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    元スレ灼「個人戦は見学して行くから……」

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    501 = 1 :


    「ごめ……待った?」

    やえ「別に……私も今来たところよ。 じゃあ行きましょうか」

    「ん……なんか、デートみたいなやりとり……」

    やえ「ただ私も今来たって言っただけでしょ!」

    「ふたりで出掛ければデートだって憧が言ってた」

    やえ「新子のアホめ……! だいたい、デートって言うと、なんか……恥ずかしいでしょ!」

    「デートしたことないの?」

    まあ、私もないけど

    やえ「共学だからってみんながみんな彼氏いるなんて思わないでよ! だいたいうちは進学校だし麻雀部までやってるとそんな遊んでる時間ないの!」

    「……男子部員は?」

    やえ「……うっさい! とにかく、今日はただの情報交換! そんなんじゃないんだかんね!」

    「そんな必死にならなくても……」

    やえ「ああもう、わかったわよ! じゃあデートでもなんでもいいから! さっさと行くわよ!」

    「はーい……」

    502 = 1 :


    今日は、やえさんとデートだ

    東京に来る前に壮行試合を組んでもらったこともあるし、こちらとしても恩は返したい

    個人戦前にインターハイの情報提供……当然、名門校である晩成は情報面でのバックアップはしっかりしているし、やえさんも中継映像や牌譜はチェック済みではあるが、実際に勝負の場に立たないとわからないこともある――例えば、長野県大会では団体戦で鶴賀の東横さんが「消えて」龍門渕さんから複数回の直撃を取り、個人戦でも事前知識があった沢村さんも振り込んでいた

    また、去年に引き続き個人戦に参加する選手も多いしやえさんも対戦経験のある選手は多いけれど、一年も経てば一気に伸びる打ち手だって大勢いる

    そこら辺の以前までの情報とのギャップを埋めたり、卓外からはわからない情報を提供するのが目的になる

    やえ「灼、お昼は?」

    「まだだよ」

    やえ「んじゃ、どっか入りましょうか……なんか食べたいもんある? いくつかいいとこ知ってるから案内するわよ」

    「……東京、詳しいんだ?」

    やえ「小学生の頃から毎年来てるかんね……会場周辺ならそこそこ詳しいわよ」

    「……麻雀の大会?」

    やえ「ん」

    「さすが……」

    やえ「たいしたことないわよ……何回出たって結局優勝経験はないし……出場回数を自慢したってどうしようもないでしょ」

    「……すごいことだし、少しくらい誇ってもいいと思……」

    やえ「ん……そんなこと言ったらあんたたちこそもっと自慢したら? うちらも王者晩成ったって決勝まで行ったことはないのよ?」

    「……でも、負けちゃったから」

    やえ「ま、そういうことよ」

    「……そか」

    503 = 1 :


    やえ「私にとってもインハイは今年が最後だかんね……王者晩成なんて言われるからには、エースとして、部長としてちゃんと結果出したいかんね……そんでさ」

    「なに?」

    やえ「王者といえば、団体は長野の清澄が持ってったとはいえここ三年の全国王者……宮永照がやっぱり最有力でしょ? 松実はかなりやられてたけど、あんたから見てどう?」

    「ん……やっぱり凄かった。 麻雀も、食欲も」

    やえ「食欲!? なんの話してんのよ!」

    「ちょっと会う機会があって……」

    やえ「あー……とにかく! あいつは連続和了とそれに連動した打点上昇、それに加えた洞察力、対応力の高さが大きな武器になってて隙もほとんどないでしょ? 正直、今の私じゃ単独で突破するのは厳しいし、宮永はマークもキツいからあいつの試合は準決で松実が千里山の園城寺や新道寺の花田と組んだみたいな形になることが多くなると思うんだけど……」

    「……玄、サポートに気づいてなかったけどね」

    やえ「はぁ!? あいつほんと鈍いわね……県予選で稼ぎ負けたのほんっとに悔しいわ……」

    「あと、照さんの隙ができる瞬間だけど……」

    やえ「えっ!? 灼、なにか気づいたの!?」

    「おかしを食べてるときは隙だらけだよ」

    やえ「だからなんの話をしてんのよ!?」

    「あと、おかしが切れたときとか……」

    やえ「対局中は食べられないっしょ!? ふざけてんの!?」

    「だいぶ根詰めてるみたいだからリラックスさせてあげようかと……」

    やえ「気遣いはうれしいけど今はそういうのいらないかんね!?」

    「ん……りょーかい」

    504 = 1 :


    やえ「……宮永ってさ」

    「うん」

    やえ「マスコミ対応と対局中と、けっこう差があるじゃない?」

    「うん……会って話したときはイメージと全然違くて驚いた」

    やえ「……どんな感じだったのよ?」

    「……やっぱり気になるの?」

    やえ「べ、別に! わざわざあんたが話そうとしてたから聞いてやろうかと思っただけよ! それに中途半端に話聞いたら気になるでしょ!? それに人となりだって打牌の傾向を探る材料になんだかんね!」

    「ふふ……ありがとね。 ……偶然コンビニで会ったんだけどね?」

    やえ「へぇ……二連覇中のチャンピオンが部の買い出しなんかすんのね」

    「やえさんだってしてるくせに……それで、大量のおかしを買い込んだ上に半分くらいはその場で食べた」

    やえ「えっ」

    「縁あって私もご相伴に預かりましたが……途中で練習がはじまっている旨の電話が来るまでずっと食べてて……」

    やえ「え、練習忘れてまでおかし食ってたの!? どうなってんのよインハイチャンピオン……」

    「それでも食べ足りなそうだったし……そう、ちょうどあんな、感じ、で……」

    やえ「は?」

    505 = 1 :


    ちょうど視線の先、喫茶店のショーケースに張りついた女子高生……言うまでもなく、インターハイチャンピオン――宮永照だ

    「…………」



    やえ「……あれ、マジで宮永じゃないの?」

    「……みたい」

    やえ「……なにやってんの、あれ」

    「……ケーキ、おいしそ」

    やえ「……そんな顔してるわね」

    「……!」

    あ、気づかれたかな?

