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元スレ上条「そこのおねーさん! お茶しない?」 麦野「あん?」

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901 :

舞ってます

902 :

>>900
だってねぇ…
ロリ体型のエロ描写苦手なんよねぇ…
フレンダみたいなファンタジーは何とかなるけど、ガチで描写しようとするとリアルリアリティの壁が……

さて、エロエロかけたので投下。
今回は40kB強。

3月中に4話終わるか微妙だなぁ…

903 = 1 :




明けて、翌朝。

「え、滝壺、超寝込んじゃったんですか?」

カリカリのトーストに、ハム、目玉焼き、トマト、シャキシャキレタスを豪快に乗せ、その上からマヨネーズをたっぷり。
新鮮に光る野菜たちが食欲をそそる。

「まぁ、察してやリな。ちょっと昨日の夜頑張りすぎたんだよ」

こちらは、いつもの100%果汁のオレンジジュースと、グリーンリーフ、ルッコラ、パプリカ、水菜、サラダ玉葱をボウルいっぱい。
朝から大量の野菜、が彼女のポリシーだ。

「結局、ヤリすぎって訳よ。あ、そこの焼き海苔とって」

銀シャリに味噌汁、そして焼き海苔に薄口醤油。
金髪碧眼の彼女の朝食は、その容姿に似つかわしくない、コメ・ミソ・醤油である。

「察しろって言われただろうが、ボケ…!」

陰鬱な口調で軽く恋人の頭をはたく彼は、巨大な丼に熱々の銀シャリ、生卵3つと醤油をあわせた、特性の卵かけご飯だ。
卵の黄身が所々で固まり、それがますます食欲をそそる。

「ああ、だから浜面がさっきフレークと牛乳持って消えたのか」

ツンツン頭の彼もご飯とお味噌汁だが、付け合せは白菜と大根の漬物、そして当然のようにある亜鉛サプリメントだ。
ほどよい塩味が食欲をそそる。

ガツガツガツガツ、

むしゃむしゃむしゃむしゃ、

昨日の色々な疲労を一気に回復するかのような、口噛音が賑やかな朝食であった。

「しかし、それにしても……」

ツンツン頭の彼が呟く。

「ここまでバラバラの要求を完璧にこなすとは… 山岡さんすげぇ……ッ!」

台所で、作務衣にエプロンという、合っているようで合っていない格好のモノクローム紳士がニコリと笑う。

「漬物は私のお手製でございます」
「マジか……」

麦野の別荘、2日目が始まった。



.

904 = 1 :

「ああ、今日は朝からゲストが来るから」

朝食後の軽いコーヒータイム。
麦野が何でもなさそうに、ポツリと呟いた。

「ゲスト? 誰?」

心当たりが無い上条が首を傾げる。

「アンタも知ってる面々よ。特に仕事でね」

そう言われて想像するのは、つい先々週に激闘を繰り広げた『グループ』たちだ。

「……あの、サラシ巻いたねぇちゃん?」
「あの娘の前でそういう言動すると殺すわよ? 結標はアタシ以上の年下趣味なんだから」

ああ、正解か… と納得しかけて、慌てて上条が思いなおす。

「あ、あのさ… 俺たち、アイツらと殺しあったと思うんだけど…?」
「仕事で、よ。確かに、最後に出てきた第2位とは顔も合わせたくないけど、結標とはプライベートではそれなりに付き合いあるのよ」

コーヒーカップを受け皿ごと持ってコーヒーを啜った麦野が、ふと何かに気付いて天井を見た。

「言ってる内に、来たみたいよ」
「えっ? ……あぁ」

その意味を悟った上条が、黙って耳を澄ます。
すると、遠くから、バタバタバタバタ…………!! と、何かが風を切る音が聞こえてきた。

「……ヘリ?」
「そ。迎えに行くぞ」

座っていた椅子から勢いよく立ち上がり、麦野は上条を引きずるようにして外に飛び出した。

905 = 1 :

「どこに降りるつもりなんだ、あれ…? つーか、学園都市製の『六枚羽』の亜種じゃねぇか……」

朝から炎天下の砂浜の上。
眩しそうに太陽の光を手で遮って、駒場がポツリと呟いた。

彼の上空を旋回するのは、普段は無人で運用される迎撃用超攻撃ジェットヘリの『六枚羽』。
その機体の、おそらくは移動・運搬用に改良されたマイナーモデルであった。

「ヘリポートがあるわけじゃないから、結局、ここ(砂浜)に降りるんじゃない?」
「そりゃ、やってやれないことは無いだろうが、けっこう、ここの傾斜強いぞ? 無理じゃねぇかな…」

駒場がそう言った瞬間、バタバタバタバタ!! と砂浜の上でホバリングを続けるヘリの中から、何か黒いものが投下された。

「危ねッ!!」

見上げる2人からは十分な距離はあるが、念のために駒場が傍のフレンダを抱きかかえる。

ドスッ! と重い音を立てて着地したのは、どうやら荷物が沢山つまった巨大なザックのようだった。

「あー、あれって学園都市謹製の、『超衝撃緩和ジェル』で覆ったザックな訳よ」
「荷物だけ降ろして、どうしようっていうんだ?」

怪訝な顔でヘリを凝視する駒場。

その視線が荷物を落としたのだろう人物を捉えた。
ヘリから半身を乗り出したその人物は、ニヤリと笑ったように見えた。

906 = 1 :

ヘリの機内。

「それではお姉さま、お先に」
「はいはい、こっちはこの娘とゆっくり降りるわ」

短い会話を交わした後、鉄扇を両手に持った、黒すぎるほど黒い黒髪を持った少女が、一気にヘリから空中に飛び出した……!!

907 = 1 :

「飛び降りたッ!?」
「ば、馬鹿か、死ぬ気かッ!?」

地上の2人が慌て叫ぶ。

ヘリから地上まで30m以上はある。
どう考えても軟着陸できる距離ではない。

しかし――、

「あ、そ~れ!」

落下者が独特な動きで身を捻ると、ちょうど落下速度が減速する方向にエアジェットが噴出した。

それは、まるでオリンピックの体操選手のような動きだった。

捻り、足を畳み、開き、手を動かし、様々な角度でエアジェットを噴出させる。
そうして落下速度を強引に削りながら、最後は月面宙返りの要領で、柔らかい砂場に綺麗に両足で着陸する。

「ふっ… 婚・后・光・子… 参上……ッ!!」

呆然とする駒場・フレンダを尻目に、ビシッと見る者が見てもあまり上品では無いポーズで婚后光子が名乗りを上げる。

「……派手に登場しやがったなぁ」

別荘からようやく到着した上条が、かなりの呆れ顔で呟いた。

「あら、誰かと思えば、わたくしの好敵手さんではございませんか。ほほ、お久しぶりですわね」

口に鉄扇を当てて、ほほほ、と笑う。

「おい、結標は?」

上条の後ろから、麦野が問う。

「おっと、そうでした… えー、皆様、おねえさまが転移いたしますので、この辺りを広く開けてくださいまし… はい、どうも」

婚后がちょこちょこと人を動かし、ヘリに向かって大きく手を振る。

次の瞬間、何も無い空間に、突如として2人の人間が同時に現れた。

1人はいつものサラシに、南国によく合うアロハシャツを引っ掛けた結標淡希、
そして、もう1人は……

「お、おま…ッ! なんでここに……ッ!?」
「あ、あたしが聞きたいわよッ!? 上条当麻ッッ!!!!」

サラサラおでこが太陽の光を眩しく反射。
スタイルに似合わぬ大きすぎる巨乳。
気の強そうな太目の眉。
そして、なぜか短パンとタンクトップの寝巻き姿。

自称・親称・上条当麻の許婚、吹寄制理がそこに居た。

908 = 1 :

時は遡ること3時間前。

TELLLLLLLL……

規則正しい生活をしている彼女でもまだ夢の中の午前5時。
けたたましい電話のベルが彼女を叩き起こした。

「……はい? ふきよせですけど…?」
『家におるかー?』
「えぇ…? はい、居ますけど…?」
『今日から3日、暇?』
「はぁ……? ひまって… え…?」

思考が安定していない彼女は、疑問を提起することができずにカレンダーを見る。

「……あぁ、まだ大覇星祭の仕事は無いし… 暇ですけど…」
『よし、それなら今から行くわ』
「…………はぁ?」

ようやく頭がはっきりしてきた吹寄が、ようやくおかしいと感じたその瞬間、

シュン…

「はぁい♪」
「だ、誰よアンタッ!?」
「今から南の島に行くから」
「はぁ!!??」

突然現れたサラシ・アロハシャツに触られた瞬間、吹寄制理は密かに上空で待機していた『六枚羽』の機内に転移させられていた……


909 = 1 :

