元スレ女戦士「元・勇者を探す旅へ」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
1 :
―――城内 訓練場
戦士(あとは素振り1000回ほどで終わりに―――)
兵士長「ここに居たか」
戦士「はい。どうかされましたか?」
兵士長「休息も大事だと何度言ったら分かるんだ?」
戦士「何度か言っていますが女の身では腕力を鍛えるのに限界がありますから」
兵士長「だから、技術を磨いているんだろ。それは知っているがな。兵士は体が資本だ。常日頃から体調は万全にしておいてだな」
戦士「えっと、それを言いに来たのですか?」
兵士長「あ、いや。いかんな、お前に対してはいつも説教臭くなってしまって」
戦士「それは私としては嬉しいことだけど……」
兵士長「そ、そうか?それなら俺も嬉しいが……」
戦士「で、なんです?」
兵士長「ああ、そうだったな。王女様が呼んでいる。謁見の間まで大至急行ってくれ」
戦士「王女様が?」
兵士長「お前に頼みたいことがあるそうだ。とにかく行ってこい。王女様がお待ちだ」
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2 = 1 :
―――謁見の間
戦士「お待たせしてしまって申し訳ありません、王女様」
王女「来ましたか」
戦士「私に頼みたいことがあるということですが……」
王女「そうなのです。貴女に是非ともやってほしいことがあるのです」
戦士「はっ。何なりと仰ってください」
王女「私ももう齢20となりました。そろそろ身を固めなくてはなりません。そこで貴女には私に相応しい殿方を探してきて欲しいのです」
戦士「あの、私が探さなくてもお美しい王女様ならば殿方のほうから話を持ちかけてくるのではないのですか?」
王女「そうですね。確かに私は美しい。故に私に釣り合う殿方は中々いないのですよ。高貴であり、容姿も端麗となれば私の他にどれほどのいるのか。少なくとも指で数えられるほどしかいないでしょう」
戦士「はぁ……」
王女「縁談を持ちかけてくるのは近隣国の者ばかり。その中には一人として私と釣り合う者はいなかったのです」
戦士「そうなのですか?隣国の王子は評判が良いと聞いていましたけど……」
王女「駄目です。顔は確かに宜しいですが、どうにも弱弱しい体つきですし……」
戦士「体つきも重要なのですか?」
王女「勿論です。殿方は強くなければなりませんからね。魔物も大人しくなったとはいえ、まだまだ油断はできませんし。それに国家間での争いもいつかは起こるでしょう。我が夫は心身共に強くなければなりません」
3 = 1 :
戦士「王女様の言うことも一理ありますが……」
王女「高貴かつ美しい私に相応しい殿方となればそれは勇者しかいないと思うのです」
戦士「勇者、ですか?」
王女「3年前の戦乱を治めた者。あなたのも噂ぐらいは知っているでしょう?」
戦士「魔王を討伐したのは例の民間人が作った大艦隊ではなかったのですか?それにどの国の勇者も魔王討伐には失敗したはずです」
王女「世間ではそうなっているようですが、私は知っています。その艦隊で孤軍奮闘したと言われる者がいることを」
戦士「……」
王女「噂では千を超える魔物を切り捨て、万の民を率いて魔王を討伐し、その後は魔族を従えてどこかの国で王になっているとか……」
戦士「それは魔王ということでは?!」
王女「いえ。きちんと多くの人間が魔物を奴隷にしているようですよ」
戦士「そ、そうなのですか」
王女「聞くところによれば、その勇者様は強く、また類稀なる美貌の持ち主で、出会う者全てを恋に落とすほどらしいです」
戦士「それほどですか」
王女「ええ。人間、魔族併せて100もの側室が存在しているとも聞きました」
戦士「あの……あまりイメージが良くないように思えるのですが……。そんな人物が王女様に相応しいのですか?」
4 = 1 :
王女「明眸皓歯の私には眉目秀麗な勇者しか居ない。私はそう思いますが」
戦士「それに側室がいるということは正妻も存在しているのではないですか?」
王女「私の美貌ならば、簡単に心変わりするでしょう。それにこの国まで手に入るのですから、断る理由がないはず」
戦士「……」
王女「それほどの魅力が私にはある。そうでしょう?」
戦士「え、ええ。王女様の美しさには圧倒されますから……」
王女「ふふ、貴女も私には及びませんが中々美人ですよ?兵士にしておくのが勿体無いほどに。できることなら侍女として私の傍に置いておきたいのですけどね」
戦士「ありがとうございます」
王女「そうすれば貴女にも私の美の秘密を教えてあげてもいいのですが……。残念です。私の付き人になる者にも究極の美を与えねばなりませんからね」