    やえ「……ちょっと、こっち来るんだけど」

    「……挨拶ぐらいしてこっか?」

    やえ「できれば仲間だと思われたくないんだけど……」

    「待って。 違う」

    やえ「あー! 今日もいい天気ね! 行くわよ灼!」

    「小走さん! やえ! 小走やえ! 奇遇だね!」

    やえ「大声で名前呼ぶんじゃないわよ!」

    ……大声で返事したら完全に仲間だと思われると思うんだけど

    506 = 1 :


    「違う、誤解。 ショーケースのケーキに釣られて立ち止まっていたわけじゃない」

    やえ「がっつり張りついてたじゃないのよ!」

    「……団体戦も不本意な結果ながら終わったことだし、慰労の意味も込めてチームメイトを誘うお店を探していたことにした。 一人じゃ入りづらいから一緒に入って。 ケーキおいしそう」

    やえ「もう途中から言い訳すら放棄してんじゃないのよ! 舐めてんの!?」

    「……照さん、ども」

    「久しぶり、灼……あ、百円返すね。 ありがとう」

    「いえ、お気になさらず……」

    やえ「百円?」

    「おかしを買うのに足りなくて……居合わせた灼に借りた」

    「それが出会いだった」

    やえ「初対面で金借りてんじゃないわよ! おかしを諦めなさいよ!」

    「?」

    やえ「なに不思議そうな顔してんのよ!?」

    「ふふっ……小走さん、面白い」

    やえ「あんたの方がよっぽど面白いっつーの!!」

    「まあまあ、落ち着いて……二人は知り合い?」

    やえ「知り合いってほどじゃないけど……」

    「ここ二年、いろんな大会で打ってるから」

    「なるほど」

    507 = 1 :


    やえ「それにしても……」

    「?」

    やえ「ったく……インハイ王者のあんたがそんなんで恥ずかしくないの? もっと堂々としてなさいよ!」

    「……奈良県で同世代の頂点に君臨し続けている小走さんの方が王者歴は上」

    やえ「嫌味!? あんたはその同世代の高校生の頂点でしょ!」

    「嫌味なんて、そんなつもりじゃ……小走さんは小学生時代から安定して好成績を出し続けている。 素直にすごいと思うし、尊敬してる」

    やえ「……な、なによいきなり」

    「私と違って人望もあって後輩にも慕われてるみたいだし羨ましい」

    やえ「ほ、褒めたってなんも出ないかんね!? つーかチャンピオンのあんたが人望ないわけないっしょ!?」

    「虎姫の仲間とは仲がいいけど……他のみんなはチャンピオンだのインハイ王者だのって距離を感じるというか……」

    「ああ……やっぱりそういうのはあるんですね」

    「どこでも特別扱いされている気がする……私は、話すのもあまり得意じゃないから……なんというか、誤解されていると思う。 私だって普通の女子高校生。 ケーキだって食べたい。 だから一緒にお店に入って」

    やえ「真面目な話してたんじゃないの!?」

    「いつも通りで安心した」

    「それほどでもない」

    やえ「いい加減にしなさいよ! 一人でも入れるでしょ!?」

    「私も以前はそうしていた。 でも……」

    「……でも?」

    508 = 1 :


    「……話せば長くなる」

    やえ「はぁ……まあ一応聞いてあげるから、さっさと話しなさいよ」

    「一人でああいうところにいると友達いないみたいじゃない?」

    やえ「短っ!? しかもしょうもなっ!?」

    「……照さんだったら、お洒落なカフェで一人で読書、とかも絵になると思……」

    「……前に淡とこういうお店に入ったことがある。 そしたら、淡が本を読んでる人を見て……」

    『ああいう人って友達いないのかな? 根暗っぽくてキモいよねー』

    「……って。 しかも大声で」

    「……淡ちゃんっていちいちアレですよね」

    やえ「大星ってアホなのね」

    「違う。 淡はちょっとアレだけどかわいい子」

    やえ「全然違くないじゃないのよ」

    「かわいい>アホ。 これ大事」

    やえ「アホはアホでしょ」

    「……ほんとだ」

    「認めちゃうんだ」

    「でもかわいいよ」

    「そうですね」

    やえ「……大星はアホだから気にしなくていいわ。 さっさと入ってきなさいよ」

    「……折角だから一緒に入らない? ひとりは寂しい」

    やえ「……あんた意外とめんどくさいわね」

    509 = 1 :


