元スレ京太郎「新入部員が」ムロ「私だけ!?」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★×6
851 = 1 :
トシ「あら、アンタ達もう帰ってたのね」
ムロ「熊倉先生! と……」
良子「グッドモーニングですー」
まこ「戒能プロじゃ!」
京太郎「もう夜ですよ……」
由暉子「あの、こんばんわ」
ムロ「真屋さんも!?」
京太郎「うわあ、なんか凄いことになっちゃったぞ」
トシ「今日ちょうど帰国してきたらしくてね。よかったら一緒に食事でもって」
京太郎「そういえば、さっき佐々野さんが時差ボケって言ってましたけど」
ムロ「どこ行ってきたんですか?」
はやり「今回はハワイでした! 雑誌のグラビアだったの。発売日は来月末をお楽しみに!」
ムロ「ハワイ、いいですね」
まこ「芸能人っぽいのう」
852 = 1 :
夜 そば屋
はやり「はぁ、やっと日本に帰って来たって感じするね」
良子「やはり畳は和の心ですね」
いちご「あぁ~落ち着くんじゃあぁ~」スリスリ
京太郎「ハワイにはどのくらい滞在してたんですか?」
はやり「今回は5泊7日だったっけ」
良子「そうですね」
由暉子「あっと言う間でした」
いちご「ハワイは楽しかったんじゃが、飛行機が疲れたけぇ……」
良子「日本から7時間ですから、とてもタイアードです」
ムロ「7時間ですか、それは大変ですね」
由暉子「私は明日また飛行機で北海道ですけどね」
まこ「そりゃあハードスケジュールじゃのう」
いちご「でも、すぐに夏休みじゃろ? あ、でも北海道って夏休み短いんかったっけ」
京太郎「いやいや」
ムロ「長野も負けてませんよ」
853 = 1 :
由暉子「そうなんですか?」
まこ「夏休みの短さでは日本で一番じゃ!」
いちご「それ誇るところなんか?」
由暉子「でも実際、北海道も短いですよ」
はやり「長期休暇あるだけいいよねぇ」
良子「そうですね、私もゆっくりプライベートでヴァケーションでもしたいです」
はやり「いいねー、温泉行きたいなー」
いちご「ハワイも楽しかったんじゃが、あんまり観光する時間は無かったけぇの」
トシ「アイドルも大変なんだねえ」
はやり「そうなんですよー。それで、毎年新人がたっくさんデビューしてくるんです」
いちご「都内で活動しとるのは密度高くて競争が激しくてのう」
由暉子「地方は地方で、同じローカルでも東京ローカルとはまた違いますし、知名度の問題もありますし」
良子「私達は基本的には麻雀プロのお仕事ですけど」
いちご「専業アイドルはつらいんじゃあ!」
いちご「それに最近、周りの扱いも変わってきとる気がするし……」
京太郎「扱い?」
854 = 1 :
いちご「学生時代はそれこそ、広島弁がポイントの正統派アイドルって感じで売りだしとったんじゃがの」
いちご「卒業したら、なんか体張る仕事増えて来たってゆうか」
いちご「言ってしまえばバラドル方面に転換してきとるとゆうか」
京太郎「あっ……」
ムロ「ああ……」
いちご「めっちゃ納得されとるぅ……やっぱり世間的にはちゃちゃのんバラドルなんか……」
まこ「まあ、テレビで見とる限りではそう受け取れなくもないっちゅーか……」
由暉子「でもそれで人気出てるじゃないですか」
いちご「でもでも、なんか思ってたのとは違うんよ。マネージャーも、前はそういう仕事入れんようしとったけど」
いちご「こないだなんか、ガーデニングって聞いとったのにガッツリ畑仕事させられたし……」
いちご「最近はスタッフだけじゃのうて、ファンの人達もそうゆう仕事するのに抵抗が無くなってきとる」
いちご「こんままじゃ、アイドルなのにスカイダイビングとかさせられそうじゃ……」
良子「それが大人にステップアップするという事です」
いちご「うう……現役JKに戻りたい」
由暉子「それはそれで大変ですけどね。佐々野さんも以前は……」
