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元スレモバP「新しくアイドルプロダクションを作った」

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スレッド評価: スレッド評価について
みんなの評価 : ★★★
タグ : - アイドルマスター + - モバマス + - ヤンデレ + - 修羅場 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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1 :


 前の仕事をやめる時に貰った退職金と、今までの貯蓄で、何とか新しいアイドルプロダクションを作る事ができた。

 購入した事務所は比較的新しく、古い物件ではないがやや小さい。一般的な収入で一個人が建てるならこの程度が限界か。いや、俺が貧乏なだけかもしれない。

 とりあえず正式に設立を終えた。だが、残念な事にアイドルが一人もいない。

 最初はアイドルのスカウトから始めないといけない。

 だけど俺は男だ。いきなり近寄ってきた男にアイドルにならないかと誘われたら、よほど危機感のない女性では無い限り、俺を怪しむだろう。

 女性の従業員がいてくれれば、男の俺よりも幾ばくか容易にスカウトできるだろうが、アイドルが一人もいない今、給料なんか出せない状態だ。

 やはり、どんなに成功確率が低くても自ら足を運び、声をかけていく必要がある。

 ……それなりに困難だ。
 

SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1368631358

2 = 1 :


 世の中そう甘くない。自分の手でここまで来れたけど、こんなんでこれから上手くやっていけるだろうか……

 ――って、自分で起業するぐらい、俺はこの仕事が大好きじゃないか。今から弱気でどうする。ここまで来たら絶対アイドルになってくれる人を見つけてみせる。

 俺は腹を決め、アイドルになれそうな人をスカウトするべく、事務所を出て、人の多い駅前辺りに向った。

 下手したら通報されかねないが、アイドルに向いてそうな女性へと片っ端から声をかける。

 逃げられたり、無視されたり、悩まれたけど断られたり、何故か雑談になったり、色々な反応を貰ったが、俺は挫けない。
 

3 :

今回も期待

4 = 1 :


「見つからないなぁ……」

 いつの間にか夜になっていた。気がつかないうちに相当な時間歩き回っていたらしい。だが、未だに一人もアイドルになってくれる人が見つかっていない。なってくれそうな人はそれなりにいたが、流石に所属アイドルが一名もいないのは問題のようだ。当たり前だが。

 スカウトではなく、オーディションでもいいのだが、作ってすぐの事務所に果たして人が来るだろうか。案外来るかも知れないが、その子達がアイドルに向いているかどうかは未知数だ。やはり自分の足で探す方がいい。

 駅前の大きな広場にあるベンチに腰掛け、ぼんやりと人混みを見渡す。駅は相変わらず人が多い。

 一日中歩き回って疲れた俺は、ベンチで思う存分体を休めた。くつろぎながら、何となく、空を見上げた。

 星が綺麗だった。大都市だと明るくて見づらいものだが、それにも関わらず、たくさんの星が夜空で瞬いていた。
 
  

5 = 1 :


 星の観察に飽きて、そろそろ事務所に戻ろうかと視線を戻した時、視界に映る一人の少女に、思わず目が留まった。その少女は、夜空を見上げて佇んでいた。

 女性にしては身長がやや高く、少し華奢だが体つきはとてもいい。不健康に思えるほど白い肌に、整った顔立ち、透き通るような青い瞳、そして、道行く人々の興味を惹く、肩まで伸びる銀髪。
 真っ白なジャケットと黒いTシャツに、濃い青のジーンズを着こなしている。少女は日本人の顔立ちではなく、ロシア人やアメリカ人のような……分からないが、とにかく、西洋系の顔立ちだった。

 とても、綺麗な少女だった。端麗な容姿に加え、知的で理性的な雰囲気、冷たい眼差し、感情の読めない無表情も合わさって、かなり独特のオーラを放っていた。

 精巧に作られた等身大の人形が立っているのではないかと思わず錯覚してしまうほど、少女は美しかった。

   

6 = 1 :


 気がつけば、少女の近くまで歩み寄っていた。本当に、傍から見たら変質者である。

「なぁ、君――」

 空を見上げていた青い瞳が、ゆっくりと俺に向けられた。お互いの視線がしっかりと合わさり、何故か緊張が体を走る。
 彼女の瞳から目が離せない……いつの間にか彼女が持つ、深く澄んでいる、宝石のような青い瞳に見蕩れていた。