    やえ「王者たるもの孤独にも打ち勝たなきゃいけないのよ」

    「……友達も多くて後輩にも慕われてるくせに」

    やえ「な、なによ! 文句あんの!?」

    「ずるい」

    やえ「ずるいってなによ!?」

    「奈良県王者は人に好かれてインハイ王者は距離を置かれるのはおかしい。 ずるい」

    やえ「やっぱりちょっとバカにしてんでしょ!?」

    「違う、誤解。 こうなったら王者同士仲良くするべき」

    やえ「なにがこうなったらよ!?」

    「ここで会ったのもなにかの縁。 私の友達になって一緒にケーキを食べるべき」

    やえ「あんたケーキ食べたいだけじゃないの!?」

    「でもおいしそうだよ、やえさん」

    やえ「……ほんとね」

    「じゃあ行こうか」

    やえ「あ、いや! 行かないわよ!」

    「……なんで?」

    やえ「あんたとは敵同士でしょ! 王者たるもの馴れ合わないの!」

    「……灼とは仲良し」

    やえ「う……灼とはもう敵じゃないからいいのよ」

    510 = 1 :


    やえ「だいたい情けないとは思わないの!? 高校生一万人の頂点たるあんたが! 一人じゃ寂しくてお店にも入れませーん、なんて!」

    「やえだって灼と一緒」

    やえ「そりゃあそうだけど……ってなにこっそり呼び捨てにしてんのよ!」

    「もう友達だから」

    やえ「勝手に友達にならないでよ! もう王者らしくお供でも連れてくればいいでしょ!」

    「菫にはいるけど私にはいない。 やえ、意地悪しないで。 灼も説得して」

    「ん……ん?」

    やえ「……ちょっと待った」

    「! 一緒に入る気になった?」

    やえ「いや……弘世、お供いるの?」

    「? うん、白糸台には弘世様ファンクラブがあるよ。 それじゃあ中に……」

    やえ「いやいやいや! え? 弘世……え?」

    「……弘世さん大人気?」

    「うん。 私よりよほど……」

    やえ「ちょ、チャンピオンはあんたでしょ!? なんで弘世が王様気取りなのよ!?」

    「菫は面倒見もいいし、かっこいいらしい。 遠くから見てる分には」

    やえ「……あんたけっこう厳しいわね」

    「それほどでもない」

    「照さんも真似してみたらお供ができるかも……」

    「……私はお供よりもお友達が」

    やえ「それでいいんじゃない? とりあえず王者らしく……」

    「いや、だから……」

    「とりあえず、形から入ってみます……?」

    「え……?」

    「あそこ……」

    511 = 1 :


    やえ「……埼玉代表、越谷副将の宇津木玉子ね」

    「……王冠風の帽子。 カッコいい」

    「カッコいい……?」

    玉子「む……私の名を呼んだか?」

    「……呼びました。宇津木さん、お久しぶりです」

    玉子「阿知賀の鷺森……それに、晩成の小走やえと……み、宮永照!? な、何用であるか!? 私は因縁をつけられるようなことは……」

    やえ「なにビビってんのよ!? まだなにも言ってないでしょ!」

    「王様……意外と小心者?」

    玉子「む! わ、私を愚弄するのであるか!? い、いくらチャンピオンでも……ゆ、許さ、ない……」

    「……へへっ、こいつビビってますぜ! 姐御!」

    「!?」

    玉子「ひぃっ!? ノ、ノォォォォである! お金はたいして持ってないのである!」

    やえ「灼! 変なボケ挟むんじゃないわよ! 本気でビビってんじゃないの!」

    「誤解、カツアゲじゃない……です」

    玉子「……そ、そうか。 では、いったい……?」

    「その王冠はまさしく王者の証」

    玉子「む?」

    「……私は王様にならないといけないらしい。 どうか王族としての心得をご教授いただきたい」

    玉子「え、いや……これはファッションであって別に王族というわけでは……」

    「!?」

    やえ「……ただの悪ふざけだから気にしなくていいわよ、宇津木」

    512 = 1 :


    「……王様じゃないの?」

    玉子「ふむ……私は、越谷女子麻雀部の部長を任されているのである。 いうなればこれもひとつの王であるな」

    「やっぱり王様……!?」

    やえ「……そんなこと言ったら私も灼も王様だっつの」

    「灼もやえも王様……!? い、今までの非礼、お許しください……!」

    「……照さん落ち着いて。 王様じゃないです」

    やえ「あんたほんとはバカなの? それともバカにしてんの?」

    「バカじゃないしバカにもしてない。 真面目なのが私のいいところ」

    玉子「うむ、真面目なのはいいことである」

    「そんなに褒められると照れる」

    やえ「……灼、こいつらなんとかして」

    「……これは上様、ご冗談を」

    やえ「誰が上様よ!」

    「……実際先輩二人相手にそれは無理。 それにあの二人は天然物」

    やえ「そんなこと言ったら私も先輩……いや、いいんだけど……」

    「こうして見るとその帽子、なかなかカッコいい……」

    玉子「これがわかるとは流石はチャンピオン、いいセンスをしているのである」

    「これからみんなでケーキを食べる。 よかったら一緒にどう?」

    玉子「よきに~」

    513 = 1 :


    やえ「……ってちょっと宮永! あんたまた勝手に……」

    「照でいい」

    やえ「入るなんて言ってないでしょ! あんた意外と……」

    「照でいい」

    やえ「だいたい宇津木が来たんだから私たちがいなくても別にあんたたちで……」

    「照でいい」

    やえ「……あーもう! 照! これでいいんでしょ! これで!」

    「うん、これでぐっと友達らしくなった」

    「やったね照さん」

    玉子「大変めでたいのである! おめでとうチャンピオン!」

    「照でいい」

    玉子「おお……では私のことも玉子と呼ぶとよいぞ!」

    「よろしく玉子。 ではいざケーキを……」

    やえ「…………」

    「……いい?」

    やえ「……ふん、好きにしなさいよ!どうせ言ったって聞かないでしょ!」

    「やった。 みんなでケーキ……!」

    「もっと素直に言えばいいのに……」

    やえ「うっさいわね!」

    514 = 1 :


