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    元スレ咲「リンシャンロンパ」 洋榎「希望の雀卓と絶望の高校生雀士」

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    601 = 591 :

    参加出来る人数が分からないからぶつ切りの方がいいと思います。

    603 :

    ぶつ切りマイペースでいいかと

    604 = 577 :

    んじゃとりあえず今夜ももうちょっとだけ進めます

    605 = 577 :


    透華「それで……」

    透華「議論ですが、何から――」

    葉子「ああ、ちょっといい?」

    透華「……はい、なんですの?」

    葉子「私、わかっちゃったんだよねー」

    竜華「……え?」

    華菜「わ、わかった……って……」

    葉子「事件の真相だよ真相」

    葉子「その悪趣味な写真見て確信に変わったわ」

    「あ、それって、さっき確認してた――」

    葉子「そう」

    葉子「まどろっこしーの苦手だし、悪いけど最速で答えさせてもらうよ」

    葉子「犯人は愛宕洋榎」

    葉子「自殺なんだよ、じ・さ・つ!」

    606 :


    葉子「さっきアイツ呼んで確認したんだけどさぁ」

    やえ「あいつ……」

    智葉「モノペンのことか」

    葉子「自殺の場合、裁判どーなんだって聞いたら――」

    モノペン「その場合、クロは被害者と同一人物になります」

    モノペン「なので、自殺であると指摘できればそれで終了」

    モノペン「ただし外れれば、自殺したクロを除く、全員がおしおきされます」

    「はー……」

    「確かに写真はここにあるし、この中に犯人がいるって発言に矛盾はギリギリしないわね」

    葉子「ま、私から見てもいい奴だったし、この状況に胸も痛めてた」

    葉子「密室になってる以上、これはもう自殺で決まりっしょ」

    竜華「……なるほど」

    透華「確かに……そうなのかもしれませんわね……」

    「……そうでしょうか」

    葉子「……あ?」

    「洋榎先輩には、帰りを待ってる妹さんがいます」

    「それに――死ぬわけにはいかないと、本人の口から、聞きました」

    ちゃちゃのん「確かにそれ、ちゃちゃのんも聞いた……」

    ちゃちゃのん「胡桃ちゃんも、ひょっとして――」

    胡桃「うん……」

    胡桃「洋榎は、自殺するようなタイプじゃないよ」

    607 = 606 :


    葉子「んなこといったって、自殺しかありえねーんだって!」

    竜華「確かに……《現場はほぼ密室と言っていい状態》……」

    やえ「自殺だったら、解決するな……」

    葉子「だろ?」

    葉子「元々《武器庫の見張り番になる予定だった》っつーし」

    葉子「一人になったところで、堂々とナイフをとったんだよ」

    竜華「なるほど……」

    竜華「最初から死ぬ気やった、か」

    竜華「ありえん話でもないな」

    葉子「で、《扉を背に、自分の腹をぶっ刺した》んだ」

    葉子「そのまま死ねば自分がストッパーになって密室も完成するってわけ」

    葉子「これ以外、もうなくねー?」

    608 = 606 :


    《扉を背に、自分の腹をぶっ刺した》 ← 【床の血の跡】



    「それは違うと思います」

    葉子「……は?」

    「少なくとも、洋榎先輩は扉の傍でナイフを刺されたんじゃありません」

    葉子「いやだから、刺されたっつーか自分で――」

    「床の血の痕よね」

    「はい」

    「あの血、奥の棚の方から続いてました」

    「自殺にしろ何にしろ、ナイフを刺したのは棚の傍でってことになるわね」

    那岐「密室にするなら扉の近くで刺した方がいいよな」

    那岐「刺した後で歩くとか、絶対痛いし」

    「まあ、痛みさえこらえれば、出来んことは全然ないけど~」

    「でも、わざわざ自分から痛い目見てまで先に刺す理由はなくない?」

    葉子「う……そ、それは……」

    誓子「……あとから気付いたから、とか」

    胡桃「え?」

    誓子「私もよくあるけど……」

    誓子「追い込まれて視野が狭くなることってあるじゃない」

    誓子「で、やらかしたあとに、ああ、ああしとけばよかったーって、なったりするの」

    誓子「あれじゃないかしら」

    「……とりあえず、詳しく聞いてみようか」

    透華「ですわね」

    透華「そのパターンがありえるかどうか、吟味しなくてはいけませんし」

    609 = 606 :


