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    元スレ京太郎「俺が彼氏で」和「私が彼女」

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    みんなの評価 : ★★
    タグ : - 京太郎 + - + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :


     このスレは京太郎の甘々な恋愛生活を描くスレです
     
    ※CAUTION

    ・壁殴り代行必須
    ・ちょっぴりエロネタ入るかもしれない
    ・基本チョロイン気味
    ・最初は和ヒロインですが、できたら別ヒロインも……

    SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1431782210

    2 :

    なるほど

    3 = 1 :


     俺が彼女に惹かれたのは、一体いつがきっかけだっただろうか
     
     流れる桃色の髪に、大きく揺れる胸
     凛と澄ました顔で彼女は俺の前を通り過ぎて、悠々と歩いていった

     まるで、俺を路傍の石コロほどにも思っていないかのように
     彼女の歩みは俺とは異なる次元に位置していた


     まぁ、思えば俺が彼女に惚れたのなんて所詮は一目惚れで
     大層な御託を並べようと、偉そうなことを言おうと……結局はそこいらにいる有象無象と変わらないわけで

     可愛い顔や、常人離れしたスタイルに欲情した猿と同じ
     俺はきっと、和に相応しい人間では決してない


     そう思っていた


     ~~原村和の場合~~


    「あの、少しいいですか?」

     俺がいつもと同じ、麻雀部内の雑用を終えて帰宅しようとした時
     唐突に、同じ麻雀部員である原村和から声をかけられた

     いつもは足早に咲や優希と帰ってしまう為、こうして二人きりになれる機会は無いんだが
     今日は世にも珍しく、咲も優希も風邪で学校を休んでいる

     竹井先輩はもう引退しているし、染谷部長は家の用事で今日はいない

     つまり、今日はハナから和と二人きりの部活だったというわけだ

    京太郎「お、おう?」

     俺は和の方から話しかけられるという、ほぼ数ヶ月ぶりのイベントに戸惑いつつ
     努めて平静を装って答える

     これは、彼女に密やかな想いを抱く俺にとって……千載一遇のチャンス、なのか?

    5 = 1 :


    「ご相談があるんですけれど、いいでしょうか?」

    京太郎「相談?」

     何やら神妙な顔で和は頷く
     これでますます和の要件が分からなくなる

     大体、和が悩むようなことを俺にどうにか出来るようにも思えないし

    「どこから話せばいいのか分からくて、えーっと」

     整理が付いていないのか、頬に手を当てて考え込む和
     そのポーズがあまりにも可愛いので、俺はニヤケそうになる顔を抑えるのに必死だった

    「あの、もう全国大会は終わりましたよね」

    京太郎「うん? あぁ、お前達の優勝でな」

     お前達、というフレーズに特別な意図を込めたつもりではなかったんだが
     それを聞いて和は途端に不機嫌そうな顔で唇を尖らせた

    「私達だけ、じゃないですよ」

    京太郎「え?」

    「須賀君も、同じチームですから」

     花のような笑顔で、俺に微笑みかける和
     天使だ、と思った

    京太郎「ありがとうな。それで、続きは?」

    「あ、そうでした。えっと、それで……私は長野に残ることが出来たんですが」

     そういえば、和は全国優勝しないと東京に引っ越すという約束をおじさんとしてたんだったな
     でも、優勝できてよかった

    「それで、少し余裕が出来たといいますか……私自身、最近麻雀詰めでしたので」

    京太郎「?」

     どこか歯切れの悪い和の口ぶり
     らしくないが、一体何を悩んでいるんだろう?

    「優希からも言われて、私……もっと、女子高生らしいことをしようかと思うんです」

    京太郎「女子高生らしいこと?」

     そう言われてパッと思い浮かんだのは
     ファミレスで長時間駄弁ったり、無意味に人数引き連れて買い物に行くこととか?
     
     でもそんなもの、別にわざわざ狙ってやるようなことでも無い気がするし
     そもそも、俺に相談するようなことじゃない

    京太郎「あのさ、それって……」

    「それで、私決めまして。その……恋人を、作ろうかと思うんです」

    京太郎「……」

    「……須賀君?」

    京太郎「え?」

    7 = 1 :


     あまりの衝撃に意識を失いそうになるところだった
     和が恋人を作る?

