私的良スレ書庫
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元スレ許嫁「……聞いていない?」
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この後輩ちゃんには、駅前を全力ダッシュで駆け抜けて、大声で男に告白…とかそんなこっぱずかしい事をしてほしいな
>>563
な?もしもしだろ?
な?もしもしだろ?
>>565
眉間に刺さってるでかいブーメラン早く抜けよ
眉間に刺さってるでかいブーメラン早く抜けよ
いやぁ文章とか人物描写とかうまいなぁ、うらやましいわ
一気に読んだ
一気に読んだ
……
教室
委員長「では! 我が校の誇る文化祭に向け、最初にやらなければならなくて、そして一番大切なことをします!」
委員長「つまり! 『私たちのクラスが何をするか』の決定です!」
委員長「みんな今までいろいろ考えてきたと思うけど、今日決定してしまいますよ!」
委員長「じゃ、忌憚なき意見よろしくね!」
「チュロス屋さん」「焼きそば屋」「ダンスバトル」
「お化け屋敷」「けいどろ」「人類補完」「掃除」
「限定ジャンケン」「男装女装喫茶」「鉄骨渡り」「読書会」
「どろけい」「地下チンチロ」「ホムンクルス制作」「ケーキ屋さん」
「囲碁サッカー」「人体練成」「清掃」「星の屑作戦」「クレープ屋さん」
「テラフォーミング」「リアル鬼ごっこ」「親指探し」「石仮面制作」
「墾田永年私財法」「マンガ肉作り」「たこ焼き食べさせ屋」……
男「……」
男(いろいろ出たが……)
男(みんな結構無茶苦茶なこと言ってない?)
男(……)
男(何だよ墾田永年私財法って。言いたいだけ違うんか)
委員長「じゃ、ここからそれぞれ意見を出していって。無理そうなのは消していきましょう。その上で投票して決定!」
男「……混沌とした状態が秩序を持ったとき、一部としてはエントロピーは小さくなっている」
男「だが、その秩序を作るために使われたエネルギーを考えてみよう」
男「それだけの熱量を得るために、何が必要とされただろうか」
男「……」
男「そうだ」
男「宇宙は、そしてその規模で考えれば、時間とともにエントロピーが増大する……これは基本的な法則であり、原則だ」
男「うちゅう の ほうそく を身にもって感じることが出来る!」
男「どうだろう、今度の文化祭では、これをやってみないか?」
男「皆で宇宙の神秘を感じてみよう!」
シーン
男「あれ? 反応がないぞ?」
男(……そうか。みな感動してモノも言えないのか!)
許嫁「あなたのアホっぷりに呆れているのよ……たかが掃除をよくそういうもったいぶった言い回しができるわね」
男「な……なんだと!?」
許嫁「だいたい何なのよ掃除って。どこの世界にわざわざ文化祭で掃除をしたい人間がいるのよ」
男「そ、そんな! これほどまでにエントロピーの法則を分かりやすく身近にできる行為は掃除のほかにないのに!」
転校生「……ま、まあ。そこまで悪くないんじゃないかな?」
友「えっ!? 本気で!?」
転校生「掃除は確かに面倒な部分もあるけど、楽しいって思うこともあるからね」
男「……お前マジで言ってるのか? 悪いものでも食ったのか……?」
許嫁「どうしてあなたが引いてるのよ」
男「何だよ。じゃあ、そういうお前はどうなんだ」
許嫁「え?」
男「文化祭で何かしたいものがあるのか?」
許嫁「そ、それは……」
男「はっ。どうせ『男装女装喫茶』とか挙げたんだろ」
許嫁「……はい?」
委員長「……」
男「まあ、有りがちって言えば有りがちだけど。女装ってのはちょっとなあ」
許嫁「私。何も言っていないけれど」
男「分かるぜ? 確かに、女子が中途半端でなく、きっちりとした男装をすれば、それなりに見ごたえのあるものになるだろう」
男「背が低い子は可愛い感じに。長身のイケメンにもなれるだろう」
