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    元スレ勇者「仲間TUEEEEEEEEEEEEEE!!」

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    201 = 188 :

    大富豪「魔力を貯める事の出来るマテライト。あれは本当に素晴らしいものだったわ」パカラッ、パカラッ

    大富豪「それを魔結晶にする前にちょっといじって、鉄と一緒に錬成してやれば、魔力を伝達する『魔導鉄』に変わる事がわかったんだから」パカラッ、パカラッ


    『魔導鉄』
    魔力を伝達する特性を持つ金属。なお、命名者は開発した女大富豪。ある程度、鉄の特性も維持しているが、ほとんど別物。


    大富豪「それで、マテリアルと魔導鉄を使って造ったのがその魔法銃。だけど、銃以外にもありとあらゆる使い道があるもの」パカラッ、パカラッ

    大富豪「これまでの実験で、魔力のエネルギー変換や伝達理論もだいぶわかってきたしね。特定の用途ごとに魔導鉄で魔力伝達回路を作って、マテリアルに貯めた魔力で動かしてやれば、きっとどんなものでも作れる」パカラッ、パカラッ

    大富豪「軍事に商業、その応用はいくらでもきくわ」パカラッ、パカラッ

    大富豪「その内、スイッチ一つで町が昼間の様に輝いたり、遠くの景色を別の場所から見れる様になったり、馬よりも速く走れる乗り物が走り回る時代がきっと来る」パカラッ、パカラッ

    大富豪「マテリアルと魔導鉄が世界を変える日が必ずやって来るのよ。いいえ、私が必ずそう変えてみせるわ!」パカラッ、パカラッ

    大富豪「まだまだ先は長いのよ。なのに、人生は短すぎるから。私は今の内に、もっともっともっと、沢山の夢を見ないと!」パカラッ、パカラッ

    秘書「はい。私も陰ながらその夢、応援させて頂きます」パカラッ、パカラッ

    大富豪「ええ! 頼りにしてるわよ、秘書!」パカラッ、パカラッ

    【世界一の大富豪(流通王・商業王・資産王・発明王)】
    『体力 :5439
     攻撃力:2510
     防御力:2644
     魔力 :1073
     素早さ:2276』

    『所持金:金貨9999万枚 (約50兆円)
     総資産:金貨   8億枚』(約400兆円)



    大富豪「さあ、急ぎましょう! 皆との十五年前の約束を果たす為に、例の場所へとね!」パカラッ、パカラッ

    秘書「はい。御供します!」パカラッ、パカラッ

    202 = 188 :

    ここまで

    203 :



    やっぱり商人も強いな。

    もしディスガイア空間なら時空間に穴開けれる技も確かにあるな。

    204 = 193 :

    金貨1枚1gと考えても約100トンの所持金……そりゃ商人でも高ステータスになるわな

    205 = 177 :

    商人かと思ったらそっちか

    206 = 186 :

    乙です。
    さて俄然勇者のステータスとどう展開するのかが気になってきたぞ……てか秘書はさすがに常識的な能力なんだな……つまり生活環境や出会った魔物の強さではなく純粋な仲間本人達の才能なのか。

    207 :

    むしろ勇者が、仲間達のステータスを更に上げる添加剤みたいなものになるんじゃないだろうか?
    完全サポート特化みたいなもので、一緒にいる事で初めてレベルが2以上に上がるとか。
    パーティ参加しないと経験値入んないし

    208 :

    勇者「仲間TUEEEEE!」
    勇者「でも俺も負けないくらいTUEEEEE!」

    って可能性も微レ存

    209 :

    乙乙
    最近の楽しみになってる

    210 :

    勇者「魔王の仲間TUEEEEE!」
    かもしれない乙

    211 = 177 :

    魔王の手下も仲間にするんじゃないか…?