「アイドル、やらないか?」

 気がつけば、震える手で名詞を差し出していた。

 動悸が激しい……俺はかつて無い輝きを持つ少女を前に興奮していた。

 目の前の少女をプロデュースしたいと、心の底から思った。
  

7 = 1 :


「ヤー……私に何か、ご用ですか?」

 差し出した名刺には目も暮れず、その青い瞳は俺の目を捉えて離さない。

「アイドルやってみないか? 君なら絶対に、トップアイドルを目指せると思う……」

「アイ、ドル?」

 失礼を承知で、名詞を少女の目の前に突き出す。とにかく、受け取って欲しかった。
 少女は胸元に突き出された名詞に目を落とした後、受け取ってくれた。

「アイドル……ですか?」

 少女が、名詞と俺を交互に見ながら戸惑ったように言う。今まで無表情だった彼女の表情が変わった事に、何故だか小さな喜びを感じた。
  

8 :

総選挙二位のあーにゃん!

9 = 1 :


「……そう、アイドルだ。君なら、どんなアイドルよりも輝けるって思ってる」

 何を言ってるんだ俺は……ナンパじゃないんだぞ。一人焦るものの、彼女は無表情のまま特に反応は示さなかった。目を見開いたまま微動だにしてない。

 少女はそうしたまま数秒間固まっていたが、おもむろに口を開いた。

「流石に、今すぐには決められません……ごめんなさい」

 少女は申し訳なさそうな声色そう言った。あまり表情に変化が無いけれど。

 ただ単に断るためにそう言ったのかも知れないが、それも仕方ない。年頃の女性から見ると俺は大分怪しいだろうし、警戒もするだろう。

 あまり感情を表に出さない少女からは、何も読み取れない。果たして、アイドルをやってくれるかどうかは分からないが……とにかく、名詞を渡せただけ良しとしよう。

「それじゃ、俺はこれで……いきなり申し訳なかった」

「いえ、大丈夫です。お話、ありがとうございました」
   

10 = 1 :


 俺は、後ろ髪を引かれる思いでその場を立ち去った。

 少し離れた所で、未練がましく一度だけ振り返る。

 ――少女は、俺の名詞を握り締めながら、また夜空を見上げていた。その深い青の瞳には、きっとたくさんの星々が映っているのだろう。

 あの子をトップアイドルへと導きたい。あの子と一緒に、トップを目指したい。

 初対面で、自分でも気持ち悪いと思うが、純粋にそう思った。
 

11 = 1 :

寝ます。
のんびり書いていくので更新遅いかもしれません、ごめんなさい。

12 = 3 :

乙です
今回はハッピーエンドだといいな

13 :

この仄暗さ……またお前か。

14 :

アーニャキタ
完結まで頑張って

15 :

おつ、楽しみだわ

16 :



さて今回はどんな女のおぞましい部分が描かれるのか・・・

17 :

乙ですー

閲覧側が前のSSの雰囲気を引き摺って応援するのはやめた方がいいんじゃない
今回は方向性が違うかも知れないし、その場合は書きづらいかも

要らん心配だったらすまない

18 :

今まで書いていたものをよければ教えてください

19 :


 あの少女と出会ってから二日経ったが、未だに連絡は無い。やはり無理だったか。

 本来なら二日間ずっとスカウトに明け暮れている筈だったが、あの少女がずっと頭の中に残っていてスカウトする気が起きなかった。

 昨日も今日も、少女を待ち続けて恐ろしく少ない事務仕事を淡々とこなしていた。

 ……いつまでもこうしてはいられない。

 いくらあの少女に心奪われたとは言え、このまま何もしないでいるとこの事務所は潰れる。

 俺は重い腰を上げ、外出の準備を始めた。また、スカウトしに行く為である。

 ものの数分で準備を終え、扉を開けて外に出る。

 ――事務所の前には、一人の少女が佇んでいた。
 

20 = 1 :


