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元スレ京太郎「このプロキツい……」理沙「……知らない!」
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心臓の高鳴りがやけに大きく聞こえる
はやりさんはといえば俺の言葉を何度も繰り返しているみたいだ
真剣に考えてくれているらしい
「あの……」
「少し考えてもいいかな」
「わ、わかりました……」
はやりさんの言葉にあらゆる言葉が引っ込んでしまう
ただただはやりさんの様子を見つめているしかできない
「よし、決めた☆」
その言葉に思わず背筋が伸びる
「証拠を見せてほしいな☆」
「証拠……ですか……?」
「そう、証拠☆」
そういってはやりさんは俺の方を向いて目を閉じて何か待っているみたいだ
これは……それだよな……?
……よし、俺も覚悟を決めるか
精一杯目を閉じて背伸びをしているはやりさん
どこかの雑誌で見た理想の身長差とは俺たちは程遠い
そのせいではやりさんがこんなことをする羽目になっているのだ
「ここは……」
はやりさんの脇の下から持ち上げる
想像した以上の軽さにびっくりだ
「ふぇ!?」
驚いてはいても決して目は開けない
それほど期待しているのだろう
だったら俺も……
目を閉じてはやりさんの唇へとゆっくり進んで行く
そこからはほんのり温かい息が漏れている
そこに唇を重ねる
……柔らかいな
たった一度きりの初めての感想はただそれだけだった……
「これが京太郎くんの言っていたムードなのかな☆」
「ダメ……ですか……?」
「ううん、すっごくいいね☆」
「よかった……」
「本当に好きな人にはやりの『はじめて』をもらってもらえてよかった……」
「俺もです……」
「大好きだよ、京太郎くん」
「俺もですよ、はやりさん」
そういって笑うはやりさんの顔は月明かりに照らされてとても貴いものに見えた
そんな人と初体験ができたのだ
あの柔らかさや温もりは鮮明に記憶に焼きつけられた
幸せじゃないわけないよな
「そろそろ下ろしてもらってもいいかな……?」
「す、すいません……」
「ううん、楽しかったから大丈夫☆」
そういってはやりさんは無邪気に笑うのだった
「あの……そろそろ答えを聞いてもいいですか……?」
心臓が爆発して死んでしまいそうだ
「はやりも京太郎くんが大好きだよ☆」
「じゃあ……」
「だからこそ……ごめんなさい」
「……え?」
大きくお辞儀をして走っていくはやりさん
予想だにできなかった答えに呆然として追いかけることすらできない
ようやく我に返って一つだけわかったこと
「ああ、俺って振られたんだな……」
言葉に出すと悲しみがさらに大きくなる
「と、とりあえず帰らないと……」
だけど歩くことができずベンチにへたり込んでしまう
ああ、和もこんな気持ちだったんだな……
『初恋は叶わないって本当だったんですね』
そんな言葉が沈みゆく月とともに沈んでいく俺の心にずっしりのしかかるのだった……
第3部カンッ!
第3部は以上です
質問等があればどうぞ
今夜はここまでにします
おやすみなさい
インターミッション
「おはようございます……」
これほど朝が憂鬱だと思ったのはいつぶりだろう
振られた相手と顔を突き合わせなければならないなんて……
……ごめんな、和
今更ながら自分の言葉の重さを痛感した
「グッドモーニングです」
「あれ……?」
声をかけてくれた良子さん
テレビにかじりついている健夜さん、理沙さん、咏さん
だけど……
「あの……はやりさんは……?」
会いたいような会いたくないような……
「はやりさんでしたら急な用事で先に一人でチェックアウトして帰られました……」
「そ、そうですか……」
内心胸を撫で下ろす
それもそうだ
どんな顔をして会えばいいかわからないもんな……
「ところでみなさんは何を見てるんですか?」
そこまで夢中になるのだ
それほどの大事件でも起こったのだろうか?
