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    元スレ女戦士「元・勇者を探す旅へ」

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    901 = 878 :

    ゴーレム「ゴおォォォ!!!!」ズンッ

    ハーピー「ぎっ……!!ええい!!馬鹿力め!!!」

    勇者「逃げましょう……」

    ハーピー「馬鹿を言うでない。お前は土塊を説得するためにここまでやってきたのであろうが……」

    勇者「もう……」

    ハーピー「わらわの知っておる勇者はやるときはやるニンゲンであり、そして素敵なオスだったはずだがぁ……」

    ゴーレム「モウ……イチゲき……だぁ……!!!」

    ハーピー「この……!!もう耐えられんぞ……!!」

    勇者「……」

    ハーピー「おぬしを止めなかったのも、誰にも告げ口せなんだのも……お前がこの土塊を力ではなく……心で従わせるというたからだぞ……」

    勇者「そうですね」

    ハーピー「それで無理なら諦めるのか。見損なったな。心底。嫌いじゃ。死ね」

    勇者「そこまで言いますか。―――僕を空へ!!」

    ハーピー「いわれずとも!!!」ガシッ!!

    ゴーレム「こ、ザかシィ……!!!」

    902 = 878 :

    ハーピー「ふぅ……。流石の土塊も上空までは……」バサッバサッ

    勇者「油断はしないでください。レムくんがどうやって城からここまできたのか考えれば……」

    ハーピー「なに……」

    ゴーレム「トバ、せ……」

    吸血鬼「ぐ……うぅ……今……風の力で……」ゴォォォ

    ミイラ「ゴーレム……」

    ハーピー「なるほど……そういうことか……」

    勇者「とにかく、レムくんには勝たないといけません……」

    ハーピー「話し合いはなしか」

    勇者「それでもこちらは大幅に戦力を削って臨んでいますからね。勝てばレムくんの心もこちらに傾くはずです」

    ハーピー「なるほどなぁ……。それで、おぬしはその体でなんとかなるとおもうておるのか?」

    勇者「貴女がいるなら余裕ですよ」

    ハーピー「強がりをいうてからに」

    ゴーレム「コレで……オワり……だァァァ!!!!!」

    ハーピー「来たぞ。あの巨体が飛んでくるのは怖いのぉ」

    903 = 878 :

    吸血鬼「風よ運べ!!」ゴォォォ

    ゴーレム「ウオぉぉぉぉ!!!!」

    ハーピー「往くぞ!!」バサッバサッ

    勇者「はい!!」

    ゴーレム「ユウしゃ……!!!!コレで……!!!!」

    ハーピー「残念だったなぁ。勇者が死ねば魔王様が悲しむ。ファン1号のわらわにとってそれは部下の死に匹敵する悲哀!!!」

    ハーピー「故に勇者は死なせはせん!!!絶対になぁ!!!」

    勇者「いまです!!離して!!」

    ハーピー「うむ」パッ

    勇者「あぁぁ~おちるぅ~」

    ゴーレム「ナ……に……!?」

    ハーピー「余所見をするとは余裕だのぉ!!土塊!!!」

    ゴーレム「……!!」

    ハーピー「貴様が対峙しておるのは!!!魔王の側近であるハーピーなるぞ!!!この虚けが!!!」

    ゴーレム「オまえ……ダケ……でも……コロす……!!!」

    904 = 878 :

    ハーピー「空で勝てるとおもうてか!!」ガシッ

    ゴーレム「クっ……!?」

    ハーピー「このまま叩きつけてやろう!!!」

    ゴーレム「が……ハーピー……!!!!」

    ハーピー「ゆっくり話そう……。お前は大事な仲間だからな」

    ゴーレム「ダま……レぇぇ……!!!」

    ハーピー「―――落ちて眠れ!!!!」ブゥン!!

    ゴーレム「ハァァァピィィィ―――!!!!」

    ズゥゥゥゥン!!!!

