元スレ勇者「ハーレム言うなって」魔法使い「2だよっ!」
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701 = 1 :
遊び人「試しに一度だけね…………でも何も無しよ」
イシス僧侶「それにもっとよくわかんないのが通路を挟んで反対側に同じくスイッチが二つ同じように壁に付いてるの」
戦士「はぁ?これがもう一つ?」
女勇者「そ」
イシス魔法使い「…………うーん…………どういう事なのかしらね」
遊び人「それを三人でずっと悩んでたんだけど……下手に触るのも怖いから手が出せずにいるの」
商人「うぅ…………全然意味が分かりませんね…………」
イシス戦士「これまでの通路にもヒントになるようなものなんて無かったぞ……」
女勇者「行き詰まりってやつだね…………」
一同「「「「…………………………」」」」
戦士「…………っだぁぁ―――――!!!!!もういい知るか!!!あんな扉ぶっ壊してやる!!!!」
女勇者「ちょ、ちょっと戦士ちゃん落ち着きなよ!!!!」
戦士「だってこうしてる間にも武道家が危ない目にあってるかもしれないだろ!!!?ボーっとしてられっか!!!!」
イシス戦士「…………イシス勇者様…………」
イシス戦士「……そうだな……強行突破……加勢しよう」ジャキンッ!!
イシス僧侶「イシス戦士も落ち着きなって!!」
遊び人「まだ何か手があるかもしれないでしょ!?それに扉に仕掛けがあって危険な目にあうかもしれないんだよ!!?」
戦士「しるかー!!!!」
商人「全く……子供じゃないんですから駄々こねないで下さいアホ」
戦士「あ!!!今アホって言った!!!!」
702 = 1 :
商人「一々取り乱して周りが見えなくなる人の事をアホと呼んで何が悪いんですかアホアホ」
戦士「に、二回言った!うぅぅ!!」
盗賊「……取り合えず、落ち着いて…………」
僧侶「待ってください」
盗賊「……え?……」
女勇者「……?……僧侶ちゃん?」
僧侶「…………」
僧侶(……子供…………もしかして…………)
僧侶「…………遊び人ちゃん」
遊び人「へ?はい?」
僧侶「通路を挟んで同じスイッチ……ボタンが2つあるんですよね?」
遊び人「う、うん……そうだけど……」
僧侶「…………」
商人「……僧侶ちゃん、何かわかったんですか?」
僧侶「……まだわかりませんが……商人ちゃん」
商人「はい?」
僧侶「…………方位磁石を貸して貰えませんか?」
…………
……
…
・
703 = 1 :
-ピラミッド・地下-
武道家「…………やっぱり……ね……」
イシス勇者「…………はい…………」
武道家「……理由は…………いや……いいわ…………」
武道家「あの人は…………勇者が……危険な目に遭うのを、とても恐れてたから…………」
武道家「当然と言えば…………当然か…………」
イシス勇者「……………………」
武道家「…………オルテガのおじさまと…………どこで知り合ったの…………?」
イシス勇者「…………申し訳ありません……深くは……言えないのですが……」
イシス勇者「ただ……僕を…………危ない目から救ってくださったのが…………オルテガ様でした…………」
武道家「……危ない目……?」
イシス勇者「はい…………昔、僕は……ある事情で……暴漢に襲われかけたのですが……」
武道家(…………さっき聴いたアレか……)
イシス勇者「その際に…………僕を、救い出し…………この国へ連れて来てくれたのです…………」
イシス勇者「そしてその時……こう頼まれました…………」
イシス勇者「…………『もし私の息子に会うことがあれば』」
イシス勇者「『危険な旅からあの子を遠ざけて欲しい』…………と……」
武道家「…………そっか…………」
イシス勇者「…………彼を見るまでは……然程…………ここまで強制するつもりはありませんでしたが…………」
イシス勇者「…………あの弱さを目の当たりにしてみて……これは何が何でも、旅を止めさせなければ…………と思いましたよ……」
武道家「…………」
イシス勇者「……………………約束…………守れませんでした…………」
704 = 1 :
武道家「…………アレも、それの一環なの……?」
イシス勇者「…………あれ…………?」
武道家「アレよ…………私を、しつこく…………パーティに加えて……愛人にしたがってたの…………」
イシス勇者「あぁ…………はは……あれは、本心です…………」
イシス勇者「僕は…………是非、貴女が欲しかった…………」
武道家「…………やっぱり、本質はナンパの馬鹿なのね…………」
イシス勇者「はは…………そうですね…………でも、僕はとにかく…………貴女を素晴らしいと思ったのです……」
武道家「…………」
イシス勇者「…………しかし、結局は周りが……見えていなかっただけでしたよ…………」
武道家「…………私のどこが……気に入ったっていうのよ……?」
イシス勇者「…………え……?」
武道家「正直…………私って…………見た目は地味だし…………性格も荒い」
武道家「強さで言っても…………まだ外見が華やかな…………戦士とかでもいいじゃない…………」
武道家「なんであそこまで私に…………」
イシス勇者「…………外見では…………ないんです……」
武道家「…………」
イシス勇者「正直…………愛人なんて…………どうでもいい張りぼての名目のような物です…………」
イシス勇者「僕は…………貴女の、貴女の目に…………惹かれたのです」
武道家「…………目……?」
705 = 1 :
イシス勇者「…………貴女が、アッサラームの広場で……魔物を退治した時……」
イシス勇者「あの時の…………あの“魔物を心の底から憎んでいる目”…………」
イシス勇者「…………それに、僕は惹かれたのです…………」
武道家「……!」
イシス勇者「…………それだけです……」
武道家「…………あんた……あんたもまさか…………」
イシス勇者「…………はい…………」
イシス勇者「…………僕の…………」
ギュッ……
イシス勇者「……僕の母は…………魔物に殺されました」
武道家「!!」
武道家「………………やっぱり…………」
イシス勇者「…………僕は」
ギリッ……
イシス勇者「僕は…………この世で、魔物が一番憎い…………!」
イシス勇者「あいつらを…………あいつらを一匹残らずこの世から駆逐してやりたいっ……!!」
武道家「…………」
イシス勇者「…………それには…………強くて……魔物に対して無慈悲な仲間が欲しかったのです……」
イシス勇者「ただ…………僕はとある事情で男が苦手なので…………仲間は女性である必要があった…………」
イシス勇者「…………それら全てにおいて…………貴女は僕の理想だったのです…………」
武道家「…………そっか…………」
706 = 1 :
武道家「……!!……ゲホッ!!ケホッ!!」
ビチャッ!
イシス勇者「武道家さん!」
武道家「ゲホッ…………はぁっ……はぁ……」
武道家「…………あぁ…………これは……本格的に……まずいわね…………」
イシス勇者「…………すみません……僕のせいで……」
武道家「…………もういいわよ…………」
武道家(あぁ…………やばいな…………段々力が入らなくなってきた…………)
武道家(…………)
武道家(…………皆…………)
武道家(…………)
武道家(…………………………………………勇者…………)
イシス勇者「…………」
武道家「…………」
イシス勇者「………………」
武道家「…………」
イシス勇者「武道家さん…………」
武道家「…………………………何…………?」
イシス勇者「…………やはり……貴女には本当の事を……伝えます…………」
武道家「……?………………本当の…………事…………?」
イシス勇者「はい…………」
武道家「……………………何よ…………?」
イシス勇者「……………………実は……」
707 = 1 :
タッタッタッタ……
武道家・イシス勇者「「…………!!?」」
イシス勇者「…………今……」
武道家「ええ…………確かに、何か…………走る音が」
イシス勇者「………………魔物でしょうか…………」
武道家「さぁ…………ミイラでは無い事は…………確かだけd」
オーイ!!
