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    元スレ京太郎「新入部員が」ムロ「私だけ!?」

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    751 = 1 :

    昼 清澄高校 食堂


    ムロ「あ、先輩だ」


    京太郎「おう、ムロが学食とは珍しいな」

    ムロ「今朝ホットサンドでも作って行こうかと思ったんですけど、パン食べられちゃってまして……」

    京太郎「それは災難だったな」

    ムロ「先輩はまたレディースランチですか?」

    京太郎「おいおい、決めつけはよくないぞ」

      「はい、レディースランチお待たせ」

    ムロ「やっぱりじゃないですか」


    京太郎「たまたまだよ。結果論だな」

    ムロ「今日のレディースランチは新メニューって、入口のブラックボードに書いてありましたよ」

    京太郎「なるほど、なかなか鋭い洞察力を持っている」

    ムロ「そして決め手はポケットからはみ出ているフリーパス」

    京太郎「おっと……オレとした事がうっかりしてたぜ」

    ムロ「はい、証明終了です」

    京太郎「まいった、流石だな。おかずを一品だけ貰ってやってもいいぞ」

    ムロ「わぁい……って先輩が貰うんですか!?」

    752 = 1 :

    京太郎「本日の御注文は?」

    ムロ「キーマカレーですよ。他におかずはありません、残念ですね」

    京太郎「あらら……あ、そうだ。さっきの推理だけど一個だけいいか?」

    ムロ「なんです?」

    京太郎「このフリーパスだけど、実は今日使っていないんだ。なんででしょー」

    ムロ「えっ……それじゃあ、誰か他の女の人に買ってもらったんですか?」

    京太郎「それも間違い……あと目が怖い」

    ムロ「ふぅん、勿体ぶりますね」


    京太郎「正解は……なんと、顔パスで注文できるようになりました!」

    ムロ「どんだけ常連さんなんですか」


    京太郎「去年の夏休み明けから使い続けてきたからな」

    ムロ「そりゃ顔も覚えられますよね」

    京太郎「それもあるけど、もう学校内じゃちょっとした有名人だからな。オレ達」

    ムロ「自分で言うのもなんですけど、そうなんですよね」

    753 = 1 :

    ムロ「……はぁ」

    京太郎「ど、どうしたの」

    ムロ「いや、県予選終わった頃の話なんですけど……」

    ムロ「クラスの友達に『おめでとう』とか『頑張ったね』とか言われたりするんですよ」

    京太郎「オレも言われたぞ、良かったじゃん」

    ムロ「でもたまに『めっちゃ泣いてたね』とか『世界中に泣き顔晒した気分はどうですか?』とか言われるんです」

    京太郎「そんな事言うやつが居るのかー感心しないなー」

    ムロ「ホントにですよ。こっち向いてください」


    ムロ「そうそう先輩、また買い物付き合ってくれませんか?」

    京太郎「いいぜ。何買いに行く?」

    ムロ「んーと、リップクリームにモバイルバッテリーに入浴剤……」

    京太郎「えー、わざわざ入浴剤持ってくのか?」

    ムロ「結構いいですよ。リラックスできて。先輩もどうですか? いつもお疲れのようですし」

    京太郎「検討してみよう。それより、室橋さんには目覚まし時計が必要なのでは?」

    ムロ「なんでですか」

    754 = 1 :

    京太郎「起き抜けはいっつもダルそうにしてるし」

    ムロ「ダルそうだなんて、先輩に言われちゃった……」

    京太郎「おい」


    ムロ「確かに朝は弱いですけど……別に遅刻とかしてないし、いいじゃないですか」

    京太郎「睡眠時間のサイクルって知ってるかい?」

    ムロ「ああ、レム睡眠だのノンレム睡眠だのっていう」

    京太郎「そうそう。90分×n+30分の睡眠時間がいいらしいぜ」

    ムロ「そうなんですか。でも私、布団に入ってもすぐに寝つけないから……」

    京太郎「へぇ、そうなんだ。なんなら子守唄でも歌ってあげようか?」

    ムロ「いりません」

    京太郎「即答」

    ムロ「寝るとき足先冷えちゃってなかなか……かと言って靴下履くと汗かいてまた冷えちゃうし」

    京太郎「冷えてるのに汗かくんだ」

    ムロ「人体の不思議ですよね」

    755 = 1 :

