元スレ灼「個人戦は見学して行くから……」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★×5
801 = 1 :
誠子「いえ、インハイみたいな大舞台での失敗はトラウマになるんですよ……」
泉「ええ……キツいんですよね。 夢に見ますもん……」
宥「あ……」
泉ちゃんも誠子ちゃんも、今年はちょっとうまくいかなかったから……身近なところでも、赤土先生は十年前のインターハイを境に一度麻雀から離れることになってるし……
泉「昨日も園城寺先輩が病院に運び込まれる夢見たんですよね……私が一位抜けしないと手術受けられないのにどうやっても勝てなくて……だんだん先輩が弱ってくんですよ……」
誠子「私も……昨日は鎖に縛られた変態に追いかけ回された上に妖怪に身体中しゃぶられて、最後には巨大なボウリングの玉に轢き潰される夢を見て……」
泉「それインハイも麻雀も関係ないやろ!? ただ単に怖いわ!」
宥「あ……あったかくない夢だね……って! それどころじゃないよ! と、止めないと!」
誠子「そうだった! 何かあってからじゃ遅いし! 行くよ、二条!」
泉「あ、はい! そうですね! ……佐々野さーん!」
誠子「佐々野さんストップ! 早まらないでくださーい!」
いちご「…………ん?」
誠子「待ってくださーい!佐々野さーん!」
宥「わー! まってー!」
泉「うおおおおお! 佐々野さーん! うおおおおお!」
いちご「ひゃあ!? な、なんじゃなんじゃ!?」
誠子「逃げたぞ!」
泉「追いますよ!」
宥「う、うん! 」
802 = 1 :
――――――
泉「ええですか? そりゃあ、大きな失敗だったかもしれませんけどね……死んだらどうにもならないじゃないですか」
誠子「佐々野さんはまだ個人戦もありますし……その、やっぱり団体戦とは全然違うってわかってますけど……全然取り返せますよ!」
宥「失敗は忘れちゃダメだけど、気にしすぎたらもっとダメですよ! その悔しさ、辛さを前向きなパワーに変えないと!」
いちご「お、おう……その、ひとつ質問してもええか?」
誠子「はい? ……どうぞ」
いちご「……なんでちゃちゃのんはこんなにお説教されとるんじゃろうか……?」
泉「そんなん、佐々野さんが身投げなんかしようとするからに決まってるじゃないですか!」
いちご「へ?」
誠子「ダメですよ、命を粗末にしちゃあ……」
いちご「いやいや! ちょっと待って! なんの話じゃ!?」
宥「ですから、佐々野さんが橋から身投げを……」
いちご「身投げなんかせんって! そりゃあちょっと黄昏れとったけど……さすがに死んだりはせんよ!」
泉「え?」
宥「……なんだ、勘違いかぁ……よかったぁ」
誠子「す、すみません……お騒がせしまして」
いちご「あんまり危機迫った表情で走ってくるからむしろ殺されるんじゃないかと思ったわ……」
泉「あはは……すみませんでした」
803 = 1 :
いちご「それにしても……そんなに、思い詰めとるように見えたんじゃろうか?」
泉「まあ、わりと……」
誠子「なんとなく自分を重ねてしまったというか……」
いちご「……正直、敗退決まったときは消えたくなったけどなあ……ちゃちゃのんが役満振ったので勢い死んだっていうか……先鋒次鋒とよかったのに……」
誠子「……私だって大将戦を前に約6万点の失点を……あはは……」
泉「私も先輩の頑張りをしっかり繋げられなくって……」
宥「えっと、えっと……み、みんな元気だして……」
いちご「はぁ……ええなぁ……あんた、阿知賀の松実さん……お姉ちゃんの方じゃろ? 成績よかったもんなぁ……」
泉「宥さんは超優等生ですよね……公式戦ほとんどプラスですから……」
誠子「いいなぁ……すごいなぁ……」
宥「えっ……えぇ……?」
な、なんか、みんなちょっと怖い感じに……
泉「あー……思い出したらなんかまた凹んできましたわ……」
いちご「……つーかあんた、ちょっと黙っててくれんか? 関西弁聞いとると愛宕のアホ面思い出して頭痛くなるんじゃ……」
泉「そりゃちょっと横暴じゃありませんかね!?」
いちご「あいつ対局中もずっと煽ってくるしマナー最悪じゃったわ……」
誠子「愛宕さんは騒がしいので有名ですよね……腕がいいのも有名ですけど」
いちご「はぁ……ほんと、最悪じゃ……あんたも大変じゃったろ? 準決の白水バカヅキしとったし……」
誠子「二回戦ではギリギリとはいえ稼ぎ勝ってたし、まさかあそこまでボッコボコにされるとは……二条んとこの船久保には甘いとこ全部突かれたし、宥さんのとこの鷺森も凄い気迫で……」
宥「……その、準決勝は、阿知賀にとっては特別だったから……」
804 = 1 :
いちご「はぁ……」
泉「はぁ……」
誠子「はぁ……」
宥「そ、その……ため息をつくと幸せが逃げちゃうって言うし、その……」
いちご「幸せなんかとうに逃げてったわ……」
宥「さ、佐々野さん……」
いちご「あー……もう、どうすりゃええんじゃろうか……」
泉「佐々野さん、個人戦あるじゃないですか……私なんかは汚名返上の機会が遠くてキツいっすわ」
いちご「個人戦……はぁ……正直、軽くトラウマになってて……牌触るのもちょっと怖いぐらいじゃ……」
誠子「……でも、ビビってらんないのも事実ですよね。 決勝はなんとか打ち切ったけど……やっぱり、少し……」
泉「わかります……周囲の目も、ねぇ……」
いちご「ちゃちゃのんなんか、熱い手のひら返しじゃ……雑誌なんかも散々騒ぎ立てといて、負けたら期待外れだのなんだの……こっちは大会前に練習時間削って取材に付き合ってやっとったっちゅーに……」
宥「……佐々野さん、すっごく注目されてましたもんね……」
いちご「結局、ちゃちゃのんがかわいいから騒いどっただけなんじゃなぁ……雀士としては、たいして評価されてなかったってことじゃろ?」
宥「そ、そんなことないと思いますけど……」
誠子「……自分でかわいいとか言っちゃいます? いや、佐々野さんかわいいですけどね……」
泉「……その口ぶりからすると、やっぱりプロとか目指してはるんですか? ここまで来ると個人戦で取り返すしかないですよ?」
いちご「そうじゃなあ……ここからが踏ん張りどころなんじゃが……」
805 = 1 :
いちご「……去年頃から感じとったけど……ちゃちゃのん、麻雀向いてないんじゃろうか……?」
宥「え……そんな、そんなことは……」
いちご「同世代に宮永とか辻垣内や……憎っくき愛宕みたいなのがおって、すぐ下に荒川や神代みたいなんも出てきて……全国でそこそこの成績を出す自信はあっても、そこら辺の格上に勝つんは正直厳しいって……そう思ってる自分がおるんもたしかなんじゃ……」
宥「それは……その……」
宮永さんや、荒川さんがとんでもなく強いのはたしかだ。 私も、その強さは身をもって感じている
いちご「かわいいだけじゃあ、やっていけんのかもしれん……」
泉「……佐々野さん」
いちご「……なんじゃ?」
泉「いちいち自分のことかわいいとかなんとか、めっちゃ鼻につきますわ。 つか高校生にもなって一人称ちゃちゃのんってどうなんですかね?」
いちご「余計なお世話じゃ!」
誠子「……というか、去年から普通にインハイ参加してますし……実力だってあるじゃないですか! 気持ちはよくわかりますけど、自信持って打たなきゃダメだって、それは私今年のインハイですごく強く感じたんですよ!」
