私的良スレ書庫
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元スレ許嫁「……聞いていない?」
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>>704
ほ
ほ
男(に比べて。今日のことでも、『どうして私が?』なんてのたまいやがって)
男(まあ、予想通りではあったが)
男「……」
男(それに、昨日のこともよく分からないままだ)
男(……ったく。いきなり不機嫌になって)
男(そう言えばあいつ。以前、文化祭のときはもう学校に居ないだろう、なんて言ってたな)
男(委員長と学校案内したときだったか)
男(あのときはまだ、俺に悪口を浴びせてばっかりだった)
男(あれから時間が過ぎて、あいつも変わって……)
男(……)
男「……いや、今もそんなに変わらんぞ?」
委員長「? 何が?」
男「い、いや。何でもない。こっちの話」
男(……じゃあ何が変わったんだろう)
男(……)
男(なるべく考えないようにしてたのに、顔がちょくちょく頭をよぎる)
男(あの目つきの悪いふてぶてしい顔が)
男(小癪なヤツめ)
男(……)
男(昨日は)
男(触れられたくないところを、無理に踏み込んだのかな、俺……)
男「……」
委員長「何か悩みごとかな?」
男「あ、悪い。そういうわけじゃないんだけど、ちょっとな」
委員長「良ければ、聞くよ?」
男「別に悩みごとってほどでも……」
委員長「難しい顔してたよ?」
男「実はな。こっちのメニューより委員長のメニューのが美味しそうだったかなって――」
委員長「……やっぱり、私じゃ頼りにならないかな?」
男「……、そんなことは」
委員長「もしかしたら、自分だけじゃ分からないことがあるかも」
男「……」
委員長「誰かに話すことで少しは楽になれるかも」
男「……」
委員長「無神経に踏み込んでこないで……って?」
男「ああ。言われてみて確かに、配慮が足りなかったかもしれないって」
委員長「その人って……」
男「ちょっとした知り合いだ。だけど、ちょっと変わってて。何考えてるか俺にはいまいちよく分からんヤローで」
男「……まあ、そんな相手とはいえ。俺も少し無遠慮だったかなって」
男「もしかしたら、そういうところあるのかな、俺」
委員長「……」
男「って。まあ、そこまで気にしてるってわけじゃないんだけどな。昨日そういうことがあったってだけで」ポリポリ
委員長「……分かりやすいな、もう」ボソ
男「ん?」
委員長「ううん。そっか、そんなことがあったんだ。それで、今日たまに難しい顔してたんだ」
男「え? いや。今ちょっと思い出しただけだよ。不意にな、悪い」
委員長「……そっか」
委員長「私は――」
委員長「私は、それは君の良いところだと思うけど、な」
男「え?」
委員長「相手のこと、気にかけてるんでしょう? それで、もしも何かに困ってるんだったら自分ができることがないだろうか、って思うんだ」
男「や、そんな善人じゃないよ」
委員長「そうかな?」
委員長「今日のあの女の子のことだって、そうでしょう? 初めから、どうやってお母さん探してあげようかって考えてた」
委員長「子供と接するのだって慣れていないのにね?」
男「な、なんだよ、急に。そんなにおだてて、さてはココ奢らせる気ですか?」
委員長「フフ。知らなかったな。実は照れ屋さんだったのかあ」
男「ぬあっ」
委員長「今回はちょっと上手く行かなかったのかもしれないけれど」
委員長「だからって、次を躊躇わなくていいよ」
委員長「私は、それは君の良いトコだと思うから」
男「……う」
男「め、面と向かってそんなこと言われると、スゲー恥ずかしいんだが」
委員長「……あ、あはは。言わないでー。私もちょっと恥ずかしくなってきちゃったよ」
男「そう言ってくれてありがとう」
委員長「ううん。ホントのことだよ」
男「……そうなれれば良いよな」
委員長「え?」
男「俺に良くしてくれる人がいるから、だから俺もできるだけ人にやさしく、って思う」
男「だけど、なかなか難しい。昨日だって結局相手のつまらない挑発に乗ってしまって、腹を立ててしまった」
委員長「……そうなんだ」
男「ああ。まだまだ俺も修行が足りないと痛感したぜ」
委員長「……」
男「日々是精進、ですな」
