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    元スレ女戦士「元・勇者を探す旅へ」

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    601 :

    これはメモ帳にとどめておきたかった
    くぅ~

    602 :

    コピペ狙ってるなら恥ずかし過ぎです狙ってなくても恥ずかし過ぎです

    603 :

    見てられない…

    604 :

    >>597
    割と特徴つかめてるじゃん







    やめろ恥ずかしい

    605 :

    そこまで叩く事無いじゃん
    意外と納得出来るだろ




    恥ずかしいけどww

    606 :

    気持ち悪い

    607 :

    おい、スレを吐瀉物で汚すな
    ちゃんと拭いとけよ。

    608 :

    (ギャラリー増えたな…NGしたい…ぐぬぬ)

    609 :

    ふへへ

    610 :

    ―――翌日

    魔法使い「買い物行くけど、どうする?」

    戦士「私は遠慮します」

    魔法使い「そう……」

    青年「準備できましたか?」

    魔法使い「え、ええ……」

    青年「何か?」

    魔法使い「彼女となんかあったの?」

    青年「泣かしてしまいました」

    魔法使い「なっ!!なにやってんのよ!!!こんなときに!!!」

    青年「さー、レッツ、ショッピング」

    魔法使い「ちょっと!!何をしたのか言え!!このド変態!!」

    青年「貴方のドMっぷりには負けますよ」

    魔法使い「マゾじゃないって言ってるでしょ!!!」

    戦士「……」

    612 = 610 :

    僧侶「勇者様ー?」ガチャ

    戦士「……彼なら買い物に出かけましたよ」

    僧侶「あ、そうですか。なら、追いかけないと」

    戦士「誘われなかったのですか?」

    僧侶「ちょっと寝坊してしまって……」

    戦士「今、出かけたところですから追えば間に合うと思います」

    僧侶「……あの」

    戦士「はい?」

    僧侶「えっと……何か、ありましたか?」

    戦士「いえ。気になさらないでください。それよりも貴女のほうこそ、大丈夫ですか?」

    僧侶「あ、はいっ。勇者様にいっぱい励まされましたから」

    戦士「そうですか」

    僧侶「やっぱり勇者様はとてもお優しいのだと改めて実感しました。いえ、どんなときでも勇者様は素敵なんですけど」

    戦士「……彼が嘘つきだと感じたことはないのですか?」

    僧侶「え……?」

    613 = 610 :

    戦士「あの人はいつも何かを隠している。そう思ったことはないですか?」

    僧侶「ありません」

    戦士「な……。はっきり言いますね」

    僧侶「だって、勇者様はいつも後ろにいる私たちを想ってくれていますから」

    戦士「そうでしょうか……。自身の利益のことしか考えていないのでは……」

    僧侶「側室のことですか?」

    戦士「それもありますが、彼は常に打算的に生きている。他人を利用して自分が得するように物事を運んでいるように見えるときがありますから」

    僧侶「そんな人が命を捨てようとしてまで他人を救おうとはしません」

    戦士「……!」

    僧侶「あ、もう行かないと。すいません。それでは」

    戦士「え、ええ……」

    僧侶「失礼しました」タタタッ

    戦士(彼女たちを見ていると、本当に分からなくなる……)

    戦士(昨日の彼の言動は……)

    戦士「……」

    615 = 610 :

    ―――商店

    青年「うーん。この水着は布地が少ないですなぁ。貴女に着せたいので買いますね」

    魔法使い「それ、子供用でしょ。着られないわよ」

    青年「着れますよ。局部を隠すことを省みなければ」

    魔法使い「省みなさいよ!!一番大事なところでしょ!!」

    青年「そうですかね?もう3年ですよ。そろそろ僕に貴女の体温を測らせてくれてもよいのでは?」

    魔法使い「アホ」

    青年「誰がアホじゃ!!肉便器の分際でぇ!!!」

    僧侶「あ、勇者様ー」タタッ

    魔法使い「あ……」

    青年「どうも。宿にいてくれても良かったのですが」

    僧侶「いえ、買出しに出とたと聞いたのでお手伝いできればと思っ―――」

    魔法使い「……」

    僧侶「でも、やっぱり宿に戻りますね」

    魔法使い「あー!!ちょっと!!別に戻らなくていいわよ!!」

    616 = 610 :