いちご「……それは、たしかにそうじゃな。 勝てないと思って打って、勝てた試しなんてないからのう……」
泉「……っていうか、かわいいだけでも十分武器になるじゃないですか」
いちご「へ?」
泉「いや、それこそ本当にかわいいから注目されてただけで雀士として評価されてなかったとしてもですよ? あれだけ特集組まれて雑誌乗ってたんですから全然強みになってるじゃないですか。 一般にも知名度かなり高いですよ」
いちご「そ、そうかのう?」
泉「いいじゃないですか、かわいいんですから。 去年からのインハイの出場経験もあるんだし、最悪今年もダメでも「こら二条! そういうことは言わない!」っと、失礼……とにかく、はやりんの後釜狙ってみるとか客寄せパンダでもなんでも、その枠でとりあえずプロ入っちゃうとか」
いちご「パンダって……ちゃちゃのんはもっと、実力で評価されたいんじゃが……」
泉「だから! 佐々野さん実力あるんですから続けてれば評価も後からついてきますって! きっかけはなんでも……それだけかわいけりゃ、チャンスに繋げる武器になりますよ」
806 = 1 :
いちご「…………」
誠子「…………」
宥「…………」
泉「……あれ? なんか変なこと言いましたかね?」
いちご「いや、ちょっと感心しとったわ……」
宥「うぅ……私、お姉ちゃんなのになんにも言えなくって……泉ちゃんすごいなぁ……」
泉「え? え? そうですか?」
誠子「二条って、そういう考え方できるんだね」
泉「まあ、私も名門千里山で打ってますからね。 生き残るために必死ですよ……一年生で団体メンバー入るためには努力は欠かせませんし、それだけじゃなくって上へのアピールの機会の確保に、それをしっかり活かすのも重要ですから」
誠子「ちゃっかりしっかりやってきたんだなあ……」
いちご「……うん、少し元気出てきた!」
宥「ほんとですか?」
いちご「開き直れたわ……打つだけ打って、それでダメでもちゃちゃのんかわええし! 麻雀続けてればそのうちなんとかなるじゃろ!」
誠子「あらら……まあ間違っちゃいませんけど……」
泉「……それにしても自分のことかわいいとかあんまり言わん方がええですよ? 同性に嫌われるタイプ……」
いちご「うっさいわ! ちゃちゃのんは友だちいっぱいじゃし愛されキャラじゃ!」
泉「だから自分で言うことじゃ……」
いちご「……な、あんた名前なんじゃっけ? 千里山の次鋒じゃろ?」
泉「え、あ……泉です、二条泉」
いちご「ふぅん……じゃ、泉。 私からも言わせてもらうがな……?」
泉「はい?」
いちご「あんた、その改造制服はないじゃろ」
泉「うぇ!?」
807 = 1 :
泉「なに言ってるんですか!? これは超重要な……」
いちご「いやいや」
誠子「まあ、ちょっと……ね、宥さん」
宥「えぇ……わ、私に振られても……」
泉「いや、これはですね! 事情があるんですよ!」
いちご「事情って……いやいや! 事情もなにもないじゃろうが……」
泉「それがですね、この間町を歩いてたら……こう、小さな女の子が泣いてたんですわ。 話を聞いたらおつかいの途中だったらしいんですけど……」
誠子「いや、ごめん。 その話と制服の関連性が全くわからない」
泉「ほら、エコバッグってあるじゃないですか? ビニール袋使わないで、おうちから買い物袋持ってきましょうっていう……それがね、破れちゃったらしくて」
いちご「は?」
泉「だからこう、制服の袖を破ってあて布にして縫い合わせてあげて……」
宥「泉ちゃんあったかいねぇ……」
泉「だから突っ込めや!!」
宥「えぇ!?」
誠子「宥さん、こう……ちょっと、さすがにネタだってわかりません?」
いちご「あっはは! お姉ちゃん天然じゃな?」
宥「うぅ……そんなつもりは、ないんですけど……」
808 = 1 :
泉「……まあ、この制服はアレですよ。 サッカー選手が目立つために奇抜な髪型にするとか、そういう感じの意味もありますから」
誠子「あー……でも、一年生だろ? よくそれで千里山の麻雀部に乗り込んだね?」
泉「まぁ、自信ありましたし……ある程度目立たないと一年生なんてやっぱり試合出してもらえませんからねー」
いちご「それはたしかに……あ、お姉ちゃんのマフラーもそういうやつなんじゃろうか? 夏場なのによくそんなの着けてられるなぁ」
宥「あ、いや……これは、あったかくないから……」
いちご「へぁ!? さすがに冗談じゃろ!? 」
誠子「それが、冗談じゃないんですよね……」
泉「宥さんは、特殊ですから……」
いちご「特殊すぎるじゃろ……そんなこともあるんじゃなぁ……」
誠子「そんなこともあるみたいですよ」
泉「考えてもわかりませんよねー」
宥「うぅ……あ、その! 佐々野さん、今からお時間ありますか?」
いちご「ん? うん……ほら、ちょっと部員のみんなとも顔会わせづらくて出てきたとこあるし……」
誠子「わかります……」
泉「ほんと、会わせる顔がないってことありますよね……」
あ……ま、また暗くなってる……
宥「その、これからみんなでお食事行くところだったんです! よかったらご一緒しませんか? 私のおごりですから!」
いちご「……ええの? それじゃあ、せっかくだしお邪魔させてもらおうかのう」
誠子「なにか食べたいものとかあります?」
いちご「ちゃちゃのんは……そうじゃなあ、久しぶりにお好み焼きでも……傷心じゃしな! 女子力低下な気もするけど、がっつり食べたい気分なんじゃ!」
泉「おっ、ええじゃないですか! 関東の店のレベル確認してやりますわ!」
宥「よぉし! それじゃあ、行こっか!」
809 = 1 :
誠子「…………」
宥「…………」
泉「なんや! 広島風ってアホですか!? あんなもんお好みと違いますよ!」
いちご「なんじゃと!? これだから関西もんは嫌なんじゃ!」
誠子「……あ、あの……そんなことで喧嘩しなくても……」
泉「そんなこととはなんですか!?」
いちご「そんなこととはなんじゃ!?」
誠子「す、すみません! 失言でした……」
いちご「だいたい、関西もんはマナーからしてなってないんじゃ! 愛宕のアホみたいなやつばっかで……」
泉「はぁ!? そんなん佐々野さんに言われたくないですわ! つーか洋榎さんみたいないかにもすぎる人と一緒にせんでくださいよ! アレは特別ですわ!」
誠子「……今、愛宕さんの悪口言ってなかった?」
泉「へ? 気のせいですよ!」
宥「あ、あの……もうちょっと落ち着いて……」
いちご「あ、こっちの方焼けてるからお姉ちゃん食べてええよっ」
宥「あ、ありがとう……佐々野さん」
泉「あ! 宥さんそんなん食べたらアカン! こっちの! こっちの食べてください!」
宥「えっと、その、あ、ありがとう……?」
いちご「なんじゃ、さっきから! ちゃちゃのんの邪魔するんはやめるんじゃ!」
泉「だから自分のことちゃちゃのん言うんはやめてくださいよ! 痛々しいですから!」
いちご「なんじゃと!? 変な制服着とるやつに言われとうないわ!」
泉「なんやと! そんなこと言ったらなんですかいちごって! キラキラネームですか!? 恥ずかしいわ!」
いちご「むむぅ~! 泉のアホ!」
泉「いちごのアホ!」
いちご「アホって言った方がアホなんじゃ! このアホ!」
泉「いちごも今アホって言うとるやないか! そもそも先に言ったんもいちごやろ!」
誠子「……仲良くなったみたいでなによりですね」
宥「……そうだね」
カン!
