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    元スレ灼「個人戦は見学して行くから……」

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    551 = 1 :


    やえ『で? どしたの?』

    「……照さんが、ケーキ食べに行くからやえさんも連れて来てほしい、と……」

    やえ『…………ねえ』

    「はい」

    やえ『やっぱりあいつバカよね?』

    「……不器用なだけ」

    いや、私もちょっと思ったけど

    やえ『…………はぁ』

    ……まあ、ため息をつきたくなる気持ちもわからなくはない

    「あ……あと、今日は穏乃ともう一人……覚王山の対木もこさんが一緒なので」

    やえ『へえ? 面白い人脈持ってるわね……麻雀はじめて五ヶ月で東海王者になったって聞いてるわ』

    「……やっぱり、けっこう名前売れてる?」

    やえ『そりゃあ、話題性も……力もあるもの。 個人戦には出てないのよね? 今後公式戦で打つ機会もないだろうし時間があれば打ってみたいわね』

    「ん……もこ、話すのよりも打つ方が得意そうだし……」

    やえ『どういうことよそれ……?』

    「会えばわかる……とりあえず、そっちの宿通り道だし迎えに行く」

    やえ『ん、出る準備しとくわ』

    552 = 1 :


    ――――――

    やえ「奈良県、晩成高校の小走やえよ。 よろしくね、対木さん」

    もこ「…………」

    「……もこ?」

    無事やえさんに引き合わすことができた、と思ったんだけど……

    もこ「…………」

    私の背中の陰に隠れてしまった

    「……どしたの?」

    もこ「…………!」

    「やえさん、ちょっとキツく見えるかもしれないけど……ツッコミ気質で軽度のツンデレなだけだから、怖くないよ」

    やえ「ちょっと! なによその説明!」

    もこ「…………」

    「……私たちとはじめて会ったときは平気だったでしょ?」

    もこ「…………!」

    ……百鬼さんがいないとダメなのか

    威勢のいいこと言ってるわりには……いや、かわいいんだけどね?

    穏乃「大丈夫だよ! もこ、頑張って!」

    もこ「…………」

    「ふふ……ほら」

    もこ「…………!」

    やえ「……うん、よろしく……?」

    553 = 1 :


    穏乃「やったねもこ!」

    もこ「…………」

    とりあえず、ひと安心かな?

    やえ「……ね、ちょっと」

    「?」

    やえ「あの子、大丈夫なの?」

    「ああいう子です。 かわいいでしょ?」

    やえ「……うん、まあ……挨拶はもっとちゃんとできた方がいいと思うけど」

    もこ「…………!」

    穏乃「もう、そんなこといっちゃダメだよ? 小走さんはもこのこと心配して言ってくれてるんだから……」

    やえ「……なに言ったのよ、あいつ」

    「……たいしたことじゃないので」

    もこ「…………!!」

    やえ「なによ、言いたいことあんならはっきり言いなさいよ!」

    もこ「…………」

    やえ「ちょっと! 今舌打ちしたでしょ!? 聞こえてんのよ!?」

    もこ「…………」

    「今、謝ってましたよ」

    やえ「『チッ、さーせん』みたいなのでしょ!? 態度悪いわねこいつ!」

    穏乃「正解ですよ! よかったねもこ、仲良くなれそうだよ!」

    やえ「どこをどう判断したらそうなんのよ!?」

    554 = 1 :


    ……ちょっと相性悪かったかな?

    やえさん、面倒見いいしむしろ合う方かと思ったんだけど……引き合わせ方が悪かったかなぁ

    ……まあ、一緒においしいものでも食べればなんとかなるか

    照さんともそれがきっかけだったし

    もこ「…………」

    やえ「ちょっと! 髪引っ張んないでよ! セットすんの大変なんだから!」

    穏乃「綺麗に巻いてるから気になるんですよ! 素敵ですもん!」

    やえ「だからって引っ張っていいことにはなんないの! だいたいあんたもそのリボンなんなのよ! 前見えてんの!?」

    もこ「…………!」

    穏乃「小走さん、もこのこと心配してくれてるよ?」

    やえ「べ、別にそんなんじゃないわよ! ちょっと気になっただけで……! ファッションにしてもそういう風にしてると視力落ちるかもしんないし……」

    もこ「…………?」

    穏乃「うん、いい人だよ!」

    やえ「だ、だから……!」

    ……穏乃に任せておけばほっといても平気そうだな

    「……照さんと玉子さん待ってるし、そろそろ行くよ」

    穏乃「はーい!」

    もこ「…………」

    やえ「あ、ちょっと! 待ちなさいよ!」

    555 = 1 :


    ――――――

    玉子「お、ようやくお出ましであるな」

    「待ってた」

    「すみません、お待た……すごい量食べてるみたいですけど」

    「……灼たちが来る前にたくさん食べておくことで、ここから食欲を抑えて話すことに集中できるという高度な戦術」

    玉子「さすが、インハイ王者は戦術面も高レベルであるな!」

    「……ま、いっか」

    やえ「ちょっと照! なんだったのよさっきの!」

    「やえ、連絡が途切れたから心配した」

    やえ「心配もなにも……! ……あーもう! いたずらじゃないのよね? 何がしたかったのよ?」

    「やえ、真面目だし……普通に誘っても断られるかと思って。 美味しそうなケーキの画像をたくさん見たらやえも食べたくなってここに来てくれると思った」

    玉子「この作戦はドはまりしたようであるな! さすがである!」

    「それほどでもない」

    やえ「…………次からは普通に誘いなさい」

    「誘ったら来てくれるの?」

    やえ「三回に一回ぐらいはね」

    「二回に一回は来てほしい」

    玉子「友人は大切にした方がよいぞ?」

    やえ「あー……考えとくわ」

    「……怒らないの?」

    やえ「言うだけ無駄でしょ」

    「……そだね」

    556 = 1 :