    僧侶「え……でも……」

    魔法使い「荷物持ちが多いほうがいいでしょ?」

    僧侶「いえいえ、私は昨晩たっぷりと勇者様とご一緒できましたから……」モジモジ

    青年「楽しい夜だったね、ハニー?」

    僧侶「はい……」

    魔法使い「よかったわねっ!!」

    青年「おやおや、ジェラシーですか?珍しくもない」

    魔法使い「珍しいっていいなさいよ!!!」

    青年「まぁまぁ。両手に花で買い物にしましょう。そして他人から羨望の眼差しをたっぷりと受けましょうぞ」

    魔法使い「アンタはそれでもいいでしょうけどね!!」

    僧侶「私も得ばかりなんですが……」

    青年「貴方達は僕の傍にいるだけでオールハッピーなのですから、いいじゃないですか。ねえ?」

    僧侶「はい」

    魔法使い「勝手にしてよ……もう……」

    青年「勝手にしまぁーす。さてと、雌犬ちゃんには犬用の服でも買いましょうか」

    617 = 610 :

    ―――港

    エルフ「……」

    賢者「おーぅ、エルフの姉ちゃん。こんなところでなにしてんだぁ?」

    エルフ「分かってるくせに」

    賢者「そりゃあ、どうかな?」

    エルフ「今日ぐらい船が迎えに来るかもしれないから、一応待ってないと」

    賢者「大変だなぁ。兄ちゃんも人使いが荒いなぁ」

    エルフ「貴方こそ、彼女の傍にいなくていいの?」

    賢者「お嬢ちゃんは心配ねえよ」

    エルフ「どうして?」

    賢者「俺なんかと違って強えからなぁ。羨ましいぐらいだ」グビグビ

    エルフ「そう……」

    賢者「でも、気にかけてくれると嬉しいねえ。俺としてはよぉ」

    エルフ「保護者は貴方じゃなかったっけ?」

    賢者「お嬢ちゃんに俺の手助けはもう必要ねえよ。全部、話ちまったからなぁ」

    618 = 610 :

    エルフ「全部って?」

    賢者「俺が隠していたことだよ」

    エルフ「そうなんだ。でも、本当に隠しておきたいことは黙ってるつもりでしょ?」

    賢者「なにいってんだよぉ」

    エルフ「ボクだってエルフ族だからね。貴方がどういう人なのかはもう理解しているよ」

    賢者「お?心を読んだのかよぉ?はずかしぃじゃねえの!!」

    エルフ「違うよ。貴方はボクの知っている勇者とそっくりだから、すぐに分かった」

    賢者「……兄ちゃんと俺がかぁ?」

    エルフ「自分よりも他人。大切な人のためなら簡単に命を投げ出す愚か者、でしょ?」

    賢者「愚か者だとぉ?俺ぁ賢者だぜぇ?」グビグビ

    エルフ「それはどうかな?」

    賢者「よせよぉ。俺ぁもうそういうことには疲れたんだ。ただ酒を飲めれば世はこともなしだぁ」

    エルフ「なら、どうしてここにいるの?」

    賢者「そりゃあ、あれだ。兄ちゃんが強引にここまで連れてきたからだろぉ」

    エルフ「嘘つき」

    619 = 610 :

