元スレ京太郎「新入部員が」ムロ「私だけ!?」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★×6
251 = 1 :
アレクサンドラ「さてさて、早速いただくとするか」
アレクサンドラ(ざるそば、天ぷら、漬物は大根ときゅうりか。薬味はシンプルにネギとわさび)
アレクサンドラ(最初は薬味を入れないで食べてみるか)
アレクサンドラ「ずずっ」
アレクサンドラ(ふんふむ。香りが強いな、これが新そばってやつか。すする時に蕎麦の濃い香りが口から鼻から入ってくる)
アレクサンドラ(それに歯ごたえもいい。しっかりしてて、丁寧に打たれた蕎麦なのが分かる)
アレクサンドラ(それじゃ、天ぷらいってみようか)
252 = 1 :
アレクサンドラ(天ぷらは大葉、かぼちゃ、茄子そして……)
アレクサンドラ「大きいな……コレはマイタケか」
アレクサンドラ(通常の天ぷらセットでは海老天だけどこの限定メニューではマイタケが変わりに入る)
アレクサンドラ(しかし、このボリューム)
アレクサンドラ「どうにも御しがたいな……。ん?これは……」
アレクサンドラ(天ぷら用の塩……抹茶塩、梅塩、柚子塩……なんだこれは!?なんでこんなに塩の種類が?)
アレクサンドラ(しかし、これで味を変えて飽きる事なく食べれそうだ)
アレクサンドラ「サクッ。もぐもぐ」
アレクサンドラ(マイタケのシャキシャキした歯ごたえ。天つゆで食べるのもいいが、これは塩との相性はバツグンだな)
アレクサンドラ「ずるるっ」
アレクサンドラ(マイタケの風味と蕎麦の風味!一緒に食べるとスゴイオイシイ!)
253 = 1 :
「おまたせしました、蕎麦湯です」
アレクサンドラ「ありがとう。ふぅ……」
アレクサンドラ「蕎麦の茹で汁の美味さが分かれば日本人ってサトハが言ってた……お?」
アレクサンドラ「もう少しゆっくりさせてくれよ……って、片岡さんか」
アレクサンドラ「もしもし……うん……そう。この話受けてくれるのね」
アレクサンドラ「それじゃあ詳しい話をしましょう……明日また学校でお話したいんだけど……」
アレクサンドラ「そうね、それじゃあ時間は……」
翌日 清澄高校 麻雀部部室
京太郎「話し合い、そろそろ終わったかな」
和「どうでしょうねぇ」
京太郎「臨海の監督さん来て1時間くらいか……何話してんだろうな」
和「なんでしょうねぇ」
京太郎「部長は生徒会だし、染谷先輩も何処行ったんだろうな」
和「どこでしょうねぇ」
京太郎「話もう終わっ……」
和「少し落ち着いたらどうですか?」
254 = 1 :
京太郎「ご、ごめん。そうだな……お茶でも淹れて落ち着けるか」
和(6杯目はいりまーす)
ガチャ
優希「……」
まこ「すまんの、遅くなったわ」
和「あ、優希。染谷先輩も」
京太郎「お疲れさまです。染谷先輩も一緒だったんですね」
まこ「ああ。それでの……ホレ、優希……」
優希「私……」
優希「私、片岡優希は、この度、臨海女子に、行く事を、決意しました……!」
京太郎「そうか……。それがお前の決めた道だって言うなら、応援するぜ!」
和「私もです。応援してますよ優希」
まこ「まあ、その前に実力テストとか色々あるけえ、確実に臨海入りが決まったわけでもないんじゃがの」
和「あ、そうですね」
京太郎「お前、実力テストとか大丈夫か?これで落ちたらカッコ悪いぞ?」
255 = 1 :
優希「ふん、それは心配ご無用!コレを見るがいいじぇ!」
バンッ!