    京太郎「そ、それ本気なのか?」

    「はい。それで、須賀君に相談を」

    京太郎「え!?」

     これって、もしかしなくても、もしかするよな?
     恋人を作りたいって、俺に相談してきたってことは……

    京太郎「っ」

     ドクン、と心臓が鼓動を速める
     顔中が熱い

     こんな、夢みたいなことがありえていいのだろうか?

    「あの、もし、よければ……なんですけど」

    京太郎「……お、おう」

     顔を赤らめ、恥ずかしそうに俺を見る和
     あぁ、この可愛い少女が……俺の、彼女になってくれるのか

     そう考えただけで、天にも登りそうな……

    「須賀君のクラスの、とある男子のことを教えて欲しいんです」

    京太郎「…………え?」

     天にも登りそうな気持ちは、一瞬にして地獄へと突き落とされてしまった

    京太郎「ど、どういう……?」

    「実は、私……こう見えて、よく告白されたりラブレターをもらったりするんですけど」

    京太郎「うん、知ってる」

    「一応麻雀のこととかがあって、全てお断りしていたんです。でも、それが終わって……」

     あー、つまりこういうことか?

    京太郎「これから恋人を作ろう、と思っていたところに俺のクラスの男子から告白を受けた、と?」

    「はい。誠実そうな人でしたし……須賀君なら同じ男性同士、どういう人か詳しいのではないかと」

     ははは、こんなことだろうとは思ったけど……マジでついてねぇなオレ
     というより……情けねぇ

    「どうでしょうか? あの、名前は……」

     もしここで俺が、そいつがいい奴だと言えば
     和はきっとそいつと付き合うんだろう

     そして、デートに行って、関係を深めて……
     手を握りあって
     キスをして
     いつかは、肉体関係になるんだろう

     その決定権を、今――俺が握っている
     だけど、それは赤の他人

     俺じゃない

    「という方なんですけど……須賀君?」

    京太郎「は、はは……そう、だな」

     俺は、なんて惨めなんだろう
     他の誰よりも、異性として和の傍にいた筈なのに

     なのに、たまたまタイミングが良かっただけの奴に……和を取られてしまう

     そんなのって――アリかよ

    8 = 1 :



    「あの、様子が変ですよ?」

     自分自身への怒りで震える俺を見て、一歩後ずさる和
     そっか、そうだよな

     俺なんて所詮、和とは違う世界の住人なんだ
     だから、ここは俺が和を後押ししてやればいい

     和が幸せになれるように
     和とどこかの男が付き合えるように

     俺が、俺が……

    京太郎「って、聞き分けのいいこと……出来っかよ」

    「え?」

    京太郎「あのな、和」

     俺はツカツカと和に詰め寄り、壁際へと追い詰める
     
    「ちょ、須賀、くん?」

     和は俺の勢いに押されたのか、怯えるように後退していく
     そして、その背中が壁に付いた瞬間――

    京太郎「お前は何か勘違いしてないか?」

     ドン、と俺の右腕が和を逃がさないように壁にかかる

    「っ」

    京太郎「誰と付き合うかを決めるのは自分だろ、俺が決めていいのかよ」

    「そ、それは……須賀君、なら信用、出来ると思って」

    京太郎「それに、お前はすげー残酷なことしてるんだぞ」

    「ざ、残酷……?」

     わけが分からないという顔で俺を見上げる和
     
     密着する体
     俺の胸に腹部に当たる和の大きな胸の感触

     漂う和の甘い香り
     もう、我慢なんて出来なかった

    京太郎「こういうことだよ」

    「どういう……んぅっ!?」

     俺と和の唇が重なる
     俺の視界には、驚きで目を見開く和の瞳がいっぱいに広がっていた

    京太郎「んっ……」

     何秒経ったんだろうか
     気が付けば、俺は和から離れて口元を拭っていた

     それは和も同じで、放心したように唇に手を当ててへたり込んでいる

    「あ……き、す……」

     ようやく事態が飲み込めてきたのだろう
     和の唇を撫でる動きが加速する

    京太郎「……和、悪い。立てるか?」

     俺は和の前まで歩み寄り、その手を取ろうと手を伸ばす
     しかし、その手は無情にも払いのけられてしまった

    「っ! いやっ!」

    9 = 1 :


     俺をドンと突き放し、和は一目散に部室から飛び出していった
     一方、バランスを崩した俺は情けなくも雀卓によりかかって転倒を免れ
     その冷たい感触を、感じることしか出来なかった