    賢者「嘘じゃねえよぉ。ったく、最近のエルフ族はこわいぜぇ」

    エルフ「最近って、昔会ったことでもあるの?」

    賢者「長生きしてりゃあ、色んな奴と会うからなぁ」

    エルフ「ボクの故郷とか、知ってるの?」

    賢者「いや、探したことはあるが結局は見つけられなかったな。でも……」

    エルフ「なに?」

    賢者「エルフの姉ちゃんがそんなにやらしいとはおもわなかったけどなぁ……ひひひ……」

    エルフ「なっ!!!」

    賢者「どうしたんだぁ?ずっとそれが頭でグルグルと回ってるようだけどよぉ?」

    エルフ「こ、これは……!!昨日、言われて思い出したからで……!!」

    賢者「くくく……それで思い出してメランコリーになってたわけかぁ?普段はクールなのに可愛いじゃねえのぉ」

    エルフ「読むな!!よむなぁ!!!よまないでぇ!!!」

    賢者「読めちまうんだから、仕方ねえだろぉ?キラちゃんならよめな―――お、ありゃあ、キャプテンの船じゃねえか?」

    エルフ「え?本当だ。随分早いなぁ……」

    賢者「兄ちゃんのために全速力で来たんだろ。ドイツもコイツも兄ちゃんのことが大好きなのはいいけどよぉ。心を読むほうの身にもなってほしいもんだぜぇ。聴いているこっちが恥ずかしい」グビグビ

    621 = 610 :

    ―――宿 寝室

    戦士(時間を持て余してる……。一緒に買い物行けばよかったかな)

    『お嬢ちゃん、いるかい?』

    戦士「はい、どうぞ」

    賢者「おーぅ、すまねえな」

    エルフ「……」

    戦士「どうしたんですか?」

    エルフ「見張り」

    戦士「は?」

    賢者「いわねえっていってんだろぉ?」

    エルフ「信用できない」

    賢者「冗談のつもりだったんだけどなぁ……」

    戦士「それでなにか?」

    賢者「おぅ。船が来たんで港に行こうと思ってな」

    戦士「もうですか?分かりました。支度をします」

    622 = 610 :

    賢者「兄ちゃんはどうしたんだ?」

    戦士「知っているんでしょう?」

    賢者「お嬢ちゃん。なら、俺はお嬢ちゃんと会話できねえことになるぞ。一方的に喋りかけて終わりじゃねえか」

    戦士「……」

    賢者「拗ねてんなぁ」

    エルフ「……」

    賢者「睨むなって……。若いやつに睨まれるほどおっさんは震え上がるんだからよぉ」

    戦士「よく言いますね。飄々としているくせに」

    賢者「そうかい?うれしいねえ」

    戦士「褒めてません」

    賢者「兄ちゃんは買い物かぁ。お嬢ちゃん、呼んで来てくれよ」

    戦士「何故私が……」

    賢者「ダメか?」

    戦士「……いえ。断る理由もありませんね。私が呼んできましょう」

    賢者「いい子だな。ホントによぉ……」

    623 = 610 :

    ―――商店

    戦士(買い物できる場所はこの辺りか……)

    僧侶「あら、どうしたんですか?」

    戦士「どうも。船が来たとのことなので呼びにきました」

    僧侶「そうですか。勇者様なら、あっちですよ」

    戦士「……」

    魔法使い「だから!!こんな下着なんて穿けないっていってるでしょ!!」

    青年「どうして?貴女によく似合うと思うんですけどね、この黒は」

    魔法使い「布の面積が全く無いじゃない!!」

    青年「これは可笑しなことを。普段穿いてない貴女が布面積を気にするのですか?」

    魔法使い「はいてるにきまってるでしょ!?」

    戦士「……なにをやってるんですか。公衆の面前で」

    僧侶「仲がいいですよね。ほっこりします」

    戦士「感性がズレているとよく言われませんか?」

    僧侶「え!?どうしてそのことを知っているんですか!?」

    624 = 610 :

    青年「では、見せてくださいよ。本当に穿いているのか、我が眼で確認します」キリッ

    魔法使い「こんなところでみせるかぁ!!」

    青年「言いましたね?」

    魔法使い「な、なによ……」

    青年「こんなところでは見せない。言い換えれば、場所を変えればいいのですね?」

    魔法使い「……」

    青年「さぁ、路地裏に参りましょう」

    魔法使い「……いいわよ。行きましょう?」

    青年「え……」

    魔法使い「……」

    青年「僕の脳内ステータスを書き換えておきますね。ドM痴女と」

    魔法使い「しなくていいわよ……」

    僧侶「勇者様、船が来たみたいですよ」

    青年「本当ですか?流石はキャプテン。迅速で助かります」

    戦士「なので、早く宿に戻って支度を整えましょう」

    625 = 610 :

