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元スレモバP「新しくアイドルプロダクションを作った」
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生存報告。
もう少し時間をください。更新できなくて申し訳ないです。
もう少し時間をください。更新できなくて申し訳ないです。
>>301
どんだけ時間かかっても待つから気にしなさんな
どんだけ時間かかっても待つから気にしなさんな
>>320催促するのはエレガントじゃないぜ
★
千秋が事務所に所属して二カ月ほどが経った。
その間に、千秋とは色々な所に出かけた。
向かう場所は、遊園地だったり、カラオケだったり、ゲームセンターだったり、お洒落なカフェだったり。
勿論、仕事も習い事も学校もあるわけだから、自由な時間なんて本当に限られている。
それでも、少ない自由を彼女は喜び、楽しんだ。
喜ぶ千秋の姿が嬉しくて、俺もよく彼女の我が侭に付き合った。
千秋はかなり多忙な生活を送っているが、大学の成績は落ちず、ダンスや歌唱力を着実に伸ばし、淡々と習い事をこなしている。
送られてくるファンレターの数や、売上だって増えている。
なんて優秀なのだろうか。
大勢の観客に見守られる舞台の上で、物怖じせずに堂々と、煌びやかに歌って踊っては満面の笑みを浮かべ、大衆歓声を一身に受ける彼女の姿は脳裏に焼き付いて離れない。
千秋と過ごす日々はとても充実していた。
本当に、この仕事を選んでよかったと思う。
「プロデューサー。私の水着、どうかしら?」
砂浜で黒いビキニを惜しげもなく晒す千秋。辺りに人は少なく、撮影のためのスタッフしかいない。
これから撮影の仕事だが、初めての海ということで少し浮かれているようだった。
「ねぇ、プロデューサー。聞いているのかしら?」
「似合ってるよ。とっても綺麗だと思う」
「ふふ。褒めてもらえて嬉しいわ。プロデューサー」
長い黒髪を弄りながら、可愛らしく彼女は微笑んだ。
「ほら、撮影始まるみたいだ。がんばれ」
「えぇ、任せて。ちゃんと見守っていてね……プロデューサー」
はにかみながら仕事場へ駆けていく千秋を、手を小さく振りながら見送った。
その後、順調に進んでいく撮影を見守っている中、不意に携帯がなった。
智絵里からのメールだった。
今現在、智絵里は違う地方にある事務所へと一時的に移籍している。
会うには少し遠い上、今や大人気アイドルである智絵里は多忙で、この二ヶ月間一度も会えていない。
そのことに寂しさを感じるが、智絵里が察してくれたのかマメにメールを送ってきてくれている。
ただ、今日送られてきたメールの内容は少しだけ嬉しいものだった。
『もうすぐ、そっちの事務所に戻れます! またPさんと一緒にお仕事したいです』
今や智絵里には新しいプロデューサーがついているだろうから、残念ながら一緒に仕事はちょっと難しいだろうけど、智絵里と話せる機会が増えるのは、素直に嬉しかった。
少し、問題もあるが――
智絵里の担当を外されたことを伝えたとき、智絵里が大泣きしながら離れたくないとしがみついてきたことを思い出す。
挙句の果てに一時的移籍の話も入ったものだから、更に泣き出して宥めるのがとても大変だった。
幸いなことに、移籍期間が短く、そのことを伝えて何とかなだめる事が出来たが、普段大人しい智絵里があそこまで頑なに離れたくないと泣き喚いて駄々をこねるとは誰もが想像できないだろうし、とても驚いた。
それなりの信頼関係を築けていたということなのだろうか……少し違う気もするが。
あれから二カ月と半月ほどが経った。流石にもうあんなことは起きないだろう。
『久々に智絵理と会えるのが楽しみだよ。
ただ、一緒に仕事をするのは難しいかな』
絵文字の一つもない質素な文章を返す。
返信はすぐに帰ってきた。
『社長がたまにならいいって言ってました。だから、お願いします』
大手プロダクションだと言うのに存外適当だ。
『分かった。また一緒に仕事がんばろうな』
>>328
酉でググれば出てくるぞ
酉でググれば出てくるぞ
脳裏に浮かぶ、智絵里の仕事風景。
何事にも一生懸命で、いつも精一杯頑張っていて、常に努力を惜しまない彼女の姿。
幼くて、可愛らしい、どこか放っておけないような雰囲気の少女。
テレビに映る智絵里は、堂々としていて、最初の頃とは比べものにならないぐらい成長している。
今は千秋で手一杯だが、余裕ができたら、きっと、また、智絵里と一緒に仕事がしたいな。