 ほっそりとした、か細くて、雪のように白い足。紺色のショートパンツに、白いTシャツ、薄い生地の青いパーカー。とても綺麗な、痛んだ箇所が見当たらない、肩まで伸びるさらさらの銀髪に、目立つ西洋系の整った顔立ち……目の前に立っているのは、見覚えのある少女……

 ――青い瞳と、目が合った。

「あぁ……えっと……」

 突然の事に目を白黒させてしまう。そんな俺を、彼女は無表情で見つめている。

「アイドルになろうと思ったので、ここに来ました」

「え? あ、そうか……別に、名刺に書いてあった携帯の番号に連絡してくれてもよかったんだぞ?」

 何もわざわざ住所を調べて足を運ぶ必要は無い。
  

21 = 1 :


「アイドルになるのに、書類などは書く必要はないんですか?」

 彼女が上目で問いかけてくる。

「まぁ、必要だけど……アイドルになりたいかどうかを言うのであれば、別に電話でも……」

「そうでしたか、でも、もう来てしまったので」

 もっともだ。

「来てくれてありがとうな、喜んで歓迎するよ。どうぞ、入ってくれ」

「お邪魔します」

 俺に続いて事務所へと入る少女。興味深そうに室内を眺めている。
 

22 = 1 :


「誰もいないんですね」

「あぁ、俺が社長兼プロデューサー兼事務員だ」

 少女がきょとんと首を傾げる。その仕草がとてもあざとくて可愛い。そんな、男を悩殺するような仕草を無意識にやっているのが怖い所だ。

「ヤー……私以外の他のアイドルは今日はいないんですか?」

 随分と痛い所を突く……もしかしたらアイドルになるのを断られてしまうかもしれないが、正直に話そう。

「他のアイドルはいないんだ」

「そうなんですか」

 あまり表情に変化は無く、彼女は興味がなさそうにそう言った。反応が非常に素っ気ない。
  

23 = 1 :


「えーっとな……絶対に警戒させちゃうし、不安にさせてしまうからあまり言いたくないけど……当分の間、二人っきりでいる事がある……」

「ヤー……私は大丈夫です。気にしないでください」

 本当に気にしていないように見えるが、やはり、嫌がってる可能性も十分にある。彼女との距離には気をつけなければ。

「ありがとう……気休めにもならないと思うけど、アイドルに手を出す気とか毛頭ないから、一応安心して欲しい」

 二人っきりだから意識とかはしてしまうかもしれないが、それは仕方ないだろう。彼女は男性の意識を掻っ攫うほどの美貌を持っているのだ。

「それで、どうして話を受ける気になったんだ?」

 何となくそう聞くと、暫しの間、彼女は沈黙した。やがて、口を開く。

「アイドルは、夜空で輝く星のようです。私も、あの星々のように輝きたいと、そう思いました」

 その青い瞳に強い意思を携えて、少女はそう言った。
 
 アイドルになりたい気持ちは強そうだった。もしかしたら、昔から興味はあったのかもしれない。
 

24 = 1 :


「そっか……よし、任せてくれ。アイドルは大変だろうけど、一緒にがんばろうな」

「ダー。アイドル、がんばります」

 ほんの少しだけ、少女は表情を和らげる。

「カーク ヴァス ザヴート?」

 彼女は突然、流暢な外国語で俺へと問いかけてきた。

 戸惑っている俺を見て、少女は小さく微笑んだ。初めて見る彼女の笑顔はとても可愛らしくて、思わずマジマジと見つめてしまう。

「フッ、貴方のお名前は? と聞きました」

 そんな俺の状態を知ってか知らずか、外国語で言った質問を日本語に翻訳して、少女は再度俺に問いかけた。

「……え? あ、えっとな、俺はPって言うんだ、君は?」

 慌てて自分の名前を告げる。正直、彼女の微笑みに衝撃を受けていて若干上の空だった。
  

25 = 1 :


「……P、ね。……ミーニャ ザヴート アーニャ」

「ミーニャ・ザヴート・アーニャって言うの?」

 彼女は静かに首を横に振った。

「ミーニャ ザヴートは、私の名前は――です、という意味で、自分の名前を教える時に使うんですよ。アーニャは、ええと……ニックネームよ。私はアーニャ……正式にはアナスタシアです。よろしく、プロデューサー」