はやり「はやりも、ついこの前までは現役JSアイドルだったなぁ」
由暉子「つい?」
いちご「この前……?」
855 = 1 :
良子「それもう20年も前の話じゃないですか。この子達まだ生まれてませんよ?」
はやり「グハッ!?」
京太郎「かいしんの いちげき!」
ムロ「慈悲も無い……」
良子「リアル、これがリアルです。夢じゃありません。あ、そういえば」
良子「原村和、最近見ますね」
京太郎「お、そうですか」
まこ「雑誌とかでたまに載っとるの」
由暉子「原村さんはアイドルというより、カテゴリ的には有名高校生麻雀プレイヤーといったところでしょうか」
ムロ「前は企業広告とか色々やってましたけど、最近は麻雀雑誌でのインタビューとかが多いですね」
まこ「本人はアイドルとかタレントっちゅー自覚も無いじゃろう」
いちご「むぅ、それはそれで……」
京太郎「グラビアとかやんないんだよなぁ」
ムロ「……」グリグリ
京太郎「あ、痛い……いた、ゴメ……いたたた……」
まこ「アホじゃ」
トシ「バカだね」
856 = 1 :
いちご「はぁ、やっぱ現役は強いのう。ちゃちゃのんも来年には20じゃけぇ」
いちご「今の方針のまま成人迎えたらどうなるんじゃ……」
はやり「ふふふ……」
ムロ「あ、復活した」
京太郎「はやりんが おきあがり なかまに したそうに ちゃちゃのんを みている!」
いちご「ひぃっ!? はやりんが手招きしとるぅ……!」
はやり「オイデ……オイデ……」
いちご「いいえ! いいえ! いいえじゃあ!」
良子「まあその頃には、はやりさんまた一つ上のステージに上がってるんですけどね」
はやり「グハァッ!?」
京太郎「つうこんの いちげき!」
いちご「……悪は、滅んだ」
トシ「学業と芸能活動の両立は大変だろう?」
由暉子「そうですね。でも、やりがいのある仕事です」
まこ「北海道から通うのも時間かかるだろうしの」
由暉子「ローカルの仕事もさせてもらってますよ。でも、全国の人達にも見てもらいたいので」
857 = 1 :
良子「ちなみに明日からのスケジュールは……」
由暉子「北海道に戻って月曜から学校です。終業式終わったらすぐにまた東京に」
ムロ「じゃあそのままインハイ参戦ですか?」
由暉子「開会式に出たらまたお仕事があります。今年は個人戦のみの出場なんで、間が空くんです」
まこ「ウチと同じじゃな」
由暉子「……ままなりませんよね」
良子「あんまり移動が多いので東京のスクールに通う事も提案したんですが」
ムロ「……断ったんですか」
由暉子「確かに、事務所の方や学校の先生からも転校を薦められました。でも」
由暉子「やりたいことがあるんです」
京太郎「それって?」
由暉子「私、中学まではすごい地味で大人しくて、自覚はありませんでしたけどパシリとかさせられてて」
由暉子「そんな私を先輩達は変えてくれた……」
由暉子「こんな形ですけど、私は先輩に恩返ししたいんです」
858 = 1 :
ムロ「それが有珠山に残る理由……」
由暉子「地元を離れるのには、それなりの理由があると思います」
由暉子「私の場合は、幸いにも地元を拠点として活動できますから……ちょっと無理してますけど」
ムロ「悩みませんでした?」
由暉子「とても悩みました。東京に行ってできる事、地元に居てできる事とかを考えて比べたりして」
ムロ「できる事、ですか」
由暉子「でも、ひとつだけ、有珠山でしか出来ない事があった」
由暉子「私は今年も、そして来年も、有珠山高校の生徒としてインターハイに参加したいんです」
由暉子「先輩達が連れ出してくれて、受け入れてくれた、あの学校で」
由暉子「それに……」
京太郎「それに?」
由暉子「聖書を習う学校とか、カッコイイじゃないですか!」
京太郎「アッハイ」
ムロ「え、あぁ、そう、ですね……」
まこ(イタいやつじゃ……)
859 = 1 :
「お待たせいたしました。お先、天そばのお客様」
