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元スレ上条「そこのおねーさん! お茶しない?」 麦野「あん?」

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702 :

ちょっととある部分の描写に時間がかかっております。
まぁ、明日には投下できるんじゃね?

703 :

ははん まてーるよ

704 :

待っとるで

705 :

舞ってる

706 :

作者PT?やたら解剖・運動学用語出てくるんだけど

707 :

ようやく書けたから投下。

今回は20k強。

708 = 1 :


麦野のマンション「Meltykiss」

20畳ほどの広いリビングで、麦野沈利はソファに身を沈めて携帯電話を耳に当てていた。

足元では、恋人である上条当麻が真剣な顔でペディキュアを塗っている。

「……で、結局あんたらは介入の事実を認めないわけね」
『それは上の判断って、何度もいってるでしょーが。アタシは単なるアナウンサーだし」
「ざけんなよ、ったく……」

研究者の逃亡を利用した『暗部』の間引き事件から2週間後。
上条の骨折も癒え、麦野は満を持して『電話の女』を吊るし上げようと連絡したのだが、その返事は玉虫色のものだった。

『だいたい、アンタだって分かっていながらコッチの話に乗ったんでしょ? 怒るのはお門違いだと思うんだけどなぁ』
「こっちは重傷者2名、軽症者2名出してんだ。納得いく説明を貰うのは当然だろうがッ!」

あの事件で麦野率いる『アイテム』は、学園都市側からの操作された情報により、危ない橋をいくつも渡ったのだ。

『……正直、ソレについての感想は「よくやった」と言った所ね。誰も死なないとは予想していなかった』
「てめぇ……」

麦野の声に明らかな怒気が混ざる。
『電話の女』に対して怒りを露わにするのは珍しいことではないが、今回は明らかにその質が違った。

「……使い捨ての駒だってのは理解してるけどよ、声に出して言うんだから、それなりの覚悟はしてるんだような、あぁ、おい…!」

思わず上条の手が止まるほどの冷たい声だった。
知らず、上条の喉が、ごくり、と鳴る。

「今回の『暗部の間引き』で、さぞ予算や資源に余裕ができたんだろうさ。だがな、『暗部』の絶対数が減るって事は、互いに牽制する必要もなくなるって事なんだぜ?」

声がますます冷たくなっていく。

「……首輪の管理はしっかりやっておけよ!」
『ええ、そのつもりよ。ついては、アンタたち『アイテム』の24時間監視を、1週間全面的に解除するわ」
「……は?」

24時間監視とは、即ち、麦野が直前に言った『首輪』のことである。

学園都市内に居る限り、彼女たち『アイテム』の行動は常に把握されている。
それがどんな手段なのかは分からない。だが、確実に『首輪』は嵌められているのだ。

『いちおー、期間内なら学外への外出許可も出るわよ。行き先ぐらいは連絡してちょうだい』
「……なに考えてやがる?」

低い声で麦野が問う。

『……「よくやった」。そう言ったはずよ』

そう言うと、『電話の女』は二、三、外出の際の連絡手段について言って、そのまま唐突に電話を切った。

709 = 1 :

「………チッ」

通話が終わった携帯電話をしばらく忌々しそうに見つめて、麦野は軽く舌打ちを打った。

「チクショー、調子狂うわ…」

パタン、と携帯電話を畳むと、足元で一心不乱にペディキュアのデコレーションをしている恋人を見る。

「ねぇ、当麻ー」
「…ん? ちょっと待て、今、良いカンジでデコできてるから」

この男はけっこう手先が器用で、かつ、職人気質な部分があるらしく、毎日のペディキュア塗りが最早趣味になりつつあった。

「……………うし、よく出来た。今回のテーマはクール&キューティーな。水色系がキレイにはまったぜ! んで、なに?」
「教えたアタシが言うのもなんだけど、上達したわねぇ…」

きれいにデコレーションされたペディキュアを、ためつすがめつ眺めて麦野が感心した声を出す。

「水色…… 水…… うん……」

なにやらコクコクと頷いた。

「決めた」
「え、なに?」
「海行くわよ、海!」

すくっ、と立ち上がって、麦野は高らかに宣言した。










第4話「砂浜でセックスするときは、立ちバックでやんないとまんこに砂が入って怪我するのよね」









.