    212 :

    今日もこうして雑談という名のネタ潰しが行われる

    213 :

    それもこれも前置きが長すぎるのと乾巧って奴のせいなんだ

    214 :

    こんな雑談がネタ潰しになると本気で思ってるなら作者ってもんをナメてる

    215 :

    と、ネタ潰しを擁護するのでした

    216 :

    むしろ出ちゃったとしても潰されたと思って日和ったり無理に方向転換しようとする方が問題

    217 :

    ネタ潰し・ネタ予想・ネタ被りされたくないなら、一気に終わりまで投下するしかないやろ

    218 = 215 :

    と、ネタ潰しを擁護するのであった
    ネタ潰し雑談をやめようと言う気はさらさらない模様

    219 :

    それを作者の心の声だと思っておく

    220 :

    ネタ潰し云々の前に雑談は専用スレでやれよと思う
    俺もこれで黙るわ

    221 :

    ー 南の国、鉄鉱の町付近 ー


    勇者「もう陽が落ちてきたな」パカラッ、パカラッ

    勇者「相棒、もうすぐ町だぞ。今日はちょっと早いがそこで休もうな」パカラッ、パカラッ

    「」ヒヒーン


    勇者「だけど、その前にもう一踏ん張りだ。周辺の魔物を片付けないと、門を開けてもらえないからな」チャキッ

    勇者「さあ、向こうの魔物の群れに突っ込むぞ! 回避は頼んだからな!」

    「」パカラッ、パカラッ、パカラッ!!



    勇者「せやっ!」ズバッ!! (剣攻撃)

    スライムA「ピギーッ!!」
    体力:4→0


    勇者「はっ!」ザシュッ!!

    一角ウサギ「ピギャー!!」
    体力:8→0


    勇者「それっ!」ドシュッ!!

    人喰いネズミ「ギャァゥ!!」
    体力:11→0



    スライムB「ビェ!! ビッピーッ!!」スタコラサッサー

    巨大トカゲA「ジュイーッ!!」スタコラサッサー

    巨大トカゲB「ジュニィィー!!」スタコラサッサー


    『残りの魔物たちは逃げ出した!』



    勇者「うしっ! どうどう。もういいぞ」グイッ

    「」ヒヒーン

    【伝説の勇者】
    『体力 :197
     攻撃力:112
     防御力:106
     魔力 : 73
     素早さ: 85』

    【名馬】
    『体力 :109
     攻撃力: 16
     防御力:  8
     魔力 :  0
     素早さ: 24』

    222 = 221 :

    勇者「」スタッ (馬から降りる)

    一角ウサギ「」(死体)

    勇者「うん、大丈夫だ、角には傷がついてない。一角ウサギは角が売れるから、これは根本部分から剣で削って……」ゴリゴリ

    勇者「おし」パキッ

    勇者「いい感じに綺麗に取れた。これは布で包んで、それで革の袋に入れると」ゴソッ

    勇者「王様からたっぷり軍資金を貰ったとはいえ、少しでも資金の足しにしていかないとな。これから何があるかわからないし、大切に使いたい」


    『一角ウサギの角の相場』
    長さにもよるが、およそ銅貨2枚ほど。


    勇者「ここに来るまでに、一角ウサギの角が6本、電撃ヒツジの羊毛が1袋分、一つ目狼の牙が4つ。あと、レアな七色トラの爪と牙も手に入った」ズシッ

    勇者「これだけあれば、銅貨70枚(約一万七千円)ぐらいにはなるはずだ。今日は大収穫だったな」


    『勇者の所持金』
    金貨20枚、銀貨3枚、銅貨63枚(約1000万円)


    勇者「今夜は酒場で少し奮発したお酒でも頼もうな。相棒にも何か買ってやるぞ」ナデナデ

    「」ヒヒーン


    勇者「さて、それじゃ行こうか。門を開けてもらって、この荷物を売り払わないと」カッポ、カッポ

    223 = 221 :

    ー 開門後、すぐ横の検問所 ー


    兵士A「すみません、通行手形を改めますので、宜しくお願いします」

    勇者「ああ、これを」スッ

    兵士A「おお、この鷹の紋章は! 確かにこれは国王様直々の認可証!」

    兵士B「やはり、あなたが勇者様なのですね! お話は伺ってます! 遠路、お疲れ様です!」ビシッ (敬礼)

    勇者「ああ、ありがとう」

    兵士A「王様からも、旅の便宜をはかるようにとの仰せが届いております。後で町長にも連絡を入れときますので、何かお困りの時には、いつでも私どもにお声をかけて下さい。出来る限りの事はさせてもらいます」ペコッ