    青年「ええ。そうですね」

    戦士「……」

    青年「まだ、昨日のことを怒っているのですか?確かに強引だったかもしれませんが……」

    魔法使い「……なにしたの?」

    戦士「誤解を招く言い方はやめてください!!!」

    青年「誤解だなんて。僕の愛は本物ですが」

    戦士「……っ」

    僧侶「あ、あの、落ち着いてください。何があったのか知りませんけど……」オロオロ

    戦士(ホント、調子が狂う……)

    魔法使い「まだ慣れないの?この前は軽く流してたから扱い方を学んだように感じてたけど」

    戦士「いえ……」

    僧侶「(何かあったのでしょうか。勇者様との間に溝のようなものがある気が……)」

    魔法使い「(あの馬鹿がなんか怒らせるようなこと言ったんじゃないの?)」

    青年「どうも馬鹿です」

    魔法使い「盗み聞きしないでって言ってるでしょ」

    626 = 610 :

    戦士「……」スタスタ

    魔法使い「何があったのかは訊かないけど、謝ったの?」

    僧侶「勇者様を一方的に責めるのはおかしいです」

    魔法使い「でも、9割9分こいつに原因があるでしょ」

    青年「はい。原因です」

    魔法使い「ほらね」

    僧侶「あ、あの……でも、勇者様なりの考えがあるからで……」

    魔法使い「困ったらそうやって擁護するのやめなさいってば」

    青年「いえ。今回は僕が悪いですよ。弁明の余地はないほどに」

    僧侶「勇者様……」

    魔法使い「……」

    青年「……心配はいりません。解決できますから」

    魔法使い「別に、アンタの心配なんてしてないけど」

    僧侶「あの、力になれることがあればなんでも言ってください」

    青年「ありがとうございます。でも、こればかりは力の借りようがないんですよね」

    627 = 610 :

    ―――港

    キャプテン「ダーリンは?」

    エルフ「もうすぐ来るよ」

    キャプテン「はぁ……。あたしもあんたらと同じように、ダーリンに付きっきりでいたいねえ」

    エルフ「この前、ミイラと戦ったけど」

    キャプテン「あたしは海に生きる女さ!!陸のことはダーリンに任せているからあたしはいらないね!!」

    賢者「はははは。おもしれえ姉ちゃんだなぁ」

    青年「お待たせしました」

    キャプテン「ダーリーン!!」ギュッ

    青年「よしよし」

    魔法使い「さて、今から魔王の城に行くのね」

    青年「ええ。……そして、決戦の準備をします」

    戦士「……」

    賢者「決戦かぁ……」グビグビ

    青年「お二人の力も是非とも貸して頂きたいのですが」

    628 = 610 :

    賢者「俺ぁ別に構わないぜ?」

    戦士「私も異存はありません」

    青年「……まぁ、詳しいことは城に着いた後でということにしましょう」

    賢者「そうだな」

    戦士「……」

    僧侶「久しぶりの船旅ですね」

    魔法使い「キャプテンには英雄としての職務もあるからね」

    キャプテン「あんなもん最近じゃあってないようなもんさ。3年もあれば英雄もそこまで注目されないしね」

    賢者「そんなもんだ。勇者も常に誰かを何かを救ってねえと感謝はされねえ。一度きりの奇跡は英雄の身を滅ぼす」

    青年「含蓄ありますね」

    賢者「歳とってるからな」

    戦士「……」

    キャプテン「どうかしたのかい、あの子?元気ないみたいだけど」

    エルフ「さぁ……」

    キャプテン「ふん。少し見ない間に、覇気がなくなったねぇ。初めてあったときは暑苦しいぐらいだったんだけど」

    629 = 610 :