「こ、怖かったッ!! すっごい怖かったッッ!!」

上条の肩を掴んで、がっくんがっくんと激しく揺らしながら吹寄が叫ぶ。

「いや、えーと… すまん……」

事態はよく分からないが、とりあえず謝る上条である。

「騒がしいわねぇ……」
「あ、貴女……ッ!」

麦野の姿を認めると、吹寄は上条を離して麦野に詰め寄った。

「麦野さんの仕業ですか……ッ!?」
「ええ、そうよ」

麦野があまりにもあっさり首肯したので、逆に吹寄の勢いが削がれる。

「ど、ど、どうして…ッ!? 誘拐ですよ、これ!」
「だって、黙って当麻と旅行に行ったら、それはそれでお前怒るだろ?」
「だからってこんな……」

吹寄が呆然とした表情で周囲を見回す。

麦野と上条以外は完全に知らない顔だ。
結標、婚后は荷物の回収に向かい、駒場、フレンダはバツの悪そうな顔でそっぽを向いている。

「………完全アウェイじゃない」
「じゃ、帰る? 帰りたいのなら、またヘリを呼ぶわよ」

あー、煽りうまいわー、と、その場に居る全員が思った。

案の定、吹寄は、キッ、と麦野を睨みつけ、

「帰りません! 最後までお付き合いしますッ!!」

と大声で宣言した。



.

910 = 1 :


***

とりあえず落ち着いた吹寄を別荘に通し、一通り自己紹介を終えると、おもむろに麦野は海を見て一同に宣言した。

「さぁて、お昼は浜辺でバーベキューだから、それまで泳ぐわよ。準備は山岡さんに任せておけばいいわ」
「まぁ、2日連続ではありますが、プライベートビーチを超目の前にして、泳がない手はありませんね」

到着したばかりの結標と婚后もそのつもりだったのか、嬉しそうに荷物からそれぞれの水着を取り出す。

その他の面々も、思い思いに動く中、1人吹寄だけが慌てた様子で麦野に声を掛けた。

「あ、あの、麦野さん… アタシ、水着なんて持ってませんよ…!?」

身一つで誘拐されたのだから、当然ではある。

「大丈夫、大丈夫。貴女の分はちゃんと用意してあるから」
「…ちゃんとしたモノなんでしょうね?」

状況が状況なだけに、疑り深い目で吹寄が尋ねる。

「私と同じタイプの水着だから大丈夫よ」

いまだ麦野の本性を把握していない吹寄は、一抹の不安を感じながらも取り合えず納得する。

(100%セパレートでしょうね… あとは柄か……)

麦野と自分のスタイルを遠慮なく目視で比べる。

(胸は… 若干だけどアタシの勝ちね…… 全体のプロポーションは流石に負けるけど……)

どう考えても、これは向こうから仕掛けた『上条当麻争奪戦』である。
ならば、持て得る全ての戦力は、出し惜しみなく使うべきである。

(ポロリぐらいはやってやるわよ…!)

静かに、しかしあからさまに闘志を燃やす。

だが悲しいかな、清楚系と吹寄が想像している麦野沈利は、まぎれもなくビッチ系なのであった……

911 = 1 :

「トップレスなんて聞いてないわよぉぉぉッッ!!」

更衣室、というか、浜辺脇のたんなる木陰で、吹寄が吼える。

「て、て、て、てゆーか!! これ水着なのッ!?」
「学園都市謹製の『紐要らず』『透過性抜群』『ただ貼るだけ』の高性能スイムシールよ?」
「どこをどう見ても、ただの『前貼り』と『ニプレス』じゃないッ!!」

麦野が吹寄に手渡したのは、大きさの違う不透明なシール3枚だけだった。

吹寄が言うとおり、その見た目はどう見ても『前貼り』と『二プレス』である。

「焼きムラ作るの嫌なのよ。ここなら他人の眼を気にせず焼けるし」
「だ、だからって……」

渋る吹寄を尻目に、麦野は躊躇なく服を脱ぎ捨て全裸になると、スイムシールをペタリと乳首と陰部に貼り付けた。

ほとんど全裸で、乳首と股間に申し訳程度のシールを貼り付けているその姿は、

「まんま痴女じゃん…… 麦野さんがそんな変態だったなんて……」
「うるさいわねー、嫌なら別荘で寝てる? 当然、当麻はこっちだけど?」

そう言われると、吹寄は引くことが出来ない。

「き、着るわよッ! 着れば良いんでしょ!!」

ひったくる様にしてスイムシールを奪い取り、そこでハタと途方に暮れる。

(え、ここで脱ぐの…?)

恐る恐る周囲を見渡す。

まだ周囲には、早めに出てきた結標と婚后しかいない。

「早くしないと、剥くわよ」

冷たい瞳の麦野にそう言われ、吹寄は「ぐぬぬ…」とうめき声を上げながら、のろのろとタンクトップを脱ぐ。
寝巻き用のスポーツブラに上着が引っ掛かり、脱いだ反動で、ぶるんッ、と見事に巨乳が縦に揺れた。

(なんだアタシ、こんな所で裸になってるんだろう……?)

深く考えようにも、朝からの怒涛の展開に頭が思うように動いてくれない。

そうこうしている内に、ブラジャーが砂地に落ちて、どでかい巨乳が外気に触れる。

「こ、これ、そのまま貼ればいいの…?」
「ええ、乳首を倒さないように、気持ち軽めにね」

どきどきしながらシールを乳首に当てると、それは驚くほど絶妙のフィット感で乳首を覆い隠してくれた。
同じように、もう片方の乳首にもシールを貼る。

「……着けて無いみたい」
「こんなのでも学園都市製だからね。ほら、早く下も着けなさい」
「わ、わかってます…!」

ここまできたら覚悟を決めるしかない。

吹寄は麦野に背を向けて短パンとショーツを脱ぐと、素早く股間にスイムシールを貼り付けた。

「……そういえばトイレは?」
「粘着しているわけじゃないから、何度でも貼りなおしは可能よ」

ようやく一式を見につけた吹寄を満足そうに見つめると、麦野は強引に吹寄の手を掴んだ。

「さぁ、それじゃこんがり焼きに行くわよッ!」
「ちょ、ちょっと引っ張らないで…ッ!」

燦々と降り注ぐ太陽の下に、半裸の巨乳美女2人が弾けるように踊り出た。

912 = 1 :

「みっちゃん凄い水着ねぇ…」

意外に味気ないワンピースタイプの水着を着た結標が、波打ち際でなぜかポーズを取っている婚后を見て言った。

「おねえさまも、これぐらいご着用になればいいんですわ」
「別に、アタシは露出狂じゃないし」

普段のサラシ姿は棚にあげて結標が言う。

婚后の水着は、いわゆる『スリングショット』と呼ばれる紐状の水着で、
両肩から股間にかけて伸びた紐が、丁度乳首を隠すラインで交叉している。

「公共の海辺では、こういった過激な水着はまさしく目の毒ですが、プライベートビーチならハメを外すのがお約束ですわよ」
「そういうもんかしら…」

(見せるオトコが居ればそういう気分にもなるでしょうけどねぇ…)

結標がそんなことを考えていると、遠くからぎゃあぎゃあ騒ぎながらやってくる人影が見えた。

「あ、先輩、ようやく……」

それが麦野であると認識して、おもわず結標は絶句してしまった。

「うわぁ…」
「ほ、ほらッ! 引かれてるじゃないですかッ!」

強引に連れて来られた吹寄が、両手で身体を隠して叫ぶ。

「堂々としてりゃ恥ずかしくないわよ。女しか居ないんだし」
「で、でも…!」
「あら、みなさま……」

騒ぎに気付いた婚后が、麦野と吹寄の肢体をためつすがめつ眺める。

「……わたくしが申すのもなんですが、中々に下品でいらっしゃいますわね」
「ほら、ほらッ!」
「いや、別に下品で間違ってねーし」

あっけらかんと、麦野はそう言うと、結標に掌大のプレスチック容器を投げ渡した。

「結標ー、サンオイル塗ってちょうだい」
「あら、オトコにさせなくて良いの?」
「昨日、日焼け止めで遊んだからもういいや。アンタはこっちの娘をお願い」

同じ容器を婚后にも投げ渡す。

「ま、ホストにこれぐらいのサービスはしますか…」
「ですわね。さぁさぁ、そちらのデッキチェアに横になって下さいな」

遠慮する暇も無く、吹寄はデッキチェアに仰向けに座らされた。

「あ、そんな焼かなくても…」
「きちんと塗らないと、夏休み中、部屋に閉じこもるハメになりますわよ?」
「うぅ……」

そこまで言われ、渋々吹寄は初対面のお嬢様に身を任せることにした。

無論、このときの判断を、吹寄は強く強く後悔するのであった。

913 = 1 :