    勇者「それは有り難い。なら早速。安くて良い宿と、酒場を知っていたら教えて欲しいんだが」

    兵士A「ああ、それでしたら、町の中央付近にある『満月亭』がお勧めです。すぐ向かいに酒場がありますし、そちらもお勧めですよ。どちらも旅の者に人気があるところです」

    勇者「そうか、なら今日はそちらに泊まる事にするよ。ありがとう」

    兵士B「しかし、やはり流石ですな、勇者様は」

    勇者「?」

    兵士B「その格好ですよ。服や鎧に返り血や泥がほとんどついていないものですから」

    勇者「ああ……なるほどね。と言っても、そう大した魔物に遭遇してないだけなんだが」

    兵士A「いえいえ、御謙遜を。服の綺麗さは強さを表すパラメータの様なものです。これまで何人もの賞金稼ぎや旅の者を見てきましたが、勇者様ぐらいお綺麗なのも珍しいですよ」

    勇者「それはどうも。じゃあ、悪いけど俺はこれでもう行くから。明日にはまた旅立つつもりだから、その時にまた」

    兵士A「はっ!」ビシッ (敬礼)
    兵士B「はっ!」ビシッ (敬礼)

    224 = 221 :

    ー 町中、道具屋 ー


    チリンチリーン

    商人「へい、らっしゃい! 買い物ですかい、旦那!」

    勇者「いや、売りに来たんだよ。品を見てくれるかな」

    商人「毎度! どれですかい!」

    勇者「これを。袋の中、全部だ」ズシッ

    商人「おお、結構ありますね。どれどれ」サッ、パッ、ゴソゴソ

    商人「ふうん……。全部、魔物の素材ですか……。お客さん、その格好からして騎士様とか?」

    勇者「ちょっと前まではね」

    商人「一応、身分証いいですか? この国は、騎士様が魔物の素材を売りに出す事が禁止されてるんで。国で管理してまとめて売る事になってるんで、密売になっちまいますからね」

    勇者「知ってるよ、大丈夫。小金稼ぎとかじゃないから安心してくれ。これは身分証」スッ

    商人「あ、はい。どうも」ソッ

    商人「!?」

    商人「ゆ、勇者様でしたか! これはとんだ御無礼を!!」ペコペコ

    勇者「いや、大丈夫。やめてくれ。そういうの苦手なんだ」

    商人「いえいえ、ホント申し訳ない! お詫びにこちらの品、通常の倍額で買い取りさせて頂きますんで!!」

    勇者「それこそ、まずいよ。頼むから普通の価格にしてくれ。勇者が不正を働いたって噂が立ってしまう」

    商人「そ、そうですね! ホント失礼しました! えーと、なら、何かオマケつけますんで!」

    勇者「それもいいよ。本当に普通の客として扱ってくれればそれでいいから」

    商人「いえ、ですが! 勇者様にそんな失礼な事をする訳には!」


    勇者「参るな……。こういうのは逆に困るんだが……」

    225 = 221 :

    勇者「それなら……代わりに何か情報をもらえないかな? 何でもいいんで。最近の噂だとか、この町の事とか……」

    商人「あ、そうですか。えっと、なら、あー……うーん……」

    勇者「なければないでいいよ。そこまで無理して考えなくても」

    商人「いえいえ! あ、そういや!」

    勇者「うん」

    商人「ここ最近、魔結晶の値段が高騰してるって御存知ですか?」

    勇者「いや……初耳だな。魔結晶自体、高価な代物だから、そう買う機会もないし」

    商人「まあ、ピンキリとはいえ、安いもんでも銀貨五枚ぐらいはしますからね。ところが今は金貨一枚出しても買えないんですよ」

    勇者「……それは。相当なもんだね。二倍以上になってるのか。魔結晶は貴重な魔力回復アイテムだから、この先買う事もあるだろうに……」

    商人「ですよね。うちでもたまに買われるお客さんいるんで。だけど、仕入れにそれだけの金額を使う訳にはいかないんでさあ。なんで、魔結晶は、入荷させず品切れにしてるんですよ。実際、今は相当手に入りにくいですし。他の店に行ってもまず品切れのはずですから」

    勇者「となると、安くなるまで魔結晶は手に入らないって事か……」

    商人「で、ここからが本題なんですが……。勇者様、すみませんが、誰かに聞かれないようもう少し近くにお願いします」

    勇者「……ヤバめの話か。わかった」スッ

    228 :

    商人より弱いじゃねぇか……

    229 = 221 :