    ハーピー「よし!!」

    勇者「はやくー!!拾ってくださぁぁい!!マジで死ぬ!!!」

    ハーピー「待っておれ!!!」

    吸血鬼「―――空中ではいい的ですねえ……くっくっくっく……!!」

    勇者「……な」

    ハーピー「おのれ……死にぞこないめ……」

    905 = 878 :

    吸血鬼「氷の刃よ―――」

    勇者「どうして攻撃しようとするんですか……」スッ

    吸血鬼「え……」

    勇者「俺も攻撃しないと駄目になるのに」

    吸血鬼(まさか、空中で剣を飛ばす気だったのか……!?)

    勇者「残念だ。―――せぇぇい!!!」シュッ!!

    吸血鬼「氷の刃よ!!とべぇぇ―――」

    ザンッ!!!

    吸血鬼「ガ……あ……?!」

    ミイラ「あぁ……あぁ……そんな……ゴーレムも……吸血鬼もやられた……」

    ハーピー「―――よっと」ガシッ

    勇者「どうも……」

    ハーピー「よく投げた剣が届いたな」

    勇者「正直、当たるとは思いませんでした」

    ハーピー「ぞっとすることをいうでない。寿命が縮む」

    906 = 878 :

    吸血鬼「ぐ……ぁ……」

    勇者「怪我のほうは?」

    ハーピー「重傷だが死にはせん。今すぐ運べばな」

    勇者「では、お願いします」

    ハーピー「鳥遣いか荒いな」

    勇者「側室でしょう?」

    ハーピー「黙れ」

    ミイラ「……」

    勇者「さてと……。ミーちゃんはどうする?」

    ミイラ「え……」

    勇者「このままキマイラのところに行くというなら、僕は止める。アイツはもう魔族でもなんでも―――」

    ミイラ「あ……うし、ろ……」

    勇者「え?」

    ゴーレム「―――シ……ね……!!」

    勇者「な―――」

    907 = 878 :

    ドラゴン「―――ふんっ!!!」ドゴォ

    ゴーレム「ガ……!?」

    勇者「ドラゴちゃん!!!」

    ドラゴン「説得は失敗か。来て正解だったな」

    勇者「どうして……」

    僧侶「勇者様!!!」タタタッ

    勇者「ああ……来ちゃったんですか……」

    僧侶「こんな……酷い怪我……を……うぅ……ぐすっ……」

    勇者「すいません……」

    僧侶「勇者様……ご無事でよかったぁ……」ギュゥゥ

    勇者「……あ、胸がいいかんじにあたって……」

    魔法使い「……」ギュッ

    勇者「え?」

    魔法使い「ふんっ」ジュゥゥ

    勇者「あぁぁ!!!あつい!!!」

    908 = 878 :

    ハーピー「ドラゴン……」

    ドラゴン「大変だったな」

    ハーピー「そうでもない。ニンゲン一人ぐらい運べる」

    吸血鬼「ふふ……やはり……そういうこと……でしたか……」

    エルフ「喋らないで。今、治療を―――」

    吸血鬼「触るな……穢れた種族め……。魔族の汚点が……」

    エルフ「喋るなってば。手元が狂う」

    吸血鬼「くっ……屈辱です……」

    ゴーレム「オナじ……だ……ニンゲ、ンも……マぞく……とオナじ……ヨうに……チカらで……シハい、スる……」

    ドラゴン「ハーピー、ともかく運ぶぞ。ゴーレムは少し重いがな。このままにはしておけん」

    ハーピー「応急処置はおわったかえ?」

    エルフ「はい。あとは城で手当てをしたら大丈夫かと」

    ハーピー「ご苦労、エルフの術士よ。感謝するぞ」

    エルフ「いえ……」

    ドラゴン「すぐに戻ってくる。お前たちはここで待っていろ。……肝心の勇者が暫くは動けんだろうがな」

    909 = 878 :

    勇者「行ってらっしゃい……」

    僧侶「痛いところはありますか?」ギュゥゥ

    勇者「貴女のおかげで股間ぐらいしか痛くないです」

    僧侶「そんな……!!ここですか……?」

    魔法使い「やめなさいってば」

    勇者「それにしても……」

    「貴女を拘束します」

    ミイラ「ひぃーん……なんでぇー……」

    ゾンビ「おぉー!!ミーちゃん!!げんきー?!」

    ミイラ「あー!!リっちゃん!!たすけてよぉ!!」

    ゾンビ「だーめ」

    ミイラ「あーん」

    勇者「どうしてみんなで……?」

    戦士「―――このまま、攻め込むつもりだからです」

    勇者「貴女が指示を……?こんな大胆なことをするとは思いませんでしたね」

    910 :


    前作はもちろん今作もなかなか……いい感じに続きがきになるじゃないですか!