    穏乃「こんにちは! 高鴨穏乃です!」

    玉子「おお、団体戦ぶりであるなぁ……我が校を破った阿知賀がいい成績を出してくれて鼻が高いのである」

    もこ「…………!」

    「……よろしくね」

    もこ「…………」

    「ふたりとも好きなだけ食べるといい」

    穏乃「え? でも……」

    玉子「今日は私が出すのである! 照と灼、それに穏乃の団体戦祝いと、やえの激励、それにもこの東海王者祝いってことでよいぞ!」

    「遠慮はいらない」

    もこ「…………!!」

    穏乃「……ありがとうございます! ご馳走になります!」

    「どれもおいしい。おすすめ」



    玉子「……照がまったく遠慮しないので多少は手加減してほしいのである」

    やえ「自分の分は自分で出すわよ。 借りは作りたくないし……特にお金はね」

    「穏乃は結構しっかりしてるから心配いらな……私も、後で出しますから」

    玉子「うう……面目ないのである……」

    やえ「気にしないでよ、当然のことでしょ」

    「先輩は立てるもの……」

    557 = 1 :


    もこ「…………」

    「おいしい?」

    もこ「…………!」

    「対木さんとは趣味が合う。 ほら、こっちもどうぞ」

    もこ「…………!」

    やえ「……照とはすんなり馴染んだわね」

    「波長が合う?」

    やえ「かもね。 両方変人だし」

    「……もこがすぐに照さんになついて悔し……?」

    やえ「べっつに! そんな、違うわよ!」

    穏乃「その帽子、かっこいいですよね!」

    玉子「む、これの良さがわかるのであるか?」

    穏乃「素敵です! 王冠なんて超個性的ですし!」

    玉子「越谷の部長になったときに被りはじめたものでな……」

    「……形から入るタイプ?」

    玉子「うむ、その通りである。 部を預かる立場として形から気持ちを作っていこうと思ったのであるが……これがなかなかしっくり来て……」

    穏乃「私もなにか個性的でかっこいいアクセサリーとか探そうかなあ」

    やえ「……わざわざ探さなくてもあんたら十分個性的よ? もこだって結構なフリフリだし……」

    もこ「…………」

    「……やえも十分個性的な髪型してる」

    やえ「うっさいわね、あんたは寝癖ぐらい直しなさいよ」

    「これは寝癖じゃない。 頑固な癖毛。 どうしても跳ねちゃう」

    玉子「気になるなら照も帽子を被ってみるのはどうであろう?」

    「なるほど、そんな手が……」

    558 = 1 :


    もこ「…………!」

    「なるほど……私は、結構そういうところは無頓着だから……」

    ……もこ、照さんとは意外とうまくやれてるみたい?

    この間のこともあったし、もっと敵視してるのかと思ったけど……

    もこ「?」

    「……なんでもないよ?」

    もこ「…………?」

    「うん、まあ……」

    もこ「…………」

    「……その考え方はどうかと思うけど」

    「うん、それは危ない。 当然私は悪い人じゃないから大丈夫だけど。 食べ物をくれる人がみんないい人なわけではない。 私にも経験がある」

    やえ「経験があるってマズいでしょ!? 大丈夫だったの!?」

    「ある日、菫がおかしをくれるというから部室に行ったら……」

    やえ「あ、その話いいわ。 パスで」

    「そんな……とっておきのお話なのに……」

    やえ「つーか弘世は悪い人なわけ?」

    「いい人だよ?」

    やえ「じゃあたいしたことなかったんでしょ」

    「そんなことはない。 後輩……誠子や尭深におかしをたかるなってたくさん怒られた。 一週間ほど部室でおかしを食べることを禁止された私は……」

    やえ「……白糸台って部室でおかし食べたりしてんのね。 うちじゃ考えられないわ」

    「!?」

    559 = 1 :


    「……晩成の部員じゃなくてよかった」

    やえ「……それはちょっとムカつくんだけど」

    「あ……ごめん、そういうつもりじゃ……」

    穏乃「でも、やっぱり晩成って厳しいんですね」

    「うちは練習こそ厳しいけど基本は緩いしね……」

    玉子「のびのびと打てる環境なのであろうなあ」

    「ん、そんな感じ」

    穏乃「赤土先生はこども麻雀クラブの時からそういう雰囲気作りでした!」

    玉子「雰囲気作りは大切であるな! わが校も今年こそは全国大会初戦突破、そして優勝を目指してチーム作りを……していたのであるが……」

    穏乃「……す、すみません」

    玉子「二回戦は私自身も大失点で……うう……不甲斐ないのである……」

    「あれは、森垣さんが大暴れだったし……仕方な……」

    やえ「……そういえば、もこは麻雀覚えたてでしょ? 短期間で東海王者なんて、すごい指導者がついてたとかあったのかしら?」

    もこ「…………」

    「百鬼さんに教わったの? へえ……」

    玉子「百鬼というと、后土学園の百鬼藍子であるか? 教える方も上手なのであるか……羨ましい限りであるな」

    穏乃「もこに麻雀の才能もあったんだろうけどね!」

    もこ「…………」

    穏乃「へへ、照れんなよー」

    もこ「…………!!」

    560 = 1 :