    誓子「大体、自分で自分を刺すって、相当勇気がいるじゃない」

    「まあ、確かに……」

    那岐「私なら絶対にしないな」

    葉子「切腹しろよ武士」

    誓子「だから、やっぱり時間を置いたら決意が鈍っちゃうと思うのよ」

    美子「……それは、確かに」

    誓子「だから、《ナイフを取って、すぐに決行した》んだと思う」

    誓子「みんなのために死のうと、《自分のお腹めがけてナイフを振り下ろして》……」

    誓子「それから、気付いたんじゃないのかな」

    ちゃちゃのん「……?」

    誓子「このままだと、犯人探しで疑心暗鬼になるんじゃないかって」

    誓子「だから、疑心暗鬼を回避しようと《扉まで移動》した……」

    誓子「そして、密室を完成させたの」

    誓子「……どう?」

    誓子「これなら全部の辻褄が合うと思わない?」

    610 = 606 :


    《自分のお腹めがけてナイフを振り下ろして》 ← 【スペツナズナイフの刃】



    「それは違うと思います」

    誓子「へ?」

    「死体に刺さったスペツナズナイフの刃なんですけど……」

    「突き上げるように刺さっていたんです」

    誠子「確かに、振り下ろして刺さる形じゃあなかったね」

    葉子「はあ? 証拠はあんのか」

    モノペン「そういう水掛け論を見てもしょうがないので……」

    モノペン「はい!」

    モノペン「現場の写真を、そこのスクリーンに映してあげます!」

    モノペン「まったく、ほんっとボクって人がいいよね」

    モノペン「いや、この場合、ペンギンがいい……かな?」

    ちゃちゃのん「ヒロちゃん……」

    胡桃「……」

    「あんまり、気分のいい写真じゃないわね……」

    透華「ですが……」

    透華「確かに刃は、上を向いて刺さってますわね」

    611 = 606 :


    葉子「……あのさ、それが何だっつーの?」

    「……え?」

    葉子「別に振り下ろしてようが突き上げてようがどっちでもよくね?」

    「た、確かに……」

    葉子「大体さっきから揚げ足取ってばっかだしさあ」

    「そ、そんな……」

    葉子「何かそーやって議論を引っ掻き回したい理由でもあるわけ?」

    「わ、私は別にそんな……」

    智葉「揚げ足取りも無駄ではない」

    智葉「そうやって可能性を潰し、残った答えを拾い上げるのも立派な推理だ」

    「まあ、あんまり自殺で刃物を突き上げる人もいないんじゃない?」

    葉子「うっ……」

    ちゃちゃのん「た、確かに……」

    胡桃「だよね……」

    612 = 606 :


    葉子「ぐ、ぐぐぐぐぐ……!」

    華菜「で、でもさ、まだ自殺の可能性も……」

    「大体自殺だったら、刃先を飛び出させる必要ないでしょ」

    「そりゃ自殺で、誰も殺人者なんて出てない方がいーけどさ」

    「現実味ないと、全滅するのは私らなんだから」

    (そうだよね……)

    (洋榎先輩のためにも)

    (外で待ってるみんなのためにも)

    (ここは下手に日和っちゃ駄目なんだ……!)

    葉子「刃先に関しては……ほら、あれだ」

    「敢えて――なんて言わないでよ」

    竜華「まあ、刃先わざわざ飛び出さすなんて、むしろ殺人起きたと見せかける工作みたいやもんな」

    葉子「自殺とアピールするために密室にしたのと矛盾するばいね……」

    613 = 606 :


    葉子「じゃあ、あれだ!」

    葉子「うっかり……」

    葉子「うっかり押して飛び出しちまったんだよ!」

    「あのねえ、そんなことが……」

    誠子「ありえるんじゃない?」

    誠子「実際、誰とは言わないけどやらかした人いるし」

    「え、そんな馬鹿いるわけ?」

    那岐「ば、バカって何だバカって!」

    那岐「しょうがないだろ、あんまり分からない感じでスイッチがあったんだから!!」

    葉子「ほら!」

    葉子「やっぱ刃先が飛び出したのは事故なんじゃん」

    (うっかり刃が……)

    (本当にそうなのかな……)

    智葉「……」

    智葉「お前は――死体を調べていたんだろう?」

    「……え?」

    智葉「なら――分かるはずだ」

    智葉「違うか?」

    「……」

    (なんだろう……)

    (死体を調べてたら、刃先がうっかり飛び出したかどうかの手がかりがつかめるってことかな……)

    (それって一体……)

    614 = 606 :


    【スペツナズナイフの柄】



    (これだ……!)

