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    元スレ勇者「仲間TUEEEEEEEEEEEEEE!!」

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    451 = 442 :

    勇者「それじゃあ、すみませんが、俺はこれで行きます! ご馳走さまでした!」

    勇者「また後で、改めて挨拶に来るので!」


    村長「そうじゃな、再開を楽しんできなさい」

    村長の奥さん「気を付けてね」

    神父「積もる話もあるでしょうし、私たちの事は気にせず、ゆっくりしてくると良いでしょう」

    村人B「戻ってきたら、後であたしん家に来なよ。ご馳走するからね」


    勇者「はい! それじゃ、また!」クルッ

    ガチャッ、タタタタッ……



    村長「若いのう……。羨ましいわい」シミジミ

    村長の奥さん「ほんにねえ……」シミジミ

    神父「しかし、良い子に育ってくれました……。精悍で、礼儀正しく、心の清い子です……」

    村人B「本当にねえ。イタズラしたり柵をこっそり抜け出したりとかで、毎日、村中を走り回ってたのが嘘みたいだねえ……」グスッ

    452 = 442 :

    ー 村の外れ近く ー


    タッタッタ……


    勇者「最初、どうなる事かと思ったけど……」


    タッタッタ……


    勇者「そりゃ、かなり驚いたし怖かったけど、やっぱりみんな良い人ばかりだった」


    タッタッタ……


    勇者「それに強い! 俺は、自分では強い方だと思ってたけど、それこそ井の中の蛙だったんだな。知らず知らず天狗になりかけてたんだ」


    タッタッタ……


    勇者「どうやってあれだけ強くなったのかわからないけど、でも、ここでその教えを乞えば、俺もきっと! もっと強くなれる!」


    タッタッタ……


    勇者「最初、気後れしたのが恥ずかしい。俺は勇者じゃないか! 勇者はいつでもどんな時でも諦めない、常に前向きに生きないと!」


    タッタッタ……


    勇者「みんなの為にも! 仲間の為にも! 俺は精一杯強くならないと駄目なんだ! それでこそ勇者なんだから!」


    タッタッタ……


    勇者「見えてきた! ここを曲がって通り過ぎれば、あの木が正面に……! 正面に……。正面に……?」


    タッ……タッ……タ……


    勇者「ない!? 折れてる!?」


    切り株「」…………

    453 = 442 :

    ここまで

    454 :

    やはりステータスアップの種が特産品だったか……

    455 :

    しばらくここでゆっくりしていこう

    456 :

    そりゃ常日頃から幸せの種を使ってりゃ強くもなるわ

    457 :

    炎の四天王より強いおばちゃんェ

    458 :

    勇者は先に旅にでたから恩恵が少ない
    仲間たちは後から旅に出たからある程度恩恵を受けてる
    ってわけかww

    459 :

    ドーピングしなくちゃ(使命感

    460 :

    一人だけドーピングなしって考えるとやっぱ勇者すげーわ

    462 :

    [ピザ]ほど強い村か…

    463 :

    これ山の魔物もちょいちょい種食ってるから強いんじゃ…

    464 :

    しかし村人はここまで強くなったというのに目は節穴なんだろうか
    言葉通りなら、勇者の力量を全く見抜けていないようだが……

    465 :

    乙!
    そりゃあ毎日ステUPの種食ってりゃ強くなるわな

    466 :

    >>464
    自分らと同じレベルの人しかいないから逆に特別に思ったんじゃね

    467 :

    凄くなくても久しぶりに帰ってきた若者を褒めちぎるのが故郷のあったかさ

    468 :

    どんなに基礎能力強くても村人Aなんだぞ

    469 :

    徴兵したい…したくない?
    1人1人が一騎当千の村人の軍隊とかマジロマン

    470 = 441 :

    この村ではステUPの種を毎日食べている、当然沢山食べる人ほど恩恵を受けやすいはず、つまり一番強い人がこの村て一番大食いということに。

    おばちゃんどれだけ食ってんだ?畑仕事をしてるおじさん達よりも強いって、てかもしや住み着いた竜もこの種食いたくて住み着いたんじゃないだろな?本当にいたらだけど。

    471 :

    魔王が種が特産の村の攻略失敗しまくるssを思い出した

    472 :

    しかし、この種ステータスアップの仕方が半端無いな
    全部が上がるし、上がり方も下手すりゃ2桁上昇とかヤバすぎるだろ

    473 :

    ディスガイアで20,30上がろうがよくわからんだろ?
    種なんてそんなもんだ

    474 :

    すり潰してブレンドしてるって言ってるし、多分全種の種を五個とか十個とか分まとめて摂取してんだよ……てか待て!皆帰って来たって大賢者どうなった!気になってたがどうなった!