戦士「はぁ……」
戦士(王宮の戦士としては失格だけど、やっぱり私はこの人が苦手……)
王女「話が逸れてしまいましたね。とにかく貴女に勇者を探してもらいたいのです」
戦士「至極光栄ですが何故、私に?他にも屈強な者は……」
王女「同じ女として貴女に期待しているのですよ。他の兵士からも貴女の評判はよく耳にしますしね。貴女の活躍、楽しみにしています」
戦士「……勿体無いお言葉です。死力を尽くし、王女様のために勇者を探しましょう」
5 = 1 :
―――酒場
兵士長「そうか……。婿探しのために」
戦士「ええ。あまり気乗りはしませんが」
兵士長「だが、名誉なことだ。王女様からの勅命なのだからな」
戦士「そうだけど……」
兵士長「俺も鼻が高い。小さかったお前が王女様から勅命を受けるまでに成長するなんてなぁ……」
戦士(あ、また始まりそう……)
兵士長「あの大雨の日、魔王の軍勢に滅ぼされた村でお前だけが傷だらけで生きていて、もう駄目だと誰もが思っていた。だが、俺だけは―――」
戦士「助かると思って助けた。もう何回も聞いた」
兵士長「言わせろって。俺は父親としてお前を厳しく、時には優しく育てて」
戦士「それは感謝してるって何度も言ってるでしょ」
兵士長「まだまだ感謝しろって。お前は親孝行してねえぞ」
戦士「はぁ……」
兵士長「そもそもだ。あれはお前が兵士になりたいって言い出したときだったな。強くなって魔王をやっつけるなんて一丁前の口をきいたんだ。その時点で親心ってものをちっとも理解してない」
戦士(酔うとこれだから……。まぁ、今日ぐらいはいいか。先代の王に忠誠を誓った義父さんからすれば、今回の任務は本当に嬉しいんだろうし)
6 = 1 :
兵士長「―――いいか?お前はまだまだひよっこだ。王女様から直接任務を仰せ遣うなんてなぁ、10年早いんだよ」
戦士「うん」
兵士長「外はまだまだ危険が多い。魔物による被害だって3年前より少なくなったとはいえ、看過できないぐらいには起こってるんだ」
戦士「うんうん」
兵士長「そんな世の中にお前を出すなんて俺にはできねえよぉぉぉ!!」ギュゥゥ
戦士「ちょっと、やめて」
兵士長「どこにもいくなぁぁ……むすめよぉぉ……」ギュゥゥ
戦士「酒くさい……」
兵士長「なんだとぉ!?父親に向かってなんてこといいやがる!!」
戦士「はいはい」
兵士長「昔は素直でもっと可愛かったのによぉ……」
戦士「……義父さん?」
兵士長「どうした?」
戦士「勇者のこと、わかる?」
兵士長「勇者?それがどうした?」
7 = 1 :
兵士長「―――そうか、王女様は婿候補に勇者をなぁ」
戦士「私、知らなかったんだけど魔王を倒したのは勇者なの?」
兵士長「それは俺も知らないな。各国の勇者は例外なく途中でおっちんだか、背中を向けたって聞いていたからな。この国の勇者もそうだからな」
戦士「だよね……」
兵士長「だが、探してみればいいんじゃないか?王女様が出鱈目な情報なんてよこさないだろうしな」
戦士「でも、そんな雲を掴むような話で旅に出ても、城下町を出た瞬間に路頭に迷うと思うんだけど」
兵士長「そうだなぁ。お前、方向音痴だからなぁ」
戦士「それは関係ないでしょ」
兵士長「なら……これをもってけ」スッ
戦士「なに、これ?」
兵士長「旅立ちの日にこの住所のとこを訪ねてみろ。きっと力になってくれるはずだ」
戦士「誰がいるの?」
兵士長「古い友人だ。信頼できる奴だし、傭兵としても腕が立つ」
戦士「ふぅん……。ありがとう、行ってみる」
兵士長「あいつと一緒なら俺も安心だからなぁ」
8 = 1 :
―――数日後
戦士「では、行って参ります」
兵士「がんばれよ」
戦士「はいっ」
兵士長「薬草は持ったか?」
戦士「はい」
兵士長「防具はどうだ?不備はないだろうな?」
戦士「ないです」
兵士長「ハンカチは?ちり紙は?きちんと持っているんだろうな?」
戦士「あの……」
兵士「隊長。あの……他の兵士もいますので……ほどほどに……」
兵士長「む……。ごほん。えー、勅命ということは、国の威信を背負っていると考えんだぞ。いいな?」
戦士「はい」
兵士長「俺から言えるのは生きて帰ってこい。これだけだ」
戦士「任務を遂行し、必ず生きて戻ってきます」
9 = 1 :
―――民家
戦士(義父さんのメモによると、ここだけど……。いるのかな?)
戦士「ごめんください」ドンドン
『―――誰だ?』
戦士「とうさ―――いえ、城の兵士長からの紹介でここに腕利きの傭兵がいると……」
『あいつの娘か』
戦士「はい、そうです」
『話は聞いている。ちょっと待ってろ』
戦士「はい」
戦士(一体、どんな人なんだろう……?)