    「あの……」

    「そもそもに、洋榎先輩の持ち方だと、スイッチに触れないんです」

    葉子「はぁ?」

    「それに――」

    「スイッチも、こう、洋榎先輩に刺さった刃と手にした柄をくっつけた場合、下に来てるんです」

    「うーん、鍔にスイッチついてるのも多いから、スイッチって上についてるイメージなんだけどなあ」

    「まあいずれにせよ……」

    「持ち手が変なのに代わりはないわね」

    やえ「うっかり射出した可能性は低い、か……」

    「どっちかっていうと、射出した後握らされた……って考える方が自然よね」

    智葉「0ではないにしろ、限りなく自殺のセンは0」

    智葉「ここからは、他殺のセンで議論した方がいいだろうな」

    615 = 606 :


    「あんまりグダグダ引っ張っても時間の無駄だしね」

    誠子「……そういや、制限時間ってあるのかな」

    やえ「言われてみれば……」

    やえ「時間を言ってもらえれば、タイムキーパーはするぞ!」

    「あ、じゃあ私は書記を……」

    誓子「じゃあ発表者は私が……」

    葉子「就活かよ……!」

    誠子「就活って単語がすぐ出てくるのもなんかすごいね」

    「進学する方が少数派の高校なんじゃないの?」

    那岐「確かに、頭わるそうだもんな!」 ハッハッハ

    葉子「オメーにだきゃ言われたくね―よ……!」

    智葉「……で、どうなんだ、モノペン」

    616 = 606 :


    モノペン「うーん」

    モノペン「ぶっちゃけ、ボクとしては面白い議論が見たいだけなので、時間制限とか設けてないんだよね」

    モノペン「面白い議論で、君達も続けたければ、何日でもどーぞってなるし」

    モノペン「まあ、大体途中で飽きちゃうんだけどね」

    モノペン「基本的にはボクから見て議論が終わったかなってなったら投票開始だよ」

    「まだ終わってない!!ってなったら?」

    モノペン「その際、過半数の反対があれば、議論を続行させてあげるよ」

    モノペン「でも、そうやって引き伸ばし続けて何の益も出ないようなら、ボクだって考えちゃうからね」 ウププププ

    「下手な引き伸ばしで時間をかせぐ、とかは止めた方がいい……ってことかな」

    透華「そして、議論が終わったら投票に移る、と……」

    「……」

    一同「……」

    那岐「あ、あれ!? もしかして、今まさに条件満たそうとしていないか!?」

    「改めて議論する《必要はあるけど……」

    透華「現状、自殺を否定したのみ」

    竜華「新たな議論のとっかかりがほしいとこやな……」

    那岐「や、やばいって! このまま投票とかしたら、私達、全員……!」

    「誰か何かない~? 何でもええよ~?」

    葉子「つっても自殺じゃねーっつんだろ?」

    那岐「あばばばばばば……」

    葉子「あーもう、なんでもいい、何かしゃべれ馬鹿剣士!」

    那岐「え、えー……」

    那岐「いい、天気ですね」

    葉子「お見合いかよ……!」

    「まあ、見合って見合って~……ではありますけども……」

    617 = 606 :


    透華「とにかく、何かを議論しなくては……」

    胡桃「そうは言っても……」

    やえ「……誰か犯人の目星とか……」

    一同「……」

    誠子「ま、ついてたら真っ先に言うよね」

    「アタシはある程度ついてるわよ」

    「……え!?」

    華菜「だ、誰なんだし!?」

    「……まだ言わない」

    やえ「な、何故……」

    「皆がどう考えてるのか、まだ腹の底が見えてこないから、かな」

    「後は単純に、さっきみたいに他の可能性潰してからでもいいかなって」

    透華「で、でも……」

    智葉「とりあえず、事件の流れを確認しよう」

    智葉「その中で……犯人候補から除外される人物がいるかもしれないだろう?」

    誠子「……それしかない、か」

    ちゃちゃのん「……まだ、結構、残っちょるもんね……容疑者」

    618 = 606 :