「見てみ」
煩わしそうに咏さんがテレビ画面を指差す
「……え?」
シンプル
だけど俺にとっては大事件
『瑞原はやり結婚へ』
『アイドル活動も引退か!?』
『お相手は同期の男子プロ!』
『瑞原プロの事務所は沈黙』
……なんだよこれ
テレビの中でにこやかに笑っている結婚相手だという男子プロ
テレビの画面越しではあるがその視線は俺だけに向けられているような気がした……
第4部7月25日夜投下開始予定
こんばんは
約束通り第4部を開始します
といっても今夜はプロローグくらいですが
もしかしたら性的な描写が含まれるかもしれないので、苦手な方はあらかじめ『えっちぃの』をNG登録しておいてください
でははじめますよーぅ
「じゃあ元気出してね……?」
「……はい」
ここからバスに乗り換える俺はお別れだ
ご飯の味もよくわからず、電車の中でも一言も交わさなかった
はやりさんが先に帰ったので5人になり、必然的にボックス席から一人だけ離れて座ることになる
正直誰とも話したくなかった俺にはかなり好都合だった
不安げに俺を見つめる健夜さんたちになんとか精一杯の作り笑顔で別れを告げる
本当はまだバスには時間があったが一緒に顔を合わせていたくなかった
それほどまでに俺はショックだったらしい
そんな失恋を乗り越えてあまつさえ『お兄ちゃん』と慕ってくれる和の凄さが身にしみる
バスに乗った俺はぼんやりと何か考えていたらしい
だけどそんな状態での考えは何か思い出せないうちに眠りに落ちたらしい
そして何やら夢を見たらしい
見たことはわかるけど内容は覚えていない夢
そんな夢から覚めた時、いつもの駅前へとバスは到着していた
「……おかえりなさい、京ちゃん」
「……咲?」
駅前には俺の幼馴染が待っていたのだった
「父さんたちは?」
「急用ができてお父さんに京ちゃんのお迎えを頼んだの」
咲の指差す先ではおじさんが手を振っている
「そうか……」
「なにかあったの?」
不安げに見上げる咲
「…………いいや」
なんとか言葉をひねり出す
「そっか……行こう」
「……ああ」
もしかしたら俺の様子がおかしいことに気づいたのかもしれない
だけどそれを口にせず咲はおじさんの方へと歩いていく
何も言われないのがこんなにありがたいなんてな……
車中で昨夜の嵐の影響で臨時休校ことを聞いた
風のせいで校舎に異常がないか点検が必要になったらしい
……ありがたいな
野次馬の目にさらされないことを知りホッと胸をなでおろした
「京ちゃん、何か食べたいものはある?」
「……特にないな」
今日の料理は咲が作るらしい
父さんたちは急用で帰って来れそうにないしな
「ま、咲の花嫁修業に付き合ってやってくれよ」
「もう!お父さん!」
おじさんの軽口に咲がほっぺたを膨らませている
いつもなら微笑ましい光景なのだろうけどな……
「じゃあ今夜は咲ちゃんのスペシャル料理で京ちゃんを元気付けちゃうぞ☆」
「…………」
思わずおじさんも俺も固まってしまう
「二人揃っての無言はやめてよ!」
「いやぁ、なあ……」
「えぇ……」
怒る咲を横目に俺たちはただ顔を見合わせて苦笑いをするばかりだ
「じゃあゆっくり休めよ、二人とも」
俺たちを下ろしておじさんが帰って行く
変に気を遣わなくていい分かなり気が楽だ
「よし、お洗濯しちゃうから全部出して」
入ってくるなり咲が張り切っている
「別に今日しなくても……」
「絶好の洗濯日和だからね!」
台風一過というやつか文句無しの晴天だ
抜けるような青空とは対照的に俺の心は荒れたままだけど……
「一回シャワー浴びてきたら?」
「ああ、そうさせてもらうよ」
咲に言われた通りシャワーを浴びる
バスのせいで汗をかいていたらしい体もきれいになって少しは気分が晴れてきた
「何か手伝うことあるか?」
台所で昼飯の支度をしているらしい咲に話しかける
「うーん……特にないから寝てきたら?すっごく眠たそうだよ?」
「ああ、そうさせてもらうよ」
体を温めてなんだか眠たくなってきたのでありがたく咲の言葉に甘えるか
旅館の布団も悪くはなかったが自分の家にはかなわない
いつのまにか眠りの世界へと沈んでいったのだった……
「…………ん」
いつの間にか暗くなっていた外に驚きながら伸びをする
何やら階下からいい匂いがしてくる
どんなときでも腹は減るらしい
顔を洗いリビングへ向かうと咲がソファーで本を読んでいた
「おはよう、京ちゃん」
「……おはよう?今何時だ?」
「7時半くらいだね」
「まじか……」
ここまで寝るつもりはなかったのに……
「おゆはんできてるけど食べる?」
「ああ、頼む」
「じゃあ盛り付け手伝ってくれる?」
「それぐらいなら俺にもできそうだな
……咲ってこんなに料理上手かったっけ?