***


「しかし、まぁ、おおきなおっぱいですわねぇ…」

塗り始めてすぐに、婚后は吹寄のでっぱいに興味を持った様子で、必要以上にべたべたとその大きな乳房を触り始めた。

「わたくし、それなりに発育は良い方だと自負しておりましたが、これは自信を無くしてしまいそうですわね」
「あ、いや… ども……」

一応、褒められているのだから邪険にはできない。
しかし、サンオイルを塗る手つきがまさぐるような動きであるのは気のせいだろうか。

「サイズはおいくつなんですか? ちなみに、わたくしは84のDですわ」
「えっ、えと… これ言う流れ…? ……92のG」
「……桁が違うとはこのことですわね。なるほどぉ……」

もみもみもみもみ………

サンオイルを塗る、というより完全におっぱいを揉みながら婚后が呟く。

「あ、あの… 婚后さん、でしたっけ… もう、胸はいいですから……」
「あらあら、でもこれが邪魔して全部濡れていませんわ」

悪戯っぽくそう言うと、婚后は吹寄が抵抗する間も与えず胸に着けたニプレスを2つとも剥ぎ取ってしまった。

「ッッ!! ちょッ! 何するのよッ!!」
「だぁってぇ、剥がさないと濡れないでしょう?」
「だからって…」
「ああ、1人だけトップレスはお恥ずかしいですか? それなら…」

婚后が自分のスリングショットの肩紐に手をかけたかと思うと、それを躊躇いもなく外側にずらした。

シュル、と僅かな音がして、婚后の形の良い美乳が露わになった。

「ちょっと…ッ!」
「さぁさぁ、これで恥ずかしがることはありませんわ、折角ですから…」

婚后がサンオイルの容器を自分の身体の上で傾ける。
容器から流れ落ちたオイルが、たらーッ、と婚后の美乳の上に垂れ落ちる。

「わたくしのカラダで、お塗り差し上げますわ♪」
「ひっ…」

ああ、この女も変態であったか…
吹寄はこんな所でレズプレイもどきを受けなければならない、己の運命を呪った。

「不幸だわ……」



914 = 1 :

「おーおー、みっちゃん飛ばしてるなー。止めなくて良いの、先輩?」
「本気で嫌なら抵抗するでしょ」

こちらは、至極まともにサンオイルを塗り合っている麦野と結標である。

「しっかし、92のGって凄いわねぇ。先輩、負けてるんじゃない?」
「負けてるわねー、アタシは90しかないもん」
「よく垂れないわね……」

しばらく、互いに黙々とサンオイルを塗り合い、不意に結標が口を開いた。

「上、再編が進んでいるわよ」
「だろーなぁ、『暗部』の間引きなんて考えるんだ。よっぽど『予算』が足りないんだろ」
「身の振り方を考えておくべきね」
「ここらが潮時なのかねぇ……」

おおよそ塗り終わったのか、麦野がサンオイルの容器を、ポイッ、と投げ捨てる。

「アンタは復学?」
「そのつもり。居候先も決めてあるし。みっちゃんも常盤台への編入が決まったし」
「アタシは復学する歳じゃないし、研究機関に入るにしてもなー」

うーむ、と天を仰いで考える。

「……やっぱり、『アイツ』を探さないと駄目かなぁ…」
「おーおー、修羅場が見れるかもしれないわね、これは」
「うっさい」

麦野が軽く結標の頭をはたく。

「どこで何してんのかしらねぇ… あの白もやしは……」

ぼそり、と麦野は誰にも聞こえないように、口の中だけで呟いた。

915 = 1 :

「ぐす… ひく、ひっく……」
「ふぅ、ごちそうさまでしたわ」

サンオイル塗りという名の拷問が終了し、婚后は満足気に息を吐いた。
その表情は、達成感に満ち満ちている。

「もう… もう… お嫁に行けない…」

一方、吹寄はデッキチェアに仰向けに倒れこんでおり、その顔面は涙と涎で汚され、視線は空ろだ。
どこからどう見ても陵辱後の風体である。

「こーら、みっちゃん、一般人に何してんのよ」
「あら、ほんの少し『お肌の触れ合い』をしただけですわ。わたくしが本気を出したら…」

くい、くい、と中指をいやらしく曲げる。

「今頃は夢の中ですわ」
「あ~あ、涎でべとべと……」

気の毒に思った結標が、タオルで吹寄の顔を整えてやっていると、後ろから聞きなれた男の声が響いた。

「おーい、準備できたぞー」

それまで準備していたのであろう、大人3人は余裕で乗れる巨大なゴムボートを担いで、上条が現れた。

「いやぁ、エアコンプレッサーがあって助かったぜ… って、吹寄、どうしたッ!?」
「………ふぇぇぇん、とうまぁぁぁぁ!!」

ようやく縋れる人間が登場したことで気が緩んだのか、普段では絶対に出さない弱気な声を出して吹寄が上条に抱きついた。

「お、おいッ、なんでお前裸なんだよッ! って、沈利も同じ格好だし…!」

上条の背筋に冷たい汗が流れる。

「あのぅ… 麦野さん… 何か良からぬことを考えていませんか?」
「あら、よく分かるわね」

麦野の顔が、にたぁ、といびつに歪んだ。

「沖、出ましょ」

上条が運んできた巨大なゴムボートを指差して、麦野はにっこりと笑いながら言った。

916 = 1 :


***

「………………ごくり」

目の前の光景を出来るだけ見ないようにして、上条はただひたすら無心にオールを漕ぐ。

上条が運んできたゴムボートは2畳ほどの広さがあり、そのスペースに上条と麦野、そして吹寄が乗り込んでいる。

あの後、すぐに麦野は吹寄と強引にゴムボートに乗り込むと、上条を動力にボートを走らせたのだ。
ちなみに、ゴムボートは浜辺に設置されたアンカーとロープで繋がっており、沖に流される心配はない。

「そっぽ向いてんじゃないわよ、ちゃんとこっち見なさい」
「う… そう言うけどさぁ……」

正面左側に正対するように座った麦野がから声が掛かる。
さらに、反対の右側には吹寄がジト目で座っている。

「…目のやり場に困るってレベルじゃねーぞ」
「見せてんだから、遠慮なく見なさいよ」

左側の麦野がクスクスと笑う。
彼女はほとんど隠れていない肢体を隠そうともせず、ゆったりとくつろぐようにして足を伸ばしている。

「アタシは出来るだけみないでよね、上条当麻……」

反対に吹寄は縮こまるようにして胸と股間を手で隠し、顔も反らして視線も合わせない。

「お前はマジ無理すんなよ… あ、沈利、足が……」
「だって狭いんだもーん」

思いっきり伸ばした麦野の足が、上条の足に覆いかぶさる。

いくら広いとは言っても、成人が3人も乗れば必然的に肌を寄せ合うことになる。
さらに、女性2人は乳首と股間だけ隠したほぼ全裸の格好なのだ。

意識をするとすぐに興奮してしまいそうなシチュエーションである。

917 = 1 :