    誓子「えーっと、他殺と仮定して、流れを話し合うんだよね」

    透華「愛宕洋榎は、私と交代で《武器庫を見張る》ことになっていましたわ」

    美子「それで……武器庫についた……」

    竜華「ほんで、まあ、一人でおったんやろ?」

    「うーん、たまたま一人でいるところを、犯人さんに見つかったんやろか~?」

    透華「さあ……そこまでは……」

    やえ「まあ、とにかく……」

    やえ「正確な時間は分からないが、《犯人は武器庫を訪れた》……と」

    「それで、《後からやってきた犯人に、いきなり襲われた》のよね」

    「武器庫に残ってるものに、他に血が付いたものはなかった……」

    ちゃちゃのん「……っちゅうことは、抵抗することもできず……」

    胡桃「洋榎……」 クッ

    那岐「《スペツナズナイフの先制攻撃だな!》」

    葉子「空気読め馬鹿!」

    透華「それで、抵抗できずさされてしまい……」

    華菜「……犯人の手で、《扉まで移動》させられて、結果密室が完成した、と」

    誠子「……」

    誠子「だめだ、さっぱり分かんない」

    「何もおかしなところはないですよね……」

    誓子「だからこそ手詰まり……なの……?」



    619 = 606 :


    《後からやってきた犯人に、いきなり襲われた》 ← 【武器庫のスペツナズナイフ】



    「それは違うと思います」

    「え?」

    「さっき……犯人はあとからやってきたって言いましたけど……」

    「それだとナイフの本数に説明がつかないんです」

    華菜「ナイフの本数……?」

    誠子「そういえば、18本になってたんだけっけ」

    葉子「はあ!? 更に一本なくなってんのかよ!」

    透華「ですが、私がいた時には、19本ありました」

    桃子「……つまり、取られたのはその後、ってことっすね」

    「それが凶器なんじゃないか……って、思うんです」

    竜華「確かに、犯人が元から盗んだナイフを凶器にして、洋榎もナイフをとったとかでも……」

    竜華「洋榎の腹に刺さってない方のナイフは、多分元の棚に戻されるやろうしな」

    「まあ、調べられる可能性があるのに、わざわざ一本持って帰る馬鹿はいないだろうしね」

    美子「先に武器庫に来た犯人が、ナイフを取った……」

    透華「そして後から来た愛宕洋榎を刺殺した方が自然、ですわね」

    智葉「棚に近づいている者がいれば、慌てて近寄って声をかけるだろうしな」

    智葉「あんなピリピリした状態なんだ」

    智葉「おそらくは、武器も持たず声をかけたことだろう」

    智葉「殺されやすいくらい無防備で、な」

    620 = 606 :


    華菜「……ん?」

    華菜「んんんんん?」

    やえ「どうした?」

    華菜「ってことは、龍門渕が犯人なんじゃ……!」

    透華「……は?」

    華菜「だって、交代で武器庫を見張ってたなら……」

    華菜「交代時に19本あったのが本当でもウソでも、龍門渕にしかナイフは盗み出せないし!」

    葉子「た、確かに……」

    葉子「まさか、アンタが……!」

    透華「な、私は……!」

    誓子「でも、透華なら交代とかのスケジューリングしてるし、被害者を好きなタイミグで呼び出せるわ……」

    那岐「よし、そいつが犯人だ!」 ポチポチポチポチ

    モノペン「生憎だけど、投票タイムにいかないと、どれだけ連打しても投票はされないよ」

    那岐「え、そーなの?」

    (ううん……犯人のはずがない)

    (それに、犯人がナイフを盗むタイミングはあった)

    (その根拠は――――)

    621 = 606 :


    【龍門渕透華の証言】



    (これだ……!)

    「その……交代と言っても、顔を合わせて交代したわけじゃないんですよね」

    透華「ええ……」

    透華「それより早くに、上柿恵に呼ばれ武器庫を後にしましたわ」

    透華「大口を叩いてこの失策……」

    透華「言い逃れの出来ない過失です」

    透華「ですが……私は殺してませんわ」

    葉子「……そーなの?」

    「ええ……」

    竜華「ちゅーかこの話……アリバイの話のとき、すでにせんかった?」

    誓子「……あ!」

    「よっぽどアクロバティックなトリックでも使ってない限り、今回アリバイがある連中はシロ」

    「その大前提くらい、頭に叩き込んでおきなさいよ」

    透華「私と上柿恵、宮永咲と亦野誠子、そして新子憧と清水谷竜華と荒川憩」

    やえ「その7人はシロ確定……で、いいんだよな」

    智葉「浅見花子と愛宕洋榎も、だな」

    「犯人は残った11人に絞られてるの」

    華菜「う、うう……」

    622 = 606 :