武道家「!!!!」
イシス勇者「………………この声は…………!」
?「おーい!武道家ー!!イシス勇者君!!いたら返事してくれー!」
武道家「…………っ」
ギュッ
武道家「…………勇者ぁっ!!!!」
708 = 1 :
勇者「!!!?」
タッタッタッタッタ!!!!
勇者「武道家!!?どこだ!!?」
武道家「ここ……ここよ……!」
勇者「!!!!そこの壁の窪みか!?」
タッタッタッタ……
ザッ
勇者「!!!!武道家!!イシス勇者君!!」
武道家「なんでアンタがここに…………」
イシス勇者「静かに…………見つかってしまいます…………」
勇者「二人とも、なんでそんなに傷を……!!早く手当てをしなきゃ……」
武道家「それは後回しよ…………アンタ……一人なの……?」
勇者「後回しって……!!…………あぁ、僕だけ穴に落っこちちゃってね」
イシス勇者「…………援護は……これ以上来ないという事ですか…………」
勇者「援護?ねぇ、二人ともどうしたんだよその傷は!誰から受けたんだ!?」
イシス勇者「………………実は…………」
…………
……
…
・
709 = 1 :
イシス勇者「……という事がありまして…………この通りです…………」
勇者「………………」
武道家「こうしてる間にも…………ホラ……」
チラッ
オォォォオォォオオォォ……
ミイラ「ああぁぁぁあああぁぁぁ……」
イシス勇者「あの大群が…………この地下通路を彷徨っているのです…………」
イシス勇者「……………………僕達を、探し出すために……」
武道家「打つ手無し…………よ…………」
武道家「っ!!!!…………げほっ!!げほっ!!」
勇者「武道家!!!!」
武道家「ハァ…………ハァ…………私たち二人の体も…………毒でそろそろやばいわ……」
イシス勇者「……ゼェ……ゼェ」
勇者「…………!」
武道家「…………勇者…………」
勇者「何?」
武道家「落ちて来た穴から…………助けを呼び続けなさい…………」
勇者「…………」
武道家「どうやらアンタが落ちて来た穴は…………声が届くくらい浅いみたいだし…………」
武道家「あいつらが気付けば…………なんとかしてくれるでしょ…………」
イシス勇者(…………武道家さん……)
イシス勇者「えぇ…………それが賢明ですね……」
勇者「…………」
710 = 1 :
武道家「あたしたちは………………ここで待ってる……」
武道家「だから…………ね?…………早くしないと…………アンタが……」
勇者「…………」
イシス勇者「…………勇者君…………何を……ぼーっっと…………」
勇者「…………」
チラッ
オォォォオォォオオォォ……
ミイラ「ああぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁ……」
勇者「…………」
武道家「…………勇者…………?」
イシス勇者「勇者君…………?」
勇者(…………)
勇者(…………よし)
勇者「イシス勇者君」
イシス勇者「……?」
勇者「黄金の爪は今は君が持ってる?」
イシス勇者「はい…………そうですが……」
勇者「僕に渡してくれ」
イシス勇者「え?」
武道家「勇者…………?」
勇者「……返してくる」
武道家・イシス勇者「「!!!?」」
711 = 1 :
武道家「アンタ……何言ってんのよ……!!」
イシス勇者「させませんよそんな事…………!!何を無謀な……!あのミイラの大群の中に飛び込むつもりですか!」
勇者「あいつらは黄金の爪を盗られて怒ってるんだよ。だったら返さなきゃ」
イシス勇者「そういう事を言っているんじゃないんだ!!!!……僕達二人でさえこの有様なのですよ……!!!!」
イシス勇者「君が行ったらどうなるか…………!!想像はつくでしょう!!」
武道家「アンタは…………大人しくしてなさい!!!!」
勇者「二人を見捨てろって?できるわけないじゃないか」
武道家「私はいいのよ!!ルビス様のご加護があるから、完全に死ぬ事は無いわ!!」
武道家「…………だから、ね?お願い……勇者」
勇者「…………嘘だ」
武道家「…………え……」
勇者「武道家はさ、嘘をつく時……眉を顰めて笑うよね。…………幼馴染の僕が気付かないと思った?」
武道家「…………!!!!」
勇者「大方、その毒は人間によるものだったりするんだろ?あの包帯人間達もどうやら魔物達みたいな手前じゃなさそうだ」
勇者「…………ここで放っておいたら、二人は死んでしまう…………違う?」
武道家「そ……それは……」
勇者「だったら、僕がやるしかないだろ」
712 = 1 :
イシス勇者「だ、だからって…………はいそうですかと君を送り出せるわけがない!!!!」
武道家「…………そうよ!!アタシたちはまだ何とかなるかもしれない…………けれど、アンタは違うじゃない!!!!」
勇者「イシス勇者君まで…………君は僕を嫌ってたんじゃなかったの?」
イシス勇者「ええ!!今も嫌いです……!!!!考えなしに命を粗末にしようとして!!!!」
イシス勇者「それに、数年前に約束をしたのです!!!!貴方を、危ない目から、旅から遠ざけると!!!!」
勇者「約束?……誰と?」
イシス勇者「………………」
イシス勇者「…………オルテガ様…………」
イシス勇者「…………貴方の父…………オルテガ様です……!!!!」
勇者「!!!!?」
イシス勇者「………………分かっていただけましたか、自分がどれほど非力か」
勇者「…………父さんが…………」
武道家「…………残念かもしれないけど…………本当みたい……」
勇者「…………」
勇者「…………こんな…………」
勇者「こんな、無理やりで滅茶苦茶な方法で武道家達を引き込もうとしてたのも、その約束の一環?」
イシス勇者「……………………それは違う……それは本心です」
イシス勇者「僕は……今でも武道家さんを仲間にしたい……!」
イシス勇者「彼女の強さは本物だ!いや、彼女達は全員強い!!」
イシス勇者「……そんな彼女達が…………君を守るために旅をしている」
ギリィッ!!!!
イシス勇者「正直に言おう!!僕は君が大嫌いだ!!!!」
イシス勇者「弱いからという理由だけで皆に守ってもらって……あのオルテガ様にあそこまで…………僕に跪いて願いを乞うまでさせて!!!!」
イシス勇者「それでも君は尚、戦場に赴くのか!!!!自分一人の体とでも勘違いしているのか君は!!!!」
イシス勇者「そんな弱い男が、何故武道家さんのような強い人達と旅をしているんだ!!!!」
イシス勇者「…………旅は……遊びじゃないんだ!!!!」
イシス勇者「君が足を引っ張れば引っ張る程、魔物達を駆逐するペースが落ちていくんだ!!!!」
イシス勇者「邪魔だ!!!!邪魔なんだよ!!!!君は!!」
713 = 1 :
勇者「…………」
勇者「…………分かった」
武道家「……!!……ゆ」
勇者「…………分かったから、早く黄金の爪を渡して」
イシス勇者「っ…………君はっ!!!!」
武道家「勇者!!!!」
勇者「…………君の言いたい事は分かった。けどここは僕が行かなきゃ」
武道家「アンタねぇ……!!!!いい加減にしなさいよ!!!!」
勇者「でも、ここはこうするしかない」
武道家「だから、アンタだけでもっ……!!!!」
勇者「そんな事できるわけがないだろ」キッ
武道家「…………っ!!!!」
武道家「……………………なんでっ……!!!!」
武道家(なんで…………そんな目するのよっ……!!!!)