賢者「あー……頭いてぇ……完全に二日酔いだぁ……」
戦士「えっと……うっ……!?」
賢者「おう。こう見えても魔法が得意だから、よろしくなぁ」
戦士(酒くさい……)
賢者「あーケツかゆい……」ボリボリ
10 = 1 :
戦士「あの、大丈夫ですか?」
賢者「なにがぁ?」
戦士「いえ、体調が悪いのでは?」
賢者「いつものことだから心配すんな」
戦士「……」
賢者「それにしても別嬪だなぁ。あいつの娘とは思えないぜ。俺の嫁になるか?」
戦士「あの……」
賢者「なんだ?胡散臭いか?」
戦士「あと、お酒臭いです」
賢者「あっはっはっは。あいつの娘らしく辛辣じゃねえか」
戦士「す、すいません……」
賢者「まぁ、長い旅になりそうだし、仲良くしようや」
戦士「そうですね。では、握手を―――」
賢者「いくぞぉ」
戦士「あ、ちょっと待ってください!!」
11 = 1 :
賢者「買い物は済ませてるのか?」
戦士「はい。支給品もありますし」
賢者「そうかい」
戦士「あの、魔法が得意だと言っていましたけど……」
賢者「おう。相手を呪うモノから癒しのモノまで何でもできるぜぇ」
戦士「それって、ヒトの身でありながら魔を極めた所謂『賢者』と呼ばれる人のことですよね?」
賢者「そうだぞぉ。俺は賢いんだぜぇ?」
戦士「……」
賢者「そうは見えないってか?」
戦士「いえ……。人は見かけで判断するなと義父からも言われていますから」
賢者「ほーぉ?あいつがそんなことをねぇ……」
戦士「ですから、貴方のことも―――」
賢者「お、酒買っていくぞぉ」
戦士「え?!」
賢者「やっぱ、酒がねえとはじまんねぇからなぁ」
12 = 1 :
賢者「これだけありゃあ、なんとかなるかな」
戦士「……」
賢者「なんだよ?借りた金はちゃんと返すって」
戦士「酒代は貴方に支払うはずだった給金から引いておきます」
賢者「ひぇぇぇ……!!こんなところに悪魔がいやがるとは……!!」
戦士「あのですね……」
賢者「これだからションベンくせえガキは。大人の嗜みってものをしらねえからなぁ」
戦士「もういいですから。行きましょう」
賢者「あいよぉ」
戦士(大丈夫なの……)
賢者「心配すんなよ」
戦士「え?」
賢者「仕事はきっちりする。それが俺のポリシィだからよ」
戦士「……よろしくお願いします」
賢者「おぅ。まかせとけぇ」
13 :
やるじゃん
14 = 1 :
―――フィールド
賢者「で、なにすんだ?」
戦士「義父さんから何も聞いていないのですか?」
賢者「うん」
戦士「うんって……」
賢者「もったいぶらずに教えろよぉ」
戦士「王女様から3年前に魔王を倒した勇者を探して欲しいといわれたのです。王女様は勇者を婿にしようと考えているそうですよ」
賢者「そりゃあ、すごいなぁ。あの絶世の美女に見初められた男がいようとはなぁ」
戦士「王女様は恐らく勇者の顔を見たことなどないと思いますけど」
賢者「そうなのか?トロルみてえなツラだったらどうするんだろうな?」
戦士「100人の側室がいるみたいですし、それはないんじゃないでしょうか」
賢者「へえ。勇者ってそんなこともできるのかよ。かぁー、いるとことにはいるんだなぁ、そんな奴も」
戦士「個人的にそういう男性はあまり良いとは思いませんけどね」
賢者「英雄色を好むっていうだろぉ。世界を救ったっていうなら当然の権利でもあるとおもうぜ。あと優秀な遺伝子は沢山残したほうがいいしな」
戦士「知りませんよ、そんなこと」
15 = 1 :
賢者「あー、喉がかわいたなぁーっと」グビグビ
戦士「まだお昼前ですよ?」
賢者「かてーこというなよぉ。仲間だろぉ?」
戦士「そのような状態で魔物に襲われたとき対処できるんですか?」
賢者「うぃー」
戦士(義父さん……信頼していいんだよね……この人のこと……)
賢者「それにしても勇者かぁ……」グビッ
戦士「何か知っているんですか?」
賢者「嫌な肩書きだよなぁ……。国の、世界の命運を双肩にのっけられるんだぜ?肩こりにも限度があるっつーの」
戦士「それだけの実力があるからこそ、勇者に選ばれたのではないのですか?誉れ高いものです」
賢者「ははっ。それで四十肩になったら責任とってくれんのか?」
戦士「それはただの持病でしょ」
賢者「ああ、そうかい?」グビグビ
戦士「お酒はほどほどにしてくださいね」
賢者「あいよー。でも二日酔いには酒がきくんだぜぇ」
16 = 1 :
―――街
戦士「今日はここまでにしましょうか。情報も集めなければいけませんし」
賢者「お、じゃあ、酒場にいってくるぁ」
戦士「あ、ちょっと!!」
賢者「難しいこたぁ、お嬢ちゃんに任せた!!」
戦士「もう!!」
戦士(幸か不幸か、まだ戦闘はしていないし、あの人のことは分からない。見掛けで判断するなといわれても……)