    475 :

    命のストックぐらい持ってないと大賢者は名乗れないさ

    476 :

    どこの大英雄だよ……

    477 :


    死の淵からの奇跡的レベルアップより上昇値高いじゃねぇか!ww
    仲間の極端に低いステータスは食わず嫌いなのかねコレ

    478 :

    普通に職業選択の代償やろ
    ずっと村人やっていれば…

    479 :

    すまん村人より弱い勇者おる?

    480 :

    この風呂敷どうオチがつくんだか…

    481 :

    ここで、話は一旦、600年前にまで遡る……




    ー 魔界、奥深くの山小屋 ー


    魔老師「どうしても行くのか、小僧……」

    魔王「ええ、師匠。失礼ながら、もう貴方から学ぶ事は何もない」

    魔老師「ちいとばかし、強くなった程度ですぐに自惚れおって……。ワシから見れば、お前など半人前にもなりきれておらんぞ」

    魔王「なら……試されますか? 師匠殺しの汚名を受けるのは本意ではないですが……」ゴゴゴゴゴ……

    魔老師「この老体で、今更若いお前とやる気はないわい……。ワシが半人前だと言うておるのは、その血気盛んなところだ。お前は覇気が強すぎる……」

    魔王「覇気があるのは結構、ないよりは遥かに良いかと」

    魔老師「バカタレ。明鏡止水の心こそ、武の本質じゃ。結局、お前はワシから何も学んでおらんではないか……」

    魔王「そうやって魔族らしからぬ妙な境地を悟ったせいで、魔界を統一出来る程の腕を持ちながらも振るわず、無為に腐らせ、今ではただの老いた一魔族へと変貌してしまったのが師匠でしょう」

    魔老師「水が低きに流れるが如く、普通の一生を普通に生きただけじゃ。それが当たり前の事じゃろうが」

    魔王「生憎、私と師匠とでは、『普通』に差がありすぎるようで。師匠の終着点が、私にとっては出発点ですから」

    魔老師「魔界を統一する気か……。下らぬ事を」

    魔王「覇道を歩むつもりです」

    魔老師「だから、下らぬと言っておる。世俗にまみれおって……」

    482 = 481 :

    魔老師「お前には期待しておったんじゃがな……。だが、ワシの目が曇っておったようじゃ……。腕ばかりが強くなって、心はまるで子供のままじゃ……」

    魔王「ならば、それで結構。子供の夢が世界征服で何が悪いのか」

    魔老師「…………」

    魔王「師匠、私はその内魔界を統一し、ひいては神界、竜界まで統一しましょう。果ては伝説の中の異界まで!」


    ※注釈
    竜界=人間界
    魔族からしたら、人間は元から眼中にない


    魔老師「戦乱を広げて何になる……。愚か者めが……」

    魔王「その愚か者がこの世で唯一無二の覇者となる様、とくとご覧あれ」

    魔老師「…………」


    魔王「では、私はこれで。もう会う事もないでしょうが、残りの余生をどうか御自愛下さい」クルッ

    魔王「」スタスタ……


    魔老師「跳ねっ返りが……。実に嘆かわしいわい……」

    483 = 481 :

