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    元スレ女戦士「元・勇者を探す旅へ」

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    801 :

    そろそろ雑談控えてかないと今後の展開次第では最悪完結前に埋まるな

    802 :

    前の時も二スレ使ったし別にいいんじゃないの

    803 :

    >>802
    ゾンビ「とけつほー!!―――おぇー」ドロッ

    804 :

    吐血砲・・・正直メタスラしか思い浮かばない・・・

    805 :

    >>803
    せつこ、それ罰ちがうごほうびや

    806 = 802 :

    >>803
    吐血ならなんとか…ゲロの方は流石に無理だけど
    ところでミーちゃんって勇者が正妻にしようとしたくらいだし作中ナンバーワン美女なんだよな
    なんてもったいない

    807 :

    >>806
    魔法使いより可愛いヒロインなどいないっ!!

    808 = 802 :

    >>807
    言っとくが魔法使いは俺のモノだからな?

    809 :

    いや、どう考えても僧侶だろ
    もう俺のモノだが

    810 :

    正妻に選ぶ基準がナンバーワン美女とは思えない
    もちろんそれはベースの基準としてあるのだろうが
    一番守りたいかどうかだと思う、この勇者の場合

    811 = 809 :

    でも勇者は目にうつるものは全員守るって···

    812 = 802 :

    素顔見た瞬間あの態度だからな
    やっぱ美女だったからだと思うよ

    813 :

    ハーピー「なんじゃ、わらわたちを呼んでからに」バサッバサッ

    ドラゴン「何かあったのか?」

    青年「ええ。緊急事態が発生しました」

    ドラゴン「緊急事態だと?」

    青年「なのでみんなで会議をしましょう」

    ゾンビ「うぅー!」

    青年「第23回円卓の側室会議を!!!」

    僧侶「わー」パチパチ

    キャプテン「おっしゃぁー!!!あたしは誰をぶちのめしたらいいんだい!?」

    魔法使い「そんな会議、したことあったっけ?」

    エルフ「ボクの記憶ではないかな……」

    「ついに円卓の側室会議がそのベールを脱ぐのですね」

    青年「その通り。残念ながら一人欠けてしまっていますが、姫様は立場上ここに来ることができませんからね」

    「残念ですね。でも、9人の側室がいるので問題はないでしょう」

    戦士「私を頭数に入れないでください」

    814 :

    ミーちゃんって誰のことだっけ……

    815 = 813 :

    魔法使い「―――そう、あの人がね」

    僧侶「……」

    魔法使い「大丈夫?気分が悪いなら退席してもいいのよ?」

    僧侶「いえ。平気です」

    魔法使い「そう……」

    ドラゴン「吸血鬼やミイラが知らなかったことだな。いや、俺ですら知らなかったことだ」

    青年「10年前から魔道士主導で行われてきたことですからね。無理もないかと」

    ドラゴン「だが……」

    ハーピー「あの気狂いは打倒先代魔王を狙っていた革新派の主軸。何故、わらわたちに黙ってそんなことをしておったのかわからん。それに保守派のキマイラが奴の計画を知っていたのも気になる」

    ドラゴン「何か聞いているか?」

    「私のメモリーにはないことです」

    ドラゴン「そうか……。可能性としては……」

    青年「今は魔道士のことは関係ないでしょう。大事なのはこれからどうするかです」

    ドラゴン「そうだな」

    戦士(これから……どうするか……か……)

    816 :

    >>814
    ミイラのことだと思う

    817 = 813 :

    エルフ「どうするも何もキマイラが動いているならボクたちも動かないと」

    キャプテン「そうさね。魔王はもうこの世界にはいらないんだ」

    青年「僕たちの真の敵は、ずっと傍にいた賢者でしょうね」

    戦士「……」

    「その通りです。彼は我々の戦力を事細かに把握しています。各人の性能は勿論、弱点まで知り尽くしている」

    「そのような者が敵に回ったとなると、危険です。海路を旅するぐらい危険です」

    キャプテン「あんまり危なくなさそうだねぇ」

    「危険です」

    ドラゴン「キマイラはどう動くと思う?」

    青年「正直、キマイラはそこまで脅威ではないでしょう。彼は肉団子と呼称していましたからね」

    ドラゴン「……やはり、力に溺れたのか」

    魔法使い「肉団子ってどういうこと?」

    青年「それは……」

    僧侶「……?」

    青年「とにかく、敵ではないということですよ。恐らくあの美人の王女の傍で隠れている間に幸せ太りでもしたのでしょう。あー、羨ましいですねー」

    818 = 813 :