戦士(でも、ああいう人ほど内に秘めた実力は素晴らしいものかもしれないし……。義父さんの紹介でもあるから大丈夫なんだろうけど)
戦士「さてと、勇者の手がかりがあるとは思えないけど、一応調べてみないと」
戦士「どこから聞いてみようか……。―――あの、すいません」
「なにか?」
戦士「この街で人が良く集まる場所はどこでしょうか?」
「それはやっぱり傭兵登録所じゃないかな?」
戦士(なるほど。確かに自然と冒険者が集まる場所だ。そこに行ってみよう)
戦士「ありがとうございます。そこへ行ってみます」
17 = 1 :
―――傭兵登録所
戦士(色んな人がいる……。誰がいいかな……)
少女「いらっしゃいませ。傭兵登録をご希望ですか?」
戦士「い、いえ。違うんです」
少女「では、傭兵を雇うのですね。どうぞこちらへ」
戦士「それでもないんです」
少女「それでもない?―――データにないお客様ですね。困りました」
戦士「人を探しているんです。ここなら色々な人もいるから情報が集まるかと思って……」
少女「なるほど。理にかなった行動です」
戦士「すいません。困らせてしまって」
少女「いえ。あなたのような人も来るということが学べてよかったです。感謝いたします」
戦士「そ、そうですか」
戦士(可愛い店員さん……)
少女「ところでお探しの人物は誰なのでしょうか?私のメモリーにある人物ならば照会できますが」
戦士「実は3年前に魔王を倒した勇者を探しています。何か知っていますか?」
18 = 1 :
少女「勇者……」
戦士「はい。って、知りませんよね」
少女「何故、その勇者を探しているのですか?」
戦士「色々とわけがありまして……」
少女「……」ジーッ
戦士「な、なに……?」
少女「残念ですが、貴女に有益な情報を提供することはできそうにありません」
戦士「そ、そうですか……」
少女「ここから西の山を越えた先にある国へ行ってみてはどうでしょうか?」
戦士「え?」
少女「貴女のいう勇者を輩出した国はそこだと思われます」
戦士「ねえ、魔王が勇者を倒したって話を信じるの?」
少女「なにか?」
戦士「だって、魔王は大艦隊が……」
少女「その真偽を確かめるために探しているのではないのですか?」
19 = 1 :
戦士「いえ、そういうことでは……」
少女「そうですか」
戦士「とにかく、行ってみます。ありがとう」
少女「いえ。真実を見ることができればいいですね」
戦士(勇者本人を見つければそのまま真相が見えてくるのかな……)
少女「私はこれにて仕事に戻ります」
戦士「はい。話を聞いてくれて助かりました」
少女「それでは。―――いらっしゃいませー!!」テテテッ
戦士(少し不思議な子だけど、いい子そう)
戦士「よし。情報も手に入れたし、合流しないと。もう出来上がってそうだけど……」
戦士「はぁ……。前途多難……」
店主「ああ、ちょっと」
戦士「なんですか?」
店主「旅してるなら、これ一応もっていってよ」
戦士「これは……」
20 = 13 :
作業に集中できない
21 = 1 :
―――酒場
賢者「うぃっぷ……」
戦士「いた。―――あの、大丈夫ですか?」
賢者「おっ。お嬢ちゃんかぁ。なんか耳寄りの情報でもあったかぁ?」
戦士(酒くさ……。これから街に着くたびにこうしなきゃいけないの……?)
戦士「一応、勇者の手がかりらしいものはありました。さ、そろそろ宿のほうへ」
賢者「おう?そうかい。そりゃあ、よかったなぁ」
戦士「どうして他人事なんですか」
賢者「おぉ?なら、なんていえばいい?―――うひょぉぉぉ!!やったぜぇぇぇ!?」
戦士「……とにかく宿へ戻りましょう」
賢者「うん」
戦士「素直ですね」
賢者「お嬢ちゃんみたいな別嬪に介抱してもらえるなら、どこでもついてくぜぇ?」
戦士「ちょっと、はなれてください……」
賢者「あっはっはっはっは。さぁ、行こうぜぇ」
22 = 1 :
―――宿屋
賢者「なるほどねぇ……。西の国に勇者が生まれた場所があるのかぁ……」グビグビ
戦士「そこでなら痕跡というか足跡を追えるような気がするんです」
賢者「ぷはぁ。なるほどねぇ」
戦士「魔王を倒した勇者がいるなんてまだ信じられませんけど」
賢者「大艦隊の一員ってだけかもしれないしなぁ」
戦士「そうですね」
賢者「お嬢ちゃん、勇者になんか思い出でもあんのかい?」
戦士「……勇者は好きではないんです」
賢者「100人も側室がいるからかぁ?」
戦士「いえ……。いいじゃないですか」
賢者「そうかい?まぁ、誰にでもあるわな。話したくないことぐらいは」
戦士「ああ、そうです。もう一つ、注意して欲しいことが。最近、各地で行方不明者が増加傾向にあるようです。行方不明者を見かけたら然るべき場所へ連絡を―――」
賢者「んごぉー!!んごぉー!!」
戦士「はぁ……。おやすみなさい……」
23 = 13 :
お前もお休みしちゃったのか?
