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    元スレ恭子「宮永を監禁してもうた……」

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    1 :

    降り注ぐ太陽の熱が熱い。
    肌にまとわりつくような汗。べたつく不快感。

    照りつける夏の陽の下。
    ボーっと突っ立ったまま、恭子は眩暈のする様な感覚に
    眉をひそめて通学路に立っていた。

    制服には薄っすらと汗が滲み、
    小刻みに手が震えている。

    洋榎「恭子、どうしたんや?顔色が悪いで」

    立ち尽くす恭子に、不意に心配げに声をかけきたのは
    同じ麻雀部の洋榎だった。
    いや、もう引退してるから元がつくが。

    聞こえているのかいないのか。
    恭子は振り返ることもなく、額に手を当て立ったままだ。

    洋榎は仕方なく恭子に近寄って、その肩を軽く掴んだ。

    その途端ぐらりと恭子の体が傾いだ。

    洋榎「恭子!!」

    焦った洋榎が叫ぶが、
    倒れこんだ恭子は既に意識がなかった。

    ―――――
    ――――――――
    ――――――――――――


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    2 = 1 :


    ――――――――――――
    ――――――――
    ―――――


    遠くからぼんやりと聞こえてくるチャイムの音を耳にしながら
    恭子は薄っすらと目を開けた。

    白い天井と、そこから垂れ下がる真っ白なカーテンが
    ここが保健室であるということを教えてくれた。

    覚醒しきらない頭が思考を阻む。
    何度か瞬きをすると、ぼやけていた視界がクリアになってくる。

    恭子「あ……、私また倒れたんか……」

    だるそうに額に手の甲を乗せてため息を吐く。
    今日起きてから、一体何度ため息をついたことだろうか。

    恭子「何でこんなことになってしまったんかな」

    答えなど解っていると言わんばかりの口元を堅く結んだ。

    恭子「全部アイツのせい、やんな」

    保健室のベッドに横たわったまま彼女のことを考えている自分に気づき、
    恭子は薄く苦笑を浮かべた。

    拭っても拭っても、拭い去れない記憶の断片。
    目を閉じると鮮やかに蘇る彼女の面影。

    恭子「宮永咲……」

    彼女の存在こそがこの何日も恭子の思考をかき乱し、
    眠りすら妨げていた。

    3 = 1 :

    インターハイ決勝戦。
    恭子は咲の姿に釘付けになっていた。

    ビジョンを通して、じっと瞳を凝らして咲を見つける。

    咲が眉を顰めれば自分も顰める。
    咲が驚けば自分も驚く。

    相手の表情につられている自分。
    怖いと感じながらも、瞳をそらす事などできなかった。



    それからというもの、恭子の生活は一変した。

    遠く長野の地まで足を運び、遠くから咲の姿を眺める。
    眩暈のしそうな感覚が、咲を視界に捉えている時だけ和らいだ。
    それは不思議な感覚。

    恭子はひたすら求めた。
    麻薬患者が薬を求めでもするかのように。

    4 :

    スレタイに惹かれて

    6 :

    魚籠魚籠土器土器

    7 :

    いいね

    8 = 1 :

    その日の夜。
    恭子は眠れないままにベッドの中で瞳を開けたまま天井を見つめていた。

    薄暗い部屋の中、視界は冷めるばかり。

    恭子「……また、眠れんわ……」

    当たり前になりつつある言葉を吐き、
    のそりと体を起こした。

    恭子「水でも飲んでくるかな」

    部屋を後にして深夜の階段を降りかかり
    点いている筈のないリビングの電気に気がつき、一瞬足を止めた。

    首を傾げ、恭子は再び歩き出す。

    半開きだった扉を開けると、母親が何やら忙しく出かける用意をしていた。
    時計を見ると深夜3時を回っている。

    恭子「何や、こんな時間に」

    怪訝な顔で立ち尽くしている娘に気がつき
    母親は手を止めてこちらを見た。

    「ああ、起こしてしもうた?ごめんな」

    謝りながら再び手を動かしはじめる。
    そんな母親を横目で見ながらソファに腰掛けた。

    もの言いたげな娘に、母親は手を休めずに口を開く。

    「おばあちゃんがな、倒れたらしいんよ。暫く向こうで看病せんとあかんから、留守番頼まれてくれるか」

    母親の顔色は思わしくない。

    恭子(心配、なんやろな……、大丈夫なんかな……)

