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    元スレ勇者「仲間TUEEEEEEEEEEEEEE!!」

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    251 :

    勇者よっわ!

    253 :

    勇者はこれでもそこそこ強いよな?少なくとも旅に出る前のパラメータと考えたら破格の強さだわ……ドラクエなら。
    んで改めてやべぇな魔王軍……新米や参謀でこれなら側近や魔王とかどうなるんだ……魔王とか体力8桁くらいあるのか?

    254 :

    新米なら5人でかかれば勇者守りながらでも行けそうだけどどうなる事やら

    256 :

    ぶっとんでんなぁ

    257 :

    神殿騎士の精鋭と比べたら勇者の強さがわかるけど
    まぁうん……

    258 :

    冗長過ぎる

    259 :

    ディスガイアかよ

    あと、勇者は戦略得意なのかもな、最初に書いてあったし

    260 :

    見えてないステータスがありそう

    261 :

    ゆ、勇者くんにはカリスマがあるから…

    262 :

    運に極フリしてるから…

    263 :

    女神の加護受けてるし……

    264 :

    勇者にはト○ネコよろしく馬車番の大役があるやろ!

    265 :

    ドラクエのキャラがFFの世界に来たらこうなるんだろうなぁ勇者が雑魚敵より弱いって。

    266 :

    勇者及び一般人やザコ魔物 ドラクエ
    仲間 FFテイルズ
    魔王軍及びドラゴン ディスガイア

    まず勇者が土俵に上がれてもいない……。

    267 :

    勇者には隠しパラがあるんだよ(必死)

    268 :

    女神の封印が解ければ超絶バフ入って強キャラ化すると思う

    269 :

    実は魔王弱いとかありそう

    270 :

    異界に乗り込むくだり見てる限りそれはない

    271 :

    魔王「異界TUEEEEEEEEEEEEE!!」

    272 :

    異界がTUEEEEってなんだよそこはYABEEEEEEだろ

    273 :

    早く勇者が仲間の強さに唖然するシーンがみたいぜ

    274 :

    仲間「勇者YOEEEEEEEEEEEEEE!!」

    275 :

    ー 翌朝、早朝、門の前 ー


    勇者「それでは、行ってきます。昼までには戻ってきますので」

    町長「はい。申し訳ありませんが、お頼みします」


    兵士A「勇者様、またお戻りになられるのですか?」

    勇者「ああ、ちょっと用事が出来てしまったのでね。軽くこの辺りを偵察してまた戻ってくる」

    兵士A「そうですか。勇者様なら大丈夫とは思いますが、御武運を」ビシッ (敬礼)


    兵士B「門を開くぞー! 滑車を回せー!」


    「はいっ!!」


    ギギギィィィ……


    勇者「では、また」ヒラリ (馬に飛び乗る)

    勇者「行くぞ、相棒!」タンッ

    「」ヒヒーン


    パカラッ、パカラッ、パカラッ


    町長「どうかこの町を宜しくお願いします、勇者様……」

    276 = 275 :

    ー 新しい採掘場、付近 ー


    パカラッ、パカラッ、パカラッ


    勇者「よし、着いたな。ここで間違いない」

    勇者「どうどう」グイッ

    「」キキィッ


    勇者「話によると……向こうの森だな」スタッ (馬から降りる)

    勇者「悪いが、こっからは別行動だ、相棒。繋いではおかないから、もしも強い魔物が来たら構わず逃げてくれ」

    勇者「戻る場所はわかってるよな。またあの町だぞ」

    「」ヒヒーン


    勇者「よしよし、流石は相棒だ。それじゃあ、しばらく向こうの森の中に行ってるから」

    勇者「気を付けるんだぞ、こんなとこで死ぬなよ」ナデナデ

    「」ブルル

    勇者「ああ。それじゃあな、相棒。危ないから、鳴き声はあまり出すなよ」タタッ

    277 = 275 :

    ー 森の中 ー


    ガサッ、ガサッ

    勇者(……結構、広い森だな。それに木が多い。歩いてると、どうしても音は出るか)


