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    元スレ女戦士「元・勇者を探す旅へ」

    SS+覧 / PC版 /
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    851 :

    俺の予想

    852 = 825 :

    乙!

    まだまだ何が起こるかわからんな
    エロフのベールが剥がされはじめたのも含めて

    853 :

    乙!
    今、一番楽しんで読んでるSSだ

    854 :

    乙!
    真面目な話でかっこいいと思いつつ、所々のエロが心をくすぐってくるぜぇ。

    855 :

    側近達の可愛さMAX

    青年→勇者
    の流れが熱い

    856 :

    やっぱ面白すぎる

    色々気になる事がありすぎてwktkがががが

    857 :

    ハーピー姉さんが読めない…。百合なの?

    858 :


    素晴らしいとしか言いようがない

    859 :

    ―――通路

    勇者「要は空まで持ち上げていって、上空から撒き散らす感じですよ」

    ハーピー「それは有効なのかえ」

    勇者「血の雨を浴びる勇者ってかっこよくないですか」

    ハーピー「おぬしが浴びたいだけだろうに」

    勇者「結構名案だと思うんですけど」

    戦士「何をしているんですか?」

    勇者「どうも、ハニー」

    戦士「誰がハニーですか」

    勇者「では、マイワイフ?」

    戦士「……おやすみなさい」

    勇者「待ってくださいよ。僕とピロートークをしたいがために話しかけてこられたのでは?」

    戦士「違います」

    ハーピー「では、わらわは失礼する。また明日」

    勇者「はい。お疲れ様です、ハーピー姉さん」

    860 = 859 :

    戦士「貴方が会議後も一人一人と話しているのが目に入って少し気になっただけです」

    勇者「ああ、そうですか。なに、側室たちに僕から溢れ出る愛を振りまいていたのですよ」

    戦士「そうですか……」

    勇者「無論、最後には貴女の耳元で静かに、濃厚な愛情を囁こうと思っていましたが」

    戦士「……」

    勇者「怒っていますか?貴女に全てを語らなかったことを」

    戦士「いえ。出会ったときに貴方の過去を聞いたところで、ただ困惑……いえ、恐らくは激昂し、感情をぶつけていただけでしょう」

    勇者「……」

    戦士「今のように、落ち着いて貴方と話せるのは、この短い間に勇者という存在がどのようなものだったのかを知ったからでしょうね」

    勇者「どうでしたか、実物の勇者は」

    戦士「悪い方向でイメージが崩れましたね。一人は救いようのない女たらしですし」

    勇者「そのたらしに誑し込まれた女性がここにも」

    戦士「私は貴方に篭絡されてなどいません!!」

    勇者「これは摩訶不思議ですね。こんなにも内も外もカッコいい、しかも勇者の男性がいて、惚れないなんて……。うーむ、貴女には体の隅々まで男性を教え込む必要がありそうです」

    戦士「それ以上近づいたから斬る」

    861 = 859 :

    >>860
    戦士「それ以上近づいたから斬る」

    戦士「それ以上近づいたら斬る」

    862 = 859 :

    勇者「相変わらずの男嫌いですね」

    戦士「違います。不潔な男性が嫌いなだけです」

    勇者「昔から僕は嫌われていましたからね」

    戦士「それは……」

    勇者「いつも姉さんの後ろにいた貴女がそうして勇ましく剣を握る様は、中々感慨深いものがありますね」

    戦士「年寄りみたいなこと言わないでくださいよ」

    勇者「いえいえ。お兄ちゃんとしてはそう思いますって」

    戦士「誰がお兄ちゃんですか、誰が」

    勇者「そう呼び合う仲になっていたかもしれない。今は、お前、アナタと呼び合う仲ですから、いやはや、人生とは何があるか分かりませんね」

    戦士「……やっぱり、勇者は嫌いです」

    勇者「……もう一人も?」

    戦士「もう一人の勇者は外道でした。私が幼少に見た勇者とは比べ物にならないほどの、下衆です」

    勇者「僕もそう思います」

    戦士「……ですが、彼を変えたのは私たちでした」

    勇者「……」

    863 = 859 :

    戦士「私は……あの人も救いたい……」

    勇者「……」

    戦士「貴方はキマイラだけを倒すといいました。それは……」

    勇者「ええ。殺すのはキマイラだけです」

    戦士「よかった……」

    勇者「ただし」

    戦士「……え?」

    勇者「それは僕らが殺すのは……という意味です」

    戦士「どういうことですか?」

    勇者「全力を出します。最善も尽くす。それでも、僕の知らないところで死んでしまった者は救えない」

    戦士「……!」

    勇者「僕は神ではない。勇者ではあるけど、ただの人間。貴女の家族、友人、全てを守る。それは約束する。けれど……」

    戦士「もう死んでいたら……」

    勇者「殺人兵器にされているのだとすれば、心が破壊されているかもしれない。そうなっては手立てはない。10年もの時間をかけて操作していったのなら、尚更だ」

    戦士「……っ」

    864 = 859 :