    911 = 878 :

    戦士「私は慎重になるべきだと言ったのですが……」

    勇者「え?」

    戦士「とくにキラちゃんが行きたいと駄々をこねまして」

    勇者「はぁ……」

    「パパ、だいすきぃだからぁー」

    勇者「貴方達の所為でレムくんに余計な疑念を抱かせてしまいましたが、キラちゃんが可愛いから許します」

    「わぁーい」

    勇者「それで、ドラゴちゃんとハーピー姉さんが戻って来次第、突入ですか?」

    「はい。そのような計画になっています」

    勇者「それでいいんですか?もう少し気持ちの整理を……」

    戦士「相手にむざむざ時間を与えることもありませんし、あの人に深謀を巡らせるわけにはいきません」

    勇者「……彼はもう10年も前から準備をしていた。今更でしょう」

    戦士「それでも……」

    勇者「父親のためですか?」

    戦士「自分のためです」

    912 = 878 :

    勇者「自分……?」

    戦士「彼を変えたのは私たちの所為です……。だからこそ、彼を救わないと……私の気が済みません」

    勇者「独善的ですね」

    戦士「貴方も同じでしょう」

    勇者「まぁ、そうなんですけどね……」

    エルフ「ゴーレムに単身で突っ込むなんて、どうかしてるよ」

    勇者「ハーピー姉さんもいましたから」

    エルフ「心配するっていってるの」

    勇者「心配してくれたんですか?」

    エルフ「当たり前だって!!何言ってるの?!」

    勇者「ああ。しあわせぇ」

    僧侶「勇者様!!目を瞑ったら死にますよ!!」

    魔法使い「え?そうなの?」

    ゾンビ「おにぃちゃん、あぃしてるぅー!!」

    「パパ、立て!立ってください!!」

    913 :

    寝たか・・・?

    とりあえず乙

    914 :

    乙ー

    今日も充実した1日だった

    915 :



    ゾンビとミイラが友達だったとは…

    916 :

    エルフ徐々に隠さなくなってきたな

    917 :

    結局魔物との混成軍で攻め込むのか?それとも近くで待機するのか?

    918 :

    まったく
    本当におもしろいな

    919 :

    誰か最後の言葉四行の意味を教えてくれ
    魔法使い可愛い

    920 :

    いつのもノリですよいつもの

    921 = 914 :

    これは2スレ目いくな

    922 = 919 :

    何スレ行こうが全然構わん
    むしろじゃんじゃん行ってくれそしてエロフとドM痴女魔法使いを見してくれ

    923 = 915 :

    エロフの痴態が白日の下に晒される日が来ると俺は信じてるよ

    924 :

    仕方のないことだけど最近キャプテン見ないな

    925 :

    姫様もだな
    エロフと魔法使いが強すぎるからしゃあない

    926 :

    ツン持ちは強いんだな

    ところでこの世界の技術レベルがよく分からない
    基本的には剣で戦ってるのに銃という概念が普通に浸透してる。特に珍しい物である様子もない
    帆船なのに長距離通信設備と魚雷がある。まあ通信は魔法の水晶とかかもしれんけど

    まあ面白いから細かい所はどうでもいいんだがな!(←じゃあ書くんじゃない)

    927 :

    姫は立場上身動きがとれないキャラだからな
    個人的には勇者と姫が理想の恋人同士なんだけど

    機械技術に関しては魔法が珍しくない世界観の時点で基本的に何でもありだから好きなように脳内補完しとけばいいんでない

    928 :

    魔法使いペロペロ

    929 :