委員長「……贅沢、だよ」ボソ
男「え?」
委員長「そのひと。贅沢だと思う」
男「ぜいたく?」
委員長「君みたいなひとがいるのに。自分のこと、気にかけてくれるひとがいるのに、それなのに、そんなこと」
委員長「そういう人が居てくれるってこと、当たり前のことなんかじゃないのに……」
男「……。委員長は優しいな」
委員長「えっ?」
男「ありがと。……だけど、まあ、そいつも色々。考えるところがあったんだろう」ポリポリ
男「今思い返すと、俺はもう少し配慮するべきだったのかもしれない」
男「スゲー変わったヤツとはいえ、アイツにはアイツの考えや感じることがあるだろうし。それにあの挑発だっていくらアイツでも、本心だとは到底思えないし――」
男(……そうか)
男(俺も思わず腹を立てたみたいに、アイツの態度も本意じゃなかったのかもしれない)
男(自分でも思いがけず……)
委員長「……」
委員長「……そのひとって、親しい人、なのかな?」
委員長「君にとってどういう人、なんだろ?」
男「俺にとって?」
男(それは……)
男(勝手に決められた許婚で、同居人。それにクラスメイトで、バイトの同僚で――)
男(いや、そういうことじゃなくて。俺にとっては……)
『俺とお前なんて、ただの他人にすぎない』
『互いの意思に関係なく、たまたま居合わせただけだ』
男(……なんて。昨夜は頭に血がのぼってあんなこと言ってしまったが)
男「難しい質問だ」
委員長「そうなの?」
男「知り合ってからそこまで長いってわけでもないんだけど」
委員長「……うん」
男「振り返ると。迷惑かけられたことしか思い浮かばないんだ、コレが」
男「プライド高くて負けず嫌いだから、面倒なヤツなんだよ、まったく」
委員長「……あはは、そんなひとなんだ」
男「うん。その割りにリターンは限りなく少ないような……」ウーム
男「それ考えると、今ウジウジ考えてるのがなんか馬鹿らしくなってきたぞ」
委員長「……」
男「まあ、その人となりが面白い、って思うときもあるっちゃあるけど」
委員長「……そっか、そうなんだ。……そっかそっか」
委員長「ちょっと羨ましいかな、そのひと」
男「そうかあ?」
委員長「そんな風に自分が好きなように振舞っても、結局君が世話を焼いてくれるんだもの」
男「え……」
委員長「な、なーんてね。あははは」
男「このままじゃ良くはないってのは自分でも分かるし、もう一度話してみるよ」
委員長「……うん」
男「聞いてくれてありがとう」
委員長「ん。……何も、君にとってプラスになるようなこと言えなかったかも」
男「そんなことねーよ。委員長が言ってた通りさ。話すことで、少しは楽になった気がする」
男「ありがとな」
委員長「……ううん。どういたしまして」
委員長「何だか今日、いろんなこと喋ったね?」
男「そうだな。つい、言わなくて良いようなことまで言ってしまったような……」
委員長「そう?」
男「委員長って話しやすいから」
委員長「そ、そうかな? そう君に言われると嬉しいけど」
男「アレだな、これはもう委員長の母性のなせる業だな」
委員長「……え?」
男「母親のごとき委員長の慈愛がそうさせるのに違いないな、うむ」
委員長「母親……?」
委員長「……」
男(驚いた顔で、こっちを見ている……)
男「っと悪い。ちょっと今のはいくら何でも変すぎた発言だったか?」
委員長「ううん。そうじゃなくて。私……」
委員長「本当に?」
委員長「君が、本当にそう思うの?」
男「え? あ、ああ。そう思うけど……」
委員長「だけど私。私――」
男「委員長?」
委員長「っ」
委員長「あ、も、もう。変なこと突然言わないでよ。君からそんなこと言われるなんて、ビックリしちゃったなあ、もう」
男「悪い。同級生に言うセリフじゃなかったな」
委員長「そうだよ。私には、良い母親なんて無理な話だよ」
男「え、そう思ってるのか?」
委員長「あ、いや。深く考えてるワケじゃないけどね。私には難しいかなって」
男「そんなことはないと思うが……、まあ。良い母親って言葉は抽象的すぎるけど」
男「委員長が母親だったら、子供は嬉しいんじゃないかなって思うけど……、委員長?」
委員長「……本当に?」
男「今日の迷子の女の子だって楽しそうにしてただろ?」
委員長「……うん。可愛い子だった」
委員長「そっか、ありがと……ありがとう」