    ―――船上 甲板

    戦士「……」

    キャプテン「あんた、ここが好きだねぇ」

    戦士「外の空気を吸っておきたんです」

    キャプテン「魔王の城に着くのはどんなに飛ばしても明日の昼すぎだよ」

    戦士「どういうことですか?」

    キャプテン「あせんなってことさ」

    戦士「焦ってなど……」

    キャプテン「あたしは3年前に見たからね。いつも甲板で考え事をしている奴をさ」

    戦士「え?」

    キャプテン「そいつは見た感じ何も考えてないように振舞ってんだけど、その実いつも自分の身を削ってるようなやつでさぁ」

    戦士「……」

    キャプテン「船の進む先を戦局でも見据えるかのように鋭い目つきで見つめてんのさぁ。それがまたかっこよくてねぇ……」

    戦士「惚気話ですか……。貴方達は本当に好きですね……」

    キャプテン「なんだい?海の女が惚気ちゃいけないって言うのかい?!ええ!?」

    630 = 610 :

    戦士「そうは言っていませんが……」

    キャプテン「全く。小娘の分際で。あんた、恋愛とかしたことないんだろ?」

    戦士「は?」

    キャプテン「男に惚れたことがないからそういう発言をする。誰でもいいから好きになってみな。世界が変わるよ」

    戦士「結構です」

    キャプテン「うちのダーリンとか好きになってもいいよ?」

    戦士「は!?」

    キャプテン「好きになるだけだよ?その先はNGだからね。あたしでもまだなんだから」

    戦士「……そう言う話はもういいです」

    キャプテン「勇者嫌いは治ったのかい?」

    戦士「故郷を……家族を殺した原因を好きになれるはずないでしょう」

    キャプテン「……あっそ。人生、損してるね」

    戦士「ほっといてください」

    キャプテン「素直になりな、お嬢ちゃん」

    戦士「……」

    631 = 610 :

    ―――夜 船内

    戦士「寝れない……。また甲板に……」

    賢者「おぅ、お嬢ちゃん。まだおきてんのか」

    戦士「何か?」

    賢者「いや、もう寝ろよ」

    戦士「……少し話しませんか?」

    賢者「嫌だって言ったら?」

    戦士「それでも構いません」

    賢者「兄ちゃんのことを俺に訊くつもりか」

    戦士「貴方とも無関係ではないのでしょう?」

    賢者「……」グビグビ

    戦士「私の姉のことを……二人が知っている……なら……」

    賢者「城についたらゆっくり話してやるよ」

    戦士「今、答えてくれても……」

    賢者「城に着いたら鏡があらぁね。兄ちゃんもその覚悟はあるみたいだぜぇ?」

    632 = 610 :

    戦士「鏡……!?」

    賢者「兄ちゃんも言ってた。鏡を使うと言えば諦めるってな」

    戦士「やはり何かを隠しているのですね。貴方達は」

    賢者「隠してるんじゃねえよ。言わないだけだ」

    戦士「同じです」

    賢者「お嬢ちゃんは何を知りたいんだ?」

    戦士「わかっているのでしょう?」

    賢者「お嬢ちゃん。俺が心を読むからって何でも人のことが分かると思ったら大間違いだ」

    戦士「何故ですか?」

    賢者「お嬢ちゃんのように混濁した心は読めねえよ」

    戦士「……!」

    賢者「正確に言えば何を読んでいいのかわかんねえ状態だ」

    戦士「そんなの……」

    賢者「お嬢ちゃんはいつも優等生の答えを持っていたが、今は出す言葉と胸中の答えがかみ合ってねえしなぁ」

    戦士「そんなのずっと……そうですよ……」

    633 = 610 :