京太郎「こ、これは……」
和「麻雀大会のパンフレットですね。ってこれ……」
京太郎「京都東風フリースタイル……!?」
まこ「ああ。読んで字の如く、京都市で開かれる秋の東風戦の大会じゃ」
まこ「先方が言うには……」
アレクサンドラ『実のところ、片岡さんは個人での実績が無いから候補に挙げるにはちょっと弱いんよね』
アレクサンドラ『だから、この大会で好成績を収めて箔をつけてほしい』
アレクサンドラ『このタイトルは宮永照も持ってるけど、それは2年生の時の話』
アレクサンドラ『それを1年生のアナタが獲得する事で実力テストの成績とします』
まこ「っちゅーわけじゃ」
和「なるほど」
優希「だからテストで不合格になるとかありえないんだじぇ」
京太郎「滅茶苦茶強気だな」
優希「当たり前だ!東場なら私は誰にも負けない!」
優希「それが、相手が宮永照だろうが辻垣内智葉だろうがな……!」
256 = 1 :
まこ「それで、もしテストに合格したら冬を待たずに転校するらしい」
和「えっ」
京太郎「ちょ、ちょっと急すぎじゃないですか!?」
まこ「在籍期間が半年以上でないとインターハイの出場権が得られんそうじゃ」
京太郎「そう、ですか」
和「本当に急ですね……」
生徒議会室
久「……なるほど、そんな規則あったわね」
まこ「わしもすっかり忘れとった。しっかし、あと数ヶ月もしないうちに優希が臨海か……」
まこ「まだ心の整理がついとらんわ……」
久「私もよ。でもすぐに納得しなくてもいいでしょう?まだ時間は残されてるわ」
久「そして、時間が来るまでにちゃんと受け入れましょう」
久「それじゃあ、こんな時に渡すのもなんだけど、コレお願いね」
まこ「なんじゃ?」
久「部活の引き継ぎ書と新しい名簿」
まこ「おま……マジか」
257 = 1 :
まこ「部長:染谷まこ、か……あんまし実感ないのう」
久「習うより慣れろ、よ。そのうち貫録も出てくるわよ」
まこ「そんならええがの」
まこ「部員:片岡優希、須賀京太郎、原村和……」
まこ「優希もすぐにおらんくなるわ」
まこ「そしたらすぐ冬休みじゃ。年も明けて……学校始まって、春には和も転校する。残るんはわしと京太郎……」
久「もう、なんて顔してんのよ」
まこ「みんなバラバラになるっちゅーのに、それを知っとるのに、皆なんも言わん」
まこ「優希も和も京太郎も……でも、わしは……」
久「まこ」
まこ「……あ」
久「まだ何も終わってないわ」
まこ「ひ……さ……」
まこ「一度に全部背負い込む必要なんて、何処にも無いのよ?」
258 = 1 :
久「一歩ずつ、前に進めばいいの」
まこ「……ん」
久「ねぇ、覚えてる?前に、県予選の帰り道。夢を見てたって話」
まこ「夢……」
久「そう、私が1年の頃に見てた夢」
久「いつかこの部屋が部員でいっぱいになって、皆の笑い声で満ちて……そんな夢よ」
久「私達は先に居なくなっちゃうけど、でも、きっと来年は沢山の部員が入ってくる」
久「私に全国の夢を見せてくれた貴方ならきっと……」
まこ「わしが……」
久「うん」
まこ「……う……うぁ……」
久「頼んだわよ、部長」
まこ「ッ……」
久「今は泣いていいから……」
久「あの子たちの前では笑って、笑顔で送り出してあげましょう」
259 = 1 :
現在 電車内
「……ょう……」
まこ「ん……」
「ぶちょ……」
まこ「んあ……?」
京太郎「染谷部長、もうすぐ会場着きますよ」
まこ「ん?そか……」
ムロ「朝早かったですからね」
京太郎「大丈夫ですか?まだ寝ぼけてます?」
まこ「……夢、見とった」
ムロ「夢ですか?」
まこ「ああ、懐かしい夢じゃ」
トシ「起きたかい?まあ、二人とも今日は見学だからね」
260 = 1 :
トシ「京太郎の方は大丈夫?」
京太郎「はい。身体の調子も特に異常ありませんし、牌譜も読み込みました」