    そう思いながら恭子は返事をする。

    9 = 1 :

    恭子「心配いらんで。小さい子供でもないし、まだあと2週間は夏休みやしな」

    自分のことは心配いらない。
    そう告げた娘の気遣いに母親は安堵の表情を浮かべた。

    「そうか?なら行ってくるな」

    恭子「気いつけてな」

    母に声をかけながら立ち上がり、コップを持って水道の蛇口を捻る。
    生温かい水を2、3口飲んでリビングを後にした。

    恭子(ほな、この家に一人か……)

    父親は出張中。いつ帰ってくるかなんて分からない。
    そして母は祖母の看病。

    恭子はため息を吐いて自分の部屋に向かった。

    恭子(気分は滅入る一方やな)

    階段を上がっていく足取りが重い。
    相変わらず気分は晴れなかった。

    部屋のベッドに戻り横になる。
    見飽きた天井を見つめ、小さく首を振った。

    恭子(ついてへんことばっかりや)

    心の中で呟きつつ眠ろうと目を閉じた。

    10 = 1 :

    耳鳴りがする。
    瞳の奥がズキズキと痛む。

    恭子はもそりと身体を起こした。
    掛け布団が半分ほどベッドから落ちている。

    恭子「……いつの間にか寝とったんか」

    いまいち覚醒しきらない頭で窓に視線を向ける。
    もう陽は高く昇っているようだった。
    ついていたはずのエアコンが止まっている。

    恭子「寝苦しいはずやわ……」

    小さな欠伸をして時計を見た。

    恭子(11時半か……)

    今日は日曜で急ぐ用事もない。
    恭子はゆっくりとベッドから起き出して下へと降りていった。

    がらんと静まったリビングのテーブルには書置きが置いてあった。
    母からの手紙だ。

    恭子「どうせ当たり前のことしか書いてへんやろ」

    ちらっとそれを見ただけで、気分転換にシャワーを浴びようと
    リビングを後にした。

    11 = 1 :

    シャワーを浴びた後、部屋でDVDを見たり勉強したりして何気なく過ごした。
    一度洋榎から一緒に遊ばないかと電話があったものの、
    面倒に感じてそれも断りひとり部屋で過ごしていた。

    不意にぐぅっと自身のお腹が鳴る。
    そういえば朝から何も食べてないことに気づく。

    恭子「何か食べるかな」

    独り言をぼやきながら開けた冷蔵庫には何も入っていない。
    料理の苦手な恭子は仕方なくコンビニに買い物に行くことにした。



    外へ出ると、生温かい空気が恭子の身体を包んだ。
    特に急ぐ理由もなくのんびりとした足取りで歩道を歩く。

    ふと前を歩く人影に気がついた。
    特徴的な、尖った前髪。

    恭子の鼓動は一瞬にして高鳴った。

    見間違えかと目を凝らすが、確かにそこにいたのは咲だ。
    あれだけ見続けてきた相手を見間違うはずもない。

    引き寄せられる様に速まる足に自分自身で戸惑いを感じながら、
    咲へと歩み寄っていった。

    12 = 1 :

