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元スレモバP「新しくアイドルプロダクションを作った」
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タオルで拭いても乾くわけでもなく、立ったまま智絵里が戻ってくるのを待った。
数分後、智絵里が二人分のコーヒーを持って戻ってくる。
「智絵里もコーヒー飲めるようになったんだな」
「砂糖が入っていないと全然飲めませんけどね」
そう言って小さく笑みを零す。昔となんら変わらない可愛らしくて慎ましい微笑みだった。
昔はよく智絵里にコーヒーを淹れて貰ったっけな。懐かしい。
過去を思い出しながら俺はコーヒーに口を付けた。インスタントにしては結構美味しいコーヒーだった。それに、体も温まる。
コーヒーを飲み干してから数分、智絵里は何故か俯いたまま黙りこくっていた。
「智絵里、どうかしたのか?」
「……Pさんは、嘘つき……です」
そう聞くと、唐突に彼女は口を開いた。その声は小さく、感情の籠っていない無機質なものだった。
「私を、ずっと見守ってくれるって……そう言ってくれたのに……」
「……智絵里」
顔を上げた智絵里は暗く冷たい笑みを顔に貼り付け、嗤った。
その表情に恐怖を感じた俺は、思わず後退った。
不意に強い眠気に襲われる。明らかに異常だ。もしかしなくてもコーヒーに何か仕組まれていたのだろうか。
床に手を付き、倒れそうになるのを必死に堪える。
「今度こそ……ずっと私を見守って……Pさん……」
ぼやける視界を何とか定めながら、いつの間にか目の前に立っていた智絵里へと視線を移す。
彼女は身を屈めて目線の高さを同じにしたかと思うと、どこからともなく取り出した四葉のクローバーを口に含み、その状態で顔を近づけてきた。
抵抗することも叶わず、智絵里のキスを受け入れてしまう。智絵里は舌で、唾液に包まれた四葉のクローバーを俺の口内へと押し込んだ。
ぼんやりとした頭と気怠い体のせいでもはや何もすることができずに、智絵里が送り込んだ四葉のクローバーを体内に収めてしまう。
「……ち……えり……」
意識を失う直前、幸せそうな、優しい笑顔を浮かべている智絵里が見えた。
もはや眠気に抵抗する力もない。
俺の意識はそこで途絶えてしまう。
短くて申し訳ありませんが更新終わりです
ここからエンディング分岐です(多分)
ここからエンディング分岐です(多分)
全分岐を見たい反面、全部見るとショックで自分の頭割りたくなる衝動に駆られそうで怖い・・・
ちろひ?それは、パーツをばらして集めたら、だな・・・おや?こんな時間に誰か・・・
ちろひ?それは、パーツをばらして集めたら、だな・・・おや?こんな時間に誰か・・・
>>610
サッー!!
サッー!!
なんでホモが沸いてるんですかね…
もう待ちきれないよ!早く続きを見せてくれ!
もう待ちきれないよ!早く続きを見せてくれ!
前作も通して読み倒してきた
こっちは2週目だよ
前作読みつつ続きまってる
こっちは2週目だよ
前作読みつつ続きまってる
期末試験→勉強がんばらなきゃ→期末終了→ガンダム→SSを忘れる→SSを思い出す
SS完結させなきゃ(使命感)
SS完結させなきゃ(使命感)
★
気が付けば布団に寝かせられていた。すぐに上体を起こして辺りを見渡す。
テレビ、本棚、机、ソファと、色々目につくが、明らかに違和感があった。窓の外に広がる光景を見て、違和感の正体に気づく。
窓の外には森が広がっていたからだ。どう考えても眠らされる前にいた智絵里のマンションではない。
布団から起き上がり部屋内を探索しようとした時、足首に違和感を感じた。
足首には冷たい金属の輪が嵌められており、そこから鎖が壁にまで伸びている。鎖は壁から生えているわけではなく、壁の向こうへと続いているようだった。壁の向こうに重しがあるのか、一定以上の距離を歩こうとすると鎖が伸びきってしまい、それ以上進めなくなる。
金属の輪はぴったりと足首についている上に中々に頑丈で壊れそうにない。鎖も同じだ。
どうやら監禁されたらしい。実行したのは恐らく智絵里だろう。どうやってここまで連れてきたのかは分からないが。
部屋には扉が二つあった。一つはトイレだった。
鎖の長さには余裕があり、用を足すことは普通にできる。もう一つの扉には鍵がかかっており、外に出る事は叶わなかった。
鎖は長く、部屋の中は自由に動くことができる。窓には鉄格子が付いており、万が一を想定しているようだった。