    勇者(一応、風下から進んではいるが、それもあまり意味がないかもしれないな。キツネやウサギの姿さえ見つからない)

    勇者(ただ、その代わりに……)



    ガサッ、ガサササッ

    巨大山猫「シギャァァ!!」ダッ (茂みから突然現れ、襲い掛かる)


    勇者「ふっ!」ズバッ!! (一閃)



    巨大山猫「グギャッッ!!」ドサッ
    体力:42→0


    勇者(魔物には頻繁に出会うな……。しかも、ここら辺ではあまり見ない強めの魔物が多い)

    勇者(キメラがいるってのは、やはり本当かもしれない。キメラでなくとも、かなり強い魔物がいるのは確かだろう)

    勇者(だが、はっきりと姿を見ないと、軍を要請するのは厳しい。どうにか見つけて確認をしな)


    ザシュッ!! メキメキッ!! (木が根本から倒れる音)


    勇者「!?」 (慌てて後ろを振り向く)


    キメラ「グワオオオオオオオッッ!!!」ダダダダッ




    勇者「キメラ!?」

    勇者「くそっ! 先に向こうに見つけられてたのか!!」

    278 = 275 :

    キメラ「グルルルルッッ!!」ダダダダッ (全長4メートル)

    【合成魔獣・獅子タイプ】
    『体力 :451
     攻撃力:129
     防御力: 77
     魔力 : 74
     素早さ: 50』


    勇者「くっ!! 迂闊だった! 俺のミスだ!!」

    勇者「もう、やるしかない!!」チャキッ (剣を構える)




    キメラ「ガルルルルッ!!」ダッ!! (飛び込んでくる)

    勇者「はっっ!!」ダッ!! (斬りつける)

    279 = 275 :

    鮮血が空中に舞った。

    飛び込みざま勇者が振り抜いた剣は、キメラの巨大な足を掠めた。
    だが、一方で勇者も、肩口を爪で切り裂かれ、服を赤黒く染め上げていた。

    その一回の攻防は、それだけで相手の力量を把握するにはお互い十分だった。


    油断出来ない相手だ。それが、キメラが抱いた印象であり、

    これは俺の手に余る。それが勇者が抱いた印象だった。


    その印象の差が、即ち、両者の実力の差と言えた。


    キメラは足の傷口を軽く舐め、再び突撃の構えを取る。

    勇者は剣を鞘に納めると、代わりに魔法銃を取り出して構えていた。


    弾に込められた魔法は閃光魔法。
    主に灯りとして用いられる魔法だが、目眩ましとしてもよく使われる。

    勇者はその魔法が使えないので、いざという時の為に王都で弾として何発か込めてもらっていた。逃げる為の用意だ。

    強敵相手に無理をする必要などない。ここは素直に退いて軍に援軍要請をすればいい。
    これまでかなりの月日を戦場で過ごしてきた勇者は冷静に今の状況を判断していた。

    キメラの目に狙いを定め、手慣れた手つきで勇者は引き金を引く。

    280 = 275 :

    反動で銃が浮く。砲声! そして着弾!

    眩いばかりの光が辺りを一瞬で包んだ。

    勇者は即座に背中を向けて走り出す。


    だがーー。


    咆哮がすぐ背後から轟いた。背筋が凍りつく。
    勇者は反射的に剣を抜いていた。考えるよりも先に体が動いていた。振り向きざま斬りつける。

    鼓膜を破るかの様な悲鳴!
    肉を裂く感触が手にずしりと伝わった。
    巨大なキメラの前足が視界一杯に映り、血しぶきが顔にかかる。

    だが、それと同時に体に強い衝撃が来た。斬られながらもキメラはその前足を振り切っていた。
    勇者の体がゴムまりの様に勢いよく弾き飛ばされ、木に当たって地面へと崩れ落ちる。