    恭子「宮永……?何であんたがこんな所におるんや?」

    不意に名前を呼ばれ、咲が戸惑い気味に振り返る。

    「あ……姫松の、末原恭子さん……」

    恭子の顔が一瞬緩む。

    恭子「私の名前、ちゃんと知っとったんやな」

    小さく笑った恭子に気づかず、咲はぼそりと答える。

    「こないだのインハイで対戦したばかりですし。それに……」

    「末原さん、最近うちの学校でよく見かけたから」

    咲はちらりと恭子を見た。
    その瞳が「何をしに来ていたの?」そう問いかけている。
    恭子はそれに気づかないふりで視線をそらし、言葉を続けた。

    恭子「それにしても、どないしたん?ここへは旅行か何かか?」

    「お父さんが今大阪に出張してて。それで服とかを届けに来てたんです」

    恭子「ふーん。ほんなら今から帰る途中やったん?」

    「はい。でも道に迷ってしまって……」

    じわりと潤んだ咲の瞳に釘付けになる。
    同時に思いがけない幸運に口の端がつり上がった。

    13 = 1 :

    恭子「なあ宮永、お腹空いてへん?うちの家、すぐそこやから良かったら寄ってかへんか?」

    「え、でも……」

    恭子「その後で私がちゃんと駅まで送り届けてやるから」

    「いいんですか?あ、ありがとうございますっ」

    恭子「ほんなら……」

    言葉を続けようとした恭子の身体が大きくよろめいた。

    「末原さん!?」

    意識が薄れそうになる中、恭子は片膝をついて頭を抱え込んだ。
    咲は咄嗟の事に訳が分からず恭子の肩を揺さぶった。

    「大丈夫ですか末原さん!?」

    心配そうに覗き込んでくる咲。
    恭子はゆっくりと顔を上げ、咲を見て微笑んだ。

    恭子「……大丈夫や。すまんな、ビックリさせて」

    「いえ……あの、私の肩に掴まってください」

    恭子「ありがとうな、宮永」

    14 = 1 :

    咲に凭れかかる形になった恭子の鼓動がばくばくと音を立てる。

    自分の身体に咲が密着している。
    乾ききった喉にごくりと生唾を飲み込んだ。

    恭子(離したくない……)

    揺らぐ瞳をぐっと瞑り、咲に触れている部分に熱が点る。

    恭子(離されへん……コレを離したら、もう二度と触れられんかもしれへん……)

    熱かった。インターハイの日から。
    眠りすら妨げられ、食欲すら忘れ、それほどまでに想った相手が今傍にある。

    焦がれ続けた咲の身体から手を離してしまう事など
    到底出来るはずもなかった。

    「末原さん、本当に大丈夫ですか?」

    気遣うような咲の声音などもはや恭子には聞こえていなかった。
    見開いた目は僅かに笑み、咲を見つめている。

    その瞳の色が濁りきっていたことに、咲は気づくことが出来なかった。


    ――――――――――――
    ――――――――
    ――――

    15 :

    長野某所
    ???「(キュピーン!)咲さんに危険が迫っています!!」

    東京某所
    ???「(ピキーン!)…咲が危ない」ギュルギュルギュル

    16 = 1 :

    手足が重たい。
    咲は閉じていた目をうっすらと開けた。

    薄暗い視界に見慣れない棚が見える。
    少し視線をずらすとベッドの脚らしきものが見えた。

    (ここ、どこ……?)

    静けさの広がる室内には、規則正しい時計の音が木霊しているだけで
    他に聞こえてくる音といえば、冷たい風を絶えず送りだしている
    エアコンの低いモーター音だけだった。

    はっきりと覚醒しきらぬ頭。
    曖昧な記憶。

    思考を巡らせようと、咲は床に転がっていた身体を起こそうとして
    初めて自分が置かれている状況に気がついた。

    両腕は後ろ手に縛られ、両足も同じように拘束されている。
    口は何かテープのようなものでとめられ、
    声を出すこともできない……そんな状況だった。

    17 = 1 :

