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    元スレ勇者「仲間TUEEEEEEEEEEEEEE!!」

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    101 :

    勇者も数値で言ったら3桁くらいは普通にありそう

    102 :



    仲間はあと3人か。
    商人が一番ヤバそうだな。イロイロな意味で。

    103 :

    合流までにどれだけかかるんだ。

    104 :

    全員集まれば国作れるレベル

    105 :

    騎士A~Dを改心(物理)するかと思ったら本当に天使だった

    106 :

    なお防御力は盾役できるレベルな模様

    107 :

    殴りプリじゃないのが唯一の救い

    108 :

    メタルキングも真っ青な硬さだな

    109 :

    ぶ、物理攻撃が通らないだけで状態異常耐性や呪文耐性は大した事……ありそうだな

    110 :

    女神の加護受けまくりだからな、DQ3のゾーマの闇の衣レベルの耐性持ってるんじゃね?

    111 :

    戦士も僧侶もかなり防御力あるな…

    112 :

    ー 西の海、海上、海賊船 ー


    海賊A「二時の方角に所属不明の船を発見しやしたぁ!」

    海賊B「帆のドクロマークを確認! 海賊船だあっ! 獲物が出たぞおっ!!」

    海賊C「ははっ! ついてない奴等だぜ! 俺らに見つかっちまうとはなあっ!!」

    海賊D「野郎共ぉ! 敵船だぞぉ!! 戦闘準備だぁ!!」

    海賊E「いや……! おい……待て! あの海賊旗をよく見てみろ!!」

    海賊A「あれは……!!」

    海賊B「『凪』の海賊団っ!! まさか、とうとうこんなところにまで来やがったのかよっ!」

    海賊C「バカ野郎っ! ビビんな! 相手はガレオン船とはいえ、一隻だけだろうが! うちが何隻いると思ってやがる!」

    海賊D「そうともよ! 俺らの縄張りにまでノコノコ乗り込んで来やがったんだ! 海の藻屑にしてやれ!」

    海賊E「とにかく、船長に報告だ! 急ぐぞっ!!」ダダッ

    海賊C「おうっ!!」ダダッ

    113 = 112 :

    ー 一方、『凪』の海賊団 ー


    海賊A「船長! 見つけやした! 『不死身の銀髪鬼』の船団でさあ!」

    海賊B「数は、10、20、全部で34隻! 恐らく本船団だと思いますぜ!」

    海賊C「向こうもこちらに気付いたのか、大慌てでさあ! バタバタ走り回ってやす!」

    海賊D「船長! こちらはどうしやす! まさかいきなり本船団にかち合うなんて予想外っすけど!」


    船長「ふっ」

    船長「手間が省けて丁度いい。船団ごと潰してやるぞ!! 真っ直ぐ進め!!」

    副船長「マジですかい! だけど、このままじゃ多勢に無勢で、囲まれて船を沈められますぜ!!」

    船長「わかってる! だから、私が先に行く! お前らは祝勝会の用意でもしとけ!!」ググッ

    船長「」ダンッ!! (大ジャンプ!)


    ビューン……


    副船長「おおっと……行っちまったか、船長」

    海賊A「しっかし、相変わらずどういう脚力してるんですかね、我らが船長は……。あんな遠くの船まで一足飛びとか、あの人、人間じゃないっすよ……」

    海賊B「常識が通用しない人だからなあ……。うちの船長は」

    114 = 112 :

    ー 『不死身の銀髪鬼』船団 ー


    船長「はっ!」ダンッ!! (着地!)