    商人「これは、言いふらさないで欲しい事なんですが……」ヒソヒソ

    勇者「ああ」ヒソヒソ


    商人「七つ星商会はご存知ですよね、勇者様」ヒソヒソ

    勇者「流石に知ってるよ。王家御用達の大商会だからね。この前、ついに全世界に支店を出したって話も聞いてるし。俺もこの通り、魔法銃は持ってる」ガチャッ

    商人「……流石に勇者様となると銃まで高級品ですね。かなりの代物じゃないんですか、それ?」ヒソヒソ

    勇者「まあ、自前で買ったから結構な額はしたね。それで、その七つ星商会がどうかしたのかい?」ヒソヒソ

    商人「何でもね、そこの商会が最近、魔結晶を密かに買い占めしてるらしいんでさあ。おかげで、値段が高騰してるって噂で」ヒソヒソ

    勇者「魔結晶を……? どうしてまた?」ヒソヒソ

    商人「それは何とも……。だけど、その買い占めてるって噂の七つ星商会も魔結晶は品切れになってるんです。つまり……」ヒソヒソ

    勇者「七つ星商会が、故意に値段をつり上げてるって事か?」ヒソヒソ

    商人「多分ですけどね。だから、商人仲間の間じゃ、近々、相当デカイ戦争でもあるんじゃないかってもっぱらの噂です。魔結晶を大量に購入するのって大体国とかですからね」ヒソヒソ

    勇者「戦争……? 要はどこかで大規模な戦争が起きるかもしれないってネタを七つ星商会が掴んでるって事だよな、それ」ヒソヒソ

    商人「ええ。戦争が起きりゃ、魔法使い達の魔力回復の為に魔結晶は必ず必要になりますからね。だから足元見て、各国に高額で売り付けようって考えてるんじゃないかってそういう噂なんですよ」ヒソヒソ

    勇者「……なるほどね」ヒソヒソ

    232 = 221 :

    商人「あそこはこれまでそんなやり口した事はなかったんですけどねえ……。ただまあ、必要品の買い占めとかはどこもやる手口ですから」ヒソヒソ

    商人「で、そんな噂が密かに広まってるんで、今は武器や防具とかも値段が上がってるんですよ」ヒソヒソ

    勇者「そうか……。あまり良くない話だな。戦争も武器の値上がりも……」ヒソヒソ

    商人「で、その当の七つ星商会はと言えば、値上げした武器屋や防具屋を嘲笑うかの様に、勇者様旅立ち記念って事でバーゲンをやり始めまして。おかげで値上げしたやつらは客を七つ星商会に全部取られちまったらしいですがね」ヒソヒソ

    勇者「……というか、そんなバーゲンやってたのか」ヒソヒソ

    商人「はい。まあ、あの七つ星商会ってのは、昔から機会を見るのが上手いっていうか、タイミング外さない商会なんでね。こっちからしたら、商売上がったりでたまったもんじゃないんですが……」ヒソヒソ

    商人「ただ、今回の件についてはちょっとあこぎなんで、うちら商人の組合連中からはかなりの反感を買ってますよ。出る杭は打たれるのが当然の世界ですから。元よりあの商会は仲間内から閉め出し食らってますし」ヒソヒソ

    勇者(……というより、今の勢力図を考えると、閉め出しを食らってるのは逆に彼らの様な気もするがな)

    233 = 221 :

    商人「まあ、噂とかはこんなとこです。お役に立てましたかね」

    勇者「ああ。貴重な情報をありがとう。きっと、今後の役に立ってくれると思う」

    商人「それは良かった。何かしら勇者様のお役に立てたなら嬉しいもんで。ええと、それで買い取りでしたよね。すぐに値段つけますんで、少々お待ち下さい」

    勇者「ああ、頼む。色とかは本当につけなくていいから」

    商人「普通、逆なんですがね。しかし、わかりやした。いつも通りの価格でやらせてもらいますね」

    勇者「よろしく」



    チャリン
    『+銅貨62枚!』



    勇者「ああ、そうだ。あと、小さな金槌ってあるかい? テント用の布を持ってきたはいいけど、建てる為の金槌を忘れてきてしまったのに後から気付いてさ」

    商人「もちろん、ありますよ。ちょいとお待ちを」ゴソゴソ



    ジャラッ
    『-銅貨3枚』

    234 = 221 :