はやり「はい、ありがとうございます」
良子「私です」
ムロ「はーい」
「こちら、もりそばになります」
トシ「ソレこっちです」
まこ「おお、きたきた」
いちご「久しぶりの日本食じゃあ」
「お後のご注文の方、もう少々お待ち下さい」
はやり「悪いけど、お先ね」
由暉子「いえ、気にせず食べてください」
良子「いただきます」
京太郎「あー早くこねぇかな」
ムロ「天丼頼んだんでしたっけ? 揚げるの時間かかってるんじゃないんですか? ……シャクッモグモグ」
京太郎「……サクサクしてて美味しそうだな、その天ぷら」
ムロ「ムフ~」
860 = 1 :
まこ「そういや、ハワイではどういった料理食べとったんですか?」
ムロ「ハワイの料理かぁ。何だろ」
由暉子「ロコモコ食べてきましたよ。定番ですけど」
はやり「ステーキ出すお店多かったよね」
トシ「南国って感じね」
良子「サーモンやシュリンプを使った料理もよく出ました」
良子「でも、ハワイと言っても結構レストランのヴァリエーションあるんですよ」
はやり「イタリアンや焼き肉屋さんとかね」
ムロ「へぇ焼き肉ですか、意外」
いちご「一応、日本食の店もあったんじゃよ。焼き鳥とかお好み焼きとか」
由暉子「でも、ハワイで日本食を食べるのは負けた気がするって、はやりさんが……」
はやり「だって、せっかくの海外なんだもん」
良子「最後には日本でもハワイ料理は食べれるからイーブンって謎理論で解決になったんですけど」
いちご「時すでに遅しじゃ。移動時間とかフライトの時間が迫っての」
由暉子「日本食たべたい欲がピークのまま帰国、となったんです」
861 = 1 :
いちご「ありゃちょっとしたホームシックじゃけぇ」
はやり「うんうん。お蕎麦すすって、やっと帰ってきたって実感するよー」
由暉子「……それはよかったですね」
「お待たせいたしました。こちら天丼になります。ご注文は以上でよろしかったですか?」
京太郎「はい、大丈夫です」
「それではごゆっくりどうぞ」
京太郎「やっときたぜ。こう、周りでばっか食べられるとたまんねぇよ」
由暉子「全くです。それでは……」
京太郎「ククク、すぐに取るっていうのに、わざわざ御丁寧に蓋してくるなんて焦らすじゃねえか」
由暉子「左手を使ってもいいでしょうか?」
いちご「ええよー」
パカッ
由暉子「!」
フワァ
由暉子「すぅ~……ハァ、うふふ」
良子「いいスマイルです」
はやり「シャッターチャンス!」
862 = 1 :
由暉子「やはり日本人は米ですよ」
京太郎「オレもその意見に賛成だーっ」
はやり「こっちにまでタレのいい匂いが漂ってきてるよ」
まこ「タネも沢山じゃのう」
京太郎「そうですね。海老と大葉と、アナゴかな?」
由暉子「まだあるみたいですけど、ふふ、海老が大きくて下が見えませんね」
京太郎「さて、まずはこの丼からこぼれそうな、存在感のある海老天からいきますか」
由暉子「サクッ……モグモグ。ん、おっきくて美味しい」
京太郎「ホクホクしてて柔らかい。うん、タレも良く合う」
トシ「私も天ぷら付ければよかったかしら」
京太郎「お、コレはししとうかな? 海老の影に隠れてたのは」
由暉子「んっ!?」
はやり「あ、もしかして辛かった?」
由暉子「……甘いです。このししとう甘いです!」
由暉子「砂糖で味付けしたとかじゃなくて、自然に甘くて美味しいんです」
京太郎「そうか! だから、あえて甘辛いタレがかからないように隠れてたんだな」
863 = 1 :
いちご「ふぅ……ごちそうさまじゃ。後は蕎麦湯すすってまったりするかの」
まこ「わしも」
京太郎「それじゃアナゴいっちゃうか」
良子「モグモグ……ん」
良子(お品書きの下に小さくなにか書いてある……)
『※天そばの天ぷらは別盛りできます。お気軽に店員にお声掛けください』
良子「……モグモグ」
良子「ごちそうさまでした」