24 :
期待で僕の胸がパルプンテしそうです><
25 :
乙乙!
26 :
―――寝室
戦士「ふぅ……。今日は疲れたなぁ。1日目からこれで大丈夫かな……」
戦士(義父さんは古い友人だって言ってたけど。明日にでもどこで知り合ったのか聞いてみようかな)
戦士「さっ。もう寝よう。明日は山越えになるんだし。魔物との戦闘もあるだろうし……」
戦士「んー……はぁ……」
戦士「寝よう」モゾモゾ
戦士「……」
『んぐぉー!!!んごぉー!!!』
戦士「……っ」
『んぐぐぐっ……んんっ……ぐごぉー……』
戦士「もう!!寝れない!!」
戦士「隣の部屋なのに。壁が薄いの……?」
戦士(義父さん……私……くじけそう……)
『んがぁー!!!』
戦士(もう……寝かせて……)ウルウル
27 = 26 :
―――翌日
戦士「……」
賢者「おーぅ。いい天気だなぁ」グビグビ
戦士「ええ……」
賢者「どしたぁ?目の下にくまができてんぞぉ」
戦士「なんでもないです」
賢者「そうかい?さーて、今日は山越えになるんだろぉ?大変だなぁねぇ」
戦士「ホントにそうですね」
賢者「うしっ。いくぞぉ」グビグビ
戦士「そんなにお酒飲んでいたら、体を悪くしますよ?」
賢者「ははっ。いらない気遣いだな」
戦士「ああ、そうですか。それより―――」
賢者「はいはい。行方不明者には気を配ればいいんだろぉ?わかってるよぉ」
戦士「……な、なら、いいんですが」
賢者「おっと。もう酒がねえな。新しいの買ってくるぁ。瓶で」
28 = 26 :
戦士(アルコール中毒なのかな……。それだと本格的にまずいような)
賢者「よーぅ。お嬢ちゃん。またせたなぁ。いくぞぉ」
戦士「……」
賢者「なんだぁ、その訝しい視線はぁ?俺はかしこいんだぜぇ?」
戦士「あの、私の義父さんとはどこで知り合ったんですか?」
賢者「あぁ。何も聞いてねえのか?」
戦士「古い友人とだけしか。義父はずっと王族に仕えて30年、遠征以外では外界に出たことのない人です。貴方のような人と知り合うタイミングはないと思うんですけど」
賢者「あの堅物がこんなアル中と友人だっていうのが信じられないってか?まぁ、そうだなぁ」
戦士「貴方も昔は城に?」
賢者「そんなときもあったな。もう何十年も前のことで忘れちまったけどよぉ」
戦士「何故、今は傭兵暮らしを?」
賢者「お嬢ちゃん、俺に気なんてつかわなくてもいいんだぜぇ?」
戦士「え?」
賢者「俺も伊達に年取ってねえからなぁ。お嬢ちゃんがきちんと言葉を選んでることぐらいわかるんだぜぇ?」
戦士「そ、そんなことは……」
29 = 26 :
賢者「まぁ、道中でゆっくり離してやるぁ。長い旅になるんだし、話題は残しておいたほうがいいだろ?」
戦士「これぐらいのこと今、教えてくれても」
賢者「年取るとなぁ、色々あんだよぉ。一言でいうなら、城に居たくなくなったからだけどな。でも、そういうとお嬢ちゃんは何故ですかぁ?って訊くだろ?」
戦士「それは当然です」
賢者「一気に喋るには、時間を食いすぎてんだよ。全部吐き出すにはそれだけの時間がいる。わかるだろぉ?」
戦士「確かにそうですね。申し訳ありません」
賢者「いいこだぁ。あいつの娘ってのが信じられんぐらいだぁ」
戦士「では、貴方のことは道中で時間を掛けて知っていくことにします」
賢者「おぅ。そうしてくれぇ」
戦士「それでは改めて出発しましょうか」
賢者「あいよぉ」
戦士(元は城に仕えていた神官か術士だったんだ。それなら義父さんと友人でもおかしくないし、義父さんが信頼しているっていうならきっと凄腕に違いない)
賢者「頭いてぇ……酒飲むかぁ……」グビグビ
戦士(そんな感じはないけど……。きっと戦闘になれば人が変わるはず)
賢者「うぃー」
30 = 26 :
―――山道
賢者「お嬢ちゃん、ちょいと待ってくれ」
戦士「どうしましたか?」
賢者「つかれた」
戦士「……」
賢者「あー。俺こと、お荷物とか思ってるなぁ?」
戦士「そんなこと思ってません。休憩するには少し早いと思っただけです」
賢者「それって、同じ意味じゃねぇかよぉ」
戦士「疲れたというなら休息にしましょう」
賢者「たすかるぅ」
戦士「しかし、油断はしないでくださいね。この山は魔物の巣窟になっているのです。いいですか?3年前、魔王が倒されてから魔物の生息域に変化がありました」
賢者「うぃー?」
戦士「以前、この山は特別注意するような魔物も居ませんでしたが、今では手ごわい魔物も―――」
賢者「おぉ。それって、今、お嬢ちゃんの後ろにいる熊みてぇなやつかい?」
戦士「え……?」
31 = 26 :
グリズリー「ウゥゥゥゥゥ……!!!!!」
戦士「くっ……。少し前の調査ではこんな魔物、居なかったのに……」
賢者「魔物も居場所を求めてフラフラしてやがんだなぁ」
戦士(私の実力で叶うかどうか……。でも、こっちには仮にも魔を極めし『賢者』がいる)
賢者「うぃっぷ」
戦士(勝てる……!!)