    >>926
    ・・・・・・。

    932 :

    勇者「すぅ……すぅ……」

    ゾンビ「うー?おにぃちゃーん」

    僧侶「しー、ですよ」

    ゾンビ「しー?」

    戦士「街の様子を見てきたほうがいいでしょうか?」

    「鳥瞰するならまだしも、我々だけで行うのはリスクが大きいと思われます」

    戦士「街に入った途端、攻撃を受けるかもしれないということですか……」

    「はい」

    魔法使い「私が外壁に穴を開けて覗き見るっていうのはどうかしら?」

    エルフ「うーん……。そうだね。それなら―――」

    賢者「そこの綺麗な姉ちゃんたちよぉ、ちょっといいかぁ?」

    「……」ザッ

    戦士「貴方は……!!」

    賢者「この辺でゴーレムと吸血鬼を見なかったかぁ?待ち合わせしてたんだけどよぉ、見当たらねえんだよ。どこで油売ってやがるのかねぇ、全くぅ」グビグビ

    ミイラ「あー!!!酔っ払いさん!!!早くキマライ様にあわせろぉー!!!」

    933 = 932 :

    魔法使い「まさか、あんたから姿を見せてくれるとはね」

    戦士「……」

    賢者「おー、気持ち悪い志しをもっちまったなぁ、お嬢ちゃんよ。俺の大嫌いなニンゲンに成り果てたな」

    戦士「貴方を狂わせたのは―――」

    賢者「俺の過去を知っただけで逆上せ上がりやがって、ガキが」

    エルフ「何をしに来たの?」

    賢者「今言っただろぉ?待ち合わせだってなぁ。ミイラっ娘よ、他はどうしたんだよぉ?お?」

    ミイラ「つかまったんですぅー」

    賢者「かぁー、つかえねえなぁ、おい」

    ゾンビ「うー……!!」

    僧侶「大人しく投降してください。貴方に勝ち目はありません」

    賢者「顔に似合わず言ってくれるなぁ。人の肉が口に合いすぎて、饒舌になっちまったか?」

    僧侶「……!」

    魔法使い「悪役もそこまで行くと心地いいわね」

    賢者「嫌いなやつを蔑んで何が悪いってんだよ、おーぅ。お前らの周りにもいたはずだぜぇ?」

    934 = 932 :

    魔法使い「なんですって……」

    賢者「特異体質のおかげで馬鹿にされ、卑下され、虚仮にされてきたんだろぉ?」

    僧侶「……」

    賢者「同族から疎まれ、怨嗟すらも受けることになったんだろぉ?」

    エルフ「……」

    賢者「魔王になったことで少なからず恨まれ、当て付けのように多くの魔物が城を後にしたんだろぉ?」

    ゾンビ「うぅ……」

    賢者「全員一緒だ。俺のような奴がどれだけいると思ってやがる?言ってみろよぉ?」

    戦士「もういい。ここで貴方を倒し、キマイラを葬り、全てを終わらせる」

    「加勢します」

    賢者「くっくっく……。できるとおもってるのかよぉ?俺ぁ、賢者なんだぜぇ……?」

    エルフ「だけど、魔族に魔法は使えない」

    賢者「優しい優しいあんたらが俺を殺せるのか?」

    僧侶「貴方は人によって裁かれるべきです……」

    賢者「くだらねえ……。全員、俺を本気で救おうとしてやがるとはなぁ……。そこで眠りこけてる兄ちゃんの所為か」

    935 = 932 :

    勇者「すぅ……すぅ……」

    賢者「確かに不利だな。俺ぁ魔族に対しては攻撃できねえし、キマイラも頼りにはなんねえし、王女様は何もできねえし……」

    賢者「けど……何も手がないわけじゃあ、ねえよ……」グビグビ

    戦士(今なら……)