    美子「龍門渕さんが武器庫を出てから、愛宕さんが来るまでの間に、犯人が来た……」

    やえ「それで、その時取ったナイフで犯行に及んだ」

    やえ「……ここまでは揺らがぬ事実だろう」

    那岐「いやー、龍門渕透華犯人説、本当に追うだけ無駄だったなー」

    葉子「テメーが言うんじゃねーよ!」

    「裁判における戦力外が判明しただけ有意義だったんじゃない」

    やえ「お、おいおい……」

    葉子「言ってくれるなオイ!」

    葉子「そーいうお前の推理はどーなんだよ!」

    「何か、目星ついてるって言ってましたよね……」

    「……まあ、そろそろいいか」

    「大体誰が推理出来るかも見極められたし」

    「そもそも――問題になるのは、あの密室なのよ」

    623 = 606 :


    「確かに……」

    透華「どうやって密室にしたのか、未だに謎ですものね……」

    誠子「あ、ポケットに何か入ってたし、あれを使って……」

    「無理じゃない」

    「そもそも、鍵がかかるような構造じゃないんだし」

    「そーいう類のトリックが使えるやつじゃないでしょ」

    やえ「で、では、どうやって……!」

    「犯人は別に、外に出て密室を作ったわけじゃない」

    「密室トリックは、必ずしも外で細工をする必要はないのよ」

    「……ここまで言えば、さすがに分かる?」

    (外で細工をする必要はない……)

    (つまり、犯人は、部屋の中で何かをしたってこと……?)

    (それって――)


    ・犯人は被害者と同一人物
    ・犯人は室内に隠れていた
    ・犯人は人間ワープの能力者

    624 :

    ワープならはっちゃんもやってたし不可能じゃないな

    625 = 606 :


    ・犯人は室内に隠れていた



    (これだ……!)

    「もしかして……」

    「犯人は、部屋を出ずに部屋に隠れていた……ってことですか?」

    「……」 ニヤリ

    華菜「いやいやいやいやいや!」

    葉子「ありえないっしょ!」

    「さあ……」

    「ありえないかどうかは、第一発見者に聞いた方が早いんじゃない?」

    胡桃「え?」

    ちゃちゃのん「ちゃ、ちゃちゃのん達け?」

    「いや――」

    「2人はどうせ、洋榎の死体で動転してて話はあてにならなそうだし」

    誓子「じゃあ私?」

    「……お願いできる?」 チラ

    智葉「……いいだろう」

    誓子「無視!?」

    626 = 606 :


    智葉「悲鳴を聞いて駆け付けて……」

    智葉「小窓を覗くと、そこに血が見受けられた」

    やえ「まあ、小窓を覗くと真っ先に目に入るもんな」

    智葉「慌てて視線を下げると、そこに《愛宕洋榎の死体が扉にもたれかかっていた》」

    智葉「それで扉に体当りし……」

    智葉「扉を無理矢理開けたんだ」

    葉子「やっぱりどう考えても部屋に居るなんて無理だろ!」

    透華「確かに、《隠れる場所なんてどこにもありません》わ」

    那岐「そうか分かったぞ!」

    葉子「そうか黙ってろ」

    那岐「ひどいな! 聞いてくれてもいいだろ!」

    「……で、何なんです」

    那岐「忍者みたいに、天井の三角コーナーにへばりついてたんだよ!」

    葉子「……」

    葉子「それ、できる奴いんの?」

    那岐「こう、腕や足をつっぱれば……」

    那岐「私は武士だし、出来ると信じてたぞ!」

    葉子「信じただけかよ!!」

    那岐「実際は1秒も持たないし、そもそも《脚立でもなければ天井に手がつかなくて》な」 ハッハッハ

    葉子「じゃあなんで言ったんだよ! やっぱり聞くだけ無駄だったじゃねーか!!」

    誓子「宮守のノッポちゃんとか阿知賀の山登りの娘ならともかく、さすがに私達の中で天井に手がつく娘はいないんじゃないかな」

    葉子「手がついても出来ねーよ、へばりつくなんて!」

    「……しずなら出来そうで怖いわ」

    627 = 606 :