グリズリー「オォォォ……!!!」
戦士「行きます!!」
賢者「おっ。がんばれぇ」グビグビ
戦士「何を言っているのですか?!貴方も戦ってください!!」
賢者「いや、俺さぁ、二日酔いで」
戦士「何を言って―――」
賢者「くるぞぉ」
戦士「くっ!?」
グリズリー「グォォォォ!!!!」
32 = 26 :
戦士「でぁぁぁ!!」ザンッ
グリズリー「グォ!!」
戦士(くそ……!!攻撃はかわせても、こちらの剣では殆ど傷を負わせられない!!皮膚が堅すぎる!!)
グリズリー「グォォォ!!!」ブゥン
戦士「きゃっ?!」
賢者「あぶねぇなぁ、お嬢ちゃん。突っ込みすぎじゃねえかい?」グビグビ
戦士「そう思うなら援護を!!」
賢者「おっ。火でも放てばいいのかい?」
戦士「それでお願いします!!」
賢者「おっし。まかせなぁ。―――もーえろよ、もえろーよぉ、炎よもーえーろぉ……ありゃ、火がでねえや。最近、魔法なんて使ってなかったから、腕がさび付いたかな?」
戦士(駄目だ……この人……)
戦士「なら、私の後ろにいてください!!!」
賢者「あいよぉ。薬草はあっから、だいじょうぶだぁ」
戦士「くっそぉぉぉぉ!!!!」
グリズリー「オォォォォ!!!!」
33 = 26 :
戦士「はぁ……はぁ……はぁ……もう……だめぇ……」ヘナヘナ
賢者「すっげぇなぁ。非力なのにあの凶暴な熊を倒しやがった」
戦士「はぁ……はぁ……。さぁ、ここは危険ということは分かったでしょう……。先を急ぎます」
賢者「あいつも生半可な鍛え方はさせてねえわけか。くっくっくっく……溺愛している割にはスパルタだなぁ……」
戦士「何が言いたいんですか?」
賢者「いや、なぁに。心の底から関心してるんだよぉ。お嬢ちゃんの強さにな。一端の戦士じゃねえか」
戦士「いえ。まだまだです。実力でいうならば私なんて下の下ですから」
賢者「そうかい……。いい性格してんなぁ、お嬢ちゃん」
戦士「なんですか?」
賢者「んや、何でもない。あぁー、お嬢ちゃんの言うとおり、ここに留まるのはあぶねえな。さっさと峠を攻めて、下山しようぜ」
戦士「はい……はぁ……」
賢者「疲れてるなぁ。元気の素でもいるか?」
戦士「なにか癒しの魔法を?」
賢者「じゃーん。酒だ。未成年だからって気にすんな。みんなのんでるだろぉ?」
戦士(帰ったら義父さんに文句の一つぐらい言おう……)
34 = 26 :
―――城下町
戦士「情報収集は明日にしましょう……」
賢者「そうか?なら、俺は心置きなく酒場にいけるなっ」
戦士「……私に遠慮なんてしてないですよね?」
賢者「んじゃな!!」
戦士「もういや……」
戦士(今からでも傭兵の契約を無かったことにできないかな……。ここにも傭兵登録所はあるし、代わりの人でも……)
戦士「……いや、流石にそんなことできないか」
戦士(それにしても……。この街から勇者が……)
戦士「勇者……」
戦士(私情は捨てないと。これは任務なんだから)
「あの。旅の方でしょうか?」
戦士「はい。そうですが」
「途中、この子を見かけませんでしたか?うちの娘なんです……」
戦士「いえ、申し訳ありませんが見かけていません。力になれず、すいません」
35 = 26 :
「いえ、見かけたらご連絡お願いいたします」
戦士「はい」
戦士(この国でも行方不明者は増加傾向にあるんだ……。一体、誰が……)
戦士(一度、徹底的に調査するべきことも知れない。もし獰猛な魔物が人を食っているとしたら、ようやく安定してきた交易にも影響が出るし)
戦士(この任務が終わったら王女様に陳情しないと)
戦士「今はとにかく宿へ……。疲れちゃったし……」
「野郎どもぉ!!!今日の稼ぎをキャプテンに報告するぞぉ!!!」
「「おぉー!!!」」
戦士「ん?なんだろ……あの人だかり……」
戦士(まぁ、いいか……。それにしても人相の悪い人たち……。キャプテンって海賊とかかな)
「キャプテン!!本日の成果です!!!」
キャプテン「そうかい!!よくやったよ、お前たち!!ゆっくり休みなぁ!!」
「「へい!!」」
戦士(眼帯の女の人まで……。この街、海賊が幅を利かせてるってこと?治安はあまりよくなさそうだけど、本当にここから勇者が……?)
