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元スレモバP「新しくアイドルプロダクションを作った」
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問題なのは、文香がいまだに俺を諦めていないらしく、積極的なアプローチを容赦なくしてくるところである。
「プロデューサー……隣、失礼します……」
俺がソファに座っていると当たり前のように横に座り、体を俺に預けながら黙々と読書を始めたり、不意を突いてキスをしてきたりと、中々に過激である。もちろん千秋が黙っていないが、文香は泥棒猫は黙っていてくださいと一閃し、聞く耳を持たない。
さらに問題なのは、アーニャが文香の真似をし始めるという暴挙に出たところだ。
「プロデューサー……その、疲れたので膝をお借りします」
そう言って俺の返事を聞かずにさも当たり前のように膝に頭を預けるアーニャ。こんなことが毎日のようにある。文香が不意をついてキスをすればアーニャも負けじと頬や首にキスをする。千秋は今にもレイピアを取り出しそうで危ない。
「プロデューサー! 私というものがありながら、これはどういうことかしら?」
「ま、待て……言っても聞かないんだよこの二人!」
「あなた達も、妬ましいからって横取りするような真似はやめて」
「いやです」
「右に同じです」
本を読みながらしれっと答える文香と、無表情できっぱりと告げるアーニャ。本当にもう……なんでこいつらは……。俺もただただ呆れるばかりである。
千秋に嫌な思いをさせたくないから、文香やアーニャを避けた時期もあったが、無駄だった。距離を離そうとすると、なりふり構わず纏わり付いてくるのだ、この二人は。同じ事務所にいる内は諦めざるを得ない。
千秋は毎日のように文香やアーニャ達を怒鳴り、二人は涼しい顔をしてそれを無視する。これが今の日常だった。
おおう、智絵里ぃ・・・
Co内の争いとCoとCuの争いは違う形になりそうなのは判る
Co内の争いとCoとCuの争いは違う形になりそうなのは判る
三人を見ていると、時折智絵里の笑顔が頭に浮かぶ。
智絵里はあの日、意識を失った後、部分的な記憶喪失になった。トップアイドルということもあり、面会はできなかったから本当かどうか確かめようがなかったのだが、智絵里のプロダクションにいる知人の情報によると事実らしかった。
その部分的な記憶喪失というのが、つまり俺のことである。今の智絵里は俺のことを一切覚えておらず、思い出すこともできないらしい。
正直なところ、このまま思い出さないほうが智絵里のためだと思う。
いつまでも俺なんかに囚われずに、幸せな人生を彼女には送って欲しい。
俺はいまだに彼女達に囚われたままだ。
目の前で一人騒ぐ千秋、読書をしている文香、千秋に反抗しているアーニャ、三人を見てそう思った。
情けないことに、俺はそれを見て苦笑いを浮かべることしかできなかった。
ごめん、千秋……。
★
夕暮れの事務所。いつもは人が増えて多少なりとも騒がしい事務所だが、今は静かだ。ちょうど皆で払っているらしい。
コーヒーを淹れ、椅子で寛いでいると、玄関の扉をノックする音が静かな事務所内に響き渡った。
事務所の人間ならノックせずに開けるだろうから……来客か。
椅子にかけていた上着を手に取り、着る。数秒かけて身だしなみを整えた後、来客に応じようと事務所の扉を開く。
来客の姿を確認して、俺は思った。
多分、死ぬまで彼女達から逃れられることはできないんだろうなと。
\(^o^)/オワッタ
最後のエンディングも近日中に投下します
前に分岐って言いましたが、よくよく考えると分岐じゃなくて平行世界みたいなものでしたごめんなさい
最後のエンディングも近日中に投下します
前に分岐って言いましたが、よくよく考えると分岐じゃなくて平行世界みたいなものでしたごめんなさい
勝利はしてないけど、平和なルートだし…(最後の来客から目を逸らしながら)
せめてっ、せめて最後だけは…みんな幸せになってくれ、たのむー
>>603から
「今度こそ……ずっと私を見守って……Pさん……」
ぼやける視界を何とか定めながら、いつの間にか目の前に立っていた智絵里へと視線を移す。
彼女は身を屈めて目線の高さを同じにしたかと思うと、どこからともなく取り出した四葉のクローバーを口に含み、その状態で顔を近づけてきた。
抵抗することも叶わず、智絵里のキスを受け入れてしまう。智絵里は舌で、唾液に包まれた四葉のクローバーを俺の口内へと押し込んだ。