それほどまでにその日の晩御飯は美味かった
「ごちそうさまでした」
「おそまつさまでした」
「なんかさ、すっげぇ美味かった」
「ふふん、私が作ったから当然だよ!」
そういって大きいとはいいかねる胸を張る
「ああ、そうだな」
「片付けておくからお風呂の用意しておいてくれる?」
「いや、片付けくらいは俺にさせてくれ」
さもないとバチが当たりそうだしな
「じゃあお風呂は私が……」
「それも俺がやるから本でも読んでてくれよ」
「う、うん……」
少しでも恩返ししないとな
ただぼーっとしているとあのことが頭をよぎりそうで怖かったのだ
少しでも体を動かしたいというのもある
咲が納得してくれてよかった……
「風呂も沸いたみたいだぞ」
「はーい……」
ほんの世界に没頭して生返事をするあたりやっぱり文学少女だ
「先に入ってこいよ」
「ううん、京ちゃんと一緒に入る」
本にしおりを挟んで閉じる
俺がプレゼントしたものをまだ愛用してくれているらしい
「そうか……」
「せっかくだから背中流してあげるね!」
「ああ、頼むよ」
それぞれの着替えを用意して風呂場へと向かう
酒も入っていないの一切の躊躇なく肌を晒していくのは慣れているからだろう
俺も咲のことは言えないけどさ
「どうかしたの?」
「……べつに」
「ふーん……」
タオルだけ持って二人で風呂場へ向かったのだった
「じゃあ先に髪の毛洗って背中流してやるから座ってくれ」
「はーい」
そういって椅子にちょこんと腰掛ける咲
そんなに長くない髪の毛をゆっくりと洗ってやる
もはや手馴れたものだが気持ちよさそうなのでいいだろう
そのままの流れで背中を洗ってやる
小柄な咲の体はあっという間に洗い終えてしまう
「ほら、終わったぞ」
「えー、前は洗ってくれないの?」
「はいはい……こっち向けよ」
「はーい♪」
嬉しそうな咲が俺と向かい合う
かろうじて膨らんでいると言える胸
かろうじて片手では数えきれなさそうな黒いくさむら
きれいにぷっくり膨らんだ割れ目
「……ドンマイ」
「どういう意味!?」
「ほら、洗うぞ」
「う、うん……」
ほんのり膨らんだ胸をこすってやる
「……ぅん」
咲の声がやけに大きく浴室に響く
小さな乳首が硬くなって上を向いているのがなんだか健気だ
そのままお腹をこすり太ももへと向かう
あとは……
「こ、ここ……だね……」
「……ああ」
シャワーのせいだという言い訳が通用しないほど咲の割れ目は濡れている
試しに指でこすってやると石鹸もつけていないのにかなり滑りがいい
濡れそぼったそこはくちゅりという卑猥な水音を立て始める
そのまま続けていくと咲の声もしだいに大きくなってくる