本棚にあるたくさんの本の中から二冊ほど適当に手に取り、時間を潰す。
これからどうなるのだろう。智絵里は俺を解放してくれるだろうか。そもそも、なぜこんなことに。
金属の輪は硬く、外れそうにない。多分ないと信じたいが、智絵里が来なかったら俺はここで衰弱して死ぬだろう。
焦りを胸の奥にしまい、俺は本を読むことに集中した。だが、それも長くは続かない。こんな状況なのだから、当たり前と言えば当たり前だが。
用意されていた布団の上に寝転がり、瞳を閉じる。白い天井を見つめながら、今までのことを振り返った。
まったく可笑しい話だ。学生時代に女性から好意を寄せられるようなことなんてなかったというのに。皆は俺なんかのどこに惹かれたのだろうか。
もっと、相応しい人間がいるだろうに。
扉の開く音が小さく部屋に響き渡った。視線を素早くそちらへと向ける。
見た目はいつも通りの智絵里が部屋へと入ってきた。
「おはようございます……Pさん」
昔となんら変わりない可愛らしい笑顔を浮かべながら、智絵里はいつも通りの様子で挨拶をした。
俺はすぐさま智絵里に詰め寄った。
「智絵里、これはどういうことだ? 犯罪だぞ、分かっているのか? 智絵里」
繋がれた鎖を手に持ち、智絵里に向かって突き出しながら声をきつくして問う。強い口調に怯えるかと思ったが、智絵里はただ微笑むだけだった。
「ふふふ……Pさんをずっと繋ぎ止めたくて……ずっと……考えていたんです」
――考えた結果、こうなっちゃいました……えへへ。
悪びれる様子もなく、彼女は小さく笑った。
「智絵里!!」
そんな様子の智絵里を見て頭に血が上り、彼女の両肩を強く掴む。鏡を見なくても俺が憤怒の表情を浮かべているのは分かる。なのに、智絵里は顔を赤らめるだけで、怖がったり悲鳴を上げたりするようなことはなかった。
「Pさんを困らせるようなこと……したくなかった、です……あの人のように……Pさんを困らせたくはありませんでした……」
「智絵里、いい加減に――」
「だから……痛くして……ください……」
唐突に告げられた言葉の意味が理解できず、毒気を抜かれる。
「何を言っている」
「……Pさんを困らせた罰として、いっぱい痛くしてください……アイドルを続けられなくなるぐらい……ぐちゃぐちゃにしても、いいです……」
いつの間にか、思わず後退ってしまいそうになるぐらいの異様な空気が、智絵里の周囲を漂っていた。
いつの間にか頬には智絵里の冷たい手が添えられ、彼女の顔が視界いっぱいに広がる。目と目が逢い、視線が至近距離で絡み合う。
唇に当たる柔らかい感触は、間違いなく智絵里のものだろう。
「困らせて……ごめんなさい……」
顔を離しながら申し訳なさそうに、智絵里はそう言った。儚い笑みを浮かべながら。
「そう思うなら、解放してくれ」
「それはだめ……です」
「智絵里の気持ちは分かった……だけど、こんな事で幸せになれると思うか? このままだと、近い内に警察沙汰になる。智絵里が捕まってしまったら、そこでもう幸せは終わるぞ」
「Pさんが私から離れていくことが一番不幸なことなんです!」
初めて聞いた、智絵里の大きくて、悲痛な叫び声。思わず狼狽える。
「どうして……どうして離れて行こうとするんですか? ずっと、見守ってくれるって……約束したのに……」
「……智絵里」
「もう離さないって、決めたんです……こうしないと、Pさんはどこかへ行ってしまうから……」
智絵里はそう言って、俺の背中へと手を回す。
「絶対に……離しません」
告げる声は冷たくて、愛おしそうで、楽しそうだった。
――そして、終わりの見えない監禁生活が始まる。
☆
監禁されて二ヶ月ほどが経った。暫くの間はずっと諦めずに説得を続けてきたが、この三週間ほどでそれも無駄だということが分かった。
既に反抗の意志は消え失せ、今では智絵里にされるがままだ。
「智絵里……喉が渇いた。水をくれ」
俺の左腕を両腕で抱きしめながら、肩に頭を預けてじっとしている智絵里に水を持ってくるように頼む。
水も食料も全て智絵里を通さないと得ることができない。仕事に行くときだけは料理を作り置きし、水も置いてくれるが。
「分かりました……ではPさん、口を開けてください……」
智絵里がおもむろに立ち上がったかと思うと、ポケットに入っているケースからナイフを取り出した。
また、これか。
止める暇もなく、智絵里は自身の腕にナイフで傷をつける。あっという間に血が溢れだし、次々と零れ落ちた。
「たくさん飲んでくださいね……」