京太郎「良いコンディションです」
まこ「そりゃええわ」
京太郎「はい」
京太郎「ようやくか……インターハイ」
同時刻 東東京
優希(ようやくだじぇ……インターハイ)
ハオ「優希、ここに居たんですか」
優希「おお、出迎えごくろうだじぇ!」
ハオ「監督達は先に会場に入ってますよ」
優希「タコスを調達するのに少し手間取ったんだじぇ。京太郎が居ればすぐ作ってもらえるのに」
ハオ「早く行きましょう。ところで……」
ハオ「本当にそのままの格好でいいんですか?」
優希「ロンオブモチ!私といったらこのトレードマークのマントだじぇ!」
261 = 1 :
ハオ「別にいいですけど」
優希「それにコレはみんなから貰ったものだから……」
ハオ「清澄の人に買ってもらったんですか?」
優希「ううん。そうじゃなくて」
優希「コレは……」
まこ『この眼鏡はじいちゃんから貰ったモノなんじゃがな、そん時に』
まこ『わしの代わりにこの眼鏡でようけ景色を見てほしいっちゅーての』
まこ『わしも色んなモン見てきたが、まだまだじゃ。まだ見た事ない景色がたくさんある』
まこ『優希が清澄から巣立って、今よりもっともっと高いところまで行ったら……』
まこ『わしにその景色がどんなんだったか教えてくれんか』
優希「コレはみんなから貰った私の翼だからな!」
262 = 1 :
今日はここまで
またしばらく書き溜めを探しに行きます
>>235
セーターくらい着なさい
265 :
乙
書き溜めはあるよ、ここにあるよ
とか言ってくれる子が見つかるといいね
266 = 246 :
乙でした
そしてやっぱり挟まれる孤独のグルメっぽい要素
267 = 246 :
改めて考えたらムロこの状況でよく清澄入ったね?
268 :
転校半年で公式戦出られるって選手の取り合いえぐいことになりそうやな
269 :
こんばんわ。あったかくない……
>>266
これが実際に孤独のグルメ(文庫版)片手に書いてるんですよーぅ
あんまり似せてないけど
ちなみに前回の食事シーンで出てきた 抹茶塩・梅塩・柚子塩 は
それぞれ まこ・ムロ(1年のリボンが赤)・京太郎 を表しているという
ホントどうでもいいお遊び要素が入ってます
最近、バターコーヒーなるものが流行っているようです
想像するにホット・バタード・ラム的飲料かと思ってたんですが
なんでもバター入りコーヒーでダイエットできるとか。マジかよ
朝に飲むといいらしいです。でも普通のバターじゃ駄目とか言う。マジかよ
そこで普通のバター入れて、さらに砂糖入れてみたらコレが美味しい!
まったりした甘さが口の中に広がって、あまりコーヒーを飲まない人にもオススメです
少し酸味が気になる時は、塩をほんのちょっぴり入れるといいですよ
それでは短いですが投下します
270 = 1 :
インターハイ長野大会 男子県代表選抜個人戦
地区予選1日目 A卓
京太郎(さて、これが俺の2回目の公式大会なわけだけど)
京太郎(去年は午前中に敗退決定なんて、笑えるような笑えないような結果だった……でも)
京太郎(今年はそうはいかない)
京太郎(学校のためとか仲間とか、鍛えてくれた人達のためとか、色々あるけど……)
京太郎(まずは自分のために)
京太郎「よろしくお願いします」
会場 ロビー
ムロ「始まりましたね。須賀先輩は大丈夫でしょうか」
まこ「アイツなら大丈夫じゃろ」
トシ「アレで肝っ玉強いからね。格上相手でもひるまないで冷静に対処できるさ」
まこ「伊達に全国プレイヤーに揉まれとらんわ」
ムロ「そうですよね」
271 = 1 :
トシ「それじゃ、私達も移動しようか」
まこ「最初はドコ見るんです?」
トシ「千曲東と今宮女子あたりから見ようかね」
ムロ「龍門渕とか風越はいいんですか?」