    ――――――

    やえ「……で?どれ食べるのよ」

    「悩む。 どれもおいしそう……」

    玉子「照の言う通りであるな……悩ましいのである」

    「食べたいのを食べるのがいいと思……」

    「灼……よし、決めた」

    玉子「そうか! それでは早速注文するのである!」

    「……すみません、オーダー……」

    「ケーキ、ここからここまで、全部」

    やえ「はぁ!? 照、あんたちょっと……」

    「以上です……店員さん、この人は気にしないで……! 早く……!」

    玉子「やえはなかなかの暴れん坊であるなあ」

    やえ「いやどう考えても照がおかしいでしょ!? 全部って……全部って……!」

    「やえさん、騒ぐと回りに迷惑に……」

    やえ「あ…………その、悪かったわね」

    「気にしないで。 私は気にしてない……灼も玉子も、みんな私が頼んだのを適当につまむといい。 なくなる前に」

    玉子「よきに~」

    やえ「ってなくなるほど食べるつもりなわけ!?」

    「?」

    やえ「だから不思議そうな顔してんじゃないわよ!」

    「照さんはほんと食べるよ」

    玉子「照は胃袋もチャンピオンであるなあ」

    「甘いものは別腹」

    やえ「別腹もなにも甘いものしか食べてないでしょ」

    「……ほんとだ。 やえは頭いい」

    「晩成は偏差値70越えの進学校だから……」

    玉子「さすがであるなあ」

    やえ「そういう問題じゃないでしょ! ……あんたらと話してると頭痛いわ……」

    515 = 1 :


    やえ「はぁ……で? 一応聞いとくけど、かなり頼んでたけど手持ちあんの?」

    「え?」

    やえ「ここ、店の雰囲気もいいし味もいいけど……結構するわよ」

    「…………」

    玉子「すごい汗であるぞ? 大丈夫であるか?」

    「……灼、メニュー取ってもらえる?」

    「ん……どぞ」

    「…………」

    やえ「……まさかとは思うけど、足りないの?」

    「……こっちのケーキもおいしそうだった。 追加で注文を……」

    やえ「ちょっと!」

    「あ……ごめん、取り乱した。 値段は……値段……!?」

    「……だいじょぶ?」

    「……お、思ったよりも高い」

    玉子「値が張るということは味もいいのである! やえが入店経験もあるようなので安心である!」

    「……玉子、天才。 元気出た」

    やえ「いや、元気出たって出すもん出せなきゃ出るとこ出られてインハイも出れないんだけど」

    「!?」

    玉子「ノォォォォである! それはまずいのである!」

    516 = 1 :


    「……みんなを友人と見込んで頼みがある」

    玉子「うむ! 友人の頼みとあれば聞き入れるのである!」

    「あ、はい……いいですよ」

    やえ「……もうわかったけど、なによ?」



    「……お金貸してください」


    やえ「……ほんと、こんなんが全国王者でいいのかしら」


    カン!

    517 = 1 :

    奈良とインハイの王者が強すぎて埼玉の王者が霞む事案…そのうち再挑戦できれば
    劒谷はアニメで回想もらったけど越谷のいじりどころって蝉丸ルールぐらいしか追加されてないし辛い

    520 :


    王者の集いいいなwここに東海王者も加わえよう

    521 :

    「エトピリカになりたかったペンギン」めっちゃ気になるんですが。最近下書きとぬり絵多くてちょっと寂しい…

    次回は土日どっちかで来れれば…再挑戦もしたいし>>520の前振りも兼ねて>>97の荒川さんと愉快な仲間たちでー

    522 :

    待ってます

    523 :

    毎度毎度遅い時間になっちゃうのは何とかしたい…投下します

    524 = 1 :



    人に優しくされた分、人に優しくなりなさいって、お母さんが言っていた


    525 = 1 :


    私が優しくしてもらった分、回りの人に優しくなれれば……きっとその回りの人たちもまた回りの人に優しくなれる

    そうすれば、みんなあったかい気持ちになれるって思って……今日、またここに来たんだけど……

    「いやぁ今度はこっちの練習に付き合ってもらっちゃって……ほんと、助かりますーぅ」

    穏乃「いえ、こちらもお世話になったので! 声をかけていただければいつでもお手伝いします!」

    「私たちが練習相手になれるのなら、まかせてください!」

    「…………」

    「……宥さん、どうかしましたか?」

    「あ、いえ……なんでもないです」

    ……荒川さんは、いつも通り……に、見える

    利仙「……そこの神代小蒔の牌譜、取っていただけますか?」

    「……どうぞ」

    ……ふたりとも、ちょっと怖い顔だ

    「ロン、3900です」

    藍子「うげ……はいよ」

    「はや……灼さん、今日調子いい?」

    「ん……わりと」

    もこ「…………」

    藍子「う……わかってるよ! たしかに今の振込みは避けられたし……」

    ……対木さんが何を喋っているのかはわからないけど、こっちも少しピリピリしている

    個人戦本番を前にして、みんな緊張感が高まってきているみたいだ

    526 = 1 :