良子(見なかった事にしよう)
由暉子「うわぁ、アナゴもおっきいです」
京太郎「サックリ柔らかでコレも美味しい」
ムロ「あっ」
京太郎「どした?」
ムロ「天そばの天ぷら別盛りにできるのかぁ。そう頼んどけばよかったな……」
良子(見つけてしまいましたか)
864 = 1 :
トシ「今日は急に誘って悪かったね」
はやり「いえいえ。美味しいお店に連れて行って貰えて、はやり満足です!」
良子「それではみなさんグッナイです」
いちご「バイバイじゃあ」
ムロ「次に会う時はインハイですね」
由暉子「そうですね。お互いに悔いのないよう頑張りましょう」
ムロ「はい」
由暉子「油断することなく、あなたの心を守れ、命の泉は、これから流れ出るからである」
ムロ「えっ」
由暉子「聖書の言葉です。アドバイスというか、軽くライフハックくらいに受け取って下さい」
ムロ「どういう意味なんですか?」
由暉子「色んな解釈ができますが……簡単に言えば、確固たる信念を持って望むべし、と言ったところでしょうか」
865 = 1 :
ムロ「信念、ですか」
由暉子「はい。そうすれば、おのずと目の前の道は開けるでしょう」
由暉子「揺るがない信念を持てば、きっと輝ける未来は到来するはずです」
由暉子「もっと簡単に言ってしまえば、信じる者は救われるって感じですかね。だいぶチープになってしまいましたが」
ムロ「いえ、ありがとうございます」
由暉子「それでは、インターハイで会いましょう」
ムロ「はい」
由暉子「あ、そういえば」
ムロ「なんです?」
由暉子「さっきのは旧約聖書の箴言からの引用なんですけど……」
由暉子「これ、ソロモン王の作った格言って言われてるんですよね」
ムロ「へぇ……」チラ
まこ「ソロモン王……」チラ
京太郎「じゃあこれを抱負にでもすれば役満和了れるかな」チラ
良子「ないない、ノーウェイノーウェイ」
866 = 1 :
今日はここまで
ハワイアン料理って大体ハイビスカス添えてる気がする
868 :
乙です
ハワイ料理だとカルアピッグが美味しかった
870 :
乙です
今日は飯テロありか
871 :
おつー
(天ぷら別盛りでどうなるか知らないなんて言えない…)
872 :
おつ
>>871
つゆに浸ってないから最後まで衣がサクサクのまま食べれる
873 :
乙
前回の壁たちはちゃんと帰れたんだろうか
874 = 871 :
>>872
ありがとー
875 :
乙
有珠山メンバーは清澄と逆の道を辿ったのね
876 :
こんばんわ
最近ホントねむい
ユキのマイルめっちゃ溜まってる設定出すの忘れてたけど特に問題無かった
今回から臨海編です。投下します
877 = 1 :
早朝 ホテル
京太郎「よっ、おはようさん」
ムロ「……おぁざーしゅ」
京太郎「朝弱いのにちゃんと起きてくるのはエライぞ」
ムロ「どもっす……あー、ソレなんすか?」
京太郎「ちょっくら近くのスーパーでな。トマトとレタス、あとチーズ買ってきた」
ムロ「あぁ~……えっと」
京太郎「タコスの具だ」
ムロ「そう、ソレ……」
京太郎「他の材料はあらかじめ作って持ってきたけど、野菜くらいは新鮮なの使いたかったんだ」
ムロ「ん、いい……いいね」
京太郎「だろ?」
まこ「なんじゃこの会話? ほれ、シャキっとせんかい」
ムロ「うぅ、あい……」
トシ「お茶、飲むかい?」
878 = 1 :
10分後
ムロ「コクコク、ふぅ……え、タコス作ってたんですか?」
まこ「さっきそう言っとったじゃろ」
京太郎「右から左だな」
ムロ「えー、全然覚えてないです」
京太郎「ちょっと面白かったぞ」
ムロ「むぅ、人で遊ばないでくださいよ」
まこ「ありゃあ仕方ないわ」
ムロ「ええ……」
トシ「そろそろ時間じゃないのかい?」
京太郎「そうですね。じゃあ、オレちょっと荷物まとめてきます」
まこ「わしは準備できとるけぇ」
トシ「ムロは仕度できてるかい?」