    勇者「ですが、悲観することはないでしょう」

    戦士「何を根拠に」

    勇者「俺が居るからな」

    戦士「な……」

    勇者「心配はいらない。全て救う。絶対にな」

    戦士「……絶対ですよ?」

    勇者「ああ。期待しててくれ」

    戦士「もし約束が守られなければ?」

    勇者「それはまずないですけど……。貴女を側室にするのを諦めましょうか」

    戦士「……は?」

    勇者「これは大英断です!!!もし!!!貴女を諦めないといけなくなれば!!!僕はまた!!!!世界を飛び回り!!!貴女と同格以上の美貌の持ち主を探さなければいけない!!!」

    勇者「うーむ!!これは困ったぞぉ!!貴女以上の美人なんてこの世に何人いるのか……。一人もいないんじゃないかなぁ……」

    戦士「何を言っているんですか。あの捕らえたミイラを側室にしたらいいでしょう」

    勇者「ミーちゃんは確かに抜群の美貌をあの包帯の下に隠していましたが、あの子にはきっぱり断られてしまいましたからね。残念です」

    戦士「私もずっときっぱり断っていますが」

    866 = 859 :

    勇者「義妹に拒否権なんてねぇよ、カス」

    戦士「……」

    勇者「妹キャラは既にリビンちゃんこと魔王ちゃんがいるんですが、僕のことを鬱陶しいと蔑み、扱う妹は居ませんからね……。貴女には僕のマゾ魂を擽ってもらいます」

    戦士「私にそんな趣味もないし、別に蔑んでなんていませんから」

    勇者「おや、そうなんですか?お尻ペンペンもダメですか?」

    戦士「不潔なことは言うなって言っているでしょう!?」

    勇者「不潔って……これほどまでに真っ白な心を持っているのは世界広しといえど僕ぐらいだと思うんですけど」

    戦士「随分と色褪せた白ですね」

    勇者「おやおや、さっそく頂きました。もっと苛めて」

    戦士「キモイです。本当に村にいたときのお兄さんなんですか……」

    勇者「僕がかっこよくなりすぎて実感がわきませんか?白馬ぐらい飼っておくべきでしたね」

    戦士「付き合ってられません」

    勇者「ああ、そうそう。これは言っておかないと」

    戦士「なんですか?」

    勇者「俺が君を幸せにする」

    867 = 859 :

    戦士「……」

    勇者「さぁ、側室になろうよ。楽しいよ。夜とか」

    戦士「……幸せにできるのなら、お願いしたいところですが」

    勇者「お」

    戦士「生憎、私は勇者が嫌いです」

    勇者「そうですか」

    戦士「私が見た勇者は臆病者か軟派者かアル中のどれかでした。好きになれるほうがおかしいでしょう」

    勇者「素直になりなよ、ベイビー」

    戦士「黙れ」

    勇者「不安なのは分かります。僕も出来れば戦いたくはないですよ。勇者なんかと」

    戦士「……!」

    勇者「それに貴女の場合は家族が人質になっている。本心はここを出て、親の顔を見たいはずです」

    戦士「私はもう決めましたから。戦うことを」

    勇者「いえ、迷ったままでいてください。もし決断してしまうと、貴女は誰かの血を見ることになるかもしれませんし」

    戦士「どうしてですか?迷いがあっては戦場で戦えません」

    868 = 859 :

    勇者「では、戦うと決心し、戦場へ赴いたとしましょう。戦場では襲い掛かってくるものは全て敵です」

    戦士「ええ」

    勇者「貴女のお父さんが襲ってきたとき、容赦なく斬ってしまうかもしれない。友人が牙を剥いた時、貴女は躊躇いなくその剣を喉笛を切り裂くかもしれない」

    戦士「そんなことはしない」

    勇者「いえ。自分の身が危ないと感じたとき、或いは仲間を救うとき、その決断は悲しい選択をする」

    戦士「どうして……そんなことがわかるんですか……」

    勇者「僕の側室に一人、そういう決断をし続け、仲間を見殺しにし、そして自分を殺してきたやつがいるんで」

    戦士「……」

    勇者「決意すると結構なんでもやれちゃうみたいです。そして、あとになって自分が何をしてきたことに絶望する」

    戦士「絶望……?」

    勇者「今、前線に出ているのはなるべく部下に辛い想いをさせたくないという気持ちの表れだと思います。世界中を飛び回っているのも、自分が殺してきた同胞の弔いと償いのようですし」