「……上条当麻、ちゃんと定期的に水を飲みなさいよ。この炎天下でずっと運動してたら、すぐに脱水症状になるんだから」
「ああ、サンキュ… えっと、水はたしか…」

上条がオールを持ったまま周りを見回すと、唐突に麦野が身体を、ぬっ、と上条に寄せてきた。

「手がオールで塞がって飲みにくいでしょ? 飲ませてあげる」

そう言うと、麦野は手元にあったミネラルウォーターのボトルを手に取り、片手で器用にキャップを空けた。

「ああ、わりぃな…?」

しかし、そのまま飲ませてもらえるのかと思いきや、麦野はそのまま自分でボトルに口を付け、ミネラルウォーターを口いっぱいに含んだ。

「あ…」
「ん~~~!」

そのまま抵抗する暇を与えず、上条にキスをして咥内の水を上条の咥内に流し込む。

「な、な、な……!」

いきなり大胆な麦野の行動に、吹寄の顔がワナワナと驚愕に震えた。

「んぅ… ぷぁ…… どーお? 喉潤った?」
「沈利… お前……」

上条は麦野の奇矯な振る舞いに困惑したと言うより、吹寄の目の前で『行動を起こした』ことにある種の覚悟を感じた。

そして、それは吹寄もはっきりと感じたことだった。

「あ、あたしだって……!」

分捕るようにボトルを奪い、ミネラルウォーターを口に含む。

「………………ッ!」

ほんの一瞬だけ躊躇し、ぶつけるようにして上条と口唇を合わせる。
そのまま水を流し込もうとするが、麦野のように上手くできず、口唇の隙間からだらだらとミネラルウォーターが零れた。

「あぅ… ごめん……」

びちゃびちゃに濡れた上条の胸元を見て、思わず吹寄が謝る。

「いいけど… 良いのかよ、お前……」
「…良いわよ、初めて捧げたんだから、キスぐらいどうってことないわよ…!」

後半は麦野を意識してのセリフだった。

この痴女が自分にエロ勝負を仕掛けていることは最早明らかであった。

(アタシだって、カラダで釣ろうとしたことあったんだし、望むところよ……!)

知らない他人に肌を見せるのは嫌だが、上条に見せるのならば何とか耐えられる。

(清楚系女子力ならともかく、カラダネタでは負けないッ!)

密かに気合を入れて覚悟を決める。

だが、悲しいかな、勝負は当然のように吹寄の想定外のレベルまで発展するのであった。

918 = 1 :


***

「ねぇ、もう十分沖に出たから、漕ぐのやめて良いわよ」
「そうか? ふぅ、こりゃ良いトレーニングになったなぁ」

オールをフックに固定して、上条が筋緊張をほぐすように軽く腕を屈伸させる。
筋疲労を確かめるように、上腕2頭筋と腕橈骨筋を肥大させ、見事な力瘤を作ってみせる。

「逞しいわねぇ、素敵!」

スルスル、と麦野が上条の傍に移動して、腕を抱え込むようにして上条に抱きつく。

「この腕で何回も私を守ってくれたのよねぇ… 当麻の身体で好きなパーツといったら、やっぱりココね」

二の腕をおっぱいで挟み込み、手を股間で挟み込む。
必然的に上条の手の甲が、麦野の大事な秘所と接触するが、麦野は意に介さず、どころか強く押し当て始めた。

「……当たってるけど?」
「当ててんの」

チラ、と吹寄を見ると、案の定、あんぐりと口を開けて絶句している。

「おい吹寄、何度も言うが、無理すんなよ」

上条の心から吹寄を思ってのセリフだが、それは火に油である。

「む、無理なんて無いわよッ!」

恐ろしくぎこちない動作で吹寄は上条ににじり寄ると、まるで余裕の無い表情で上条の腕を掴んだ。

「ふぅ、ふぅ、ふぅ……」

息を落ち着けようとして失敗し、結局深呼吸を何度も繰り返す。

(……えいっ!)

心の中で気合を居れて、思いっきり上条の腕を抱きかかえる。
半分意図したことだが、上条の手が秘所に触れて、背筋にゾクゾクとした電流が走った。

(うぅ… 触られてる……)

もう吹寄の頭は沸騰寸前だ。
自分の大事な部分を男に触られているということもあるが、それ以上に、

(当麻の腕、本当に逞しい……!)

いつの間にか大人の男となった幼馴染の逞しい腕が、吹寄の乙女心を著しく刺激する。

(この腕でギュッて抱かれたい……)

そうなれば、どんなに幸せだろうか?

上条当麻の体温と匂いを思いっきり堪能して、吹寄制理は次第に何かのスイッチが入っていくのを感じた。

919 = 1 :

スイッチが入り始めたのは上条も同じだった。

(やべぇなぁ… 沈利は完全に吹寄をこっちに引き込むつもりか……)

許婚宣言からこっち、麦野が吹寄のことを強く意識していたのは知っていたし、いずれは何らかの手を打つだろうとは予測していた。

しかし、まさか肉欲の宴に引きずり込むとは思わなかった。

ある意味、麦野の得意分野とはいえ、返って吹寄の自分に対する依存心を上げてしまうのではないかと不安に思う。

(まぁ、そこらへんは、何か計算があるんだろうけど……)

そして、直近に心配することがもう一つ、

(……このシチュエーションで勃たない男が、果たしているでせうか…?)

ほぼ全裸の、自分に対して好意を持っている巨乳美女が2人、身体の両側から大事な部分を押し付けるようにしてサンドイッチしているのである。
肉体的な昂ぶりを我慢できるはずもなかった。

「……ふふ、見事にテント張ったねぇ」

麦野が舌なめずりをして上条の股間を見る。
そこには、トランクスタイプの海パンが見事、山状に盛り上がっていた。

「こ、こら、上条当麻! 貴様、なに興奮してんのよッ!」
「ば…ッ、無茶言うな! こんなん押し付けられて、興奮せんほうがおかしいわ!」

上条と吹寄がぎゃあぎゃあと言い合っているうちに、麦野は遠慮なく手を上条の海パンの中にもぐりこませると、中で固く勃起しているペニスを片手で握った。

「うぉ……」
「ちょ、ちょっとアンタなにしてんのよ!」

上条と吹寄の反応もどこ吹く風で、麦野は、べろん、と上条のペニスを露出させる。
眩しい陽光の下に 、グロテスクに固く怒脹した長大なペニスが顔を見せる。

それを見た女性2人の反応は対照的だった。

「ひっく…!」
「うふ、元気ねぇ。ふぅ~」

吹寄は顔を引き攣らせて硬直し、麦野は頬ずりせんばかりに顔を近づけて息を吹きかけた。

「おい、あんまり陽に当てないでくれ、上条さんの息子が火傷しちまう…」
「あら、それは大変、それじゃあ…」

不意に麦野が上条の下半身にのし掛かると、豊乳で挟み込むように上条のペニスを覆い隠した。

「こうすればいいかにゃー?」
「いや、普通に海パンの中に戻せよ…」
「こんなにビクビク痙攣させて、出さなきゃ元に戻せないだろーが…!」

麦野はそう言うと、なぜかボート内に持ち込まれていたベビーローションを手にとって胸の谷間に垂らした。

920 = 1 :

「パイズリするぞー」

ぬちゃ、ぬちゃ、と豊富な潤滑油と驚異的に柔らかい肉球に上条のペニスが翻弄される。

本来、パイズリは肉体的快楽よりも視覚的満足感が主な性戯であるが、
麦野の圧倒的質感を持つおっぱいと、熟練した性技量により、それは最早肉のオナホールと言えるほどの快楽行為となっていた。

「うぐ… 沈利… 飛ばしすぎ……」

基本的に麦野は腟内射精をせがむ傾向にあるから、こういった『ご奉仕系』の性戯は程々に済ますのが殆どだ。
しかし、今回はライバルが居るせいか、麦野の動きが最初からクライマックスになっている。

「ふふ、ほーら、ガマン汁でてきたぞー、そろそろイッちゃう?」

いつものように上条を言葉で弄りながら、麦野がチラっと横を見る。

視線の先には、明らかに敵愾心に溢れた表情の吹寄が、自分の大きいおっぱいを鷲掴みしていた。

「…あら、何する気?」
「む、胸の大きさじゃ負けないんだからッ!」
「ふーん… それで?」
「半分よこしなさいよッ!」

踊りかかるように吹寄が反対側から上条にのし掛かる。

釣れた、とばかりに麦野が吹寄の分のスペースを空け、4つのおっぱいが上条のペニスを4方向から挟むダブルパイズリの体勢となった。

「……すげぇ眺め」

半臥位となった自分の下半身を見下ろせば、巨乳の恋人と許婚が、競って自分のペニスをおっぱいで擦り合っている。

基本的に謙虚で自己顕示欲が薄い上条だが、このシチュエーションは全世界の男に自慢できるし、自慢したいと思った。

雲ひとつ無い真っ青な空と、燦々と陽光を降り注ぐ太陽を仰ぎ見て、上条は幸せそうに呟いた。

「夏ってサイコー……」

921 = 1 :