ムロ「はい、オッケーです。ブラッシングもしましたし」
トシ「メイクとかしなくてもいいの?」
ムロ「スッピンでも大丈夫なんで!」
トシ「若いっていいわねぇ」
879 = 1 :
東京 中央区
京太郎「はーるのーうらーらーのー♪」
ムロ「すーみーだーがーわー♪」
まこ「いや夏じゃけぇ」
京太郎「川沿いは涼しくていいな」
ムロ「そうですね。景色もいいし、散歩するのにも良さそうです」
京太郎「ずっと向こうまで舗装されてるし、なんか走りたくなるぜ」
まこ「ジョギングしとる人も、本読んどる人もおるわ」
ムロ「時間の流れがゆったりしてていいですね」
まこ「こっから少し行くと清澄庭園じゃ」
ムロ「清澄庭園かぁ」
京太郎「なんか巡り合わせの妙を感じる名前だ」
優希「フム。どうせなら、待ち合わせはソコにしといた方がよかったじぇ」
ムロ「優希先輩!」
優希「おひさだじぇ染谷先輩、ムロ!」
まこ「優希! と……」
880 = 1 :
ハオ「おはようございます」
ネリー「オハヨー」
ムロ「臨海の方ですね。はじめま……」
優希「そして京太郎! 例のブツは!」
京太郎「って、再会の挨拶もそのままに、いきなりかよ!?」
優希「タ・コ・ス! タコス! タ・コ・ス!」
京太郎「変な歌を歌うんじゃない。ほらこれが、1年ぶりの特製タコスだ!」
優希「うおおっ!」
ムロ「テンション高……」
まこ「しょうがないやつじゃのう。それにしても」
まこ「久しぶりじゃな」
ハオ「そうですね」
まこ「わざわざこんな朝早くに来てくれるっちゅー事は、今日はわしらと打ってくれるんじゃな?」
ハオ「ええ。私としても、強者と打つのは望むところです」
まこ「強者、か。期待に添えればええがの」
881 = 1 :
ネリー「ハオはそういうの好きだねー」
ムロ(ネリー・ヴィルサラーゼさん。去年のインハイの団体決勝大将戦……)
ネリー「強い相手と見たら打ちたがるの」
ハオ「そうですね。いや、ただ打つだけではなく……」
ムロ(宮永先輩や大星さんを抑えての区間1位)
ハオ「強い相手と打って、なおかつ勝利する」
ハオ「私は勝つ為にここにいるのです、ネリー」
ネリー「でも、スポンサー見てないよ?」
ハオ「それでもです。強敵と戦えば、それは必ず糧になります」
ムロ(もしこの人に勝てたら……)
まこ「今日はわしより強いのもおるけぇの!」バシッ
ムロ「わわっ!?」
まこ「どしたん? ぼけっとして」
ムロ「……いえ、なんでもないです」
882 = 1 :
優希「んん~っウマー!」
京太郎「落ち着け、喉に詰まっちまうぞ?」
ムロ「今日はよろしくお願いします」
ハオ「よろしく。あなたが県代表で優希の後輩の……」
ムロ「はい。室橋裕子です」
ハオ「そういえば、貴方が県代表に選ばれた時、優希が我が事のように喜んでしましたよ?」
ムロ「あはは。それはちょっと嬉しいような恥ずかしいような、こそばゆいですね。ねぇ、優希せんぱ……」
優希「むぐ……むぐぐ……」
京太郎「ほら! いわんこっちゃない!」
ムロ「いぃぃ……」
優希「ん、ん、ぷはぁ! タコスで死ぬなら本望だけど、タイミングと言うものがあるじぇ……」
ハオ「しかし、タコスには格別こだわりのある優希が絶賛するなんて、一体どんな味なんでしょうか」
優希「……」
ハオ「あ、食べちゃったならいいです。気にしてません」
ムロ「もう食べ終わったんですか……」
883 = 1 :
ムロ「ほらほら優希先輩? 後輩が来ましたよー?」
優希「うむ! ムロ、よくぞここまで辿りついた!」
ムロ「お久しぶりです。ダヴァンさんと清澄に遊びに来た以来ですね」
優希「そうだな」
ネリー「メグと会った事あるの?」
ムロ「はい、年末に。龍門渕に行くついでに寄ったって言ってました」
ハオ「ああ、あの時ですね……」
ネリー「ネリーから逃げた時か……」
ムロ「?」
1年前 清澄高校 麻雀部部室