    賢者「やれるってか?」

    戦士「心が読まれようが、避けられなければ意味はない!!」

    「はい」

    賢者「あーあ。やっぱり、こうなっちまうか……。多少は期待してたんだけどなぁ……。お嬢ちゃんよぉ」

    戦士「期待?」

    賢者「勇者を捨てて、人間側に来ることをなぁ。今でも迷ってんなら、こっちにこいよ。親父だって助けてやるよ」

    戦士「私は全員を救う」

    賢者「兄ちゃんの受け売りか?くくく……あーっはっはっはっはっは!!!!」

    戦士「何がおかしい!!」

    賢者「何か勘違いしているようだからいっておくけどよぉ、兄ちゃん自身は俺を救おうなんて思っちゃいねえぜ?」

    戦士「な……」

    936 = 932 :

    賢者「最初から兄ちゃんは俺を殺す気でいる。それだけじゃねえ、王女もお嬢ちゃんの親父だって殺す気でいる」

    戦士「……!」

    僧侶「でたらめを!!」

    賢者「少し頭を使えばわかるだろうに。俺が何したと思うんだ、あんたによぉ?」

    僧侶「それは……」

    賢者「兄ちゃんが許すわけねえだろ、俺のことよぉ。だから、俺ぁ逃げたんだぜぇ?親友と王女を守るためになぁ」

    戦士「義父と王女は関係ないでしょう」

    賢者「俺が操っている時点で、兄ちゃんにとっちゃあ倒すべき敵でしかねえよ」

    戦士(まさか……)

    勇者「すぅ……すぅ……」

    賢者「くくく……。言っておくが、飽く迄も兄ちゃんが守るのは傍にいる姉ちゃんたちだけだ」

    戦士「彼は約束をしてくれた」

    賢者「お嬢ちゃんは貴重な戦力だ。指揮官の能力と兵力を知り尽くしてるわけだからなぁ。兄ちゃんが手放すわけねえだろぉ?」

    戦士「……」

    エルフ「そんなニンゲンじゃないよ。ボクの知っている勇者は」

    937 = 932 :

    賢者「まぁ、俺が言っても側室の姉ちゃんたちは納得しないだろうけどなぁ……」

    戦士「……」

    賢者「お嬢ちゃんは、どうかな?」

    戦士「私は……」

    「勇者だけが戦力ではありません」

    戦士「え?」

    「彼女には我々がいます」

    エルフ「そうだね。ボクたちが力を貸せば……!!」

    ゾンビ「うぅー!!!」

    魔法使い「賢者様?あまり見下していると、足をすくわれるわよぉ?」

    僧侶「……」

    賢者「……魔物もいる時点で戦乱の世に逆行するわけだが、いいんだなぁ?」

    エルフ「もし勘違いされたら戦いのあと誤解をとけばいいだけじゃん」

    賢者「エルフ族はそんなこと言っても説得力は皆無だな。何百年も同族にすら誤解をといてもらえなかったんだからよぉ」

    エルフ「ボクはそうでも、勇者は違う。貴方みたいに逃げたりしないからね」

    938 = 932 :

    賢者「……てめえ、何を知ってんだ……?」

    エルフ「貴方のことは大体聞いた」

    賢者「そうかい……。そらぁ、難儀だなぁ」

    僧侶「だから、もう……戦いは……」

    賢者「なら、話は早いな。俺ぁはそういう男であり、ニンゲンだ」

    魔法使い「死にたいわけね?」

    賢者「俺はもうあの日から生きちゃいねえよ。心を弄くられ、折られ、嬲られ……もう残ってるのは記憶と器だけだ……」

    「そうでしょうか。私には貴方がまだ人間であろうと見苦しくもがいているように見えますが」

    賢者「人形にゃあわかねえだろぉ?」

    「そうですね。貴方のような人生はインプットされていませんから」

    賢者「けっ……」

    戦士「観念してください」

    賢者「わーったよ。俺を救うなら勝手にしてくれ。ただ俺ぁご存知の通り、ニンゲンが大嫌いだ。そんな俺がニンゲンの世話になりたいとは思うはずねえ、そうだろぉ?」

    戦士「何がいいたいんですか?」

    賢者「これ以上、来るならてめえらを消す。街の住人も兵士も王女もキマイラも使ってなぁ。俺だって死にたくはねえんだからよぉ」

    939 = 932 :