    250年前




    ー 魔界。魔王城、玉座の間 ー


    魔学者「此度は、魔界の統一、おめでとうございます」

    魔王「よい。堅苦しい挨拶は好きではない。それよりもこの忙しい時期にお前を呼び出したのには当然理由がある。早速本題に入るぞ」

    魔学者「はっ。何でございましょう」

    魔王「今、お前たちが研究している合成魔獣だ。これまで十年以上研究資金を出してきたが、その間に、成果はどれだけ出した」

    魔学者「つい先日、御報告申し上げた通り、眠り獅子と二股ヘビの掛け合わせが成功し、『キメラ』というまったく新しい魔獣が生まれました」

    魔王「そうだな。十年かけてあの程度だ。戦力にすらならん」

    魔学者「ですが、新しい魔獣を生み出すのに成功しただけでも、これは記録的な大進歩です。これからこの研究を続けていけば、魔王様が望む、強力な魔獣が続々と生まれてくる事でしょう」

    魔王「魔学者……。何を勘違いしている? これだけわかりやすく言っても自覚がないようだから説明してやる。今のお前は単なる無駄飯食らいだと、余は言っているのだ」

    魔学者「い、いえ、ですが! 研究というものは時間がかかるものでして! そこは十年などではなく、百年二百年という長い目で見て頂かないと!」

    魔王「言い訳無用。合成魔獣の研究は今日をもって取り止めとする。これ以上は続ける価値がない」

    魔学者「っ!!」

    魔王「代わりに、別の研究をしろ。神界・竜界・魔界を繋ぐ、通称『次元の扉』についてだ。これを解析して、移動条件を調べあげろ」

    魔王「現状だと、運任せでしか移動出来ないからな。それでは、軍を送る事など不可能だ。そこを何とかしろ」

    魔学者「軍……ですか?」

    魔王「三界を制覇するのが、余の望みだ。これ以上、説明は不要であろう」

    魔学者「……か、かしこまりました。研究員全員にその様に伝えておきます……」

    魔王「うむ」

    484 = 481 :

    ー 魔界、辺境の集落 ー


    牛鬼「ヴォォォ。ヴォム、ヴァリリィ」(全長16メートル)

    ベヒーモス「ヴルルルル。ヴォルルルフ」(全長23メートル)

    (立ち話)


    魔老師「」テクテク

    魔老師「そうか……。あやつ、本当に魔界を掌握しおったか……」

    魔老師「そして、次は神界や竜界にまで戦争を仕掛ける準備をしておるとは……」

    魔老師「全て師たるワシの責任か……。だが、この老いぼれ、最早何も出来ぬわ……」

    魔老師「歳を重ねるごとに弱くなっていくのがわかるからのう……。今や、全盛期の三分の一程度か……」

    魔老師「もう魔界には未練もない。無為に死んでいく同胞も見とうない……。どこか静かなところで暮らしたいわ……」


    魔老師「どこか、静かに死ねる場所を……」スタスタ……

    485 = 481 :

    15年前



    ー 竜界(人間界)。山奥の村 ー


    少年B「…………」ブンッ、ブンッ (素振り)

    少年B「」ハァ……

    少年B「やっぱりあいつがいねえと物足りねえな……」ショボン

    「うん……」

    「言わなくてもわかってるってば、そんなの! でも、もういないんだから仕方ないじゃない!」

    「やめよう。またケンカになっちゃうよ……。『勇者(名前)』が出て行っちゃってから、まだ一週間も経ってないのに……。こんなんじゃ、きっと『勇者(名前)』もがっかりするよ……」

    少年D「ならさ……これからみんなでちょっと冒険の旅に出ない? 練習みたいな感じで」

    「冒険の旅って……?」

    少年D「柵の外に出るんだよ。抜け穴見つけたからさ。ちょっとだけ。夕飯が出来る前までの間だけでも」

    「だ、だけど、柵の外に出たら怒られちゃうよ……」

    少年B「いや、俺は行くぞ! こうなったら魔物をギッタンギッタンにしてやる!」ブンッ、ブンッ

    「あたしも行く! やる事なくてつまんないし!」

    「みんなが行くなら……。私も行く」

    「え、みんな行っちゃうの……? じゃ、じゃあ、あの……わたしも行く……」

    少年B「よしっ! そんじゃあ行くか! みんなで冒険の練習だ!」

    少年D「決まりだね。それじゃあ、みんなこっちに来て。見つかったらまずいから、こっそりだよ」

    「うん!」

    486 = 481 :