    京太郎「そういやこないだハギヨシさんにさ、旅行先に持ってく物で、あれば便利な物って何か無いですかって聞いたんだよ」

    ムロ「ハギヨシさんかぁ、出先でも色々と何でも用意してそうなイメージですけど」

    京太郎「そしたらさ『研石などはいつも持って行きますね』だって」

    ムロ「研石? 研石ナンデ?」

    京太郎「最初、旅行先のホテルの設備に付いてる包丁なんかは使わないで、自前のを持って行ってたらしい」

    京太郎「で、もちろん研石も持って行くんだけど、どうせ研ぐなら向こうのを研げば荷物減らせるって事に気付いたんだそうだ」

    ムロ「ふむふむ。なんでもかんでも持っていくよりは合理的ですね」


    ムロ「それで、研石持ってくんですか?」

    京太郎「いやいや、持ってかないから。参考にはならなかったけど、面白い話だったよ」


    京太郎「基本的には現地調達なんだってさ」

    ムロ「それが一番手っ取り早いですしね」

    京太郎「まぁそれも時間があればの話だけどな」

    ムロ「そうですね。今週末も既にスケジュール組んでありますから、買い物とか行けませんし」

    京太郎「その分、事前に準備しとかないとな」

    ムロ「はい。あぁ、それにしても惜しいなぁ……」


    ムロ「せっかくの東京なのに」

    756 = 1 :

    夕方 東京 宮永家


    「ただいま」

    「あ、お帰りなさいお姉ちゃん」

    「うん。なんか楽しそうだね、咲」

    「週末は久しぶりに京ちゃん達に会えるからね。色々準備してたんだ」

    「ああ、今週なんだっけ」

    「お姉ちゃんも来たら? なにか予定あったりする?」

    「その日は久しぶりに古書店巡りでもしようかと思ってた」

    「そうなんだ、残念。それにしても、今はネットでも昔の本は買えるんじゃないの?」

    「買えるけど、やっぱり実際に行って見たいし。古い本は一つ一つコンディションとか違うから」

    「そっか」


    「それに、目的以外の本を見るのも楽しい。興味無いジャンルの本でも面白そうなのがあるとつい買っちゃう」

    「ネットだと購入した本に関連するタイトルばっかり表示されて、新鮮味が無い」

    「私、ネット使わないからわかんないよ」

    「そっか……咲はそれでいいと思う」

    757 = 1 :

    「でも、ついつい目的以外の本に目移りしちゃうのはわかるかな」

    「うんうん」

    「本屋さんの入ってすぐの新刊コーナーとかランキングは目に入りやすいから、買う気はなくてもつい見ちゃうよ」


    「そういうのも、ウィンドウショッピングって言うのかな?」

    「どうなんだろ?」


    「そういえば……今日はこんなの買ってきた」

    「なに……あ、眼鏡? お姉ちゃん視力落ちちゃったの?」

    「違う。コレは変装用、度は入っていない」

    「お姉ちゃん有名人だもんね」

    「咲もね」

    「んん、そうかな」

    「そうだよ。咲も掛けてみる? 眼鏡」

    「えっ、じゃあちょっとだけ……」

    「はい鏡」


    「っと……こんな感じかな。どう? お姉ちゃん」

    「……」

    758 = 1 :

    「……いい」

    「え?」

    「いい。凄く」

    「えへへ、そう?」

    「文学少女みたい」

    「読書は好きだけどね。自分で文学少女って言うのはなんか抵抗あるなぁ……」


    「よし。合わせて服も買いに行こう」

    「ええっ今から?」

    「まだお店閉まるまで時間あるし……」

    「だ、ダメだよ。夕飯の用意しなきゃ。もうすぐお母さんだって帰ってくるし」

    「そう……」

    「それに、お姉ちゃんも居ないと間に合わないよ……」

    「そう。それじゃあ、仕方ない」


    「手伝うから、ご飯一緒に作ろっか」

    「うんっ」

    759 = 1 :