    戦士「だから、殺すつもりはない!!」

    賢者「お嬢ちゃんになくても、兄ちゃんにはあるんだから仕方ねえよ」

    戦士「何を根拠に!!」

    賢者「俺ぁ心を読める。それで十分だ」

    戦士「くっ……」

    賢者「それに兄ちゃんだって決して聖人ってわけじゃねえ。魔王討伐も私怨だけが兄ちゃんの原動力だったからな」

    魔法使い「……!」

    賢者「姉ちゃんはしってるみてぇだな」グビグビ

    魔法使い「それは前の魔王に対してだけで……」

    賢者「人は誰かを恨むことでしか生きていけねえよ」

    僧侶「そんなことはありません!!」

    賢者「黙りなぁ!!綺麗ごとはうんざりなんだよぉ!!―――出て来い」

    戦士「え……!」

    兵士「……」ザッ

    賢者「立ち話はやっぱり疲れるなぁ。それじゃあな、お嬢ちゃん。……傀儡兵士たちを倒してこい。城で酒を煽りながら待ってるぜぇ」

    940 = 932 :

    戦士「待て!!」

    兵士「ここは通さない」

    戦士「どいてください!!」

    兵士「我々に歯向かうなら処刑する」

    戦士「くそ!!」

    兵士「ふん!!」ブゥン

    戦士「つっ!!」ギィィン

    僧侶「どうして……理由もなく人と戦わなければ……」

    魔法使い「マーちゃん!!手加減よ!!手加減!!」

    「はい」

    エルフ「凍れ!!」コォォ

    ゾンビ「とけつほー!!!―――おぇぇ」ドロォ

    賢者「殺さないようにするのは大変だぜぇ?あはははははは!!!」

    勇者「―――おらぁ!!!」ブゥン

    賢者「おっと、あぶねえなぁ」ヒラッ

    941 = 932 :

    勇者「殺し損ねた!!!」

    戦士「何を言っているんですか!!!」

    勇者「冗談ですよ」

    賢者「そらぁ、どうかなぁ?」

    勇者「逃げるんですか?」

    賢者「ったりめえだろ。死にたくねえんだよ」

    勇者「言うことがコロコロ変わる人ですね。死に場所を探しているのではなかったんですか?」

    賢者「大嫌いなニンゲンに殺されるなんて最悪のシナリオだからよ」

    勇者「彼女を守って死ぬのはアリなのにですか?」

    賢者「好きな奴を守って死ぬのはかっこいいだろ?……もう吐瀉物よりもきたねえもんになっちまったけどな」

    勇者「魔族どもは俺の側室を汚物に例えるのが好きだなぁ。いい加減にしろよ」

    賢者「魔族だと?」

    勇者「あんたは人間じゃないからな」

    賢者「俺にとっちゃぁ褒め言葉だ。ありがとよ」

    勇者「罵倒されてお礼なんて……。僕の第1側室と同格の変態っぷりですね」

    942 = 932 :

    魔法使い「だれがよぉ!!!」

    兵士「うごくな!!」

    魔法使い「さわるなぁ!!!」ゴォォ

    兵士「ぐあぁ!?」

    賢者「やるじゃねえか」

    勇者「……覚悟しろよ。お前だけは絶対に許さない。俺の大事な人を傷つけたんだ。彼女がどれだけ泣いたか分かっているのか?」

    僧侶「勇者様……」

    賢者「しらねえなぁ。その後、兄ちゃんがシーツを濡らしたのは知ってるけどよぉ」

    魔法使い「え!?」

    エルフ「……!!」ピクッ

    僧侶「はい?」

    兵士「ふん!!」ブゥン

    ゾンビ「わー!!!」

    「危ない!!」」ギィィン

    戦士「邪魔だぁ!!!」

    943 = 932 :