    「実際、対木さんは麻雀をはじめて五ヶ月で東海王者になったという実績がある。 多少の運も絡むとはいえこれはすごいこと」

    もこ「…………!」

    「お世辞じゃない。 こう見えて人をみる目には自信がある」

    やえ「……まあ、麻雀に関してはたしかだと思うけど」

    「……やえにほめられた!」

    玉子「これは珍しいのである!」

    「傘持って来てな……」

    やえ「なによ! せっかくほめてやったのに! 言っとくけどあんた麻雀以外はてんでダメなんだかんね! 調子乗らないでよ!?」

    「この短い付き合いで私のことをそこまで見てるなんて……」

    玉子「やえ、さては照のこと大好きであるな?」

    「そんな……照れる」

    やえ「言ってないでしょ!? もじもじしないでよ! だいたい、あんたがポンコツなのは話したらすぐわかったっつーの!」

    穏乃「そうなんですか!? 私、宮永さんやっぱりかっこいいなーって思ってました!」

    「……私、実はかっこいいキャラだった?」

    玉子「王者の風格がにじみ出ているのである!」

    「黙って表情作るとかっこいいですよ」

    「……キリッ!」

    穏乃「凛々しい!」

    玉子「かっこいいのである!」

    やえ「……ちょっと、なんとかしてよ」

    「なんとかできるとでも……?」

    やえ「……はぁ」

    561 = 1 :


    もこ「…………」

    「あ、ごめんね……やえにほめられてちょっと浮かれた」

    玉子「照もやえのこと大好きであるな?」

    「ばれたか」

    やえ「…………」

    「照れてる?」

    「照れてますね」

    やえ「うっさい! 照れてない!」

    もこ「…………!」

    「ごめんごめん……でも、直接打ってはいないけど……わかるよ?」

    やえ「……牌譜なんかのデータだけでも非凡さは感じられるわ」

    穏乃「っていうか、顔を会わせたらわかりますよね! あ、こいつはヤバいな……みたいな人は」

    玉子「たしかに……臨海の辻垣内とか見るからにヤバかったのである……目があったら殺られる、的な……」

    やえ「……それ、ちょっと違うでしょ」

    「ふふ……まあ、対木さんとは公式戦では打てないだろうから、残念だね」

    もこ「………………?」

    「……それは違う。 大会で対戦することになっても、敵ってわけじゃない」

    562 = 1 :


    もこ「…………」

    「東海大会で打った百鬼さんは、敵?」

    もこ「……!!」

    「まあ、そういうことかな。 あまり固く考えなくていいんだよ? 大会に参加している人、きっとみんな麻雀が好きなんだし……仲良くなれればそれが一番いい。 卓上ではどうしても勝ち負けが生まれるけど……それはそれ、これはこれ。卓上のことは卓外には持ち込まない」

    やえ「ふん……きれい事言っちゃって……あんた、インハイ二連覇してるからみんなにその首狙われてんだかんね? 敵は敵よ」

    「……そんなこと言っても、ここに来てる時点で説得力ない」

    玉子「ほんと素直じゃないのである」

    やえ「~~~~っ!」

    「言うだけ墓穴だと思……」

    穏乃「でもほら、この前言ったじゃん! やっぱり戦いのあとには友情が芽生えるんだよ! 昨日の敵は今日の友、王道だよ!」

    もこ「…………?」

    穏乃「そう! 拳と拳をぶつけ合い……あ、痛っ! な、なに?」

    もこ「…………?」

    「……いま、物理的に戦わなくていいんだよ」

    もこ「…………」

    穏乃「気にしてないよ、私の言い方も悪かったっていうか……」

    玉子「もこは存外素直であるなあ……」

    563 = 1 :


    「……やっぱり、戦うといっても暴力はよくない」

    玉子「それは、当然であるな」

    「とはいえ、ここでは麻雀は打てないし……私とやえは対局できない」

    やえ「……インハイ前だかんね」

    「そこで私は、みんなで、今ここで行える戦いを思い付きました」

    もこ「…………?」

    「玉子、いいかな?」

    玉子「私であるか? よきにー」

    「それでは、第一回スイーツ大食い大会を開催します」

    玉子「!?」

    穏乃「なるほど! その手がありましたか!」

    もこ「…………!」

    玉子「ちょ、ちょっと待つのである! そんなことするほどの手持ちは……!」

    穏乃「勝負はね、手加減しないで全力で戦うのが真の友情だよ!」

    もこ「…………!」

    玉子「あ、いや、だから……ってやえ! 灼! どこにいくのであるか!?」

    やえ「……お金おろしてくるわ」

    「……必ず戻りますので」

    玉子「帰ってくるのであるな!? ちょ、えっ? ほんとに帰ってきてくれるのであるな!?」

    「店員さん、メニューのここからここまで人数分お願いします」

    玉子「ノォォォォである~~!!」


    カン!