    《隠れる場所なんてどこにもありません》 ← 【武器庫の小窓】



    「それは違うと思います」

    那岐「そうだよな」

    那岐「夢は信じれば叶う」

    那岐「人類は、きっと天井にはりつくことだって……」

    誓子「そこじゃないんじゃない?」

    「はい……」

    「……」

    「隠れる場所がない、ってことですけど……」

    「あります」

    「隠れることが出来る場所」

    628 = 606 :


    桃子「でも、棚は全部武器でびっしりっすよ」

    那岐「ダンボールでもあればスネークもできるが……」

    那岐「ああ、メタルギアのネタな」

    誓子「面白いわよね、あれ」

    那岐「寝ずにプレイしたものだ」

    葉子「お前ホントよくそーいうこと喋りながら武士キャラ名乗れるな……」

    透華「ですが実際、身を隠すものなど何も――」

    「確かに、身を隠す“もの”はありません」

    「でも――場所ならあります」

    誠子「???」

    誠子「どーいうこと?」

    「扉の横」

    「そこの壁にはりついていれば――小窓を覗いている人間に、姿が見つかる心配はありません」

    629 = 606 :


    華菜「な、なんだって!?」

    やえ「た、確かに、あの小窓からは横が非常に見づらいが……」

    智葉「ありえない話ではないな」

    智葉「あの状況で小窓を見れば、真っ先に血が目に入る」

    ちゃちゃのん「確かに、ちゃちゃのんもそうじゃった」

    智葉「それが扉まで点々としていれば……誰だって視線を下に下げる」

    誓子「言われてみれば……」

    胡桃「……そう、だね」

    智葉「死体を見てしまえば、あとは何とか扉を開けようとする」

    智葉「小窓越しにのんきに部屋を見回す奴などまず居まい」

    竜華「なるほど、確かに……」

    「扉を開けてから、胡桃先輩はすぐさま洋榎先輩に駆け寄りすがりついた」

    ちゃちゃのん「ちゃちゃのんもそうじゃ」

    誠子「それで腰抜かしてたんだよね」

    誓子「私は逆にびっくりして後退しちゃった」

    透華「扉の横を見るゆとりなど、なかったわけですわね……」

    630 = 606 :


    「せやけど……ちょっとリスキーやない~?」

    美子「……」

    美子「小窓の方は見ながら廊下を歩いてたら、ちらっと視界に映る可能性も……」

    智葉「それに、私は到着順をカウントするために入り口を中止していたぞ」

    「そう」

    「入り口を注視していた」

    「それで、犯人が絞れたのよ」

    葉子「は……?」

    「普通、振り向かれた時点で詰みになる」

    「けど――」

    「一人だけ、いるのよね」

    「どこか別のところに注視さえしてもらえてれば、見つかる恐れがない人間が」

    「相対的に、見つけにくい人間が」

    631 = 606 :


    華菜「だ、誰なんだ!?」

    葉子「もったいぶってないで言えって!」

    「ちょっとは自分で考えなさいよ……」 ハァ

    (……)

    (私は、あんまりピンとこないけど……)

    (聞いたことは、多分ある)

    (全体を俯瞰してみてれば捉えられるけど――)

    (他に目立つ人がいたりすると、存在感が消える人……)

    (その人の、名は――――)

    632 = 606 :

    さすがにめっちゃ夜も更けてきたので、一旦中断します。
    コトダマとかウィークポイント出すとテンポは悪くなるので、
    こんな感じで進めるかコトダマとかウィークポイントなしで行くほうがいいかも、
    意見頂けると有り難いなと思います。



    あと捜査時のミスを今更ながら訂正します。

    >>551
    ×誠子「スイッチの存在を隠せるよう鍔の近くについてるせいで、人差し指もギリギリふれてないのか……」
    ○誠子「スイッチの存在を隠せるよう鍔の近くについてるせいで、小指もギリギリふれてないのか……」

    切腹のポーズしたら鍔は小指側につくやんけ……
    もしこれに違和感持って推理した人がいたら申し訳ない。
    今後は気をつけます。

    634 :

    乙。憧ちゃんから十神臭がする

    635 :

    そしてガイトさんから霧切臭がする

    636 :

    寧ろ逆だろ
    ガイトさんからメガネ臭がする

    638 :

    ツジギリさん「ここまで言えばわかるわね?(グサー」

    639 :

    >>638
    那岐さん何してるん

    640 :

    それにしても犯人は一体何ルスモモなんだ……

    641 = 606 :

    またちょっとだけ進めるんじゃ

    642 = 606 :


    東横桃子



    (これだ……!)