    戦士「それって……ドラゴ……」

    勇者「あ、これ内緒にしておいてくださいね。怒りますから」

    戦士「は、はい……」

    勇者「まぁ、斬るのではなく、逃げる。それを心がけていれば大丈夫ですよ。あとは僕たちに任せて、貴女は貴女の仕事をしてくれたらいい」

    869 = 859 :

    >>868
    勇者「貴女のお父さんが襲ってきたとき、容赦なく斬ってしまうかもしれない。友人が牙を剥いた時、貴女は躊躇いなくその剣を喉笛を切り裂くかもしれない」

    勇者「貴女のお父さんが襲ってきたとき、容赦なく斬ってしまうかもしれない。友人が牙を剥いた時、貴女は躊躇いなくその剣で喉笛を切り裂くかもしれない」

    870 = 859 :

    戦士「私の仕事……」

    勇者「はい」

    戦士「私はキマイラと関係ないですからね」

    勇者「何か不満でも?」

    戦士「……関係ないわけないでしょう。私はキマイラの所為で貴方を探すことになり、ここにいるわけですから」

    勇者「まぁ、そうですけど……」

    戦士「私にもできること、させてもらえませんか?ただ、兵の動きを予測して、貴方達に指示を出すだけなんて……」

    勇者「重要な仕事ですが」

    戦士「そうかもしれません。でも……私も……」

    勇者「直接、戦うことになってもいいのですね?」

    戦士「……足止め役は多いほうがいいでしょう」

    勇者「分かりました。考えておきます」

    戦士「ありがとうございます」

    勇者「それでは。……一緒に寝ます?」

    戦士「寝言は寝てから言うものです」

    871 = 859 :

    ―――食堂

    戦士(ああはいったけど、私にできることはどれぐらいあるんだろう……)

    魔法使い「だから。あんたは私と手を繋いでいればいいの」

    僧侶「でも勇者様がお怪我してしまったとき大変です」

    魔法使い「繋いだままだとアイツが動き難いでしょ?」

    僧侶「確かにそうですけど。あ、私が背中にくっついておくってどうですか?以前の魔王との最終決戦でもゴンちゃんにそんなことしてました」

    魔法使い「胴体のでかさを考えなさいよ!!」

    戦士「楽しそうですね。打ち合わせですか?」

    僧侶「はい。勇者様のお役に立ちたいですから。それに……」

    戦士「それに?」

    僧侶「……どうしても倒したいんです。キマイラだけは」

    戦士「え……」

    戦士(この人、こんな怖い顔するときもあるんだ……)

    魔法使い「もう話は聞いているでしょうけど、キマイラがやっていることは生命力の抽出っていう殺戮。みんなそうだけど、この子はとくにそういう奴が大嫌いでね」

    僧侶「人だけでなく、生き物の命を玩具のように扱うことだけは絶対に、絶対に許せません。私が天罰を与えますっ」

    872 = 859 :

    魔法使い「はいはい。熱くならないで」

    僧侶「でも」

    魔法使い「その所為で何回、私に迷惑かけたか覚えてるの?」

    僧侶「……」

    戦士「何かあったんですか?」

    魔法使い「この子、普段は魔封じの腕輪で魔力漏れを防いでいるからいいんだけど、この腕輪をとって攻撃用の魔法を使うものなら例外なく暴走しちゃうのよね」

    戦士「まぁ、魔力を止められないというなら、そうでしょうね」

    魔法使い「止められないならまだしも、全魔力を放出するから威力も桁違いなのよね。敵味方関係なく危険なのよ」

    戦士「なるほど」

    僧侶「昔のことはいいじゃないですか」

    魔法使い「昔って。こっちが死に掛けたことだってあるでしょ?」

    僧侶「それは、ごめんなさい」

    魔法使い「もう」

    戦士「お二人はまるで姉妹のようですね。付き合いは長いのですか?」

    魔法使い「んー。孤児院からだから……もう10年くらい経つわね」

    873 :

    僧侶と魔法使いの過去バナクル―――――?