    魔法使い「何いってるのよ」

    青年「僕も幸せ太りしたーい!!」

    僧侶「勇者様、でも不摂生は長生きできませんよ?」

    青年「それもそうか。僕は100歳まで女の子をはべらせて死ぬか、側室ちゃんたちのお尻で顔を挟んでもらって窒息死することを望んでいますからね」キリッ

    エルフ「……」

    戦士「真面目にしてください……」

    青年「貴女の胸に包まれて窒息死でもいいんですけどね」

    僧侶「そ、そんな……私は勇者様を殺したくないです……」ウルウル

    青年「あ、いえ……本気にしないでください……」

    魔法使い「学習しない奴」

    青年「まぁ、貴女の場合はこう犬の恰好をさせて街中を闊歩したいとか思っているのでしょうから、僕の希望は叶えてくれそうにありませんね」

    魔法使い「文脈が繋がってないし、勝手なこといわないで!!!そんな願望なんてない!!!」

    ドラゴン「おい」

    戦士「は、はい。なんですか?」

    ドラゴン「簡単でいい。街と城の平面図を描いてくれるか?」

    819 = 813 :

    戦士「大体、こんな感じですね」

    ドラゴン「……」

    ゾンビ「うー?これおうちー?」

    戦士「うっ……」

    ハーピー「平面図は平面図だが、一言で言うと下手糞だ」

    戦士「うぅ……」

    「城の間取りが把握できません。修正を希望します」

    戦士「魔物は嫌いだ……」

    僧侶「えっと!!味があっていいと想います!!」

    魔法使い「マーちゃんはお世辞を覚えないとダメよ?」

    「申し訳ありません。善処します」

    戦士「フォローになってないんですが……」

    エルフ「いや、別にいいと思うけど……」

    戦士「……もういいです。勝手にしてください」

    キャプテン「拗ねちまったじゃないか。全く」

    821 = 813 :

    青年「……戦力は必要最低限に抑えましょう。僕らで十分でしょう」

    戦士「待ってください」

    青年「何か?」

    戦士「これは一国との戦争ですよ?この面子だけでなんて……」

    青年「だからと言って、魔物たちを動かすわけにはいきません。それでは僕たちが何のために戦ったのか分からなくなる」

    戦士「今回だって王女のしたことを鏡を用いて世間に広めれば民衆は納得するはずです」

    ドラゴン「火に油だろうな」

    戦士「え?」

    青年「王女の影に魔物が潜んでいた。そして街に魔物が襲ってきた。扇動したのは僕と王女ということになります」

    戦士「でも……」

    青年「無論、ここにいる面子を連れて行ってもそのような事態に陥る可能性はあります。ただ、軍団で向かえば弁解の余地など誰も与えてくれないでしょう」

    青年「少数精鋭ならまだ融通が利く。かもしれない」

    戦士「……救えるんですか?何も知らない民を」

    青年「僕が誰か忘れたのですか?……貴女の大嫌いな勇者ですよ?元、ですけど」

    戦士「そうでしたね……」

    822 = 813 :

    「ところで、この城のこの空白部分が建築技法的にとても不自然です。何か部屋があるような気がするのですが」

    戦士「そこは王族でないと入れない部屋がなんです。昔からそこに入ることが出来るのは王族と一部の近衛兵だけのようで」

    キャプテン「ここにいるのは間違いないね」

    エルフ「でも、何があるかわからないね。罠だってあるかもしれないし」

    魔法使い「そこしかキマイラを隠すところはないんじゃないの?」

    青年「でしょうね。他に怪しいと思う場所はありましたか?」

    戦士「私は城でずっと生活していたので、これといって違和感を覚えるようなことはありません。あの中が私の常識でしたから」

    エルフ「ボクがうろうろしたときも他に気になるところはなかったかな。この開かずの間ぐらいだよ」

    青年「なら、ここに突入するしかないでしょうね」

    ゾンビ「おにぃちゃん。まおーはどうしたらいいー?」

    青年「吐血砲で場をかき乱してくれたらいいよ?」

    ゾンビ「うー!!」

    ハーピー「こら!!変な指示を出すでない!!」

    青年「では、詳しい戦略等は僕とドラゴちゃんと蜜月を過ごしながら決めますので」

    ドラゴン「可笑しな言い回しはよせ」

    823 = 813 :