    今日はここまで
    ネットで古書買って、いざ開いてみたら旧かな遣いで書いてあって「あっ……」ってなる
    そしてそのまま積み本タワーの建築材に

    761 :

    乙です
    今日は飯テロ無しか

    762 :

    おつ
    ハギヨシさんは道具を選ばないのか…まあモンブチ関連のホテルならちゃんとした物を置いてるんだろうけど
    自分で選んだのしか信用しないタイプかと

    763 :


    その場にあるもので一流のものを作るのが執事なんだよ

    764 :

    多分、100均で包丁買う事になっても、一番出来のいいのを一瞬で選ぶんだろうな。

    765 :

    それで一瞬のうちに鍛えなおすんだろうな

    766 :

    おつ
    手伝いとはいえ料理する照に驚愕

    767 :

    こんばんわ
    ハギヨシは癖が付かないように、あえて一つの道具を使い続けません

    投下します。今回も短い

    768 = 1 :

    東京 新宿駅


    ムロ「ここが新宿……噂に高い迷宮やらダンジョンやらがあるという」

    京太郎「ああ、待ち合わせに宝くじ売り場とか指定したらダメなやつだ……」

    まこ「このあたりは待ち合わせ向いてないからのう。スタバとかもいくつかあるし」

    トシ「昔はもっとスッキリしてたんだけどねぇ」


    ムロ「去年のインハイの時はどの辺に泊まったんですか?」

    京太郎「代々木だったな。駅まで歩いて行けるくらい近かったぞ」

    ムロ「なら結構賑やかな場所なんですね。いかにも都会って感じの」

    まこ「それにもすぐ慣れるけぇ。部屋も落ち着いた和室じゃったし」

    トシ「今年もそこにしようと思うの、風越の方にも連絡しておいたわ」

    まこ「わかりました」

    トシ「京太郎は私と同じ指導者用の棟の1人部屋ね」

    京太郎「ああ、それも去年と同じですね」


    ムロ「なんか1人だけ優遇」

    京太郎「いや、そうでもないぞ? ランドリーまで距離あったりで難点あるし」

    まこ「こうなると龍門渕も来るんじゃろうなぁ」

    769 = 1 :

    トシ「それじゃ、いってらっしゃい。ちゃんと勉強してくるんだよ」

    京太郎「はい、夕飯までには帰ってきます」

    ムロ「行ってきます!」



    東京 府中市


    京太郎「おお、親近感の沸く景色が広がってるな」

    ムロ「東京って言っても落ち着いた住宅街が多いですもんね、この辺」

    まこ「じゃが、こっから電車で1時間もかからずに都心のビル街じゃ」

    京太郎「いいなぁ東京、そういうトコ」


     「ふっふっふ……いいだろーうらやましーだろー!」


    京太郎「なにっ?」

    ムロ「あ、この人は……!」

     「んー? これでも一応変装してたんだけど、バレちゃったなら仕方ないなぁ。私が……」

    まこ「大星淡じゃあ」

    「おおほ……うん、そう。アンタ菫と打ってた人だよね、そっちは県代表の1年坊?」

    ムロ「ど、どうも」


    「で、アンタが京ちゃん」

    ムロ「京ちゃん……」

    770 = 1 :

    京太郎「どうも大星さん、須賀京太郎です。見ての通り、待ち人来らずって感じでさ」

    「んとね、いくら待ってもサキは来ないと思うよ?」

    まこ「なんじゃと」

    ムロ「なにかあったんですか?」

    「ほれ!」

    京太郎「なになに……『ここどこ?』……知るか!」


    まこ「はぁ、またか……」

    ムロ「だ、大丈夫なんですか!?」

    「まぁ、いつもの事だし大丈夫なんじゃないかな。部員に探させといたし」

    まこ「こんな事に休日使わせるんは気ぃ引けるがのう……」

    「3軍以下の仕事は部室の掃除・備品の買い出し・サキの捜索」

    京太郎「当たり前のように部活内容になってる……」


    まこ「じゃが、土地勘の無いトコで迷子はシャレにならんけぇ」

    京太郎「正直、助かりますね」

    ムロ「私達はどうしてましょうか?」

    「じゃあ連絡くるまでテキトーにダベってよっか」

    771 = 1 :