何度も聞いたことがあるはずなのにやはりその声には妙に興奮してしまう
徐々にエスカレートしていった行為に瞬く間に咲は潮を噴きながら絶頂へと達したのだった
「今度は私がしてあげるね……?」
「……ああ」
ようやく人心地ついたらしい咲に背中を向けると丁寧に洗ってくれる
誰かに体を洗ってもらうと妙に気持ちいいのってなんだろうね、あれ
「じゃあ前も……」
髪の毛と背中を洗い終えた咲の言葉にしたがい向かい合う
「じゃあ胸から……」
咲がゆっくりと俺の体を洗いはじめる
背中とは違いこのくすぐったさにはなかなか慣れない
「こ、ここも……洗ってあげるね……?」
咲が小さな手で俺の逸物を扱き始める
あの夜以来咲はなんだか大胆だ
手だけなのだが普段自分がするのとは違うのすっげぇ気持ちよかった
……咲の体が白く染まっているのもなんだかよかったしな
「うーん……気持ちいいねー」
「そうだな」
だいぶ俺の気持ちも晴れてきたらしい
咲は広げた足の間に座っている
経験上この体勢がお互いに一番楽なのだ
……色々と当たるけどな
「ねえ、京ちゃん」
「……なんだ」
「旅行で何かあったの?」
「……いや」
「嘘だね」
即座に返される
「何年京ちゃんの幼馴染をしてると思うのさ」
「……そうだな」
振り向いて得意げな顔をしている咲
……やっぱりかなわないな
「……ふられたんだ」
「……はやりさんに?」
「……ああ」
「そっか……」
それっきり咲は黙り込んでしまった
真剣に考え込んでいるらしい咲に俺も言葉をかけることはできず同じように黙っているしかできなかった
「ねえ、京ちゃん」
「……なんだ」
「もし私が告白してくれたら付き合ってくれるの?」
「は!?」
あまりにも突拍子もないことに色々なものが吹き飛ぶ
「どうなの?」
「……ごめん」
「それだけはやりさんが好きなの?」
「なんだかよくわからないんだ」
「ふーん……」
咲に言われたことを考える
どうしてはやりさんが好きなんだろう?
咲のことが好きか嫌いかで言えばもちろん好きだ
和だって優希だって健夜さんだって良子さんだって
みんなが好きなことにはかわらない
だけど……
晴れ始めていたはずの俺の心には再び雲が垂れ込め始めていた……
「京ちゃんの悩みの種を消してあげよっか」
「……え?」
どういうことだ?
「京ちゃんが迷ってるのはさ、童貞だからなんだよ!」
「……は?」
「女を知って成長する文学作品だってあるんだからさ、童貞じゃなくなればいいんじゃないの?」
「そ、そう……なのか……?」
「そうだよ!」
咲がそこまで言うんだったらそうなのかもしれない……のか?