    874 = 859 :

    戦士「孤児院……。あ、すいません……」

    魔法使い「貴女も同じような境遇でしょ?」

    戦士「それは……」

    僧侶「そうですかぁ。もう10年ですかぁ」

    魔法使い「まぁ、そのうちの半分以上は魔法の修行に費やしたけど」

    僧侶「よかったですね。勇者様に出会えて」

    魔法使い「なんでよ」

    僧侶「逃した青春を取り戻せたって言ってませんでしたか?」

    魔法使い「が……」

    戦士「なるほど」

    魔法使い「それは!!あれよ!!こう、ほら!!汗を流すことができるからで!!!」

    戦士「不潔な話ですね?やめてください」

    魔法使い「ちっがうわよ!!!もっと爽やかなほうよ!!!」

    僧侶「勇者様の汗はいつでも爽やかですもんね」

    魔法使い「あんたも変なこと言わないで!!」

    875 = 859 :

    戦士「私は魔法を扱える素養がないのでよく分かりませんが、やはりかなり苦しいものなのですか?」

    魔法使い「師匠によるわね。私の師は厳しい人だったけど、最後まで面倒を見てくれたわ。体質的に欠陥だらけなのに」

    戦士「どうしてその体質で魔法を……?」

    魔法使い「そもそも師匠が私を誘ってきたのよね。君には才能があるって。なかったけど」

    戦士「でも、結果的に貴女は世界を救うほどの魔法使いになった。その師は間違いなく慧眼だったのでしょう」

    魔法使い「そうなるのかしらね」

    僧侶「私の先生は私のこと褒めてくれていましたよ。貴女は聖母の生まれ変わりだーって」

    戦士「触れた者を癒すと聞けば、何となくそんな感じですね」

    僧侶「いえ、当時は誰もそのことに気がついていませんでした。ただ、自然治癒ができるからすごいって言っているだけでしたね」

    戦士「はぁ……」

    僧侶「僧侶としての仕事をこなしたことなんて、勇者様と出会うまではありませんでしたし」

    魔法使い「私もよ。そう言う意味では、アイツは第二の師匠なのかもしれないけど」

    僧侶「違います。ご主人様です」

    魔法使い「それ、外で言ってないわよね?」

    戦士(私も剣の技術は義父さんに教えてもらった……。孤児の私にとって、義父さんは父親であり、師匠だった……)

    876 :

    もう少しだけ待ってみようかな

    877 :

    さすがに寝たか?

    878 :

    僧侶「さぁ……」

    魔法使い「さぁって……」

    戦士「あの、その師匠が敵になったら、貴方達はそうされますか?」

    魔法使い「え?」

    戦士「その師匠が大切な人を傷つけるとしたら、どうしますか?」

    魔法使い「それって……」

    戦士「聞かせてもらえますか?」

    魔法使い「……」

    僧侶「私はどちらも救う方法を探します」

    戦士「それでもなかったら」

    僧侶「見つけるまで探します。どちらも失いたくないですから」

    戦士「貴女らしいですね」

    魔法使い「私は……師匠を殺めるかもね……」

    僧侶「何故ですか?」

    魔法使い「勿論、両方を助けられるならそれに越したことはないけど、どちらかを選べと言われたら……」

    879 = 878 :

    戦士「大切な人を選ぶ理由は?」

    魔法使い「私にとってそれだけの存在だから、かもね」

    戦士「……」

    僧侶「ほぉー……」

    魔法使い「え?なに?」

    戦士「ご馳走様です」

    魔法使い「な!!勝手な勘違いしないで!!別にそういうのじゃないから!!」

    戦士「では、なんですか?」

    魔法使い「えーと……。ほら、生き方を教えてくれたか、それとも生きる希望を与えてくれたかで言えば、後者のほうが私にとって凄くプラスだからで……」

    戦士「……」

    魔法使い「それだけじゃなくて、私自身も変えてくれたっていうか……」

    僧侶「そうですよね。とても魅力的ですかね」

    魔法使い「馬鹿のことは関係ないでしょ!!」

    戦士「誰も彼のことだと言っていません」

    魔法使い「と、とにかく!!色々と考えて、共に生きていくうえでり、利用価値があるほうを選ぶのが現実的だと思わない?そういうことよ」

    880 = 878 :

    僧侶「また語弊のある言い方を……」

    魔法使い「なによ?」

    僧侶「一緒にいたい人だって素直に―――」

    魔法使い「その口を溶接してあげるわ……」

    僧侶「ひぃ」

    戦士「……なるほど。参考になりました」

    魔法使い「そう?なら、よかったけど」

    戦士「それでは失礼します」

    魔法使い「気負わないでね」

    僧侶「私たちも頑張りますから」

    戦士「……はい」

    魔法使い「おやすみ」

    戦士「おやすみなさい」

    僧侶「……辛そうですね」

    魔法使い「そうね……。私がうまくフォローできればいいけど」

    881 = 878 :

    ―――客間

    戦士「……」

    戦士(共に生きて生きたいと思うほう……)