    ファミレス


    カランコロン

    「ふぅ~、すずしぃー」

    京太郎「大丈夫か?」

    ムロ「はい」

    まこ「4人、禁煙席で」


    京太郎「そういやさっき3軍以下はって言ってたけど、白糸台って部員何人くらい居るんだ?」

    「んーとね、私のチーム虎姫を含めて1軍が5チームで25人」

    まこ「白糸台の麻雀部に複数チームがあるのは知っとったが……」

    ムロ「1軍だけでうちの8倍ですね」

    京太郎「言うなよ……」


    「そんで2軍が40人で、えっと……あとの端数が3軍で、んー80人くらい?」

    京太郎「つまり大体150人か……多いな!?」

    まこ「風越の1.5倍おるんか」

    ムロ「うちの50倍……」

    京太郎「言うな」

    772 = 1 :

      「お待たせいたしましたー」

    京太郎「ほら、お食べ」


    「私いちごパフェ」

    まこ「わしはチーズケーキじゃ」

    ムロ「クリームあんみつは私のです」

    京太郎「で、オレがりんごパイか」


    ムロ「こんなにのんびりしてていいんでしょうか」

    まこ「なんもかんも迷子が悪い」

    京太郎「ちゃんと待ち合わせ場所は連絡しといたんだろ?」

    「んっ、バッチシ!」

    京太郎「ならいい。下手にこっちも動いたら面倒になるし」


    ムロ「あんみつ、日本茶がほしくなりますね」

    「そうそう、尭深の淹れるお茶ってスッゴクおいしいんだよー」

    まこ「中堅しとった人じゃな」

    「いっつもお茶飲んでるの、尭深」

    京太郎「試合中でも湯のみ持ってたよな」

    「今日もね、世界のお茶展? だかなんかに行ってくるーって言ってた」

    773 = 1 :

    都内 某イベント会場


    尭深「ふぅ……去年より人多い……」

    尭深「でも、なんとか限定缶は確保できてよかった……」

    尭深「紅茶はこれくらいでいいかな……みんなが飲む分」


    尭深「あれは……ニルギリか。うん、試してみようかな」

    ドンッ

    尭深「あっ……す、すみません」

    ハオ「いえ、こちらこそ不注意で……あ」

    尭深「あ」

    莉子「あれ? ねぇ友香ちゃん、アレって白糸台の渋谷尭深じゃない?」

    友香「ホントでー! 臨海のハオ・ホェイユーも一緒でー!」




    京太郎「ふーん、随分と凝ってるんだ」

    「あの宮永照も認めたおいしさ、だよ」

    774 = 1 :

    ブロロン

    「アレ? あの車は……」

    京太郎「誰か知ってる人でも来たのか?」

    「そういう事ね。アンタ達も知ってると思うけど」

    カランコロン

    「お、遅れちゃってごめんなさい……!」


    まこ「咲!」

    京太郎「おせーよ! ったく……久しぶりだな、咲」

    「うん、久しぶり。京ちゃん」

    ムロ「お久しぶりです、宮永先輩」

    「ムロちゃんとは1年ぶりかな。あっ、全国出場おめでとう」

    ムロ「ありがとうございます、宮永先輩もおめでとうございます」

    まこ「コレばっかりは変わっとらんようじゃのう、咲」

    「染谷先輩……いやぁお恥ずかしい」


     「まったくだ。今日だって私が偶然見つけたから良かったものの……」

    「あう、すみません……」

    「お疲れ様サマ、菫~」

    「先輩を付けろ、淡」

    775 = 1 :