「ちょい待ち、それじゃ全然気持ちよくなれないわよ」

しばらく競うようにパイズリを続けていた2人だったが、不意に麦野が動きを止めて吹寄に話しかけた。

「て、適当なこと言うんじゃないわよッ!」
「ばーか、挟む力が全然足りないんだよ。それだと、『擦る』んじゃなくて、ただ『滑って』るだけよ」

麦野はやおら手を伸ばすと、自分のおっぱいを挟んでいる吹寄の手に重ねた。

「これッッッくらい、力入れなきゃダメなんだよッ!!」
「い、いだぁッ!!」

万力のような力でおっぱいを挟みこまれて、吹寄が悲痛な悲鳴を上げた。

「はーい、この状態でこすこす上下に擦る! 細かく、素早くよ」

麦野が強引に吹寄のおっぱいを使って上条のペニスを擦り上げる。

それはまるで、肉のたわしを使ってぶっどい牛蒡を洗っているかのような行為だ。

「パイズリなんてさ、最初は『おおっ』て喜んでくれるけど、慣れちゃったら大したことないプレイなのよ。手コキやフェラの方が全然気持ち良いし」

昨夜から感じていたことだが、麦野はエロテクになると、なぜか教え魔になるようだった。

「こ、こうすれば良いの…?」

麦野のエロ教師オーラに触発されたのか、吹寄が警戒心を残しながらも麦野が言う通りに手とおっぱいを動かし始めた。

「そうそう… ホラ、許婚がせっせと奉仕してんだぞ。言うことあるだろ?」

ピン、とだらけた顔をしている上条の鼻を指で弾く。

「ッ!! あ、うん… き、気持ちいいぜ、吹寄……」
「ほ、本当…?」
「ああ、本当だ…」

上条がそう言ったので、俄然やる気を出した吹寄の動きが激しくなる。

「これ、これ、どう!?」
「うん、良いぜ… そこ、カリんとこが良い…」
「ここね!」

実のところ、上条との初体験が無残な失敗に終わったことに、吹寄は強い負い目を感じていた。

自分がもっと上手くできたら良かったのだと、何度も何度も後悔と反省を繰り返していた。

だから、上条が自分の性戯で喜んでくれるのが、素直に嬉しいのだ。

922 = 1 :

「おやおや、がっついちゃってさー、若いわねー」

吹寄がパイズリに夢中になっている隙に、麦野はこっそりと吹寄の背後に回ると、ローションを手にたっぷりと絡めた。

「上条がイクまで止めるんじゃねーぞぉ……!」

あまり上品でない笑みを浮かべながら、麦野が吹寄の股間を覆う『前貼り』を一気に剥がす。

「…………ッ!?」
「はーい、手を止めない! …悪いようにはしないから安心して」

吹寄を背後から抱きつき、耳元でそう囁く。
ついでに、身体も動けないように甘く拘束する。

「準備シテあげる……」

麦野の手が妖しく蠕き、くちゅり、と吹寄の秘所に遠慮なくもぐりこんだ。

「ひぅ!」
「処女じゃないから、指ぐらいは入れても平気だろ? さぁ、雌穴を開発するぞ…」

麦野の指が、吹寄のヴァギナの浅いところを丁寧に、しかし的確にかき回す。

ちゅくちゅく、とローションの潤滑を上手く使って入り口に集中する快感受容器であるパチニ小体を刺激する。
すると、程なくして吹寄の最奥からどろっとした愛液が分泌され、麦野は指を鉤状にしてそれを掬い取った。

「ん… いい性感してるじゃない……」

確信を得た麦野は、さらにローションを手に垂らして、今度は中指を慎重に吹寄のヴァギナの奥まで突き刺した。

「そ、それ以上は……ッ!」
「ほらほら、おっぱいが止まってるわよッ!」

中指を鉤状に曲げて、膣壁の腹側辺りを丹念に触察する。
ほどなく、

「ふぁッ!」
「お、ここか…」

吹寄の身体がビクンと跳ねるのを見て、麦野は吹寄のGスポットを探り当てたことを確信した。

「そこ… そこ、やぁ……ッ」

吹寄のおっぱいの動きは完全に停止しており、上条のペニスを巨乳で抱きかかえるようにして固まって震えている。

「あらら… あ、当麻、暴れないように押さえといてね。転覆するのやだから」
「……あとでしっかり説明しろよ」

現時点での理解を諦めた上条が、しっかり釘をさしつつも、言われた通りに吹寄を抱きしめる。

「あ… 上条当麻……」
「リラックスしてろ」

吹寄の両手が、本能的に上条に回された途端、腟内に潜る麦野の指が激しく踊り始めた。

「はあっぁぁぁッ!!」

ぐちゃぐちょ、と明らかな淫音が股間から響き、吹寄の性感が一気に高まる。

「1回、イッとくか…?」

Gスポットを中指で嬲りながら、外に出ている親指をスッと伸ばす。
そして、包被に完全に包まれている大き目のクリトリスを探り当てると、麦野は器用に親指だけで包被を、クルリ、と剥いた。

「叫んでいいぞ。周りにゃ誰もいないから」

そっと呟き、麦野は親指の腹で吹寄のクリトリスを優しく押し潰し、同時に中指でGスポットを強めに引っ掻いた。

「あ…………ッ」

これまで感じたことのない快感が、吹寄の全身を駆け巡り、

「ああぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあああッッッッ!!!!」

魂消るような悲鳴を周囲に響かせ、吹寄は豪快にイッた。

923 = 1 :

「よし、それじゃ当麻は仰向けに横になりな」

激しい絶頂にぐったりとしている吹寄を両脇から抱えて、麦野が全く疲れのない声で命令する。

「マジ堕とす気だろ…」
「この娘に迷惑はかけないわ、絶対」

麦野が嘘を言う女ではないことはよく分かっている。

それに、吹寄との初体験に負い目があるのは、上条も同じだった。

できれば、吹寄にもしっかり感じて気持ちよくなってもらいたい。

「…これでいいか?」
「おーけぃ、それじゃ、セカンドバージンもらってやれ…」

吹寄の太腿の下に手を差し入れた麦野が、軽々と吹寄の身体を持ち上げた。

そして、天を衝いて怒脹する上条のペニスの先端に吹寄のヴァギナを、ぴた、と接触させると、

「ゆっくり入れるよ…」

ずぶずぶ、と真下から杭を打つように吹寄の肉体にペニスが埋没する。

長大なペニスが半分ぐらいまで埋まって、ようやく吹寄は己の肉体の変化に気付いた。

「はッ! あッ、ちょ、入ってるッッ!?」
「暴れるなよ… もう少しで全部はいるんだから…」

吹寄が喚きだす前に、麦野は完全に吹寄の身体を上条に着地させた。
ペニスが根元まで完全に入り、上条の陰毛が吹寄の下腹部をくすぐる。

「は、入ってる… 上条のペニスが… アタシの…ッ!」

信じられない光景に、吹寄の声が狼狽に震える。

そして、吹寄が驚くのには、もう一つ原因があった。

「い、痛くない……ッ!?」

初体験のときは、あれだけ痛かったペニスの挿入が、今は全然痛くない。
それどころか、胎内にはっきりと感じる上条のペニスの熱が子宮に伝わり、それが仄痒い刺激となって全身に広がっている。

「しっかりと準備してから、そりゃ痛くないわよ。どう、初めて『感じた』当麻のペニスは?」
「え、えと… すごく熱い……」

自然と下腹部に手が伸び、ソコに収められた肉杭を感じようとする。

「これ… これがセックスなんだ……」

呆然と、そして悦楽が混じった声でそう呟く。

子宮の奥から悦びが沸いて出てくる。

上条当麻と、本当に1つになれた。
それが堪らなく嬉しくて、吹寄はそっと涙を流した。

924 = 1 :

「ほらほら、入れるだけで終わっちゃダメでしょ?」

歓喜の余韻に浸っていた吹寄が、その声に、ハッ、と現実に戻った。

「し、しばらくこのままでいいでしょ!」
「だぁめ。後がつかえているんだから、さっさと絞り取りなさい」

キュッ、と麦野が吹寄の乳首を軽く捻り上げる。
大した痛さではないが、麦野の迫力に押されて吹寄が反抗できなくなる。

「で、でもやりかたわかんない……」
「この体位はね、オンナがしっかり動かなきゃダメなのよ」

麦野が吹寄の骨盤を固定するように、腰を左右からしっかりと把持した。

「骨盤体操って知ってる? あれと同じ要領で、骨盤の前傾・後傾を繰り返すの。ほら、こうやって…」

腸骨稜を把持した麦野の手に力が入る。
すると、吹寄の腰が前後に傾き、その動きで腟内のペニスが膣壁に擦られる。

「うく… 締まる…ッ!」
「え… 気持ちいいの?」

吹寄としては、そんなに激しく動いたつもりはない。
だが、それでも上条が悦んでくれたことが子宮に響いた。

「こ、こうかな…?」

今度は自分で腰を動かす。

じゅぷ、じゅぷ、と接合部から淫音が響き、胎内のペニスをはっきりと知覚する。

(なんか、腟内で大きくなってない……?)