810 = 1 :
なんでも拾ってく精神だけど、描写薄い子は毎回ちょっと悩みます
事情により四月の頭ごろまでPC触れないので投下はしばらくできません。スマホからはきついので…
書き溜めはできるだけするつもりなのでネタでもキャラでも書き捨ててってもらえれば適当に拾いたいです。よろしくお願いします
811 :
乙だじぇ
安定感のあるユウチャー
やっぱり姉貴でもお姉さんでもなくお姉ちゃんだなあ
812 :
乙
絹ちゃんが聞き耳立ててたりしないよな……?
813 :
乙
二人合わせてどあほうでいいんじゃないかな
815 :
乙です
あと出てきてないのって大沼プロかこーこちゃん以外の女子アナ勢くらいしか思いつかないけど他に誰かいたっけ?
816 :
玉子以外の越谷が出てないかな
817 :
慕ちゃんとこーすけは四日間は同衾したってことでいいんですね? 龍門渕日和と合わさって毎度ビッグガンガン強すぎ
>>815だいたい出てきた気もしますね。ただ>>816の越谷とか新免さんとか友清とか言われるとイメージで何とかすることになるのでそこら辺はご容赦をば
818 :
かいのープロも出てきてないよね
819 :
プロ(女子アナ)勢が相方のことでなぜかレジェンドに相談してくる
820 :
そろそろはやりんと有珠山勢を会わせてもいいんじゃないかな
821 :
意外と影が薄い怜が見たい
あとたかみーや美子あたりも
822 :
えぇと…
取り敢えず…
花田先輩と玄ちゃーによるのどっちさん談義と…
赤土先生と赤阪代行と愛宕監督とアレク監督による教え子自慢&教え子批判は見たいですね…
823 :
優希の体育会系気質はすばらの元で培われたという説を見てなるほどと思ったので、優希とすばらの絡みが見たいな
824 :
玄、和、ユキ、霞さんで麻雀させよう
825 :
アラフォー、シズ、憧、末原によるジャージ同好会
826 :
玄、衣、胡桃、初美で麻雀させるべきかと
827 :
やっと追いついた。
オモロイからぶっ通しで読んだわ!
宥、咲、小蒔、尭深とかのほんわか系の集いが見てみたい
828 :
お久しぶりです。最新話は国麻の情報などいろいろ出てきて捗りますね。我らがアイドル弘世様も後頭部が登場していました!
投下します。戒能さんとかアナウンサーとか
829 = 1 :
はやり「はるえちゃーん!」
良子「どーもです」
晴絵「瑞原プロ、戒能プロ……すみません、お待たせしましたか?」
はやり「ううん、はやりたちも今来たところだよっ☆」
先日の麻雀バーでの久しぶりの再会……それこそ、戒能プロとは10年ぶりに会ったことになる
しばらく会わないうちに立派になって……今では新人王の若手のトップを走るプロ雀士だ。 今日は、今さらだけどそのお祝い……私の奢りで飲みにでも……というお話
……なんだか飲みに行ってばかりのような気もするけど、私は瑞原さんや小鍛治さん、野依さんとの再会も10年ぶりだし……彼女たちは彼女たちで現役の最前線を張るトッププロであり普段は顔を合わせてもろくに会話する時間もないらしい
高校生全国麻雀大会……つまりはインターハイのことだけど、この期間だけは解説の仕事などで多くのプロが一ヶ所に集まる希少な時期であり、多くのプロが少し羽を休める期間にもなっているらしい……団体戦と個人戦の間の期間ということでその他の仕事も多少は入っているようだが、普段に比べれば時間もあるんだろう
まあ、正直なところみんな忙しいし一ヶ所に集まってるうちになにかと理由つけて飲みたいだけなんだけど
良子「……あの、赤土さん……やっぱり昔みたいに呼んでいただけませんかね?」
晴絵「なぁに照れてんの、新人王取った若手のトップがさ」
良子「そうは言ってもまだプロ二年目ですよ? まだまだ慣れませんし……今はオフですから。 プライベートぐらいいいでしょう?」
晴絵「ま、それもそうか……良子ちゃん飲めるの? この前そんなに飲んでなかったよね」
良子「お酒、まだ慣れてないんですよ……誕生日からここ三ヶ月ぐらいけっこう忙しかったですし、うっかり飲んであとに引いたら最悪です」
晴絵「真面目だなぁ……ほんとしっかりした子になって……」
はやり「もう、はるえちゃんだってまだまだ若いんだからっ! そんなおばあちゃんみたいなこと言わないのっ!」
晴絵「瑞原さんは若すぎですよ……」
良子「はやりさんはほんと見た目変わりませんよね……10年前から髪伸ばしたくらいですか?」
はやり「まあ、職業柄いろいろ気を遣ってるからね……はるえちゃんもよしこちゃんも、ちゃんとケアしとかないとダメだぞっ☆ ……30越えた辺りから、いろいろグイグイくるらしいから……」
晴絵「はいはーい」
良子「ラジャです」
はやり「……あんまり響いてなさそうだなぁ……麻雀一筋もいいけど、女を捨てちゃダメだよ……?」
830 = 1 :
良子「まだ20ですし。 ヤングですから。 まだまだ余裕はあります」
晴絵「そうそう! まだまだ若いから大丈夫ですよ!」
はやり「もう……はるえちゃんだって私とふたつしか違わないんだから……」
晴絵「……瑞原さん、それ自分が……」
はやり「……カードにもベテランの感があるとか書かれちゃうからね……はぁ……」
良子「はやりさんもさっさと結婚しちゃえばいいじゃないですか」
はやり「はやりはみんなのはやりだから……結婚はできないんだよ……」
良子「正直、そろそろファンのみなさんも心配してるんじゃないですかね」
晴絵「許されるんじゃないですか、結婚」
はやり「アイドルは恋愛しないの!」
晴絵「言ってることはわかりますけどね……」
はやり「むー……そういうはるえちゃんこそ、ご結婚の予定とかあるんですかー?」
晴絵「……相手すらいないです」
良子「人のこと言えないじゃないですか」
晴絵「そういう良子ちゃんはどうなの? スキャンダラスな話題はさー」
良子「ありませんし、当分は要らないです。 去年新人王もらったとはいえぺーぺーの新人ですから。 麻雀に集中します」
晴絵「そう言ってタイミング逃して散々弄られてる人がいるのを忘れるなよー?」
良子「…………そうですね」
はやり「はぁ……この話題、誰も得しないしやめよう……?」
晴絵「全くもってその通りで……」
831 = 1 :