    団体戦のあとに、一度練習にも参加したけど……その時はこんなにピリピリしてなかったんだけどなぁ

    「……そろそろ、お昼休憩にしますーぅ?」

    穏乃「え、でも……」

    「そりゃあ、ウチらは順番に打ってるけど……阿知賀さんともこちゃんは打ちっぱなしで大変でしょう?」

    「でも、個人戦まで時間が……」

    「大丈夫ですよーぅ。 ウチらは実践経験も豊富ですし……みんなでこわーい顔してちゃあ練習だって進みませんよーぅ」

    ……荒川さん、気づいてたんだ

    優しい人だし、きっと普段からチームメイトの様子にも気を配っているんだろう

    「……まあ、根を詰めすぎてもいけませんね。 私は賛成ですよ」

    利仙「……そうですね。 休憩にいたしましょう……みなさんに負担を強いるわけにもいきませんし」

    もこ「…………」

    藍子「はいはい、わかったわかった……それじゃあ休憩ってことで! ありがとね、憧ちゃん、灼ちゃん」

    「いえ、こちらこそ勉強になります」

    「また一緒に打つ機会ができてうれしいです」

    ……対木さん、いつもなにを喋っているんだろう? 百鬼さんの受け答えからしてたぶん……一旦休憩しよう、とか無理しないで……とかそんなことを言ってるんだと思うけど

    527 = 1 :


    「こればかりは仕方がないですが、卓を囲むにはやはり人数が不足しますね……」

    利仙「個人戦参加者同士は対局できませんからね……まあ、練習相手に困ってここに集まっているのですから……」

    もこ「…………」

    藍子「ん、まあもこの言う通りなんだよね……個人戦出てなくて私たちの相手できる人となると上位校の団体メンバー借りるとかしかないからなあ」

    「個人戦に参加する選手がいる高校からはさすがに協力もしてもらえないでしょうしね……」

    藍子「憩ちゃんの伝で千里山とか姫松の人借りられないの? 二条とか真瀬とかさー」

    「いくら大阪三校で交流があるっていってもさすがに無理ですよーぅ」

    藍子「ですよね……」

    穏乃「竜華さんも愛宕さんも、全然気にせず来てくれそうな気もしますけど……」

    利仙「たしかに、そういうお人柄ですね……しかし……」

    「お二人とも、個人戦の代表選手ですしね」

    穏乃「あ、そっかあ……」

    「……とりあえず、ご飯にしましょう! お弁当作ってきたのでよろしかったら!」

    「これはどうも……」

    「……食べる?」

    もこ「…………」

    「ん」

    もこ「…………」

    「それはよかった」

    藍子「お、もこちょっとなれてきた? 会話できてんじゃん」

    528 = 1 :


    ……なんの話をしているんだろう? すっごく気になるなあ……

    「……百鬼さんも、灼ちゃんもすごいですね」

    藍子「え? ああ……もこはちょっとばかり人と話すのが苦手なだけですから」

    「はぁ……? そうなんですか」

    もこ「…………」

    藍子「こら! そんなこと言ったら失礼だろ? すみません宥さん……」

    「え? いや……灼ちゃん、なんて?」

    「ん……えと、宥さんも大変な寒がりだそうで難儀してますね……って」

    「……いえ、それほどでも……?」

    ……どこが失礼だったんだろう?

    藍子「……マイルドに翻訳してくれてありがとね」

    「ん……対木さん、悪気無さそうだし」

    もこ「…………」

    「それほどでもない」

    「……えっと、対木さん? なんか……ごめんなさい?」

    もこ「…………」

    藍子「あ! こらまた……!」

    「……気にしてません。 こちらこそ失礼しました……って」

    藍子「あ、そう! 意訳するとそんな感じですから!」

    ……いったい、どんなことを言われてるんだろうか

    529 = 1 :


    藍子「えー……あ! それにしても、おいしいねこれ……玄ちゃんが?」

    「はい! 松実館の次期女将として修行中ですから! 」

    藍子「へぇ……それじゃあ、宥さんも?」

    「あ、いや……私は……その、あまり……」

    「宥ねえは……ほら、松実館のマスコット枠?」

    「マ、マスコット……?」

    もこ「…………」

    藍子「もこ!」

    「……ねえ、対木さんすっごく気になるんだけど……」

    「……いい子ですよ、たぶん」

    「疑問系なの!? ほんとになに言われてるの……?」

    「あー……そういえば、話は戻りますけど……清水谷さんや愛宕のお姉ちゃんとか……千里山や姫松とも最近仲良しさんらしいですねぇ?」

    穏乃「はい! とても良くしてもらってます!」

    「彼女たちとも打ちましたか?」

    「はい、何度か……」

    利仙「羨ましいですね……私も個人戦が待ち遠しいです。 強敵との戦い、それに団体戦の……神代小蒔への雪辱……!」

    「もう、利仙さんまた怖い顔になってますよーぅ?」

    利仙「おっと……失礼いたしました。 試合前になるとつい……」

    藍子「気持ちはわかりますけどね」

    「団体戦で破れたチームメイトのためにもいい結果を出したいものです」

    530 = 1 :