まこ「アイツらはシードじゃけぇ試合は午後からじゃ」
ムロ「あ、そうでした」
トシ「うん、それにまこなら主要メンバーの打ち筋は大体分かってるからね」
まこ「ここにきて変わっとらんがええがの」
トシ「奇襲戦法をとられたらその時はその時さ」
まこ「それに……もしかしたら無名校にもの凄い打ち手がおるかもしれんしの」
ムロ「去年の清澄みたいにですか?」
まこ「今年の清澄みたいにじゃ」
ムロ「も、もう!」
トシ「順当に行けばその2校は決勝に出てくるからね」
トシ「予選と決勝なら、決勝の打ち筋を研究した方がいいさ」
まこ「下手したら大将戦まで持たんかもしれんし、ここは数多く見れる方が得じゃ」
272 = 1 :
観戦室
ムロ「あんまり人居ませんね」
まこ「普通こんなもんじゃろ。部屋の外まで溢れる方がおかしいんじゃ」
トシ「龍門渕は全員3年生だし、なおの事注目されてるみたいだね」
まこ「あのお嬢様は目立ってナンボじゃけぇ、気分もええじゃろう」
ムロ「ははは……」
控室(龍門渕高校)
一「1回戦始まったみたいだね」
純「去年のインターハイの影響で女子の競技人口が増えてレベルが上がったとか言われてるけど」
純「ま、オレがいつも通りトバしてくるわ」
一「うん、頑張ってね純君」
透華「ふふふ……」
一「と、透華?」
透華「来てますわ……」
智紀「なにが?」
透華「来てますわ!龍門渕の時代が!」
273 :
透華「今年こそ、龍門渕が全国出場!そして全国優勝!」
透華「この私の華麗な闘牌にお茶の間の視線は釘づけ確定ですわ!」
純「まーた始まったよ……」
透華「純、獲物は残しておきなさいな」
純「えぇ……逆にメンドクセエよ」
透華「この私の対局を一つでも多く観客に見せるのは最早義務なのですわ!」
透華「きっと観客もそれを待ち望んでいるはず!」
一「まぁまぁ、落ち着きなよ透華。考えてもみなよ」
透華「嗚呼、この胸の奥から沸き起こる昂りは……て、なんですの?」
一「ホラ、予選からいきなり透華が出てくるのはちょっともったいなくない?」
透華「もったいない?」
一「うん。観客の期待に応えるのもいいと思うけど、すぐに出ていくのも味気ないと思うな」
一「バロック組曲でいうジーグみたいなものだよ。ここぞと言う時に出て行った方がより盛り上がるんじゃないかな?」
一「出し惜しみするくらいが調度いいと思うよ」
透華「なるほど。一の言う事も一理ありますわね」
透華「私のこの溢れ出る存在感はフィナーレにふさわしいと言う事ですわね!」
一「そうそう、つまりそういうことだよ」
純「いや、お前副将だろ……」
智紀「シー……」
透華「アイドルたるもの、エンターテイメントな演出も心得ておかなければいけませんわね」
一「そうそう、つまりそういうことだよ」
純「上手もんだなぁ国広君は」
一「透華の扱いならまかせてよ!」
智紀「良いブリーダーになれる」
274 = 1 :
観戦室
ムロ「そういえば、個人戦って初日は東風戦なんですよね」
トシ「そうだね」
まこ「2日目の本選は東南戦じゃけえ、間違えるなよ?」
ムロ「大丈夫ですよ、優希先輩じゃあるまいし」
まこ「それと、初日の地区予選は南北で分かれとる」
ムロ「ウチは南ブロックでしたよね」
まこ「そう、風越も同じじゃ。龍門渕は北ブロックじゃけぇ、あいつらとは本選で対局する事になる」
まこ「予選で稼げたからっちゅーても、本選でもそう上手くいくとは限らん」
ムロ「はい」
『試合終了ー!』
トシ「終わったね、なんだか全体的に初歩的なミスが多かったね」
まこ「あんまし慣れとらんのでしょう、大きい大会で打つのは」
ムロ「……」
トシ「大丈夫だよ」
ムロ「はい……」
トシ「それじゃ、お昼食べに行こうか。京太郎の方も終わったろうしね」
275 = 1 :
食堂
京太郎「ああぁー……」
まこ「お、居た居た」