はやり「……とりあえず、どっか入ろっか?」
良子「賛成です。 赤土さん、今日はご馳走になります」
晴絵「おう! 良子ちゃんがプロになった時も新人王取った時もなんもしてないしね……私が出すからまかせてくれよ」
まあ、瑞原さんも良子ちゃんもこういう時にバカみたいに飲み食いするタイプじゃないしな……あまり潤ってるわけじゃないけど、財布の中身はなんとかなるだろう
うちの子で言えば憧なんかはけっこう……まあ、甘えていい相手をしっかり判断できてるからいいのか。 私にはたかっても玄やしずにはしないだろうし
こういう時にご一緒したくないのは……
恒子「あっ! ハルちゃんだ!」
晴絵「げっ……こーこちゃん!?」
恒子「げっとはなんだよー! なにしてんの? 暇? 一緒に飲み行く? 行こうか! よっしゃけってーい!」
晴絵「ちょ、ちょっと待って! 急に、え? なに?」
はやり「こーこちゃんちょっとストップ! はるえちゃん取らないでよー」
恒子「あっ! はやりんだ! それに、えっと……戒能プロ?」
良子「どもです……たしか、小鍛治さんと組んでた……」
恒子「スーパーアナウンサー福与恒子でーす! よろしく!」
晴絵「相変わらず元気だねこーこちゃん……飲みって、小鍛治さんと?」
恒子「いやいや、すこやんは私しか友達いないけど私は他にも友だちいるからさー」
はやり「すこやちゃんにも友だちはいるよ!? はやりとか、りさちゃんとか……」
恒子「あはは、そうだっけ? そんで今日は他局の先輩アナウンサーを誘っててね」
晴絵「へぇ……中継の放映権とか取り合ってるみたいだしあんま仲良くないのかと思ってた……」
恒子「いやぁ、私これでも新人だし? そういうの知らないふりしてコネ作っとこうかと思って! ヨコの繋がりも大事だよねー」
良子「……案外大物だったりします?」
恒子「ビッグになります! 何かあったら言ってね! 今は特になにもできないけど!」
832 = 1 :
はやり「はや~……ほんとによく人集まったねぇ」
恒子「まあ……すこやんだってはやりんやハルちゃんや野依プロとかとライバルなのに仲良くしてるわけじゃないですか? 私だってねぇ……局こそ違えど同じ大会の実況頑張ってきたわけだし、打ち上げとかしたっていいと思うわけですよ」
良子「それは一理あるかもしれませんね」
晴絵「うちの生徒たちも他校の子とけっこう仲良くやってるしな……」
はやり「実況のアナウンサーっていうと、りさちゃんと組んでたみさきちゃんとか?」
恒子「そうですね! 村吉アナと針生アナと、戒能プロと組んでた佐藤アナ呼んでます!」
良子「ほほう」
はやり「……針生アナって、こーこちゃんと……その、相性悪そうだけど……大丈夫なの?」
恒子「声かけたときめっちゃ嫌そうな顔されました! たぶん今日はお説教されると思います!」
晴絵「そのわりには元気だね、こーこちゃん……」
恒子「まあ、私のキャラじゃ仕方ないしね! きっちりした人だし……まあ、業界の先輩とお話しできる機会ができただけ儲けもんだよねー」
良子「……意外と真面目ですか?」
恒子「バカっぽいキャラだけどバカではないからね! そういう良子ちゃんも不思議な言葉遣いのキャラで売り出し中じゃん? 大変じゃない?」
良子「いきなり良子ちゃんって……」
恒子「あ、嫌だった?」
良子「ノーウェイノーウェイ。 今はプライベートですし、私の方が年下ですから構いませんよ」
恒子「よかったぁ……っていうか言葉遣いも素?」
良子「ええ、わりと」
恒子「はぁー……良子ちゃん面白いねぇ」
良子「福与アナに言われると複雑ですね」
恒子「こーこちゃんでいいよ? ……で、今日はなんの集まり? 一緒に飲み行く?」
晴絵「いやまあ飲み行くけど……一緒に行くのはどうなの? 針生アナとか、先輩アナウンサーとの集まりでしょ?」
恒子「人数多い方が楽しいし!」
晴絵「そりゃそうかもだけど……」
良子「まあ、佐藤アナに挨拶ぐらいさせていただきましょうかね」
はやり「はやりもアナウンサーさんたちなら顔見知りだし……ご挨拶はさせてもらおうかなっ☆」
恒子「よっしゃ! じゃあ行こうか! そろそろ集合時間過ぎちゃうし……」
晴絵「それはマズイだろ……また怒られる材料増えるぞ?」
恒子「どうせ怒られるなら変わんないって! さ、いこいこ!」
833 = 1 :
――――――
恒子「どーもっ! すみませんお待たせしましたっ!」
裕子「いえ、ギリギリですけど時間前ですし……戒能プロに瑞原プロ? お疲れさまです」
良子「どうも、お疲れさまです」
はやり「お疲れさまですっ☆」
みさき「お疲れさまです」
えり「お疲れさまです、瑞原プロ、戒能プロ。 それと……」
晴絵「はじめまして。 阿知賀女子監督の赤土晴絵です」
えり「ああ……失礼しました。 針生えり、アナウンサーです。 よろしくお願いします……ところで」
恒子「はい?」
えり「そもそも、声をかけたのもあなたでしょう? せめて約束の時間の10分前には……」
裕子「まあまあ、一応間に合ってますし……」
みさき「そもそも、そういう人なのはわかってたじゃないですか。 いちいち怒らないでくださいよ」
えり「村吉アナ、そういう問題では……」
恒子「すみませーん! 悪いのは私ですし、村吉アナを怒らないでくださいよ、針生アナ!」
みさき「そうですよ。 悪いのは福与さんですし」
裕子「……む、村吉アナも少し言い方を、なんと言うか……」
えり「はぁ……まあ、お説教は後にしましょう。 瑞原プロたちは……」
はやり「ちょうどはるえちゃんとよしこちゃんと一緒だったところでこーこちゃんに会ったんだ☆」
良子「お邪魔でなければ、トゥギャザーしてもよろしいでしょうか?」
裕子「トゥ、トゥギャ……ええ、まあ私は構いませんが……」
みさき「針生アナがいいのであれば」
えり「……もちろん、構いませんよ。 ただ、福与アナも予定と変わるのであればちゃんと連絡を……」
恒子「ごめんなさーい!」
えり「…………」
みさき「だからいちいちイライラしないでくださいよ。 わかりきってたことなんですから」
恒子「村吉アナキツいっすね!」
みさき「事実を言ってるだけですよ」
晴絵「……ほんとにキツいなぁ」
834 = 1 :
――――――