    565 = 1 :

    もこちゃんみたいにインパクト強いキャラは掘り下げが待ち遠しいです。個人戦出てないから4,5年かかる気がするけど

    しのたんイェイ~まであと数日…間に合わない…きょうたんイェイ~なら一週間あるし間に合うか…?忙しくなると書きたいものだけは増えていく不思議

    566 = 564 :

    人はそれを現実逃避と言うな

    567 :


    玉子いいキャラしてるね

    569 :

    乙!
    やえかわ

    570 :


    シノハユや阿知賀編みたいに荒川軍団の話を本編やりながらそのうち作ってくれると信じてる

    571 :


    もこちゃんは地元の星なので今後の活躍に期待してる

    572 :

    乙。
    奈良部長コンビの危機管理能力は素晴らしいね。

    573 :


    このポンコツ照なら咲ともすぐ仲直りできるんじゃないか?w

    574 :

    >>571私は地元横浜なんでシノハユでキャラ増えそうなんで楽しみです
    >>573照さんはほら、オンオフきっちりしててずっとオフなだけだから…

    立先生のとこ更新来てましたが特に真新しい感じはなかったですね。綾ちゃん一瞬タマちゃんかと思った(あぐり感)

    次はたぶん>>471一年大将組で。なるべく早く来れるようにします

    575 :

    まだかな

    576 :

    遅くなった言い訳もできない。土日には必ず…
    バレンタイン、清澄とか龍門渕とかなんか書きたかったけど間に合わなそうなので諦めたんですけど、やっぱりなにかしらやりたいので…

    1 穏乃「日本ではチョコを渡すんですよ!」 ダヴァン「私はラーメンの方が好きでスネ」 ネリー「ネリーはお金がいいな!」

    2 「いや別にチョコって言っても友チョコ的なアレで特別気合入ってるとかそんなことは」 一「……直接渡したら?」 透華「派手な演出が必要なのでは?」

    3 白望「チョコよりも身の回りの世話をしてほしい……」玄「おまかせあれ!」胡桃「そこ! 甘やかさないっ!」

    4 「チョコです」 照「ひとつだけ?」 やえ「ちょっとは遠慮しなさいよ!」

    5 竜華「いぇーい! ハッピーバレンタイーン!」宥「あったかくしすぎてチョコ溶けちゃった……」 泉「どういうことです……?」

    6 恒子「今日はバレンタインだーっ!!」健夜「……わっかんねー」晴絵「……知らんし」

    遅れるかもしれないけどどれかやります


    577 :

    全部いこう

    579 :

    あらたそかレジェンド

    584 :

    >>1の一番書きたい話が読みたい

    585 :

    >>584わりとなんでも書きたいんですけどね。それこそ時間があれば>>577これですね。バレンタインって何日過ぎまで許されるんだろうか…
    投下します

    586 = 1 :


    「淡ちゃんですけどー!」

    バーンと扉が開いて、飛び込んでくる影がひとつ……といっても、大声で名乗ったから誰かはすぐにわかったんだけど

    穏乃「あ、大星さん……いらっしゃい」

    「……ども」

    「あれ? ふたりだけ? アコとかいないの?」

    穏乃「今日はみんなお出かけなんです。 私もこれから咲……清澄の宮永さんとお買い物で……」

    「私も、ともきーと天江さんで遊びに……」

    穏乃「灼さん、最近沢村さんと仲いいですよねー」

    「ん……ともきー、変なゲームとかいろいろ知ってて面白いよ。 あと天江さんかわいい」

    「ちょっと!私がいるのに別の話題で盛り上がらないでよ!」

    穏乃「あ、すみません……というか、大星さん来る前に連絡してくださいって言ったじゃないですか……入れ違いにならなくてよかったですけど」

    「ありゃ? そうだっけ? でもほら、うちはいつ抜け出せるかわからなくてさー」

    「……また、練習抜け出してきたの?」

    「この前テルーがふらふらーって遊びに行っちゃって菫先輩に説教されてんの! 今しかない! って思ってー」

    「……照さん、この前大星さんが抜け出そうとして叱られてる隙に抜けてきたって言ってたけど……」

    穏乃「……白糸台大丈夫なんですかね?」

    「内緒話しないでよー! なんの話ー?」

    穏乃「……あの、大丈夫なんですか? 抜けてきちゃって」

    「亦野先輩に言っといたから大丈夫!」

    穏乃「……亦野さん、心労で倒れるんじゃないですか?」

    「照さんと同じことしてるし……先輩後輩ってやっぱり似るのかな……? というか、何度も同じ手で逃げられる弘世さんもちょっと……」

    「菫先輩、ちょっと足りてないから!」

    「……お前が言うな?」

    穏乃「あはは……」

    587 = 1 :


    「そういえば……渋谷さんとか、なにも言わないの?」

    「たかみー? たかみーはね、『誠子ちゃんがいいって言ったらいいよ』って。 だから亦野先輩に出掛けてくるねって言えば大丈夫だよ!」

    「……丸投げ?」

    穏乃「亦野さん、止めきれないんだろうなぁ……」

    「とにかく大丈夫だから! 遊び行くなら私も一緒に行ってあげる! シズノ、うれしいでしょ?」

    穏乃「え、まあ……はい、そうですね!」

    「んふふ、そうでしょそうでしょ!」

    穏乃「咲に連絡しないと……」

    「咲、電話持ってないよ……まあ、大丈夫だとは思うけど」

    穏乃「和に電話すれば連絡つくかなぁ……?」

    「別に大丈夫でしょ! っていうか置いてかれたら私が暇じゃん!」

    穏乃「えぇー……いや、それはそうなんでしょうけど……」

    「いいから行こうよ! サキだって私と会えたら喜ぶし!」

    穏乃「あ、咲と仲いいんですか?」

    「え? 大将戦で打っただけだけど?」

    穏乃「……どこからその自信が」

    「っていうかさ! 私、団体で少しだけ、ほんとに少しだけだけど! サキにやられたの超悔しいんだよね! 負けてないけど! 個人戦で勝つけど! 百回倒すけど!」

    穏乃「は、はぁ……?」

    「とりあえず試合前に宣戦布告しなきゃだから! 百回倒すって!」

    穏乃「えーと……」

    「……咲、意外と人見知りしないし、知らない仲でもないんだから平気だと思……とりあえず行ってみたら?」

    穏乃「……そうですね! 灼さんは……」

    「んー……約束の時間までもう少しあるから」

    穏乃「そうですか! すみません、それじゃあ鍵とかお願いします!」

    「ん、いってら……」

    穏乃「いってきます!」

    「ばいばい!」

    588 = 1 :