    ー 村の外 ー


    少年B「なんか、すっごいドキドキするな」

    「う、うん……」ドキドキ

    「あたし、初めて村の外に出た。しかもこんなに遠くまで」

    「私も……。でも、結構、普通……」キョロキョロ

    少年D「そりゃそうだよ。でも、魔物が時々出るから気を付けてね。スライムぐらいならどうにかなると思うけど、一角ウサギとか一つ目オオカミとか出たら、すぐに逃げるから」

    少年B「んなもん、俺の剣で倒してやるってんだ。どっからでもかかって来い!」ブンッ

    「あ……。あそこ、見て。変な洞穴があるよ」

    少年D「ホントだ! 中に入ってみる?」

    「うん! 入ろうよ! 探検、探検!」

    「で、でも、中は真っ暗だよ。怖いし、やめとこうよ……」オドオド

    少年D「一応、ランプ持ってきてるよ。これで照らしながら進めば大丈夫だと思う」

    少年B「だな! 俺は行くぜ! 中に魔物がいてもやっつけてやる!」


    ガタッ!!! ガタゴト!! (洞窟の奥から物音)


    少年B「」ビクッ!!
    「きゃあ!」
    「ま、魔物がいるの!?」
    少年B「みんな、落ち着いて!」
    「う、うう……」ビクビク


    カツーンッ、カツーンッ……

    魔老師(魔物)「やれやれ……」ヒョコッ



    「うぎゃああああああっ!! 出たああああああっ!!」


    487 = 481 :

    老師(タイプ・悪魔)「おいおい、そこの人間の子供ら。ちいと静かにしてくれんかのう……。ワシは悪さする気はないんでな……」


    「しゃべったあああああああっっ!!!」


    魔老師「ああ、そうか……。この辺は人語を喋る魔物がおらんからのう……。そう珍しくはないんじゃが……」

    魔老師「のう、子供ら……。さっきも言った通り、ワシは悪さもしなければ、お前さん達に危害を加える気もない……。じゃから、退治とか言わず、そっとしといてくれんか……?」


    少年B「だだだだだだって、じじ爺さんは、ま、魔物じゃないか! そんなのウソだ!!」ブルブル


    魔老師「そうじゃのう。確かにもう七千年ぐらいは、魔物やっとるがのう……」

    魔老師「じゃが、嘘はつかんぞ……。ワシは魔物の中でもちょっと変わっとるんじゃ。そこまで攻撃衝動にかられる事はないしのう……」

    魔老師「それにな。ここの山はな……。ええ、山なんじゃ……。色々旅したが、ここほど魔力が満ちておって、じゃが静かで落ち着いておる山はどこにもなかった……」

    魔老師「多分、ここの地中の奥深くにでっかい魔石でも眠っとるんじゃろうなあ……。ここだけきっと特別なんじゃて……」

    魔老師「じゃから、ワシは死ぬならこの山で死にたいんじゃ……。多分もう十年か二十年の命じゃからのう……」

    魔老師「子供ら……。見逃してくれんか? あんまり騒がれると、ワシはこの山から出ていかなければならなくなる……。それは嫌なんじゃて……」


    少年D「こ、こう言ってるけど……ど、どうしよう?」アセアセ

    「う、嘘ついてるかもしれないよ。簡単に信じちゃ良くないよ」

    「ううん……。わたし、わかるよ。このお爺ちゃん、ウソなんかついてない。本当の事だって信じる……」

    「う……。少女Aがそう言うなら……ホントかもね」

    少年B「少女A、ウソを見破るの得意だもんな……」

    少年D「そうだね。何故か『勇者(名前)』の嘘だけは見破れなかったけど……。それ以外だとこれまで外した事なかったし……」

    488 = 481 :

    ー しばらく後 ー


    「へえ……。お爺ちゃん、元は『まかい』とかいうところに住んでたんだ」

    魔老師「ああ、じゃがのう……。とある事があって、嫌気がさしてしもうてのう……。それで長い間、色々なところを旅してな……」

    魔老師「それで、ようやっと見つけた落ち着ける場所がこの山だったんじゃ……」

    魔老師「とある事については、詳しくは言えんが……。お前さんらには本当に迷惑かけたわい……」

    魔老師「悪かったなあ……。謝って済む事じゃあないが、どうか許しておくれ……」ペコッ

    少年D「?」

    少年B「そんな事よりもさ、爺ちゃん! 魔族なら爺ちゃんも強いんじゃないか? いっちょ、俺と勝負してみないか!」サッ (木剣を構える)