恒子「えーそれではみなさん! インハイの実況に解説、それに監督とお疲れさまでした! とりあえずかんぱーい!」
「「「「「「かんぱーい!」」」」」」
良子「お疲れさまでした、佐藤アナ。 いろいろと助けていただいて……」
裕子「いえ、こちらこそ……麻雀に関しては私も至らないところが多く……」
はやり「よしこちゃんは解説のお仕事は初めてだったんだっけ?」
良子「地方のイベントなんかでは何度かありましたがこの規模の大会では初めてでしたね」
恒子「初体験か!」
えり「なんでそのワードをチョイスするのか……というか、あなたも新人でしょうに」
恒子「はい! 就職1年目からいい仕事もらえてラッキーでした! これからもバリバリ稼ぎますよー!」
えり「…………」
晴絵「こーこちゃん、ちょっとさ、ね? あまりさ……」
みさき「注意するだけ時間と労力の無駄なのでは? ……赤土監督もお疲れさまでした。 団体戦三位おめでとうございます」
晴絵「あ、これはどうも……」
みさき「……野依プロから10年前に瑞原プロや小鍛治プロと一緒に対局して、準決勝で敗退されたと聞いていますが……」
晴絵「いきなりぶっこむなぁ……そうですよ。 今回は教え子たちにいろいろと託してたんですけど……それにしても村吉アナ、野依さんと仲いいんですね。 あまりそういうの話すタイプでもないのに……」
みさき「まあ、何年か一緒にこの仕事やらせていただいてますから……仲はいい方だと思いますよ」
えり「……そのわりに野依プロにキツいですよね、村吉さん」
みさき「いいんじゃないですか? ウケてますし」
恒子「それは大事ですよね!」
835 = 1 :
裕子「福与アナも小鍛治プロとのコンビは評判が良かったですね」
恒子「ありがとうございます!」
はやり「すこやちゃんの解説、ちょっと辛口だからね……こーこちゃんのお陰でそういう棘みたいなのが緩和されたんじゃないかなっ☆」
良子「小鍛治さん、やっぱり他の人と見え方が違うところありますからね……」
晴絵「そういう良子ちゃんは他の人に見えないものが見えてるじゃないか」
良子「はは、たしかにそうですね」
裕子「……あの、今のは視野が広いとか、そういう意味ですよね?」
良子「いえ、文字通りの意味です。 例えば針生アナの後ろに……」
えり「!?」
良子「……冗談です。 なにもいないですよ?」
えり「たちの悪い冗談はやめてください!」
良子「すみません……ただ、水回りとか少し気を付けてくださいね」
えり「なんですか!? 本当にやめてくださいよ!」
恒子「あはは! 意外とオカルト系苦手なんですねー」
みさき「おばけ怖いとかいい年してなんのアピールですか?」
えり「さすがに怒りますよ!? だいたい、野依プロにもそういう口の聞き方をして……それで険悪な仲にでもなったら友人と共に仕事もひとつ失いますし……」
みさき「ああ、それは大丈夫ですよ」
恒子「ほほう? それは二人の信頼関係はちょっと口悪いぐらいしゃ揺るぎません的なやつですか?」
みさき「そもそもあの人私しか友だちいませんから、仲悪くなったりはないです」
晴絵「いやいや! 野依さんも友だちぐらいいるからね!?」
はやり「はやりとかはるえちゃんとか、すこやちゃんとか!」
みさき「ああ、そういえば……でも」
晴絵「でも?」
みさき「みなさんはまあいいとして、他に友だちいるんですか?」
836 = 1 :
晴絵「…………あー、それは……ほら、ねえ?」
はやり「えっと……よ、よしこちゃんもいるし……」
良子「友人として扱ってくれるのはうれしいですが、正確には後輩というか妹分というか……」
はやり「……そうだね」
晴絵「……そりゃあちょっと口下手だけど! 野依さんは本当にいい人で……」
みさき「いやもう友だちいない前提のフォローじゃないですか」
裕子「……どうしてそんなに当たり強いんですかね……?」
みさき「普通ですよ、普通」
えり「……ほんと、よくそれで今までやってこれましたね」
みさき「媚びない姿勢が評価されたと言いますか……」
恒子「かわいい顔して毒舌とか面白いですしねー」
裕子「その、村吉アナは童顔ですよね……私なんかよく実年齢より上に見られるから羨ましいです」
はやり「みさきちゃんは……たしか、はやりの2つ下だっけ?」
みさき「すごい年取った気がするのでその言い方はやめてほしいんですが……まあ、そうですよ」
はやり「うぅ……はやりがおばちゃんみたいな言い方しないでよぉ……」
晴絵「あ、同い年なんですね……ひとつかふたつぐらい下なのかと……」
みさき「同い年なのでお気軽にどうぞ……赤土さん顔広いみたいですし、なんかあったときはパイプ繋いでくださいね」
晴絵「堂々とコネ作り宣言しますね!?」
みさき「そういえば、佐藤アナは私たちよりも年下ですよね?」
晴絵「えっ?」
837 = 1 :
裕子「……今年で25になります」
晴絵「え!? ひとつ下なの? すごい大人っぽいからてっきり上かと……」
裕子「よくあるんですけど……先輩に敬語で話しかけられたりとか……いったいどうすればいいのかと……」
恒子「いいんじゃないすか? 偉そうにしてれば」
えり「そんなわけないでしょう! 福与アナは少し自分がもう学生ではなくひとりの社会人になっているということを自覚して……」
良子「あー、私からしてみれば頼りになるお姉さんですから。 慣れない仕事でしたし、たくさんフォローしていただいて助かりました」
裕子「……そう言っていただけると、うれしいのですが……」
良子「元気だしてください。 佐藤アナはキュートですし、なにも問題ありませんよ」
裕子「は、はぁ……? どうも?」
はやり「そうそう! ちょっと年上に見られるくらい大丈夫だよ! はやりなんてまだ若いのに年齢をネタにされて……」
みさき「若い?」
晴絵「瑞原さん酔い回ってへこみはじめたからやめてあげて!」
恒子「はやりんは泣き上戸なの?」
はやり「泣いてないもんっ! はやりが泣いてたらみんなを笑顔にすることなんてできないんだからっ!」
良子「ハンカチどうぞ」
はやり「ありがとぅ……」
えり「……あの、ちょっとよろしいでしょうか?」
晴絵「はい?」
838 = 1 :
えり「前々から思っていたのですが……」
恒子「なになに? もったいぶらずに教えてくださいよ~」
えり「それ! それなんですよ!」