京太郎「サーンタクロースがー 死んだ朝にぃー♪」
京太郎「ハァ……クリスマスだってのに、一人むなしく部活動か……」
京太郎「染谷部長は店の手伝い、和は家族旅行……オレはネト麻」
京太郎「わざわざ部室に来てまでやる事コレかよ」
884 = 1 :
京太郎「別にいいんだけどさ、昼飯買いに行ったついでになんとなくケーキ買っちゃったけどさ」
京太郎「それで店員に変に気ぃ使われてフォーク2つ付けられたけどさ」
京太郎「別にいいんだけど……ん?」
ガチャ
ムロ「こんにちわー。あ、ホントに居た」
京太郎「なんだ? ムロじゃん」
ムロ「なんだとはなんですか」
京太郎「クリスマスなのに暇なヤツだな」
ムロ「いや、それ先輩が言いますか……ってか、聞いてないのかな」
京太郎「ん?」
ムロ「先輩は今日どうして来たんですか?」
京太郎「染谷部長から今日は絶対に顔出せって言われたんだけどな、誰も居ねーでやんの」
京太郎「今日なんかあんの?」
ムロ「んー、私からは何も言えませんね」
京太郎「あんのね」
ムロ「……黙秘します」
885 = 1 :
京太郎「クリスマス会にしてはちょっとメンツ少なすぎじゃね?」
ムロ「そうですね。部室が広いから余計に」
京太郎「マホとか来ないの?」
ムロ「どうでしょう」
京太郎「今日は誰かに誘われて来たの?」
ムロ「……どうでしょう」
京太郎「ふーん」
ムロ「うぅ……」
京太郎「ケーキあるけど食べる?」
ムロ「食べます!」
京太郎「お前、嘘つけないタイプだろ」
ムロ「ええ、嘘なんですか!?」
京太郎「ホントだよ。オレほど正直者なんてまず居ないって。紅茶でいいか?」
ムロ「あ、はい。お願いします」
886 = 1 :
ムロ「おお、ショートケーキですね」
京太郎「コンビニスイーツで悪いけど」
ムロ「いえいえ、ありがたくいただきますよー」
ムロ「そういえば、先輩は春季大会にはエントリーするんですか?」
京太郎「いんや、様子見」
ムロ「何のですか……」
京太郎「自分の、かな」
京太郎「オレにとっての大会は、インターハイなんだ」
京太郎「どうせ出るなら夏に出たいね。その方がモチベーション上がると思うし」
ムロ「わからなくもないです」
京太郎「はい、お待たせしましたっと。砂糖は?」
ムロ「2つで」
京太郎「せっかくだし、クリスマスっぽいものが欲しいな」
ムロ「クリスマスっぽいの……なんかあります?」
京太郎「んー、ツリーとか?」
ムロ「いや流石に用意できないでしょ」
887 = 1 :
京太郎「そういや、モールのツリー見た?」
ムロ「あのスゴクおっきいやつですか?」
京太郎「そうそう。昨日モールに行った時に見たんだけどさ、飾り付けに変なのがあって……」
ムロ「ヘンなの?」
京太郎「うん、願い事が書かれた長方形の紙なんだけど」
ムロ「それ短冊じゃないですか!?」
京太郎「オレもまさかと思ったよ。季節違うだろ! って。そもそも竹じゃねぇし」
ムロ「ついにクリスマスツリーも日本風に魔改造されて……」
京太郎「せっかくだから書いてきたけど」
ムロ「書いたんですか……で、なんて?」
京太郎「ここに書いてある願い事全部叶いませんように」
ムロ「最低だー!?」
ムロ「よりによって書く事それって……。もっと他にないんですか」
京太郎「フッ……本当に叶えたい願いは自分の力で叶えるものさ」
ムロ「この話の後じゃカッコつきませんよ」
888 = 1 :
ムロ「それじゃ、先輩の本当に叶えたい事ってなんですか?」
京太郎「麻雀強くなりたい!」
ムロ「ですよねー」
京太郎「こればっかりは自分で頑張んないと」
ムロ「なんかオカルトでも使えるようになればいいのに」
京太郎「使おうとして使えるモンじゃないしなぁ」
ムロ「……ですよね」
京太郎「ここは地道にテキストや実戦で経験値溜めてレベルアップ……ん?」
ダダダ
ムロ「あ、来たのかな」
京太郎「なに? だれ?」
バタン!