委員長「ふふふ。でも、駄目だよ?」
男「え、何がだ?」
委員長「せめていい奥さんになりそうって言ってほしかったなー。もしかして私所帯じみてるのかな? なんて思っちゃうよ」
男「悪い、気がきかねーな、俺」
委員長「なんてねー。ふふふ」
男「さて、もう良い時間になったな。そろそろ出るか?」
委員長「……仕方ないなぁ」ボソ
男「委員長?」
委員長「あのね」
男「?」
委員長「君のこと、気になってしかたないみたい」
男「……え?」
委員長「ふとしたときに、君のことばかり見てるの」
委員長「授業中、休み時間。お昼のとき、放課後になっても。ふと気がついたら、君のこと見つめてるの。君は気がついていないのかもしれないけどね」
男「え……」
委員長「……。彼女の話だよ」
男「彼女って誰のこと言ってるんだ?」
委員長「本当に分からない?」
男「……」
委員長「特に最近。新しい学期に入ってから。その頻度が増えたかな? ……何かあったのかな?」
男「何かって。いや。別に何も……」
委員長「例えば。一緒にファミレスで働き始めたり、一緒に夏祭り行ったりとか?」
男「……よくご存知で」
委員長「えへへ。耳ざといかな、そうかな、私」
男「だからと言って、特別に大した何かがあったわけじゃないよ」
委員長「でもそうやって、一緒の時間を積み重ねた……違う?」
男「……委員長、何が言いたいんだ?」
委員長「あのときね」
委員長「私が、今日のことの誘ったあのとき。どうして、彼女あんな態度になったのかな? 急にそっけない感じ」
男「……何考えてるかよく分からないヤツだよ」
委員長「私だって同じだよ」
男「え?」
委員長「私だって良い気分にはならないと思うな」
委員長「だって」
委員長「自分の気になる人が、自分では入っていけない話を楽しそうに誰かとしてるんだもの」
男「それは……」
男(……前に。アイツが転校生に誘われたとき、その対応で機嫌損ねたことがあった)
男(あれは帰りの心配じゃなくて、もっと別のことを心配してほしかった……のか?)
男(……)
男「や、でも。それは随分子供っぽいというか」
委員長「そうかな? 自分って思い通りにならないもの。そして、そのことに戸惑っちゃ
う」
委員長「それで……それで。後悔したりする」
委員長「どうして私は、あんな気持ちになっちゃったんだろう、あんなことしちゃったん
だろう、とか」
委員長「君はそんなことない、かな?」
男「……。いや、そうだな。俺もそうだ」
男(まさに昨夜、そう思ったばかりじゃないか)
委員長「多分ね」
委員長「君が考えているよりずっと。彼女の中の君の存在は大きいの」
委員長「ふと。目で追ってる自分に気がつく、なんてね」
男「俺には、とてもそんないじらしいヤツとは思えないが――」
委員長「今、何してるんだろう、とか。何考えてるんだろう、とか」
委員長「私のこと、どう思ってるんだろう、とか」
委員長「そればっかり考えてしまうの」
男(……委員長?)
委員長「なのにね」
委員長「なのに。対面すると、素直に言葉が出てこないんだ」
委員長「色んなことが邪魔して、ホントに伝えたいことも伝えられない」
委員長「自分が思ったとおりに自分が動いてくれない」
委員長「なのに、こころは自分勝手なことを叫び続けて」
委員長「それに私は混乱してしまう」
委員長「どうすればいいのか分からなくなる」
委員長「本当は、ただ」
委員長「ただ……」
委員長「私を見て欲しいだけなのに」
委員長「……な、なんてねー」
委員長「えへ。えへへへへへ。ちょっと演技過剰だったかな?」
委員長「調子に乗りすぎちゃった、つい。真面目な話しているのに、ゴメン」
男「いや……」
委員長「これはもしかしたら言いすぎたかもしれないけど、彼女も近いこと思ってるんじ
ゃないかな?」
委員長「私はクラス委員長としてそう思うのです!」
委員長「……って考えると、悪いことしちゃったかな? 私」
男「それはさすがに、委員長が謝ることじゃないと思うが……」
男「……」
委員長「ふふふ。早く彼女と仲直りしなきゃだね」
男「……そんなに分かりやすかったか?」
委員長「うん。君はね、分かりやすいよ」
男(つい昨日、バイト先で同じこと言われた)
委員長「ずっと見てれば、ね」ボソ
店外
委員長「ごちそうさま。……ホントに良かったの?」