「携帯を見つめながらにやにやしているの、気持ち悪いわよ」
いつの間に戻ってきていた千秋の言葉に、はっと我に返る。
「あぁ、呆けていた……すまん。撮影は終わったのか?」
「まったく、スケジュールを覚えていないのかしら? 今は休憩よ」
確かにそうだった。智絵里のことでいつの間にか頭が一杯になっていたようだ。反省しなければ。
「ねぇ、プロデューサー。仕事が終わったら、近くの有名なスイーツ店で甘いものを食べたいのだけれど」
「分かった。いいよ」
こんな風に、千秋は少しずつ自分のしたいことを伝えられるようになっていた。
今まで抑制されていた分、少々我が侭になりがちな所もある。だが、それでも俺は彼女の変化を喜ぶ。
時々かかってくる仕事の電話に対応しながら、俺は千秋の撮影を見守っていた。
そうしている内に、時間はあっという間に過ぎる。
撮影が終わったらしく、水着に厚手の白いパーカーを羽織った千秋がこちらへと近づいて来た。
「それじゃ、行きましょう」
一通りスタッフや監督に挨拶をして回った後、俺と千秋は現場を後にした。
車を運転して十分、千秋のナビゲートの元、店に辿り着く。
「ここのケーキね、とっても美味しいって評判なの」
千秋に案内されて着いたスイーツ店は、明らかに男性客が一人で来れそうにないような雰囲気だったが、千秋がいるので何とか耐えられるだろう。
本来なら男と二人でこういう店に来ること自体好ましくないが、一応千秋は変装しているし、まだそこまで知名度も高くはないから恐らくは大丈夫だと信じたい。
こういう油断が悲劇を生まないことを祈るばかりだ。
「ふふっ。私はこれとこれにするわ。プロ……Pさんはどれにする?」
メニューを見ても口の中が甘ったるくなりそうなものばかり。
無難に、比較的大人しめのパフェを頼んだ。
オーダーした品は案外早く来た。
見るからに甘そうなパフェを少しずつ口に運ぶ。
ふと、視線を千秋に移すと、ケーキをおいしそうに咀嚼しているところだった。
彼女の、綻んだ笑みでお腹一杯だ。
もう幾度となく思ったことだが、やっぱり、彼女は美しくて、可愛い。
会話を挟みながら、少しずつスイーツを片づけていく。千秋は終始楽しそうにしていた。
そして俺が頼んだパフェは甘ったるすぎて吐きそうだった。
店を出て、車に乗り込もうとしたその時、凄い勢いで駐車場へと入ってきた車があった。
車はあまり詳しくないが、見るからに高価そうだ。一体どうしたというのだろうか。
車から降り立ったのは高そうなスーツに身を包んだ若い男だった。端正な顔立ちに、凛々しい瞳で、明らかに優秀そうなオーラが漂っている。
彼は、こちらに視線を送っていた。正確には、千秋を見ていた。
「――千秋さん!」
「っ! あなたは……」
驚いた表情をする千秋。どうやら知り合いらしい。
男と千秋は一言二言会話を交わすものの、その後は会話が続かず、暫くの間、彼女達の間には沈黙が広がった。
何やらお互い、気まずそうだった。俺は席を外すべく車に乗り込む。ただ、二人の会話は聞こえてしまった。
「千秋さん……やはり、僕ではダメですか?」
男が意を決したように口を開き、沈黙破る。
「ごめんなさい……何度も申し上げたように……私は……」
辛そうに、彼女は顔を俯かせた。
「あっ、えーとっ……困らせるつもりはなかったんです。こちらこそ、ごめんなさい」
あたふたと、暗い表情をする千秋を見て焦る男。
「本当に、申し訳ありません」
千秋は、深々と頭を下げた。
それを見て、男は困ったように頭を書いた。
「本当……諦めが悪くて、申し訳ない。まぁ、気が向いたらいつでも連絡ください」
照れ笑いのようなものを浮かべて、男は去っていく。
その間も、千秋は頭を下げていた。
「もう、行ったぞ」
「そう……」
車の中で、彼女は彼について話してくれた。
本来なら結婚するはずだった男であり、自分の自由の効かない境遇を理解してくれるただ一人の人だったことを、彼女は話した。
「そうか……」
「本当に裏表のない、良い人よ。あの汚い世界でどうやったらずっとそんな性格でいられるのかってくらい」
確かに、いい人そうだった。勿論、猫かぶりかもしれないし、絶対に良い人だとは言い切れないが、それでも俺は彼が良い人であるように感じる。
「千秋の望まないことだし、外野の勝手な想像で悪いんだけどさ――」
彼を見て思った。
「――彼はきっと、千秋を幸せにしたと思うぞ」
――俺がそう言った時の、千秋の筆舌し難い暗い表情はきっと忘れることが出来ない。