ぼんやりとした頭と気怠い体のせいでもはや何もすることができずに、智絵里が送り込んだ四葉のクローバーを体内に収めてしまう。
「……ち……えり……」
意識を失う直前、アーニャの姿が浮かんだ。こんなところで、倒れるわけにはいかない。
ガクガクと震える両腕に力を込め、力が抜けそうになる体を必死に支える。目の前にいる智絵里の両腕を掴みながら、立ち上がる。
「P……さん……?」
「俺は、智絵里の想いには答えられない……悪いけど、諦めてくれ……」
「………」
智絵里は驚愕しながら、動かない。
「それじゃ……智絵里……また今度、ゆっくり話そう……」
壁に手を付きながら、ゆっくりと玄関へ向かう。意識が朦朧としていて、気を抜いたら一瞬で倒れてしまいそうだった。
「……待って……Pさん……私を……見捨て、ないで……」
俺がようやく玄関に着いたところで、慌てて追いかけてきた智絵里は、今にも泣きそうだった。
「見捨てないし、約束通りずっと見守っている……だから、がんばれ……智絵里」
倒れこむようにして扉を開ける。外は薄暗く、今も雨は降っていた。
「いかないで……Pさん……」
「さようなら、智絵里」
扉が閉まるその瞬間、智絵里の頬を涙が伝っているのが見えた。
ごめん、智絵里……。
★
時間が経つと徐々に意識は回復し、体中を襲っていた脱力感もなくなっていった。
事務所に戻ると、ソファにアーニャが座っていた。
「プロデューサー、おかえりなさい」
「ただいま」
できる限り、いつも通りに返す。アーニャはまだ年頃の少女だ。ここで下手に避けたりして傷つけると仕事にも響く。
椅子に座り、パソコンを開いて事務処理を始める。アーニャの仕事の量の割に、やらなければいけない事務仕事は少なかった。
「プロデューサー……少し、話がしたいです」
気がつけば、すぐ横にアーニャがいた。今の彼女は感情の機微に乏しく、今どんなことを思っていて、何を伝えたいのかが読めない。
「いいよ」
椅子を少し回し、アーニャに視線を移す。
告白の返事の催促だろうか、それとも普通に仕事の相談だろうか。
「…………」
「…………?」
アーニャは十数秒の間、黙ったままだったが、少しすると口を開いた。
「……私はずっと、一人ぼっちでした……幼い頃から、今まで……ずっと」
「…………」
俺はそれに対してどんな発言をすればいいのだろう。何も言葉が見つからない。
「パパとママは生まれてまもない頃に亡くなり、その後は親戚にお世話になって生きてきました」
アーニャは俯き、辛そうに表情を歪める。
「友人はいます……ですが、どこか距離がありました……原因は分かっています……この容姿と、雰囲気が日本人とは違うからだと思います」
確かに、アーニャはどこか近寄りがたいような雰囲気を持っている、俺はあんまり気にしたことはないが。容姿も日本人とは違うけど、とても綺麗だと思う。青い瞳とか銀色の髪とか。
まぁ……身長も高いし、容姿端麗ということもあって、学校では浮いてしまうかもしれない。
「私はいつしか、笑顔を浮かべることができなくなりました…………一人ぼっちの学校と、一人ぼっちの家を行き来するだけの毎日……私の生活は、それだけで、笑うところが何もなかったのがいけなかったのかもしれません」
――でも、そんな私を救ってくれた人がいました。
「アイドルになって、少しだけでも何かが変わるなら……そう思って、私はプロデューサーについていきました」
アーニャが椅子に座る俺に手を回し、抱き寄せた。
「プロデューサーは、私を変えてくれた……笑うこともできました……一人ぼっちじゃなくなりました……」
抱きしめる手に力が篭る。
「でも、同時にプロデューサーのことが好きになりました……ずっと事務所で、二人きりでいたい……触れたい……愛されたい……そう思うようになりました……でも、我慢しました……プロデューサーを困らせたくなかったから……」
「……アーニャの気持ちは分かった……今はその気持ちに応えることはできないけど、すごく嬉しいよ」
「プロデューサー……」
アーニャは顔を伏せた。俺は彼女の頭を撫でながら、諭すように告げる。
「アーニャがいつか引退して、まだ俺のことを好きでいてくれたら、その時はアーニャの想いに応える……これじゃ、ダメか?」
「!! ……ダメじゃないです、プロデューサー……とっても、嬉しいです」
アーニャは本当に嬉しそうな表情していた。こんなにも可愛いのに、どうしてずっと一人ぼっちだったのだろう。