キャプテン「こんだけありゃあ、十分だね。さてと持ってくか」
36 = 26 :
―――宿屋
店主「では、二部屋を使用ということですね。料金はこちらになります」
戦士「はい。では、これで」
店主「どうも。こちらが部屋のキーです」
戦士「分かりました。……あの、いいですか?」
店主「なんです?」
戦士「この街、海賊がいるんですか?」
店主「あれ?あんた、あの人たちのこと知らないのか?」
戦士「え?」
店主「魔王を倒した大英雄の一団だぞ?」
戦士「あ!!そうだ!!あの人たちは大艦隊の!!」
店主「3年前のことは言え、英雄の顔を忘れちゃいかんだろうに」
戦士「あの!!あの人たちはこの時間帯ならどこにいるんですか?!」
店主「郊外に大きな屋敷があるんだけど、今ならきっとそこで―――」
戦士「あ、ありがとうございます!!少し出かけてきます!!」
37 = 26 :
―――屋敷
戦士「ここだ……。あの人たちなら、きっと勇者のことを―――」
船員「誰だ!?ここは大漁船団の屋敷だぞ!!」
戦士「あ、あの。私は隣国の兵士で……とある任務のためにここへやってきました」
船員「任務だと?」
戦士「3年前、魔王を倒したという勇者を探しているんです」
船員「なんでだ?」
戦士「我が国の王女が勇者を夫として迎え入れたいと言っていて……」
船員「……ちょっと待ってな」
戦士「は、はい」
戦士(居場所は分からなくても足取りは終えるかもしれない……)
船員「おう。入ってきな」
戦士「はい」
戦士(勇者……。こんなにも早く手がかりを掴めるなんて)
船員「キャプテン。この女です。勇者のことを知りたいと言ってます」
38 = 26 :
キャプテン「ふぅん。アンタみたいな奴、もうこの世にはいないと思っていたけど、まだしぶとく生き残ってたのかい」
戦士「え?」
キャプテン「勇者なんてものはいないよ。魔王はあたしがぶったおしたからね」
戦士「……」
キャプテン「魔王が死んだときはよく居たんだよね、アンタみたいに海賊を信用しようとしなかったバカは。まぁ、もうめっきり見なくなったけど」
戦士「勇者は居ないんですか?」
キャプテン「そう言ってるだろ?強いていうなら、あたしが勇者だねっ」
「キャプテン!!かっこいいっす!!」
「マジ、サイコー!!」
キャプテン「あっはっはっはっは!!もっと言いな!!」
戦士「やはりそうだったのですか」
キャプテン「ん?」
戦士「この世に勇者は居なかったのですね」
キャプテン「やけに嬉しそうだね。どういうことだい?」
戦士「勇者なんて存在しないって、私は知っていますから」
39 = 26 :
キャプテン「ほう?根拠はあるんだろうね?」
戦士「勇者も人間です。敵わないと思えばすぐに逃げ出す」
キャプテン「なっ……!?」
戦士「自分の身が一番大事なんですから、当然と言えば当然のことなんですが―――」
キャプテン「このアマ……」チャカ
戦士「!?」
「キャプテン!!銃はやばいっす!!」
「押さえてください!!」
戦士「な、なんですか……」
キャプテン「それはダーリ……じゃなくて、あたしを小馬鹿にしているということでいいんだね?」
戦士「ち、違います。貴方のように自分の身を省みず、畏怖すべき者へ銃口を向けることのできる人は確かに勇者と言えるでしょう」
キャプテン「……」
戦士「ですが、後に勇者と呼ばれる人は居ても、最初から勇者と呼ばれているような人はいないんです」
キャプテン「昔から色んな国から勇者ってのがポンポン出ていた気がするけどねぇ」
戦士「勇者は選ばれるものではない。選ばれた者たちは皆、普通の人間だった。残酷なまでに弱い人だったんです。私はそんな勇者を知っているんです」
40 = 26 :
キャプテン「勇者に親でも殺されたのかい?」
戦士「ある意味ではそうです」
キャプテン「……聞きたいねぇ。あんたの知っている勇者がどんなものだったのかを」
戦士「長くなりますよ」
キャプテン「長くなるっていってるよ、お前たち」
「飲み物は!?」
戦士「み、水で結構です」
「キャプテンは?!」
キャプテン「いつものにきまってんだろ?!」
「マンゴージュースですね?!」
キャプテン「そうだけど、言うな!!」
戦士「……」
キャプテン「……あん?海を叉にかけるあたしが酒飲めないって思ってるのかい?」
戦士「別に……」
キャプテン「アルコールは子を身篭ったときに悪影響が出るってきいてね。それ以来、断ってんのさ。昔は樽ごと飲んでたんだけどね」