恒子「はい?」
えり「福与アナをはじめとして、言葉遣いがしっかりしていない人が多すぎます!」
恒子「え? 私がその代表なんですか!?」
みさき「当然じゃないですか。 自覚してないんですか?」
良子「そんなこと言ったら村吉アナだってなかなか……」
晴絵「言葉遣いがどうこうって言うか……みんな個性ありすぎなんだよなぁ」
裕子「……まあ、たしかに」
はやり「うーん……えりちゃんが怒るのももっともかもね……」
えり「なんで他人事みたいに言ってるんですか!? 赤土さんと佐藤アナ以外は当てはまるでしょう!?」
はやり「えっ?」
良子「マジですか」
みさき「一緒にしないでくださいよ」
えり「村吉アナは口悪すぎです! 戒能プロも変な英語とか使わないでくださいよ! 実況の佐藤アナ困ってたじゃないですか!」
良子「む……それは、失礼しました」
裕子「あ、いえ! その……プロ雀士は個性的な方が多いですし、それに合わせるのも私の腕の見せどころと言いますか……」
えり「そうやって甘やかすからプロの方が好き放題するんですよ!」
恒子「あっ! それわかります! すこやんなんて「好き勝手してるのはあなたでしょう! 小鍛治プロはまともに仕事こなしてるじゃないですか!」あれー?」
良子「……針生アナ、ストレス溜まってますね?」
えり「ストレスも溜まりますよ! 新入りのアナウンサーはアホだし!」
はやり「あ、あの、えりちゃんちょっと飲みすぎじゃ……」
えり「大丈夫ですよ!」
恒子「……あの、もしかしてアホって私ですか?」
えり「決まってるでしょう!? それに変なプロ雀士と組まされるし……!」
晴絵「あー……たしかに、針生アナは咏ちゃんのテンションに合わせるのキツそう……」
はやり「うたちゃん、いい子だよ?」
えり「私はああいう適当な人と組むよりも、もっと理知的でまともな人とまともな中継をしたいんです! 例えば……小鍛治プロとか、赤土さんとか!」
晴絵「あぁ……へ!? わ、私!?」
839 = 1 :
えり「プロ入りするとか、そんな噂聞いてますよ? 実際どうなんですか?」
晴絵「えーと、まあ、いろいろ考え中というか……」
恒子「っていうか、三尋木プロ面白いじゃないですか! なにが気に入らないんですか?」
えり「適当なところですよ!あとは……適当なところとか!」
良子「どれだけ適当なところ気に入らないんですか」
はやり「やっぱり飲みすぎなんじゃ……」
晴絵「まあ、咏ちゃんは扱い面倒だよね」
えり「ええ、本当に! ああいうなにするかわからない人苦手なんですよ!」
恒子「たしかに! すこやんも……」
えり「お前だよ! 小鍛治プロじゃなくてお前だよ!」
裕子「針生アナ、少し落ち着いて……」
えり「だいたいあなたはもっと礼儀というものを……」
恒子「うぃーす」
裕子「……針生アナもずいぶん酷い言葉遣いになってますよ?」
みさき「そんなんじゃ人のことは言えませんね」
えり「……失礼、つい。 しかし、あなたたちだって多少は不満はあるでしょう?」
裕子「え、それは……その……」
良子「……遠慮なく言ってほしいのですが」
裕子「その、不可思議な言葉遣いも個性ですし……戒能プロはこれから売り出していく方なのですからある程度は好きにして構いませんよ? 常識の範囲内でならば……」
良子「……どうも、ありがとうございます」
えり「……村吉アナは?」
みさき「私ですか? 別に、野依プロ苛めるの楽しいですし……」
晴絵「あれはそういうプレイなの!?」
840 = 1 :
恒子「私はいっぱい不満ありますよ! たとえば……」
えり「…………」
はやり「えりちゃん怒らないで! こーこちゃん悪気ないから! こういう子なの!」
えり「……そういえば、プロの方々も私たちアナウンサーに不満とかあるんじゃないですか?」
はやり「えっ? はやりたち?」
恒子「えっ? 無視?」
みさき「ああ、それはたしかに気になりますね」
裕子「こちらに思うところがあればプロ雀士の方たちも当然なにかしらありますよね……」
晴絵「……まあ、私も今後そういう仕事する可能性もあるし両者の話は聞いておきたいかなー」
はやり「はやりは……特にないかなあ。 もう長い付き合いだし、なにかあれば直接言っちゃうよ?」
良子「私は、先ほど言った通り助けていただいてばかりですし感謝しています。 長くプロとして続けたいですしこのまま一緒にやっていければうれしいですが……」
裕子「……ふふ、ありがとうございます」
えり「…………」
恒子「あはは! けっこうどこも仲良くやってるじゃないですか!」
えり「……不満がありそうなのは小鍛治プロぐらいですかね」
恒子「えっ? なんですこやんが私に不満持つんですか?」
みさき「まあ、三尋木プロと小鍛治プロ交換したらそれはそれで面白そうですけどね」
晴絵「……針生アナと小鍛治さんの中継はともかく、こーこちゃんと咏ちゃんの中継は事故しか起きなそうだな……」
841 = 1 :
恒子「え? なんで!? 事故なんか起きないって! 絶対面白くなるよ!?」
はやり「たしかに、楽しい中継にはなるだろうねっ☆」
裕子「その……スリルのある放送になることは間違いないでしょうね」
みさき「ろくな放送にならなそうですけど」
えり「まったくです」
晴絵「ふむ……」
――
――――
恒子『さあ始まりました決勝戦! 三尋木プロの注目の選手は?』
咏『わっかんねー! すべてがわっかんねー!』
恒子『私もわっかんねー! 麻雀とか知らんし!』
咏『あー! なんだよー! 真似すんなよー!』
恒子『知らんし! 真似してねーし! ……あ、リーチ入りましたよ!』
咏『マジで? うわっほんとだ! 最近の高校生は活きがいいねー』
恒子『こらこら! 咏ちゃん小学生なのにそんな口聞いたらダメでしょ!』
咏『あ!? 誰がチビだこのアホアナウンサー!』
恒子『なんだとー!? 誰がアホだチビッ子めー!』
咏『身長はかんけーねーし! アホ!』
恒子『チビ!』
842 = 1 :
――――――
晴絵「……うん、ろくなことにならなそうだな」
恒子「ハルちゃんなんか失礼なこと考えてなかった?」
晴絵「ん? いや……たぶん無難な感じだと思うんだけど……」
えり「……やめましょう。 考えてたら頭が痛くなってきました……」