「ありがとう……プロデューサー」
しばらく俺に抱きついていたアーニャは、仕事があることを思い出したらしく、仕事に行ってきますと言って、自分の荷物を持って事務所を出て行った。
俺にはアーニャがいる。いつまでも、他のことばかりに頭を悩ませている時間はない。
早く全てを終わらせよう、断ち切れば、いずれ彼女達は諦める。文香に関しては辛いところもあるが、そこは賭けだ。
★
俺はその日の夜、千秋に電話をした。
『プロデューサーの方から電話してくるなんて珍しいわね、どうしたの?』
「千秋、もう電話をするのも、会うのもやめよう」
『……どうして? どうしてそんなこと言うの? プロデューサー』
「千秋には悪いと思っている、でもいつまでもこんな関係を続けるのがいいことだとは思っていない。だから――」
――さよならだ、千秋。
必死に呼び止める声を無視して、通話を切った。その後も、絶え間なく着信が来る。
もしかしたら傷つけたかもしれないが、俺は知らない。なんと罵られようと、今後一切彼女に関わらない。
後は、文香か。千秋からの着信を切りつつ、俺は文香にメールを送った。
『もう関わるのはやめよう。さようなら、文香』
一方的な内容だと自分でも思う。だけど、これでいい。これぐらいしないと、きっと聞かないだろうから。
メールアドレスを変えて、携帯を放り投げる。携帯はずっと小さく点滅していた。
これでいい。多少なりとも彼女達は傷ついたかもしれないが、このまま関係を続けてもいずれもっと傷つくだけだ。無責任だとは思うが、ここで終わらせて正解だ。
俺にはアーニャがいる。それ以外に、いつまでも囚われている場合じゃない。
★
自己完結していたが、すんなりとうまく行くとは思っていない。
数日後、案の定、アーニャの楽屋には文香が踏み込んできていた。
「……プロデューサー……どういうこと、ですか……?」
「俺は言ったぞ。もう関わらないと……無責任で、全てを投げ出しているだけなのは自覚しているが、俺はもう過去に振り回されるのはやめた」
ちらりと、後ろにいるアーニャに視線を送る。
新しく作ったアイドルプロダクションと、新しい担当アイドルと共に、前に進む。二人で、トップを目指す。
俺がやるべきことはそれだけだ。
「脅迫の件を……覚えていないんですか?」
珍しく文香は焦っているようだった。感情がこんなにも表情に出ている文香はあんまり見たことがない。
「千秋には悪いと思っている。身体の傷に関しては謝っても謝りきれない……文香の行動次第では多大な迷惑をかけることになるだろう…………だけど、俺は関わらない」
できれば、愛想を尽かして欲しい。そうすれば、全員が不幸にならなくて済む。
「……そんな……どうして、ですか……プロデューサー……!」
縋るように、俺に向かって伸ばされた文香の手。それを遮ったのはアーニャだった。
アーニャは俺の手を取ったかと思うと、顔を寄せ、触れるだけのキスをした。避ける間もなく、反応もできず、呆気に取られてしまう。
「プロデューサーは私のもです。あなたには渡しません。鷺沢文香」
「…………嫌」
文香は瞳を潤ませ、大粒の涙を零す。彼女が涙を零す姿はとても美しかった。
文香は逃げるように立ち去り、アーニャは小さく笑みを浮かべた。
「……まったく、いきなりあんなことするなよ……びっくりした」
「ごめんなさい、プロデューサー」
でも、これできっと文香も諦めてくれるだろう。写真がどうなるかは分からないが、もしも最悪の事態に陥ったら、その時は覚悟を決める。
まだ少し気がかりがあるものの、これでようやく全てが終わったのかもしれない。
疲れた……。
「そろそろ時間です……行ってきますね、プロデューサー。私のこと、見ていてください」
アーニャが舞台へと出る。観客席からは歓声の嵐が発生した。
「がんばれ、アーニャ」
曲が流れ始めると徐々に会場は静まり返り、アーニャは前を見据えて歌を歌い始める。
人形のように完璧な容姿をした、白銀の娘アナスタシア。
この子なら、きっとすぐにトップアイドルになれるだろう。
雪を連想させるような青と白の衣装に身を包み、透き通るような透明感のある綺麗な歌声を皆に届ける。
とても可憐で、儚くて、美しかった。
☆
遠い夜空に浮かぶ星達のように、いつかその輝きを失うまで、歩き続けよう。
いつか光を失い、堕ちる私を受け止めれくれる人は、すぐそこにいる。
だから、惜しみなく、その人のために輝こう。
私が消える、その日まで――
★