    青年「このこのーはずかしがっちゃってー」

    ドラゴン「燃やすぞ」

    青年「あ、キャプンテン」

    キャプテン「なんだい、ダーリン?」テテテッ

    青年「貴女に頼みたいことがあるんですよ」

    キャプテン「なんでもいっておくれ。準備は万端だよ、ダーリン」

    戦士「……はぁ」

    僧侶「どうかされたのですか?」

    戦士「いえ。貴女のほうこそ、嫌な話だったのでは?」

    僧侶「そんなことはありません。歴代の勇者様たちも私は素晴らしい人だと思っています」

    戦士「……」

    僧侶「ただ、今回は私の運が悪かっただけですから」

    戦士「そんな……」

    僧侶「あの人の心の闇を私は理解できていなかった。悪があるとすればその点だけです」

    戦士「違う……。あの人がああなったのも……貴女が傷ついたのも……元を辿れば……」

    824 = 813 :

    魔法使い「ちょっと、鏡出しっぱなしにしてるわよ?」

    エルフ「ホントだ。危ないね」

    魔法使い「片付けないと……」

    エルフ「あ、正面から持ったら―――」

    魔法使い『こんなときになんだけど、そろそろアイツに―――』

    魔法使い「きゃぁ!?危ない!!」クルッ

    エルフ『またお酒の勢いで―――』

    エルフ「こっちに向けないで!!」

    魔法使い「ああ!!こっちね!!」クルッ

    戦士「危ない!!」

    僧侶「え?」

    僧侶『わんわんわん!!』

    戦士「な……」

    僧侶「や、やめてください!!」

    魔法使い「わざとじゃないの。ごめんね……」

    825 :

    >>824
    ここ素晴らしい

    826 = 813 :

    僧侶「もぅ……」

    エルフ「片付けないと……本当に危ないから……」

    魔法使い「そ、そうね……」

    戦士(どうして彼女はあんなにも強いんだろう……。私なんて……)

    ハーピー「その鏡、色々と面白いなぁ。わらわが覗くとどうなるやら」

    魔法使い「覗くの?やめたほうが……」

    ハーピー「構わん。わらわは恥ずかしくない生き方をしておるからなぁ」

    魔法使い「なら……はい」サッ

    ハーピー「うーむ……。相変わらずの美しさよ」

    ハーピー『魔王様の吐血砲を頭から浴びたい……いや、もう、血の風呂にはいり―――』

    ハーピー「おっと!!用事を思い出した!!!」バサッバサッ

    魔法使い「結構、危ない趣味もってるのね……ハーピーさん」

    ハーピー「ち、ちがうぞ!!その鏡は嘘つきだ!!わらわはそんなことちっともおもっとらん!!!」

    魔法使い「……」

    ハーピー「わらわはそんなことおもうとらーん!!!」バサッバサッバサッ

    827 = 813 :

    エルフ「逃げちゃった」

    僧侶「えっと、素敵ですよね。魔王ちゃんが愛されている証拠ですから」

    魔法使い「ハーピーさんはもっと生真面目かと思ってたけど、割と変態だったのね」

    エルフ「魔王の側近で頼れるのはドラゴン様だけかもね」

    魔法使い「まぁ、ゴンちゃんは別格だけど」

    ゾンビ「うー。すわろ」

    戦士「では、私はこれで」

    魔法使い「ゆっくり休んでね」

    僧侶「貴女の力がきっと必要になるときがありますから、休息はしっかりととってください」

    戦士「……私がいなくても貴方達がいれば事足りるでしょう?」

    エルフ「そんなことないって。指揮官である君のお父さんの戦略を読むのは、君の仕事じゃん」

    戦士「私にはそんな大それたことなど」

    魔法使い「期待されたくない?」

    戦士「それは……私にはそれだけの能力がないので……」

    魔法使い「私たちも同じよ。どっかの馬鹿勇者に無茶なことばかりお願いされてきた。期待に応えるだけの能力なんてないのに」

    828 = 813 :