    賢者「……」グビグビ

    戦士「本音と建前が違うのは誰でもそうでしょう?」

    賢者「魔物である奴らと、人間と魔族の争いを生んだエルフ族とも仲良くしてたのはなんでだ?我慢でもしてたのか?」

    戦士「それは……」

    賢者「お嬢ちゃんは初めから優等生だったぜぇ?自分が間違えと思えばすぐにそれを反省してただろ?」

    戦士「……違います。今後、行動を共にするのに険悪なままではいけないと思ったから」

    賢者「そうかい?」

    戦士「……」

    賢者「嫌いなら嫌いのままでいいじゃねえか。険悪のままでもいいだろうよ。どうして困ってんだよ」

    戦士「だって……」

    賢者「お嬢ちゃん。昨日、俺が言ったこと覚えてるよな?」

    戦士「そ、それがなにか?」

    賢者「ここまで見てきたんだ。結果だけで判断はしてくれるなよ」

    戦士「結果だけで……」

    賢者「全てを見た上で判断してくれ。鼻先の結果で判断するような人間にはなってくれるな。勇者だって人間だ」

    634 :

    乙!
    これのおかげで最近は毎日楽しいわ

    635 = 610 :

    戦士「善処します」

    賢者「それでいい。城で決戦の準備をしようぜぇ?」

    戦士「はい」

    賢者「戦う準備も心の準備もな」

    戦士「分かっています」

    賢者「そうかい。ならいいんだ。おやすみ」

    戦士「おやすみなさい」

    賢者「あーケツかいぃ」

    戦士「……準備か」

    戦士(私に必要なのは……)

    戦士「……」

    戦士「よし。素振りして寝よう」

    戦士(あ、そういえばアレも振っておこうかな、一応)

    戦士「義父さん……私は……」

    戦士「きっと……」

    636 = 610 :

    ―――翌日 魔王の城

    青年「ただいま戻りました」

    ソンビ「おにぃーちゃぁーん」テテテッ

    青年「魔王ちゃん」

    ゾンビ「あぃしてるぅ」ギュッ

    ハーピー「今回は早かったな」

    青年「色々ありまして。そちらのほうは?」

    ハーピー「鏡のおかげで捗ったぞ。奴らを丸裸にしてやったわ」

    青年「それはエロチックな」

    ハーピー「やはり相当隠し事をしていたな、奴らは」

    戦士「キマイラの居場所ですか?」

    ハーピー「長い話になる。中へ入れ」

    キャプテン「あたしはここで待ってるよ」

    青年「それは無理ですね。貴女にも話を聞いてもらわないと」グイッ

    キャプテン「やだ!!やだ!!勘弁しておくれ!!!」

    637 = 610 :

    ―――謁見の間

    キャプテン「ひぃ……だーりぃん……」ガタガタ

    青年「大丈夫ですよ。食べたりしませんから」

    キャプテン「そうだけどさぁ……」

    ガイコツ「お茶ですぅ」

    キャプテン「ぎゃぁー!!!」

    ガイコツ「ぎゃぁー!!!」

    キャプテン「何大きな声出してんだぁ!!」

    ガイコツ「貴女が大声出すからでしょ!?」

    魔法使い「なにやってるのよ……」

    ドラゴン「―――来たか」

    青年「はい。色々判明したんですよね?」

    ドラゴン「ああ。吸血鬼とミイラもキマイラの計画に加担していたようだな」

    青年「ミーちゃんもですか?」

    ドラゴン「奴は知らずに加担していたほうだ。とはいえ、ミイラはキマイラの意図に気がつかなかったばかりに見捨てられたようだがな」

    638 = 610 :

    青年「ゆ、ゆるせん!!おのれキマイラ!!あのような可愛い子を見捨てるなど……!!俺が拾う!!!」

    魔法使い「それで、吸血鬼のほうはどうだったの?