    魔老師「勝負か……。若いもんは元気があってええのう……。それに、お前さんはキラキラしたええ目をしておる。ワシの若い頃によう似とるわ……」シミジミ

    少年B「げっ! 爺ちゃんにかよ! それはやだなあ」

    「」クスクス

    魔老師「まあ、ええぞ。こういうのも久しぶりじゃからなあ……。どこからでもかかって来るとええ……」

    少年B「どっからでもって、爺ちゃん、武器もないし座ったままじゃないか! これじゃ勝負になんないだろ!」

    魔老師「ふぉっふぉっふぉっ、武器ならここにあるぞい」ソッ

    少年B「!? 俺の木剣!?」

    「すごーい! いつのまに少年Bから取ったの!?」

    少年D「全然気が付かなかった……」

    魔老師「ワシとお前さんらでは、それぐらい差があるという事じゃ。勝負になるには二千年は早いかのう」

    少年B「うぐぐぐぐっ……」

    「なら、お爺ちゃん! あたしとも勝負だ!」ビシッ (拳を構える)

    魔老師「もうついとるぞい」

    「ふえああああああっ!!」ゴロゴロ

    「ああっ! 少女Cちゃんが転がってく!!」

    少年B「爺ちゃんTUEEEEEEEEEEEEEE!!!」


    魔老師「ふぉっふぉっふぉっ」

    【魔闘錬清流・開祖】
    『体力 :332万
     攻撃力:274万
     防御力:286万
     魔力 :245万
     素早さ:319万』

    489 = 481 :

    少年B「なあ、爺ちゃん! 爺ちゃんスゲー強いし、良かったら、俺らに稽古をつけてくれないか!」

    少年D「あ、それいいかも。僕ら、強くなりたいんです。大きくなったら、みんなで魔王を倒しに行くって約束をしてるから!」

    魔老師「ほうほう……。あのバカ魔王をか……。ああ、そりゃええかもな。うん、ええ事じゃ」

    「……? お爺ちゃん、魔物なのに、魔王は嫌いなの?」

    魔老師「そりゃもう、嫌いじゃわい。あやつはとんでもない大バカ者じゃて。せめて魔界の統一までにとどめておけば良かったものをなあ……」

    魔老師「煙のないところに、わざわざ火を起こしおって……。その為にどれだけ無駄な犠牲が流れた事か……」

    「うん……。あたしも魔王は大っ嫌い! あいつのせいで、みんな困ってるんだから! 人だって一杯死んでるし!」

    「柵を作ってその中で暮らす事になってるのも、魔王のせい……。町に行けば、読んだ事のない本とか一杯あるのに、滅多に行けないし……」

    「『勇者(名前)』にずっと会えなくなったのも……魔王のせい。魔物がいなかったら、きっと普通に旅して会いに行けるのに……」グスッ

    魔老師「そうじゃなあ……。例えどれだけ強くなろうとも、その強さに溺れて周りを傷付ける様な事だけは絶対にしてはいかん……。優しい心を持つ者こそが、真の強さを持つ者じゃ」

    魔老師「それに、修業だけでなく、勉学もせねばならん……。知識は人の器量を大きくする。物語は人の心を育てる……」

    魔老師「それらも一生懸命勉強すると言うのなら……お前さんらに教えてやってもええぞ」

    魔老師「強さとは、どういうものかをな……」


    少年B「じゃあ!」

    「稽古をつけてくれるの!」

    魔老師「ああ、ええとも……。いつか、本当に強くなって、それで魔王を倒すといい……。そして、世界に平和をもたらしとくれ……」

    少年D「やった!」

    「ありがとね、お爺ちゃん!」

    魔老師「代わりにワシの事は内緒じゃぞ……。魔物と仲良しになっとったら、きっと村のもんが誤解するからのう……」

    「うん! 大丈夫だよ。絶対に内緒にする」

    490 = 481 :