男「だが問題は男子だ。どう頑張っても仕方ない男はいるんだ……」
男「もちろんそりゃ、あいつみたいに生まれた男もいるけども!」ビシッ
転校生「……? え、あ! ぼ、僕のこと?」
男「でも、やっぱり、無理なものは無理だし!」
男「メイド服なんて着させられた日なんて恥ずかしいだけだ!」
委員長「……」
男「やれやれ、考えるだけで恥ずかしいったらねーぜ。どうせ布面積の少ないメイド服とか短いスカートとか着させられるんだろ」
委員長「……」
男「そんなん着させられたら、営業中恥ずかしくてスカートの裾必死で引っ張っちゃうな!」
委員長「……」ゴクリ
男「っと。ちょっと一人で喋り過ぎちゃったか。掃除のことを馬鹿にされてつい――」
委員長「待って」
男「えっ?」
委員長「それで? 詳しく続けて?」
男「……い、委員長?」
……
男「いや、そういうのはやっぱり男としては恥ずかしいし……。まあ、全く興味がないかって言われたら俺は……。否定はできないけど……その」
男「でも、だからと言って……」
男「いや、しかし……」
男「……」
男(って俺は何を言ってるんだ? クラス全員の前で)
男(そ、そもそも女装なんて俺がやりたいわけじゃない)
「……」
男(ほら、皆も引いてるし……特に女子が……ん?)
「良い……良いわ……」
「アリね」
「その場合受けは誰が……」
男「えぇ……」
委員長「どうやら決まったみたいね」
男(何だこのクラス……)
……
男(というわけで『男装女装喫茶』に決まってしまったが)
転校生「……」
男「どうした? 浮かない顔だな。文化祭楽しみにしてたんじゃなかったのか?」
転校生「ああ、いや。楽しみではあるんだが……ただ、その。女装ってのがちょっと……」
友「気が進まないの? 似合いそうだけどなあ」
転校生「いや、うん……まあ。その……だからこそ遠慮したいっていうか……」
友「ふうん。以前に女装したことあるんだ?」
転校生「え!? い、いや? そんな経験はないが? ただ、なんとなく、そんなふうに思っただけだ」
男「そんなに嫌だったら、お前だけ特別に普通の格好にしてもらう? せっかくの文化祭でいやいや押し付けるのもな」
友「それはそれで。男装した女子の中にまぎれても違和感なさそうだけど」
転校生「そ、それも何だか嫌だな。……、し、仕方ない。女装頑張ってみるよ、は、ははは……」
ファミレス
男「そういうことなんで、これから配慮していただけると助かります」
店長「OKOK。君の学校、文化祭大規模らしいからね。ふたりのシフト調整しておくよ」
後輩「ところで、先輩のクラスは何するか決まったんですか?」
男「あー……喫茶店をやることになって」
店長「へえ。喫茶店ねえ。いいじゃない」
後輩「むっ?」キュピーン
後輩「さてはセンパイ女装しますねっ!?」
男「な、何故分かった!?」
後輩「『あー……』←この間ですね。先輩の躊躇いと照れが少なからず表現されてました。先輩がそのような反応なのは珍しいです。そこから導き出される答えはズバリ女装! それも短いスカートの女装! 間違いないです!」
男(やだこの子ちょっと怖い)
店長「そうなんだ。面白いことをするねえ……じゃあ彼女は男装を?」
男「ええ、そうですね。まだ決まってないですけどタキシードみたいなの着るんですかね」
店長「結構似合いそうだなあ」
男(確かに)
店長「ふむ。じゃあ僕も君に協力してあげようか」
男「え?」
店長「店の女子用制服、1着用意しておくよ?」
男「……ちょっと何言ってるか分からないんですけど」
店長「文化祭に向けての練習ってことでさ、この店でも女装していいんだよ?」
男「なんで僕が許可貰う形になってるんですかね」
店長「そんな照れなくていいからさー」
男「いや照れとかじゃなくて軽蔑を含んだ拒絶なんですけど」
店長「それにもしかしたら、君の女装によって新たな客層が開拓できるかもしれない」
男「なおさら嫌だわ!」