    ー 宿屋、満月亭 ー


    チリンチリーン

    商人A「いらっしゃいませー」


    勇者「やあ。一名で一泊。部屋は普通で、夕食なしの朝食ありでお願いしたいんだけど」

    商人A「あ、はい。かしこまりました。それでしたら、銅貨10枚頂きます」

    勇者「へえ、本当に安いな。それじゃあこれを」ジャラッ

    商人A「はい、確かに。ところで……」

    勇者「?」

    商人A「その格好……。もしかして、勇者様では……?」

    勇者「……ああ、いや。普通の旅人だけど」

    商人A「ですけど、先程、兵士さんに聞いた通りの服装ですし……」

    勇者(……先回りして、宿屋の方に連絡をしたのか。親切なんだろうけど、さっきの事もあるし、出来ればやめて欲しかった)

    商人A「それに何より、雰囲気が違います。強そうなオーラって言うか、そういう特別な感じの雰囲気がビシバシ出てますし……」

    勇者(どんなのなんだろうか……)

    商人A「やっぱり、勇者様なのでは? もしも違ったら申し訳ないですけど……。町長も後から御挨拶に伺うって聞いてるので、私も見落とす訳にはいかなくて……。怒られてしまいますから。……すみません」

    勇者「……わかった。降参だ。確かに、女神様から神託を受けてる」

    商人A「ああ、やっぱり! 店長ー! 勇者様が御来店されましたー!!」

    勇者「いや、そんな大声で……」


    ドタドタドタ!!


    主人「これはこれは! ようこそいらっしゃいました、勇者様!!」

    商人B「ようこそいらっしゃいました! 勇者様!」
    商人C「ようこそいらっしゃいました! 勇者様!」
    商人D「ようこそいらっしゃいました! 勇者様!」
    商人E「ようこそいらっしゃいました! 勇者様!」
    料理人F「ようこそいらっしゃいました! 勇者様!」



    勇者「またか……。しかも総出で……」

    235 = 221 :

    主人「ささ、大したおもてなしも出来ませんが、どうぞどうぞ。一番上等な部屋を用意しておきましたので」

    勇者「いや、普通の部屋で構わないんだが……。それに、支払いも普通の部屋分しか」

    主人「いえいえ、お気になさらず。代金はそれだけで結構です。なにせ、世界を救う勇者様ですから、それぐらいのサービスは致します」

    勇者「出来ればこういうのはやめて欲しいんだが。俺は王族や貴族という訳でもなく、ただの平民なんだから」

    主人「はっはっは。勇者様がただの平民でしたら、私どもは奴隷になってしまいますとも。ご冗談を」

    勇者「いや、そういう話じゃなく」

    主人「本当にお気になさらず。大した事ではありませんので。だいいち、勇者様を普通の部屋にお泊めしたなんて言ったら、私どもが恥をかいてしまいます」

    主人「ですので、ささ。私どもを助けると思って、どうぞこちらに」


    主人「おい、勇者様のお荷物は丁重に運べよ!」

    主人「あと、こちらへは馬で来られたらしいからな! 多分、表にいるはずだ! そちらも丁重に馬小屋に連れてけよ!」


    主人「ささ。勇者様。どうぞ」

    勇者「……参った。迂闊に名乗るものじゃないな……」ハァ

    236 = 221 :

    ー 夜、宿屋『満月亭』 ー


    勇者「しかし、参ったな。結局、一番豪華な部屋に通されてしまったし……」

    勇者「服の洗濯や相棒の世話もチップなしでやってくれるんだからな……」

    勇者「これ以上、タダで世話になるのも悪い。もう寝るだけだから、酒を飲みに酒場まで行くか」

    コンコン

    勇者「っと、その前に誰か来たか。まあ、そろそろ来る頃だろうとは思ってたけど……」

    勇者「はい。どちら様ですか?」スタスタ

    「こんばんは。私、この町のまとめ役をしております、町長と申します。勇者様がこちらにご宿泊なさってると聞きまして、ご挨拶に伺いました」

    勇者「そうですか。ありがとうございます。(殺気は感じられないな……。音からして一人だけだし、問題ない)」

    勇者「今、開けます。どうぞ」

    ガチャッ

    町長「どうも、初めまして。町長でございます、勇者様」ペコリ

    勇者「ご丁寧な挨拶痛み入ります。勇者です」

    237 = 221 :