    グラッ……! グラッ……! (衝撃で船が激しく揺れる)


    『船内』

    海賊A「何だ!? おい!?」

    海賊B「一体、どうした!? 何が起きた!? 高波か!?」


    『甲板』

    海賊C「な!? おい、何だ、お前は!? 今、急に空から降って……!!」

    海賊D「ちょっと待て! こいつのこの長い髪にあの青い腕輪は!!」

    海賊E「まさか、『神速の隼』!? 乗っていたのかよ、あの船に!!」


    船長「ふっ、こんな海域にまで通り名が広まってるとはね。私もそれなりに有名になったもんだ」

    船長「じゃあ、あんたたちには悪いけど、早速始めようか」トントン (片足踏み)

    船長「あんたたちにとっての、終わりの始まりをね!」ダダッ

    115 = 112 :

    ー 『不死身の銀髪鬼』船団、司令船 ー


    海賊F「船長! 一大事です!」ガチャッ!!

    銀髪鬼「何だ? 騒々しいな」

    海賊F「敵から攻撃を受けてます! そのせいで、さっきから次々と船が沈んでいってます!」


    銀髪鬼「船がだと!? どういう事だぁっ! 強力な魔法弾でも撃たれてるってのか!?」

    海賊F「いえ、それが……!!」

    海賊F「素手です!! たった一人の敵にやられてるんです!! 相手は、あの『神速の隼』です!!」

    銀髪鬼「何だとっ! まさか、さっきの報告にあった船にやつが乗ってたってのか!」

    海賊F「はい! もう十隻近く沈められました! 副船長の乗っていた船まで!!」

    銀髪鬼「畜生っ! わかった、すぐ行く!!」


    ドウンッ!!

    グラッ……グラッ!!


    銀髪鬼「おい、どうした!?」


    海賊G「船長!!」ガチャッ

    海賊G「船の横っ腹にドデカイ穴を開けられました!! この船ももう持ちません!! すぐに避難を!!」

    銀髪鬼「っ!! 馬鹿な!! 鋼鉄で造られたこの船までだと!! 有り得ねえだろ!!」

    116 = 112 :

    ー 甲板 ー


    銀髪鬼「」ダダダッ、ガチャッ!!

    銀髪鬼「なっ!?」


    ゴボゴボ、プカプカ…… (一面に広がる、船の残骸)


    海賊F「何だよ……これ! 嘘だろ!!」

    海賊G「一隻だけ残して、他は全部……沈められてる……」

    海賊F「五分も経たない内に、33隻の大船団が……」

    海賊G「壊滅……させ……られた」ガクッ


    銀髪鬼「ぬおあああああああっ!!!」(咆哮)

    117 = 112 :

    ー 本船の隣の船 ー


    船長「おや、遅かったじゃないか。おかげで生憎、この通りだ。見通しが良くて、ずいぶんとさっぱりした景色になっただろ?」


    銀髪鬼「……貴様の仕業か、これは……!!」

    海賊G「そうです……! こいつ一人に、船団が……!! 仲間が全員……!!」

    海賊F「こいつが『神速の隼』です!! 間違いありません!!」


    船長「ああ、そうだね。敵からは憎悪の対象として、味方からは敬意を込めて、私はそう呼ばれてるとも」

    船長「きっと、あんたもそうなんだろ? 『不死身の銀髪鬼』。こっちの海にも名前は届いてる。全身、傷のない箇所はないってほどの、勇猛な男だってね」

    銀髪鬼「今は違うがな……! 俺は今、貴様に傷をつける為だけの鬼と化している!!」ゴゴゴゴゴ

    船長「ふふっ。やれるものなら、やってみるといい。こっちの船まで来なよ。相手してやるよ」クイッ (手招き)

    銀髪鬼「黙ってろっ!! 今、そっちに行って、その生意気な舌を切り取って魚の餌にしてやるっ!!」ダダッ、ダンッ!! (ジャンプして飛び移る)

    海賊F「俺達は避難するぞ! 船長の技の巻き添えを食っちまう!」ドボンッ

    海賊G「おうっ!!」ドボンッ


    ゴゴゴゴゴ……


    船長「へえ、威勢だけはいいようだね。せいぜい、楽しく踊ってくれよ。こっちは近頃、物足りなくて退屈気味なんでね」

    銀髪鬼「数分後、同じ台詞を言えるといいな、生意気なメス犬がっ!!」ジャキッ (抜刀)

    118 :