    勇者「まぁ、男してはあの日の夜に彼女を一人きりにさせるのは―――」

    魔法使い「どういうことよ?」

    僧侶「え?あの?」

    エルフ「ふーん?」

    僧侶「な、なんのことですかぁ……?」オロオロ

    戦士「ちょっと!!戦ってください!!」

    賢者「兄ちゃん、希望は捨てな。所詮は人間だ。全部を救うなんてこたぁ、無理なんだからよ」

    勇者「その自信はどこからくるんですか?」

    賢者「各地の魔物を呼びよせたっていやぁいいか?」

    勇者「こっちだって総力戦だ」

    賢者「人と魔が渦中に身を投じることになってもいいんだな?俺としてはニンゲンが困る様をもう一度見れるのはありがたいことだけどなぁ」

    勇者「何でも思い通りになると思うな」

    賢者「なるな。クソガキに何ができるってんだよ。俺ぁ賢者なんだぜぇ?」

    勇者「俺は勇者だ。老兵が諦めたことを俺は実現してやる」

    賢者「きにくわねえ……。てめぇ……もうちょっとマシなやつだとおもってたのによぉ……!!」

    944 = 932 :

    勇者「勇者が理想を捨てたら終わりだからな」

    賢者「……なるほどな。兄ちゃんらしいと言えばらしいか。結局は俺と同類だ」

    勇者「……」

    賢者「この辺で退却するか。大物も着たみたいだしなぁ」

    ドラゴン「―――貴様!!」

    ハーピー「おぬし。よく姿を見せられたものじゃな」

    賢者「もう行くって。邪魔したな」

    勇者「待て」

    賢者「キマイラに餌をやらなきゃいけねえんだよ。わりぃな。続きは城で聞いてやるよ」

    勇者「貴方は何をしにここまで……!!いや、こんなことを―――」

    賢者「じゃぁな、兄ちゃん、お嬢ちゃん」ゴォォォ

    戦士「逃げるな!!!」

    兵士「おぉぉぉぉぉ!!!!」

    「眠っていてください」ゴスッ!!

    ゾンビ「とけつほー!!!!」ドロォ

    945 = 932 :

    ドラゴン「そうか……。予想通り兵士も敵か」

    勇者「正気を失っている感じではなかったですが……」

    戦士「傀儡にしたといっても……これは……」

    勇者「あたかも自分の意思で行動していると錯覚させているとすれば厄介ですね。半端に自意識が残っているなら、戦う際に僕らは躊躇せざるを得ない。完全に気が狂っているならまだ……」

    戦士「でも、義父さんの戦術は把握しやすいです」

    勇者「そうですね。今はプラスに考えましょうか。ドラゴちゃん、上空から街の様子を見てきてもらえますか?もちろん、目立たないように可愛くなって」

    竜娘「―――承知した」バサッバサッ

    ハーピー「わらわも行こう」バサッバサッ

    ミイラ「うぇーん!!ミーはいつになったらキマイラ様にあえるのぉー!?」

    ゾンビ「すぐにあえるぅー!!」

    ミイラ「ホントにー!?」

    ゾンビ「うー!!」

    ミイラ「よーし!!!生きる希望がわいてきたー!!!」

    魔法使い「さっきの話なんだけど」

    僧侶「だ、だから……知りません……」

    946 = 932 :

    エルフ「どちらにしても兵士たちは殺さないようにするんでしょ?一人一人戦闘不能にさせるしかないね」

    勇者「当初の予定通り、一般兵の相手はキラちゃんに任せます」

    「はい」

    勇者「圧倒的な実力差がないと相手を制するのは難しくなりますからね」

    戦士(力が拮抗していれば、勢い余って相手を殺してしまうかもしれない……)

    勇者「城までの兵の動きについては逐一指示をお願いしますね」

    戦士「は、はい」

    ゾンビ「もういくぅー?」

    ミイラ「はやくキマイラ様のところへ!!!」

    「貴方は拘束された身。自由に行動できると思わないように」

    ミイラ「ひーん」

    勇者「そういえば、肝心要の鏡は誰が持っているんですか?」

    戦士「それなら、キラちゃんが持っています。意外と重いのでアレを持って戦闘ができるのはキラちゃんかドラゴンだけでしょう」

    魔法使い「正直に言いなさい。なにしたのよ?」グニッグニッ

    僧侶「いふぁい、いふぁいでふぅ。にゃにもしてふぁふぇん」

    947 = 932 :