    戦士(彼のことを疑っているわけじゃない。寧ろ、私は……勇者に全幅の信頼を寄せている……気がする)

    戦士(でも、もしも……)

    戦士(傀儡となった義父さんが、私に……ううん、みんなに刃を向けたなら……)

    戦士(私が……義父さんを……この手で……この剣で……)


    戦士『こうですか?』

    兵士長『筋がいいな。やるじゃないか』

    戦士『でも、まだまだです。何より私には筋力が……』

    兵士長『それを補うだけの技量がある。自信を持て』

    戦士『技量だけでは限界もありますよ』

    兵士長『確かにな。なら、この剣をやろう。俺が昔、愛用していた剣だ。これを自在に振り回せるようになることを目指してみるっていうのはどうだ?目標があるほうがいいだろ?』


    戦士「……素振りでもしようかな」

    882 = 878 :

    ―――翌日 謁見の間

    ゾンビ「くるしゅうーない」

    戦士「今朝から城内が騒がしいようですが、何かあったのですか?」ナデナデ

    ソンビ「しらなーい」

    戦士「……本当に魔王なの?」

    ゾンビ「うー」

    戦士「……」

    ドラゴン「―――魔王様。ご報告が」

    ゾンビ「うー?」

    ドラゴン「牢屋に閉じ込めておいたキマイラの一派が逃げ出した」

    ゾンビ「うー!?」

    戦士「なんで……!?」

    ドラゴン「脱獄の手引きをしたのはゴーレムのようです。奴の姿もなくなっています」

    ゾンビ「うー……レムにぃ……」

    戦士(まさか……これもあの人が……?)

    883 = 878 :

    ドラゴン「行方はすぐに追わしているが、恐らく……」

    戦士「……私のいた城ですね」

    ドラゴン「そこしかありえないだろうな……」

    戦士「……」

    ゾンビ「おにぃちゃんは?」

    ドラゴン「ハーピーと共に事実確認に向かっている。他の者は待機しているのでどんな事態にも対応は可能です」

    ゾンビ「じゅんびはできてるぅー?」

    ドラゴン「船団からの報告がまだのため、あと1日以上は攻め込めない」

    ゾンビ「うー……。おねぇちゃん、どうするぅ?」

    戦士「私に言われても……」

    ドラゴン「お前にも決定権があるぞ」

    戦士「え?」

    ドラゴン「数人の隊ではあるが前線指揮官はお前のようだ。勇者がそう言っていた。向こうの戦術を把握し、地の利も理解しているのあれば妥当な配役だと思うがな」

    戦士「指揮官って!!私は基本的には後方支援で……!!」

    ドラゴン「それでもお前は前に出て戦いたいと言ったそうだな。父を止めるためか。それとも誰かが誤って殺害してしまうのを防ぐためかは知らないが」

    884 = 878 :

    戦士「それは……」

    ドラゴン「俺を顎で使える好機だぞ」

    戦士「そんなつもりはありません」

    ドラゴン「そうか」

    ゾンビ「とにかくうー。おにぃちゃんがかえってくるまで、まつ?」

    ドラゴン「それでいいか?」

    戦士「しかし、1日も待っていたら余計な猶予を与えてしまうのも確かですね……」

    ドラゴン「ほう?」

    戦士「こちらの準備はほぼ整っているわけですから、今から攻め込めば相手の意表をつけるかもしれません」

    ドラゴン「つまり、今から総攻撃をかけたいわけか」

    戦士「え……?いえ、そんなつもりは……」

    ドラゴン「実は言うと俺もそう考えていた。ただ、一つ懸念があるとすれば……。あの男の罠ではないかという線も捨て切れない」

    戦士「ゴーレムたちの離反が挑発だと?」

    ドラゴン「ああ。我らの行動を読みきった上でのな」

    戦士「どちらにせよ、各地に散らばるキマイラの一派を呼ばれては戦力差が大きくなり、戦火は広がってしまうばかりですから、その挑発に乗るのも手ではありますが」

    885 = 878 :

    ゾンビ「なら、いくー?」

    戦士「でも、私の一存では」

    ドラゴン「一つの工程を省く程度のことだ。無謀な試みではない」

    戦士「火の中に飛び込む虫になるかもしれないのですよ」

    ドラゴン「危ない橋の向こうに光明もある。お前の家族も友人もまだ正気のうちに救えるかもしれない」

    戦士「……」

    ドラゴン「……」

    ゾンビ「うー?ううー?」

    戦士「彼は今どこに?」

    ドラゴン「合流する気か」

    戦士「総指揮官は彼でしょう?」

    ドラゴン「違う。お前の隣に居るお方だ」

    戦士「え?!」

    ゾンビ「……おなかすいた」

    戦士「……とにかく、みなさんとも相談しましょう。失敗は許されないんですから」

    886 = 878 :