武道家(アタシはそんな目知らない!!!!そんな勇者は知らない!!!!)
武道家(なんで…………)
ギリィッ!!!!
武道家「なんで変わっていくのよぉ!!!!」
714 = 1 :
勇者「武道家…………?」
武道家「なんでアンタは、そんなに…………そんなに…………!!!!」
武道家「アタシは、そんな勇者…………!!!!」
ヨロッ
武道家「アンタは無理しちゃ駄目なの……!!!!アンタは私達が守るのよ!!!!」
勇者「でも」
武道家「でももへったくれもない!!!!アンタはね…………アンタはね!!」
武道家「守るって…………守るって決めたの…………!!」
武道家「私達、決めたのよ!!!!」
――――――――――――
――――――――
―――――
―――
―
・
715 = 1 :
――――――――――――
-およそ十年前、アリアハン-
スタスタ……
武道家母『武道家ー!武道家ー!!ごはんよー!!』
シーン……
武道家母『もう…………どこに行ったのかしら』
ブンッ ブンッ
武道家母『あら?この音…………』
武道家母『庭の方かしら』
スタスタ
ヒョイッ
武道家母『武道家?』
ブンッ ブンッ
武道家(小)『ていっ!ていっ!』
武道家母『武道家…………なにしてるの?』
武道家『あ、ママ!!』
タタタッ
武道家『あのね!アタシね!つよくなるしゅぎょーしてたんだよ!』
武道家母『そうなの?どうして?』
武道家『つよくなってゆーしゃになるの!おべんきょうもいっぱいするよ!』
武道家母『あぁ、昨日オルテガ様の事話してあげたから…………』
武道家母『…………ふふふ、期待してるわね』
ナデナデ
武道家『っ!!うん!!』
武道家『そしたらね!このまちのみんなをね!まもってあげるの!』
武道家母『お願いするわね?ゆうしゃさま』ニコ
武道家『うん!!』
…………
……
…
・
716 = 1 :
-街の中-
テクテク……
武道家『~♪』
武道家『たまねぎ、にんじん、やまいも、はくさいっ』
武道家『おつかいおつかいふんふふ~ん』
……――――!!
武道家『?』
武道家『(なんのおと……?)』
……ぇぇぇぇん……!!
武道家『!!』
武道家『(だれかのなきごえ!!)』
ダッ
武道家『(たすけなきゃっ!)』
タッタッタッタ……
…………
……
…
・
・
…
……
…………
?『ひぐっ……ひぐっ!』
?2『うえぇえぇん!!うえぇぇえん!!』
ズザッ……
武道家『どうしたのっ!?』
?『ひぐっ………………だぁれ?』
?2『うえぇぇえん!!』ビエー
武道家『わたしは、武道家っていうの!たすけにきたのよ!!』ババーン
武道家『ふたりはどうしてないてるの?だれにやられたのっ?まもの?』
717 = 1 :
?『…………ぐすっ……』
武道家『!!きみ、けがしてる!!どーしたのっ!』
?『……ひぐっ……なんでもない……』
?2『うえぇぇええぇぇぇん!!』
武道家『あたしのいえ、ちかいから!てあてしよう!』
?『…………うん……』
…………
……
…
・
・
…
……
…………
キュッ
武道家母『…………これでよし……っと』
?『ありがとうございます……』
武道家母『どういたしまして。あなたは、オルテガさんの所の勇者君だっけ?』
勇者(小)『はい…………』
?2『うえぇぇぇぇぇん!!』
武道家母『そして、あなたは……武器商店の所の戦士ちゃんだよね?』
戦士(小)『うえぇぇええぇん!!』
武道家『ど、どうしてそんなにないてるの……?』
戦士『だって、だってぇ!!ゆーしゃが!!ゆーしゃがぁぁぁぁ!!』
武道家母『勇者君がどうしたの……?二人とも喧嘩しちゃったの?』
戦士『ちがうのお!!ゆーしゃがいじめられたの――――!!!!』ビエェェン!!
武道家『えっ!!』
勇者『…………ぐすっ』
718 = 1 :
武道家母『…………そうなの?勇者君……?』
勇者『……………………がう……』
武道家『え?』
勇者『…………ちがう……っ』
武道家母『…………?』
勇者『ちがう…………!…………ぼくは、ゆーしゃのむすこだもん…………っ!!』
武道家『え?』
武道家母『…………!』
ガタッ
勇者『ちがうもんっ!!』
ダッ!!
武道家『あっ!』
武道家母『勇者君っ!』
バタンッ
武道家『…………いっちゃった』
武道家母『…………』
戦士『ひぐっ…………!ううっ……!!』
武道家『…………』
武道家『(なんなの…………あいつ)』ムゥ
719 = 1 :
――――――――――――
-夜-
武道家母『じゃあ、蝋燭の火を消すわね。武道家。おやすみ』
武道家『…………ママ』
ピタッ
武道家母『?どうしたの?』
武道家『……あいつは、どうしていじめられてたの?』
武道家母『あいつ?…………ああ、勇者君ね』
武道家『あいつのパパは、おるてがさまなんでしょ?えらいんでしょ?』
武道家『なのに、なんであいつがいじめられるの?』
武道家母『…………そうね。なんででしょうね』
ギシッ
武道家母『よいしょ…………でもね。武道家』
武道家『?』
武道家母『……偉い事をするっていうのはね……とても大変な事なの』
武道家母『偉い事をすればするほど……その人を嫌う人も増えてくるのよ』
武道家『……えらいことなのに?』
武道家母『そ。偉い事なのに』
武道家『…………へんなの』
武道家母『ふふ……本当にね。おかしなことね…………』
武道家母『…………多分、勇者君をいじめてたのは、オルテガ様に反感を持ってる人達なの』
武道家『はんかん?』
武道家母『オルテガ様が嫌いって事』
720 = 1 :
武道家『……おるてがさまは、わるいことしたの?』
武道家母『ううん。なにもしていないわよ』
武道家『じゃあ、どうしておるてがさまをきらうの?』
武道家母『そうね……オルテガ様を羨ましがったり、オルテガ様にもっと早く魔王を倒して貰いたいからとか……色々よ』
武道家『?……どうして、それできらうの?いみわかんない』
武道家母『…………それだけ、偉い事をする人は頼られるの』
武道家母『皆が、よく分からなくなるくらい…………本当はその人を好きだったのに、嫌いになっちゃうくらい、頼られるの』
武道家『…………かわいそう』
武道家母『うん…………でもね』
武道家母『それを、そんな皆の気持ちも全て背負ってるから…………偉い事をする人は、強いの』
武道家『……つよいの?』
武道家母『えぇ。と――――っても、ね』
武道家『…………ママ』
武道家母『…………?どうしたの?』
武道家『…………わたし、えらいことをするひとを、まもってあげたい』
武道家母『あら』
武道家『だって、みんなはえらいことをするひとたちにまもってもらえるけど…………』
武道家『えらいことをするひとたちは、だれからもまもってもらえないんでしょ?』
武道家『―――じゃあ』
ギュッ
武道家『わたし、えらいことをするひとを、まもる』
…………
……
…
・
721 = 1 :
――――――――――――
-アリアハン・街角-
ドシャァッ!!