    海賊F「船長、頼みます! 仇を取って下さい!!」

    海賊G「そのアバズレを、出来る限り惨たらしく殺してやって下せえ!!」

    【海賊F】   【海賊G】
    『体力 :31 『体力 :35
     攻撃力:17  攻撃力:13
     防御力:10  防御力: 8
     魔力 : 2   魔力: 6
     素早さ: 8』 素早さ:11


    銀髪鬼「わかってる……!! だいいち、そうしなきゃ到底俺の気がおさまらねえからな!!」ズサッ (構えを取る)

    【海賊団の船長】
    『体力 :217
     攻撃力: 51
     防御力: 89
     魔力 :  3
     素早さ: 31』


    船長「グダグタ言わずにかかってきな。こっちはもう火がついてるんだからね」トントン (片足踏み)

    【天才格闘家】
    『体力 :7703
     攻撃力:9999
     防御力:4056
     魔力 :  12
     素早さ:9999』



    銀髪鬼「なぶり殺してやるっ!! 覚悟しなっ!!」ダダッ (大剣を持って斬りかかる)

    船長「来なよ!」サッ (構える)

    119 = 118 :


    その銀髪の男は、十二才で海賊になった。

    激しい気性が災いして、親から勘当同然に家を叩き出された。当てもなく町をさ迷っているところを海賊に拾われ、そのまま海へと出た。

    その男は海賊見習いの頃から、常に最前線で戦い続けた。

    臆病という言葉を知らない男だった。どれだけ斬られ、どれだけ攻撃魔法を受けても、一歩も退かず常に戦いの只中に居続けた。

    戦った回数は万をゆうに超え、その間についた傷は千を超す。死の淵を覗き見た回数は両手の指ではまるで足りない。

    その苛烈で命知らずな戦いぶりは、勇猛ではなくただの馬鹿だと何度言われた事か。しかし、五年も経った頃には、別の名で呼ばれる事となっていた。

    『不死身の銀髪鬼』

    その男は、どんなに危険な場面であろうと必ず生還し、どんなに致命傷を受けても必ず生き残ってきた。

    仲間は囁く。この男は死を知らない。

    負けた敵は地団駄を踏みながらわめき散らす。あいつは馬鹿だから、そこらの酒場に『死ぬ』って事を忘れて置いてきちまったんだよ。

    本人は満足そうに豪語する。俺は一度死神に会った事があるんだが、そいつからお前は二度と来るなって追い出されてな。以来、会った事がねえんだよ。

    そんな彼はやがてクーデターを起こす。船長を殺して船を乗っとり、自分が船長となって新しい海賊団を結成した。

    その海賊団は、十六年の歳月をかけて、西の海の覇者と言われるほど巨大なものに成長していった。そして今……。



    船長「せいっ!!」ドゴゴゴゴオオオオオオンンンンンンンンンッッ!!!

    銀髪鬼「ごふぎああぐぼおおおおぐええあががぎぐぼぼぼおおごおおおおおおおおおおっっっ!!!」ズガゴラバキガッシャーン!!!

    9910ダメージ!!
    体力:217→0


    海賊F・G「船長ぉぉぉぉぉぉぉ!!!」



    一撃で壊滅した。

    120 = 112 :

    ー 戦闘終了後 ー


    副船長「ったく。船長、勘弁して下せえ。船ごと沈められたら、お宝がパーじゃないっすか」

    海賊A「そうっすよ! 食料や水や酒だってあっただろうに!」


    船長「うるさい。宝なら海中から引き上げろ。酒や水なら樽がそこらに浮かんでるから回収しとけ」


    海賊B「それが面倒だから言ってるんすよ! 大体、残した一隻も生き残った奴等に渡しちまって!」

    海賊C「船も貴重な宝だってのに、全部沈めるから! もったいない!」


    船長「黙れ。ともかく、これで西の海域は八割方制覇したも同様だ。まずはそれを祝え」


    海賊D「つうか、俺ら何もしてないんで」

    海賊E「祝えも何もって感じなんすけど」


    船長「くどい。それより、ぶんどり物はここに集めておけよ。後できちんと山分けだからな」

    海賊A「うっす!」

    海賊B「ああ、そうだ、船長。これをどうぞ。さっきの船に新聞があったんで」スッ

    船長「ああ、ご苦労。気が利くな」

    121 = 118 :