「だけどさ……」
「もしかして相手がいないの?」
「…………」
無言で頷く
「だったら私が相手になってあげるよ!」
「お、おう……」
「いいからベッドに行こう!」
「お、おい!」
体を拭くのもそこそこの咲に連行されるままにお互い全裸でベッドまで連行されたのだった……
「さあ、いつでもいいよ!」
全裸の咲がベッドに横たわり足を広げている
「普通ってもっとムードを作るもんじゃねーの?」
「そんなことを言ってるから童貞なんだよ」
「処女には言われたくないな……」
「いいからいいから!」
「お、おう……」
体は正直なもので十分硬くなっていて準備万端だ
そしてそれは咲も同じみたいで……
「こ、ここ……だからね……?」
ゆっくりと俺の逸物を自らの入り口へとあてがう
じっとりと湿ったそこはまるで涎を垂らしているみたいだ
咲は……
「ごめん、無理だ」
「……え?」
「咲が怖がっているのに無理やりできない」
「で、でも……!」
「ありがとうな、咲」
そういって裸の咲を撫でてやると突然泣き出す
ただその咲を撫でるしかできないのだった……
「落ち着いたか?」
「うん……」
ようやく咲は泣き止んでくれた
「ごめんな、咲に迷惑ばっかりかけて」
「……ううん、気にしてないよ」
かなり強がっている顔だ
「俺さ、はやりさんとまっすぐ向き合ってみるよ」
「それを私に宣言するのってどうなのさ……」
「咲ぐらいしか宣言できる相手はいないしな」
「ふーん……ま、そういうことにしておいてあげるよ」
「ああ、そうしてくれ」
「あーあ、なんだかすっごく疲れちゃったなー」
「じゃあ寝るか?」
「そういえば私って抱き枕がないとねれないんだよねー」
「……え?」
「どこかにいい感じの大きさの抱き枕ないかなー」
そういってチラチラと視線を向けてくる
「……一緒に寝るか?」
「しかたないなー」
「じゃあせめて服を……」
いう前に咲は眠っていてつないだ手を振りほどくのは心が引ける
しかたないな……
「ありがとうな、咲」
起こさないように小声で耳元でつぶやく
笑ったように見えたけどちゃんと寝てるよな……?
さて、明日から頑張りますか
おやすみなさい
続く
乙です
咲は献身的でヒロイン力が高いですね
惜しむらくはメインヒロインははやりんということ・・・
はやりんも好きではありますが。
咲は献身的でヒロイン力が高いですね
惜しむらくはメインヒロインははやりんということ・・・
はやりんも好きではありますが。
こんにちは
1日勘違いしてたみたいですね
まあそれくらいのミスは誰にでもあると思いますし……
ちょこちょこ更新していきます
性的な描写が最初に少しでてくるので苦手な方はあらかじめ『えっちぃの』をNG登録しておいてください
でははじめますよーぅ
「……ぅん」
気だるさと妙な重さに目が覚める
目の前にあったのは……
「……桃?」
こんな光景前にもあったような……
あのときと違うのは随分小ぶりだってことだ
「……なにしてるんだ、咲」
「おはよう、京ちゃん」
小ぶりな桃が答える
「もうちょっとで終わるからね」
「……おう!?」
「やっぱりあまりおいしくないね……」
「飲むもんじゃないだろうが……」
俺のものを飲み干したらしい咲につっこむ
「いいから着替えろよ……」
「そうだね!」
俺の部屋に全裸でくるのはどうなんだよ……
……今日は水色の上下か
「ごちそうさまでした」
「おそまつさまでした」
なぜか朝食の準備は万端だった
「いつ作ったんだよ」
「え?京ちゃんを起こす前だよ?」
そんなの当たり前でしょと言わんばかりの表情
「……裸で?」
「そんなわけないでしょ!」
「そうなのか?」
「裸だとエプロンだけでも油がはねるとすっごく痛いんだからね!?」
「やったことあるのかよ……」
「男の人は裸エプロンを喜ぶって書いてたから……」
「じゃあ俺が起きたときのも……」
「男の人は朝ああしてあげるのが一番いいって本にあったから……」
顔を赤らめていうようなことではない
「咲、いろいろ間違ってるぞ」
「……え?」
「少なくとも朝からそんなことをされて喜ぶ男はそんなにいない」
「う、うそ……」
本気で愕然としているらしい
……気持ちよかったけどさ
「あ、今日のお昼はお弁当だから忘れないで持って行ってね」
「これも作ったのか?」
「一人分より二人分の方が楽だからね」
「はいはい……」
「じゃあ行こっか」
「ああ、そうだな」
しっかり今日の準備が整っているらしい
制服だけじゃなくて授業道具まで揃っているのはどうなんだ?