子供A『うわぁっ!!!』
子供B『な、なんだこいつ!!女のくせに!』
子供C『も、もういこうぜ!!』
タッタッタッタ……
勇者『…………っ』
ザリッ
武道家『はぁ……はぁ……つぎきたらこんなのじゃすまないんだから!』
勇者『あ、あのっ!』
クルッ
武道家『…………だいじょうぶだった?』
勇者『っ!!』
勇者『…………』ポロ……
勇者『……っ………………ありがと…………』ポロ……
武道家『!…………えへへ』
ガシッ
勇者『ふぇっ!?』
武道家『……もうだいじょうぶだからね!』
武道家『これからは、わたしがまもってあげる!』
武道家『わたしが、ずーっとまもってあげるから、もうだいじょうぶよっ!!』
…………
……
…
・
722 = 1 :
――――――――――――
-アリアハン・入り口-
イイィィィィイィィィン……
シュタッ
?『おし!今回もご苦労さん!』
?『全く……人遣いが荒いな君は』
?『まぁそういうな!お前も一回来たがってたじゃないか!』ハハハ
?『…………まぁ、そうだけどさ…………』
?『それじゃあどうする?まずは俺の家に来るか?』
?『いや、久々に帰ってきたんだ。君はゆっくり再会を楽しむと良い』
スタスタ
?『おい、どうするんだ?』
?『僕は街を散策でもしてるよ。かの美国と名高いアリアハンだ。実は割と楽しみなんだ』
?『…………王と話をするのは、それからでも遅くはないだろう』
?『あはは!そうか!じゃあ家族はまたあとで紹介してやるよ!』
?『うん。それじゃまた後でね』
?『おう!』
…………
……
…
・
723 = 1 :
-アリアハン・街中-
タッタッタッ……
戦士『おーい!武道家ー!魔法使い!』
武道家『!戦士!ゆーしゃはいた!?』
ザッ
戦士『はぁ、はぁ……ううん、ぜんぜん……』
魔法使い『ゆーしゃ、どこにいったのかな……』オロオロ
武道家『!!そうだ!』
魔法使い『どうしたの?』
武道家『まちはずれのほうは!?さがした!?』
魔法使い『あっ!さがしてない!』
戦士『もしかして……!このまえとおなじ……!』
武道家『っ!このまえあれほどやっちゃだめっていったのに!』
武道家『みんな!いこう!』
戦士『ああ!』
魔法使い『うん!』
タッタッタッ……
ザッ
?『?』
?『(……なんだか忙しない子供達だな)』
…………
……
…
・
724 = 1 :
-アリアハン・町外れ-
勇者『うわぁっ!』
ガッ!!
ドサッ!
勇者『う……うう……!!』
魔物『グゲゲゲゲ!!!!』
タッタッタッ!!
武道家『ゆーしゃー!!!!』
戦士『だいじょうぶかー!!』
勇者『!!武道家!戦士!』
ザッ!
武道家『ばかっ!!あれほど、まものと“うでだめし”しちゃだめっていったでしょ!!』
勇者『ご……ごめん……!!』
武道家『しかも…………!』
バサッバサッ
武道家『あのときはスライムだったからよかったけど……こんどはおおがらすじゃない!』
魔物「グゲェッ!!!」
戦士『いま魔法使いがおとなをよびにいってるから、にげるぞ!ゆーしゃ!!』
勇者『う、うん!』
ダッ!!
武道家『いそいで!!』
725 = 1 :
魔物『グギャアアア!!!!』
バサァッ!!!!
戦士『うわぁ!!こっちきた!!』
勇者『ひいいいっ!!!!』
武道家『!!!!ゆーしゃ!!あぶないっ!!』
ガバッ!!
勇者『!!武道家!!!!』
戦士『あぶない!!やぁぁぁ!!』
武道家『っ!!!!』
魔物『ゲギャギャギャ!!!!』
ヒュンッ!!
ゾンッ!!
武道家『…………』
武道家『(…………え……)』
魔物『グ…………ガ……』
武道家『(…………まものに……けんがささってる……?)』
チラッ
武道家『…………だれ……?』
?『ふう…………ついてきておいて良かった』
?『…………大丈夫かい?』
武道家『え…………あの…………』
?『……怪我は無いみたいだね。良かった』
ズバァッ!!
魔物『ギッ!!』
ドシャァッ
魔物をたおした!!
726 = 1 :
………………
?『全く…………駄目じゃないか。子供だけでここに来ちゃ』
勇者『ご、ごめんなさい!!』
武道家『ほんとうよ!!まったく!』
勇者『本当にごめんね……武道家……』
?『君もだよ。お嬢さん』
武道家『う…………ごめんなさい』
?『今度からああいう時は大人を呼んで、後は大人に任せる事』
オーイ
タッタッタッ……
魔法使い『みんなー!おとなをよんできたよー!』
?『…………あんな風にね。わかった?』
武道家『はい……』
戦士『ごめんなさい…………あれ?』
?『?どうかしたかい?』
戦士『…………!!!!おししょー!!』
勇者『え!!?とーさん!!!!??』
?『とーさん?』チラッ
タッタッタッ……
ザッ
魔法使い『はぁ……はぁ……ゆーしゃのいえに、このおじさんしかいなかったから…………』
?『勇者!!大丈夫か!!?』
ダッ
勇者『とーさん!!!!』
戦士『おししょー!!!!』
?『オルテガ!』
727 = 1 :
オルテガ『馬鹿!あれ程街外れに行くなって言ったろ!!』
ギュッ
勇者『うええぇえぇん!!とーさん!!』
オルテガ『全く……』ナデ……
戦士『おししょー!おししょー!!』
オルテガ『おお!戦士か!見ない間に大きくなったな!』
ワーワー
魔法使い『ほぇぇ……?』ポカーン
武道家『あのひとが…………オルテガさま……』
スタスタ……
?『…………オルテガ』
オルテガ『!!お前が助けてくれたのか。すまなかった』
?『…………その子が、あの時の子なのか』
オルテガ『…………あぁ、あの時の子だよ』
勇者『?』グスッ
?『…………時が過ぎるのは早いな』
オルテガ『…………そうだな』
武道家『…………あ、あのっ!!』
?『え?』
武道家『すみません、ちょっといいですかっ』
?『どうしたんだい?お嬢さん』
オルテガ『あの子もお前の友達か?』
勇者『うん…………』グスッ
戦士『武道家…………?』
武道家『お、おなまえをおしえてくださいっ!』
?『…………僕?のかい?』
武道家『はいっ!』
オルテガ『はっはっは!!お前は本当に女にモテるな!』
?『からかうなよ……』
クルッ
?『申し遅れましたね。お嬢さん』
?『僕の名前はサイモン。よろしくね』
728 = 1 :
武道家『サイモン…………さん……』
オルテガ『罪作りな男だなぁ!サイモン!』
サイモン『何を言ってるんだよ君は……』
武道家『サイモンさん!』
サイモン『?どうしたんだい?』
武道家『おねがいします!!』
ペコッ
武道家『わたしを…………でしにしてくださいっ!』
サイモン『……………………へっ』
戦士『武道家!?』
魔法使い『はわわ』
オルテガ『あははは!そうくるか!!』
サイモン『え、いや、僕はその、今まで弟子なんてとったこと無いし』
武道家『おねがいします!!!!』キラキラキラキラ
サイモン『ううぅっ!?』
武道家『わたしも、あんなふうにすばやくなりたいんです!』
ペコッ!