    「鏡は背負っています」クルッ

    勇者「分かりました。あとは……」

    竜娘「―――待たせたな」バサッバサッ

    ハーピー「彼奴ら、何かを警戒しておる様子はないな」

    勇者「ということは、あえて僕達のことを教えず、完全なる強襲を待っているというところですか」

    竜娘「なんとしても我等に非を持たせようとしているわけか」

    ハーピー「面倒なだの」

    戦士「……義父さんは強襲、奇襲に対応する場合、人民の安全を最優先させます」

    勇者「なるほど。では、兵士たちは自然と民家が密集している居住区に集まるわけですね」

    戦士「無論、全兵というわけではないですが城の防衛もあります」

    勇者「僕達の目的は飽く迄もキマイラの討伐です。兵を城から引き離すことが出来れば……」

    ハーピー「あれを試して見るか?」

    勇者「それしかないでしょうね」

    魔法使い「縄で縛られたり服を脱がされて放置させられたりとかないのね?」

    僧侶「そもそも勇者様はそんなことをする人じゃないです!」

    948 = 932 :

    勇者「よし。ドラゴちゃん、キャプテンとは合流できそうですか?」

    竜娘「予定より早く俺たちは行動しているからな。間に合うかどうかはやってみないと分からん」

    勇者「キャプテンの力量なら瑣末な問題でしょう。―――みなさん!!」

    勇者「今から戦いに赴きます。これは三年前から……いえ、何百年も前から続いていた怨恨を無くすための戦いです」

    竜娘「そうだな……」

    ハーピー「力だけの時代はもう終わっておるはず。恨むのも恨まれるのももういい」

    勇者「全てを終わらせるために今一度、力を貸してください。お願いします」

    エルフ「うん。ここまでやってきたんだから、最後までこき使ってよ」

    魔法使い「ま、そこまで言われたら、仕方ないわね」

    僧侶「勇者様が傍にいろと仰るなら、この身が滅びるまで……私は共に歩み続けます……」

    「パパの御心のままに」

    ゾンビ「あぃしてるぅー!!」

    ミイラ「ミーは関係ないのにぃー!!!」

    勇者「そして僕は貴女の力になります。―――姉さんに託された。貴女を守る理由はそれでいいでしょうか?」

    戦士「……はい。お願いします」

    949 = 932 :

    ハーピー「往くぞ、魔王様」ガシッ

    ゾンビ「うー!?」

    ハーピー「頃合を見て突撃しろ」バサッバサッ

    勇者「よろしくお願いします」

    ハーピー「わらわと魔王様にまかせ」バサッバサッ

    ゾンビ「うー!!たかいー!!!すごーい!!!」キャッキャッ

    竜娘「大丈夫か……」

    勇者「さあ、僕達も行きますか」

    僧侶「はい」

    魔法使い「ええ」

    戦士「……」

    エルフ「大丈夫だよ」

    戦士「え?」

    エルフ「誰も死なせない。死んでほしくないから」

    戦士「はいっ」

    950 = 932 :

    ―――上空

    ハーピー「うむ。この辺でいいか」

    ゾンビ「うー」

    ハーピー「魔王様はどう考えておる?」

    ゾンビ「うー?」

    ハーピー「あの賢者のことをな」

    ゾンビ「おにぃちゃんをこまらせる、わるいやつー」

    ハーピー「ふふ……そうだのぉ……」

    ゾンビ「でも、いつもなきそうだった。かわいそぅ」

    ハーピー「……敵にも同情できる魔王か。ふふっ。おぬしが魔王でよかったかもしれんな」

    ゾンビ「うー?」

    ハーピー「では、やろう。わらわたちの合体技。血の雨をなぁ!!」

    ゾンビ「とけつほー」ドロォ

    ハーピー「ふっふっふっふっふ!!!!ニンゲンども!!!魔王様によって齎された血の雨に恐れおののくがいいわぁ!!!」バサッバサッ

    ゾンビ「おろろろろっ」ドロォ


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