    もこ「…………」

    穏乃「……そりゃあ、対木さんの言う通りですけど……まだ試合前ですし、そんな今から……」

    「……な、なに?」

    「……えー、ここにいるみんなも個人戦ではライバル同士になりますね……というようなことを……」

    「……なんで灼さんもしずもわかるの?」

    「話についていけないよぉ……」

    もこ「…………」

    「……たしかに、ライバルが回りにいる以上ここでの練習も十全に力を出しきることができるとは言えませんが……」

    「会話してる!?」

    「もしかして私たちが悪いの!?」

    「つ、つまり……?」

    「……全員手の内を隠しながら打っても効果は薄い……的な?」

    藍子「……もこ、そんなことばっかり言うから誤解されるんだぞ? せっかくみんな練習相手になってくれてるのに……」

    もこ「…………」

    「まあまあ、もちろん友人相手とはいっても大会では全力で打ちますし……ほら、ウチだって千里や姫松と仲いいけどちゃんとやってますよーぅ?」

    もこ「…………」

    「……はい?」

    穏乃「わわ……灼さん、ちょっとやばいですよ……!?」

    「え? え?」

    「……なにが起きてるのか全然わからないんですけど」

    「……修羅場?」

    531 = 1 :


    もこ「…………」

    「……もう、もこちゃんったら……東海王者になった程度でちょっと調子乗りすぎですよーぅ」

    藍子「……ちょっと憩ちゃん……なに? それってうちら東海地方の雀士バカにしてんの?」

    「えー? そんなことないですよーぅ? でも麻雀はじめて五ヶ月の人が王者の地区なんて……ねぇ?」



    「ちょ、ちょっと……!? なんか、すごくあったかくない雰囲気に……!」

    「みんな交流があったとはいえ、もともとはライバル同士ですから……ちょっとした小競り合いなんていつものことです。 そのうち収まりますよ」

    利仙「普段だったら一局打って解決なのですが……大会前ですし仕方がありません。 止めるとしましょうか……お三方、阿知賀の皆さんが驚いてますよ? ここは私に免じて矛をおさめて……」

    藍子「利仙さんは関係ないんだし黙っててくださいよ……ここで黙ったら東海地方の雀士全員が侮辱されたことになるんで……」

    利仙「まあまあ、そう言わずに……」

    藍子「だいたい、利仙さんだって去年から神代みたいなぽっと出に負けっぱなしで恥ずかしくないんですか?」

    利仙「……あら? なにが言いたいのでしょうか?」

    藍子「腕落ちたんじゃないですか? 今本気で打ったら私の方が強いですよ」

    利仙「……うふふ、百鬼さんも少し教育が必要なようですね……?」

    「り、利仙さん!?」

    「なんでこうみんな……」

    「みんなそれぞれの地区のトッププレイヤーだし、プライドが高いのは当然……だけどね」

    「……はぁ」

    穏乃「し、霜崎さん……なんとかなりませんか……?」

    「……では、一応挑戦してみますが……」

    532 = 1 :


    「……利仙さん、止めに入ったあなたまで一緒になってどうするんですか? いったん深呼吸して……」

    利仙「田舎者は黙ってなさいな」

    「……千葉は首都東京に隣接していますよ? 山奥から出てきたあなたが地理に疎いのは仕方ありませんが……」

    利仙「うふふ」

    「ふふふふ……」



    「あわわわ……」

    「こ、怖いよ……おねえちゃん……」

    「……もう! みんないちいちレベル低い煽りに反応しないでくださいよ! くだらない言い合いは止めて……」

    藍子「レベル低くてすみませーん」

    利仙「目上の人間に指図するとは……」

    「新子さんは私たちより上なんでしょうね……」

    「いやあ、さすが団体戦決勝進出校ともなると格が違いますよーぅ」

    もこ「…………」

    「え、いや……その……」

    「憧、おいで」

    「うぅ……灼さん、宥ねえー……」

    「よしよし、泣かない泣かない」

    「あ、憧ちゃん……大丈夫?」

    「こわかったよぅ……」

    533 = 1 :


    もこ「…………」

    藍子「うん、どうやら決着をつけるしかないな……」

    利仙「ふっ……いいでしょう。 完膚なきまでに叩きのめして差し上げます!」

    「皆さんには悪いですけど、やる前から勝負はわかってますけどねー」

    「……いざ、卓に」

    「ちょ、ダメですよ! 個人戦の選手は対局したら……」

    「玄ちゃんたちが黙ってればわかりませんよーぅ」

    「秘密の特訓だと思っていただければ……」

    「でも、大会規約に……」

    利仙「悲しき雀士の性……私たちは卓上でしかわかりあえないのです!」

    「さっきまでみんなで仲良くやれてたじゃないですかぁ……」

    もこ「…………」

    藍子「席決めの前にどの順番で卓につくか決めないと……」

    「あの、やめておいた方が……」

    穏乃「そうですよ! ちゃんと話し合えば解決します! みんな友達じゃないですか!」

    534 = 1 :


    利仙「友人である前にライバルなのです! 神代小蒔の前に血祭りにしてあげます!」

    「ふふ……あまり大きなことを言うとあとで恥をかきますよ……」

    「本戦で当たる前に戦意喪失させてあげますよーぅ」

    藍子「私だって……東海雀士の力を見せてあげますよ……!」

    穏乃「いやいやいや! 話を聞いて……」

    もこ「…………」

    穏乃「……でも! みんな友達で、麻雀が好きで……! 喧嘩しに来たんじゃないでしょう!」

    もこ「…………」

    穏乃「大会ですよ!? 打ったあとは互いを称え合って! ……やるな、お前……!」

    「へっ……そっちこそ……!」

    穏乃「……ってなるのが理想じゃないですか!」



    「……なんで息ぴったりなの?」

    「妬いてる?」

    「……別に! 私には宥ねえがいるし!」

    「え? うん、あったかいよー」

    「……えっと、えっと……お、おねえちゃん……」

    「……別に、仲間はずれとかじゃないから」

    「灼ちゃんありがとう……」

    535 = 1 :