武道家『おねがいします!!!!!』
サイモン『う…………!』
オルテガ『いいじゃないか。サイモン。少しだけでも鍛えてやればいい』
サイモン『そうは言うけどねオルテガ…………』
オルテガ『その子』
サイモン『え?』
オルテガ『その子……まだそんなに小さいのにお前の戦闘の本質見抜いてるぞ』
729 = 1 :
サイモン『…………』
オルテガ『小さい子なのに、力を強くしたいとか、剣を振り回したいとかでもなく、その子は今素早くなりたいって言った』
オルテガ『…………なかなかの慧眼の持ち主みたいだ』
サイモン『…………それは…………そうだけど』チラッ
武道家『…………!』キラキラキラキラ
サイモン『…………うぅ』
オルテガ『はっはっは!!やっぱりそのくらいの歳の女の子のそういう顔には弱いか!!』
オルテガ『…………お前は重く考えすぎなんだよ。別に騎士や勇者にするためにしごけってわけじゃないんだ』
オルテガ『軽く護身術を教える程度に教えてやればいいんだよ』
サイモン『…………』
サイモン『はぁ…………わかったよ』
クルッ
武道家『!!』
サイモン『えっと……君のお名前は?』
武道家『武道家です!』
サイモン『武道家か…………よし』
サイモン『そんなに長く滞在するわけではないから、短い間になると思うけど…………』
スッ……
サイモン『君を、僕の一番弟子にします。…………よろしくね。武道家』ニコッ
武道家『…………っ!!!』パァァァ
武道家『はいっ!!』
…………
……
…
・
730 = 1 :
――――――――――――
ダンッ!!
武道家『りゃっ!!』
ズザァッ!!
サイモン『……今のは少し遅かったよ』
武道家『は、はいっ!』ゼェゼェ
サイモン『いいかい?素早く相手を倒すには最低三歩いる』
サイモン『一歩目で相手との距離を“測る”』
サイモン『二歩目で相手との距離を“調整”する』
サイモン『…………そして最後の三歩目の踏み込みで…………“討つ”』
武道家『…………!』ゴクリ
サイモン『その最後の踏み込みで全てが決まるんだ。その三歩目が遅くては素早く相手を倒すことは叶わない』
サイモン『とにかく、僕の言ったトレーニングをして瞬発力を鍛えるんだ』
武道家『はい!!おししょーさま!!』
サイモン『うん。いい返事だ。それじゃトレーニングに戻りなさい』
武道家『はい!!はしりこみいってきます!!』
タッタッタッ……
サイモン『…………ふう』
オルテガ『おい』
サイモン『あれ、オルテガ。いたのか』
オルテガ『ガチじゃねぇか』
サイモン『えっ』
731 = 1 :
オルテガ『俺は“軽く教えてやれ”って言ったのに……』
サイモン『そ、それはそうだけど……』
オルテガ『第一お前があんなにマジになるなんて珍しいな』
サイモン『…………』
オルテガ『…………もしかしてあの子』
サイモン『…………うん。凄く、筋が良い』
サイモン『サマンオサの騎士団に居た頃も、あれほどの人間は居なかった』
オルテガ『そうか……ま、俺の弟子の戦士もすごいけどな!!俺の教えも良いし!!』
サイモン『…………』
オルテガ『…………なんだ。どうした?』
サイモン『いや…………ちょっとね』
サイモン『あんな女の子まで魔王退治に駆り出されないといけないのかもしれないのかな…………と思って』
オルテガ『…………』
サイモン『だから、あの子に期待してる自分が……あの子が強くなればもしかしてって考えてる自分が少し嫌になったんだ』
オルテガ『…………大丈夫さ』
サイモン『え?』
オルテガ『俺達が全部終わらせればいい』
オルテガ『全部終わらせて…………あの子達には、平和な世界をプレゼントすればいいんだ』
サイモン『…………あぁ……そうだな』
732 = 1 :
サイモン『あ、ところで』
オルテガ『どうした?』
サイモン『王の所へはいつ行くんだ?あの計画、早く進めなければいけないだろう』
オルテガ『あぁ、それを伝えに来たんだった。今日の夕刻に城から人を払うから来いってさ』
サイモン『そうか…………』
オルテガ『…………不安か?』
サイモン『…………まぁね。…………もし承諾を得ても、どう転ぶか分からない話でもあるから』
オルテガ『…………サイモン』
バシッ!!
サイモン『あいたぁっ!!な、何をするんだ君は!!』
オルテガ『はははっ!!弱気になってばっかりだなお前!安心しろって!!』
オルテガ『…………全部俺らが終わらせるんだろ。奴らの好きにはさせない…………違うか?』
サイモン『…………』
サイモン『…………いや…………そうだな』
オルテガ『ははは!!お互い可愛い子供を持つ身だ!!本気になった親は強いって事を連中に思い知らせてやろう!!』
オルテガ『それで世界が平和になれば安心してウチの勇者とお前の娘を結婚させられるしな!!』
サイモン『む、娘はやらんといっているだろう!!!!』
オルテガ『えー。約束したじゃないか』
サイモン『あれは酔っていたからだ!!第一君は――――!!』
ギャーギャー!!
タッタッタッ……
武道家『(…………ゆうしゃってこんやくしゃがいたんだ…………へたれなのに)』ハァッ ハァッ
…………
……
…
・
733 = 1 :
-アリアハン・街中-
ドシャァッ!!
悪ガキ『がぁっ!!』
悪ガキ2『な、何だこのガキ!!いきなり!!』
悪ガキ『い、痛ぇ……!』
ザッ!!
武道家『…………よくも勇者を苛めてくれたわね!!』
勇者『…………っ』ボロッ
悪ガキ『…………はっ!!なんだお前!!女に守られてんのか!』
悪ガキ2『やっぱり落ちこぼれじゃねぇか!!そんなんだから落ちこぼ――――……』
ヒュンッ
ガギィッ!