    時間がたつにつれ段々と記憶が鮮明になっていく。
    確か、父の出張先から帰る際、恭子と出会って彼女の家に招待されたはず。

    そこで出された紅茶を一口飲んだ途端、
    急激に意識が薄れていって……

    そこから先の記憶はぷつりと途切れていた。

    「……っ」

    まさか、この状況は恭子が仕出かしたものなのか。
    でも一体何のために?
    そんなこと分かるよしもなく、咲は床に転がったまま暫し絶句する。


    ふいに自分の後ろで扉の開く音が聞こえた。
    瞬間、咲の身体が強張る。

    恭子が今、自分の後ろに立っている……

    薄暗い部屋の床に、扉の隙間から洩れる明かりが細長く伸びていた。
    その明かりが段々と伸び、幅を広げていく。
    そこに映し出される影。

    恭子「……起きたんか」

    「っ!!」

    18 = 1 :

    聞こえてきた声に、咲は息を飲み込んだ。
    近づいてくる足音。
    手を伸ばされた気配に身体がぎゅっと縮こまる。

    (誰か助けてっ!!)

    ぐいっと顔をそちらに向けられた咲は恐怖に瞳を閉じ、
    口を塞がれていることも忘れ叫んだ。

    実際は頼りないような呻き声を上げたようにしか聞こえなかったのだが。

    「ん~~っ!!んん~~っ!!」

    そんな咲を恭子は両手で揺すった。

    恭子「静かにせい!騒ぐなって……」

    しかしパニックに陥っていた咲にそんな声が届くはずもない。

    「んん~~っ!!ん~っ!!ん~っ!!」

    次の瞬間、咲の右頬に平手が飛んできた。
    バシッ!という音が耳元で響き、痛みが咲を襲う。

    「……っ」

    その衝撃に咲は一瞬動きをとめた。
    驚きで見開かれた瞳を恭子に向ける。

    19 = 1 :

    恭子「かんにんな……こうせな静かにしてくれへんやろ」

    そう呟きながら、咲の身体を抱き上げてベッドの上に乗せた。
    スプリングの軋む音が静けさの中に響く。

    恭子はベッドの縁に座ると、果物ナイフを取り出して咲の顔に近づける。
    キラリと光る刃先が、咲の恐怖心をじわじわと煽っていく。

    「ん~……」

    怯えた声音をくぐもらせ、咲は刃先から視線を逸らす。
    ヒヤリとした冷たい感触を頬に感じた。

    多分、少しでも動けばそこに傷がつく……
    震える身体をどうすることもできないまま身を堅くした。

    恭子「暴れへんって約束してな……。そんで、叫ばへんと……」

    相手の言葉に咲は小刻みに頷く。
    恭子はその返事に小さくため息を漏らし、咲の口元のテープをビリッと剥がした。

    「助けて~~!!」

    瞬間、咲が力いっぱい叫ぶ。
    恭子は慌ててその口を手のひらで押さえた。

    20 = 1 :

    「ぅっ!!」

    そして再び部屋に頬を打つ音が響いた。
    じんじんと広がる痛み。切れた咲の口元に赤い血が滲む。

    激痛と恭子の気迫に咲は力なく押し黙る。
    そんな咲の喉元にナイフが突きつけられた。

    恭子「今度やったら容赦せえへんからな」

    「ひいっ……」

    身体を大きく震わせながら頷く。
    殺されるかもしれないという恐怖に咲の瞳が揺れる。
    口元が自由になっても叫ぶことはできなかった。

    咲の様子を見て安心したようにナイフをしまい込む。
    一瞬の沈黙の後、恭子は咲の切れた口元へと手を伸ばした。

    「……っ!!」

    また殴られる!そう思った咲は思わず目をぎゅっと閉じた。
    しかしその手は優しく傷に触れてきた。
    顎に人差し指を添え、まるでキスでもするかのように……

    21 = 5 :

    ドキドキする

    22 = 1 :

    親指で優しく傷を撫でられる。
    戸惑う咲の目に、恭子の済まなそうな表情が映る。

    (どうして……)

    恭子「痛かったやろ……すまへん。あんなに暴れるとは思わんかったから」

    その恭子の言葉に、咲の中で困惑が広がる。

    「どうして末原さんは、こんなことするんですか……?」

    遠慮がちに聞いた咲に恭子は苦笑した。
    そして答える。魔が差したのだと。

    「それなら……家に帰してください。今なら、なかったことにしますから……」

    震える声音で囁く咲の言葉に、恭子は一瞬動きを止めた。
    咲をじっと見つめた後、首を横に振る。

    恭子「それは無理や。あんたは帰せへん」

    「どうしてっ」

    恭子「あんたの事が好きやからや」

    諦めに似た苦笑を浮かべながら恭子が囁く。
    咲は言われた言葉を一瞬理解できなかった。

    23 = 1 :

    (え……?末原さんが、私を好き……?)