41 = 26 :
戦士「―――10年前のことになります。私は小さな農村に住んでいました。父と母、歳の離れた姉と一緒に」
キャプテン「戦火に巻き込まれたのかい?」
戦士「そうですね。正確には村の近くに魔物が住み着いたのです。私たちはその魔物に怯える日々でした」
キャプテン「よく聞く話さね」
戦士「農作物を荒らされることは日常茶飯事で、時には村人が食われたときもあります」
キャプテン「世界に無数といる孤児はそういう経験をしてるよ」
戦士「そうですね。ですが、直接勇者一行が救いの手を差し伸べてくれたことを経験した人はあまりいないはずです」
キャプテン「アンタはその経験者なのかい?」
戦士「はい。ある日、勇者が村に訪れ、魔物を倒すと宣言してくれました。私も両親も姉も……村人全員が喜びました。これで平和が戻ると」
キャプテン「だが、叶わなかった」
戦士「数日後、勇者一行が村に戻ってきて言いました。「私たちでは倒せなかった。魔物たちは傷つけられたことに腹を立て、この村を襲うでしょう。今すぐに逃げてください」と」
戦士「勇者たちは私たちが逃げる時間を稼ぐわけでもなく、真っ先に逃げ出しました。そのすぐ後、村は襲われ、私を残して皆殺されてしまった」
キャプテン「アンタはなんで助かったんだい?」
戦士「両親が守ってくれたんです。地下室……といっても子供でも窮屈なぐらいの物置でしたけど。その中へ入れと……」
キャプテン「それで勇者のことを弱いと決め付けているわけだね?」
42 = 26 :
戦士「勇者はいません。勇者とは貴女のように結果を残した者に送られる称号でしかないのですから」
キャプテン「でも、一度は村のために戦ってくれたんだ。なのに勇者を責めるなんて酷な話じゃないかい?」
戦士「それでも勇者が少しでも勇気を見せ、時間を稼いでくれたなら家族を失うことはなかった。勇者も普通の人間なんです。勇者という肩書きを持たせるから、己も周囲も勘違いするんです」
戦士「勇者は優れている、と。優れた勇者などいないのに。ただの人間が勇者という鎧を身につけただけなのに……」
キャプテン「ふっ……ふふふ……あはははははは!」
戦士「なんですか?」
キャプテン「アンタの気持ちは分からなくもないし、優れた勇者なんていないっていう考えは合っているけどね。けど、それだけで弱いと決め付けるのは視野が狭いんじゃないのかい?」
戦士「なにを……!!」
キャプテン「気が変わっちまったね……。アンタ、女で一人旅ってわけじゃないんだろ?」
戦士「え、ええ……」
キャプテン「連れはどこにいるんだい?」
戦士「街の酒場にいると思いますけど……」
キャプテン「今すぐ、連れてきな」
戦士「何故ですか?」
キャプテン「会わせてやろうじゃないか。アンタの大嫌いな勇者にさ」
43 = 26 :
戦士「は、はい?」
キャプテン「なんだい?」
戦士「い、いえ、勇者に会わせるって……貴女が勇者なのでは……?」
キャプテン「ぅんや、違うけど?」
戦士「でも、さっき……!!」
キャプテン「いやぁ、ダーリンは恥ずかしがりやだからね。本当のことはなるべく言わないでほしいって言われてんのさ」
戦士「本当のこと?」
キャプテン「まあ、緘口令を敷いているわけでもないから、どうしてもいうとき……つまり、今みたいなときは言ってもいいってことになってるんだよ」
戦士「魔王を倒した者がいると?」
キャプテン「そうさ。勇者に選ばれた男がね」
戦士「……」
キャプテン「今はちょいと野暮用である国にいるんだけど、会おうと思えばいつでも会えるってわけだ」
戦士(勇者に会える……)
キャプテン「あたしが会わせてやるって言ったんだ。文句はないね?」
戦士「……はい。お願いします」
44 :
乙
ひょっとして、すごい美人で有能なやつの続編?
45 :
過去作見てないと楽しめ無いくせに、シリーズ物じゃ無い振りすんじゃねえよ
46 :
おつ
期待してます
47 :
今前作のやつ読んできた!
続編に期待!
48 :
酒場でなんちゃらの奴か
キャプテン出るまでわからんかった
49 :
あの人か、期待!
>>45
別に過去作読んでなくてもこれはこれで楽しいからよくね?
読んでたらさらに楽しめるって感じでさ
みんなの評価 : ★
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