710 = 1 :

「海だあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「超青いですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうぅ!!!!!!」

レンタル・ミニバスの窓をいっぱいに開けて、フレンダと絹旗が身を乗り出して叫ぶ。

学園都市では滅多に体験できない鼻につく潮風。
鬱蒼とした自然林から鳴り響く蝉の鳴き声。

麦野率いる『アイテム』の面々プラスαは、学園都市から『外出』して、『外』の海水浴場へとやってきたのだった。
学園都市23区から定期航空機に乗り、遠く離れた県営飛行場に降り立ち、さらにレンタルバスに揺られて5時間。
待望の潮風は、溜まった移動ストレスを解消させるに十分な威力があった。

「海かぁ… 無茶苦茶久しぶりだなぁ…」

バスの運転席で、浜面仕上が嬉しそうに呟く。
幼い頃、両親に連れられて海に行ったのは覚えているが、それはおぼろげな記憶だ。
しかし、こうやって潮風を身近に感じると、まざまざと当時の風景を思い出すことが出来た。

「おぅ、浜面。運転変わらなくていいか?」

それなりに広いバス内でも、窮屈そうに身を屈めてそう言ったのは駒場利徳だ。

麦野が『アイテム』メンバーに、

「非常に親密、かつ口が固くて『表』の人間じゃなければ誘って良いわよ」

と言ったがために、フレンダがかなり強引に連れ出したのだ。

「ええと、次の休憩所で頼むわ。路肩に寄せるスペースねぇし」
「おお、そうか… 遠慮なく言ってくれよ」

どことなく残念そうに言って、駒場が自分の席に向かう。

席に向かう最中、サングラスに麦わら帽子を被った麦野にぎこちなく頭をさげる。

「……ども」
「ヘンに気を使わなくて良いわよ」
「…………ども」

言葉少なにそう言って、フレンダの前の席(2人分)にどっかと座る。

(気まじぃ……)

一応、彼は能力者による『無能力者狩り』に対抗すべく組織した、武装無能力者集団(スキルアウト)のリーダーだ。
昔から知っているフレンダはまだしも、能力者の最高峰である超能力者(レベル5)である麦野に対しては、複雑な感情を拭いきれないのだ。

さらに、『見知らぬ女性の集団に参加する部外者』という立場は、馴染むまでかなり気まずいものだ。

「ねぇねぇ、利徳~~! 海だよ、海ッ!! エメラルドグリーンの碧い海だよ~~ッ!!」
「見えてる。あと、身を乗り出すな、あぶねぇ… うぉい!!」

前方の座席から身を乗り出していたフレンダが、駒場が喋っている途中にそのまま座席を越えて駒場にダイブした。
慌てて駒場がフレンダの小さな身体をキャッチすると、そのままフレンダは駒場の膝の上に乗って座席の窓を開けた。

「うっひゃ~、気持ち良い~~!!」
「お前なぁ……」

あの壮絶な初体験からこっち、フレンダは完全に恋人気取りだ。
男のけじめとして、それは素直に受け入れた駒場だが、衆人監視でイチャイチャするのは流石に精神的に辛い。

「フレ…」
「フレンダ~~! はしゃぐのも良いけど、砂浜でトラブル起こさないでよ!」

駒場が注意するより早く、麦野がサングラスをずらして睨みつけながら言った。

「わ、わかってる訳よ!」

麦野に一喝されて、フレンダが駒場の膝の上で大人しくなる。

言葉なく開いた口を緩慢に閉じて、駒場はもう一度「ども…」と呟いた。

711 = 1 :