    エルフ「ボクはいいと思うよ」

    戦士「え?」

    エルフ「君に従う。そう言われているから」

    戦士「……いえ、私は……もっと慎重に……」

    魔法使い「ゴーレムまで敵に回ったんなら、さっさと動かないとね。放っておいたら隣国まで危険なことになるわよ」

    僧侶「それはダメです!!姫様だっているのに!!!」

    戦士「……」

    「どうされますか?」

    戦士「え……」

    「あなたのパパが危険です」

    戦士「どうして煽るんですか……」

    「パパが既に戦場へ赴いているからです」

    戦士「それは……」

    「貴女に全権を委ねたのは、恐らくできるだけ私たちを安全圏に留めておこうとしているからでしょう」

    戦士「なら、彼は……一人で戦いに……?」

    887 = 878 :

    ドラゴン「そうではない」

    戦士「じゃあ、どうして……」

    ドラゴン「ゴーレムと一対一で話したいのだろう。あいつが考えそうなことだ」

    戦士「話す……?」

    ドラゴン「奴も同じ釜の飯を食った仲だ。できれば刃を交えたくないのが我々の本意。だが大人数で行けば、ゴーレムも戦闘態勢にはいる」

    魔法使い「でも、どっちにしろ無理よね。ゴーレムはキマイラのこと好きだったし」

    ドラゴン「ああ。一度は捨てられた身であれど、呼ばれれば応じる。見た目通り愚直な奴だからな」

    「今となっては見捨てられたかどうかも疑わしいですが」

    ドラゴン「我々を欺く為にそうしただけだったのかもしれないな。ともかく、行かねばなるまい。ハーピーも一緒ではあるが、心許ない」

    「指示を」

    戦士「しかし……」

    魔法使い「貴女に決定の権利を譲ったのは、時間稼ぎだったのかもしれないわね。きっと迷うだろうからって」

    エルフ「酷いやつ」

    「貴女に従うように言われています」

    戦士「……」

    888 = 878 :

    ―――草原

    ゴーレム「……」

    ミイラ「ここからまーっすぐ行けばお城みたいですよぉー!!!!」

    吸血鬼「ふふふ……。我輩たちはやはり見捨てられては居なかった」

    ミイラ「あの酔っ払いさんから頂いた手紙は間違いなくキマイラ様からでしたからねー!!」

    吸血鬼「ああ。キマイラ様の魔力が込められた筆跡……。我輩たちが見紛うはずはなし!!!」

    ミイラ「キャッホー!!!!キマイラ様ー!!!!だーいすきー!!!!」

    ハーピー「―――ならば、殊更お前らたちを奴のもとへはいかせられんなぁ」

    吸血鬼「な……!?」

    ハーピー「探したぞ、土塊。お前に与えられた仕事をわすれたのかえ?」

    ゴーレム「ロう、ノ……ミハりな、ド……ダレにデもデきル……!!!」

    ハーピー「随分と大人しくしているとは思うておったが、やはりこういうことだったのだな」

    ゴーレム「やクそく……キマイラとノ……。スベてがトトノエば……ワレらヲショウカんし……ニンゲンをセイあつする……ト……」

    ハーピー「やはり、処刑しておくべきだったのではないか?のぉ、勇者よ?」

    勇者「―――ミーちゃん!!!!俺の正妻になってください!!!!」

    889 = 878 :

    ミイラ「やでーす!!」

    勇者「おのれ!!!キマイラ!!!もう許さん!!!フォォォォ!!!!」

    勇者「こんな……こんな……可愛い子を……独り占めにするなんてぇぇぇ!!!!!!」

    ハーピー「……ふん」ペシッ

    勇者「いって!!なにするんですか、ハーピー姉さん!!」

    ハーピー「真面目にやらんか」

    勇者「僕はいたって真面目ですけど!!!」

    ハーピー「おのれは……!!」

    吸血鬼「これはこれは勇者殿も一緒とは……。ご自慢の金魚の糞はどうしたのですか?」

    勇者「俺の側室を排泄物に例えるとは、死ぬ覚悟があると見えるな」

    吸血鬼「ニンゲン一人と元幹部とはいえすっかり腑抜けたハーピーだけ、追いかけてくるとは自殺でもしにきたのですかな?」

    ハーピー「いってくれる。下等種族め」

    勇者「レムくん。本当にいくのか?」

    ゴーレム「イッテ……おく……。イまのマオうも……オマエのことモ……ミトめてイナイ……マッサつすべキ……タイしょう、だ……」

    勇者「僕のことはどうでもいい。嫌いでも構わない。だけど、他のみんなのことも嫌いなのか?」

    890 :