    「ねーねー」

    穏乃「なんですか?」

    「サキとどこ行くの? 雀荘? そうしよっか! さっそくリベンジ……」

    穏乃「個人戦選手同士で対局したらダメですよ!」

    「? 別に打ってもバレなきゃいいじゃん」

    穏乃「……いやいや、そういう問題じゃないですから」

    「なんでー? 打ーちーたーいー! サキを倒して私の勝ちって言わないと気がすまないんだけど!」

    どうしてこう……個人戦の参加選手って好戦的なのかなぁ? そりゃあ私だって打ちたい気持ちは全然わかるけど……

    気が合いそうだし、大会終わったら荒川さんたちでも紹介してあげようか……たぶんかわいがってもらえるだろうし

    あ、もこと合わないかな? いや、なんだかんだで一回打てば大丈夫かなー

    「じゃあさ、今日はなにすんの?」

    穏乃「ああ、咲に本を選んでもらうんですよ。 たまには読書もいいかなーって」

    「えー? 私、本とか嫌いなんだけど! テルーがいっつも読んでるの見せてもらったけど意味わかんなかったし!」

    穏乃「そういえば、宮永さんは難しそうな本持ってましたね」

    「こーしょーなぶんがく? とか、そういうの向いてないんだよね!」

    穏乃「まあ、私もあんまり難しいのは……あとは、そのうち山に遊びに行こうって話してるんでその準備というか、道具の下見ですかねー」

    「えっ! 遊びに行くの!? 私聞いてないんだけど!」

    穏乃「えっ……いや、それは……すみません?」

    「そういうのは誘ってよね! 私も遊び行きたいし! っていうか山? 楽しいの?」

    穏乃「楽しいですよ! 山、最高ですよ!」

    「そーいう所はあまり行かないんだけどさ、この前亦野先輩の渓流釣り? たかみーと一緒についてったけどけっこう楽しかったよ!」

    穏乃「へぇ……亦野さん、卓外でも釣りされるんですね」

    「あのね、魚! 超おいしかった! 釣った魚持って帰って食べたんだけどね、もう、ほんっとすごかった!」

    穏乃「自分たちで釣った魚だと余計にですよねー」

    「また食べたいなぁ……」

    ……あれ? 外で遊んだ話じゃなくっておいしいお魚食べた話になってる?

    589 = 1 :


    「最初はね、釣り堀に連れてってもらったの! いきなりちゃんとしたの連れてって飽きられても困るからーって」

    穏乃「ああ……」

    たしかに、大星さんを山とか川とか海とかに連れてって飽きられたら大変だろうな……その、騒がしいし

    「餌にさ、イクラとか使ってんの! 超勿体ないよね! まあなんかうじゃうじゃしてる虫触るのも嫌なんだけどさー」

    穏乃「苦手な人だとそうですよね……私はけっこう虫とか平気なんですけど」

    「そうなの? 変なの……あ、でもねでもね! そこのお魚もおいしかった! 亦野先輩がぽいぽいって釣り上げたのをね、たかみーと一緒にいっぱい食べたんだよ!」

    穏乃「亦野さん、釣り上手なんですね」

    「うん! すごいの! 魔法みたいに魚がかかってさー……もう、麻雀より上手なんじゃないかってくらい!」

    穏乃「……へ、へぇ……」

    ……コメントしづらいんだけど

    普通だったらすごい釣りが上手って話になるんだけど……大星さんが言うと、なんか……バカにしてるんじゃないかって気も……いや、別に悪意があるわけじゃないし、亦野さんのことかなり好きっぽいからそんなことはないか

    「ほんと楽しくてさー……あとで3人で遊びに行ったの菫先輩にバレちゃった時はちょっと焦ったね! しばらく拗ねちゃってめんどくさいのなんのって!」

    穏乃「弘世さんが?」

    「そーなの! けっこう根に持つタイプでさー……ことあるごとに『いいんだ、どうせ私なんか遊び行くのにも誘ってもらえないし……』とか言っていじけてもーたいへん!」

    穏乃「それはまた意外な……あ、宮永さんは? 平気だったんですか?」

    「たかみーがおいしいお茶菓子渡したからなにも言われなかった!」

    穏乃「……それは、納得ですね」

    宮永照さん、会って話してみるとだいぶ印象と違ったもんなあ……インハイ王者、カッコよかったけど!