あれから一年後、アーニャが突如として行方不明となる。すぐに警察に連絡したが、手がかりがまったく無く、まさに神隠しのようだった。
アーニャがいなくなって三日後、アーニャの携帯から連絡が来た。
電話から聞こえてくる声はアーニャのものではなく違う人間の、忘れもしない、文香の声だった。
とある場所に来るように言われ、時間を指定される。誰かにこのことを言ったらアーニャがどうなるか分からないと、文香は言った。
俺は言いつけを守り、誰にも言わず、一目散に指定された場所へと向かう。指定された場所は、人気のない山奥だった。通路が途中で微妙に途切れていたりするような、そんな山だ。
暫くの間、そこで待った。俺が着いてから数分後、指定された時間を少し遅れて車の音が聞こえた。
一台の自動車がこの山奥に来ていた。車の中からは千秋と智絵里が降りてくる。アーニャの姿は見当たらない。
二人も見た目は変わらない。ただ、どこか雰囲気が重く、それでいて異質だった。この二人は危険だと、本能が告げている。
文香だけでなく、この二人も関わっているとは、一体どういうことなのだろう。
「頼むから……アーニャを返してくれ」
「……考えておくわ」
ここまでしておいて、すんなり返してくれるわけはなかった。
千秋が黒くて質量のある物体をこちらへと投げて寄越す。誰がどう見てもスタンガンだった。ずっしりとしていて少し重いそれを拾い上げる。
「それを自分に使って、プロデューサー……抵抗したら、あの女の命はないわ」
「……痛いかもしれませんが……我慢してくださいね……Pさん」
智絵里はふんわりとしたワンピースに身を包んでおり、腕は晒されている。手首には切り傷が多く、喉にも引っかき傷のようなものが多数見えた。
「智絵里……お前……」
「プロデューサー、早くして……」
智絵里の傷の理由を訪ねようとするも、千秋に急かされてしまう。
俺が二人の言うことを聞かないと、アーニャが殺される。冗談を言っているようには見えないし、悪質な冗談を言う必要もない。
「…………くそっ」
スタンガンの電源を入れ、自らの腕に押し当てた。強い電流が全身に走り、体が動かなくなる。
意識を失うまでは至らなかったものの、激痛と痺れが強く、もはや自分の意志では体は動かない。
そんな俺を二人は抱えて引き摺り、車の後部座席へと入れた。両手を後ろに組まされてから手錠を嵌められ、寝かせられる。
数十分後、体の自由は取り戻したが、いつの間にか両足にも錠をつけられており、もはや逃げることはままならない状況へと陥っていた。
千秋の運転でたどり着いた場所は、大きな豪邸だった。高い木々に隠されるように、山奥にそれはあった。
俺はそこへ連れて行かれ、大きな玄関を通される。
智絵里も千秋も、何も喋らない。ただ黙って、俺をどこかへと連れて行く。
連れて行かれた広い部屋には足首を鎖で繋がれたアーニャと、近くで静かに読書をしている文香がいた。
「プロデューサー……!」
「アーニャ!」
鎖を引きずって鳴らしながら抱きついてくるアーニャを受け止める。特に目立つような外傷はないが、大丈夫だろうか。
「……お久しぶりです……プロデューサーさん……」
文香が本を閉じてこちらへと視線を向けた。
「どういうことか、説明してくれるんだよな?」
怒気を含ませた声で、三人に問う。三人は武装していないが、両手両足を塞がれた状態ではとてもじゃないが反抗できない。
「……Pさんを……皆で協力して皆のものにしようってことになったんです」
「私も、それに賛成したの」
「……右に同じです」
「智絵里達が何を言っているのか、俺には全然理解できない!」
これは、本当に智絵里達なのか? 目の前の少女達が、俺のよく知る智絵里達かどうか分からなくなっていた。非現実的で、意味が分からない。
「どうしても、プロデューサーが欲しかったの……捨てられても、諦められなかった……」
「これは犯罪なんだぞ? 警察だって動いている。自覚はあるのか?!」
「……犯罪を犯してでも、Pさんが欲しかったんです……おかしいですか?」
「おかしいよ! おかしいに決まってるだろ!」
俺がいくら怒鳴ろうとも、千秋と智絵里は要領を得ないと言った感じで首を傾げている。
本当に、どうしてしまったんだ……。あまりにも異様な三人を見て、俺は言葉を失った。
「……だから、プロデューサーさん……ここで五人、静かに暮らしましょう?」
「ふざけるなっ!!」
未だに脳の理解が追いついていない。文香が何を言っているのかが分からなかった。
「Pさん……ずっと一緒ですよ……えへへ……夢みたい……」