優希「メリークリスマスだじぇ!」
ダヴァン「クリスマース!」
マホ「クリスマスです!」
京太郎「はぁ!?」
889 = 1 :
京太郎「優希、お前長野に帰ってたのか!」
優希「おうよ! ついさっき東京から来たばっかりだじぇ!」
京太郎「連絡くらいよこせばよかったのに」
優希「びっくりどっきりサプライズ作戦なんだじぇ。そして紹介しよう、我が同志のメグだ!」
ダヴァン「メガン・ダヴァンです。今日という日を心待ちにしていまシタ!」
京太郎「どうも。須賀京太郎です」
ムロ「室橋裕子です。ところで凄くテンション高いですね」
ダヴァン「フフフ……それは無理もありまセン」
優希「なぜならば!」
ダヴァン「長野には世にも珍しい、タコスラーメンなるものが存在すると聞きまシタ!」
京太郎「ああ、アレか。優希がラーメン屋の親父さんに作らせた」
ムロ「アレはなかなかのなかなかでしたね」
ダヴァン「それデス!」
京太郎「わざわざラーメン食べる為に長野に?」
ダヴァン「それもありマス」
890 = 1 :
優希「ほれほれ、わざわざ臨海の制服を着てきたんだ、何か言う事あるだろ?」
京太郎「あ、ああ。改めて見ると、結構女の子女の子してる制服だな」
ムロ「赤い襟とスカートにピンクのタイですもんね」
マホ「可愛いですよねー」
京太郎「アレ? でも、臨海の人ってあんまり制服着てたイメージ無いな……」
ダヴァン「そうでしょウネ。私とサトハ以外の3人は自前の衣装でしタシ」
優希「制服着れる時間は限られているというのに、もったいないじぇ!」
ダヴァン「それで、早速なんですが件のラーメン屋は……」
優希「うーん、開くのは結構遅くじゃないか?」
京太郎「7時くらいには開いてるかな」
ダヴァン「そうですか……待ちきれないデス」
ムロ「とりあえず紅茶淹れますね」
京太郎「へぇ、ダヴァンさんは来年からアメリカのプロリーグに行くんですね」
ダヴァン「そうデス。アメリカは複数プロリーグ制ですから、所属はかなり悩みまシタ」
ダヴァン「私としては、チームを転々として色んな相手と戦いたいデス」
891 = 1 :
ダヴァン「しかし、日本を離れるのはとても辛いデス……」
ムロ「そんなに日本に愛着を持ってもらえると、日本人として嬉しいですね」
ダヴァン「なぜ……何故アメリカには日本の様な素晴らしいラーメンが無いノカ!?」
京太郎「そっち!?」
ダヴァン「でもまぁ、このあいだ海外発送専門のカップ麺販売サイトを見つけたので、それで我慢しマス」
ムロ「そこまでして」
ダヴァン「ぶっちゃけ、アメリカのなんちゃってラーメンには期待してませンシ……」
京太郎「アメリカの食べ物はとにかく量が多いってイメージだな」
ムロ「あとカラフル」
優希「わかるぞメグ。私もタコスの無い生活には耐えられないからな」
優希「NO タコス NO LIFEだじぇ」
京太郎「じゃ、ラーメン食べるまで時間ありますし」
京太郎「ここ麻雀部の部室ですし」
ダヴァン「そうでスネ」
ムロ「打ちますか?」
優希「よーし、では私の進化っぷりをお見せしようではないか」
京太郎「そんなすぐに変わるものか? まだ臨海行って2ヶ月だろ」
優希「それは実際に対局してみてから言うんだな小僧!」
892 = 1 :