    沸いてきた疑問は、頬に感じる冷たい刃物の感触によってすぐにかき消される。

    「あ、あのっ……私、悪いんですけど……」

    恭子「言わんでも分かっとるわ。あんたが私のことなんて何とも思ってないことくらい」

    「な、なら……」

    間髪いれずに咲が身を乗り出す。
    が、恭子は咲の身体をベッドに押し倒して馬乗りになった。

    「っ!!」

    咲の顔が一気に強張る。
    力強く掴まれた肩が軋む。

    (い、いや……っ)

    小さく首を振る咲を、恭子は静かに見下ろす。
    押し付けられていた肩の痛みが徐々に和らいでいく。

    恭子「そんな怯えた顔して……ヤられると思ったんやろ」

    苦笑した恭子は咲の上から退き、背を向けた。

    24 = 1 :

    恭子「やるだけで満足できるんなら、あんたが気失ってる時とっくにやっとるわ」

    小さく呟いた恭子は振り返り、咲の頬を撫でた。
    ぞっとするほどの優しい手つきだった。

    「……っ」

    思わず咲はふるりと身体を震わせる。

    恭子「私はな、愛されたいんや……あんたに」

    咲は黙ったまま恭子を見つめた。
    その秀麗な顔が苦痛に歪むのを、静かに見ていた。

    恭子「だからあんたを帰さへん。あんたが私のことを好きになってくれるまで……」

    「……私、あなたのことを好きになったりしません」

    「こんな事されて……好きになんてなれる訳ありません……」

    声を震わせながら、でも最後まで言い切った咲。
    その言葉に恭子は小さく笑った。

    恭子「そうかも知れへんな……。けど、試してみな分からんやろ」

    恭子「せやから、宮永にはこれから私と過ごしてもらうで……帰ることは諦めてな」

    静かな口調でそう告げた恭子は、
    咲の口に再びテープを貼り付けた。

    25 = 1 :

    「ん~~っ!!」

    途端に暴れ出した咲の喉元にナイフを近づける。
    そして切なげな声音で言った。

    恭子「逃げようとか思わんでな。宮永を傷つけたいわけとちゃうんやから……」

    咲は黙る。
    だが頷きもしない。

    ベッドの下に降り、
    恭子は床に布団を敷いて寝転がる。

    その夜はそのまま何も起こらずに更けていった。

    咲の不安な心と。
    恭子の痛いほどの妄執を抱えたまま。

    26 = 1 :

    とりあえずここまで。
    続きはまた来週。

    27 :

    乙 面白いので期待してます

    28 :

    乙 楽しみ

    29 :

    エロはないんですか?

    31 :

    誰が大声出していいっつったおいオラァ!!!(大声)

    32 :

    この2人のカプが一番すき

    33 :

    「先輩!?何やってるんですか!やめてくださいよ、ホントに!?」
    恭子「暴れんな!暴れんなや…!」

    34 :

    末原先輩の方が病んでるSSって珍しい気がする

    35 :


    ――――――――――――
    ――――――――
    ―――――


    身体にまとわりつく汗の不快感に咲は目を覚ました。

    頭がズキズキと痛む。
    いや、頭だけでなく体中が痛んだ。

    無理な体勢で身体を縛られたまま、気を失うように眠りについた咲は
    朦朧としている頭を軽く振った。

    身体の上には冷房の冷たい風から気遣うように
    夏掛けの布団が掛けられていた。

    しかし冷房は止まっている。
    おそらくタイマーが切れたのだ。

    今は8月の中旬。
    どの位前に冷房が止まったのかは分からないが、
    部屋の気温は上がりに上がっていた。

    締め切った室内は外の気温をはるかに上回る。
    その上、咲の身体には薄いとはいえ布団が掛けられている。

    (暑い……、誰か助けて……)