    戦士「嫌ではなかったのですか?」

    魔法使い「でも、やれっていうから。無茶でもなんでもやったわ」

    戦士「それで貴女は彼の……勇者の期待に応えてきた。それだけの力があったから」

    魔法使い「違うわ。私たちにできることをアイツが教えてくれたの」

    戦士「できることを……」

    魔法使い「だから、貴女も……」

    戦士「私に……希望をなんてありません……」

    魔法使い「どうして?」

    戦士「だって……」

    僧侶「あの……」

    戦士「失礼します」

    エルフ「あ。待ってよ」

    魔法使い「……やっぱり何か思い詰めてるわね。ずっと顔色も悪かったし」

    僧侶「勇者様と何かあったのでしょうか」

    ゾンビ「うー。おなかすいたー」

    829 = 813 :

    >>828
    戦士「私に……希望をなんてありません……」

    戦士「私に……希望なんてありません……」

    830 = 813 :

    ―――食堂

    戦士「はぁ……」

    ガイコツ「よぉ!!」

    戦士「……どうも」

    ガイコツ「元気ねえなぁ。どうかしたのかい?」

    戦士「色々ありまして……」

    ガイコツ「なら、これ見てくれよ。元気でるよぉ?」

    戦士「なんですか?」

    宝箱「……」

    戦士「ミミック族の……」

    ガイコツ「ミミーとガイコツの一発芸。腹話術」

    宝箱『ワタシ、脱ぐと美人なのよー?』パカッパカッ

    ガイコツ「どうだ?」

    戦士(これから私は義父さんと戦う……。それだけじゃない、王女とも……そして、姉を殺した勇者とも……。でも、それは……)

    ガイコツ「いまいちだったか。なら、次。びっくり箱」

    831 = 813 :

    ガイコツ「最終一発芸。食べられる私」

    宝箱「……」パカッ

    ガイコツ「よっこいしょ」

    宝箱「……」バクッ!!

    ガイコツ「やべー!!!骨の髄までむしゃぶられるぅー!!骨だけにぃー!!」

    戦士「はぁ……」

    ガイコツ「ダメか」

    宝箱「……ゴメンね」

    ガイコツ「お前さんの所為じゃねえよ」

    戦士「……どうしてそんな芸をその子に?」

    ガイコツ「楽しいだろ?」

    戦士「ええ、まぁ、ありがとうございました」

    ガイコツ「で、なに食う!?」

    戦士「えっと……魚料理を……」

    ガイコツ「任せな!!」

    832 = 813 :

    戦士「……」

    宝箱「……」チラッ

    戦士「ん?なんですか?」

    宝箱「……」

    戦士(そういえば、以前も同じようなことを……)

    戦士「開けますよ?」

    宝箱「……」パカッ

    戦士「へえ、中はこうなって……ん?」

    宝箱「……アナタに」

    戦士「これは……手紙……」

    宝箱「……ずっと、もってた」

    戦士「誰から……」ペラッ

    『前略 この手紙を読んでるってことは俺はお嬢ちゃんの傍には居ないんだろう。ミミーちゃんにしっかり頼んでおいたからな』

    戦士「な……」

    宝箱「……」

    833 = 813 :