    590 = 1 :


    「あ、そういえば、サキはどこにいるの? 待ち合わせは?」

    穏乃「ああ、すぐそこなんですけど……清澄の宿まで迎えに行くんです。 咲、ちょっと方向音痴だから」

    「へぇ……私は道に迷ったりしないし、これで1勝ね!」

    穏乃「勝ちにカウントしちゃうんですか」

    「なんであれ勝ちは勝ちだから! 私なんか大会で遠征の時とか遊び行くときは亦野先輩や菫先輩が前もって地図とか作ってくれるから迷わないもん!」

    穏乃「…………」

    いや、それ結局回りの人に手間かけちゃってるし……

    穏乃「……あ、咲」

    「うそっ!? どこどこ? ……いた! おーい!サキー!」

    「……あ、穏乃ちゃ……あれ? 大星さん?」

    「サキ! ちょっと! あんまり調子乗らないでよね!」

    「え? え?」

    「この前! 団体戦ではちょっとだけそっちのがよかったけど! 個人戦は私が勝つから!」

    「う、うん……?」

    「っていうか! 秋も冬も春も! 私が勝つから実質的な勝者は私だから!」

    「え、その……はい……」

    「そんでそんで! 来年も再来年も打って私が勝つから! だから私の方がすごいから!」

    「そうなんだ……?」

    「そーなの! 私の実力は高校100年生級だから! すごいでしょ!」

    「す、すごいです」

    「でしょー!」

    「……し、穏乃ちゃん……?」

    穏乃「……お、おはよう咲! いい天気だね!」

    「……うん、風が気持ちいいね」

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    「なに天気の話しとかしてんの? お年寄りじゃないんだからさー」

    「う、うん……ごめんね……?」

    あ、咲すごい困ってる……視線で助けを求めてきてるのがよくわかる……んだけど、正直勢いに乗った大星さんって止めようが無いというか……

    穏乃「いやあ……咲、ごめんね?」

    「いや、別に全然いいんだけど……その、ねえ?」

    「? どうしたの? シズノなんかしたの?」

    穏乃「なんかしたというか……」

    「あ、本当に大丈夫だから! ちょっとびっくりしただけだから!」

    「サキを驚かそうと思って! サプライズ登場的な?」

    穏乃「いや、偶然……」

    「あ、サキ! 麻雀しよ! 麻雀! 個人戦の前哨戦ね!」

    「え、個人戦の選手の対局は禁止されて……」

    「バレないバレない! 大丈夫だよ! みんなやってるって!」

    「え……そうだったの?」

    穏乃「そんなわけないよ! ダメですって大星さん!」

    「シズノは堅物だなぁ……菫先輩みたい」

    穏乃「いやいや! みんな言いますよ! 罰則規定とかちゃんと見てませんけどバレたらたぶん出場停止処分とか受けちゃいますよ!? 」

    「むー……それはちょっと嫌だなぁ」

    穏乃「ちょっとって……それに、学校のみなさんにも迷惑が……」

    「あー……とりあえず、予定の買い物に」

    「あ、本とか見に行くんでしょ? テルーもよく読んでるけどやっぱり姉妹って似るんだねー」

    「え……あぁ、うん……」

    ……今、少し喧嘩しちゃってるって聞いてるけど、大星さんそこまで知らないのかな?

    咲も困ってるみたいだし、助けないと!

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    穏乃「あ、あの! 大星さんちょっと……!」

    「っていうかさ、姉妹なのになんで会いに来たりしないの?」

    「そ、それは……いろいろあって……」

    穏乃「大星さん!」

    「なに? シズノだってさ、会って話したら良いと思わない? 会わない方が不自然じゃない?」

    穏乃「う……んと、まぁ……そう言われると……」

    そうなんだけど、そういうことではなくて……

    「だよねー! サキも今度遊びに来なよ! お客さんでも来ないと遊べないし!」

    「あ……うん、じゃあ……インハイが、終わったら……」

    「えー? いいじゃん個人戦前でも! 練習休みにしてもらうからさ! テルーもきっと喜ぶよ!」

    「…………そうかな」

    「そうだよ! あ、そしたら私と妹勝負ね!」

    「い、妹勝負?」

    「私、虎姫では愛され妹キャラとしてかわいがられてるから! みんな私のこと大好きだし!」

    「そ、そうなんだ……」

    「とーぜんじゃん! 私ってかわいい上に麻雀も強いし!」

    穏乃「自分で言っちゃいますか……」

    「事実だからね!」

    なんか、もう……亦野さんや弘世さんの苦労がちょっとわかった

    咲も微妙な表情してるし……

    うーん……この前チャンピオンと会ったことは言わない方がいいかな? 灼さんはここら辺どうしてるんだろう……

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    とりあえず、このままだとずっと大星さんのペースに圧倒されたままだ

    移動してみればなにか別の話をするきっかけも掴めるかもしれないし……

    穏乃「ねぇ、そろそろお買い物行こっ? 私、憧にもバカだと思われてるっぽいしちゃんと本も読めるとこ見せて見返さないとっ!」

    「あ……うん、そうだね。 こっちの書店は大きいし、きっといい本見つかるよ」

    「……なるほど」

    穏乃「え?」

    「私も! 私もなんか読む!」

    穏乃「どうしたんですか? あまり、乗り気じゃなかったと思ったんですけど……」

    「私も菫先輩とかになんかバカだと思われてるみたいでさー」

    「…………」

    穏乃「…………」

    ……突っ込み待ちかな?