    咲の寝かされている場所から時計が見えた。
    時間は昼の12時を過ぎたところだった。

    36 = 35 :

    咲は仕方なく布団からだけでも逃れようと、
    身体をくねらせて掛け布団を退かそうとした。

    ダンッ!!

    大きな音を響かせて、咲の身体がベッドから落ちた。

    「んっ~~!!」

    痛いと叫んだつもりでも、今の咲にはそれが不可能。
    口を止めているテープが声を出すことを阻止する。

    どうにか自分の身体を覆っていた布団から逃げ出せたものの、
    蒸し暑い部屋に取り残されている状況は変わらない。

    咲は助けを呼ぼうと壁を思い切り蹴り、
    ありったけの声で叫んだ。

    どんどんと蹴る足が痛い。
    荒くなる呼吸が苦しい。

    だがどんなに壁を蹴っても何の反応もなかった。
    静かすぎるほど静かで、周りには誰もいないようだった。

    37 = 35 :

    この家の住人は今誰もいないのかも知れない。
    そう思い、咲は床に耳を当てた。

    案の定、この家からは何の音も聞こえてこない。
    換気扇のようなモーター音が響いているだけ。
    咲はがっくりと肩を落とした。

    (誰もいないんじゃ騒いだって無駄だよ……)

    深くため息を吐いた咲は、
    なるべく動かないよう静かに恭子の帰りを待つことにした。

    (下手に動いてたら体温が上がっちゃうし)

    何もしていなくてもじわじわと汗が滲んでくる。
    咲はさっきまで暴れていた事を後悔した。

    叫んだ喉が痛い。
    額を流れる汗が目に入る。

    (辛い……)

    38 = 35 :

    汗を拭うことも出来ない。
    長時間塞がれた口で酸素が不足し、意識が朦朧としてくる。

    暑さと息苦しさがこんなにも辛いものだという事を、
    咲は初めて知った。

    時刻を見ると午後3時すぎ。
    咲の思考は止まりつつあった。

    (もう……考える事が面倒くさい……)


    その時、玄関からガチャッと扉の開く音がした。
    咲は霞がかった意識の中でそれを聞いていた。

    階段を上がってくる恭子らしき人物の足音。

    (はや、く……来て……)

    漸く部屋の扉が開かれる。
    恭子は一瞬ぎょっとして咲を凝視した。

    40 = 35 :

    蒸し返るような暑さの部屋に、
    咲の瞳は虚ろに開かれたまま床に横たわっている。
    汗で髪は肌に張り付き、床には汗の水溜まりが出来ていた。

    慌てて恭子は咲へと駆け寄った。

    恭子「宮永!!大丈夫か!?」

    咲の口からテープを剥がすと、
    何やらもぞっと口を動かした。

    恭子「ん、何や?」

    咲の口に耳元を近づけると、
    僅かに囁かれた声が聞こえてきた。

    「……み、ず……」

    恭子「!!待っててや、今持ってくるから!!」

    そう叫ぶと咲を床に寝かせたまま1階へと下りていった。

    (た、助かった……)

    咲は大きく息を吐いた。

    41 = 35 :


