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元スレ許嫁「……聞いていない?」
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数時間後
男「お先に失礼しまーす」
男「ふぅ……」
男「店長め……忙しいからって無理やり延長で働かせやがって」
男「本部にクレーム入れてやるか……あの店の店長、バイト全員に手を出してる変態ですよって」
男「……」
男「俺にも影響あるかもな、やっぱ止めよう」
男「いくら店長相手にでも大げさに騙るのは良くないしな、うんうん」
男「それに考えると店長にも良いところが……」
男「……」
男「何か考えている時間が人生の無駄のような気がしてきたぞ」
男「さっさと我が家に帰ろう」
家
男「ただいま~」ガチャ
男「おかえりっ☆遅かったね」
男「ああ、忙しくて時間伸びてね」
男「そうなんだ、お疲れ様でした。それで、どうする?」
男「え?」
男「お風呂にする? ご飯にする? そ・れ・と・も~私?」
男「ぜ~んぶっ」
男「きゃっ☆ 欲張りさんなんだから☆」
男「……」
男「シャワーを浴びよう」
男「ふう。一息ついたぜ」
男「何か妙に疲れているし今日は早目に寝るべきかな……」
男「……」
男「などと現実逃避をしたところで状況は変わらず」
男「ったく。まだ帰ってきてないのかよ。我が許嫁は」
男「荷物はあるし、出て行った訳ではなさそうなんだが……」
携帯prprprpr
男「はい、もしもし」
友『あ、もしもし。オレオレ、俺だよ俺』
男「どした? 事故って示談金が必要なのか? 口座番号は?」
友『えらい展開はえー詐欺だな。ま、それはさておき、ちょっと話があるんだが』
男「ちょうど良かった。俺も尋ねたいことがある」
友『お、そうか? お前からでいいよ』
男「ウチの許嫁のことなんだけど、何かご存知ないかしら?」
友『帰ってないの?』
男「その通り」
友『ついに反抗期か』
男「反抗していない時期を知らないんですが」
友『放課後、早くお客様にご奉仕じだいよおおお~って興奮しながらお前が教室を出て行ったあとだけど』
男「頭ヤベーなそいつ」
友『帰り支度の最中、委員長が校内や部活の説明を申し出るも、彼女素気無く断っていたね』
男「委員長、健気なコだね」
友『それからお前の許嫁は、他クラスのヤジ馬を尻目にそそくさと帰って行った』
男「ヤジ馬?」
友『特別可愛い転校生ってなれば見てみたくなるもんだよ。何かと理由つけてウチのクラスにきてた』
男「そうなのか」
友『そのあと俺は帰宅の途についたんだ。んで、商店街。そこを通りかかったときに彼女をまた見た。トボトボ歩いているところだった』
男「商店街か」
友『ただ、お前の家とは逆方向だったよ。学校へ向かってた。忘れ物でもしたのかなと思ったけど』
男「なるほどな」
友『で、大丈夫? 女子一人で歩くにはちょっと不安な時間帯に入りかかっているが』
男「しょうがないから探しに行ってくる。なんとなく理由は思い当たるし」
友『手貸そうか?』
男「見つからなかったら頼むわ。そのときはまた電話する……あ、お前の用件は?」
友『大したことじゃないしまた明日でいいよ。んじゃ』
商店街
男「商店街は多くの店がもう閉まっている……」
男(お、あの店はまだ開いてるな。ちょっと聞いてみるか)
男「すいません。お尋ねしたいことがあるんですが」
「はい?」
男「すげえ横柄かつ高慢で目つきが悪くて、外見だけは可愛い、そこの学校の女子生徒を見ませんでしたか? こんな髪形の」ヒョイ
「ああ、見た見た。なかなか目を引くコだったし、何度か店の前を通りがかっていたから覚えてるよ」
男(まさかコレで分かるとは……)
「でもどこに行ったかまでは分からないねえ」
男「すいません、ありがとうございます」