はやり「……ねぇ、えりちゃん」
えり「どうしました、瑞原プロ?」
はやり「……プロとしても選手たちの手の内を見抜いてもそれを公共の電波に乗せたら有利不利が生まれちゃうし、けっこう解説するのも大変なんだ」
えり「それは、まあ……理解しているつもりですが……」
はやり「咏ちゃんも、ふざけてる訳じゃないと思うんだ。 そりゃあ、普段からそういう誤解をされちゃうような態度だっていうのはあるかもしれないけど……麻雀に対してはすっごくひたむきで真面目な子なんだよ?」
えり「…………」
はやり「だから、あまり嫌わないで……ちゃんとお話ししてみて? きっといいところもたくさん見つかるからさ」
みさき「……ただの痛いおばさんじゃなかったんですね。 いいことも言えるじゃないですか」
はやり「みさきちゃん……はやりだってね、あんまり直接的に言われると傷つくんだよ?」
みさき「……すみません、言い過ぎました。 なんだかんだお酒いれてテンション上がっちゃってますね」
晴絵「そこはちゃんと謝るんだね」
みさき「今のはどう考えても私が悪いですし……それに、毒舌にしても相手はちゃんと選んでますよ」
良子「そうは思えませんでしたが……」
みさき「……みなさんの心が広いってことですね」
843 = 1 :
恒子「こうしてみると、わりとどこも仲良くやってるんですねー」
えり「……みたいですね」
恒子「仲悪いのは針生アナのとこだけですね!」
みさき「協調性ないんじゃないですか?」
えり「…………」
裕子「針生アナすみません! あとでよく言っておきますから!」
みさき「私の方が先輩ですけど?」
裕子「す、すみません! 村吉アナ!」
えり「……まあ、別に、仲が悪いわけではないんですけど……」
晴絵「あー……なんか、うん。 わかります。 咏ちゃんちょっと……ね? イライラしますよね」
はやり「ちょっとはるえちゃん……!」
えり「そうなんですよ! ちゃんとやれるだけの力もあるのにいつも適当で……!」
晴絵「というか、昔から気に入らないんですよね! あのチビ……ことあるごとに私の邪魔をして……」
良子「私怨入ってませんか?」
晴絵「入ってるけど! ちょっと前にもあいつのせいで生徒たちの信頼を失いそうになったし……!」
裕子「いや……それはさすがに赤土さんの方にも問題があったのでは……?」
844 = 1 :
晴絵「くっそー……思い出したらイライラしてきた! 電話して文句言ってやる!」
えり「そうですね、不満は溜め込まない方がいいです。 今日気づきました」
恒子「針生アナ、ハッスルしてきましたね?」
良子「それ、どう考えても良くないハッスルですよね」
裕子「おふたりとも、少し落ち着いて……飲みすぎはお体にもよくありませんし……」
恒子「まあまあ! いいじゃないですか! 面白いですし!」
みさき「それは大事なところですね」
良子「っていうか、パッと電話できちゃう辺りけっこう仲良くないですか? もう0時回ってますけど……」
はやり「お酒が入って何してるのかわからなくなっちゃう人もいるんだよ……」
良子「はぁ……勉強になります」
晴絵「もしもし!」
咏『もしもーし? ハルちゃん? こんな時間にどうしたの? ねみーんだけど……』
晴絵「子どもか! まだまだ夜は長いぞ!」
咏『ん……? あっ! 酔ってるだろ! なんで私も誘わねーんだよ!』
晴絵「咏ちゃんお酒飲めないだろ?」
咏『飲めるし! この前だって一緒に……あっ! 今のバカにしてたろ!? 25だし! ほんのちょっと身長低いかもしれなくもないけど25だし!』
晴絵「今ね今ね、瑞原さんと良子ちゃんとー」
咏『って聞けよ! そして呼べよ! 嫌がらせか!?』
晴絵「うん! あとね、こーこちゃんと佐藤アナと村吉アナと針生アナと一緒なんだー」
咏『うん! じゃねーよ! つーかなんでその面子!? えりちゃんたちもいんの!?』
晴絵「うらやましいか? はい、針生アナ」
えり「こんばんは、お疲れさまです!」
咏『あ、おう! おつかれー』
えり「あのですね! ちょっと前々から言いたかったんですけど!」
咏『うん? なに?』
845 = 1 :
えり「あなたは若手のトッププロとして、日本代表のエースとして活躍しているいわば日本の顔です! そのあなたが全国放送で知らんだのわからんだの適当な態度で臨むことであなたの、ひいてはチームの、日本の品格を貶めて……」
咏『長い長い! なに言ってんのかわっかんねー!』
えり「真面目に聞いてください! ですからあなたがですね……」
咏『聞くから! 短く簡潔にしてよえりちゃん!』
えり「いいから真面目にやれ!」
咏『はいはい。 んでさー』
えり「んでさーじゃないですよ!」
晴絵「そーだそーだ! 真面目に聞いてるのかー!」
恒子「そーだそーだー! いいぞー! もっとやれー!」
裕子「あの、周辺のお客様方のご迷惑に……」
みさき「佐藤アナ、うるさいから黙れって言っていいんですよ」
裕子「さすがにそれは言えませんよ!」
えり「だいたいあなたは毎回毎回……」
晴絵「もっと解説として真摯な態度でだな……」
咏『つーか個人戦選手の牌譜チェックしてるからまた今度でいい? 知らんけど』
えり「あ、すみません」
晴絵「ごめん」
咏『今度はちゃんと誘えよー』
晴絵「うん……またね……」
えり「…………」
晴絵「…………」
えり「…………」
晴絵「…………」
恒子「真面目か!」
えり「真面目でいいんですよ!」
846 = 1 :
はやり「ほら、うたちゃんだってちゃんとやってるんだよ? 適当に見えても、プロとしてちゃんと準備してお仕事にのぞんでるんだから……」
えり「……わかってはいるんですけどね。 どうしても……あの態度が、許せなくって……」
良子「……針生アナは少し真面目過ぎますね。 少し力の抜き方も覚えた方がいいかもしれません……私のような小娘に言われても、と思うかもしれませんが」
えり「いえ……よく回りに言われていましたし、おっしゃる通りかと……」
みさき「もっと福与アナみたいなアホと付き合いを持つといいかもしれませんね」
恒子「そうですね! 私みたいな……アホとはなんですか! 私、超理知的じゃないですか!」
みさき「理知的の定義がだいぶずれてますね」