悪ガキ2『あぎゃぁっ!!』
武道家『…………それ以上言ったら顎ブチ砕くわよ』
悪ガキ2『が…………!!』
武道家『それに、その女に負けてるのはどこのどいつよ?』
悪ガキ『…………っ!!クソ!』
悪ガキ『おい!もう行こうぜ!』
悪ガキ2『クソ!!落ちこぼれが!!』
スタスタ……
武道家『フン!』
クル
武道家『…………勇者、大丈夫?』
勇者『うん……はは、ごめんね。また助けられたよ』
武道家『本当よ!やり返しなさいよあんな奴等!』
勇者『はは…………ごめんごめん』
734 = 1 :
武道家『それにまだアンタこの前の傷残ってるんでしょ?』
武道家『あれほど家にいなさいって言ってたのに…………』
勇者『うん。でも、家にばかりいると気が滅入るからさ』
武道家『…………また特訓?』
勇者『え!!?い、いやっ』
武道家『…………』ジー
勇者『その……はは、無理はしてないからさ』
武道家『…………はぁぁぁ……だーめ。家に帰りなさい』
勇者『で、でも、もう戦士も待ってるし』
武道家『…………アイツも説教ね』
勇者『せ、戦士は僕に付き合ってくれてるだけだから怒らないであげて!!』
武道家『それがダメだっつってんの。ホラホラ。家にさっさと帰る!送ってくから』
勇者『うぅ…………』
…………
-勇者の家-
スタ……
武道家『それじゃ、安静にしてるのよ』
勇者『うん…………』シュン
武道家『…………はぁ』
武道家『……全快したら、私も鍛錬付き合ってあげるから』
勇者『本当?』
武道家『えぇ。全快したら、ね。だから早く治しなさい』
勇者『うん……そうだね。分かった』
武道家『それじゃ、女勇者とおばさまによろしく』
勇者『うん。今日はありがとう。武道家』
武道家『いいって。それじゃね』
735 = 1 :
バタン……
武道家『…………』
スタスタ……
武道家『…………はぁ』
武道家『(……オルテガ様の訃報が届いて以来……アイツ、凄く無理するようになった)』
武道家『(それに…………)』
――――――――――――
…………
僧侶『勇者くんには……回復魔法が効かないんです』
武道家『…………え?』
魔法使い『ど……どういうことなの?』
僧侶『…………そのままの意味です』
僧侶『勇者くんは……ルビス様のご加護が無いんです』
戦士『で、でも!アイツの怪我、治ってたじゃん!!』
僧侶『…………』
スッ
三人『『『!!!!』』』
武道家『アンタ……その腕』
魔法使い『痣が…………だいじょうぶなのっ!?』
僧侶『はい…………これは、エーテルの暴発を起こした際に、体内で暴れたエーテルが作る痣です』
僧侶『段々消えているので、跡は残らないと思います』
魔法使い『よかった……』
僧侶『…………勇者くんを治療するには、エーテルを暴発させる必要がありました』
武道家『…………?』
魔法使い『エーテルを……?それって……』
魔法使い『……………………まさか…………』
僧侶『…………』
魔法使い『…………!!?』
ガタンッ!!
魔法使い『ち、ちがう!!』
武道家『え!?』
戦士『ど、どうしたんだ魔法使い!?』
魔法使い『ちがうよっ!!ちがうもんっ!』
魔法使い『そんなの……ゆーしゃは、ゆーしゃだよっ!』
736 = 1 :
僧侶『魔法使いちゃん、落ち着いて下さい』
魔法使い『…………ご、ごめんなさい』
魔法使い『……でもっ』
僧侶『……魔法使いちゃんの言うとおりです』
僧侶『勇者くんは、勇者くんです』
武道家『…………』
戦士『…………?…………話はよく分からないけど』
戦士『そこだけは分かった。勇者は勇者だよ』
武道家『…………』
僧侶『…………みんな』
僧侶『……これから、勇者くんは……勇者くんには、もしかしたら』
僧侶『…………私達が想像するよりも……辛い事が起こるかもしれません』
僧侶『…………』
僧侶『……もし……もしよかったら』
武道家『…………うん。させない』
僧侶『!』
武道家『アイツは……勇者は』
武道家『勇者は、私達の幼馴染だもん』
武道家『…………守らなきゃ』
ギュッ
魔法使い『そうだよっ!』
魔法使い『ゆーしゃが……たとえなんであっても!』
戦士『あぁ!アイツはアタシ達の知ってる勇者だもんな!』
僧侶『…………皆…………!』
…………
――――――――――――
737 = 1 :
スタスタ……
武道家『(…………ああは言ったけど、やっぱり心配だわ)』
武道家『…………』
武道家『(…………勇者)』
武道家『(アンタって…………一体)』
武道家『…………』
武道家『……っ……私のバカ』
武道家『(約束したじゃない…………)』
武道家『(それにあの時言った通り…………アイツはアイツ)』
武道家『(それだけよ)』
…………
……
…
・
――――――――――――
-アリアハン・商店街-
スタスタ……
勇者『うぅ……子供Cくん、段々キメ技きつくなってない?』
子供C『ははは、あれくらい耐えろよ。貧弱だなぁ』
勇者『ひ、貧弱違うよ!』
子供C『はは…………可愛いな』ボソッ
勇者『え?』
子供C『いや、なんでもないよ。でも今日は姐さん来なかったな』
勇者『ルイーダさんの酒場が忙しいって言ってたからね』
子供C『そっか。武道家とかは?』
勇者『盗賊と一緒に酒場の手伝いしてるらしいよ』
子供C『ルイーダさんあざといな……』
『だから、囲んで袋叩きにすんだよ。武道家を』
勇者『っ……!?』
738 = 1 :
ピタッ
子供C『?どうした勇者?路地裏の方になんかあるの?』
勇者『…………』
悪ガキ『10人もいりゃあのクソアマをリンチできるって』
悪ガキ2『いいね!前から俺もムカついてたんだよ』
悪ガキ3『顔は可愛いから黙っててやったけど、もう耐えらんねぇもんな』
悪ガキ『今日はルイーダさんとこに居るって聞いたから夜帰り道によ――……』
子供C『うわ……アイツら』
子供C『勇者、行こう。関わっちゃ……』
勇者『…………』
ザッ
子供C『!!?ゆ、勇者!』
悪ガキ『それからよぉ……』
勇者『おい』
悪ガキ『…………あ?』
――――――――――――
-ルイーダの酒場-
カランカラン
『『『ありがとうございましたー!』』』
ルイーダ『ふぅ…………お客さんも一段落ついたわね。皆、ありがとうね』
魔法使い『ううん!わたしもたのしいからだいじょーぶだよっ!』
僧侶『はい!なんだか働くのって新鮮でワクワクしますっ』
戦士『で、でも……アタシには……こんなヒラヒラした服似合わねーよ……///』
盗賊『……大丈夫、すっごく、可愛いよ……』
武道家『でもなんで今日はこんなに人が多いのかしら』
ルイーダ『ルビス祭が近いからね。今日は他国からのお偉いさんとの会合がお城で開かれるから、お偉いさんが多いのよ』
戦士『なるほどなー』
739 = 1 :
ルイーダ『でも、他の娘たちのウェイトレス姿が見れなかったのは残念ね』
魔法使い『しかたないよっ。ほかのみんなはいそがしいみたいだし』
僧侶『特に商人ちゃんは朝から夜までずぅっと忙しそうでした』
ルイーダ『大変そうねぇ…………じゃあ勇者くんを誘えばよかったかしら』
戦士『勇者のウェイトレス姿?』
ルイーダ『あはは、何言ってるの。そんな……』
一同『『『『『…………』』』』』
…………
勇者『は……はずかしいよぉ……』
…………
一同『『『『『(似合いそう……)』』』』』
ルイーダ・盗賊『『(今度やってみよう)』』
武道家『でも、今日勇者は何してるのかしら』
戦士『さーなぁ……街中をブラブラしてるんじゃないか?』
魔法使い『いまからでもよびだしてむりやりこのふくきせてみるっ?』ワクワク
僧侶『だ、だめですよ、そんなっ』
盗賊『……顔、にやけてるよ……』
バタンッ!!
ルイーダ『いらっしゃ……あら』
子供C『はぁっ……はぁっ!!』
魔法使い『あっ!子供Cだ』
僧侶『いらっしゃいませー』
戦士『どうしたんだお前?息なんか切らせて』
武道家『残念ながら勇者はここには―――……』
子供C『た、大変なんだ!!!!』
武道家『!?ど、どうしたのよ!』
子供C『ゆ、勇者が!!!!』
…………
……
…
・
740 = 1 :
-空き地-
ドガァッ!!