    京太郎「……」

     追いかけるべきだったのかもしれない
     でも、かける言葉が見つからなかった

    京太郎「……ごめんな、和」

     最低のことをしてしまった
     自分の想い人を傷つけてしまったんだ

    京太郎「俺ってばダセェ」

     きっと和は染谷部長や咲達にこのことを話すだろう
     そうなったら俺は、この部活にはいられない

     あぁ、全部終わっちまった

    京太郎「……」

     俺は帰る気力も湧かず、ずっとその場で立ち尽くしていた
     もう、なにも考えたくなかった

    10 = 1 :



     私、原村和には沢山の友達がいます

     その中でも、同じ麻雀部の皆さんはとてもいい人ばかりで
     竹井先輩、染谷部長、咲さん、ゆーき、そして……須賀君

     唯一の男子部員ということで、最初は用心していました
     どこか私を見る目がいやらしい気がして、不快感しか覚えませんでした

     でも、咲さんやゆーきは彼に懐いている
     竹井先輩も、染谷部長も彼のことを気に入っている様子で

     私にはその気持ちがよく分かりませんでした
     彼は麻雀も弱くて、その割には練習にはあまり顔を出しません

     みんなが一丸となって頑張っているのに、彼だけは……
     
    「……ただいま戻りました」

     誰もいない家に帰宅し、私は荷物を置いて自室に戻ります
     普段ならまずお風呂を沸かすのですが、その気力さえもありません

     今は、なにも考えたくない

    「ふぅ……」

     制服を脱いで、シワにならないように畳み
     部屋着に着替えて、そのままベッドの上で寝転びました

     瞳を閉じれば、視界にはあの時の須賀君の顔が浮かんでしまう
     私は、瞳を開けたまま――布団を被りました

    11 = 1 :


     須賀京太郎君
     私が彼への認識を改めたのは、全国大会直後のことでした

     私達が優勝に舞い上がり、浮かれていた頃
     須賀君が体調を崩して一週間、学校を休むことになりました

     正直、その頃の私は須賀君をなんとも思っていませんでしたので
     特に気に留めることもありませんでした

     しかし、他の人は違いました
     全員がソワソワと心配し、自分のせいでないかと気にしているんです
     私は気になって、一人一人に訪ねました?

    「一体、須賀君はこれまで何をしていたんですか?」

     部活で姿を見せない
     麻雀で強くなろうともしない彼の何がそんなにいいのかと

     そう考えていた私の認識は――
     皆さんの手で、覆されました


    「え? 和は知らなかったの?」

    「はい?」

    まこ「まぁ、無理もないのぅ。和自体はお願いごとをしなそうじゃからな」

    「どういう、ことですか?」

    「須賀君はね。私達が全国大会までの間、麻雀に集中出来るように裏で頑張ってくれていたのよ」

    「裏で、ですか?」

    まこ「ああ。わしが毎日部活に出られるように、店の手伝いに出てくれたりのぅ」

    優希「それだけじゃないじぇ! この私が力を発揮出来るように、タコス作りの修行にも出ていたんだじょ!」

    「店の手伝い、タコス作り?」

    「その上、必要な備品を買い出して、お茶を淹れておいてくれたり……全国大会の控え室で用意してくれたたのも須賀君なのよ?」

    まこ「しかも、行方不明になった咲を捜してくれたり」

    「うっ」

    「自分も麻雀の練習をしたかったでしょうに、かわいそうなことしちゃったわ」

    まこ「その分、来年は京太郎が全国行けるように指導してやるけぇ」

    「はい! 絶対、京ちゃんも一緒に全国に!」

    優希「しょうがないから私も協力するじぇ!」

    「……」

    「そういうことよ、和」

    「ぶ、部長……私、彼のことを、その」

    「いいのよ。これを言えば、和が気にするだろうから言わないでって、須賀君から口止めされてたし」

    「須賀君から!?」

    「ええ。和は今、自分のことでプレッシャーもあるだろうし、余計な気を遣わせたくないってね」

    「……そんな」


     雷に打たれたようなショックでした
     私が蔑み、内心で見下していた彼が――実は部の中で、一番の立役者だったなんて

     私は――なんて、最低なんでしょうか

    12 :

    すばらすぎる

    13 = 1 :