――真夏の海水浴場。

海水浴客で賑わう砂浜に、上条・浜面・駒場の3人が適当な場所に荷物を降ろした。

女性陣は着替えや準備に時間がかかるので、男どもは諸々の準備をするために手早く着替えて場所を確保したのだ。

「だぁぁぁ… 気ぃ使って疲れた……」

手際よくパラソルやポータブル椅子、断熱マットなどを準備し、一通りセッティングが終わると、駒場が大きな身体をマットに横たえて嘆息した。

「まぁ、なんと言うか、お疲れさん、旦那。…ほれ」

苦笑した浜面が駒場に冷えた缶ビールを差し出し、自身も一缶空ける。
明らかな未成年者違反だが、周りの男性客もすべからくアルコールを摂取しており、咎める者も居ない。

「浜面、運転は?」
「ここから泊まる所までは運転手が来るってよ。だから気兼ね無しだ」
「そりゃ良いね」

嬉しそうにプルトップを引き、喉を鳴らしてゴクゴクとビールを喉に流し込む。
よく冷えた炭酸が冷えた身体に拡散し、なんとも言えない幸福感に包まれる。

「ぷはぁ! うめぇ… おぅ、上条は?」
「あ、くださいください」

パラソルの支柱を思いっきり捻じ込んだ上条が、無げ渡された缶ビールを手にとって、これもおいしそうにあおる。

「くはーっ、うめぇ… 海っていいなぁ……」
「ああ、一瞬で生き返ったぜ」

ようやく一息ついて余裕ができたのか、駒場の口が軽くなる。

「つーか、なんで俺なんだよ… フレメア誘えばいいじゃねぇか……」
「フレメアちゃんは完全に『表』の人間だから駄目だって、麦野が却下したらしいぜ。それに、フレンダは『彼氏』と来たかったんだよ」

浜面が、やけに『彼氏』という言葉を強調して言う。

「……おぅ、久しぶりにスパーでもやっか?」
「へへ… 砂地はアマレスの独壇場だぜ? 得意の足技がどんだけ使えるかな…?」
「朝錬に砂浜ダッシュとか『一歩』でやってたなぁ…」

それなりに脳筋な3人が、妙な意味でボルテージを上げていると、目の前を地元の女子大生らしきビキニ集団が通り過ぎた。

「…………………」
「…………………」
「…………………」

学園都市は、例外を除いてハイティーンまでの学生とアラサーオーバーの教師しかいない。
滅多に見ない20台前半の成熟した水着姿を、男どもの眼が自然と追尾する。

「………………いいな」
「………………いいね」
「………………いいッスね」

若い衝動に3人が浸っていると、遠くから「あ~~~~ッ!! 超鼻の下伸ばしてますッ!!」という甲高い声が聞こえた。

712 = 1 :

「お、おお、着替え終わったか?」
「へっへー、私は超服の下に水着を着込んでいましたからね! 1人で先に来たおかげで、3人の浮気現場をばっちり目撃しましたよ!」

年齢に似合ったスポーティなタンクトップビキニを着た絹旗が、小悪魔めいた笑みを浮かべて言い放った。

「いやッ! 別に浮気じゃねぇし!! 見てただけだし!!」

上条が慌てて叫ぶ。
麦野の嫉妬など、考えるだけで恐ろしい。

「そ、そうだぜ! 見てただけだよ!」

こっちは、滝壺にあらぬことを吹き込まれるのを恐れた浜面だ。

本人たちの知らない一方通行な両想いをこじらせている彼は、この旅行で滝壺に告ろうと密かに考えているのだ。

「ほほぅ、超そうですか… 本当ならば、麦野や滝壺に超注進するのが私の使命ですが… ほら、超何か言うことありませんか?」

そう言って、薄い胸を張って仁王立ちする。

一瞬、「なに言ってんだコイツ?」な表情をしていた2人だが、絹旗の言わんとすることを理解して、慌てて水着に注目した。

柄はオーソドックスなストライプだが、ローティーンの絹旗にはとても良く似合っている。
普段はボーイッシュな格好を好む絹旗だから、『水着』という非日常的なギャップが余計にそう感じさせるのだろう。
決してセックスアピールが高いわけではないが、ジュニアアイドル的な可愛さが十分に引き出されていた。

「可愛いッ!! 絹旗すげぇ水着姿可愛い!!」
「ああ! セクシーで超キュートだ! ナンパされるかもなッ!」

機関銃のように褒めちぎられ、絹旗がますます薄い胸を張る。

「え~、別にそんなことは… 超々ありますけどー、お2人とも超想い人がいらっしゃるのにー、こんなせくしぃ少女に超悩殺されていいんですかー?」
「いやいや、マジで可愛いって…… え~と…」

他に褒める言葉を捜していると、不意に周囲の男性客から「おっ!」とか、「すげ…」といった歓声があがった。

「うん?」
「こぉら、早速馬鹿やってんじゃないわよ」
「…………………………すげぇ」

ポツリ、と上条が呟き、浜面、駒場が、ゴクリと喉を鳴らした。

713 = 1 :