勇者『うぅっ!!!!』
ドシャッ!
悪ガキ『はぁっ……はぁっ!!』
悪ガキ2『なんで……こんなに、しぶといんだよ!!』
勇者『っ』
ダッ!!
勇者『りゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
ドガッ!
悪ガキ2『あぐぅっ!!』
勇者『はぁっ……はぁっ……!!』
悪ガキ4『っだらぁっ!!』
ガスッ!
勇者『あぐっ!!』
悪ガキ5『らぁっ!』
ドガッ!
勇者『がぁっ!』
ドシャッ!!
勇者『……ぐ……』
ヨロッ
勇者『…………まだ……まだ!』
悪ガキ『こ、コイツ…………!!』
悪ガキ『わかってんのか!?こっちは10人なんだぞ!?もう十分フクロにされたじゃねぇか!』
勇者『うるさい!!!!』
ガバァッ!!
悪ガキ『う、うわぁっ!!』ドサァッ
悪ガキ『こ、このっ!!どけっ!!』
バキィッ!
悪ガキ『がぁっ!』
勇者『武道家に…………!!手を出してみろ!!』
勇者『…………ただじゃすまさないぞ!!!!』ギロッ!
悪ガキ『っ』ゾッ
悪ガキ『お、お前ら!ぼさっとしてんじゃねぇ!早くコイツ、ぶち殺せ!』
――――――――――――
741 = 1 :
タッタッタッタ……
武道家『はぁっ!はぁっ!!』
――――――――――――
子供C『悪ガキ達が武道家をシメるって話を路地裏で話してて』
子供C『勇者が、それに割って入ってって……!!』
――――――――――――
武道家『(あの馬鹿……!)』
戦士『おい!どっちだ!』
子供C『もう少し……!あそこだ!』
ザッ!
武道家『…………っ!』
悪ガキ『!!やべっ!』
悪ガキ3『武道家たちだ!』
悪ガキ5『ど、どうしよう、コイツ』
武道家『……勇者!』
勇者『…………っ』ボロ……
タッタッタッタ ズザッ
武道家『勇者!!』
勇者『…………あ……武道家』
勇者『はは…………やられちゃった、よ』
武道家『……アンタ!』
ジワッ……
武道家『……この前の傷が開いて…………!』
悪ガキ『お、俺ら、そこまでやるつもりは……!!』
戦士『袋叩きにしといてどの口が言ってんだてめぇっ!!!!』
悪ガキ『ひっ……!』
悪ガキ2『に、逃げようぜ!!』
悪ガキ3『あ、あぁ!』
ダッ
戦士『あ!待て!!!!』
742 = 1 :
『はいストップ』
悪ガキズ『『『『!!!!?』』』』ズザァッ!!
悪ガキ『あ……あ!!』
悪ガキ2『る、ルイーダさん……!』
ルイーダ『…………悪い子には』
ボキッ ボキッ!
悪ガキ『ひいぃっ!!?』
ルイーダ『お仕置きしなきゃね』ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ズザァッ
戦士『加勢するぞっ!!』
悪ガキ『ぎゃああああああああああああああああ!!!!!』
――――――――――――
勇者『いてて……』
武道家『アンタ……!』
勇者『血は…………出てるけど、実際は……そこまでなんだ』
勇者『少し傷が開いちゃっただけ…………みたい』
武道家『なんで…………アンタ』
勇者『え?』
武道家『アンタ…………馬鹿よ!!!!』
勇者『……っ』
武道家『アンタじゃアイツらに勝てない事くらい分かりきってるじゃない!!』
武道家『私のために……私のためになんであんな無茶な事するのよ!!』
勇者『武道家……それは』
武道家『馬鹿よ!!!!本当、馬鹿よっ!!!!』
ギュッ……
勇者『……武道、家?』
武道家『…………』
武道家『アンタは……』
武道家『アンタは、無理しちゃダメなの!』
武道家『…………アンタは、無理しないで…………』
勇者『…………』
武道家『次…………こんな無茶したら…………』
武道家『……………………許さないからっ……!』
…………
……
…
・
743 = 1 :
――――――――――――
-アリアハン・郊外-
ブンッ ヒュバッ!!
武道家『だっ!!はっ!!』
ズザァッ
武道家『…………ハァ……ハァ』
武道家『…………まだ全然ダメね』
スタスタ……
戦士『武道家!』
武道家『あ、戦士』
スタスタ……
戦士『鍛錬してたのか?』
武道家『うん。戦士も?』
戦士『いや、いま勇者がいないからさ。城の兵士団長もいないし、武道家を探してたんだ』
武道家『あ、そっか。今、勇者いないんだ』
戦士『しかしアンタも頑張るなぁ』
武道家『まぁね』
戦士『…………』
武道家『?何よ』
戦士『いや……そのさ』
武道家『…………お師匠様の事?』
戦士『!』
武道家『…………今はもう気にしてないわよ』
武道家『行方不明になったって話を聞いた時は、流石に悲しかったけどさ』
武道家『もう五年も経てばね…………ふっきれるものよ』
武道家『私が修行するのはお師匠様を探すためでもなんでもない』
武道家『あのへたれ君を旅の危険から守るためよ』
744 = 1 :
戦士『…………そっか。へへ!』
武道家『何よ。うれしそうね』
戦士『なんでもねーよ!』
戦士『ただ……お前が勇者の旅に着いていかないって言ったらどうしようかな……と思ってさ』
武道家『あはは!無いから安心しなさい!』
武道家『…………』
武道家『(そもそも…………私が強くなろうって思ったのは)』
武道家『(…………勇者を、守ろうって決めたからなのよね)』
武道家『(……恥ずかしいから絶対言ってやんないけど)』
戦士『?どした?』
武道家『な、なんでもないわよ』
戦士『……でも……そっか』
戦士『私達、皆で旅できるんだな!』
武道家『ちょっとー?勇者の旅は旅行じゃないのよ?』
戦士『わ、わかってるつーの!!』
武道家『でも…………そうね』
武道家『私達で、アイツを守ってやりましょう』
戦士『へへ!!そうだな!』
武道家『……厳しい旅になると思うけど』
武道家『10人で旅すれば……すぐに終わるでしょ』
…………
……
…
・
745 = 1 :
――――――――――――
-アリアハン・街中-
ザァァァァァァ……
武道家『…………………………』
武道家『………………』
武道家『………………』
パシャ……パシャ……
戦士『…………………………武道家…………』
商人『………………』
魔法使い『………………武道家』
武道家『…………………………』
魔法使い『…………ぬれ……るよ…………かえろ……?』
武道家『…………………………私ね』
戦士『…………………………?』
武道家『…………私ね………………本当はね』
武道家『旅………………凄く…………楽しみだった』
武道家『…………戦士には…………ああ言ったけど』
武道家『…………………………本当は…………皆で』
武道家『幼馴染の皆で………………旅できるって…………』
武道家『いつの間にか…………………………それが…………生きがいみたいに』
武道家『………………………………楽しみだった』
武道家『…………楽しみだったの』
746 = 1 :
商人『…………ひぐっ……!!……………うぅっ………!!』
魔法使い『…………ぐすっ……うぇぇ……!!』
戦士『……………………』
武道家『………………………………』
武道家『………………………………ねぇ』
武道家『こんな風にしたの…………誰?』
戦士『………………?』
武道家『…………あんなに…………居心地良かった…………あの空間』
武道家『…………そして、あいつを…………奪ったの』
武道家『……………………ぶち壊したの、誰』
戦士『……………………』
武道家『………………………………魔物』
武道家『…………魔物よ』
武道家『魔物よ』
武道家『……………………ねぇ皆』
商人『…………?』グスッ
魔法使い『…………なに…………?』ヒグッ
戦士『…………?』
武道家『…………強くなるわよ』
747 = 1 :
武道家『強くなって…………どんな魔物にも負けないくらい、強くなりましょうよ』
武道家『……………………あいつを……』
武道家『……………………勇者を』
武道家『勇者を……………………魔物から守ろう』
武道家『…………勇者を』
――――――――――――
――――――――――――
勇者『うわあぁぁあああああぁぁぁぁあぁああああ!!!!!』
町人『誰か!!神父様を呼んで来い!!』
町人2『勇者くん!!落ち着くんだ!!』
勇者『ぼ、僕が!!!!僕があぁあああぁぁああぁぁ!!!!』
勇者『守れ…………守れなかった!!!!守れなかったんだあああ!!!!うわああああああ!!!!』
武道家『勇者!!落ち着いて!!』
勇者『わあああっ!!うわああぁぁぁぁぁああぁぁぁぁ!!!!!!』
武道家『……………………っ』
――――――――――――
――――――――――――
武道家『……………………』
武道家『何があっても……………………』
武道家『……………………もう、勇者があんな辛い目に遭わないように』
武道家『…………そして……………………』
ポロッ
戦士『…………!!』
武道家『……………………もう、誰も失わないように』ポロポロ……
武道家『…………もう、これ以上、私達が変わらないように…………』ポロポロ……
ギュッ!!