男(学校まで行ってみるか)
男「いねーな。どこをほっつき歩いてやがる」
男(もしかして何かに巻き込まれたか? いや、でも……)
男「学校についてしまったが……ん。門のところにいるのは」
許嫁『……』ショボン
男(しょぼくれておる)
男(結局帰り道が分からなくなったんだろうな)
男(覚えたなんて強がりやがって。ここらは割りと入り組んでて。行きと帰りじゃ見えるものも違うっていうのに)
男(すぐに見つかって良かったぜ。ったく)
男(しかし、これからこいつと生活を続けなければいけないのか)
男(せっかく俺は一人でも悠々と暮らしていたっていうのに)
男「……」
男(今からでも無理だと強く訴えれば拒否できないだろうか)
男(あの家で、他人と一緒に暮らすなんて到底我慢できないと言って――)
許嫁『……』ショボン
男「……」
男(何か事情があるんだろう。そうでなければ、こんな強引なやり方はしてこないか)
男「ま、仕方ない」
男「よっ」
許嫁「っ」
男「どうした、そんな顔して」
許嫁「別に」
男「どうしたんだ、こんな時間まで学校に残って? そんなにこの学校が気に入ったのか?」
許嫁「初めて来た場所だから、色々と確認しておきたいと思ったのよ。何かおかしいかしら?」
男「そうなのか。俺はてっきり帰り道が分からなくなったのかと思ったよ」
許嫁「そんな訳ないじゃない。ちゃんとあなたにも言ってたはずだけど?」
男「あー、そうだったな。悪い、忘れてた」
許嫁「しっかりしておいて欲しいわね」
男「じゃ、俺はこれから深夜俳諧に行ってくるから。気をつけて帰れよ」
許嫁「え……」
男「たまたま通りかかっただけなんだ」
許嫁「そ。好きになさい。私としても、これ以上あなたと顔あわせることなくすんで清々するわ」
男「……」
許嫁「っ」
男「……くっ」
許嫁「……?」
男「くくくっ、ははははっ」
許嫁「な、何よ?」
男「い、いや、ごめんな。本当は、俺はもう用事が終わってて。これから家に帰るところなんだが」
男(意地を張るのもここまで突き抜けると。呆れを通りこして笑えてくるぜ)
男「ま、せっかくだから一緒に帰ろう」
許嫁「……」
男「紳士だからな、レディをお送りするのは当然のことだ」
許嫁「そうね……それくらいは、あなたみたいなのでも当然よね」
男「この商店街を抜けて……」
男「次はそこのコンビニを目印に左だ」
許嫁「……」
男「ちなみに俺は、この道をカバディと連呼しながら全力疾走するのが習慣だ」
男「近所の小学生からはカバディのお兄ちゃんと呼ばれてるぜ」ドヤア
許嫁「……それそんなに誇らしげに話すことなの?」
男「あとはもう、ここを真っすぐ歩くだけで俺の家だ」
許嫁「……」
許嫁「ねえ、あの……聞きたいことがあるのだけれど」
男「何だ」
許嫁「あなたは本当に知らなかったの?」
男「何を?」
許嫁「このことよ。許婚のこと」
男「全く知らなかった。初めに言った通りだ」
許嫁「……そう。知らない振り、しているんだと思ってたわ」
許嫁「私の家はね、とても大きい。敵も多いわ。外にも内にも。だから、どんな相手にも油断できない」
男「うん」
許嫁「昨日、突然許婚のことを告げられたの」
許嫁「それまで聞いたこともなかったあなたの家に行くことになった」
許嫁「何かあったんだと思った。お父様の顔を見るとすぐに分かったわ」
許嫁「すまない、と謝られた」
男「そうか」
許嫁「さっき、ようやくまた連絡がついたの。少しの時間だけだったけど……。もうしばらくこっちに居てくれって。許婚のことは無理をする必要はないが、今はまだ、って」
男「ふむ」
男「祖父がいてね」
許嫁「え?」
男「強引な人なんだ。祖父が関わっていることは間違いない。何の目的なのか、そしてそちらの家と祖父にどんな関係があるのかは知らないが」
男「ま、あんまり物言わない人だからな」
許嫁「そう……」
