとわかり、悔しい思いをしている真っ最中だからね。


「アイドルとしてやっていける資質は、ありそうでしょうか」


 しかし、あまりいじめるのも可哀想だ。
 右手を首筋にやっている彼の肩をポンと叩き、意識を彼女に向けさせる。
 そんな彼の顔は、やはり無表情で、厳しい。


「十分あります」


 まるで無口な車輪。
 だが、十分にプロデューサーの顔をしていた。


「……良かった」


 彼の返答を聞き、高垣くんは安心したようなホッと息をついた。
 しかし、それも束の間、


「では、来週から、アイドル部門へ異動といいうことで良いでしょうか」


 さっきまでの私達のやり取りを聞いていなかった彼女は、実にサラリと言った。


「それは、少し……」
「そうだね、それは少し――」


 ああ、今日はなんて愉快な日なんだろうね!


「――悠長すぎる。今から、モデル部門に行って話をつけよう」


 私の言葉を聞いて、とても低い声と、とても美しい声が「えっ?」と重なった。
 呆けた顔をしている場合ではないよ、キミ達。
 特に高垣くんはアイドルなんだから、笑顔でいなきゃあいけないな。
 あー……キミは笑顔が下手だから、今はまだ無口な車輪で十分だ。
 なあに、私が本気を出そうと言うんだ。
 前途ある若者の笑顔一人分位は、補ってみせようじゃあないかね。


おわり

539 = 536 :

寝ます
おやすみなさい

540 :

すき
おつ

541 = 536 :

書きます


武内P「……ポ、ポコチン?」

542 = 536 :

未央「? どうしたの?」

武内P「あ、いえ……聞き間違いをしてしまったようです」

卯月「珍しいですね、ポコチンさん」

武内P「!?」

「ポコチン、疲れてるの?」

武内P「!?」

武内P「……」

武内P「!!?」

543 = 536 :

武内P「あ……あの、皆さん?」

未央「どうしたの、ポコチン?」

卯月「ポコチンさん……顔が真っ青ですよ」

「ポコチン……最近、無理しすぎじゃない?」

武内P「あの……それは、ゲームか何かでしょうか?」

未央・卯月・凛「?」

武内P「……!?」

544 = 536 :

武内P「からかっている、訳では……」

未央「ポコチン……大丈夫? 少し、休んだほうが良いんじゃない?」

武内P「なさそう、ですね……」

卯月「ポコチンさん、ソファーに横になってください!」

武内P「……申し訳ありません。少し、そうさせていただきます」

「ポコチン、私達に何か出来る事ある?」

武内P「……」

武内P「少し……一人にして頂けると、助かります」

545 = 536 :

未央「一人にって……そんなポコチン、放っておけないよ!」

卯月「ポコチンさん、何か欲しいものがあったら遠慮なく言ってください!」

武内P「いえ……お気遣いなく」

「遠慮しないで良いから……アンタ、私のポコチンでしょ」

武内P「いえ……渋谷さんのでは――」

「――えっ?」

武内P「あっ、いえ……今のは……!」

「ポコチン……?」

武内P「……!」

546 = 536 :

「え……何? えっ……え?」

未央「し、しぶりん! ポコチン、疲れてただけだって!」

卯月「そ、そうですよ! ねっ、ポコチンさん!?」

武内P「は……はい」

「そう、だよね。ポコチン、疲れてただけだよね」

「ポコチンは……私のポコチンだよね」

武内P「……はい。私は、貴女のプロデューサーです」

「!? ふっ、ふざけないでよ!」

武内P「!?」

547 = 536 :

武内P「あの……渋谷さん!?」

「きゅ、急に私のポコチンじゃないって言ったり……!」

武内P「あ、いえ、それは――!」

「そう思ったら、突然ぷっ、ぷ、プロデューサーだなんて!」ウルウルッ

武内P「! 渋谷さん、泣いて……?」

「っ! ポコチンの馬鹿っ!」ポロポロ

武内P「渋谷さん! まっ、待ってください! 渋谷さん!」


ガチャッ!…バタンッ!


武内P「……どうして……こんな事に……!?」

未央・卯月「……」

548 :

未央「……今のは、ポコチンが悪いと思う」

武内P「本田さん……?」

卯月「ポコチンさん、私達は凛ちゃんを追いかけます」

武内P「島村さん……」

未央「そう、だね。うん、そうしよう、しまむー」

卯月「……戻ってきたら、いつものポコチンさんに戻っててください」

未央「……ポコチン。私達、ポコチンの事信じてるから」


ガチャッ…バタン


武内P「……」

武内P「……本当に……何が何やら……!」

549 = 548 :

武内P「皆さんには、ポコチンという単語がプロデューサーと認識されている……?」

武内P「……」

武内P「では、プロデューサーという単語は……?」

武内P「……!」

武内P「……私の考えが正しいのなら、渋谷さんに謝らなくては」

武内P「しかし、一体何故こんな事に……!?」


ガチャッ


アーニャ「おはようございます、ポコチン」

美波「おはようございます、プロデューサーさん」

武内P「おはようございます。はい、なんとなくわかりました」

550 = 548 :

武内P「新田さん。少し、お話が」

美波「話、ですか?」

アーニャ「ポコチン、アー、私が居ては駄目、ですか?」

武内P「……そうですね、申し訳ありませんが」

アーニャ「ニェート、構いません」

アーニャ「ポコチンには、アー、いつもお世話になっています」

アーニャ「ポコチンの言う事は、出来る限り聞きたい、です」

武内P「……はい、ありがとうございます」

アーニャ「ポコチン、美波。失礼します」


バタンッ


武内P「……」


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