ムロ「ダラけてますね」
まこ「お疲れさん!」
京太郎「おつでーす」
トシ「どうだった?調子の方は」
京太郎「とーたる125てんで、6いでした」
まこ「お、やるのう!」
トシ「良い感じだね」
まこ「じゃが、これで午後は相手からチェック入るぞ」
京太郎「そーですねー」
トシ「そのダルそうな感じは早速ゾーンに入ってたんだね」
京太郎「はい。でもちょっとはりきりすぎてぺーすはいぶんが……」
276 = 1 :
ムロ「はい、先輩」
京太郎「むろぉ……あたまにのっけんな……なにこれぇ」
ムロ「マックスなコーヒーです。これ飲んで糖分でも補給してください」
京太郎「さんくす」
まこ「このまま順位をキープできればええのう」
ムロ「何位だったんですか?」
トシ「6位だってさ」
ムロ「うわ、凄いじゃないですか!」
京太郎「ゴクゴク……っぷはー」
トシ「相手はどんな感じだった?」
京太郎「んー、特にマークされてる感じはなかったですね」
京太郎「午前のうちに実績のあるプレイヤーとは粗方打ち終わったんで、午後は比較的に楽になりそうです」
まこ「油断しなさんなよ」
京太郎「もちろん。試合の空気にも慣れてきたんで、あとは自分のペースを意識してやってみます」
277 = 1 :
京太郎「女子の方はどんな感じでした?」
まこ「千曲東と今宮女子がおる対局見とったが、あんまパッとせんかったわ」
トシ「午後からは風越か龍門渕の試合を見る予定だよ」
ムロ「……」
トシ「それじゃあ、そろそろ私達は移動しようか」
京太郎「え、もうですか?」
トシ「シード校の対局は競争率が高いから。早く席を確保しないとね」
まこ「そういうわけじゃ。そんで……」
まこ「ムロは京太郎の応援にでも行っとれ」
ムロ「え?」
まこ「あんた、さっきの試合見て雰囲気に飲まれとったろ」
まこ「同じ1年の選手見て自分と重ねとったじゃろ?あの1年も滅茶苦茶緊張しとったからの」
トシ「感情移入しちゃったんだね」
まこ「じゃけぇ、京太郎の試合でも見て自信つけときんさい!」
トシ「じゃ、行こうか。京太郎、午後の試合も頑張るんだよ」
まこ「それじゃあの。ムロの事、任せたぞ」
京太郎「あ、はい……」
ムロ「……」
278 = 1 :
京太郎「緊張してたんだ」
ムロ「……ま、まぁそんな感じです」
京太郎「公式試合は初めてじゃないんだろ?」
ムロ「はい……インターミドルに出た事はあります。結果は散々でしたけどね」
ムロ「中2の時の団体戦は1回戦敗退。去年の個人戦は予選落ち……」
京太郎「奇遇だな、俺もだ。しかも午前中には結果決まってたんだぜ?」
ムロ「先輩は緊張してないんですか?プレッシャーとか……」
京太郎「プレッシャー?あるけど」
ムロ「……見えませんけど」
京太郎「そうか?まぁ、人から見てわかるようじゃちょっと緊張しすぎだな」
ムロ「う……」
京太郎「ムロって、結構人の事見てるよな」
ムロ「そうですか?」
京太郎「ああ。さっきの団体戦の選手見て、自分も緊張しちゃったんだろ?」
ムロ「そう、みたいです……」
279 = 1 :
京太郎「それに、俺が疲れてるの察してコーヒー買ってきてくれたし」
ムロ「いや、あれは誰でもわかりますよ」
京太郎「あはは、そうか」
ムロ「そうですよ、もう」
京太郎「……ムロはさ」
京太郎「ムロは人の気持ちがよくわかるから、それで自分の気持ちにしちゃうんだ」
ムロ「……」
京太郎「でも、あんまり自分を見ないでいると自分がなくなっちまうぞ」
ムロ「わたしが……」
京太郎「ほら、自分を信じるから自信って書くだろ?まず自分がいなきゃ」
ムロ「なんか金子みすゞみたいですね」
京太郎「懐かしいなぁ、教科書で見た事あるわ。つか、久しぶりに聞いたその名前」
ムロ「あんまり詩とか読まないですか?」
280 = 1 :