     そう、です
     彼はとても素晴らしい人

     だけど、私自身……先だっての負い目もあり
     彼に話しかけることは中々出来ませんでした

    「のどちゃんは男心がわからないんだじぇ」

     なんて、ゆーきに言われるのも当然ですね
     だから私は……彼のことをもっと知りたくて
     彼と仲良く、なりたくて

     男性とお付き合いをすれば、須賀君とももっと普通に話せるようになると……思ったのに

    「……キス、されちゃいました」

     思い出しただけで、胸が熱くなります
     力強い、柔らかな感触に男性の――汗の混じったような匂い

     キスの味は、覚えていません
     あまりにも衝撃的過ぎて……思い出そうにも頭がポーッとしてしまうからです

    「須賀、君」

     なぜ彼は私にキスをしたんでしょうか?
     それに、私に言った「残酷なことをしてる」という言葉

     これが、もし……私の自惚れでないのなら

     彼は、須賀君は……私のことを

    「す、好き……なんでしょうか?」

     口にした瞬間、全身が燃え上がったように熱く火照り始めました
     いてもたってもいられなくて、バタバタと布団を殴り、蹴り

     ぎゅぅぅっと、エトペンを抱きしめます
     そんな、こと、有り得ていいんでしょうか?

     私は彼を馬鹿にしていたのに、いないモノとして扱っていたのに

     彼に好かれているだなんて

    「う、うぅぅっ……うぁぁぁ」

     今夜は眠れそうにありません
     明日、どんな顔をして須賀君に会えばいいんでしょう……?

     

    14 :

    総合で言ってたあれか
    期待

    15 :

    一瞬でわかる。これは良スレ。

    16 = 1 :



     和に無理やりキスをした翌日
     俺は仮病で学校を休もうとしたが、母親に無理やりたたき出されてしまった

     どんな顔で和に会えばいいのか分かんないのと
     もしかしたら部のみんなに白い目で見られるんじゃないかという恐怖

     足が重いのは無理もなかった

    京太郎「なんであんなこちしちまったのか」

     和、走り去った時に泣いてなかったかな?
     もしそうだとしたら俺……もう立ち直れない気がする

    京太郎「和……」

    「和ちゃんがどうかしたの?」

    京太郎「おぉぉぉぉわっ!?」

     突然の声に驚きながら振り返ると、そこには笑顔の咲が立っていた
     まずい、まだ心の準備が出来ていない

    「おはよう。どこが具合でも悪いの?」

    京太郎「あ、いや。そういうわけじゃ」

    「そう。変な京ちゃん」

     咲がクスクスと笑って俺の横に並ぶ
     この感じ……まだ知らないのか?

    京太郎「もう風邪はいいのか?」

    「うん。ばっちりだよ」

    京太郎「そうか、優希も治ってたらいいな」

    「あ、そういえばちゅー」

    京太郎「チュウ!?」

    「え? 中学生の時の話なんだけど」

    京太郎「あ、ああ。中学生な、うん」

     いかんな、凄くキス関連の言葉に敏感になってしまっている
     下手に反応しないように気を付けないと

    「……京ちゃん?」

    京太郎「あ、うん。聞いてる聞いてる」

    「まだなにも言ってないよ」

    京太郎「そうかそうか」

    「もぉー!」

     いつもどおり、咲と漫才しながら学校へ向かう
     足取りは少しだが、軽くなっている
     
     あとは、和とどんな顔をして会うかなんだけど

    17 = 12 :

    >>13
    のどかわ

    18 = 1 :