    「だから、難しい本読んで知的なところを見せつける! なんかオススメない?」

    「え、えーと……どういうのが好きなの?」

    「本読まないからわかんない!」

    「えっ……と、それじゃあ読みやすそうなのをいくつか……」

    「いや、難しいのがいい! 菫先輩でも読めないようなやつ!」

    「えぇ……? そんなの買って読めるの?」

    「わかんないけど! 簡単なの読んでたらまたバカにされそうだし!」

    穏乃「中身わかんないのに読んでも意味がないんじゃ……?」

    594 = 1 :


    「……そういえば、ここから近い書店ってどこだっけ? この前京ちゃんに連れてってもらったんだけど……ここら辺じゃなかったかなぁ……」

    穏乃「え? 私わかんないよ? 咲がこの前買いに行ったって聞いてたから……咲、方向音痴だったね……」

    「あはは……ごめんね」

    「んーとね……たぶんあっち! この前テルーの買い物についてったから、間違いないはず!」

    穏乃「本当てすか?」

    「任せて! 東京なんて庭みたいなものだから!」

    「ありがとう大星さん……助かったよ」

    「ふふん、今回も私の勝ちだね!」

    「今回も? 勝ち?」

    穏乃「……あまり、気にしなくていいんじゃないかな? ほら、龍門渕さんみたいなものだから……」

    「ああ……なんでも勝負なんだね」

    「ふふーん♪ 勝った勝った~♪」

    「……なんか、ここまで勝ち誇られるとちょっと悔しい気も……」

    穏乃「うん、それはわかるかな……なんであれ負けると悔しいし!」

    「さあ、私についてきて! チーム淡ちゃん行くよー!」

    「おー!」

    穏乃「おー!」

    ……なんか、気づいたらまた大星さんが仕切ってるなぁ……まあいっか。 楽しそうだし

    595 = 1 :


    ――――――

    穏乃「…………」

    「…………」

    「…………」

    「……ちょっと、お腹減ってきたね」

    穏乃「……そうだね」

    「……うん」

    「…………ここ、どこ?」

    「…………えーと」

    穏乃「……迷っちゃいましたね」

    「迷ってないし! ちょっと遠回りしてるだけだし!」

    「……けっこう歩いた気がするけど」

    「いやー楽しい時間はあっという間っていうし? たまには町中歩くのもいいね! うん!」

    穏乃「別に怒ってませんし、強がらなくても……」

    「そんなんじゃないもん! この淡ちゃんが迷子になるはずないし! 高校100年生だよ?」

    「……それは、若干信頼度が下がるというか」

    「え? なんで?」

    「だって……ねぇ?」

    穏乃「ちょ、咲……私に振らないでよ」

    「むー……とりあえず、こっち!」

    「大丈夫なの?」

    「私の勘がこっちだって言ってるから!」

    穏乃「ここまで勘に任せてきたんだからその方がヤバいんじゃ……」

    「大丈夫! まかして!」

    「なんでこの流れで自信満々なの……?」

    「高校100年生だから!」

    「……そっかー」

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    大星さんが人混みをかき分けて勢いよく駆け出す……って、見失ったら合流できないんじゃ……


    「ふぎゃ!」


    穏乃「ふぎゃ?」

    「え? どうしたの?」

    「いったぁ……ちょっと! 前見て歩いてよ!」

    ダヴァン「……あなたが後ろからぶつかって来たんでスガ」

    ネリー「言いがかりだよ! 訴訟して慰謝料ふんだくるよ!」

    穏乃「あ、メグさん! ネリーさん!」

    ダヴァン「シズノ! こんにチハ! ……おや、清澄の方の宮永さんに……こっちのはよく見たら白糸台の大星さんでスネ」

    「あ、はじめまして……じゃないですけど、宮永咲です」

    ネリー「どうも! うーん……選手間トラブルってなったらサトハに迷惑かかっちゃうかな? 訴訟はやめとこっか」

    「外国人? ってことは臨海の……えっと、でかいのとちっさいのじゃん! こんなとこでなにやってんの?」

    ダヴァン「ラーメン食べてまシタ。 メグと呼んでくれるとうれしいデス、大星サン」

    ネリー「メグは奢ってくれるから好きだよ! っていうか対局した相手の名前ぐらい覚えなよ!」

    「私、自分より弱いやつの名前は覚えないからさー」

    ネリー「……メグ、こいつやっちゃっていいかな?」

    ダヴァン「ハハハ、ジョークですよジョーク……ネ?」

    「へ? なにが?」

    ダヴァン「アー……ネリー、ここは大人になってくだサイ。 問題起こして国に返されたりしたら最悪デス」

    「ごめんね、ネリーちゃん……大星さん悪気はなくって……」

    ネリー「悪気ないとか性質悪いよ! ちょっと1回勝ったぐらいで調子乗って……!」

    「ごめんね? インハイって1回勝負だから!」

    ネリー「……ムカつく! コイツなんなの!? っていうかアンタ、ネリーもだけど……サキに負けてるでしょ!」

    「……個人戦で勝つから! 実質私の勝ちだから!」

    ネリー「1回勝負じゃなかったの? ネリー日本語勉強したから知ってるよ! 負け犬の遠吠えってやつだね!」

    「……むきーっ! なんなのコイツ! ちょームカつくんだけど!」

    「大星さん落ち着いて……ほら、犬ってかわいいですし……」

    穏乃「……すみませんメグさん、連れがご迷惑を……」

    ダヴァン「イエ、こちらこそどうもすみまセン……」

    597 = 1 :