    ドラゴン「キマイラは各地に散らばる自身のシンパに攫ったニンゲンを与えていたようだ」

    僧侶「それって……」

    ドラゴン「生命力の抽出だな。ニンゲンが自力ではこれないような場所でひっそりと力を蓄えさせようと考えたのだろう」

    僧侶「なんてことを……」

    エルフ「キマイラ様も堕ちるところまで堕ちたか……」

    ドラゴン「最も簡単に力を得られる方法だからな」

    賢者「……」グビグビ

    戦士「それで居場所は?」

    ドラゴン「お前のいた街にいる可能性が高い。もしいなくても確実に痕跡は見つかるだろう」

    戦士「……そうですか……」

    青年「それは確実ですか?」

    ドラゴン「吸血鬼のところにもミイラのところにも最近は姿を現していないようだから現在いるかは不明だ。ただ、数ヶ月前まではあの城に呼ばれることがあったらしい」

    戦士「数ヶ月前まで……そんなことが……?」

    639 = 610 :

    青年「どちらにしてもあの城には何かがあり、それはキマイラに繋がるモノも残されている。そういうわけですね」

    ドラゴン「そうなる。だが、今回の目的はキマイラ討伐よりも王女のほうを優先させるのだろう?」

    戦士(え……?)

    青年「王女が人攫いを率先して行っている可能性もありますからね。鏡を使って、とりあえずは兵士と国民に王女の本性を晒しましょう」

    戦士「キマイラ討伐が最優先では……」

    青年「キマイラは逃げ足が早いですからね。先日の一件で逃げ出しているかもしれませんし」

    戦士「そうですか……」

    青年「それに貴女とキマイラは何も関係がありませんから」

    戦士「……」

    青年「それにしても変な話ですね」

    ドラゴン「そうだな」

    僧侶「どうしてですか?」

    青年「数ヶ月前まで自身の配下を招集していたのに、それを止めたこと。そして他の魔物の前に姿を見せなくなったこと。そして僕をあの城に誘い出したことです」

    戦士「単純に吸血鬼やミイラのことを見限った。あの城に貴方を誘い出して殺害するつもりだった。その程度のことでしょう?」

    青年「ミーちゃんはともかく、吸血鬼は能力も高そうでした。見限る理由はないでしょう。それと力を蓄えている相手が標的を呼びつけるということは準備が整ったということです」

    641 = 640 :

    青年「どうですか?」

    賢者「……なにがだ?」

    青年「何も知らないとは言わせませんよ?」

    戦士「……まだ何か隠しているんですか?」

    賢者「勘弁してくれぇ。年寄りをいじめんなよぉ」

    魔法使い「どういうこと?」

    青年「貴方はあの街で大人数に囲まれた。一人ぐらい真相を知っている人も混じっていたのではないのですか?」

    賢者「あの状況で多人数の心の声を拾えるわけねえだろ。そこまで万能じゃねえよ」

    青年「……そうですか」

    賢者「……」グビグビ

    僧侶「勇者様、キマイラがいると思って攻め込んだほうがいいのですか?」

    青年「それは勿論。こちらの出せるものを全て出しきりましょう」

    エルフ「よし。ボクはガーちゃんのメンテナンスでもしてこようかな」

    ドラゴン「木偶人形ならこっちだ」

    戦士「私も準備を始めないと……」

    642 = 640 :

    キャプテン「ダーリン、あたしはもう船に帰っていいかい?」

    青年「まだ作戦会議をしていませんから、ダメです」

    キャプテン「でもぉ」

    青年「僕が傍にいても怖いですか?」

    キャプテン「ダーリン……。ううん、怖くないよ」

    ゾンビ「おねぇーちゃぁーん」

    キャプテン「いやぁー!!!」

    青年「では、少し休憩しましょうか」

    魔法使い「んー……そうね。ちょっと横になりたいわ」

    僧侶「はい。では、休ませてもらいますね」

    青年「ええ、ごゆっくり」

    賢者「んじゃ、俺も酒でも飲みにいくかぁ」グビグビ

    戦士「あの……」

    青年「なんですか?」

    戦士「鏡はどこにあるのですか?」

    643 = 640 :