    「今日はどうしたの?」

    「たまには遠くまで走らせようと思ってたんだが、途中で見知ったツノを発見してな、保護したんだよ」

    「ホント助かりました」

    「それに……なかなか興味深い顔にも会えた」


    京太郎「初めまして。清澄2年の須賀京太郎です、咲が面倒かけてすいません」

    「かまわないよ。一応、私の後輩でもあるからな。指導した期間は短いがね……紹介が遅れた、弘世菫だ」

    ムロ「初めまして。室橋裕子です。清澄高校1年です」

    「ああ、君が今年の長野個人2位の」

    ムロ「知ってるんですか!?」

    「それなりにな。インカレ強豪校のスカウトマンには小学生から目を付ける者も居る。流石に私はそこまでしないが……さて」


    まこ「去年は世話になったのう」

    「それはこちらの台詞だ、染谷まこ」

    「随分やられちゃってたよねー」

    「お前は……まぁ、そういう事もあったし、君とはまた打ってみたかったんだ」

    まこ「わしはかまわんが」

    「咲がな、君が存分に実力を発揮できていなかったと言うもので、ずっと引っかかっていた」

    776 = 1 :

    まこ「やりにくい相手が居たもんでのう。じゃが、そりゃただの言い訳に過ぎんけぇ」


    「……よかったら、敗者に弁明の機会を与えてもらっても?」

    まこ「……かまわんよ。わしも敗者じゃ」


    「お昼なのに火花が見えるよ……」

    京太郎「オレも見えるぞ」

    ムロ「私にも」

    「へぇ~面白そうジャン!」


    「あの試合、阿知賀ばっか目立ってて他の3人とも地味だったしねー」

    「ちょ、ちょっと淡ちゃん……!?」

    「ほう……」

    まこ「そこは玄人好みと言ってもらいたいわ」

    「しかもテルの後の試合だったからなおさらね」

    「お前も言うようになったな」


    「これでも現チャンピオンですから!」

    777 = 1 :

    「新2・3年生しかエントリーしてないスプリングでだろう」

    「ふっふん、新1年生にはわかるまい」

    「お前……その理屈だと小学生に負けるぞ」

    「実力で言えば100年生だもんね!」

    ムロ(100年生?)

    京太郎(バカなのか?)

    (そっちは留年したのか……)


    「まぁいい。では早速だが移動しようか」

    (!? 私もケーキとか食べたかったよ……)

      「ありがとうございましたー」


    ピピッ ガション

    「さ、乗ってくれ。淡、今から行く雀荘の場所はわかるな」

    「うん、あそこでしょ? 知ってる知ってる」

    「それならいい。じゃ、先に行って待ってるぞ」

    「ちょちょ!? ちょーい! え? 私は乗っけてくれないの!?」


    「悪いな淡、この車は5人乗りなんだ」

    「ごめんね、淡ちゃん」

    778 = 1 :

    「へ……」

    まこ「ほんじゃの」

    ムロ「お、お先でーす」

    京太郎「バッグくらいなら預かるけど?」

    「あ、うん。お願い……」

    「では出発」

    ブロロン

    「……」

    「行っちゃった……マジで」


    ムロ「あの、いいんですか?」

    「ここから歩いて10分ほどの店だ。腹ごなしのウォーキングには丁度いいだろう」

    まこ「いや、ウォーキングっちゅうか……」


     「はぁ、はぁ……あ、あれあれー!? 車のくせに、お、遅いんじゃないのー!? っはぁ……!」


    ムロ「凄い勢いで追いかけてきてるんですけど」

    「わ、早っ!?」

    「おっと、気が効かなくて悪かった。今、冷房を付けよう」

    ウィーン

     「あ゙ー! 閉めるなコラーッ!!」


    京太郎「……はしってんなァ」

    779 = 1 :

    今日はここまで
    尭深のカフェイン摂取量が怖い

    781 :



    淡……

    783 :

    おつおつ
    最初の一言でワハハかと思ったのあわあわだったか
    いい感じに弄られてるなww

    784 :

    あわあわはええ

    785 :


    あわあわの扱いがひどいww

    786 :