     それから、俺と咲は教室に無事着いた
     途中で和と遭遇するかもと身構えたが、そんなことは無かった

    「今日の一限目は選択授業に変更だって」

    京太郎「あ、そうか。んじゃ音楽室に移動しようかな」

    「私は美術だから」

    京太郎「おう。じゃあ後でな」

     教科書を持って移動教室の為に、席を立つ
     多くの人でごった返す教室を見渡すと……嫌なことを考えちまう

     この中に、和に告白をした男子がいる
     そして、きっと和はその男にOKするんだろう

    京太郎「っ」

     ギリッと歯ぎしりする音が嫌に脳に響く
     苛立ちと切なさと、不甲斐なさが胸を渦巻いていた

     畜生、どうして俺は……

    京太郎「……」

     胸を裂くような心情をこらえ、廊下に出る
     なにも考えないように、意識を別のことに集中させて歩き続けた

     だが、そんな俺の努力も虚しく

    京太郎「あ」

     俺は見てしまった

    京太郎「和と……うちの、クラスの」

     廊下の窓からは校舎裏の木陰が見える
     そこにいたのは、和と……うちのクラスの男子だった

     おそらく、告白の返事をしてるんだろう

    京太郎「……」

     俺はその光景から目を離せなかった
     出歯亀のような真似をして、盗み見しつづけたんだ

    「!」

    京太郎「あっ」

     一瞬、俺と和の視線がぶつかった
     和は驚いたような表情で、何かを言おうと口を開いてるようだったが

     当然、俺のいる場所まで声は届かない

    京太郎「くそ、嫌なもん見ちまった」

     無理やりキスをされた奴に、今度は告白の返事をのぞき見されたんだ
     きっと和、怒るだろうなぁ

    京太郎「早いとこ逃げよう」
     
     俺は足早にその場を後にした
     もう、和には一切視界を向けずに……

    19 = 1 :



    「あっ、須賀君……」

     見られて、しまいました
     私が……告白の返事をするところを

    「すみません、それでは!」

     私は今しがた、交際を断った男性を置いて須賀君を追いかけました
     今のは誤解だと、すぐに彼に知って欲しかったから

     それはなぜでしょうか?

     彼を傷つけたくないから?
     それもありますが、きっと……一番の理由は

    「私自身が、彼のことを」

     好きだからなんでしょう
     好きだから、彼に誤解をしてほしくない

     私が好きなのは、彼――須賀京太郎君なんですから

    「!」

     その時、ちょうど授業の五分前を告げる予鈴が鳴り響きました
     このまま須賀君を追いかければ、きっと私は授業に遅刻してしまうでしょう

     ですが、そんなことはどうでもいいんです

     私は、彼に謝らないといけないから
     彼の気持ちも知らずに、あんな残酷なことを言ってしまったんです

     その責任を、私は取ります

    「須賀君……」

    20 :

    浮気者書いた人?

    21 :


     授業開始一分前
     俺は憂鬱な気持ちで、音楽室から空を眺めていた

     ざわざわと騒がしい中で、一際俺だけが浮いて見える感覚

     誰とも話す気になれなかった
     このまま消えてなくなりたかった

     なんて考えていると真面目な音楽教師が授業開始のベルよりも早くやってきて、出席を確認する
     一人、一人……出席簿の上から名前が呼ばれ始め

    「須賀京太郎君」

     遂に俺の名前が呼ばれ、俺は気の抜けた返事をする

     出席も取ったことだし、このまま寝ちまおう
     授業が終わる頃に起きれば、この気持ちも幾分かスッキリするかもしれない

     そう思い、俺は机の上に項垂れるようにして瞳を閉じた
     嫌な光景がチラつく、それでも俺は……

    「須賀君!」

     突如、俺の名前が呼ばれた
     なんで二回目の出席? と思ったが、これは先生の声じゃない

     この可愛い声、聞き覚えがある
     俺の大好きな、あの少女の――


    「須賀君!!!」

    京太郎「え?」

     
     ざわっと、音楽室が騒々しくなる
     顔を上げると、音楽室の入口に和が立っていた

     全力で走ってきたのか、息も絶え絶えで、髪は汗に濡れて頬に張り付いている

    京太郎「の、和?」

     俺は訳が分からず、混乱しっぱなしだった

     なんで授業中に和が乱入してきたのか
     そもそも、この俺になんの用があるのか

    「授業中失礼します。すぐに済みますので」

     先生が静止しようとする間もなく、和はツカツカと俺の席まで歩み寄ってくる
     学校の中じゃアイドル兼、ヒーロー扱いされている和が相手だからか、誰も止めようともしない

     成績も優秀だろうしな
     って、そういう問題じゃねぇ

    京太郎「な、なんだよ、和」

    「……須賀君」

     音楽室中の視線が俺達に集まる中、和はまっすぐに俺を見つめている
     強い意志を秘めた瞳――一体、どうしたんだろうか

    22 = 1 :



    「まず、一つ」

    京太郎「え?」

    「昨日は、すみませんでした!」

     すぅっと息を吸って、和が大きな声で叫ぶ
     ペコリと頭を下げた反動で、胸がたゆんと揺れるが……今はそれどころじゃない

    「そして、二つ目!」

    京太郎「お、おい?」

    「あの人からの告白は断りました!!!」

    京太郎「……そ、そう」

     ますます訳が分からなくなってきた
     なんでわざわざそれを、今、この場所で言う必要があるんだろうか?