    ――――――――――――
    ――――――――
    ―――――


    ようやく冷房がかけられた部屋のなか。
    咲は恭子が手に持ったペットボトルのミネラルウォーターを夢中でストローで飲んでいた。

    恭子「すまんかったな。冷房のタイマーが切れてるとは思わんかった……」

    恭子「学校の図書室で調べ物しとってんけど、早めに切り上げてよかったわ」

    他に目もくれず夢中で水を飲む咲へと言う。

    口の端から、急ぎすぎて零れた水が僅かに滴る。
    そんな咲の口元に思わず恭子は釘付けになった。

    ストローを咥える唇が愛らしく光る

    恭子「………」

    咲はそんな恭子の視線に気づかず水を飲み干していく。
    やがてペットボトルが空になると息をついた。

    「はぁ……、生き返った……」

    部屋の中が涼しくなってくると、乾いた汗がべたつき出す。
    咲はその不快感を我慢して再び息をつこうとする。

    すると突然恭子に抱え上げられた。

    42 = 35 :

    「わっ!?」

    恭子「昨日も思ったけど、あんた軽すぎやで」

    苦笑しながら柔らかなベッドの上に咲を優しく下ろした。
    そして頭を撫でられる。

    恭子「お腹空いたやろ。ご飯買ってきたから、今持ってくるわ」

    そう言って恭子は再び1階へと降りていく。

    (変な人……)

    自分の頬をぶった時のように恐ろしく怖い部分もあれば、
    さりげなく優しい部分もある。
    咲は戸惑いを感じずにはいられなかった。



    恭子の買ってきたテイクアウトのお寿司を食べ、お茶を飲む。
    人心地ついたところで恭子に声をかけられる。

    恭子「食事も済んだし、手貸してや」

    恭子の手には縄が握られていた。
    それを見た咲の顔が歪む。

    「あの、私逃げませんから……縛るのはやめてください」

    恭子「それは無理な相談やな。なんぼ言われても、今は必要やからな」

    きっぱりと拒絶した恭子は咲の手を再び後ろ手に縛りあげる。

    「つぅっ」

    小さく洩れた悲鳴に、恭子は堪忍なと呟いた。
    両足も結び終わった恭子は咲をじっと見つめる。
    そして人差し指で咲の唇に触れた。

    「っ!?」

    一瞬驚いたように、咲の瞳が恭子を見た。

    43 = 35 :

    恭子「腫れとるな……。痛いか?」

    その瞳は明らかに心配しているようだった。
    咲は顔を逸らして恭子の指を拒んだ。

    「末原さんが、ぶったんじゃないですか……」

    非難するような声音に、恭子は無言ですっくと立ち上がる。

    (怒らせちゃった?でも本当のことだし……)

    不安の入り混じった、僅かな恐怖心が生まれる。
    しかし恭子は部屋の棚から箱を取り出して咲の前に座った。
    箱を開け、中から何やら取り出す。

    (オキシドール……?)

    咲が面食らって見ていると、
    恭子は咲の頬にガーゼを当てて消毒を始めた。

    「ぅ……」

    途端に顔を顰めた咲の傷を、
    しみるのを和らげるかのようにフウと息を吹いた。

    「……っ」

    その優しげな表情に咲は一瞬戸惑う。

    44 = 35 :

    恭子「傷、痛そうやからテープはせえへんよ。その代わりタオルで口塞がせてな」

    そう言いながらタオルで猿轡をさせられる。
    先ほどまで揺れ動いていた心は一瞬で霧散した。

    (ちょっとでもいい人だなんて思った私が馬鹿だったよ……)

    ふて腐れて恭子に背を向けベッドに横になる咲に、
    恭子は眉を潜ませた。

    恭子(嫌われる一方なんは分かっとる。けど……)

    恭子(こうして全身で拒絶されるんを見るのは……やっぱり辛いもんがあるな)

    こんなことを仕出かして、二人の心が合わさるなんて都合の良い事あるはずがない。
    分かっていながら、それでも咲を望んでしまう妄執から逃れられない。

    恭子は小さくため息をついて部屋を後にした。
    ベッドの上の咲がいったい何を考えているのかと気になりながら。


    ――――――――――――
    ――――――――
    ―――――

    45 = 35 :

    続きはまた来週。

    46 :

    おつ

    48 :


    病んでるのか病んでないのか微妙なラインをいってるな

    49 :

    モブス信者の犠牲者
    京ちゃん

    末原←New

    50 :

    まってた


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