武道家『…………強くならなきゃ…………!!』
…………
……
…
・
748 = 1 :
――――――――――――
-ピラミッド・地下-
武道家「…………っ!!!!」
武道家(あの時、あの日!!)
武道家(私達は!!私は!!決めたんだ!!)
ギュッ……
武道家「もう…………あんな事は嫌なのよ!!」
武道家「アンタはもう変わらせない!!アンタは、私達が守るの!!」
イシス勇者「……っ!!わかっているのか!!君は!」
イシス勇者「彼女に、彼女達にここまで心配させて、足を引っ張っているのは、君自身なんだ!!」
イシス勇者「君がいるから彼女達は足を捉われているんだ!!」
勇者「……それは」
武道家「なのに!!アンタは何よ!!!!」
武道家「私達がコイツについていって、自分が一人で旅をするのが良いって!!!!」
武道家「そんな勝手な事!!!!なんでそんな事言うのよぉっ!!!!」
武道家「責任だけで!!!!自分の事は、私達の事は何も考えてないじゃない!!!!」
勇者「……いや、だから」
イシス勇者「君は旅に出るべきじゃ無かったんだ!!!!」
イシス勇者「なぜ大人しくできないんだ!!!!なぜ自分の実力を省みる事ができないんだ!!」
イシス勇者「君の弱さは君の努力不足のせいだろう!!!!なぜそこを補う事もせずに旅に出ようとするんだ!!」
勇者「……あの」
武道家「だからアンタは!!!!」
イシス勇者「だから君は!!!!」
勇者「…………」
武道家「―――――!!!!――――――――――!!!!」
イシス勇者「――――――――――!!!!―――!!!」
ギャーギャー!!!!
勇者「…………」
ワーワー!!!!
勇者「…………はぁ…………」
ギャーギャー!!!!
勇者「…………」スゥゥゥウゥゥ
勇者「うるっっっッッッッッっっっっッッさあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
武道家「」キ――――ン
イシス勇者「」キ――――ン
勇者「お前ら!!!!ほんっっっとにやかましい!!!!」
749 = 1 :
武道家「な、な、な、何よ!!!!私は!!!!」
勇者「武道家!!!!」キッ!!
武道家「は、はいっ」ビクッ!!
勇者「小さい頃からのお前の悪い癖だよ!!頭に血が上ると人の話聞かなくなるの!!!!」
武道家「だ、だって!!!!」
イシス勇者「ちょ、ちょっと待つんだ!!!!僕の話はまだ終わっちゃいない!!!!」
ワーワー!!!!
勇者「…………全く」ハァ
ゴソッ
勇者「二人とも!!それっ」
ぎゅっ!!
武道家「もがっ」
イシス勇者「もぶっ」
ゴックン
イシス勇者「…………な、何を飲ませた!!!!」
勇者「エルフから貰った薬草だよ。二人とも大口開けてるから飲ませやすいのなんのって」
武道家「や、薬草!!?」
勇者「元々は外傷用の薬草って言ってたけど、飲ませてもあらゆる毒や痺れには多少効くだろうってエルフ女王様が言ってたからさ」
勇者「まぁ、効いてくるまでには多少の時間を要すると思うけど、これで二人ともとりあえずは大丈夫だよ」
勇者「もっとも…………」
チラッ
オォォォオォォオオォォ……
ミイラ「ああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
勇者「さっきの騒ぎで気付かれたみたいだから、回復してるのを待ってはいられないっぽいけどね」
750 = 1 :
武道家「!!!!」
イシス勇者「くっ!!ここまでか!!!!」
勇者「……だから、黄金の爪渡してくれってば」
イシス勇者「ま、まだ言ってるのか君は!!!!」
勇者「だから、僕は薬草があるから大丈夫って……」
武道家「嘘よ!!あの薬草で最後だったじゃない!!!!」
勇者「…………」
イシス勇者「また君はそうやって無謀な!!!!」
勇者「どっちが無謀だよ」
イシス勇者「いや!!!!君の方が無謀だ!!!!君は弱いくせに何故そういきがるんだ!!!!」
勇者「…………」
イシス勇者「なぜそうやって自分から死に行って他人を困惑させるんだ!!!!だからっ」
ゴンッ!!
武道家「……………………え」
イシス勇者「~~~~~~っ!!!!??」
勇者「…………」
武道家「ゆ……勇者が、ゲンコツした……?」
イシス勇者「なっ!!何をするんだ!!!!」
ゴンッ!!!!
イシス勇者「またっ!!!!」
ゴンッ!!!ゴンッ!!!!ゴンッ!!!!
ゴンッ!!!!ゴンッ!!!!ゴンッ!!!!
ゴンッ!!!!ゴンッ!!!!ゴンッ!!!!
イシス勇者「ちょっ!やめっ!!やっ!!やめてっ!!!!」
勇者「…………僕だってね」
イシス勇者「え!?」
勇者「僕だってむかついてないわけじゃないんだよ?」ニコ ゴゴゴゴゴゴゴ
イシス勇者「えっちょ、やめっ!!!!ごっ!!!!やめてくださいっ!!!!おねがいっ!!!!」
ゴンッ!!!!ゴンッ!!!!ゴンッ!!!!
ゴンッ!!!!ゴンッ!!!!ゴンッ!!!!
勇者「…………イシス勇者君も人の話、全く聞かないよね」
イシス勇者「き、君もね!!!!いたいっ!!!!やめてぇっ!!!!」
みんなの評価 : ★★
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