京太郎「いや、読まないな。読書は咲の専売特許だったし」
ムロ「いやいや、専売特許って……。別に先輩も読書していいでしょ。本くらい読みましょうよ」
京太郎「雑誌は読むけどな」
ムロ「それは読書とは言いません」
京太郎「それじゃあムロはどんな本読んでるんだ?」
ムロ「私ですか?えーと……」
ムロ「月刊MOEとか……?」
京太郎「雑誌じゃねぇか!」
ムロ「え、私読書するって言いましたっけ~?」
京太郎「言っ……たような気がするような。そういう流れだったろ!」
ムロ「先輩いつから流れ論者に……。和先輩が知ったらなんて言うか」
京太郎「お前はバリバリのオカルトのくせに!?」
281 = 1 :
京太郎「ったく」
ムロ「あははっ」
『まもなく、午後の試合が始まります。各選手は対局室に移動してください』
京太郎「お、時間だな」
ムロ「ですね」
京太郎「それじゃあ行ってくる。……ムロ」
ムロ「なんですか?」
京太郎「ちゃんと見てろよ?」
ムロ「……はい!」
282 = 1 :
今日はここまで
思い出したように京ムロ入れる。久々に回想なかったなぁ
285 :
乙でした
287 :
おつ
sage進行だからちょくちょく忘れるのよね
やっと気付いた
288 :
こんばんわ
雪降ると寒さの質が違いますね
進行速度が速くないスレなのですぐに追いつけてイイネ!
書いた後で、設定の矛盾とまではいかないけど不自然な流れになってるのに気が付いて
なんやかんや修正を試みるも結局リライトするっていう……
では投下します。今週はムロ強化週間です
289 = 1 :
インターハイ長野大会 男子県代表選抜個人戦
地区予選2日目
昼休み ロビー 談話スペース
京太郎「あれ、天江さん?」
衣「おお、キョータローではないか」
京太郎「こんにちは。どうしたんです?こんなところで」
衣「透華に呼び出されたんだ、衣が直々に奇幻な手合いを探していたのだが」
衣「藤田の奴に見つかってしまってな……」
京太郎「逃げてきたんですか……そういえば藤田プロは今年も解説されてましたね」
衣「そんな事よりキョータロー!見事な健闘ぶりだな!」
京太郎「ありがとうございます。これも天江さんやみんなのおかげです」
京太郎「まだまだ上に行きますよ!」
衣「うむ、その調子だ!勇往邁進だ!」
290 = 1 :
京太郎「ところで、誰か気になる選手は居ましたか?」
衣「いや、衣が見た限りでは目を掛ける程の才華はそんなに居なかったな」
京太郎「何人かは居たんですね」
衣「まぁな。それは清澄の2人も入っているぞ」
京太郎「お、そうですか。天江さんに認められるとは、染谷部長は流石としてもムロもですか」
衣「なかなか面白い打ち手ではないか」
京太郎「そっかぁ……へへ、なんか嬉しいですね」
衣「それに、あいつはなんだか昔の衣に似ている気がしてな……」
京太郎「え?」
「ほう……天江衣がそこまで言うとは、興味深い」
京太郎「あ」
衣「げ」
靖子「げ、とはなんだ。げ、とは」
京太郎「藤田プロ!」
衣「何しに来た!」
靖子「こっちから天江衣の匂いがしたからな……よっ」
衣「うわぁ!」
291 = 1 :
衣「くっこの、離せ!」
靖子「よーしよしよしよし」
衣「なでるなぁ~……」
ムロ「せんぱーい!ここに居たんですか……って何これ」
京太郎「おうムロ。見てのとおりだ」
ムロ「いや見てわからないんですが……」
京太郎「女子の方も休憩?」
ムロ「はい、今さっき中堅戦の前半が終わったところです。部長達も待ってますよ」
衣「このゴミプロ雀士!あ、あまり衣の忌諱に触れない方がいい……!」
靖子「じゃあ頭に触れとくよ」
衣「ふわぁぁ……」
京太郎「それでは、俺たちはこの辺で失礼しますね」
靖子「ああ。……そうだ、お前あれからなかなか鍛えられたようじゃないか」