男「ああ。こういうときカッコつけるためだけに、嫌々バイトしてるからな」
委員長「ふふふ。そうだったんだ? じゃあ、お言葉に甘えることにするよ」
男「随分、日が落ちるのが早くなってきたな。もう秋か」
委員長「これから寂しい季節だね」
男「何言ってんだよ? 文化祭もこれからだし、食欲の秋に、読書の秋だ」
男「それに、片付けの秋だし、バイトの秋だし↓、ハッピー・ハロウィンの秋だし。うーん。掃除の秋ってのも風流があっていいなあ」
委員長「そんな秋もあるんだ? 掃除の秋って初めて聞いたよ」
男「何だったら委員長も作ってみると良い。委員長は何の秋にしたいんだ?」
委員長「ふふふ。うーん私は、できれば、リスタートの秋にしたいかな?」
男「おっ、いいな。秋はそれにぴったりの季節だ!」
委員長「おやおや? それってホントかなあ? ふふふ」
……
帰り道
男「あったあった! 中学のときだよな、それ」
委員長「そうそう。黒服の人たちがたくさん来てね。とんでもない事件かと思ったよ。なんだったのかしら?」
男「うーん。実はお偉い出自の生徒が、お忍びで通ってたとかじゃないか」
委員長「ロマンがあるね。だとしたら、誰だろ?」
男「え、そうなの?」
委員長「そう言ってたよ。実は子供の頃、ここら辺に住んでたんだって」
男「で、今またこっちに転校してきたってことか?」
委員長「うん。住んでる場所は変わったらしいけど」
男「そうなのか。じゃ、もしかしたら、俺たちとも以前に会ったことあるのかもしれないな」
委員長「そう思ったんだけどね。絶対に分からないよって言ってた、彼」
男「子ども会とか、地域の集まりとかにあんまり参加してなかったのかな」
委員長「あったねー子ども会。懐かしい響きだ」
男「そうか。そう考えると、幼なじみでもあるのか俺たち」
委員長「幼なじみって言えるほどかなって思うけど。昔から一緒のクラスになること多かったね」
男「そう言えば、その度にクラス委員長だったような……」
委員長「うん。そうでなきゃいけないって思ってたから」
男「真面目なんだな」
委員長「そんなことないよ。でも、それももうやめる。次からはいちクラスメイトに戻ります」
男「そか。じゃもう委員長って呼べないな」
委員長「……それもちょっと名残惜しいかもしれないって思った」
男「ははは」
委員長「ふふふっ」
委員長「あ……着いちゃった」
男「え?」
委員長「私の家、すぐそこなんだ。だから、ここでいいよ。ありがと」
男「そっか。意外と家、近かったんだな。知らなかったよ」
委員長「……うん、知ってる」
男(? 何を?)
男「今日は滞りなく仕事が終わって良かったな」
委員長「……うん」
男「文化祭が成功すればいいな……いや、成功させるぞ」
委員長「うん。そうだね」
男「じゃ。また学校でな!」
委員長「……うん。また」
委員長「……」
男「……」テクテク
委員長「ねえ!」
男「? どうした? まだ何かあった?」
委員長「……あのね。私、私――」
男「? 委員長?」
委員長「私……」
男「……」
委員長「ううん。今日は、ありがと! 今日行くことができて良かったよ!」
男「や、今日のは元から俺の仕事だって話――」
委員長「私、嬉しかったよ。本当に嬉しかった!」
男「……委員長?」
委員長「文化祭、頑張ろうね!」
男「……ああ。こっちこそ、ありがとな! じゃ、また!」
委員長「うん! またね!」
男「おう、バイバイ!」
委員長「うん!」
委員長「……バイバイ」
……
委員長「……本当は分かってたんだよ?」
委員長「私の気持ちって本当は、つたないものだって」
委員長「最初から間違ってるって知ってた」
委員長「だから、結末なんて分かってた」
委員長「でも、そんな気持ちでも。濁っていても。大事にしてきたつもりだったんだよ」
委員長「……」
委員長「今、外で良かったな。私……」
委員長「……」
委員長「……ふふふ」
委員長「いいお母さん、だって」
委員長「おかしいよね? だって私――」
委員長「……」
委員長「でも、そっか。私なんかでも。なれるかな?」
委員長「……うん。よし。ガンバロ。少しずつ、ね」
委員長「……」
委員長「そうだ。ありきたりだけど……」
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