    もこ「…………」

    穏乃「おおむねそんな感じですよ! 私たち、団体戦以降かなり友達増えましたし!」

    もこ「…………」

    穏乃「……?」

    「……みんなにいい顔するな、ってところかな」

    穏乃「なるほど! ありがとうございます!」

    「……?」

    「たぶん、蝙蝠がわからなかったのかと」

    「……もしかして、けっこうキツいこと言われてる?」

    「ちょっと」

    「ちょっと?」

    「……かなり?」

    「……いろんな学校の人たちと打ったりしてるのがアウトなの?」

    「だいたい合ってる」

    「憧ちゃんわかるんだ……」

    「すごいねー」

    「まあ、しずが喋ってることはわかるし……たしかにいろんなとこと絡んでるし気になる人は気になるかあ……」

    「対木さん、選手じゃないけど百鬼さんの応援で来てるわけだしね……」

    536 = 1 :


    穏乃「そりゃあ、いろんな人の応援してますけど……仕方ないじゃないですか! みんな友達です! 戦友です! 昨日の敵は今日の友ですよ!」

    もこ「…………」

    穏乃「たしかに頂点に立つ人は一人な以上綺麗事かもしれないですけど……私はみんなに頑張ってもらいたいです、応援したいです! もし、対木さんが大会に出てたとしたって同じように応援しましたよ! 友達ですから!」

    もこ「…………!」

    穏乃「え?」

    もこ「……! ……!?」

    穏乃「ちょ、え? なんですか?」

    藍子「……照れてるんだよ、それ。 友達少ないからうれしかったんだろ」

    もこ「…………!」

    藍子「はいはい、ごめんごめん」

    もこ「…………!」

    穏乃「でもほら! この前はあまり意志疎通できなかったですけど、今回はたくさんお話できてるじゃないですか! 完全に友達ですよ!」

    もこ「…………!!」

    穏乃「えー? 猿は酷いって! 友達らしく名前で呼んでよ! 私ももこって呼ぶからさ!」

    藍子「……ふふ、やめにしましょっか? くだらないことで喧嘩するの」

    「……そうですね、大人げなかったです」

    利仙「ええ……それに、高鴨さんのお陰で大切なことに気がつけました」

    「……ウチら友達ですもんね」

    穏乃「みなさん……!」

    537 = 1 :


    「……おさまった?」

    「大会前だから多少ギスギスしちゃうのもわかるけど……ほんとに怖かった……」

    「でも、仲直りできてよかったよ……」

    「穏乃ちゃんはすごいね……この場を納めちゃうなんて……」



    「はい、友人同士で潰し合っても意味はありません……」

    利仙「頂点に立つ者は一人。 ならば倒すべき相手は……」

    藍子「そう、敵は今大会最有力の宮永照だ!」

    穏乃「……あれ?」

    「とはいえ、宮永照はヒトじゃないですからねーぇ」

    藍子「ほんと気に入ってんね、それ」

    「ふふ、去年二位の憩さんが言うのはどうなんですか?」

    利仙「それだけの相手だということです……今年こそは必ずやかの者を……」

    「三連覇なんてさせませんよーぅ」


    「……あの人たち、ほんっとに好戦的というかなんというか」

    「……それでも、仲良しの方があったかいよ?」

    「そうだね! 仲良しが一番だよ!」

    「…………」

    「……どうしたの? 複雑そうな顔して」

    「……いや、照さん友達だから……ちょっと、こう……」

    「ああ……それは、たしかに……」

    「共通の敵がいると結束って深まるのよね……」

    538 = 1 :


    藍子「あ、穏乃ちゃんさー」

    穏乃「あ、はい! なんですか?」

    藍子「今度さ、もこどっか連れてってやってよ。 ほっとくとなかなか外出ようとしないからさー」

    穏乃「まかせてください! 山とかどう?」

    もこ「…………」

    穏乃「いやいや! けっこう楽しいって! いいよ! 山!」

    「しず! 山ってそんなに気軽に女子高生が遊びに行く場所じゃないから……」

    もこ「…………」

    「……もこ」

    もこ「……!?……!!」

    「……私も、友達」

    もこ「…………!!」

    「……甘いものとか好き?」

    もこ「…………」

    「今度、一緒に食べ行こ?」

    もこ「…………」

    「ん……」

    539 = 1 :


    「丸く収まったみたいでよかったね、おねえちゃん!」

    「うん……そうだね」

    穏乃ちゃんと灼ちゃんのふたりで、対木さんの方は落ち着いたみたいだ。 遊びに行く約束もできた……のかな? たぶんできたんだろうし、これからも仲良くやっていけるといいなあ

    ……荒川さんたち、ちょっと怖い盛り上がり方してるけど大丈夫かなあ?