数日中に投稿します(大嘘)
反省しています。ごめんなさい。
更新遅いですがエタることはありませんので、そこだけは安心してください。
反省しています。ごめんなさい。
更新遅いですがエタることはありませんので、そこだけは安心してください。
乙
アイドルが病むのは大歓迎だけど、
作者が病まないよう気を付けてな~
アイドルが病むのは大歓迎だけど、
作者が病まないよう気を付けてな~
★
「――彼は、きっと千秋を幸せにしたと思うぞ」
プロデューサーにそう言われた瞬間、胸の内がぞわりと震えた。
どうして? 私が他の人と一緒になってもいいの? ……そんなことを思った。
だけど、思い出す。私はプロデューサーにとって、ただのアイドルでしかないことを。
プロデューサーにとって私は、他の男と添い遂げても何も思われない程度の女……担当アイドルでしかない。
そこまで考えて、胸を抉られるような痛みに襲われる。本当の痛みではないし、顔にも出さないけれど、確かに胸が……心が痛んだ。
最近、よく、心が痛くなる。
プロデューサーが女の人……アイドルや、事務員や、スタッフなんかと話しているのを見ていると、胸が痛む。
胸がきゅーって痛んで、ぞわりと寒気のようなもの感じて、気付けばプロデューサーの手を取って強引に話を切り上げさせる。
そのことをちょっと怒られたりもしたけど、あのままでいられるよりはずっと……ずっとマシだった。
自覚はしている。
これはきっと、恋なのだろう。
四六時中、プロデューサーのことを想っていて、ずっとプロデューサーを独り占めしたいと思っているのだから。
プロデューサーが笑いかけてくれるのが、好きだった。プロデューサーの笑顔を見ると、温かい気持ちになれる。
プロデューサーに応援されると、いつだって張り切って仕事が出来る。
箱入りだった私に、少しずつ世界を教えてくれるプロデューサー。
プロデューサーとのお出かけが楽しくて、嬉しくて、いつも楽しみにしていた。
他愛のない会話ですら楽しくて、私はいつも笑みを零す。
プロデューサーと一緒に出掛けたいから仕事を頑張って早く終わらせる。
プロデューサーと一緒にいたいから、環境を出来る限り変化させないように、学業も習い事も頑張る。
プロデューサーに褒めてもらいたいから、喜んでもらいたいから、笑顔が見たいから、私を見てもらいたいから、お仕事を頑張る。
プロデューサーに触れたいから、積極的に手を取る。
プロデューサーとたくさんお話しがしたいからいつも積極的に話しかける。
プロデューサーと一緒にいたいから、出来る限りオフの日でも会いに行く。
プロデューサーとデートがしたいから、時間ができたらプロデューサーを誘って色々な所に出かける。
プロデューサーが好きだから、プロデューサーが他の女の人と話すのが嫌で、無理矢理割り込んで、話を終わらせる。
プロデューサーが好きだから、プロデューサーが居眠りしている時にずっと寝顔を眺めて、挙句の果てにキスをしようとしてしまう。
プロデューサーが好きだから、いつだってプロデューサーを見てしまう。
プロデューサーが好きだから、プロデューサーにはもっと私を見て欲しい。
プロデューサーが好きだから、プロデューサーも私のことを好きになって欲しい。
プロデューサーが好きだから、私はアイドルをやっている……?
プロデューサーが好きだから。
…………?
私は、いつからこんなにプロデューサーのことを想うようになったのだろう。
自分の意志で動けるようになって、友達も出来て、目標も出来た。
プロデューサーと一緒に仕事した時間だって長くない。まだ、三か月程度だ。
なのに、私の隣にプロデューサーがいるのは当たり前だと感じるようになっていて、プロデューサーがいない時があると違和感を感じて、落ち着かなくなってしまう。
プロデューサーが仕事で出かけると、プロデューサーが告げた、帰ってくる時間までずっと時計と睨めっこ。
家に帰ると途端に寂しくなって、プロデューサーにメールを送ったり、電話をする。
友達と出かける時もあるけれど、プロデューサーのことは頭から離れない。
私はもうダメみたいだ。
いつか、プロデューサーが私を好きになって、私を愛してくれるところを想像したり、プロデューサーとの結婚生活を思い描いたり……妄想ばかりするようになってしまった。
まだ、プロデューサーがどんな人なのか、全て把握していないというのに、想いは止められない。
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