    船長「どれどれ……。最後に陸に立ち寄ってからずいぶん経つからな。例の、東の国の革命記事が載ってりゃいいが……」パサッ


    『北の国軍、魔王軍に全面勝利。立役者は東の国の援軍、名剣士!』


    船長「ふうん……。東の国軍は、革命後、初の軍事行動となるが、見事にこれを成功させ……。へえ……」

    船長「つまり、もう革命は成就してたってのか。私らも裏から支援したかいがあったな」

    副船長「ですね。資金や武器を結構回しやしたっけ」

    船長「ああ、投資が実ったぞ。これで東の国の海域を大手をふって航海出来るからな。本格的に海上貿易が出来るってもんだ」

    副船長「にしても、これじゃあもう、どっちが本業かわからなくなってきやしたね。今じゃ貿易業の方が儲かってるってんだから」

    船長「元は密輸のカモフラージュだったんだがな。何がどう転ぶかわからないもんだ」

    副船長「まったくで。つっても、狩る海賊がいなくなっちまったからしょうがないんですがね。商船は襲わないってのがウチのポリシーですし」

    船長「で、出会った海賊は、全部、潰すか傘下におさめてやったからな。気がつきゃ国もビビるぐらいの最強の海賊集団になってた。痛快なもんだ」

    副船長「『凪』の海賊一味ってのも、こっちから名乗った訳じゃあないんすけどね。海に敵なし、風一つなし、って事で、いつのまにかそう呼ばれる様になりやしたし」

    船長「まあな。とはいえ、未だに魔物にはちょくちょく襲われてるから、完全に敵なしとは言えないが」パラッ

    副船長「魔物は厄介すからね。潜って船底から攻撃されると、こっちも海に飛び込んで戦」

    船長「なっ!?」

    副船長「」ビクッ!!

    122 = 118 :

    副船長「ど、どうしやした、船長? 急に大きな声だして……」

    船長「まずい……。相当前の事だったから、すっかり忘れていた……」ワナワナ

    副船長「?」

    副船長「……何か気になる事件でもあったんですかい?」ヒョイ (覗き見る)


    『南の国から勇者(自称)が旅立つ。盛大な式典の裏には教会との軋轢が?』


    副船長「勇者? へえ、神託があったんですかい。だけど、自称ってのは一体……。なになに、名前は『勇者』で、歳は……」


    船長「副船長っっ!!」

    副船長「」ビクッ!!

    副船長「ア、アイサー!」ビシッ


    船長「緊急の用事が出来た!! 私は今すぐアジトに戻るぞ!!」

    副船長「はひ!? 今すぐって、まだお宝をサルベージ中ですぜ、船長!?」

    船長「関係ない!! 先に向かうぞ!! お前らは後から来い!!」ダッ (ジャンプ)


    副船長「ちょっ、ちょっと船長!! 海に飛び込んでどうするんですかい!? まさか泳いで帰るってんじゃ……」ササッ (甲板から下を覗き見る)

    副船長「!?」

    副船長「水の上に……!! 立って……!?」


    船長「当然だ! 海の上ぐらい立てなくて、いっぱしの海賊が名乗れるか!!」チャプチャプ


    副船長「!!!???」

    123 = 118 :

    『軽気功』
    気功の一種。己の存在を自然と一体化する事により、気配どころか体重そのものを消す。
    完全に修得すれば、舞い落ちる枯れ葉の上にも乗れると言われる。
    会得の難しさから、史上、最高難易度の気功と呼ばれる。


    船長「後の指揮は、副船長、貴様に任せる!!」チャプチャプ

    船長「私なら、船で行くよりも、走った方がよっぽど早いからな!!」

    船長「任せたぞっ!!」ダダダダダダダダッ!! (ダッシュ)