恒子「ほら、私の目標は針生アナみたいな? 理知的で美しいアナウンサーですし?」
えり「……はぁ!?」
裕子「これはまた、意外な……」
みさき「適当に持ち上げてるだけですよ」
恒子「いやいや! 適当じゃないですって! そりゃあ、最近は私みたいなバラエティ向きで見た目もかわいい女子アナが売れてますけど……」
晴絵「自分で言うなよ……」
恒子「事実だから! まあ、それでもやっぱり本来は針生アナみたいな女性アナウンサーが理想的だと思うんですよね! 今はこのやり方しかできないんでこれで行きますけど! 将来的にはもっといろいろ……」
えり「……福与アナ」
恒子「はい?」
えり「私は……まあ、あなたのような人は嫌いです」
恒子「ありゃ……はっきり言いますね」
えり「事実ですから……今日だって説教してやろうと思って来たぐらいですし」
恒子「あはは、それは知ってました」
えり「……しかし、向上心を持って努力する人間は好きです。 あなたが真面目に努力するというのなら力になりたいと思います」
恒子「針生アナ……!」
847 = 1 :
えり「それに、あなたは私が持っていないものを持っていますし……」
みさき「福与アナは素晴らしいアホですからね」
裕子「もっとその、柔軟なーとか、そういう言い方をですね……」
はやり「ふふっ、うまくいけばふたりにプラスになるんじゃないかなっ☆」
みさき「下手するとふたりともアホに……」
晴絵「それは考えたくない状況だなー……」
良子「……福与アナレベルのアホになった針生アナとか見てみたいですけどね」
恒子「あー! 良子ちゃんまでアホとか言いはじめた! ひっでーなあもう!」
えり「福与アナ、アナウンサーならそのような汚い言葉は使わずに……」
恒子「うお……早速始まった……」
はやり「んー……反対に、えりちゃんはもっとくだけた口調になってもいいと思うなっ☆」
えり「……はい?」
晴絵「ああ、たしかに……それじゃあ、福与アナじゃなくてこーこちゃんで。 私のことはハルちゃんで」
えり「え、いや、そんな……」
恒子「そうですね! 私が針生アナに教育していただけるのはたいへんありがたいことですが、針生アナも少し気楽にすることを覚えていただかないと!」
えり「な、何を言って……」
はやり「ほらほら! えりちゃん! 今はオフなんだし、ね?」
えり「……こ、こーこちゃんは、もっと落ち着きをもって……」
恒子「やっべー! 針生アナにこーこちゃんって呼ばれちゃった!」
裕子「……違和感すごいですね」
みさき「動画録りました」
えり「ちょ、なにしてるんですか村吉アナ!」
みさき「ですから、動画を録りました」
えり「それはわかってますよ!」
848 = 1 :
晴絵「ふふ……なんだかんだ、いい感じなんじゃないですか?」
はやり「そうだねー……えりちゃんも、こーこちゃんに慣れればうたちゃんとももっと打ち解けられるんじゃないかな」
良子「……プロ雀士は個性が強すぎると言われましたが、アナウンサーの方々も大概だと思います」
晴絵「ははっ、たしかにねー」
はやり「……はるえちゃんはさ、もしプロになって解説のお仕事が来たらどんなアナウンサーさんと組みたい?」
晴絵「あー……そうですねぇ……」
こーこちゃんとなら……楽しくやれるだろうけど、ちょっと騒がしすぎるかな?
針生アナとなら真っ当な中継をできるだろうけど……少し真面目で固すぎるかもしれない
……こう考えると、ふたりを足して2で割るぐらいでちょうどいいのかもしれない
晴絵「……あれ、こうなるともしかして村吉アナぐらいがちょうどいいのかな?」
みさき「私ですか?」
恒子「じゃあ、一回やってみよう!」
晴絵「へ?」
えり「福与アナ……じゃなくて、こーこちゃん! また無茶ぶりを……」
良子「いいんじゃないですか? 赤土さんは知識も観察力もありますし、話す方もお得意ですから解説も上手そうです」
晴絵「え? なんでハードル上げるの?」
はやり「イメージトレーニングも大切だよっ☆ 」
晴絵「えっ? これやってみる感じですか?」
みさき「では、今年の団体決勝戦の想定で……」
849 = 1 :
みさき「……さて、始まりましたインターハイ女子団体決勝戦。 解説は赤土プロをお迎えしております。 よろしくお願いします」
晴絵「よろしくお願いします」
みさき「赤土プロは10年前のインターハイに、奈良県代表阿知賀女子の選手として出場しており……」
良子「そういえば、最初はプロのプロフィール説明がありましたね」
裕子「ちゃんと赤土さんのプロフィールチェックしてたんですね、村吉アナ」
えり「勤勉なのはいいことです」
みさき「準決勝では現在プロとして活躍している小鍛治プロ、瑞原プロ、野依プロと対局し無様に敗退しました」
晴絵「その言い方は酷いだろ!?」
みさき「では、先鋒戦について赤土プロの見解をお聞きしたいのですが……」
晴絵「……はい。 阿知賀の松実選手、清澄の片岡選手、臨海の辻垣内選手……みんな高い実力の持ち主ですがやはり宮永選手がひとつ抜けています。 準決勝に引き続き、三者がいかにして彼女を止めるかという戦いになるでしょうね」
みさき「そうですか。 準決勝と同じような展開に……退屈ですね」
晴絵「選手たちは真面目にやってるんだぞ!?」
みさき「では、注目の選手は……」
晴絵「……そうですね、昨年三位の辻垣内選手は宮永選手へのリベンジにも燃えているでしょうし、実力的にも彼女に一太刀浴びせるとしたら彼女になるでしょう。 他家のコントロールも巧い選手です……高い火力を持つ松実選手や片岡選手を利用して場の流れを支配する展開も充分に考えられますから、鳴きによる仕掛けなどには注目して……」
みさき「話が長いです。 簡潔にお願いします」
晴絵「……辻垣内選手が宮永選手をいかにして追い詰めるかに注目ですね」
みさき「ありがとうございます。 ……片岡選手、ポンです。 仕掛けが入りましたね」
晴絵「片岡選手は準決勝から火力よりも速度を重視する傾向が見えていましたから……」
――――――
みさき「どうでしたか?」
晴絵「佐藤アナがいいです」
普通が一番です
カン!
850 :
オチwwwwww
みんなの評価 : ★★★×5
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