    青年「鏡をどうするんですか?」

    戦士「真実を見ます」

    青年「貴女には全部話しましたが」

    戦士「自分の目で見ることができるのなら、そちらを見たほうがいいでしょう?」

    青年「どうやら本気で嫌いになろうとしていますね」

    戦士「隠されるのはもうたくさんです」

    青年「……」

    戦士「それに貴方は嘘つきだから」

    青年「分かりました。といっても鏡の場所は知りません。ドラゴちゃんから聞いてください」

    戦士「はい」

    青年「見てもきっと苦しむだけだと思う」

    戦士「どうしてそう思うんですか?」

    青年「今から戦うからだ」

    戦士「それでも見ないことには、私は進めない。今は自分のことも分からないから」

    青年「僕のことを信じられないのですね。嬉しいことです」

    644 = 640 :

    戦士「なにを……」

    青年「一昨日の話、普通ならそれが真実だと考え、その奥を知ろうとなんてしませんから」

    戦士「……」

    青年「貴女は見込みどおりの女性です。是非とも側室でいてほしいですね」

    戦士「それは真実の内容次第です」

    青年「そうですか」

    戦士「それでは、また後ほど」

    ハーピー「魔王!!なにをしておる!?」

    ゾンビ「おねーちゃんにあそんでもらってたの」

    キャプテン「うぅ……うぅぅ……」

    ハーピー「泡を吹いておるではないか。やめてやれ」

    ゾンビ「あぅ……ごめんなさぃ」

    キャプテン「……ダーリン……」ガクッ

    ハーピー「む。死んだか?では、いただこうか」

    青年「あー!!ダメですよ!!おなか壊しますよ!!」

    647 :

    乙!
    ハーピーも勇者も何気にひどいww

    648 = 640 :

    ―――客間

    ドラゴン「真実の鏡?」

    戦士「はい」

    ドラゴン「構わないが悪用はするなよ?」

    戦士「しません。私にとって大事なことなんです」

    ドラゴン「本当にか?」

    戦士「勇者のことを私は知りたいんです」

    ドラゴン「……そうか。お前は元々勇者を探すために旅に出たのだったな」

    戦士「もう探すの意味が違ってきていますけど」

    ドラゴン「しばし待て」

    戦士「はい」

    エルフ「勇者の何を知りたいの?」

    戦士「……私は勇者のことが嫌いです。助けを求める人たちから目を背け、逃げ出すような人種ですから」

    エルフ「ふぅん……」カチャカチャ

    「私個人の見解ですが、そのような人物ではないと思われます」

    649 = 640 :

    戦士「貴方達は共に戦ってきたからそう確信しているのでしょうが、私は違います」

    戦士「勇者という脆弱な者をこの目で見ました」

    「数多くの勇者が生まれた時代です。そのような勇者もいたのかもしれませんね」

    エルフ「そんな奴だったら一緒に旅をしてなかったかも」

    「同感です」

    戦士「……だから、あのとき何があったのか私はこの目で見たいんです」

    「それは私のパパを好きになりたい、ということでよろしいですか?」

    戦士「よろしくないです」

    エルフ「好きになるんじゃなくて、信用したいんだね。変な感じだけど」

    戦士「簡単に言えばそうなりますね」

    エルフ「……」

    「パパは鏡を使うことを許可してくれているのですか?」

    戦士「みたいですね」

    エルフ「……ボクも見に行こうかな」

    「恐らくですが、私たちが見に行けば上映会は中止になるかと」

    650 = 640 :

    エルフ「わかってるよ」

    「依頼したいことがあります」

    戦士「なんでしょうか?」

    「パパの過去をみることができれば、後ほど掻い摘んで説明をお願いします」

    戦士「え、ええ、それぐらいだったら」

    エルフ「ホントに!?」

    戦士「え?」

    「他の方には内密にお願いします」

    戦士「直接聞けばいいのでは……」

    「何度も聴取の挑戦を試みていますが、いつも逃亡を図られますので」

    エルフ「絶対、鏡を手に入れたときみんなが同じこと考えていたと思うんだ」

    戦士「そ、そうですか……。分かりました、言える範囲で説明します」

    エルフ「ありがとう。楽しみにしてる」

    「パパの秘密がついに……。あまりのことでオーバーヒートしそうです」

    戦士(そういえば気にしている人が多かったな。確かにどのような人生を送ればあのような人格が形成されるのか、興味はあるけど)


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