    「こうなったら麻雀で勝負だ! どっちが上かはっきりさせてやるんだから!」

    ネリー「む……言っとくけど、大会の時と違って最初から全力全開で行くからね! ネリー負けないよ! 団体戦のリベンジするよ! シズノとサキも入ってね!」

    穏乃「ネリーさん、個人戦の選手は大会規定で対局できないから……」

    ネリー「ネリーは留学生だから個人戦出れないよ? 稼ぎ場所少なくて残念だよ……」

    「あ、その……私と大星さんが引っ掛かっちゃうので……」

    ネリー「あ、そっか……じゃあメグ入ってよ! それで四人ね!」

    「私は構わないけど? 二人同時にトバしてやるから!」

    ダヴァン「フム……大変魅力的な案デス。 大星さんと決闘もしてみたいのでスガ……」

    「デュエル? ゆーぎおー?」

    ダヴァン「大星さんなら満足させてくれそうでスネ……ではなクテ、サトハに呼び出されているのデス。 すぐに戻らないとシメられてしまいマス」

    ネリー「そうだったの? ネリーも帰った方がいい?」

    ダヴァン「イエ、大丈夫でスヨ。 せっかくですから遊んで来てくだサイ。 たまには休息も必要デス」

    ネリー「ん、ありがとメグ! それじゃあシズノとサキと遊んでくるよ!」

    ダヴァン「エエ、それでは失礼しマス……シズノ、またラーメン食べに行きまショウ」

    穏乃「はい、メグさん!」

    「よろしくね、ネリーちゃん」

    ネリー「よろしくね! 負けたのは最悪だったけど、大将戦楽しかったよ!」

    「ちょっと! なんでこの淡ちゃんを無視してるわけ!?」

    ネリー「ふん、身の程知らずがよく言うよ……」

    「……は? マジであんま調子乗らないでよね……またボロボロにしてやるんだから!」

    ネリー「……いいよ、遊んであげる! ボコボコにされても泣かないでよ?」

    598 = 1 :


    穏乃「……一触即発だぁ」

    「え、なんかそのわりに穏乃ちゃん落ち着いてるね?」

    穏乃「大星さんといると毎回こんな感じな気がして……」

    鶴田さんの時とかもっと殺伐としてたしなあ……

    「……お姉ちゃん、大変なんだろうなぁ」

    穏乃「…………そうだね」

    チャンピオンはかわいがるだけかわいがって、お世話の方は亦野さんに丸投げされているらしいことは言わない方がいいかな……

    「ほら、シズノ! サキ! 雀荘行くよ!」

    穏乃「あ、はい……じゃなくって! いや、行きませんよ?」

    「えっ? なんで?」

    穏乃「だから! 咲と大星さん同卓できないじゃないですか! っていうか買い物行く途中ですし!」

    ネリー「……もしかして忙しかった? ごめんね?」

    「大丈夫だよ。 とりあえず本屋さんに行くんだけど……一緒に行く?」

    ネリー「せっかくだしついていこうかな! ネリーお金ないからなにも買わないけど!」

    「けっ! 貧乏留学生……」

    ネリー「ネリーは日本にお金稼ぎに来てるからね。 無駄遣いはできないよ」

    「…………大変なの?」

    ネリー「……まあ、それなりにね」

    599 = 1 :


    「……なんか、ごめんね」

    穏乃「!?」

    「!?」

    ネリー「……いいよ? 別に……事情なんて人それぞれだし……特に、うちはみんないろいろあるからね」



    穏乃「……大星さんが謝ったよ、咲!」

    「私も驚いたよ……あれ? 穏乃ちゃんうれしそうだね?」

    穏乃「なんか……大星さんがさっき言ってたけどさ」

    「うん」

    穏乃「こう……手のかかる妹が、成長したところを目の当たりにした気分かな」

    「はぁ……なるほど」

    こう、桜子たち子ども麻雀クラブのメンバーは付き合いも長いし、やっぱり妹みたいなものだからいろいろあって……綾ちゃんやよし子の卒業式とか泣けたし、もう中学生かーって感慨深かったし……

    「……でも、同い年だよ?」

    穏乃「でも……なんか、そういうのあるじゃん?」

    「んー……わからなくもない、かなぁ」

    穏乃「まあ、咲はもともと妹だし、かわいがられる側だからね……灼さんとか、咲のことすごいかわいいみたいだし」

    「灼ちゃんが? ……なんか、恥ずかしいなあ……でも、穏乃ちゃんだってどっちかと言うとかわいがられる側じゃないの? 憧ちゃんとか、玄さんとか……」

    穏乃「ん? ……言われてみるとそうかも……でも、私意外と地元の子どもたちのお姉ちゃんしてたし! けっこうそういうところもあるんだよ?」

    「ああ……穏乃ちゃんけっこうしっかりしてるよね。 納得かも」

    穏乃「……えへへ、そうかな?」

    600 = 1 :


    ネリー「シズノは挨拶もハキハキとして元気もよくっていい、ってサトハも褒めてたよ?」

    穏乃「わぁ、ほんとですか? うれしいなぁ」

    辻垣内さん、礼儀とかすごいしっかりしてる人だし……そういう人に認められるとやっぱりうれしいよね

    「あ、亦野先輩もね! シズノのこと褒めてたよ! お前と違ってしっかりしてるなって言ってた!」

    「……あの、大星さんそれは……」

    「ん? なに?」

    ネリー「……むしろアワイがしっかりしてないって言われてるよ?」

    「そうなの?」

    穏乃「……そういう一面もある、かな?」

    「……たぶん気のせいだよ! 私がしっかりしてるのに、それ以上のシズノを褒めたんだよ!」

    穏乃「……なるほど?」

    ネリー「……なんだっけ、えーと……おめでたいやつ?」

    「え、えーと……まあ、そういう言葉もあるよね」

    「めでたいめでたい! よかったねシズノ! 高校100年生の私よりしっかりしてるとか超すごいじゃん!」

    穏乃「うーん……そんなに褒められると照れるんだけど……」

    ネリー「……ネリーはアワイの方が心配だよ」

    「え? なんで? 私よりネリーの方が大変じゃん」

    ネリー「……まぁね。 個人戦も出れないから秋の選抜大会とかで頑張るしかないかなー」


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