男「昨日電話で確かめたとき、しばらく続けなくてはならないと言われた。すぐには解消できないとな」
許嫁「……分かったわ」
男「ん?」
許嫁「少なくとも、あなたが敵ではないことは分かった」
男「やはり……分かりますか。隠そうにも隠しきれない、この誠実さが」キリッ
許嫁「何かを企んでいるにしては、あなたはとても単純そうだから」
男「ああ、そう」
許嫁「何故私があなたみたいな庶民の家にいなければならないのか分からないし、あなたが許婚だなんて絶対に認めないけれど。今は、この生活を続けるしかなさそうね」
男「仕方ないな。ま、俺の寛大な心で今までの無礼は水に流してやろう」
許嫁「無礼だったのはあなたも同じでしょう?」
男「あ、今一緒に水に流れていっちゃったみたい。しゅゴゴゴゴゴ」
許嫁「……あなたってやっぱり馬鹿だわ」
男「いかにせん けんな娘と 仮契り」
許嫁「? 何言ってるの?」
男「深夜俳諧」
>>60
ご創造にお任せします…
ご創造にお任せします…
男のセンスがいいな
明日から使いたくなるフレーズが多くて楽しいわ
乙です
明日から使いたくなるフレーズが多くて楽しいわ
乙です
家
男「で、だ」
男「とりあえず同居生活をするにあたって色々と決めておくべきことがある」
許嫁「ろくでなしと同居なんて嫌でたまらないけど、やむを得ないわね」
男「まずは食糧問題」
男「一応聞いてみるけど料理はできる?」
許嫁「一応って何よ一応って」
男「できるの?」
許嫁「……したことがないだけよ。する必要がなかったから」
男「だろうな」
許嫁「何よ、そういうあなたは料理できるのかしら?」
男「一人暮らししてたわけだし、一応はできるよ一応は」
許嫁「くっ」
男「とはいえ、俺が毎食作るって訳にもいかないしな。出来合いのものやら宅配やらも利用して何とかしよう。ご飯ぐらいは炊けるんだろう?」
許嫁「そ、それくらいなら……」
男「米洗うときはちゃんと洗剤使えよ」
許嫁「そのくらい分かってるわよ」
男「……」
男「ま、まあ次に深刻なのが経済格差だな」
許嫁「経済格差?」
男「金だよ金」
許嫁「確かにそうね。庶民のあなたと私じゃ、とても大きな開きがあるわ」
男「しかし今日の昼は、俺が金を出さなければご飯を食べられなかった」
許嫁「っ」
男「お前に持ち合わせがない以上、今は俺が上、貴様が下だあああぁ」
許嫁「くっ……こ、このっ」
男「ククク。まあ、この家の光熱費等は気にしなくていいんだが、食費や衣服等諸々は必要だ。しかしお前は現金を持っていない」
男「とは言え、俺も鬼じゃない。色々と買うものもあるだろう。……大事に使えよ」スッ
許嫁「……そんなもの受け取れないわ。私の必要な分は、お父様に言えばきっと――」
男「実を言うと、コレさっき振り込まれたお前の分なんだよね」
許嫁「それを先に言いなさいよねっ!!!!!!」バッ
男(だんだんこいつのことが分かってきた)
男「あとの家事は分担で。ま、慣れてないだろうし掃除等はお前が使うモノや場所だけでいい。洗濯もな」
男「できるだけ自分のことは自分でする、個人個人で。何かあればその都度言ってくれ」
許嫁「……」
男「ん? なんだ?」
許嫁「別に。少し意外だっただけよ」
男「?」
男「ふぅ」
男(短い間くらいなら、何とかやっていけそうか)
男(少なくとも向けられる敵意はなくなったようだし……好かれてはいないが)
男(しかし、何考えてんだろうか、あの人は)
男(彼女も全く違う環境に突然連れてこられて大変だろうに)
男(……にしても、金持ちってのは皆あんななのか?)(偏見)
翌日
教室
友「へー。とりあえず和解と」
男「和解というよりは我慢だな。互いに」
友「ははは」
男「笑いごとじゃないぜ。ったく……ん? 委員長?」
委員長「ね。ちょっと良いかな?」
友「はい、何でしょう」キリッ
委員長「うん。あのね、新しく来た転校生のことなんだけど……」