    あわあわ俊足ww

    787 :

    こんばんわ
    トシさんが思ってた以上に若くてビックリしました

    グレンマレイたそprprしつつ投下します

    788 = 1 :

    雀荘


    「ついたああ……はぁ、はぁ……っはぁ……も……むり」


    「お疲れ様、逆に遅かったね淡ちゃん。大丈夫?」

    「か、片腹大激痛……」

    「……食後にダッシュするからだよ」


    「あ、あんなの……無理だよ。流石に、高校100年生でも、車は、無理……」

    「いや、別に並走する必要はなかったんじゃないかな?」

    「もう……喉かわいたーん!」

    「持ってくるよ。なに飲む?」

    「コーラ、炭酸抜きで」

    「たいしたものだね」


    「で、いま何局目?」

    「東三局だよ。最初、東一局に染谷先輩が和了ってその後……」


    ムロ「ツモ! メンタンピン・一発。1300・2600」


    「またムロちゃん。連続で一発ツモだね」

    「へー」

    789 = 1 :

    東四局
    親:室橋裕子


    (……まさか、これほどとはな)

    (染谷まこは何かを読み取って和了っているフシがあった)

    (周囲の状況によって柔軟に手牌を構築する……それゆえに狙いを定めにくい)

    (それに比べて、この1年……)

    ムロ「……」

    (常に真っ直ぐ。それでいてギリギリの所で躱す……そこに違和感がある)


    (愚直なまでに和了に向けて前進するクセに、ここぞという時はいとも簡単にそれを崩す)

    (執着の色を一切見せずに切り捨てる。あまり深入りするのは……)


    キイィィン


    京太郎「……」

    (それに、こちらも何か来ているようだ……)


    「どこまでやれるか見せてもらおうかな、京ちゃん」

    「なーんか嫌な感じィ」

    790 = 1 :

    まこ(見えるか? 京太郎)

    まこ(松実宥が言っとった事じゃ。弘世菫が相手を射貫く時のクセ)

    まこ(わしゃそこまで細かい動作はよう見えんがの。狙い撃つ時はまず……)

    京太郎(右手が動く)


    「……」

    ピクッ


    京太郎(動いた! ターゲットは……)

    まこ(その後の視線……向けられた相手が次の標的)

    まこ(お前なら見えるはずじゃ)


    京太郎(……)

    京太郎(見えない)


    京太郎(ハハ……ってか、そりゃそうだよな)

    京太郎(視線で狙いがバレるってんなら)

    タンッ

    「ロン。8000」

    京太郎「……はい」


    京太郎(目を伏せてればいいんだから)

    791 = 1 :

    ムロ「私の親がぁ」

    「すまないな」

    「京ちゃん……」

    京太郎「ま、まだまだこれから!」

    ムロ(……入ってたよな、先輩)



    南一局
    親:染谷まこ


    まこ(それで振り込んだっちゅう事は……?)

    京太郎(先負みたいに相手から当たり牌を引き出すタイプではないってわけか)

    京太郎(現にオレが捨てたのは手出しの……いや、ツモ牌はくっついた)


    京太郎(相手の手牌に不要牌を作りだす能力!? それが弘世さんの当たり牌に?)


    京太郎(それって、不要牌が複数存在する場合はどうなるんだ? そもそも、捨てたのはオレの意思だ!)

    (当惑しているようだな。この和了がよほど彼のお気に召したらしい。このまま揺れてくれればあるいは……)

    京太郎(テンパイしてた状態でならともかく……待て、思い出せ。だって宥さんは)

    792 = 1 :

    京太郎「すぅ……はぁ……」

    (持ち直した? 自分を抑える術を知っているようだ)


    京太郎(よし! わからん!)


    京太郎(わかんねーけど、100%射貫ける訳じゃないのは確かだ)

    京太郎(狙われる確立は1/3。さっきは当たったけど、躱す事だってできる)

    京太郎(宥さんだってやってた、それにムロだって……!)