    町長「しかし、こうして勇者様とお逢い出来て光栄ですよ。これからの自慢話に出来ます」ニコリ

    勇者「そんな自慢出来る程の者ではないですよ。それより、今晩はこの町にお世話になります。宜しくお願いします」

    町長「いえいえ。しかし、流石は勇者様ですな。噂通り、誠に御立派で勇敢そうな方で」

    勇者「ありがとうございます」

    町長「聞いた話によると、元は騎士隊長様だったとか。さぞかし剣や魔法も優れていらっしゃるんでしょう。その凛々しいお姿がまた心強い」

    勇者「ありがとうございます。ですが、まだ修行中の身ですので、日々精進している途中です」

    町長「左様ですか。となると、やはり毎日稽古や訓練などを」

    勇者「旅立つ前はそうでしたね。今は実戦に身を置いていますので、休息を取る方を大事にしてますが」

    町長「ああ、なるほど。そうですね、疲れていては出せる実力も出せなくなりますからな」

    勇者「というより、旅自体が緊張と警戒の連続ですからね。気を緩める時は緩めないと、体が持ちません」

    町長「……左様ですか。そこら辺はやはり勇者様も人の子なのですな」

    勇者「元から人の子ですよ。女神様から加護を頂いてるだけで、それ以外は他の方と変わりません」

    町長「そうなのですか……?」

    238 :

    この程度のステータスでやれやれ系なのがじわる

    239 = 221 :

    町長「しかし、その加護というのは、やはり凄いものなのでは? 例えば、魔物から攻撃を受けてもまるで効かないとか……」

    勇者「流石にそれはないと思います。実感的にはほとんど前と変わりませんね。もっとも、まだ魔物から攻撃を受けた事がないので、実際のところどうなのかはわかりませんが……」

    町長「それはそれでまた……凄い。やはりお強いのですな、勇者様は」

    勇者「いえ、馬で街道を走っているので、そんなに魔物とは出くわさないだけです。それに、ここら辺に強い魔物は少ないですから」

    町長「いえ、私どもからしたら、よく見るスライムや一角ウサギでさえ、十分、脅威ですとも。やはり勇者様はお強いのでしょう」

    勇者「そうだといいんですが……。しかし、上には上がいると言いますから。慢心して油断する様な真似はしたくないですし」

    町長「いやはや、心掛けもやはり御立派で。流石は勇者様です」

    勇者「ありがとうございます。……ただ、それよりも」

    町長「はい?」

    勇者「何か私に言いにくいお話でもあるのでしょうか?」

    町長「あ、う……。わかるのですか……?」

    勇者「ええ。先程から、無理に話題を繋げようとしてる感じでしたし、何より誉め言葉があれだけ続けばこちらも自然と構えます。後に、何かあるんじゃないかと」

    勇者「王都で騎士隊長をしていた頃、よくこういう事がありましたので。大体は、公に言えない様な下世話な頼み事でしたが」

    町長「申し訳ありません……。お察しの通り、誠に恥ずかしながら、勇者様にお願いがあるのです……。ただ、決して私利私欲だけではありませんので、どうかお話だけでも聞いて頂けませんか……」

    勇者「一応、話だけは聞きます。断るかもしれませんが」

    240 = 228 :

    上には上がいる……まぁ、確かにな

    241 = 221 :

    勇者「それで、一体、どの様な事でしょうか?」

    町長「実は……最近新しい採掘場を発見しまして」

    勇者「採掘場ですか。そういえば、この町はそれで成り立っているような町でしたね」

    町長「御存知ならお話が早い。その通りなんです。ここら辺は良質な鉄が採れますので、それで発展した町なんです」

    町長「それで、今、掘っている採掘場があるのですが、そこはかなり深くまで掘り進めていて、段々と採れる鉄の量が減ってきているんです」

    町長「そこで、新しく別の場所をずっと探してまして、つい半年ぐらい前にようやく見つけました。掘り進む為の足場やトロッコなども作り、今、ある程度形になってきたところなんです」

    町長「ところが、ここ最近、その採掘場の近くに魔物が頻繁に現れる様になりまして」

    町長「そこまで強い魔物という訳ではないので、幸いな事にまだ軽い怪我人しか出ていません。ですが、何度も何度も現れるのでこれでは採掘は到底出来ません」

    町長「元騎士隊長様ならおわかりだと思いますが、国が守ってくれるのは町だけなんです。外の採掘場までは兵士を回してくれません。なので、採掘場は私どもの力だけで守らねばならない」