 彼女が屈託のない笑みを浮かべながら、手を差し出した。

「あぁ、よろしく」

 俺も手を伸ばして、彼女の手をとり、握手を交わす。

 アーニャは、さっきまでとは打って変わって随分と表情が豊かになっていた。

 アーニャが浮かべた笑顔は、どんなアイドルにも、彼女が言う夜空の星々にも負けず劣らず輝いているように思う。

 この少女となら、どこまでもいけそうな気がした。 
 

26 = 1 :

寝ます。

29 :

/nox/remoteimages/50/8b/a99288a90eb937d2e4a7859dd455.jpegアナスタシア(15)

31 :

個人経営のプロダクションで事務所購入しちゃうの?
キャッシュフロー悪化するんだから経営感覚なくてイキナリヤバくね
そんなところ勤めたくないわ

32 :

まあ、普通は賃貸だな

33 :

元々が無茶なんだから、SSで突然リアル思考入れても仕方なかろう

34 :


「よし、まずはアイドルの基礎を学びながらモデルのお仕事だな」

「私が、モデルですか?」

「あぁ、女性向けファッション誌のモデルだ。載るのは一ページだけだと思うけど、それでもちゃんとした仕事だ。やってくれるか?」

「ダー。任せてください」

 ファッション業界にもコネクションはある。それを使ってもよかったが、試しに応募したら一発で採用された。

 表情の変化がやや乏しいが、それでも彼女はとても魅力的な容姿をしている。それに、モデル向きの体型だ。

 アーニャにはアイドルになる為に必要なレッスンを受けてもらいながら、当分はこういうモデル系の仕事をやってもらおう。
 

35 = 1 :


 ――数日後、新しいプロダクションでの初めての仕事へと、俺とアーニャは向った。

「初めての仕事は緊張しますね」 

「気軽にやってくれて大丈夫だ。それに、余計不安になったら申し訳ないけど、俺も付き添うから」

「一人よりも、ずっといいです」

 本当に緊張しているのかと疑問を抱くほど、アーニャはいつも通りだ。

 彼女は表情の変化に乏しい。今日もいつも通りのように見えるが、多分、言葉通り緊張はしているのだろう。

 安心させたり、緊張をほぐす事は出来ないかもしれないが、それでも出来る限りの事をしてあげよう。プロデューサーにできる事なんてたかが知れているが。
  

36 = 1 :



 質素で、小さな控え室に通されたアーニャは、相手の会社が指定した服に着替えて、後はずっと椅子に座って呼ばれるのを待っていた。

 着替えたアーニャは、ファッション性の高いカジュアル系の黒いパーカーに、赤いカットソー、青を基調としたチェックのスカートを着用。すらりと伸びる白い足を膝下まで黒いソックスで覆っている。
 アーニャはよくショートパンツを好んで着ているが、スカートも中々に似合う。

 暫くしてスタッフがやって来た。いよいよ撮影が始まるようだ。

「ヤー。がんばります……」

「がんばれ。応援してる」

 いつもよりも少しだけ表情を硬くして、アーニャはカメラの前に向う。

 スタッフと一言二言言葉を交わした後、アーニャがぎこちなく、ポーズを取った。

 カメラのシャッターが切られる。

 十数分後、撮影は終わった。

 アーニャは撮影中は終始無表情だったが、不思議な事に何も言われていない。要求された事を淡々とこなし、撮影は無事終了した。
  

37 = 1 :