    ムロ「リーチ」

    (またか)


    まこ「チー」

    ムロ(潰されたァ)

    まこ(あんまし暴れさせとくわけにもいかんけぇ、ここは攻めに行くかの)

    「……」ピクッ

    京太郎(3人ともきてる。ここは素直にベタオリ……さぁ、殴りあえー)


    まこ「ツモ。500オール」

    まこ(安くても和了は和了じゃ)


    まこ「1本場」

    793 = 1 :

    南1局 1本場
    親:染谷まこ


    「やっぱ地味ぃ~な和了」

    まこ「そんなん自分でもわかっとるわい!」

    「あはは……」


    まこ「ローン! 2100!」

    まこ「ツモ! 900オール!」

    まこ「ロン! 3800じゃ!」

    京太郎「おおぅ……」



    南1局 4本場
    親:染谷まこ


    ムロ「調子いいですね」

    京太郎「なんか意地になってません?」

    まこ「なっとらん!」

    「染谷先輩すごい」


    (まったく、照じゃあるまいし。四連荘だと?)

    (止める……次は少し無理をしてでも射てみよう)

    794 = 1 :

    まこ(おっと。こん顔、表情は……)

    まこ「んー、これで」

    タンッ

    (避けた……のか? 的を絞ろうとするとこれだ)

    (追いつけるか? それとも狙いを変えるか?)

    ムロ「……」

    (室橋は射貫けない。そうなると標的は須賀京太郎……)

    (悪いな)

    ピクッ

    (討たせてもらう……)


    京太郎「ポン」

    「!?」

    京太郎(捕まってたまるかってーの)

    (……逃がさん!)

    ムロ(お、ラッキー。和了形見っけ)

    まこ(今度はコッチか)


    まこ「チー」

    ムロ(ん!? あーあ……)

    795 = 1 :

    まこ(ずらせたか)


    ムロ「ポン!」

    ムロ(なら、自分から仕掛けるまで!)

    京太郎「それポン!」

    ムロ(なぁ!?)


    まこ(こりゃあ、ちっと場が乱雑すぎやしないか)

    (ちょこまかと……これでは狙いが定まらない!)

    タンッ

    京太郎(逃げてるばっかと思ってた?)

    (あ……これは)


    京太郎「ロン!」


    「おお~」

    京太郎(ちったぁいいトコ見せねーとな)



    対局結果

    1位 まこ「安手でも数でカバーじゃ」
    2位 ムロ「みんな待ちの切り替えが速いなぁ」
    3位 菫「出和了にこだわりすぎたか」
    4位 京太郎「後半は悪くなかったぞ」

    796 = 1 :

    「あれー、菫ってば精度落ちた?」

    「そんな訳はない。相手の回避能力が一枚上手だったというだけの事だ」

    「染谷先輩、流石です」

    まこ「部長の面目躍如ってとこかの」

    ムロ「お疲れ様でした。後半荒れましたね」

    京太郎「ああ。でも上手い具合に乗れてよかったわ」


    京太郎「それでさ、どうかな。少しは成長した?」

    「うん。正直見違えたよ」

    まこ「わしが育てた」

    ムロ「いやいや『わしら』、でしょう」

    京太郎「そうだな。先輩達や和、他校の人達やムロにも色々と世話になったよ」

    「そっか」

    京太郎「まぁ、ずうずうしくもこれからも世話になるつもりなんだけどな。やっぱ1人じゃ限界あるし」


    「昔の京ちゃんだったら東場でトビだったよね」

    京太郎「そりゃねーよ……って強く言えないのが悲しいぜ」

    「男子三日会わざればってやつだね」

    797 = 1 :