「昨日うちから持ってきたからね」
「さいですか」
昨日に続き抜けるような秋晴れ
一時期を思えば風が心地いい
幸いなことに登校中は特にトラブルもなかった
だけど……
教室に入った俺はことの重大さを否が応でも突きつけられるのだった……
「なんだよあの人の数……」
「あはは……」
昼休みになった俺たちは部室へと避難していた
「それにしても休み時間のたびにってさあ……」
「隣のクラスだけじゃなくて他の学年の人もいたみたいだもんね……」
はやりさんの結婚
そして失踪
それは日々のワイドショーでのいいネタになっているらしい
抜群の知名度を誇るはやりさんと共演している俺がいるのだ
ただの野次馬根性だけでなく興味本位で話を聞きにくる人もいる
最初こそクラスの連中だけだったがいつしか他のクラスの人も来るようになりトイレにすら満足に行けそうにない状態だ
咲が休み時間のたびに連れ出してくれなかったらもっと大変なことになっていただろう
「ありがとうな、咲」
「なにかお礼言われるようなことしたっけ?」
小首を傾げている
「ま、いろいろだ」
「それよりお腹空いちゃったから早く食べようよ!」
「ああ、そうだな」
二人揃っていただきますをして蓋を開ける
その光景に思わず俺の手が止まってしまった
……桜でんぶでハートマークって
逃げ出しておいて正解だったな……
「ごちそうさまでした……」
「おそまつさまでした」
嬉しそうな咲
「とりあえずハートマークはやめてくれ、想像以上にきつい」
「わ、わかったよ……」
俺の気持ちを汲んでくれたらしい
「ただ、すっげぇ美味かった、ありがとうな」
「うん!」
「このまま教室に戻るのもあれだしなにかしてるか?」
「うーん……麻雀には時間が足りないし……」
「昼寝をすると寝過ごしそうだしなぁ……」
「じゃあ肩揉んでほしいな」
「それぐらいならおやすい御用だけど……こるほどないだろ?」
「どういう意味さ!」
「ほら、そんなに時間ないんだから早く座れよ」
「う、うん……」
気持ちよさそうだからよしとするか……
「今日も終わったなー」
「そうだねー」
帰りのホームルームが終わって逃げ出すように部室に向かう
このときばかりは部室の立地に感謝だな……
「お疲れみたいじゃのう……」
部室に入ると染谷部長がいた
「3年生の間でも話題になってたわよー」
ベッドからひらひらと久先輩が手を振る
「久は久でお疲れみたいじゃしのう……」
「どういうことですか?」
部長の一言に咲が質問する
「須賀くんへの取材を断るのにちょっとね……」
「俺ですか……?」
「瑞原プロに興味があるのは生徒だけじゃないってことよ」
「わざわざご足労するとはのう……」
「あら?学生議会長としては自分の学校の生徒への不当な取材は許さないわよ?」
「ありがとうございます」
「さて、そろそろ呼び出されるみたいだし行きましょうか」
そういって部室を後にする久先輩がとてつもなく頼もしく見えた
「京太郎も今日は帰った方がええじゃろう」
「ですが……」
「今週は部活はやすみじゃ、まともに出来る状態ではなさそうじゃしの」
そういって指差す先
いかにもマスコミという人だかりができていたのだった……
「でもいいんですか?」
「久と同じでワシも部員が大事じゃからな」
そういって笑いかけてくれる
「といってもいたずらに休んでもダメじゃけえの?」
「はい」
「とりあえず目先のことに目を向けると新人戦があるからの」
「京ちゃんも団体戦のメンバーだからね」
「……え?」
「秋の新人戦は3年生がおらん関係で男女混合になるんじゃ」
「そのぶん壁も高くなるけどね!」
「そ、そうか……」
「何があったかは知らんけど新人戦までに解消してきんさい、相談くらいには乗れるけえ」
「私だっているからね!」
「ああ、そうだな」
「ほいじゃあさっさと帰りんさい」
「ええ、そうしますね」
帰りながらケータイを開くと和と優希からメールが着ていた
『一緒に頑張りましょうね』
『足を引っ張ったら許さないじぇ!』
いい仲間を持ったな……