    ー 翌日 ー


    魔老師「村の者には見つからんよう、ちゃんと出てきたかの?」

    少年B「もちろん!」
    「大丈夫」
    少年D「平気だよ」
    「」コクッ
    「まっかせて!」

    魔老師「それでは、まずはこれからじゃな。ほれ」スッ

    『少年少女はクワとスキを手に入れた!』

    「……?」

    少年B「爺ちゃん、これ何だよ? 畑でも作るってのか?」

    魔老師「うむ。まずは体力作りからじゃ……。畑を耕してこれを植えるのじゃぞ」スッ

    『少年少女は、体力の種・力の種・守りの種・魔力の種・素早さの種を手に入れた!』

    「これ、何の種……?」

    魔老師「ワシお気に入りの植物の種じゃ。茎や実は苦くて食えんが、種が美味でのう……。滅多にない貴重品じゃぞ」

    魔老師「普通は栽培出来る様な代物じゃないんじゃが……長年かけてちょっと品種改良してやってな。種もかなり取れる様にしてやったわい。ここの土地はええ土地じゃから、きっと良い種が幾つも取れるじゃろ……」

    「じゃあ、まずはお爺ちゃんのお手伝いって事?」

    少年D「授業料みたいな感じかな……。うん。ただで教えてもらうのも気が引けるし、やろうか」

    「だね! お爺ちゃんにも喜んでもらいたいし!」

    「がんばる……」

    少年B「うしっ! 早速取りかかるぞ!」


    魔老師「うんうん……。ほんにええ子揃いじゃなあ」ホロリ

    491 :

    爺TUEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!

    492 = 481 :

    それから、五人の修業の日々が始まる……



    魔老師「ほい、ほい。剣というものはじゃな、腕で振るのではなく、心で振るものじゃぞ」ペシッ、ペシッ

    少年B「意味がわかんねえよ、爺ちゃん! あと、痛い! 痛いって!」


    魔老師「お前さんは優しい良い心を持っておるな……。ならば、魔法なんぞに頼ろうとするな。慈悲の心こそが、真の回復魔法に通じる道じゃぞ」

    「????」


    魔老師「ふぉっふぉっふぉっ。体を鍛えるなんぞ無意味じゃて。武道を極めようとするなら、まずは自然の声に耳を傾けてみ。筋力など不要になってくるぞい」ポーイッ

    「ふぎゃあああああっ!!」ヒューン


    魔老師「まずは魔法ではなく、魔力そのものを出す事から始めようかの。これが出来れば、大体どんな魔法でも習得出来るようになるからの」

    少年D「魔法じゃなくて……魔力??」


    魔老師「お前さんは商人を目指すのか。なら、何よりも知識じゃろうて。昔話とか、偉人伝とか、民話とかそこらから始めて、果ては数学、経済学、帝王学、法学、経営学、生物学、科学、化学、魔法学、魔導学、まあそんなところを教えてやろうかの」

    「」

    493 = 481 :

    案の定、途中で村の人達に見つかってしまったが……



    「やめて! このお爺ちゃんは良い魔族なの! 悪い事なんてしないの!」

    「そうだよ! 爺ちゃん、何もしてないじゃないか!」

    少年B「それに、爺ちゃんをここから追い出そうって言うなら、俺らも村から出てくぞ!」

    少年D「父さん母さん、話だけでも聞いてよ!」

    「お爺ちゃんの話をちゃんと聞けばわかるから! ね!」



    村人A「むう……。村長……どうする?」

    村長「……とりあえず、子供らが向こう側についとるからな。催眠とかそんな類いかもしれんが、話だけでも聞くしかなかろう」

    神父「……ですが、もしもその途中で子供らに何かした時は」

    村人B「俺らも鎌とか持ってからな。八つ裂きにしてやるべ!」

    村人C「覚悟しとけよ!」


    魔老師「わかっとる……。それより、後で子供らを責めんでやっとくれよ。ワシが秘密にしといて欲しいと頼んだ事じゃからな……」

    少年B「爺ちゃんは悪くない! それに、爺ちゃん、スゴい強いんだからな!」

    「わたしたちも……勝手に外に出てごめんなさい。だから、お爺ちゃんを追い出すのはやめて……」グシュッ

    「お願い……」ペコッ

    少年D「お爺さんは良い魔族なんだよ! それは本当だから!」

    「悪い事したのはあたしらだけ! 信じて!」



    村長「……とりあえず、子供らがああ言っとる事だし、危害を加えない事だけは約束しよう。じゃから、子供らがこっちに戻ってくるよう説得してくれんか? 話はそれから聞くから……」