歓声の原因は、きわどいハイレグ水着を着た、麦わら帽子にサングラス姿の麦野だ。

布地の極端に少ないハイレグビキニは、着る者によっては下品な印象を与えてしまう。
しかし、プロポーション抜群の麦野が着ると全く違った。

トップはオレンジ色の三角形ブラ。
Fカップオーバーのどっしりとした質感のバストを、乳房の総面積の1/3ほどの布地で吊り下げるように支えている。
しかも、砂浜に足を取られないように少し跳ねるように歩いているおかげで、弾むように豊乳が縦に揺れる。
縦に、揺れる。
見ている側が零れ落ちるのではないかと心配になるぐらい見事に揺れる。

さらに素晴らしいのは、豊満なバストからは想像できない、キュッ、と美しく締まったウェストだ。
女性らしい柔らかさを残しつつも引き締まったそこは、わき腹のところに2本の美しいラインが走っている。
それは程よく腹筋が鍛えてある証拠で、上条が「使ったことないけどオナホより気持ち良い」と評する名器の源でもある。

また、ヒップも素晴らしい。
腰の位置が日本人離れした高い位置にあるだけではなく、お尻の山頂が高い位置で盛り上がっている。
ビキニも超ハイレグでお尻の内側半分しか覆っていないので、むっちりとした『丸尻』が歩くたびにコレでもかと横に揺れる。
横に、揺れる。

もちろん、スラリと伸びる素足も素晴らしい。
密かに足が太いのを気にしている麦野だが、むしろその頭身から考えれば丁度良い太さで、非常に肉感的な美しさを備えている。
あえて変態的な表現を使うならば、「頬をすりすりしたい太もも」とでも言うべきだろうか。
美脚を越えた蕩脚とでも言うべき美パーツがそこには存在した。

全体的に目に毒とかそういうレベルではない。
普段全裸を日常的に見慣れている上条でさえ開いた口がふさがらない。

周囲の一般男性陣は、思わず「ありがとうございますッ!」と両手を合わせて拝み、
女性陣はやっかみや嫉妬心をはるかに超越して「別次元って居るのね……」と完全に白旗を上げていた。

714 = 1 :

「きぬはた~、馬鹿晒してんじゃないわよ!」
「うぅ~、麦野が出てくる前に超賞賛を浴びたかっただけじゃないですかー。こうなると分かっていたから超早く着替えてきたのに…」
「そういう狡い考えしてるから成長しないのよ。 …で、どう?」

軽く絹旗をたしなめた後、麦野が上条に向いて軽く胸をそらす。

「完璧… いや、もう… 言葉がでねぇ……」
「ふっふっふ… そうでしょうとも。有り難がって見物しなさい!」

傲岸不遜な物言いがまたよく似合う。
無いものを誇るのは滑稽だが、本物を誇られては、ただただ頭を下げるしかない。

「いやぁ… マジですっげぇな… なんかうら……」
「はーまーづーらー…! アンタが褒めるのはアッチでしょ?」

麦野が、クイ、と親指を向けると、そこには残る2人の女性陣が、正反対の表情で立っていた。

「やっほぅ! 利徳を悩殺しにきたぜぃ!!」
「あ、あの… はまづら、あんまり見ないでね…」

元気よく手を振るのがフレンダ、恥ずかしそうに身を縮めているのが滝壺理后だ。

フレンダの水着は女性陣の中で一番布地が小さい。
ボトムは麦野とほぼ変わらない大きさの黒のハイレグビキニだが、そもそもお尻の大きさが違うのであまり露出が高くは見えない。
しかし、金髪碧眼に色白ボディに黒のハイレグビキニは恐ろしく映える。
トップがお腹辺りで交叉するスリングショットなだけに、妖しい色気を醸し出している。

「ど~~ぉ? 利徳、興奮したぁ?」
「…………………アホ言え」

冷めた口調でぶっきらぼうに言い放つが、フレンダを完全に直視できないところを見るにかなり衝撃を受けているようである。

「あ、あのさ…」
「うん…」
「あの… 凄く…」
「うん……」

対してこちらは浜面と滝壺である。
『アイテム』(と浜面)全員がワンピースで来るだろうと想像していた滝壺だったが、
なんとなんと、完全に予想外のビキニスタイルである。