    「それって……東横さんのこと……?」

    桃子「……っ!?」

    「……そう」

    「アンタだけは、他に目立つものがあれば、存在を隠し通せるんでしょ」

    「今更無理だとは言わせないわよ」

    智葉「……確かに、以前麻雀で披露していたな」

    智葉「そのステルスに騙されなかった……とまでは言えない」

    (……)

    (なんだろう)

    (さっきの脱線で……少し、気になることがあるけど……)

    「だから、犯人は東横桃子!」

    「アンタしかいないのよ!」

    (でも、今はそこを考えている場合じゃない)

    (まずは、本当に東横桃子さんが犯人なのかを、見極めなくちゃ――)

    643 = 606 :


    「犯人は《被害者より先に武器庫に来た》……」

    やえ「そして、《武器庫にあったスペツナズナイフ》を手にとって……」

    透華「愛宕洋榎を刺した……」

    「その後、死体を《扉の前まで移動》させてから……」

    竜華「自分は扉横に隠れとった、と」

    智葉「そして私達がやってきて……」

    華菜「扉は無理矢理開けられたんだよな」

    美子「それで、《すかさず何食わぬ顔で合流》」

    誓子「これで密室に見せかけるのは完成、か……」

    やえ「確かに、この流れかと思うと、全て辻褄が合うな……」

    644 :


    《すかさず何食わぬ顔で合流》 ← 【辻垣内智葉の証言】



    「それは違うと思います」

    美子「……え?」

    「東横さんは……確か最後のほうで合流したんですよね」

    智葉「ああ」

    智葉「亦野誠子達の集団を除けば、その次に遅く合流している」

    桃子「そ、そーっすよ!」

    桃子「私がクロなら、ボロが出るまえに合流するのが普通じゃないっすか!?」

    「……出来なかったんじゃないの?」

    桃子「……は?」

    「いくらなんでも、出口を注視されてたら、すぐに出ることは出来ない」

    「でも……人がどんどん入ってきた後なら?」

    透華「人によるブラインド……ということですの?」

    竜華「確かに……最初は入り口で呆然としとっても、そこに無限に固まることはない……」

    竜華「立ち尽くしてた奴がどくにしろ、そいつを押しのけるにしろ、誰かしらは部屋にどんどん入ってくる」

    「そうなれば、相対的にドンドン影が薄くなる」

    やえ「それで、頭一つ遅れた連中を除き最後だったのか……」

    「そう」

    「更に言うと、最後は人をブラインドにして、他の人間が部屋に入ってきたと同時に外に出た」

    「これなら、智葉の注目も、“出入り口”から“入ってきた人物”へ移動する」

    「誓子に関して言えば、途中からへたりこんで地面ばっか見てたみたいだしね」

    やえ「最悪見つかったとしても、後退りしていれば、見つかった瞬間到着したと装えないこともない、か……」

    645 = 644 :


    葉子「決まりじゃねーか!」

    葉子「オメーが犯人だ!」

    桃子「わ、私は犯人なんかじゃ……!」

    葉子「あ、どもったな! そういうのって怪しいんだぞ!」

    誓子「え!? どもったら怪しいの!?」

    桃子「そ、そんなこと言われても……」

    誓子「あ、またどもった!」

    葉子「決まりだ決まり!」

    那岐「まぁ私は分かってたけどな、うん」 ポチー

    やえ「……投票タイム前にボタンを押しても意味が無いと言われたばかりではないのか?」

    (黙って議論を見てた所で突然犯人と言われて、東横さんも焦ってる……)

    (東横さんがクロならここで追い詰めるべきだし……)

    (クロじゃないなら、みんなのためにも、東横さんを擁護しなくちゃ……!)