智絵里は笑った。それはよく知っている、昔から何ら変わらない普通の笑顔。なのに、何かがおかしかった。その違和感には気づけない。
「プロデューサー……ずっと一緒よ……もう、離さないから……」
千秋は腕を組みながら、そんなことを言った。あんなに理知的な女性だった千秋はどこへ行ってしまったのか。
「……プロデューサーさん……もう、諦めてください……」
青みがかった瞳が、いつの間にか目の前にあった。文香の青い瞳はどこか暗く、まるで深海のような瞳だった。
「どうして……!」
喉まででかかった言葉が、出ない。もはや何を言っても無駄な気がしてならなかったからだ。
「プロデューサー……」
アーニャは震えながら、泣いていた。
――俺は、選択を誤ったのか……。
もっと、しっかりと向き合って、解決するべきだった。
後悔しても、遅い。
もう、取り返しがつかなそうだ…………。
その日から、アーニャと俺を含めた五人の歪んだ生活が始まった。
智絵里や千秋、文香は今でも仕事をしているようだった。三人全員が仕事に行くことはあまりないが、毎日一人か二人は仕事に行っている。
当たり前のように、俺とアーニャの外出は認められなかった。
俺もアーニャ同様軽い拘束をされ、二人で身を寄せ合って数日を過ごした。
「プロデューサー。どうして、私達を拒絶するのかしら」
「……うるさい。もう放っておけ」
困ったような表情の千秋に、素っ気なく返す。
「……プロデューサーさん……どうして逃げるんですか?」
「…………放っておけって言っただろ! もう俺達に近づかないでくれ!」
立ち上がって睨みつけ、近づいてこようとする二人を牽制する。
数日間、俺はずっと近づく智絵里達を拒否していた。どうしても三人が受け入れられないからだ。
しばらくすると皆身を引いてくれるのだが、今日は違った。
文香がおもむろに、白い粉を取り出しこちらへと投げたのだ。
「……寿命が縮むのであまり使いたくないのですが……それ以上、私達を拒絶するなら……使います」
「なんだ……これ……」
薬……? これを使った所でどうなる?
「それは麻薬よ」
「麻薬?!」
なんでそんなものを持っている……。
まさか、千秋達は、麻薬を使っておかしくなったのか?
「勘違いされるのも嫌だから断っておくけれど、私達は誰一人使っていないわよ……使うのは、プロデューサー……」
「誰が使うか!」
「……私達が無理にでも入れるんですよ? ……プロデューサーさんの意志は関係ありません」
文香は真顔で、そう告げた。あまりにも鬼畜で無慈悲すぎるその言葉に、思わず耳を疑う。
「……冗談、だよな?」
麻薬を俺に使うなんて、そんなこと……そんなことが……あり得るわけ、ない。
「冗談を言っているように見えるのかしら?」
「……これ以上……反抗するのなら……使います」
――依存性が高いので、すぐに私達を受け入れたくなりますよ?
目の前の少女達は、いつからこんな風になってしまったのだろう。
涙が頬を伝うのを感じたが、拭う気も起きなかった。その内、千秋が舌で涙を舐め取った。
結局、その時から俺は抵抗するのをやめた。
★
「プロデューサー、好き……大好き……」
千秋は座り込む俺を抱きしめながら、何度もキスをしたり、首を甘噛みしたりと、好き勝手にやっていた。
背後では文香が壁を背に本を読み、智絵里は今は仕事でいない。
アーニャは俺の左腕を抱きしめ、特に何も言わずにじっとしていた。最近はアーニャも色々としてくるようになった。拘束されているだけで、千秋や智絵里達と同じ扱いだということを理解したからだ。
文香も、智絵里も、アーニャも、千秋も、それぞれが毎日のように俺に愛情を求めてくる。俺は無心で、それに応えるだけの毎日だった。
償いでもある。皆を変えてしまったのは紛れもなく俺だから。
――俺は選択を誤った。
ごめんな、皆……。
完結しました。
読んでくださった方、レスしてくださった方、ありがとうございました。
また見かけたら、よろしくお願いします
読んでくださった方、レスしてくださった方、ありがとうございました。
また見かけたら、よろしくお願いします
マジでお疲れ様、面白かったよ
ここまでぐっちゃぐちゃなネタを完結させれるのは尊敬できる
次回作を期待していいんですよね?
ここまでぐっちゃぐちゃなネタを完結させれるのは尊敬できる
次回作を期待していいんですよね?
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