フリルの付いた花柄のレモントップは、清楚な絹旗にとても良く似合っている。
着やせするタイプなのか普段はあまり意識されないが、滝壺も相当な巨乳の持ち主である。
さらに、肉感的な麦野とは違って、線の細い滝壺の巨乳は、体型とのギャップが凄まじい。
全体的にパーツの小さな顔、鎖骨の浮き出た華奢な肩、それを経由して、当然薄いであろう胸部だけが、ありえない角度で盛り上がっているのだ。
麦野やフレンダと違って、トップは乳房全体を覆うタイプのモノだが、それでもずっしりとした重量が視覚から伝わってくる。
儚げな印象とも合わさって、ギャップによる破壊力は相当なものだった。

「凄く… 可愛い……」
「うん……///」

周囲からの「お前ら早く付き合えよ」光線を一身に浴びて、浜面と滝壺は暫く2人の世界に浸っていた。

715 = 1 :

「どぉぉぉぉりゃぁぁぁぁ!!!! 超超回転海老ぞりスパイクぅぅぅ!!」
「なんのぉ!! 結局そのコースは読んでた訳よぉぉぉぉ!!!!」

波打ち際で繰り広げられる仁義無きオンナの戦い。

学園都市から持ち出した『超高級999層重ねアイスプディング』を賭けて、ちびっ子2人が死闘を繰り広げている。

「あはー…… 北北西から信号がきてるよ、浜面…」
「えーっと、北北西って、あっちか…」

こちらは、巨大な天蓋付き貸し浮き輪に乗っかって海面に浮かぶ滝壺を、浜面が望む方向にバタ足で牽引している。

「浜面はこっちに乗らないの?」
「い、いや… 2人で乗るのは狭いし…」

それが滝壺の決死のアタックだと気付かない、馬鹿な男である。

「乳ぐらい揉みゃいいのによー、根性無しが……」
「それが出来たら、とっくにくっ付いてるでしょ」

泳ぐ気も遊ぶ気も無い駒場は、炎天下で汗が流れることを良いことに、さっきから大量のアルコールを消費している。
その駒場の呟きに答えたのは、パラソル下の断熱マットにうつ伏せになり、恋人からせっせとサンオイルを塗ってもらっている麦野だ。

「…そうだな、ちょっとは手助けしたほうが良いのかな」
「フレンダから逃げ回っていたアンタにゃ無理でしょ?」

容赦ない麦野の言葉に、駒場が、ぐっ、と言葉を詰まらせた。

「ま、しっかり責任取ってるのは偉いと思うけどね」
「……別にフレンダを嫌ってたわけじゃないからな」

駒場が自然に答える。
アルコールの助けか、それとも少しは慣れたのか、麦野ともようやく緊張せずに会話できるようになっていた。

「なぁ、アイツが足を洗うことってできねぇのか?」

前々から疑問に思っていたことを率直に訊いた。

「…学園都市の中じゃ、絶対に訊かないでよ、それ」
「分かってるよ。だからココで訊いてるんだ」

麦野が「むー…」と唸ったあと、「難しいんじゃない」と答えた。

「本人が足を洗う気ないし、そもそも、アタシもフレンダも入ろうと思って『アイテム』に入ったわけじゃないからね」
「そうか… すまん」

あまり触れてはいけない部分の話だと察して、駒場は口を閉じた。

たったったったった……!

「げっとぉぉぉぉぉ!!!!」

微妙な雰囲気の中に、勝負に勝利したフレンダが猛烈な勢いで駒場にダイビングした。

「うぉ!」
「りとくー! アイスゲットしたぜぇ!! 約束通り2人で食べよ!」
「んな約束… あぁ、わかったわかった! 引っ張るな!」

小動物にまとわりつかれ、巨人がのっそりと身を起こす。

「ちょっと行ってくる」
「あいよ」

フレンダが駒場の海パンをぐいぐいと引っ張る。

そんな2人をチラリと見て、麦野は誰にも見えないようにクスリと笑った。

716 = 1 :

「胸の下もちゃんと塗りなさいよ」
「わーってるって。しかし、すげぇ日差しだなぁ…」

学園都市も、大概、日差しが強かったが、この砂浜の日差しはさらに強烈だ。
さっき試しに海に足を浸してみたが、砂浜はともかく岩場の塩水は、温泉を思わせる熱湯に変わっていた。