    副船長「ちょ! 船長ぉぉぉぉ!!!」


    シーン……


    副船長「って、くそっ。もう姿が見えなくなっちまった……。本当に、どんな足をしてやがんだよ、あの人は……」

    副船長「それに、何で急にまたアジトに戻るだなんて……」

    副船長「一体、なんだってんだ……?」

    124 = 118 :

    ー 海上 ー


    船長「まずい! くそっ、私とした事が!!」ダダダダダダダダッ (ダッシュ)

    船長「何で今の今まですっかり忘れていたんだよ、こんな大事な事を!!」ダダダダダダダダッ

    船長「急いでアジトに戻らないと、絶対にまずい事になる!!」ダダダダダダダダッ

    船長「対応によっちゃ、この海賊団が崩壊するぞっ!! 急げっ!!」ダダダダダダダダッ


    船長「にしても、畜生っっ!! 何だって十五年も前にした約束を覚えてやがるんだっ!! バカ勇者がっっ!!!」ダダダダダダダダッ

    125 = 112 :

    ここまで

    127 :

    軽気功ってあれか、空渡り

    129 :

    それにしてもフリが長い

    130 :

    確かになー
    勇者のところだけやって、みんなと再会したら圧倒的な強さを見せつけられて…くらいのテンポの方が個人的には面白いとは思う
    まぁ書きたいのはそういうのじゃないのかもしれないし、そもそも金取ってるわけじゃないSSだから>>1の好きに書けばいいが

    131 :

    俺は好きだからこれでもよい。がんばってー!

    132 :

    勇者のステータスを見るのが怖い

    133 :

    ドラクエの世界観とステータスの中にFFのカンストキャラが混ざる恐怖

    134 :

    商人が気になり過ぎるよな

    135 :

    武闘家がカンスト値二つもってるからか
    ステカンストしてる気がしない>商人

    136 :


    スプリガンの朧かと思ったが他にも同じようなのがあるのか

    137 :



    今回で、攻撃翌力-防御力=ダメージってわかったな。

    こりゃ僧侶に殆どのダメージ0か1だろうな。

    138 :

    これ勇者のいた辺りだけドラクエで他の国がFFなんじゃね?勇者は999がカンストとか、商人……どうなるかね?

    139 :

    どんなオチがついても「前フリ長え!」しか感想つかなそう

    140 :

    教会を破門された女さんは、教会に戻らず勇者と合流しても良かったんじゃ?
    紅の天使が勇者につきつつ神託の正当を説けば、腐った教会の権威を貶めつつ、勇者一行に民のフォローは入ると思うし
    なにか教会に戻る理由があるのかな?

    141 :

    何かある感じに描いてあるやん

    142 :

    いや前フリが長いほどオチが際立つというのもある

    143 :

    タイトル落ちなんだから前フリも何も…
    話自体は面白いぞ

    144 :

    これだけ前ふり長いと別のオチの可能性があるな

    145 :

    おつ

    146 :

    乙でした
    是非とも完結して下さい

    147 :