帰り道で目頭が熱くなるのを必死に堪えたのだった
「おかえりなさい、京太郎」
「おかえり、京太郎」
「ただいま」
家に帰ると珍しく母さんだけでなく父さんもいた
「あれ?仕事はもういいの?」
「ああ、しっかり終わらせてきた」
「そうなんだ……」
「息子のピンチにおちおち仕事もしていられないしな」
「……え?」
「取材の依頼が何件きたか知ってる?」
「いや……」
「ま、まともに相手するだけ馬鹿らしいってことだ」
そういって父さんが笑う
「明日からしばらく父さんが送り迎えするからな」
「……いいの?」
「有給ってのはこういうときのためにあるんだよ」
そういって笑う
こんなに頼もしかったんだな……
「ほらほら、ご飯にするから着替えておいで」
「……ああ」
部屋に戻って少し泣いたのは内緒だ
それから数日、週末まで特にトラブルなく無事に過ごせた
「大丈夫か?」
「いやだったらおやすみしてもいいのよ?」
「いや、俺の仕事だから頑張ってくるよ」
長野駅に送ってくれた父さんと母さんは不安げに俺を止めようとしてくれる
その心遣いはありがたいけどただ甘えているわけにもいかない
責任ってやつもあるしな
「わかった、なにかあったらすぐに電話しろよ?」
「助けにいってあげるからね」
「ああ、わかった」
いい両親を持って幸せだ
「……そろそろバスの時間だな」
二人にいってらっしゃいの後に抱きしめられた
なんだか恥ずかしかったけどとっても落ち着けた
恥ずかしいから言葉にはできないけど感謝しっぱなしだ
「じゃあいってきます」
少しカーテンを開けてみると笑顔の二人が手を振ってくれていた
よし、頑張れる!
新たな覚悟を象徴するようにバスも走り出したのだった
「おはようございます」
いつも通り電車に乗り換えてテレビ局に向かう
タクシーを使ってもいいとも言われたが遠慮した
イメージだけどタクシーは渋滞につかまりそうだったからだ
長野とは違い人の視線も気になったが気にしていてもしょうがない
無事にテレビ局にたどり着くとプロデューサーさんが出迎えてくれた
「大丈夫かい?」
「ええ、大丈夫です」
「さっそくだけど打ち合わせに入ってもいい?」
「はい」
プロデューサーさんに連れられて会議室に向かう
その中ではやりさんがしばらくおやすみすることを聞いた
そして代役を立てることを
正直不安しかないけれどそういうわけにもいかないだろう
いつまでも健夜さんにお願いしておくわけにもいかないしな
その……色々キツいものがあるしな……
「……失礼します」
4回ノックをする
「どうぞ」
中からの声に扉を開けて入る
「……え?」
「よろしくお願いしますね、京太郎くん」
「……なんで和がここにいるんだ?」
「はやりさんの代役になりました」
「そ、そうか……」
和に渡された書類によると
ルックスは申し分なく、インターハイ団体制覇で知名度もある
何より俺と同級生であるため仕事しやすいだろう
……あの日まではそうだったのにな
「はじめてですが頑張りますのでよろしくお願いします」
「こ、こちらこそ……」
深々と頭をさげる和に一抹の不安が渦巻くのだった……
続く
次回予告
「な、なんですかこれは……!」
はしゃぎ回る子供たち
だけどどう見ても子供には見えない人もいる
「ちょ、ちょっと!スカートめくらないでください!」
「お、おい!」
必死に止めようとする俺を嬉しそうに拘束している男たち
さすがに大の男4人には力づくでは勝てない
「や、やめてください……」
服を破られてあられもない姿を晒す和
助けを求める和をただ見ているしかできない
「いや……いやあ!」
ニヤニヤしたした男たちは和の悲鳴にさらに愉悦を覚えるのだった……
という展開ではありませんが次回もお楽しみに!
途中間があいてすいませんでした
高校野球決勝に熱中してました
次回更新は今日の夜か明日の夜かそれ以降です
失礼します
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