「でも、なんでまた海に?」
「別に、単なる思い付き… それに、気分も変えたかったしね」

そう言われて、上条は『間引き』のときの戦闘を思い出した。

「……そうだな、確かに気分転換は必要だな」
「でしょ… ちょっと、胸の下って言ったでしょ」
「うつ伏せじゃ塗りにくいよ」
「まったく…」

一息溜め息を吐いて、麦野がゆっくり身を起こして割り座になって座った。

「これでいいでしょ?」
「いいけど、この体勢だと…」
「気にしないでさっさとやる」

ピシャリと言われて、しぶしぶ上条が手にサンオイルを乗せて背後に回る。
そーっと両手を前に回して、下乳から手を潜り込ませる。

(うっわー、見られてる……)

密かに注目されていたのだろう。
周囲の男性の眼がいっせいにこちらに注目されるのが分かる。

「んぅ……」

背後から下乳にサンオイルを塗る様は、どう見ても胸を愛撫している図だ。
麦野は平静としているが、こういう時は男のほうが気恥ずかしい。
それなのに、麦野は更なる要求を出してきた。

「どーせだから、おっぱい全部に塗ってちょうだい」
「……楽しんでるだろ、てめー」

上条の言葉に麦野がニヤリと笑うと、素早くブラの紐を解いた。

「うわっ!」

パサリ、とブラジャーが落ちる前に、なんとか上条が麦野の豊乳を鷲掴みにして周囲の視線から隠す。
いわゆる、手ブラの状態だ。

「お、お前な…」
「あはは! オイルは私が垂らすから、しっかり塗りなさい」

楽しそうな麦野の声に、上条はやれやれと溜め息を吐いた。

717 = 1 :

「うわぁ…… 超迷惑な超バカップルですね……」

滝壺たちと合流した絹旗がウンザリした声で呟く。

「しばらく戻れねぇな、あれは……」
「いいなぁ…」

滝壺の指を咥えた発言に、浜面がドキっと胸を高鳴らせる。

「えっと… ああいうのに憧れるの?」
「うん、うらやましい……」

そう言って、滝壺が浜面をチラチラと見る。
しかし、ここでも浜面のヘタレが発動する。

「そ、そうか…」

と言って場を濁そうとする浜面が、突然、

「ぎゃッ!!」

と悶絶して飛び上がった。

「ど、どうしたの…?」
「い、いや… ちょっと海草が触れたかな、はは…」

騒動の原因は絹旗だ。

水中で、にゅ、と伸ばした手で、遠慮無しに『窒素装甲(オフェンスアーマー)』を使ってわき腹を捻り上げたのだ。

(なにすんだよッ!!)ボソボソ

滝壺に聞こえないように囁いた浜面に、絹旗が鬼の形相で答える。

(なにするじゃないですよ、この超超朴念仁ッ!! オンナがここまで超アプローチしてるのに何スルーしてるんですかッ!!)

『仕事中』でもここまで真剣な表情はしないだろう。
それほどの形相で睨みつけられて、浜面が言葉に詰まる。

(良いですかッ! もうこの場で決めてくださいッ!! もし、決めずにノコノコと戻ってきたら…)

水面から出した手をコキリと鳴らす。

(握りつぶします……!)

ゾッとするような声でそう言われ、浜面は思わずコクリと頷いた。

718 = 1 :

「あれ、絹旗戻るの?」
「いえ、折角なので超泳いできます」

シュタ、と手を上げると、絹旗はビート板を手にものすごい勢いのバタ足で泳いで行った。

「? ヘンだね、絹旗」
「お、おう…」

不思議そうに絹旗を見送る滝壺に、浜面が裏返った声で返事をする。

「うん? 浜面もヘンだね?」
「いや…」

口ごもり、しかし、全身の勇気を拾い集める。

(勇気出せよ、おい、俺ッ!!)

ゴクリと喉を鳴らして、滝壺を正面から見る。

「な、なに……?」
「た、滝壺!」

高鳴る鼓動を押さえ込もうとして押さえ込めず、何回も深呼吸を繰り返す。

「あのさ、滝壺…」
「うん…… 俺さ… ずっと言いたかったことがあって……」

(これは… ようやく…?)

勇気を出した度重なるアプローチがついに効果を出したのか?