    俺がお嬢ちゃんの隣にいない理由は二つしかない。一つは俺がどこかで死んだとき。そして、過去のことをお嬢ちゃんが知ったときだ。

    俺が死んでいた場合はこの先は読まなくていい。死んでるなら燃やしてくれ。俺の遺言だ。

    さて、俺が生きているという場合はあまり考えたくはないが書いておこう。

    俺のことはもう知っていると思うが、お嬢ちゃんの家族を見殺したにした勇者だ。そしてその後は生まれ故郷の街を裏で支配していた。

    賢者は幸運なことに様々な魔法が使えるからな。権力者を骨抜きにして玉座の背後に回りこむのは難しいことじゃなかった。

    お嬢ちゃんが剣術を磨いているときも俺は着々とあの街を侵略していたわけだ。

    魔道士からは全ての人間を傀儡にしろと言われ、俺は酒と金のために従った。

    魔道士は同じようなことを各地で行っていたようだ。自分が魔王になったとき、一気に人間を支配するための布石のつもりだったんだろうな。俺には興味のないことだが。

    ここまで書いたら頭のいいお嬢ちゃんのことだ、もう分かるよな。お嬢ちゃんが兄ちゃんと一緒にこっちにくるなら、俺は傀儡人形化させた人間たちを戦わせる。

    無論、オヤジも一緒だ。俺の敵となったお嬢ちゃんを倒す為に利用させてもらう。魔道士に甘い汁を吸わせてもらっていた手前、キマイラは守らせてもらうぜ。悪く思うなよ。

    そもそも俺は人間が大嫌いだからな。俺の居場所を奪うっていうなら容赦はしない。

    ただ、優しいお嬢ちゃんを俺は殺したくない。だから、取引しようぜ。お嬢ちゃんは兄ちゃんたちの立てた作戦を聞いてから俺のところにこい。そうすればオヤジも救ってやるし、街の人間も戦わなくて済むぜ。

    誰も殺したくないだろ。お嬢ちゃんだって城にも街にも友人がいたはずだ。仲のいい兵士も少なくなかっただろ。

    俺みたいに罪の無い人間を、友人を、家族を見殺しにするような真似はお嬢ちゃんにできないはずだ。

    必ず一人で来い。楽しみにしてるぜ、お嬢ちゃん。
                                      早々

    834 = 813 :

    戦士「……」

    宝箱「……」

    戦士「これを……受け取ったとき……何か言っていましたか……?」

    宝箱「……ナカマになれって」

    戦士「仲間……」

    宝箱「……でも、断った。今の魔王が好きだから」

    戦士「そうですか……。この手紙は貴方が持っておいて下さい」

    宝箱「……うん」パカッ

    戦士「……っ」タタタッ

    宝箱「……」

    ガイコツ「おまたせぇー!!!あれ?」

    宝箱「……」

    ガイコツ「料理つくったのにぃぃ!!!……いるか?」

    宝箱「……うん」パカッ

    ガイコツ「全く、常識知らずのニンゲンだなぁ」

    835 = 813 :

    ―――港

    青年「では、お願いしますね」

    キャプテン「任せときな、ダーリン」

    青年「頼りにしています」

    キャプテン「ああ!!まかせときなぁ!!!―――いくよぉ!!お前たち!!!錨を上げなぁ!!!帆をはれぇ!!!」

    戦士「あの!!」

    青年「どうかしたのですか?」

    戦士「さ、作戦……決まったんですか……」

    青年「ええ。キャプテンには今から動いてもらいます」

    戦士「……作戦概要を教えてもらえますか?」

    青年「概要?」

    戦士「はい……」

    青年「何故ですか?」

    戦士「……」

    青年「鏡を使いましょうか?」

    836 = 813 :

    戦士「それは……」

    青年「答えてもらわないと―――」

    戦士「いいから、答えてください」スッ

    青年「……!!」

    戦士「でなければ、首を落とします」

    青年「……」

    戦士「ふぅ……ふぅ……」

    青年「どうぞ」

    戦士「え……」

    青年「貴女がそこまでするということは、譲れないものがあるのでしょう。それと同じように僕にも譲れないものがあります」

    戦士「……」

    青年「ですので、僕は最後の抵抗として貴女に何も言わずに殺されます」

    戦士「やめて……」

    青年「その代わり、僕を殺したあとはすぐに逃げてください。ドラゴちゃんやキラちゃんに狙われたらひとたまりもありませんから」

    戦士「やめてください!!!貴方は私に喋るだけでいいんです!!!」

    837 = 813 :