    この状況で求婚はいつも通りか・・・

    891 :

    やっぱりミーちゃんは正妻候補か

    892 = 878 :

    ゴーレム「キマイラガ……ヤラ、れて……カラ……クジュウをナメる……マイニち、ダった……!!」

    ゴーレム「ニンゲンごとキと……オナジばしょ……に、イルことが……タエ……られない……!!!」

    勇者「なら、どうして出て行かなかった。今のやりかたに気に入らないのであれば、城を出て、新たな集落を―――」

    ゴーレム「シハイだ……!!!ゼンぶ……!!!オマエたちの……シハイかダ……!!!!」

    勇者「そんなつもりはない!!!」

    ゴーレム「マオウ……ガ……タオれ……まゾクは……ニンゲンに、シハい……サレた……!!!」

    勇者「違う!!」

    吸血鬼「違わないでしょう。その集落も所詮はニンゲンの犬に堕ちたドラゴンの監視下にある。わかっていますとも、我輩たちがニンゲンにした事を我輩たちにも強いるつもりなのでしょう?」

    ハーピー「捻くれておるなぁ……」

    ミイラ「よくわかんないけどぉー!!ニンゲンに従う気なんてないでーす!!!もうこっちにくるなぁー!!!!」

    勇者「それは叶わない。だって、僕は今すぐに君のとなりへいくからー!!!」ダダダダッ

    ミイラ「ぎゃぁー!!!!!イヤァー!!!」

    ゴーレム「クルか……!!!ニンゲンがァァァァ……!!!!」

    勇者「俺のハーレム完成の邪魔をすんじゃねえええ!!!!」

    ハーピー「ええい!!おぬしが何をしにきたのかわからんわ!!」バサッバサッ

    893 = 878 :

    勇者「ハーピー姉さん!!レムくんを!!」

    ハーピー「わかっておる」

    勇者「出来るだけ、傷つけないであげてください」

    ハーピー「無茶な注文を……」

    吸血鬼「雪原の城では不覚をとりましたが、我輩と戦うなど愚の骨頂。火すら灯せないニンゲンに我輩に触れることは不可能!!!」

    勇者「オォォォ!!!」ダダダッ

    吸血鬼「その矮小さをかみ締め、己の非力に嘆き、如何に惰弱で脆弱で不撓の欠片もないか思い知ればいいのです!!!!くっくっくっく……あーっはっはっはっはっは!!!!」

    勇者「まてまてー!!!」

    ミイラ「こっちにくるなぁー!!!」

    勇者「逃げてばかりじゃ俺には勝てないぞー!!!」

    ミイラ「いやぁー!!!だれかぁー!!!」

    吸血鬼「……」

    勇者「おーら、つかまえたぁー!!全部、剥いでやるぅ……!!」

    ミイラ「やめてぇー!!!」

    吸血鬼「……氷の刃よ!!あの愚鈍で蒙昧なニンゲンを切り裂け!!!」コォォォ

    894 = 878 :

    勇者「おっと!!」サッ

    ミイラ「ひぃ……ひぃ……たすかったぁ……」

    吸血鬼「あのときの焼き直しですかな、勇者殿?」

    勇者「さぁ、どうでしょうね」

    吸血鬼「どうやら、一人ではなさそうですね……。まぁ、所詮は弱きニンゲンだ。群れなければなにもできない」

    勇者「まぁ、そうですね」グイッ

    ミイラ「わわ!!ミーの布をひっぱらないで!!!」

    吸血鬼「なんの真似でしょうか?」

    勇者「この子がどうなってもいいのか?この場で素顔を晒してやるぞ」

    ミイラ「ヘンターイ!!!」

    勇者「どうする?抵抗はするなら―――」

    吸血鬼「氷の刃よ……」コォォ

    勇者「ミーちゃんごと貫く気か」

    吸血鬼「大義のためですよ。オマエも、キマイラ様のためなら死ねるだろう?」

    ミイラ「キマイラ様が死ねっていうなら!!」

    895 = 878 :