    646 = 644 :


    桃子「だ、大体、こんなの単なる決め付けじゃないっすか!」

    誓子「まあ、そうかもしれないけど、でも……」

    葉子「つーかさ、結局のところ、お前が犯人なんじゃねーの?」

    「まあ……《現時点では、他に候補もいない》ですしね」

    葉子「処刑が嫌なのはわかるけど、もう詰みなんだから観念しろって」

    桃子「しょ、証拠は!?」

    桃子「証拠はあるんすか!?」

    桃子「《私がやったっていう証拠、どこにもないっすよね!?》」

    「生憎、この裁判では証拠がなくても多数決で決まるのよね」

    「無実を納得させられなきゃ、貴女の負け」

    「そしてアタシ達の勝ち」

    桃子「だ、大体、返り血が付いた服はどーするんすか!」

    「まあ《倉庫には衣類がわんさかある》しー」

    竜華「倉庫で着替えて、後からこっそり着てた服を処分してまえば解決するわな」

    「持ってる衣服さえ、巻き込んで存在感を消せるんだからね」

    「そもそも、《やってないって証明できるものもないでしょ?》」

    「アリバイもないし、無実も証明できないし、状況が全てアンタの犯行を裏付けてるのよ」

    桃子「ぐ、ぐぐぐ……!」

    647 = 644 :


    《やってないって証明できるものもないでしょ?》 ← 【東階段の惨劇】



    「それは違うと思います」

    「……は?」

    「新子さんの推理では、東横さんはずっと武器庫にいたんですよね」

    「そりゃね」

    「自室に居たとは言ってましたけど……」

    「こっそり自室に戻った可能性は薄い、と」

    「そうね」

    「皆が武器庫に群がってきてる中、逆走して上まで向かう」

    「しかも階段も幅ひろくはないし、集団で移動してる奴らとかち合ったらおしまいだもの」

    「部屋に戻ったとは考えにくいわ」

    「ならやっぱり……東横さんは犯人じゃありません」

    「!」

    「東横さんは……」

    「死体アナウンスの際、何で遅れたんですか」

    「そう、それもそもそもソイツがクロっていう根拠よ!」

    「普通に部屋を出たなら、階段付近の東横桃子の方が、廊下中央の小走やえより早く辿り着くはず」

    「運動神経に若干の差があったとしても、遅いのよ」

    「……何かに足止めをされ、Uターンを余儀なくされていたのだとしたら……?」

    「!」

    桃子「確かに……」

    桃子「私が遅れたのは、東階段で、そこの武士気取りさんが通路を塞いでたからっす」

    「!」

    648 = 644 :


    「具体的に、それはどんな感じでしたか?」

    桃子「えっと……」

    桃子「ラーメンぶちまけながら、何故か下半身裸で、ポーズは所謂まんぐり――」

    那岐「だあああああああああああ!」

    那岐「ストップ、すとーーーっぷ!!」

    那岐「そ、ソレ以上は孤高の剣士キャラたる私の股間に関わる!!」

    竜華「……それ、沽券の間違いとちゃう?」

    誠子「ある意味……股間の問題ではあるけどね……」

    透華「一体なんなんですの、その、まんぐり何とやらは」

    誓子「はは……知らなくていいんじゃないかな……」

    葉子「まあ、あんまりイイ子チャンの女子高生は知らないわな」

    葉子「知ってたのが、ちょっと意外だわ」

    桃子「まあ、私は毎日……」 ポッ

    桃子「っと、これは蛇足っしたね」

    葉子「なんだよ、毎日何なんだよ!」

    誓子「え、なに、恋人いるの?」

    649 :

    やっぱりアコチャー十神枠じゃないか(テノヒラクルー)

    650 = 644 :


    「ちなみに今の恥ずかしい話……」

    「知ってる人、いましたか?」

    誠子「まあ、当然私は……」

    華菜「あ、挙手する流れなのか?」

    透華「結構手があがりますわね」

    「……いずれも、現場に遭遇した人ですよね」

    「それじゃあ……」

    「あの話を、誰かにしたっていう人はいますか?」

    透華「……今度は手がおりましたわね」

    やえ「全員誰にも話していない、か……」

    誠子「さすがに、あれの細部を話すのは、女同士とはいえ、ねえ……」

    竜華「さすがに可哀想っちゅーか……」

    華菜「まあ、こっちとしても思い出したくないからなー」

    「……つまり……」

    「ラーメンだけなら残骸から予想出来ても、ポーズだけは、あの時あの場所に居なければ知りようがなかったんです」

    「ですから――」

    「東横さんがずっと武器庫にいた、というのは誤りです!」

    「ぐっ……!」


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