男「あー……ね。まあ確かに。全然クラスに馴染めていないよな。本人もその気がなさそうだが」
友「壁があるね」
委員長「うん。でも、やっぱり良くないと思うの。初めてのあいさつの時、短い間って言ってたけど、だからこそ良い思い出持って貰いたいし……だから、どうしたらいいかなって」
友「委員長はええ娘やで」
男「でも何で相談の相手を俺たちに?」
委員長「昨日、学食で一緒にご飯食べてたでしょう? もしかして仲、良いのかなって思って」
男「あれはまあ成り行き上で仕方なく……むしろ嫌がられてると思う。けど、よく見てるんだ」
委員長「えっ?」
委員長「そ、そうね。そこまで見ていたつもりはないんだけど、そ、その、何となく、目が向かうっていうか」
男「そこまで彼女を気にしてたのか……うーん、だったらどうにか……」
委員長「……そうね」
男(とは言ってもな、あの頑なな性格は厄介だ)
男(素直に言って聞くことはないだろう)
男(本人としても今ココにいるのは不本意なことなんだろうし)
友「お、教室に入ってきたぜ」
許嫁「……」スタスタ
男(しかし考えても埒が明かない)
男「よし、ここはストレートに言ってみる」
委員長「え?」
男「やあやあ元気かね? 困ったことはないかね? んん?」
許嫁「……何?」
男「そうか、それならば何よりだね」
許嫁「……」
男「で、そんなキミに話があるんだがね、何、悪い話じゃないよハハハ」
男「……という訳だ。君もこのクラスの一員である以上、平穏のために少しは協力し給え」
許嫁「……」
男「ついては今日の放課後、クラス委員長がキミに校内を案内してくれるそうだ。良かったじゃないか」
許嫁「……」
男「焦らなくても良い。そうやって少しずつ周りに馴染んでいけばいい。うんうん、理解してくれて結構。ではよろしく頼むよ、はっはっは」
許嫁「待ちなさいよ。私は何も言ってないわ」
男「ちっ。正面突破は無謀だったか」
友「あれで行けると思ったのかアイツは……」
許嫁「だいたいあなたの言うことを聞く義理なんてないわ」
男「俺の言うことを聞けって訳じゃねーよ。もう少し周りの人と打ち解けるようにしたらどうかって話だ」
許嫁「どうして?」
男「どうしてって。集団生活を過ごす上で必要なことだろ?」
許嫁「それはあなたたちの考え方でしょう? 私は誰かに合わせる必要なんてない」
男「はっ。合わせる必要がないんじゃなくて合わせる力がないんだろ」
許嫁「……なんですって?」
男「お高くとまっちゃって。その実、どうやって人と付き合えばいいか分からないって訳だ」
許嫁「……くだらない挑発。さっきから一人でキイキイキイキイうるさいわ。まるで猿よ」
猿「ウッキィー!!!!? ウキキキキキィィィィ!!!!!?」
許嫁「似合ってるわよ。ずっとそれでいたら?」
猿「この女、言うに事欠いて……。ふん、そんなんじゃ友人もロクにできないだろう」
許嫁「媚びて相手の顔色を伺うくらいなら、一人のほうがよっぽどマシだわ」
男「そう嘯いて、一人さびしく居る気か」
許嫁「それで結構」
男「口の減らない……」
男「○△□×~」
許嫁「○△□×……」
男「~!」
許嫁「~?」
男「!!」
許嫁「~~」フッ
猿「ムキィ!」
友「駄目みたいですね」
委員長「……あの二人、どういう関係なの?」
友「え?」
委員長「いえ……」
猿「ふう、交渉成立したぜ。とりあえず今日の放課後は学校案内だ」
友「お前猿から戻ってないぞ……って、ええ!? マジかよ。あの状況から?」
男「ああ……! 俺の熱心な説得にな、ヤツの凍りついた心もほだされたってわけさ」
許嫁「あなたがしつこいのが煩わしかっただけよっ!」
男「聞こえてたか」テヘ
放課後
許嫁「どうして、あなたもいるのよ? 案内してくれるのは彼女じゃなかったの?」
男「うん。まあ、その。成り行きだ。成り行き」
委員長「あ、あはははは……」