 安堵したような表情を浮かべながら、アーニャが戻ってくる。やっぱり、初めての仕事で緊張していたらしい。

「お疲れ様」

「プロデューサー、私、上手くできていたでしょうか?」

「あぁ、とっても上手くできていたと思う。本当に、お疲れ様」

 ポーズを取る時に少しだけぎこちなさはあったけど、この仕事で撮るのはムービーじゃなくて写真だ。何も問題は無い。

 とりあえず、最初はこの現場の空気にがんばって慣れてもらおう。

「拍子抜けかもしれないけど、もう仕事は終わりだ。帰ろう」

「えーっと、この後は確か、ダンスのレッスンですね」

 アーニャにはレッスンを受けさせている。環境が変わってまだ緊張が抜け切っていない時に辛いだろうけど、アイドルになるには必要な事だ。

「レッスンは大変か?」

「ダー。ですが、レッスンは楽しいです。私に才能があるかどうかは分かりません。でも、精一杯がんばります」

 彼女は楽しそうにそう言った。その言葉を聞いて、少しだけ安心する。

 こうして、アーニャの初めての仕事は無事成功に終わった。
 

38 = 1 :


 後日、アーニャがモデルとして掲載されるファッション誌を購入したら、一ページ一杯に大きく載っていた。

 無表情だったけど、アーニャの美しさが存分に伝わってくる写真だった。会社的にはアーニャの着ている服を見てもらいたいのだろうが、多分、大体の人はアーニャに視線が行くのではなかろうか。

 たった一つの雑誌に一ページ分掲載されただけなのに、どこからともなくモデルの仕事がたくさん来た。

 この事を教えると、アーニャも目を丸くしていた。

「ヤー。驚きました……けど、嬉しいです」

 本当に嬉しそうな表情を浮かべるアーニャを見て、俺も思わず頬が緩む。

「まだまだ始まったばかりだ、一緒にがんばっていこうな」

「ダー。今は実力が足りませんけど、いつかは歌ったり、踊ったりもしてみたいです」

「アーニャならきっとできるよ。トップアイドルだって目指せるさ」

 アーニャは、輝いている。その整った容姿も魅力の一つだが、彼女はもっと本質的に、そういう素質があるように思う。

 アーニャは、もっと輝ける。俺はこれからもずっと彼女を支えていきたい。彼女を近くで見ていたい。

「プロデューサー。私、もっとがんばりますね」

 微笑むアーニャ。

 彼女の笑顔だって、もっと見たい。
  

39 = 1 :

寝ます。

>>31
ごめんなさい。そこら辺はよく考えないまま書いてしまっています。
読んで下さっている方には大変申し訳ないのですが、違和感のない形に補完してください。

ついでに名刺を名詞と間違えてしまっているので、そこもお願いします。ごめんなさい。

41 :

あんたか
前二作も凄く好みだったから、今回も期待してるぜ!!

42 :


「プロデューサーはどうして一人で事務所を立ち上げたんですか?」

 アーニャは気になっていた。まだ若いプロデューサーが、何を思って一人でアイドルプロダクションを立ち上げたのか。
 プロデューサーは読んでいた本に四葉のクローバーを押し花にした栞を挟み、こちらに体を向ける。

「昔から、アイドルが好きだった。ただ、アイドルのファンってだけじゃ満足できなくて……もっとアイドルに近い所で応援したくてな」

 少しだけ笑みを滲ませながら、プロデューサーはそう言った。

「ちなみに、アイドルと近い存在になりたいっていうのはやましい意味ではないからな? 身近で、助けになりたい、手伝いたい……みたいな、そんな感じ」
 

43 :


「知ってます。プロデューサーはこの仕事に対してとても真剣で、それに、私の助けになってくれています」

「そういって貰えると嬉しいよ」

 私がそう言うと、照れくさそうにプロデューサーは笑った。
 プロデューサーが栞の挟んだ本をしまい、立ち上がる。

「それじゃ、次の仕事の書類、確認しようか」

「はい」
 

44 = 1 :


 ――アーニャが所属して半年が経った。アーニャは、今ではもうライブが出来るくらいに成長した。

 ダンスなんかは飲み込みがとても早く、驚異的な速度で成長。歌だってとても上手だ。昔は全然行かなかったらしいが、アイドルになってからはカラオケでよく歌の練習している。どうでもいいがよくアーニャに連れ出されて一緒に行く事も多い。