店長「しょうがないなー。ここは僕が一肌脱ぐってことで。僕も一緒に女装してあげよう! それだったらいいかな?」
後輩「……刑法174条に定められ、罰則は6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留、科料とされている」
店長「……公然わいせつ罪は言い過ぎじゃないかな」
家庭科室
男「へえ。ケーキかあ。いいじゃない」
転校生「ああ。一応とはいえ喫茶店だしね。メニューのひとつとして、申し出てみたんだ」
友「ケーキ作れるの?」
転校生「うん。実は、ってほどでもないけど。家族のためにお菓子作ることあるからね」
友「お菓子作りまでできるとは……。ギャップ萌えまで備えてやがるのか! この野郎は!」
転校生「ぎゃっぷもえ?」
男「それで、ケーキって言っても色々あるが、何作るんだ?」
転校生「ああ、パウンドケーキだ」
男「……あ、パウンドケーキかあ」
転校生「ん、何だ? 何か引っかかる言い方をするな?」
男「いや、嫌いじゃないんだけどさあ……ケーキって言われてさあパウンドケーキが出てきたら」
男「今夜はカレーよと言われてドライカレーが出てきたときのような」
男「寿司食べよか言われてちらし寿司だったときのような」
転校生「……分かるような分からないような例えを」
男「嫌いじゃない、いやむしろ好きなほうなんだけど!」
男「こんなふうに考えてしまってゴメン。ゴメンね、パウンドケーキ!」
転校生「何言ってるんだ君は……まあいい。試食してみてくれ」
男「ふむ。しかし、美味そうは美味そうだな……どれどれ」
男「……」モグモグ
転校生「……。どう、かな?」
男「!?」
転校生「? どうだ?」
男「ウッマ!? なんじゃこりゃあ!」
転校生「そ、そうか?」
男「ちょっと驚いた、めちゃくちゃ美味いぞコレ」
転校生「ほ、ほんとう?」
友「くそう。悔しいが、確かに美味い。相当な腕だ……」
「美味しい美味しい」
「これ文化祭で出てくると驚くレベルだよ!」
「お洒落な喫茶店で期待しちゃうくらい!」
「クラスのメニュー、メインに決定だね!」
転校生「そ、そこまで褒められるとなかなかうれしいな」
男「結構自信あったんだろ、これ?」
転校生「ま、まあ。弟が特に好きだったから。結構何度も改良重ねて作ってたんだ」
男「いやあ。これは良いお嫁さんに慣れそうだな!」
転校生「そ、そんなに褒めるなよ。て、照れるじゃないか」
友「……反応間違ってね?」
教室
トントントンカンカンカン
男「よし、これを繋いでっと……」カンカンカン
男「……」カチャカチャカチャ
友「お? そっちできた?」
男「OKOK! できたぜ!」
友「ほら、この長さで良い筈だ……どう?」
男「うん? ……お、ちょうどだ! 流石だな!」
友「へへ、やったぜ。……こうやって、皆で何かを作るのも楽しいもんなんだな」
男「あれ? お前のクラスって去年何してたっけ?」ギュイーン
友「え?」
友「俺のクラスは確か……展示会みたいなのやってたよ」
男「展示会……あの映画のヤツ? あのクラスだったんだ」ギュルルルルルル
友「そうそうそれそれ」
友「だから、こんなに大規模に造る、みたいなのはなかったんだよな」
男「そうだったんだ」バンバンバン
友「……。そん時はお前とはまだ知り合えてなかったよな、確か」
男「そうだったな」ギュインギュインギュイン
友「……、今年は一緒にやれて良かったぜ」
男「ははっ。そんな深刻に言うなよ! どうした、センチメンタルか?」ギュリギュルギュルギュル
友「いや、そういうわけじゃねーけどさ」
友「なんとなくだよなんとなく」
男「ははっ。だな。俺もそう思うぜ。お前と一緒にやれて楽しいよ」グワァラゴワガキーン
友「……」
男「よっしゃ。もうひと頑張りだぜ!」ギリギリギリギリジンジン
友「ところでお前は何を作っているんだ?」
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