    町長「ですから、採掘場にはそれ専用の護衛を雇って配備してますが、魔物があれだけ多く現れてはその護衛の数がとても足りません」

    町長「結局、その新しい採掘場で掘るのは諦めざるを得ず、今は封印しています。しかし、これまで莫大な金額を投資していますから。そして、そのお金は町の者達も多く出しています。結局、皆が大損をしているのです」

    町長「かといって、護衛を多く雇ってそこを掘る様にしても、護衛料が毎月かなりな額になり、大した儲けは出ません。やはり意味がないのです」

    町長「ですので、今のこの苦境を、勇者様のお力でどうにかならないかと……。こうしてお恥ずかしながら相談に参りました。どうかその知恵とお力を貸して頂けないでしょうか」

    勇者「……なるほど。そうですか」

    242 = 221 :

    勇者「ちなみに、魔物が最近よく現れる原因はわかっているんですか?」

    町長「いえ……。なんとも……。ただ、恐らくはという程度の見当ならついてます」

    町長「以前、採掘場近くの森で、奇妙な魔物を見たと言う者がいましたので……。初めて見る魔物だったそうです」

    町長「ですから、ひょっとしたらそれが原因ではないかと思っています。強い魔物は、周辺の弱い魔物を引き付けますから」

    勇者「……そうですね。それは十分、有り得そうな話です」

    勇者「それで、その奇妙な魔物の姿とか形はわかりますか?」

    町長「はい。何でも、ライオンの体に蛇の尻尾がついていた巨大な魔物だったと……」

    勇者「それはまさか! キメラ……!?」

    243 = 221 :

    町長「……? キメラというのは?」

    勇者「そういう強い魔物がいるんです。私も本の中でしか見た事ありません。嘘か本当かは知りませんが、魔王軍が、違う種類の魔物を掛け合わせて新たに作った、人工的な魔物だとか……」

    町長「そんな魔物が……。しかし、どうしてまたこんなところに……」

    勇者「それはわかりませんが……。ひょっとしたら、前の北の国軍との戦いで破れた際、本隊とはぐれてこちらの国に迷いこんだのかもしれません」

    勇者「大きな戦争の後には、そういうはぐれ魔物が必ず何十匹かは出ますから。私も、前の戦いの時は、ずいぶん長いこと残党狩りをしました」

    勇者「……しかし、キメラか。もし本当だとしたら、相当厄介ですね」

    町長「……そんなに強い魔物なのですか……?」

    勇者「はい。その本の記録によると、キメラ一匹仕留めるのに、軍の中隊がまるごとやられる程の被害が出たと書いてありました。もしそれが本当なら、訓練された兵士150人分ぐらいの力を持っている事になります」

    町長「……っ!!」

    244 :

    やれやれ系…?

    245 = 221 :

    町長「それは……また。いやはや……どうすれば……」

    勇者「本当にキメラであれば、近くにあるこの町自体が危険ですね。城壁は高く堅牢に作られているとはいえ、下手したらそれを破りかねない」

    勇者「とにかく、今日はもう暗いので無理ですが、明日の朝にでも私が確認に行ってきます。それでもしもキメラであれば、王都に連絡して軍を派遣してもらいます」

    町長「そ、そうですか……。それは有り難い。是非、お願いします」

    勇者「ええ、話からして、もう採掘場の問題どころではなさそうなので。この件は引き受けました。お任せ下さい」

    町長「ありがとうございます。助かります。勇者様が引き受けてくださるのなら、実に頼もしい。安心出来ます」

    勇者「元騎士隊長として、当然の処置です。それより、この話は内密にお願いします。まだはっきりした訳ではありませんので、変なデマとなって流れたら困りますから」

    町長「はい、それはもう。口に鍵をかけておきます。パニックになる可能性もありますし」

    勇者「お願いします。では、申し訳ありませんが、今夜はこの辺で。夜明けと共に出るつもりなので、早い内に寝ておきたい。体調を整えないと、こちらも不安ですから」

    町長「あ、はい! では、私はこれで失礼します。宜しくお願い致します、勇者様」ペコッ!!

    勇者「ええ、御安心を」

    246 = 221 :

    ここまで
    普通なら省略する部分をちょいと真面目に書いてるから、ダルくなるかも。魔物がいて困ってるんで助けてってだけなんで
    あと、雑談はお好きな様に

    247 :

    乙!
    しっかり書いてくれた方が面白いよ
    人物像がわかっていいと思う


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