京太郎「そうですね。インハイが終わってから、皆さんにはお世話になってます」
292 = 1 :
靖子「あん時はまだまだひよっこだったがな」
靖子「あの久の置き土産だ。凡庸では無いとは思っていたが……面白い」
衣「い、いつまで撫でてる気だ!おい、お前たちも見ていないで助け……」
京太郎「それじゃお疲れ様でしたー」
ムロ「おつかれさまでーす。決勝頑張ってください」
衣「ちょ、待てえええぇぇ!キョータロー、ヒロコオォォ……!」
食堂
トシ「お、来たね」
京太郎「ただいま戻りました」
まこ「調子はどうじゃ?」
京太郎「良いですね。だいぶ落ち着いて打ててます」
まこ「そりゃええわ」
トシ「残りは半荘6回だね、頑張りなさいよ」
京太郎「はい!」
京太郎「あ、そういえばさっきそこで天江さんと藤田プロとお会いしましたよ」
まこ「藤田さんは女子の解説しとったからの。で、そこに天江衣か」
京太郎「撫でくり回されてました」
まこ「ははは、じゃろうな」
京太郎「ところで、女子の決勝はどんな感じでした?」
まこ「んーそうじゃのう……」
293 = 1 :
ムロ「先鋒戦では井上さんが活躍してましたね」
まこ「去年以上の大暴れでサンコロしとったのう」
トシ「他の3校も防御に徹してたんだけど、止まらなかったわねぇ」
京太郎「あの人、勢いに乗ると天江さんの支配すらブチ抜くからなぁ……」
京太郎「それで、次鋒戦は……あっ」
まこ「……」
ムロ「えーと、区間1位は鶴賀でした……」
京太郎「出たんだな……」
ムロ「はい」
トシ「あれは本当にビックリしたよ」
まこ「出やすいけぇ……四暗刻は出やすいけぇのう……よくあるよくある」
京太郎「ないです」
まこ「グオゴゴゴ……」
294 = 1 :
ムロ「中堅戦ではあまり点数が移動してませんね」
京太郎「へぇ、それじゃあ今は龍門渕がトップでいいのか?」
ムロ「はい。その次に鶴賀、風越、千曲東です」
トシ「風越はちょっと意外だったねぇ。やっぱり稼げるところで稼げないと厳しいわね」
まこ「中堅の子も結構攻めとったんですけどね」
京太郎「やはり次鋒が鬼門か」
まこ「……ありゃ無理じゃろ」
ムロ「あはは……」
京太郎「それじゃ、俺そろそろ行きますね」
まこ「しっかりのう」
トシ「京太郎、あんたはいつも通りでいいんだからね」
京太郎「はい!」
295 = 1 :
ムロ「先輩」
京太郎「おう、行ってくる。ちゃんとトロフィー持って帰るからな!」
ムロ「あはは、期待して待ってます!」
ムロ「行ってしまったか……」
まこ「そんな残念そうに」
ムロ「べ、別に残念とかじゃありませんから!」
ムロ「私、午後は男子の個人戦見てますからね!」
トシ「それは別にいいんだけどね、はいドリンク」
ムロ「え?」
トシ「まだ行かなくていいだろう?食後の一杯くらい付き合いなさいよ」
ムロ「あ、はい。ありがとうございます」
トシ「それにあんたらには聞きたい事もあったしね」
ムロ「はい?」
296 = 1 :
トシ「ほら、前に風越に行った時にさ、まこがなんか言いかけてたじゃない?」
ムロ「え、なんでしたっけ?」
まこ「ああ、あれか……」
まこ「そうそう。確か、あれは4月のまだ入学式の前の事じゃったのう……」
2ヶ月前 清澄高校 麻雀部部室
ムロ「おはようございまーすって、誰も居ない」
ムロ「でも鍵開いてたし、どこ行ったんだろ?」
ムロ「それにしても……大丈夫かな」
ムロ「清澄の制服、初めて着てみたけど似合ってるかな?」
ムロ「……」
ムロ「えと、鏡ないっけ?あ、そうだロッカーの扉の裏にあったか」
ムロ「ふぅ……うーん、まだちょっと固いな。下ろし立てだからしょうがないけど」
297 = 1 :
ムロ「スカートの裾長めだけど、短めの方が……いやいやそれは恥ずかしい」
ムロ「あんまり露骨に見えちゃうかもだし、この方が大人っぽいと思うし」