意識すればするほど、腟内のペニスの存在感が増す。

そしてそれは、次第に吹寄の新しい性感を呼び起こしていった。

「か、上条… なんか、ヘン……」
「ああ… 吹寄のナカ、どんどん締まってきてる……」

それが女性の絶頂の前触れであると、上条は経験的に知っていた。

チラリ、と麦野に視線を送ると、心得たように麦野ははっきりと頷いた。

「か、かみじょぉ… とうまぁ… あたし… ヘン……」

腰の動きがどんどんと加速する。

悦楽に突き動かされ、さらなる悦楽を得る。

「はぁ… はぁぁ… はぁぁぁッ!!」

深く深く呼気し、一瞬だけ身体を止めて、激しく短く身体を震えさせる。

(あ… くる… きちゃう……ッ!)

予感があっという間に実感となり、視界に桃色の花火が炸裂する。
全身を貫くような快感が子宮を中心に広がり、今度は声を発することもできない絶頂の波が吹寄を襲った。

「―――――ッッッ!!」
「くっ、出すぞ……ッ!」

上条も限界だった。

ただでさえ恋人と許婚のダブルパイズリという全男子羨望のプレイを射精せずに乗り越えたのだ。
もう我慢など出来るはずもない。

「出るッ!!」

どぷっ、どぷッ!!

本日1発目の大量の精液が、初めて吹寄の子宮口に注がれる。

意識はほとんど無いものの、射精の感触は理解したのか、吹寄の腟口が精子を逃すまいとさらに締まる。

「あーーー… あーーーー……」

口の端から涎と、目の端から涙をだらしなく流し、吹寄制理は完全に堕ちきった…

925 = 1 :

***

一方、別荘ではバーベキューの準備が着々と進められていた。

「駒場様、お肉の方はよろしいでしょうか?」
「ああ、仕込みは全部終わったよ。いい肉だな、今から食うのが楽しみだ…」

長身の男2人が台所で小器用に食材の仕込みを行う。

どう見てもカタギに見えない2人だが、不思議と台所に立つと立ち振る舞いがひどく映えた。

「では、私は火元の準備をしてまいりますので、駒場様は外の食料庫からアルコール類と、あとは適当なおつまみを見繕ってきてください」
「わかった…」

駒場がのっそりと移動し、別荘のすぐ近くに建てられた食料庫へと向かう。

「別に保存用の建屋を作るって発想が金持ちだな… 地下は何か問題でもあったのかな…」

ぶつぶつと陰鬱に呟きながら、食料庫のドアを開ける。
ひんやりと調整された冷気が駒場を襲い、一瞬だけ鳥肌が立つ。

「ええと… 酒は…… おぉ、青島ビールがある。癖があるが、たまに飲むにはいいな…」

非常に種類が豊富なアルコール棚から、ワインやリキュール、さらには炭酸水などを選び、持ってきたクーラーボックスに次々と入れていく。

「あとはつまみか… スナック菓子よりかは干し肉系があれば良いな…」

そう言って、駒場が保存食スペースに向いた瞬間、がさり、と大きな音が保存食スペースから響いた。

「…………ねずみか?」

そう呟くが、ここまで金をかけた食料庫にねずみは考えにくい。

「…浜面か?」

歩を進めていくと、視界の端に金色の髪の毛が写った。
てっきり、髪を金髪に染めている悪友が食料をあさりに来たと思ったが、そこにいたのは…

「……誰だお前」

そこには、金髪の少女がグースカいびきをかいて、大の字になって寝ていた。

926 = 1 :

「……使用人じゃねぇよな、おい」

靴のつま先で身長に、しかし遠慮なく頭を、ゴンッ、と蹴る。

駒場の靴は特注の安全靴だ。
恐ろしく固い衝撃を頭頂部に受けた少女は、

「んぎゃッ!!」

と悲鳴をあげて飛び上がった。

「い、いだぁ… く、黒夜ぅ!! お前、なにして……」

そこで仁王立ちしている2m級の大男と目が合う。

「………………はは」
「不法侵入者か?」
「え、あー、えーと……」

少女が目を泳がす。

(…変な格好だな)

駒場が改めて少女を見る。

衣装は改造シスター服とでも言えばいいのだろうか。
一応、黒を基調としたシスター服の上着だが、裾がラッパのように大きく広がっている。
また、袖や裾の寸法は合っているくせに、やけに体幹部の布地に余裕がある。

(ん… シスター… 金髪……)

駒場の脳細胞が、その2つのキーワードを引っ掛ける。
そう、それは昨日聞いたばかりのキーワードで、それを言った辻斬り魔はさらに…

「両手両足が、義肢……ッ!」

そう呟いた瞬間、少女の形相が一瞬で険しいものに変わり、軽く身を縮めたと思ったら、次の瞬間、

「せいッ!」

少女の身体がバネのように跳ね上がり、食料棚を蹴って見事な三角飛びを行う。

「シャァ!!」

そのまま空中で半回転し、不意打ちの角度で駒場に飛び回し蹴りを叩き込んだ。

ありえない角度からの攻撃に、しかし、駒場は慌てず騒がず、

「派手なだけだ」

片手一本で少女の蹴りを受け止めた。

ずしり、少女の体躯からは想像もできない衝撃が駒場の腕に伝わる。

「……マジモンで義足か。ということは、お前が辻斬り女が言ってた、マジュツシとやらか?」

駒場の呟きに少女の表情がさらに険しくなる。

「知ってるんだったら容赦できないよッ!!」

少女が掌を駒場に向ける。

思わず身構えた駒場の目の前で、差し出された掌がありえない動きをした。

変形したのだ。

927 = 1 :

変形はスムーズかつスピーティーに行われた。
5指が手内に格納され、手の平のシャッターが開いて白色の何かが点滅する。

思わず駒場がそれを凝視すると、

「食らいなッ!!」

ピカッッ!!

「ぐぉッ!!」

薄暗い食料庫の中に、まるで小さな太陽が出現したかのような閃光が駒場を襲った。

(スタンフラッシュ!? しまった……ッ!!)

両手をピーカーブースタイルにガードさせ、次の攻撃に備える。
しかし、予想に反して次の攻撃は行われなかった。

ダダダダダダッ、と駒場の耳に少女が走り去る音が聞こえた。

「……逃げたか」

次第に視力が回復すると、駒場は油断無く食料庫の内外を捜索したが、少女の影を見つけることは出来なかった。

「…面倒なことにならなきゃ良いがな」

恐らく、面倒なことになるだろう。
経験則からくるほぼ正確な未来予知を強引に無視して、駒場は改めて食料を物色し始めた。

928 = 1 :


***

「めーでー、めーでぇぇぇぇぇ!!!!」
『うざー、聞こえてるわよ』
「ばれたッ! 不法侵入してるのがばれちまったぁ!」
『アホくさ… 綺麗な別荘と豊富な食料に釣られるからこうなる…』
「無人島の避暑地が『原子崩し(メルトダウナー)』の別荘なんて、誰が考えるかよぉ!!」

『はいはい… えーと、明日の夜まで逃げ切れそうなの?』
「この島、森があるから、積極的に探されない限り大丈夫だと思うけど…」
『追っ手はこちらでは感知してないわよ』
「接触した大男が気になること言ってたの。もしかしたら天草式にばれたかも…」

『自業自得だわな。ボートかっぱらって移動するか、それともアーメン、闇に滅するかだな…』
「ざけんなぁ! 最後まで逃げ切って見せるわッ!」
『……真面目な話、明日の夜までは増援出せないからね』
「……分かってる、なんとか逃げ切ってみせるわよ」