    青年「……」

    戦士「こんなこと……したくないのに……」

    青年「そうですか」

    戦士「街に行くのをやめましょう……それで……いいですから……」

    青年「それはできません」

    戦士「何故!?」

    青年「今も尚、人がキマイラに食われているからです」

    戦士「……」

    青年「彼はキマイラのことを肉団子と言った。これは嘲罵の呼称ではなく、そのままの意味なのでしょう」

    戦士「そのまま……」

    青年「彼の過去を見たでしょう。その中に出てきた、キラちゃんとは似ても似つかない醜い肉塊。今のキマイラは同じ状態になっていることが考えられます」

    戦士「それって……」

    青年「生命力を取り込むために、人を喰らい続けたが故でしょうね。専門家の魔道士がいないのに無理な強化を図ったのでしょう」

    戦士「……」

    青年「もし歯止めが利かなくなっているとしたら、キマイラは延々と人を喰らい続ける。それが分かっているのに、動かないわけにはいかない」

    838 = 813 :

    戦士「……では、問います。見知らぬ誰かを救うために、貴方は友人や家族、恩人を殺せますか?」

    青年「脅されているのか……?」

    戦士「答えて!!勇者として貴方はどうするのかを!!!」

    青年「……」

    戦士「答えろ……」

    青年「側室たちに置き換えてもいいですか?僕には家族と呼べるのが側室たちしかいないので」

    戦士「構いませんが」

    青年「なら、殺しません」

    戦士「……」

    青年「見知らぬ誰かを救うのに自分の大切な人たちを殺すなんて、ナンセンスでしょう?」

    戦士「それが貴方の答えですね」

    青年「目に映る者は全て守る。見知らぬ誰かは僕の目に映っていませんから」

    戦士「……では、私もそうします。私を本国に帰してもらえますか?」

    青年「何故?」

    戦士「家族を守るためにです」

    839 = 813 :

    青年「なるほど……。あの賢者様は、貴方の家族を盾にしてきたのか」

    戦士「要求に応じなければ……首を……」

    青年「殺すなら殺せ」

    戦士「……っ」

    青年「そんなことをしても、誰一人守れない。そんなこと分かっているはずだ」

    戦士「傀儡にされているんです……みんな……が……」

    青年「魔道士も言っていたな……」

    戦士「私は貴方達とは違う!!!誰も見捨てない!!!」

    青年「……それを言われると、何も言えないないな」

    戦士「早くしろ!!」

    青年「……」

    戦士「私も救う!!大事な人を!!!もう誰も失いたくない!!!」

    青年「俺も同じだ」

    戦士「なにを……!!」

    青年「言っただろう。側室は守る。みんなだ。君も含めた、全員だ!!」

    840 = 813 :

    戦士「私は……違う……!!側室じゃない!!」

    青年「……世迷い言を。もう決定事項だと言ったでしょう?」

    戦士「勝手に決めないで!!」

    青年「決めますね!!貴女はもう僕の虜だから!!!フハーハハハ」

    戦士「ふざけないで!!!早くして!!!本当にこのまま首を……!!」

    青年「……」

    戦士「私は……勇者のことなんて……信じない……誰も救わない……勇者はただの人間だ……から……」

    青年「そうですね。非力な人間に過ぎない」

    戦士「守るためには誰かを犠牲にしないといけないんです……」

    青年「確かに」

    戦士「貴方が私を守るのは勝手です!!でも、そうすることで私の家族が……友人が……殺されるなら……!!」

    青年「なら、全てを救えば問題ないのでしょう?」

    戦士「……え?」

    青年「貴女の目に映る者も僕が守る。それなら文句ありませんよね?」

    戦士「そんなことできるわけが……!!」

    841 = 813 :

    青年「それはどうでしょうね……。やってみないとわかりません」

    戦士「戦いになれば必ず誰かが死ぬ。そうでしょう?」

    青年「もう見捨てるわけにはいかないんだ。俺は、誰も」

    戦士「そんな実力もないくせに……!!」

    青年「……なんだと?」

    戦士「貴方は彼女たちを守ることしか出来ない!!そう認めたじゃない!!」

    青年「……」

    戦士「もう……私を失望させないで……。これ以上……勇者を嫌いになったら……私……」

    青年「……」

    魔法使い「ちょっと、何してるの?部屋で待ってたのに」

    僧侶「勇者様?」

    青年「どうも。アレは見つかりましたか?」

    僧侶「はい。こちらに。温めておきました」

    青年「貴女の温もりが……ぬほほぉ」

    戦士「……こうなったら」

    842 = 813 :