ムロ「あ、ストッキングとか履いとけばよかったかも!もっと大人っぽい感じで」
ムロ「カーディガンとか着るのはどうだろ。こう、ちょっと袖を長めにして」
ムロ「んーでも、それはちょっと私には合わないかな」
ムロ「マホだったら可愛くて似合うんだろうけど、私には……」
まこ「いや、ええと思うよ?」
ムロ「そうかな?でもそれだと少し幼い感じが出ちゃ……」
ムロ「いつから?」
まこ「ストッキングも履けばええと思うよ?」
ムロ「うっわあぁぁ……ちょー恥ずかしいぃぃ……!」
まこ「ククク、なんじゃ似合うとるけぇ安心しぃ」
ムロ「ああ、穴があったら入りたい……」
ムロ「いや、いっそ深い海の底の貝にでも……」
まこ「そんな死刑宣告されたかのような」
298 = 1 :
京太郎「おはようございまーす。あれ、ムロ来てたんだ……ってどうした?」
ムロ「フロランタン美味しうございました、バウムクーヘン美味しうございました……」
京太郎「おいおい、遺書を読むな。何があった?」
ムロ「ふわっ!出た!」
京太郎「俺はゴーストかなにかか」
まこ「ほれ、ムロがわざわざ京太郎に見せに来たんじゃ、言う事あるじゃろ?」
京太郎「お、そういやソレ清澄の制服だな」
ムロ「べ、別に先輩に見せに来たわけじゃ……」
京太郎「いいな、似合ってるぞ!」
ムロ「あ、ありがとうございます。ま、まぁ今日初めて着たんですけどね、その、サイズ合ってて良かったですけど、ちょっとまだ慣れないって言うか、いやすぐに慣れると思うんですけど、えっと、スカートとかもこれ長さ、そのもっと似合う長さとかあったら変えてもいいなぁとか、思って、そこのところどうかなーなんて、ちょっと自分じゃわかんない、客観的にね、見てどうかなーって、その、先輩的にはどのくらいのが似合うと思うのかなって、その、どういうのが、先輩はす、好きなのかなぁとか思ったりして、あ、ストッキングとかも、あれば履きますけど、あの、厚さとかカラーリングとか色々あるし、えっと……」
まこ「落ち着け」
まこ「ちゅー事がありまして」
ムロ「おあああああぁぁ……」
トシ「おやおや」
299 = 1 :
トシ「恥ずかしがる事ないじゃない。男に可愛く見られたいなんて、女の子なら当たり前だよ」
まこ「そうじゃそうじゃ~」
ムロ「ぐぬぬ……そんなニヤニヤして!」
ムロ「ホント、須賀先輩の為とかじゃなくて、新しい制服だったから、ただ単に似合ってるか心配で……!」
まこ「そんで、その日の前に京太郎に女の服装でどんなんが好みですかーなんて聞いとったんですわ」
トシ「これは計画的犯行だね」
ムロ「あっもう……!」
まこ「髪伸ばしとるのもな」
ムロ「……別にぃ」
トシ「いいじゃない、きっと似合うわよ」
ムロ「むぅ」
300 = 1 :
トシ「とき髪に室むつまじの百合のかをり消えをあやぶむ夜の淡紅色よ……」
ムロ「え?」
トシ「若いうちは時間なんていくらでもあると思うけど、過ぎて気づくものよ。とても大事なものなんだって」
トシ「でも、手を伸ばせば届くと思っていたものが、いつの間にか手に入らない事がある」
ムロ「与謝野晶子ですか……」
トシ「そうそう、よく知ってるわね。手をこまねいてたらいつか後悔しちゃうわよ」
ムロ「熊倉先生って結構肉食系ですよね……」
まこ「わしらよりバイタリティあるわ」
トシ「何言ってんだい、若いのがそんな事言ってちゃいけないよ」
ムロ「さて、ごちそうさまでした。私本当に行きますね」
まこ「おう、多分女子の決勝までには終わるじゃろうて。そしたら、わしらもそっち行くけぇ」
トシ「それじゃあ、あと頼んだよ」
ムロ「はい!」
みんなの評価 : ★★★×6
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