    「ふぅ~ん。やるねぃ京ちゃん」

    京太郎「こりゃどうも」

    「それでさ、さっき菫の狙い撃ち躱してたじゃん。アレ何?」

    「そうだな、私も聞いておきたい」

    京太郎「何ってなぁ、宥さんの真似してみただけだけど」

    「松実宥!? やはり何か知っていたのか……」

    京太郎「去年のインハイの団体戦終わった後に、阿知賀の皆さんが遊びに来たんですよ。それで……」


    『……えーそんな、凄くないよ。あれは赤土先生が教えてくれたの、弘世さんにクセがあるって』

    『うん。相手から狙って出和了る時は、右手が数ミリうしろに動くの。その後の視線に注意すれば狙う相手がわかるから』

    『動きを変えて撹乱。それで、追ってくる時は無理をしてるハズだから、その隙をついて……』

    『赤土先生が映像とか牌譜とか用意してくれたおかげでね。そういう訳なの、それで……あのね?』

    『あの……クーラー付けてもいいよ? みんな汗だくなのは流石に悪いし……』


    京太郎「……って事です」

    「だってさ!」

    「そうか……全然気にもしていなかったぞ」

    京太郎「そう聞いていたものですから、目を閉じてた時はビックリしましたよ」

    「苦肉の策だ。改善するところが目線くらいしか見当たらなかったんだよ」


    「それで、他に気になるところは無かったか? なにやら私に放銃した時、動揺していたようだが」

    京太郎「ああ、実は……」

    798 = 1 :

    「……へぇ、京ちゃんにそんな能力が」

    京太郎「スゲーだろ。姉帯さんの追っかけリーチとか無効化できるんだぜ」

    「ああ、あのおっきい人ね。でもあの人私には追っかけてこなかったよ?」

    京太郎「ダブリー+配牌5向聴じゃなぁ……」

    「ふむ、そういう事か」

    京太郎「はい。ですから、弘世さんも狙った相手から当たり牌を引き出すんじゃないかと」

    「それは当てが外れたな」


    「照が言うには、私の能力は相手を狙う事で、待ちをその相手の牌に絞る能力らしい」

    京太郎「その待ちを絞るってのはどういう事ですか? まだ2~3向聴だったら目的地は複数ある」

    ムロ「ですね(私は一つだけど)」

    京太郎「つまり捨てる牌もいくつもある。でも、弘世さんはそんな状態でも直撃させるじゃないですか」

    まこ「そういやぁそうじゃったの」

    「菫はシャープシューターだからね!」

    ムロ「どういう事ですか?」


    「では、実際に射貫く時に私がどうしているか、簡単に説明しよう」

    799 = 1 :

    「まず、相手を見定める」

    「射る」

    京太郎「待って」


    「当たる……ん、どうした?」

    京太郎「はしょりすぎでしょ! もっと詳しくもっと細かく!」

    まこ「簡単にも程があるわ……」

    「そうか。しかし、私が意識しているのはそれくらいでな」


    「実際の弓と同じだ。無心のうちに矢が放たれるように、私の待ちに相手の牌が嵌る時、私は相手を射貫いているんだ」


    まこ「……」

    ムロ「……?」

    京太郎「は、はあ……」

    「そう、無心……なるほど、右手が動いていたのに全く気が付かないのも無理はない」

    「何ひとりで納得してるのかわかんないけど、みんなポカーンだよ?」

    「うぐっ……!?」

    「あ、案外自分の事なんてわからないものだよ! ね?」

    ムロ「そ、そうですね。実は私も最近までよく分かってませんでしたし……」

    「そうなんだ。へー」

    800 = 1 :

    ムロ「はい。私がこの能力に目覚めたのは今年の3月頃なんです」

    「へぇ、なら半年も経ってないんだ」

    「ほうほう、それで県代表……」


    「……ちょっと試してみたいなぁ、ソレ」


    「コラ、代表同士は対局してはいけないルールだろう。忘れたのか?」

    「おぅ! そーだった!」

    「それじゃあムロちゃんとは大会で、だね」

    ムロ「はい。その時はよろしくお願いします」

    「むーん、今ちょっともわもわーってやる気が出てきたのにぃ……」


    「ん? もわもわ……いや、メラメラ……ムラムラ……?」

    「私も、今すごく麻雀したい気分だよ」

    京太郎「さて、次は咲が白糸台に行ってからどれだけ成長したのか……オレが直接確かめてやろう」

    「ふふ……それはこっちのセリフだよ、京ちゃん」


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