    魔老師「もっともじゃな……。心配かけさせて、申し訳ないのう……。さ、お前たちは向こうにお行き……」

    494 :

    なんでこんな良い師匠が居たのに賢者はかませになってしまったのか……

    495 :

    賢者は復活してからが本番だよ(適当)

    496 = 481 :

    子供たちの熱意もあり、紆余曲折の末、徐々に村人からの信頼を得ていく魔老師……



    村長「話はわかった。じゃが、全部を信用した訳ではない。あんたが悪い魔物じゃないと、ワシらが信じるまでは、逐一、見張らさせてもらうが構わんか?」

    魔老師「よいとも……。監視されて困る様な事はしておらんからのう……」


    ーーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーー
    ーーーーーー


    村人C「爺さん……。突然、すまねえ。実は、うちの嫁さんが変な病気になっちまったんだ……」グシュッ

    村人C「神父様も手に負えねえって……。あんた、子供らから聞いたけど魔法も凄いんだろ……? お願いだから、治せなくてもいいから、診てもらえるだけ診てもらえねえかな……」ポロポロ

    魔老師「ええとも、ええとも。気功と魔法を修めたワシに治せん病気などないぞ……。安心するがええ」


    ーーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーー
    ーーーーーー


    村人D「うわ! きょ、巨大な魔物が村のすぐ近くに!!」

    魔老師「やれやれ……。軍からはぐれた魔物が迷い込んできよったのかのう……。ほいさと」ドゴオオオオオオオオン!!!

    村人D「うおおおおおおおおっ!!! 爺さんTUEEEEEEEEEEEEEE!!!」


    ーーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーー
    ーーーーーー


    村人E「今年は雨が降らねえな……。このままじゃ、凶作になっちまう……」

    魔老師「雨は無理じゃが、水なら魔法でいくらでも出せるぞ。ほれ」ドボドボドボドボドボドボドボ

    村人E「爺さんSUGEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!」


    ーーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーー
    ーーーーーー


    村人F「へえ、こりゃうめえな爺さん! この種、おらも育てたいから、少し貰ってもええだか?」

    魔老師「ああ、ええぞ。子供らが育ててくれとるし、何よりここの土地は収穫が段違いだからのう……。腐るほどあるから、好きなだけ持ってくとええ」


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    村人G「爺さん、良かったら子供たちだけじゃなく、おら達にも武術ってもんを教えてくれねえだか? 最近、やけに畑仕事が早く済むから時間が余ってんだべよ」

    魔老師「ええとも、ええとも。習いたい者はいくらでも来るがええ。ただし、強さに溺れる事のないよう、他の事も一緒に教えていくからな……。強さと腕力自慢を履き違えるでないぞ……」


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    497 = 481 :