    青年「……待て。何をする気だ」

    戦士「大切な者を盾にされたら……貴方だって……」

    魔法使い「……何をするつもりか知らないけど、やめて」

    僧侶「……」

    青年「お前では二人に勝てないぞ」

    戦士「……っ」

    青年「提案ですが。もう一度だけ、勇者のことを信じてみませんか?」

    戦士「勇者……?」

    青年「そう。かつて貴方の家族を殺してしまった勇者のことを」

    戦士「……」

    青年「あの日の償いを俺にさせてくれ。頼む」

    戦士「……本当に……救ってくれるんですか……。目に映る者……を……」

    青年「ええ……。一度は捨てたこの鎧と剣に誓いましょう……」スッ


    勇者「―――君のことを。君の家族を。君の友人を。勇者が守護することをここに誓う!!!もう裏切ったりしない!!!信じてくれ!!!」

    戦士「……勇者……が……」

    843 = 813 :

    僧侶「勇者様ぁ……」

    魔法使い「やっぱりそれを身に付けているほうが様になるわね」

    勇者「惚れましたか?」キリッ

    僧侶「ずっと前から惚れています」

    魔法使い「……知らない」

    勇者「今のかっこよかったでしょう?ねーねー?」

    魔法使い「それで台無しなの!!」

    戦士「……あの」

    勇者「はい?」

    戦士「絶対に助けてくれますか……」

    勇者「はい」

    戦士「期待しても……いいんですか……」

    勇者「僕は貴女にとって理想の勇者になりましょう。それに……」

    戦士「……」

    勇者「側室一人の期待にも応えられないようでは、ハーレムなんて作れないと思いませんか?常識的に考えて」

    844 = 813 :

    戦士「それは……」

    勇者「甲斐性の見せ所です!!!ムアッハー」

    僧侶「素敵ですっ」パチパチ

    魔法使い「調子いいこと言って……。ほら、行きましょう」

    戦士「……」

    勇者「何があったのか話してくれますか?」

    戦士「もう想像がついているのではないですか?」

    勇者「まぁ、概ね」

    戦士「手紙を受け取りました。そこに書いてありました。街の民、城の兵士、全てが傀儡だと」

    魔法使い「なるほどね」

    勇者「全面戦争とはそういうことですか。民も巻き込むとは……」

    僧侶「……」

    勇者「心配することはありませんよ」

    僧侶「は、はい……」

    勇者「では、対策を練りましょうか。全員を救うために」

    845 = 825 :

    >>842
    青年から勇者に変わったところで泣きそうになった

    846 = 813 :

    ―――謁見の間

    勇者「どうも、おまたせしました」

    エルフ「あ、きたき―――ぶふっ!?」

    勇者「おや、どうしましたか?」

    エルフ「ご、ごめん。いきなりその姿だから驚いただけ……」

    勇者「こっちのほうがかっこいいでしょ?」

    エルフ「……」

    勇者「ん?」

    エルフ「……うん」

    勇者「さー!!みなさん!!集合してください!!」

    ゾンビ「うー!!!」テテテッ

    ドラゴン「どうした?」

    ハーピー「はぁ……そんな気分ではないぞ……」バサッバサッ

    勇者「第142回側室で誰が一番エッチなのか会議を始めます」

    「それは間違いなく……」

    847 = 813 :

    エルフ「ガーちゃん!!!こっちみるなぁ!!」

    「……しかし」

    エルフ「しかしもかかしもない!!メンテナンスしてあげないから!!!」

    「それは困ります」オロオロ

    魔法使い「真面目にする」

    勇者「貴女もムッツリ部門ではナンバーワンですよね」

    魔法使い「燃やすわよ?」

    ドラゴン「で、なんの会議だ?もう大体のことは済ませただろうに」

    勇者「いえ、予定を変更します」

    ドラゴン「お前……」

    勇者「当初の予定に戻します。犠牲者はなし。倒すのはキマイラだけ」

    戦士「……」

    勇者「それでいいでしょう?」

    戦士「……はい」

    勇者「ありがとう。細かいことを伝えます。皆さん、よく聞いてください」

    848 :

    なんか賢者が救われちゃいそうなのが嫌だなぁ

    849 :

    1時間経ったし 乙

    850 :


    楽しみすぎて>>1に還元したいんだけど


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