京太郎「メンツは高遠原組とオレ、でいいですか?」
ダヴァン「そうぞ、おさキニ」
マホ「マホ、今日は使っていいですか?」
ムロ「あー、ちょっと不安だけど……いいよ」
京太郎「なんとか南場まで回せ。それから先はオレがなんとかする」
ムロ「軽くムチャ言いますね……!」
優希「フッ……作戦会議は終わったか? それじゃあ」
対局開始
東家:片岡優希
南家:夢乃マホ
西家:室橋裕子
北家:須賀京太郎
東1局
親:片岡優希
優希「始めるじぇ!」
ゴゥッ
京太郎(何は無くとも和了らんと、親を流さなきゃ話にならんぜ)
京太郎(鳴いてサポートしたいところだが、下家に優希が居るからなぁ……)
ムロ(直撃だけは回避しなきゃ)
893 = 1 :
3巡目
優希「リーチ!」
ムロ「はやっ」
京太郎(門前でこのスピードか。ずいぶん調子いいじゃねぇか)
マホ「……」
チャッ ヒュン
ムロ(マホ……まほっちは現物、オリか?)
ダヴァン(素早い判断……さながら原村和のようでスネ。これがユーキの言ってイタ……)
優希「ツモ! リーヅモ・一発・三暗刻・ダブ東・赤1・ドラ3!」
優希「裏は……残念、12000オールだじぇ」
京太郎「おいおい、いきなり3倍満かよ……」
ムロ「うっはぁ……」
東二局 1本場
マホ(この孤立牌を処理して……)
チャッ
ムロ「マホっ!」
マホ「っはい!?」
ムロ「捨てる前にツモるの忘れてるぞ!」
マホ「え? ……あぅ、そうでした」
優希「チョンボ癖は改善されてないのか……」
894 = 1 :
ダヴァン「コレもユーキの言っていた通りでスネ」
優希「相も変わらず、永遠の初心者だじょ」
マホ「うう~危なかったです」
ムロ「私が注意しなかったらモロアウトだよ……」
対局結果
1位 優希「東二局に進むまでもなかったな!」
2位 マホ「マホ2位です!」
3位 ムロ「席順でな……」
4位 京太郎「点数は3人とも同じだよ」
京太郎「あーマジかよ」
マホ「まったくかないません……」
優希「私は日々進化、レボリューションしているんだじぇ」
ダヴァン「それを言うならエボリューション、でスヨ?」
京太郎「エボってんなぁ」
ムロ「ですね。優希先輩、臨海に行ってからずいぶん鍛え直したようですね」
優希「おかげさまでな。練習環境は多分日本で一番いいんじゃないか? 臨海って」
895 = 1 :
ダヴァン「そうでスネ。設備はともかく、強化合宿に海外行ったりしまスシ」
京太郎「へー、海外合宿ですか」
ムロ「なんかプロ見たいですね」
ダヴァン「日本の高校で世界レベルを意識しているのは、それこそ臨海くらいでしョウ」
ムロ「世界レベル……か」
マホ「なんだか凄過ぎて、マホにはよくわかりません」
優希「言葉で分からなければ、実際に試してみるといいじぇ」
マホ「え?」
ダヴァン「試してみまスカ? デハ……」
ダヴァン「お見せしましょう、世界レベルの打ちすジヲ!」
896 = 1 :
今日はここまで
マホはたまにドラ表示牌をめくる時、指で押してひっくり返そうとしてハジいてしまって山を崩します
897 :
乙です
今日は飯テロなし(強いて言うならタコス)か
みんなの評価 : ★★★×6
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