『ま、そうしないと、アンタの『移籍』は認められないからね』
「首を長くして待ってなさい。『天草四郎の遺品』は必ず『学園都市』に持ち帰ってみせるわ……ッ!!」




                                                           続く

929 = 1 :

はい終わり。

泥縄なだけに今回構成に粗が目立ちますが、まぁ、いつものことなのでご容赦ください。

さて、次回は再びエロから始まります。
というか、けっこうな頻度でエロばっかり。

エロ:バトル:日常を6:3:1ぐらいで書ければよかな…

じゃあの。
次回投下の予定は未定。

930 :

おつ

931 :

乙。今回もエロエロでいいなww気持ち的にはエロ9割な気がするがそれでいいわww


シリアスも好きだけど

932 :

一方通行……

933 :

>>845
麦野と一回だけセックスて書いてあるけどその描写どこ?
ワイの息子が怒ってるんやけど

935 :

吹寄のデコズリが見たいです

936 :

何故か吹寄のステゴロに見えて首かしげた

939 :

スレもうちょっとしかないな

940 :

次投下したら次スレ建てて後は埋めネタでもやりますかね。

まさか次スレが必要だとは思わんかったのぅ。

941 = 939 :

俺はいつまでも舞ってる

942 :

最初から見てるけどすっごい面白い
続きいつまでも待ってる

943 :

出来たので投下、行かないと思うけど、>>970ぐらいで次スレ建てます。

今回は30kB弱、エロ薄め、バトル中濃、もっとエロ書きたいのにプロットが許してくれない、ふぁっく。

埋めネタはキャラ紹介でもします。

944 = 1 :






「な、腟内… 腟内出されちゃった……」

真夏の海にポツリと浮かぶ淫蕩空間。

とある美人の性豪によって乱交の場に作り変えられてしまったゴムボートでは、
黒髪巨乳の吹寄が、股間から溢れる腟内射精の精液を呆然とした瞳で見ていた。

「こ、子供できちゃう… 上条の子供が…」
「ほら、これ飲む」

横から、にゅ、と麦野がピンク色の錠剤とミネラルウォーターのボトルを差し出した。

「えっと… これは…」
「いいから、さっさと飲みなさい!」

『暗部』の構成員すら怯む迫力で凄まれ、吹寄が訳も分からず錠剤を飲み干す。

「ごく… あの、これまさか…」
「うん、アフターピル。ちょっと生理が重くなる時があるけど、基本的に無害だから安心して」

その言葉に、ホッとしたような残念なような、自分でもよく分からない感情を得る。

「子供、それじゃ……」
「そのうち、機会があるかもしれないから、待っておきなさい」

ジロ、と吹寄が麦野をかなり強い視線で見る。

「……何を考えているんですか?」
「今夜にでも説明するから、安心なさい… さて、」

冷静な『暗部』の眼から、淫乱な毒婦の眼に一瞬で変わる。

「次はアタシよ… 今夜は頑張ってもらうから、1発で勘弁しといてあげる…!」

吹寄の愛液と精液で汚れた上条のペニスを鷲掴みにして、麦野は妖艶に微笑んだ。

945 = 1 :

***

許婚のセックスシーンを眺めるのは苦痛でしかない。

狭いゴムボートの片隅に体育座りして、吹寄は麦野が上条に跨って嬌声を上げる姿をジッと見ていた。

「あぅ… いいよぉ、とうまぁ… とうまのおちんちんが、私の腟内をごりごり擦ってるぅ……!」

もちろん、この2人に肉体関係は想像していたし、それなりの覚悟はしていた。

しかし、実際に生々しい交合を見ると、凄まじい敗北感とやるせない焦燥感が吹寄を襲う。

「ねーぇ、吹寄ちゃんと比べてマンコの具合はどう? どっちの締まりが良かった?」

イジワルな笑顔を吹寄に向けて、麦野が爆弾発言をする。

その言葉に、吹寄の表情が見る見るうちに青ざめる。

(そ、そんなの比べられたら…!)

どう考えても自分の負けだろう。
悔しいけれど、セックスでこの淫売女に敵うとは思えない。

「えっと… それは流石に…」
「言えよ。つーか、答えは分かってるんだから、安心していーぞ」

妙に優しい(麦野にしては)口調で言う。

「うん… じゃあ……」

上条が吹寄を横目に見て話し始める。

吹寄は勿論聞きたくなくて耳を塞ごうとするが、身体がちっとも動いてくれない。

しかし、上条の答えはまったく予想外なものだった。

「まぁ、そりゃ吹寄だよな…」
「え……?」

吹寄が驚いて目を丸くする。

「あは、そりゃそうよね。…ん、なに変な顔してんの?」

予想通りの答えだったのか、麦野が笑いながら答えて吹寄を見た。

「だ、だって… すごい腰動いてるし… 上条、気持ち良さそうだし…」
「アンタはほぼ未使用のキツマン、私はヤリまくりのガバマンよ? ま、緩くならないようにきちんと訓練してるし、実際緩いとは思わないけどね」

言いながら、麦野は器用に繋がったまま上条の身体の上で、クルッ、と1回転し、対面騎乗位から背面騎乗位に体位を変更した。

「でも、処女の締め付けには敵わないし、アンタみたいな初々しさも無い」

それまで閉じていた両脚を開脚し、内腿を突っ張らせる。
肛門括約筋が自然に収縮し、それに伴い膣が、キュ、と締まる。

「だから、こういう小技に頼ることになるんだよ。おら、ちんぽをごしごし擦るぞぉ…!」

中腰の姿勢で小刻みに腰を前後に動かす。

「ぐっ… やばッ…」
「コッチの方向からの刺激は馴れてないだろッ!!」

キス魔の麦野とセックスをするときは、騎乗であっても基本的に正対している。

そこから180°反対に向きを変えただけで締め付けが劇的に変化した。

「いつもと違うトコが擦られて…ッ!!」
「ココ? …うん、アタシも凄く気持ちいいよ…」

豊乳弾むほど麦野が艶体を揺らす。

その習熟した腰さばきと、男のために尽くすある意味健気で一所懸命な姿を、吹寄は知らず息を飲んで見守り始めていた。

946 = 1 :

***


そして時間が流れて太陽が頂点に昇った正午。

体液でべたべたになった身体を綺麗にシャワーで洗い流し、緩めのワンピースを1枚着ただけの麦野は、
やけに渋い顔をした駒場と、申し訳なさそうな表情の山岡から奇妙な報告を受けることになった。

「はぁ、不法侵入者?」
「は、さようで… 駒場様が遭遇したとのことです」

麦野が面倒そうに駒場を向く。

「どんなの?」
「話すと長くなんだが……」

そう前置きして、駒場は昨日邂逅した姫戸との戦闘から、その追う相手であろう金髪のサイボーグシスターのことまでを詳細に説明した。

「すぐ言うべきだったが、口止めされていたこともあって報告が遅れた。すまん」

淡々と話す駒場だが、麦野の気性を知るアイテムの面々―特にフレンダ―は気が気ではない。

『超なんでそのまま言うんですかッ!? もっとオブラートにくるむべきでしょう!』ヒソヒソ
『結局、利徳に腹芸は無理って訳よッ!!』

と、そんなアイテムのロリ担当の心配とは裏腹に、麦野は手をひらひらと振って「まかせた」とそっけなく答えた。

「面倒事はあんたらに任せたわ。警察に言うにしろ、森狩りをするにしろ、山岡を使ってあんたらで解決しなさい」
「……俺はかまわんが、いいのか?」
「いーのよ、アタシは今日からやること沢山あるんだから…!」

そう言って、まだ顔が赤い吹寄を舐め回す様に見る。
別荘で借りたTシャツ、ホットパンツ姿の吹寄がビクリと震えた。

ちなみに、麦野・吹寄ともに、まだスイムシールを着けているのでノーブラ・ノーパンである。

「しかし、相手は戦闘力を持っているし、物騒な追っても居る。もし遭遇したら危険が…」
「あぁ?」

麦野の顔がわずかに歪んだ。

「危険が、な・ん・だ・っ・て?」
「……すまん、失言だった」

ここでようやく駒場は、目の前の美女が泣く子も黙るLevel5、『原子崩し(メルトダウナー)』であることを思い出した。

「もし、その不審者が私の前に現れたら…」

軽く前方――海に掌を向ける。

「近未来風の面白オブジェにしてやるよ…ッ!!」

ごう!! と麦野の掌から『原子崩し(メルトダウナー)』が照射され、海面を光速で走る。

瞬間的に熱せられた海水があっという間に蒸発し、小規模な水蒸気爆発をいくつも起こした。

麦野のそのパフォーマンスに、心得た面々は「おお」「やっぱすげぇな…」など感嘆の声を上げた。

ただ1人、吹寄制利だけは、初めて目にする圧倒的な超能力に、口を開けて呆然としていた。

947 = 1 :