滝壺が内心ワクワクしながら浜面の次の言葉を待つ。

だが、浜面はやはりヘタレ属性なのであった。

「た、滝壺は、俺のことどう思ってるの?」
「………えぇー」

そりゃーないぜーと、滝壺ががくっと肩を落とした。

719 = 1 :

「いやぁ、美味かった! 海はサイコーだし、言うことない訳ッ!」

相当にハイテンションなフレンダが、駒場を先導してどんどん歩く。

「おい、あんまり離れるんじゃねぇよ」
「えー、2人っきりになりたいじゃん!」

既に周囲に人影は無い。
立入り禁止のロープをあっさり越え、誰も来ない岩場エリアに入って、フレンダはようやく足を止めた。

「うーん、ここなら邪魔は入らないかな…?」
「邪魔って…」
「結局、他の人が居るとイチャイチャしたくない訳でしょ?」

フレンダは駒場を適当な岩場に座らせると、己の胴体ほどもある駒場の太ももに跨った。

「ねぇ… 水着姿見ても興奮しないの?」
「…してるよ。でも、カエル先生から止められてるだろ?」

流石に、繋がったまま病院には2度と行きたくない。

「オーラルはできるじゃん…」
「あのな、お前…」
「…だってさ、麦野たちはずっとイチャイチャしてたのに、アタシはお預けだったんだもん…」

駒場の分厚い胸板に、甘えるように頬を擦りつける。

「ここなら良いでしょ? 誰も見てないし……」

フレンダがスーッと口唇を駒場に寄せる。
そして、それが触れ合おうとしたその瞬間、

「あー、お前ら立ち入り禁止の札が見えんかったのか?」

若い、ひどく若い女性の声が響いた。

「あ… すまん……」

地元の監視員か何かと思い、駒場が慌てて立ち上がって声の方を見た。

「ここいらは岩場が切り立っているし、なにより潮が満ちたら渦を巻くんだ」
「ああ、悪い…」

駒場が向けた視線の先には、前合わせの着物を着た少女が立っていた。

「すぐ戻るよ」
「ちぇー……」

ぐずるフレンダをひょいと肩に乗せて、駒場が立ち去ろうとする。

「ああ、待ちな。潮が満ち始めている。元来た道は危険だから案内するよ」
「そうか… 重ねてすまん」

駒場が頭を下げると、少女はニカッと笑った。

「まぁ、気にすんな。私の名前は姫戸、まぁヨロシク」

そう言って差し出した少女の手は、不釣合いなほどゴツゴツと岩のように固かった…

720 = 1 :

はい、終了…

ごめんなさい。
エロを期待した人ごめんなさい。
投下を始めて、初めてのエロ無し回…
理由はお察しください。

あと、4話のヒーローは駒場さんです。

上条さんと麦のんはエロ担当… のはずが…

では次回。

722 :

え、エロ無し……?

あぁ、うん、乙です

723 :

絹旗が泣ける…

724 :


絹旗だけ相手がいない&候補もいないんだよなぁ

725 :


改行しろというより行間を空けろと言ったほうがわかりやすいかな

726 :

乙!やっぱええわぁ…描写が超うまい。むぎのんのエロい肢体が浮かぶようだわ

727 :

>>725
ごめん誤爆
このスレで麦野好きになったよありがとう

728 :

乙でした

729 :

全部読んでた。朝になっちまったじゃねぇか、馬鹿野郎


むぎのんかわいい

730 :

姫戸って天草の?

731 :

浜面まじへたれ

もう押し倒しちゃえよ

732 :

>>731
滝壺が浜面を?

733 :

それはそれでありだな

734 :

浜面もげろ

735 :

はぁーまぁーずぅーらぁーくぅーーーーん!!!!!!!

736 :

ハブられてる絹旗さんは私が頂きます

737 :

絹旗は俺がもらうから大丈夫だよ

738 :

>>1さんまだかな?

740 :

>>738
釣られた…

741 = 738 :

いや・・・・別のスレで>>1が書くって・・・・いや、何かすまぬ

742 :

>>741

だったら>>1が来たら自分でageるんだから
お前がageる意味無いよね?ん?

743 :

一方通行×絹旗もありかなーと一瞬思ったが
そんなことなかったでござる
>>1

744 :

待っとるで

746 :

まだかね

747 :

スランプ中。

たまによくある。治し方は俺が知ってる、俺に任せろ。

来週中ごろになりそうです。

748 :

舞ってる

749 :

舞ってる

750 :

舞ってます


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