    ゴーレム「オぉぉォォォ!!!!!」ブゥン

    ハーピー「そんな大振りな拳では、わらわに当てることはできんな」

    ゴーレム「ナゼだ……!!!ナゼ……オマえは……ニンゲンのシハ、いに……ヘイゼんとしてイラレる!!!」

    ハーピー「支配ではなく、共存だからだ。間抜け」

    ゴーレム「ナにがキョウぞんだァァァ!!!!」ブゥン

    ハーピー「もう疲れたであろう?憎み憎まれ、恨み恨まれ、殺し殺され、欺き欺かれ……。そんな歴史に終止符を打つ」

    ゴーレム「ゲンそうだ……!!!」

    ハーピー「うむ。土塊にしては的を射ておるな。全くもってその通り。至極当然の意見だ」

    ゴーレム「ナラ……ドウシテ……おまエはァァ……」

    ハーピー「理想は夢幻でもなぁ、少しくらい改善はできる。理想通りにならずとも、近づくことはできる」

    ゴーレム「キべん……ヘリくつ……」

    ハーピー「何とでも言うがよい。わらわは力で解決する時代にはうんざりしておる。時には力も必要ではあるが、それでも部下がニンゲンに殺されるところなどもう眼に入れたくはないのでなぁ」

    ゴーレム「ぎ、ゼンまデ……!!!オチるとこ、ろマデ……オチたな……!!!!」

    ハーピー「変わろうとする時代に目を背け、犬のように吠えるだけのお前よりは幾分かマシな生き方をしていると自覚しておるが?」

    ゴーレム「オォォォォ!!!!!!はァァァァピィィィィ!!!!!」

    896 = 878 :

    ハーピー「こやつ……!!地面を抉るつもりか!?」

    ゴーレム「オォォォォ!!!」ブゥン

    ドォォォォン!!!

    勇者「な!?」

    ミイラ「わわぁ!!!」

    吸血鬼「馬鹿力め……!!戦場を隆起させてどうするつもりですか!!」

    ゴーレム「マずは……オマエからダ……!!!」

    勇者「こっちに照準を合わせたか……」

    ゴーレム「オマえサえ……イナけれバ……!!!」

    ハーピー「にげろ!!」

    勇者「足場が悪くなければ逃げたいんですけど……」

    ゴーレム「オォォォォ!!!!」

    勇者「ミーちゃんがどうなってもいいのか!?」

    ゴーレム「カマワな、イ!!!トモ、ニシねぇぇぇェェェ!!!!」

    ミイラ「ウソー!?」

    897 = 891 :

    ハーピーかっけぇ・・・

    898 = 878 :

    勇者「ミーちゃん!!そっちに!!!」ドンッ!!

    ミイラ「わっ!?どうして!?人質じゃぁ!!」

    勇者「惚れた相手を守るのは当然のことでしょう?」

    ミイラ「え……」

    ゴーレム「おォォォォ!!!!」ブゥン

    勇者(避けきれない……!!)

    ゴーレム「クだケロォォォ!!!!」ドゴォ

    勇者「ずっ……!!!」

    ハーピー「馬鹿者!!!まともに受け止めてどうする!!!」

    勇者「がっ……はっ……あぁ……!?」

    ゴーレム「ウおぉぉぉぉ!!!!!」

    勇者(くそ……体中が熱い……!!一撃でここまで……なんて……やっぱり、ドラゴちゃんを連れ来るべきだった……)

    ハーピー「くっ!!おぬしが死んでどれだけ悲しむ者がいると思う!!!」

    吸血鬼「行かせませんよ、ハーピーさ―――」

    ハーピー「邪魔だ!!!無様に地に伏せておけ!!!畜生風情め!!!」

    899 :

    盛り上がってまいりました

    900 = 878 :

    吸血鬼「我輩を畜生……!?この駄鳥め!!!」

    ハーピー「聞こえなんだか?」

    吸血鬼「……!」ゾクッ

    ハーピー「失せろとわらわは言うたのだぞ?―――去ね!!!」ゴォォォ!!!

    吸血鬼「この風は……!!カマイタチ……!!!アァァァ!!!」

    ゴーレム「コロす……こロス……コろす……!!!」

    勇者「はぁ……はぁ……。本当にキマイラのところにいくのか……?」

    ゴーレム「シね……しね……シネ……しネ……」

    勇者「誰も君のことを恨んでもいない。大切な仲間だと思っていたのに……。全員を裏切るんだな?」

    ゴーレム「ニンゲ、ンに……ゲイごう、した……まゾク、ナド……ヒツよう……ナい……!!」

    勇者「なるほど……なにを……言っても……無駄……だった、か……」

    ゴーレム「ウラみ……はキエなイ……!!!オマえヲ……ウらミ……ツヅけ……ル……!!!」

    勇者「……」

    ハーピー「―――死のうとするな!!!馬鹿たれ!!!」バサッバサッ

    勇者「ハーピー姉さん……」


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