    そして、魔老師と初めて出会ってから五年が過ぎたある日……



    (16歳)「それじゃあ、これで」

    魔老師(7842歳)「うむ……。この五年でよくぞあれだけの学問を学んだわい……。物覚えが良すぎて、逆にワシが困ったほどじゃからな……」

    「代わりに、武術や魔法の方はまるで才能がなかったですけどね。みんなから置いてかれるばかりで」

    少年B(16歳)「ホント、お前はそっちの才能はなかったよな。毎回一人だけ、別メニューだったし」

    「うるさいわね! 代わりに学問じゃ毎回別メニューだったでしょ!」

    (14歳)「結局、あの種まで品種改良しちゃったもんね、少女Eちゃん。おかげでもっと美味しくなったし」

    少年B(15歳)「頭が良いっていうのも立派な才能だよね。僕にもその才能を少し分けて欲しかったって思うもんなあ」

    (15歳)「でも、本当に行っちゃうんだね。また、寂しくなるなぁ……」

    「もう16歳だしね。それに、武術とかじゃ勇者の役には立てないってはっきりしちゃったし。ここでない才能を伸ばそうとするより、別の事で私は役に立とうと思って」

    魔老師「そうじゃな……。旅するには資金が不可欠じゃ……。それに、情報とかも。これは馬鹿に出来んぞ。むしろ、一番重要な事かもしれん」

    「私もそう思います。だから、これからはガンガンお金を稼いで、十年後には勇者がびっくりするぐらいの大金持ちになってやろうかなって」

    魔老師「うむうむ……。それも良い事じゃて……。頑張るんじゃぞ。たまには帰って来いよ……」

    「はい! 行ってきます!」

    498 = 481 :

    更に五年後……



    魔老師「」ゴホッ、ゴホッ

    魔老師「お前たち……。よくぞこれまで五年間、真面目に修業をした……」

    魔老師「ワシから教える事は……もう何もない……」

    魔老師「これからは……自分達で修業をしていくと良い……。世界を見て……己を知って……そして五年後に……」ゴホッ、ゴホッ

    魔老師「幼い頃の約束通り……勇者と共に旅立ち……魔王を倒してくるのじゃ……」

    魔老師「驕るな……負けるな……そして、大きく世界へと羽ばたいて来い……」ゴホッ、ゴホッ

    魔老師「我が愛する弟子たちよ……」


    少年B「はいっ! 師匠!!」グスッ

    「お爺ちゃんも……体に気を付けてね……。無茶しちゃ駄目だよ……」グシュッ、ヒック

    「あたし達、次に会った時はもっともっと強くなってるから!!」グスッ

    少年D「先生も……どうかお元気で……」ポロポロ


    魔老師「ふぉっふぉっふぉっ……。そうじゃなあ……。お前たちが戻ってくるまでは……絶対に生きておるからな……」ゴホッ、ゴホッ

    魔老師「しっかり……強くなって帰って来いよ……」


    「はいっ!!!」

     

    499 = 481 :

    ー 下山後。山の麓辺り ー



    少年B「それじゃあ、俺は手始めに東の国に行く。向こうは今、荒んでるって聞くからな。修業の身としては丁度いい」

    「わたしは北の国に行くね。向こうはいつも水不足に困ってるって聞くから」

    少年D「僕は西の国に。向こうは珍しい本が沢山あるって話だからね」

    「あたしは船に乗って世界中を回ってみる」


    少年B「だけど、忘れるなよ」

    「うん。少女Eちゃんみたいに、一年に一回は必ず山奥の村に帰ってきて……」

    少年D「先生の様子を見に行く」

    「何かあったらすぐに連絡出来るよう、今の居場所を村長に教えておく事! 大丈夫だよな!」


    「それじゃあ、またな! お互い強くなろうな!」

    「うん!」

     

    500 = 481 :

    しばらく後……


    ー 東の国、地方の町 ー



    役人「ふざけんなっ!! とっとと税金を納めやがれ!!」

    商人「で、ですが、これだけ高くてはとても支払いなど……!」

    役人「なら、代わりにてめえんとこの商品を貰ってくぞ! それしか方法がないからな!」ガタッ、ドサッ

    商人「お、お止め下さい! それを取られては売る物が無くなって生活出来なくなってしまいます!」

    役人「黙れ!」ドゲシッ

    商人「ぐはっ!」ドサッ

    役人「何なら、てめえんとこの嫁や娘を売り飛ばしてもいいんだぜ! それをされたくなかったら、大人しくしてろ!」チャキッ (剣を抜く)

    商人「ひ、ひぃっ!!」

    役人「しっかし、しけたもんしかねえな。ろくな物がありゃしねえ」ゴサッ、ゴトゴト、バリンッ

    商人「あ、ああああああああっ!!」ポロポロ



    少年B「これは酷いな……。想像以上だ……」

    少年B「重税に、厳し過ぎる法律。なのに、逆に役人は威張り散らして、権力をかさに着てやりたい放題だ……」

    少年B「こんなの、見過ごしておけるか! 俺がこの国を変えてやる!!」


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