    「よぉし! そうとなったら練習の続き、始めましょうかーぁ?」

    利仙「ええ、宮永照をはじめとした強敵との戦いに備えて鍛練に励むべきでしょう」

    「玄さん、お弁当ありがとうございました。 とてもおいしかったです」

    「あ、そんな! お口にあったならよかったです!」

    藍子「ほんと、御馳走様……さて、それじゃあ始めますか! 今年のインハイこそ宮永照を倒して……」

    「ウチが全国一位に……」
    利仙「私が頂点に……」
    「優勝旗を私が……」
    藍子「私が全国優勝……」


    「「「「…………」」」」


    「ちょっと卓についていただけますか?」

    藍子「覚悟してくださいよ?」

    利仙「誰が最強なのか教えてあげます……!」

    「全国二位の力は伊達じゃないですよーぅ」



    「あったかくない……」

    穏乃「もうやめてください!」


    カン!

    540 = 1 :

    ※仲良しです

    来週というか今週少々忙しいので少し間空くかもしれないです

    541 :

    あったかいようであったかくない……
    あったかくないようであったかい……

    乙です

    543 :


    憩ちゃんみたいな子が怒るとマジでおっかないよな…ガクブル

    544 :

    乙だな。

    実際問題隠れて絶対対局してるよねこの子たち。

    545 :


    センターのニュースとか見てて三年生の進路の話とか見てみたくなった
    でもインハイ期間中に進路の話ってのもなんか変だよな

    546 :

    >>545これ思われちゃう以上子ども主導でも大人付けないとダメですよね
    >>545インハイの時期に進路のお話となるとプロ入りの話なんかはする子もいるかもしれませんね。プロのシステムってあまりはっきりしてないしちょっと考えてはみます

    シノハユ最新話に露子さんと松実姉妹が出てましたね。今後本編キャラ登場の機会も増えそうだし楽しみです
    一週間ぶりになってしまいましたが投下します

    547 = 1 :



    藍子「それじゃあ、よろくね!」


    穏乃「まかせてください!」


    もこ「…………」


    「……行こうか」


    548 = 1 :


    「どこ行く?」

    穏乃「山!」

    もこ「!」

    穏乃「おお、川もいいね!」

    もこ「…………!!」

    「……ボケ潰しちゃダメだよ」

    穏乃「なんだ、冗談かー」

    もこ「…………」

    百鬼さんに、もこを預けられた

    「たまには私なしで外出させないと」なんて言ってたけど……普段はどうしてるんだろう?

    ……まあ、今はネット環境さえ整えば家で麻雀も打てるし、東海大会の時は百鬼さんが引きずって行ったんだろう

    百鬼さんがもこは人に慣れてないって言ってたけど……もこも、冗談を言えるぐらいには慣れてきてくれてるのだろうか? それなら喜ばしいことだ

    穏乃「じゃあさ、どこか行きたいところとかある?」

    もこ「…………」

    「ん……とりあえず適当にブラブラして、なにか食べて……!」

    穏乃「灼さん?」

    「ごめ、電話……」

    ……照さん? どうしたんだろう、珍しい

    549 = 1 :


    「もしもし……」

    『助けて』

    「はい?」

    『やえと連絡がつかなくなった。 何かあったに違いない』

    「……ちょっと、順を追って話していただけますか……?」

    『さっきまでメールをしていたのに返信が来なくなった。 電話も通じない。 私も玉子も困っている』

    「あ、玉子さんも一緒なんですか」

    『またケーキを食べに行こうかと思って。 灼もどう? この前の店で待ってる』

    「……今、穏乃……うちの大将の高鴨と、東海王者の対木もこさんが一緒にいるんですけど連れていってもいいですか?」

    『……覚王山の対木さん? 彼女は個人戦には参加していなかったと思うけど……』

    「静岡の百鬼さんの応援で東京に出てきてて……」

    『なるほど、歓迎する』

    「ありがとうございます……ところで照さん、練習の方は……?」

    『さっき抜け出そうとした淡が捕まって菫に説教されてる。 その隙に抜けてきた』

    「……それは、ダメなんじゃ」

    『誠子に言っておいたから大丈夫』

    「…………」

    ……亦野さんはちっとも大丈夫じゃない気がするけど

    550 = 1 :


    『それじゃあ、待ってる。 連絡がつくようならやえも連れて来てほしい』

    「ん……わかりました。 それでは」

    もこ「…………」

    「宮永照さん。 ケーキ食べに行こうって」

    穏乃「チャンピオンの宮永さんですか!」

    もこ「…………!」

    「……それはそれ、これはこれ、ってことで」

    もこ「…………!!」

    「でも、おいしいケーキが食べられる」

    もこ「…………………」

    穏乃「なんだかんだ言ってももこも普通の女子高生って感じだねえ」

    もこ「…………!」

    穏乃「あはは! ごめんごめん!」

    「話もまとまったところで、ちょっとやえさんに電話するから……」

    穏乃「小走さんも誘うんですか?」

    「共通の友人。連れてくるように頼まれて……もしもし? 今だいじょぶ?」

    やえ『……大丈夫よ、ちょっと休憩しようと思ってたとこだから』

    普通に繋がった、けど……

    「……なんだか、お疲れの様子で」

    やえ『個人戦に向けて牌譜とかのデータ整理してたんだけど……照がアホみたいにメール送りつけてきてね。 ケーキとかの画像添付して、本文無しで』

    「………はあ、それは……大変ですね」

    やえ『あんまり鬱陶しいんで一旦着拒してやったわよ!』

    ……照さん、やっぱりちょっと……うん、アレだな


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