    ー 最果ての地、魔王城 ー


    魔王「ふむ……。北西地区の被害がきつくなってきたな」

    魔軍師「はい。向こうに新たに黄金竜が二匹ほど、投入された事が原因です」

    魔王「それで、対応は考えてあるのか?」

    魔軍師「比較的優勢な東地区から、フェンリル狼を援軍として派遣します。下策ですが、今のところはそれ以外手の打ちようがないですね」

    魔王「……奴か。だが、大人しく命令に従うかどうか。気性の激しさは折り紙つきだぞ。激戦区に回されると聞いて黙ってるような奴ではない」

    魔軍師「ですが、フェンリル狼は欲望には忠実な魔物です。特に奴は魔結晶が好物ですし、出来の良いのを二十個ほど与えて懐柔すれば大人しく従うでしょう」

    魔王「それは構わんが、またか……。魔結晶一つ作るのに、どれだけの魔力と金を注ぎ込んでいると思っているのか……」


    『魔結晶の作り方』
    1、魔石に特別な魔法加工をし、魔力を吸収するマテリアルに変える。
    2、そのマテリアルに魔法をひたすら放ち続け、魔力をひたすら吸収させる。
    3、吸収出来る許容一杯になると、マテリアルは結晶化する。
    4、それを更に強力な炎魔法で1000時間近く炙り続けると、不純物が無くなり、純粋な魔力のみで構成された魔結晶に変わる。
    5、魔力が無くなった時に服用すると、吸収した分の魔力が回復する。ヤバイぐらい美味。宝石の様に美しい。物によっては、城が建てれるぐらいの高値で取引される。


    魔軍師「だからこそ、魔結晶には価値があるのですよ。ここは惜しむ様な場面ではありません、魔王様」

    魔王「ちっ……。わかった。良きに計らえ」

    魔軍師「はっ」

    148 = 147 :

    魔王「それで、他に耳に入れておかねばならぬ情報はあるか」

    魔軍師「これといって、特には……。ただ、些細な事ですが、一つ、気になる情報が入ってきてますね」

    魔王「何だ?」

    魔軍師「人間どもに、女神の神託を受けたと言われる勇者が現れたとか」

    魔王「勇者? それに女神だと? あの女は確か、かなり前に封印してやったはずだが……」

    魔軍師「はい。ですが、身動きを封じてあるだけですので、神託や祝福は与えられる様ですね」

    魔軍師「とは言っても最後の足掻きでしょう。加護を与えられたとは言え、所詮は人間ですから」

    魔軍師「魔王様の力から考えて、特に気にするほどのものではないと思いますが、一応ご報告はと。聖なる力というのは、それだけで厄介な代物ですから……」

    魔王「確かにな。そのせいで女神にはかなり手こずった。余の片腕だったルシファーが犠牲となってくれねば、封印すら出来なかったはずだ」

    魔軍師「他にも高名な悪魔や魔獣がかなり犠牲に……。あれは痛ましい戦争でしたね」

    魔王「だからこそ、散っていった者達の為にも、余は竜属を滅ぼし、この世界を統一せねばならん。何としてでも」

    魔軍師「はい。その決意をお忘れなきようお願いします」

    149 = 147 :

    魔軍師「それで、魔王様。勇者は如何致します? 放置しておいても構わないでしょうが、もし潰す気なら初めから潰しておいた方が良いかと」

    魔王「ふむ……。確かに気にはなる話ではあるな」


    魔王「良かろう。確かこの前、軍に入ったばかりの新兵がいたな。そいつらを使え。この機に、人間どもを根絶やしにしておく」

    魔軍師「新兵というと、あの五体ですか……。まだまだ訓練不足で兵士としては使い物にはなりませんが……まあ、人間を全滅させる程度なら問題ないでしょう」

    魔軍師「わかりました。後で手配しておきます」

    魔王「うむ。それと……」

    150 = 147 :

    魔王「例の試みはどうなっている?」

    魔軍師「異界への扉を開く件ですか……。一応、古文書の解読も終わり、その記述通りに魔方陣は完成させていますが……」

    魔軍師「ですが、魔王様自らが異界に乗り込むのはどうかと……」

    魔軍師「確かに、あの古文書が真実であれば、異界には下手な竜よりも遥かに強力な魔獣が数多くいるとの話です」

    魔軍師「戦力不足に陥ってる今、その魔獣達を倒して、従わせ、味方につけたいというそのお気持ちもわかります」

    魔軍師「ですが、魔王様本人が向かうというのは問題があります。万が一の事があったらどうするというのですか」

    魔王「だが、その魔方陣で異界へと移動出来るのは二人だけだというではないか。そして、そいつらが桁外れに強いと言うのなら余が向かわねばならぬ。他の者では返り討ちに遇うだけだろうからな」

    魔軍師「それはそうかもしれませんが……。しかし……」


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