男『えっ? 俺も一緒に案内するの? さっきのやり取り見てたでしょ?』
委員長『でもその、な、仲良さそう? だったし……』
男『いや、委員長も首かしげてるじゃん。疑問符ついてるじゃん』
友『でも、現状彼女とまともに意思疎通してるのってお前くらいしかいないぜ』
男『あれがまともの範疇だったら、世界は概ね平和だよ』
委員長『駄目かな、やっぱり?』
男『う……』
友『委員長だけだと大変そうだろ? 君もこのクラスの一員である以上、平穏のために少しは協力し給え』
男『ぐっ……仕方ないか』
委員長「……でね、そのつきあたりが図書館。もちろん本の貸出もしているから、何か借りたいものがあれば図書委員さんに尋ねるといいわ」
男「結構蔵書も多いって評判だ。つっても俺はほとんど借りたことないけど」
許嫁「あなたって無教養そうだものね」
委員長「ここが生徒指導室。普段は使わないんだけどね、先生と個別のお話があるときはこの部屋を利用することがあるの」
男「何らかの悩みや問題を抱えた人がここに呼ばれることが多いな」
許嫁「あなたはしょっちゅう呼ばれてそうね」
委員長「武道場。私たちも体育の授業や集会等で使うことがあるわ」
男「放課後はいつも、部活生の奇声や気合が熱く飛び交ってるぜ」
許嫁「ひん曲がった根性の持ち主であるあなたとは正反対ね」
男「お前はいちいち俺の悪口を言わなきゃ気が済まんのか」
委員長「大会議室がここ。この学校ね、秋の文化祭にはとても力を入れているの。夏の終わり頃には毎日、この部屋で会議をしているわ」
男「ウチの文化祭はちょっと凄いんだぜ。外部からも客が沢山くるし、何より皆一生懸命に準備する」
許嫁「そ。でもそのときには、私はこの学校に居ないと思うわ。ここにいるのも短い間のはずなんだから」
委員長「そうなんだ……それは残念ね」シュン
男「ま、もしそうだとしても見に来ることはできるだろ?」
許嫁「私は――」
委員長「そうね! せっかく同じクラスになれたんだし! そのときはぜひ来て欲しいわ」
許嫁「……、考えておくわ」
委員長「一緒に準備出来れば一番いいんだけどね」
男(仮に、ここに委員長がいなければ)
許嫁『どうして私があなたたちの行事に付き合わなければならないの?』
男(とか言いそう)
許嫁「……何? 何か言いたいことでもあるの?」
男「さて、次はどこに行くかな」
委員長「これでだいたいの説明は終わったかしら?」
男「特別な施設があるわけでもないからな、こんなもんかな」
男「そういやお前の以前いた学校って、どんなところだったんだ? やっぱり金持ちの学校は、こことは全然違うのか?」
許嫁「……」
委員長「おかねもち?」
男「あ……悪い、これあまり言わない方が良かったか?」
許嫁「別に構わないわ。隠すようなことでもないもの」
男「ん、そうか。まあ、彼女の家はちょっとした資産家なんだよ。だからどうだって訳でもないけどな」
委員長「そうなんだ」
許嫁「失敬なことを言うわね。私の家はこの国でも指折りよ。ちょっとした、なんて余計な気でも回したつもりかしら?」
男「……だ、そうだ」
委員長「そ、そうなの……指折りって……凄いんだ……」
男「コホン。まあ、それで。学校の敷地はやっぱり広いの?」
許嫁「……」
男「生徒会執行部には絶大な権利とか与えられてたりするのか?」
許嫁「……」
男「専用のコックいるの?」
許嫁「……」
男「一人ひとりに執事がついてくる?」
許嫁「……。何であなたの質問に答えなきゃいけないのよ」
男「俺が聞きたいからな」
許嫁「何様のつもり?」
男「ここで言うのか?」
委員長「?」
許嫁「……はあ」
許嫁「分かったわ。あなたに張り合うのも馬鹿ばかしいもの。そ、お嬢様学校よ。女子生徒だけの」
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