「そういえば、アーニャが載った雑誌を集めてたらとうとう本棚埋まっちゃったよ」

「別に捨てていいですよ?」

「収納する事はあるかもしれないけど、捨てる事はないよ。全部残しておきたいんだ。俺に付いて来てくれた、たった一人のアイドルだからな」

 もう何ヶ月も経つが、事務所は未だに俺とアーニャで二人きりのままだ。最初こそ意識してしまっていたが、今ではもう慣れた。

 アーニャは事務所内ではあまり喋らず雑誌を読んだり、寝転がったりしてくつろいでる。やましい気持ちなど無いが、一応俺も男だし、それを考慮するとアーニャは無防備すぎる。

 男に対して抵抗があまり無いのだろうか? 若干不安だ。
   

45 = 1 :


 普段アーニャとの会話は少なく、事務所は無言の空間に支配される事が多い。だけど、何故かその空気が苦では無い。むしろ心地いいくらいだ。不思議である。

 もっとも、相手がどう思っているかは分からない。少なくとも嫌われてはいない……筈。嫌われてたら男と二人っきりの空間とか御免だろうし。多少の信頼はあるのだろう。


 相変わらずアーニャにはモデルの仕事がたくさん来る。最近は有名な雑誌にも取り上げられるようになって、知名度も高くなってきた。

 アイドルになってそんなに時間は経っていないが、そろそろ本格的なアイドル活動をしてみてもいいだろう。

「それじゃ、営業行ってくる。外出する時は鍵よろしくな」

「ダー。お留守番は任せてください」

 アーニャには申し訳ないが、今の所、俺のプロダクションの知名度はいかんせん低すぎる。アーニャに実力があっても。新人アイドルと無名のプロダクションだ。いい仕事が取れ無い事がある。

 最初の方はコネで何とかしよう。アーニャは何者も寄せ付けない高い実力を持つが、それを世に知らしめるきっかけが必要だ。幸い、芸能関係者との繋がりは結構ある。
 
 俺は携帯を取り出し、芸能界関係の知り合いへと電話をかけた。
 

46 = 1 :


「アーニャ、この仕事、できそうか?」

 俺がアーニャの為にとった仕事は、色々なプロダクションのアイドル達がたくさん集まるライブだ。合同ライブとかではなく、一人一人、または一グループが順番にやっていく形式のものだ。テレビにも映るし、規模は非常にでかい。

 参加するアイドルは、実力があっても大衆には知られていないアイドルが七割と、人を呼び込む為に大人気で知名度も高いアイドルが三割。

 このライブで新しい曲を発表するアイドルもいる。きっとたくさんの人が来るだろう。

「一人で参加するアイドルは、実は少ない。大体三人とか五人とか、グループだ」

 この仕事を受けた場合、アーニャは一人で、初めてのライブなのに一人で舞台で立つことになる。それはとっても勇気が必要だと思う。大きな仕事ではあるが、俺は利益を求めてはいない。無理強いなんてしない。

 俺なんかについてきてくれたアイドルだ。アーニャの意見を尊重したい。

「当たり前だけど、無理強いはしない。初めてなのに、大勢の観客の前に一人で立つっていうのは、凄い勇気が要る事だって、アイドルをやっていなくても分かる」
 

47 = 1 :



「一人ではありません」



 彼女がきっぱりとそう言う。
 アーニャが俺の手を取り、両手で包み込んだ。

「ヤー……私には、プロデューサーがいます。私は大丈夫です、任せてください」

「アーニャ……無理してないか? 気なんて遣うなよ、俺はアーニャの意見を尊重する」

 アーニャは優しい子だ。本当に無理しているかもしれない。
 心配になって思わず声をかけたが、彼女は静かに首を横に振った。

「大丈夫です。ただ、私の事、見守っていてください。ずっと――」

 上目遣いで俺を見やる。その青く澄んだ瞳に、視線が吸い込まれそうだった。

 どこかで、似たような事――

「心配しないでください。アイドル、楽しいです。ありがとう、プロデューサー」

 ほんのりと頬を桜色に染め、アーニャが笑った。

 まさか――

 いや、アーニャは違う、大丈夫だ……。俺を家族のように思って、心を開いてくれているだけだ。きっと、そうだ。

 きっと……
 

48 = 1 :

寝ます。

49 :



まったりしてるなとおもったらまたPが女にトラウマ持ってそうで不穏な空気が・・・

50 :

乙です。
更新来てた。


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