ほぼ同時刻。某所。

一見して何の変哲も無い民家では、暗い表情をした姫戸と対馬が黙々と出撃の準備をしていた。

「…移動手段は?」
「幸いなことに『道』が通っとりました。『縮図巡礼』が使えます」

昨晩、対馬が仕掛けた『式髪』の反応から、2人は駒場が自分たちの存在を第三者に話したことを感知していた。

「…………」
「…………」

2人とも黙々と荷造りを進める。

魔術師の常識として、自らの存在を知ったもの、ましてや、それを第三者に語った者は速やかに口止めを行わなければならない。

しかし、2人が所属する天草式十字凄教は、『弱き者を助ける』ことを主是とした集団である。
さらに、事の原因が単純な姫戸の『勘違い』であることを考えると、その動きはどうしても鈍くなった。

「……よし、行くぞ」
「はい、姉さん……」

重い足取りで戸口を空け外に出る。

途端に、潮の匂いをはこぶそよ風が2人を包み、眼下に広がる大海原に反射した陽光が眩しく煌いた。

その光のなか、

「……ん?」

遥か前方。

恐らくは常人では知覚することが出来ないほど遥か彼方で、太陽の光とは違う、異なる光が煌いたのを2人は視認した。

大半の人間が見過ごしたであろうその煌きは、しかし、天草式十字凄教の魔術師である2人には『意味のある煌き』であった。

「あの光… 姉さん、もしかすっと…」
「ああ… ひょっとすると、『御柱』か…ッ!?」

常人には理解できない驚きとともに、2人から剣呑な雰囲気が滲み出てきた。

「そこに居やがったか破戒尼め…」
「あの方角は、問題の島か… よかったな、姫戸」

対馬が視線を反らさずに姫戸の方に手を置く。
        ・ ・ ・ ・
「思う存分、なで斬りにできるぞ」
「はい、関係者ならば容赦せんです」
「標的が居るのならば、もう少し準備を整えよう」

クルリと踵を返して対馬が戸口から戻る。

対して、姫戸はしばらく海の彼方を凝視して、そしてポツリと呟いた。

「『prehendere714(執拗に追い縋る猟犬)』、忘るんなよ」

そして姫戸も戸口に入る。

こうして、魔術師たちは決定的な間違いを犯したまま、静かにそのボルテージを高めていった……

948 = 1 :

さらに同時刻。某森の中。

「リタイヤして良い?」
『ざけんな。つーか、リタイヤしたらお前は人生もリタイヤだろうが』

鬱蒼と茂る森の中、大木の陰に木と同化するように隠れた金髪シスターが脳内に言葉を作った。

「アレ無理、つーか、無理。何よあの出力… 3発森にぶち込まれたら、それでウチはお陀仏だよ…ッ!」

不法侵入がばれた彼女は、捜索が来ないかビクビクしながら麦野一行を遠方より監視していたのだ。

そして、海面をなぎ払う麦野の一撃を、戦慄とともに凝視してしまったのだ。

『まぁなんだ、生き残れ。今言えるのはそれくらいだ』
「ぐ… いざとなったら、これの使用も止むを得んのか……?」

金髪シスターが懐からスルリと一本の杖を取り出す。

それは、何の変哲も無い、鉄の木で出来た1mほどの杖であった。

「死ぬより酷い目に合いそうだが… 背に腹は代えられんし…」

あまり確固としない決意の光を瞳に宿し、金髪シスターは、グッ、と拳に力を入れた。

「……ところで、回収が一日早くなったりしない?」
『するか、ボケ』


949 = 1 :

***


「さて、どうするかな…」

昼食のバーベキュー後、問題を丸投げされた駒場は、山岡を相手に善後策を考えていた。

「こちらで人を集めて、山狩りをすることは出来ますが、あまりおおっぴらに騒ぐとお嬢様の気分を害する恐れがあります」

山岡が相変わらず抑揚の無い口調で言う。
炎天下の下、他の皆は軽装なのに、スーツを一分の隙も無く着こなしている彼は汗1つかいていない。

「そうすると、とっとと俺たちで見つけ出して、ふんじばって警察に突き出すのが一番良いか…」
「駒場様。お嬢様はああ仰いましたが、ゲストの方の手を煩わせるわけには参りません。ここは私にお任せください」

かなり迫力のある山岡のセリフであるが、駒場はゆっくりと首を振った。

「いや、この件に関してはどうにも因縁を感じます。どうあっても俺は巻き込まれる気がするんですよ」
「ふむ、因縁ですか…」
「勘、と言ってもいいですがね。ここで自分で対処しておかないと、後で面倒なことになる…」

駒場が少しだけ遠い目をして言った。

「そう思うんですよ」
「…なるほど」

駒場の言葉に何か感じるものがあったのか、山岡が深く頷いた。

「駒場様がそう仰るのならそうでしょう。では、駒場様と私とで捜索は行いましょう」
「ああ、浜面は恋人にかかりきりだし、上条はあの娘と一緒に麦野に連れて行かれちまったからな…」

連れて行かれた先で何が行われているのかは、あまり想像したくない。
それは、麦野たちが向かった先は『地下室』であったからだ。

「お嬢様が『お篭り』になられたら、半日は出ていらっしゃらないでしょうな」
「…麦野さんは昔からああで?」
「昔からああですな」
「…そうですか」

あまり想像したくない嫌なイメージを振り払うように、駒場は軽く頭を振った後、「準備してきます」と自分の部屋へ向かった。


950 = 1 :

***


「それでは参りましょう」
「…はい」
「超了解しました」
「了解って訳よ」

山岡が促すと、駒場と、そして絹旗とフレンダが気負い無く返事をした。

ロリっ娘2人は強引に探索に参加してきた。
危険を理由に駒場は参加を断りたかったが、バリバリの武闘派『暗部』である2人を、危険を理由に断ることはできなかった。

「まぁ、よろしいでしょう。駒場様が言う通りやっかいな能力を持っているのなら、御2人の力が必要になるかもしれません」

そう山岡が了承したので、渋々ながらも駒場は頷くしかなかった。

別荘裏手に広がる『森』は、いわゆる自然林ではなくそれなりに人の手が入っている森らしく、あちらこちらの木に指標となる目印が刻まれていた。

「もし迷ったらこの目印に従ってください。同じ色を辿って行けば森を抜けられる仕組みになっております」
「ああ、了解だ」

それから一行は慎重に進みながら探索を行った。

しかし、30分ほど探索を行っても、金髪シスターもその痕跡も見つけることができなかった。

「……もうココには居ないのかな?」
「さて、しかし隠れるとしたらこの森以外にはありませんからな。どうでしょう、ここは二手に分かれてみては?」

そう提案され、駒場は「うーむ…」と唸りながら考え始めた。

「…相手は移動しているだろうし、確かにそれがいいかもしれん。二手に分かれよう」

駒場がチラリと絹旗を見る。
すると、絹旗は「分かっている」と言う風に倍ほどに背丈のある山岡の腕に絡んだ。

「超了解です。私は山岡さんと行動すれば良いんでしょう?」
「頼む、フレンダの面倒は俺が見るから」
「ちょっとちょっと、何でアタシが面倒を見られる訳!?」

ぎゃあぎゃあ騒ぐフレンダを軽く無視して、駒場がやや強引にフレンダと手を継ぐ。

「お…」
「時計を合わせよう。集合はきっかり1時間後、連絡は無線で」
「かしこまりました、では私どもはここから西側を担当しましょう。それでは駒場様お気をつけて…」

老執事は悠然と一礼すると、まとわりつく孫にしか見えない絹旗と一緒に森の中へ消えていった。

「…よし、俺たちは東側だ」
「ねーぇ、もしターゲットがココに居ると知ったら、あの通り魔たちもココに来るんじゃないの?」
「…可能性はあるな。その時は案内してやろう」


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