「…………分かった」
智絵里がこちらへと腕を近づけた。もはや抵抗する気も起きない。傷口に口をつけ、溢れ出る血液を舌で舐めとり、啜る。口内一杯にツンとした鉄錆の匂いが広がった。
最初の方こそ驚き、止めるよう言い聞かせたが、結果として無駄だった。
俺が血を飲まなければ智絵里はいつまでたっても止血せず、挙句の果てに水をくれない。
「えへへ……おいしい、ですか?」
「おいしいよ……おいしいから……早く止血してくれ」
智絵里も馬鹿ではないから、毎日こんなことをしているわけではない。一週間に一回と言ったところだろうか。
傷は案外深くないようだが、多量の血が出るため、内心気が気でない。それに、消毒していると彼女は言っているが、それでも何かよくない病気になる可能性はあるだろう。何とかやめさせられないものか。
智絵里も智絵里でどうして何の躊躇いもなく自傷できるのだろう。想う気持ちはこんなにも人を歪ませるものなのか。
「Pさん……これ見てください」
智絵里が唐突に二つの通帳をこちらへと差し出した。二つの通帳に記されている金額の合計は、いくらアイドルとはいえ未成年の少女には手に余るほどの大金だった。
「もうちょっとだけ稼いだら、引退して……Pさんだけのアイドルになりますね……なんて……えへへ」
俺の膝の上に智絵里が乗っかり、甘えるように胸板に頬を擦りつける。上目遣いでこちらを見上げた。昔と変わらない可愛い顔立ちだ。本当に、見た目は何も変わっていない。
「だから、Pさんも……今度こそ、私だけのプロデューサーになってくださいね!」
くすくすと、智絵里は楽しそうに笑みを零す。
「…………」
アーニャはどうしているだろうか。多分怒っているだろうな。いきなり何もかも投げ出していなくなってるのだから。きっとアーニャにも迷惑をかけているだろう。
千秋と文香は大丈夫だろうか。自惚れが過ぎるが、少し不安だ。
全てに向き合おうと思っていた矢先に、これは……苦しいな。あの時、逃げずに向き合えばよかった。そうすれば、智絵里もここまで壊れるようなことはなかったはずだ。
後悔しても後の祭り。状況は既に手遅れだ。
智絵里はいつ正気に戻るのだろうか。所詮は行き過ぎただけの恋だ。ふとしたきっかけで解放されるかもしれない。
それとも、ずっとこのままだろうか。
「あ……忘れてた……今日は、結婚指輪持って来たんです」
そう言って、智絵里はポケットから小さな袋を取り出した。袋を逆さまにし、彼女の掌に零れたそれは、二つの指輪。緑色の宝石が四葉のクローバーを模したように並んでいる、綺麗な指輪だった。
それはおもちゃなどではなく、明らかに本物の指輪だ。あれだけの大金を所有していたのだ。高価な指輪の二つぐらい簡単に手に入れられるのだろう。
智絵里は僅かに大きい方の指輪を手に取り、俺の左手の薬指にそれを嵌めた。
にこにこ笑いながら、智絵里は残った方の指輪をこちらに差し出した。
「……指輪……つけてくれませんか……?」
ほんの少しだけ視線を逸らしながら、照れたように智絵里はそう言った。
指輪を受け取りながら黙って頷き、智絵里の薬指に指輪を嵌める。
「嬉しい……です」
感極まったように智絵里は涙を零した。指輪を用意したのも嵌めるように言ったのも智絵里だと言うのに。
「えへへ……いきなり泣いて、ごめんなさい……でも、これで、ずっと一緒です……」
「そうだな……」
智絵里は愛おしそうに、俺を抱きしめる。智絵里の身体は柔らかいが、思わず心配してしまうぐらい軽く、華奢だ。
「Pさん……大好き、です……」
「…………」
智絵里の温かい涙が、首筋に触れた。
ふと、頬に手をやると、いつの間にか涙が伝っていた。何で俺まで泣いているのだろうか。疑問に思う前に体が震え、涙が次々と溢れだした。
悲しみをこらえるように智絵里の体を力いっぱい抱きしめるが、嗚咽は堪えきれずに漏れてしまう。
――こんなはずじゃ、なかった。
四葉のクローバーを模した指輪を外す機会が一生与えられないことを、この時の俺は知らない。
死体となり、肉体が朽ちても、しっかりと嵌めているのだ。彼女と共に、この指輪を。
プロット変更前→三人が最初から同じ事務所に所属している
プロット変更後→三人と順番に出会う
これのせいで過去の話が異常に長くなり、アーニャが空気になると言う事態になったので、次SSを書くときに気を付けます
プロット変更後→三人と順番に出会う
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