     しかも、俺に対して……

    「最後に、三つ目です」

     キュッと唇を噛んで、和が俺の腕を掴む
     その余りの力強さに俺は反応する暇も無かった

    「私は、これまで……須賀君を誤解していました」

    京太郎「誤解?」

    「怠け者で、ふしだらで、不誠実な人だと……」

    京太郎「……そんな風に思ってたのか」

     かなりのショックを受け、目尻に涙が浮かびそうになる
     畜生、俺の頑張りって一体なんだったんだろう

    「で、ですが! それは過去の話です!」

    京太郎「へ?」

    「今は、その……働き者で、ちょっぴりエッチですが、誠実な人だと知っています」

    京太郎「……」

    「そして、こ、これが一番重要、なんですけれど……」

     和がくいっと俺の腕を引いて、ピンとつま先立ちで背を伸ばす
     俺の眼前に、瞳を閉じた和の可愛い顔がみるみると近づいて……そして

    「んぅっ……ちゅっ」

    京太郎「んっ」

     二つの唇が一つになった
     それはまるで、昨日と同じように――

    「……ぷはっ」

    京太郎「んぅ、っておい!?」

    「わ、私! 原村和は!」

     ドクンと、昨日から熱を失っていた心臓が加速する
     これが、俺のうぬぼれでないとしたら

     俺の夢でないとするのなら

     これは、きっと――

    「須賀君のことが、好きなんです!」


     俺の人生、最高の日に違いなかった

    23 = 1 :


    >>20
     あの偉大な方と間違われるとは……光栄ですが、違います
     

     付き合うまでの経緯が終わったのでひとまず終了します
     需要あるかどうかも分かりませんが、次からは和と京太郎のバカップルライフです
     和が終わったら淡Verも検討していますが……どうでしょうね

    24 :

    乙ー
    淡verも是非

    25 :


    薄墨初美って人のがいいと思いますよー

    26 :

    乙ですよー

    27 :

    乙~
    非安価はいいものだ淡verも期待!

    28 :

    乙です
    これは綺麗なのどっち
    淡も期待
    穏乃とか良いんじゃないですかね

    29 :

    何言ってんだよ需要?
    ないわけがないじゃないか!

    30 :

    丁寧な心情描写で愛情がよく伝わってくる。
    恋愛生活を描くって言ってるしこれからが本番だろうから期待してる。

    31 :

    きれいなのどっちという完全な美少女
    乙です

    32 :

    バカップルのイチャイチャに耐える準備は既に完了している

    33 :

    大期待!!おもしろ!!野依!!


    …タコスも幸せにできそうなら

    34 :

    とりあえずおつ



    ところで、新子神社の次女とかどうかな?

    35 :

    ワハハ、ここは鶴賀で部長をやってる蒲原ってやつがいいんじゃないかー?

    36 :

    京ちゃんには宮永咲って子がお似合いだと思うな

    まあ、無理しない程度に頑張ってくれりゃいいけども
    この時点ですごくいいから期待してる

    37 :

    授業中にこんな光景見せられたら
    壁殴り代行が儲かってしょうがない

    38 :



    京太郎にはメガネで巨乳でかわいい最高の妹がええ思うな。
    後、最高におもろい姉もおるで。

    39 :

    指導室送りされるんだよなぁ・・・

    40 :

    京ちゃんはわたインハイチャンプの照さんがお似合い

    41 :

    乙乙です
    需要ありまくりですよー
    ちょうすばらでした

    42 :

    乙 他の人より先ずはこの後の話に一スレ位使っても良いのよ?

    44 :

    有珠山にも京太郎君好みのおもちのおおきな子がいますよ

    45 :

    わおだいたーん

    46 :

    >>23
    地の文あって心理描写上手いと似てるように思える
    >>20浮気者のひとは今魔物娘スレにいるよ

    47 :

    とりあえず京和バカップルライフを見て糖尿病になりたい

    48 :

    とりあえず影の薄い娘を書くっす

    49 :

    出来ればヒロインは1人が良いな

    ハーレムやるくらいなら、
    オムニバスにしてほしい

    50 = 49 :

    出来ればヒロインは1人が良いな

    ハーレムやるくらいなら、
    オムニバスにしてほしい


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