    倒れ込んだところに、呻く間も許さず、今度は巨大な蛇の顔。キメラの尾!
    それが大口を開けて襲い掛かってきていた。

    しゃにむに足で蹴り上げた。顎の部分に運良く当たり蛇が怯む。その隙に勇者は転がる様にして必死で飛び起きる。少しでも気付くのが遅かったら、今頃その牙が体に食い込んでいたはずだ。


    だが、休む間など与えられず、キメラが口を開けて巨大な炎を吐き出す。勇者はすぐに氷魔法を唱えそれを相殺する。

    キメラが血だらけの前足で飛び掛かって襲う。勇者が剣で逆に切り返して更なる傷を負わす。

    キメラが突進する。避けきれず直撃。だが、吹き飛ばされながらも、勇者は魔法銃を撃ち体に火傷を負わせる。


    両者の実力が拮抗しているが故に、逃走は最早不可能だった。閃光魔法もキメラには効果がなかった。再び背中を向ければ今度こそ無防備なその背に鋭い爪痕が刻まれるだろう。

    両者の攻撃は途切れず、互いに一瞬の弛緩も許さず、そのまま死闘へと突入していった。

    激しくも長い攻防が続く。だが、消耗戦の様相となってきた時、そこで両者に決定的な差が出た。
    それは体力の差だ。それに関しては勇者の方が圧倒的に不利だった。

    一対一の時点で、この勝敗は半ば最初から決まっていた様なものだった。

    281 :

    インフレの後だと茶番だな

    282 = 275 :

    勇者「」ハァハァ、ハァハァ
    残り体力:12 残り魔力:18


    キメラ「グルルルッ……!」
    残り体力:51 残り魔力:26



    勇者(ヤバイ……。さっきから血が流れ過ぎてる……)ハァハァ、ゼェゼェ

    勇者(もう体が思う様に動いてくれない……。あと、一撃でも喰らったら死ぬぞ……)ハァハァ、ゼェゼェ

    勇者(体力回復アイテムも、ある分は使いきった……。俺は僧侶じゃないから回復魔法も使えない……)ハァハァ、ゼェゼェ

    勇者(魔法銃は……元から回復魔法は使えない仕様だ……。魔力はまだ多少残ってるが、こいつの毛皮には炎魔法も氷魔法も効きづらい……。逆転の手にはならない……)ハァハァ、ゼェゼェ

    勇者(詰んだな……。死ぬのか……俺……。こんなとこで……)ハァハァ、ゼェゼェ

    勇者(まだ何もしてないのに……。まだ十五年前の約束すら果たしてないのに……)ハァハァ、ゼェゼェ

    勇者(だけど、体がもう……もってくれな……)ガクッ (膝が崩れ落ちる)


    キメラ「グルルルルッッ!!」ガキッ、ガキッ (威嚇の噛み付き)


    勇者(くそっ……。流石に魔物だ。死の匂いには敏感だな……。向こうも……次で決着だってわかってやがる……)ハァハァ、ゼェゼェ

    勇者(何だよ、これは……。こんな俺の……どこが勇者なんだ……。魔物一匹倒せない勇者のどこが……)ハァハァ、ゼェゼェ

    勇者(こんなところで……死ぬ羽目になるのか……。まだ……本当に何もしてないってのに……)ハァハァ、ゼェゼェ


    勇者(女神様……。もしも見ているなら……どうか俺を……)ハァハァ、ゼェゼェ

    勇者(俺を救ってくれ……! 俺に加護を与えてくれ……! どうか……!)ハァハァ、ゼェゼェ




    283 = 275 :

    キメラ「ウォォォォッ!!」ダダッ


    勇者「くそおおおおおっっ!!」(剣を構える)




    キメラ「グオオンッッ!!」ガブッ!! (体に噛み付き)

    勇者「ぐああああああああああっ!!!」メキョッ、バキッ



    キメラ「ガウルッ!!」グググッ (顎に力を込める)

    勇者「あっ! ぎあっ!! いぎゃああああああっっ!!」メキッ、ゴキッ

    284 = 275 :

    勇者の体に巨大な牙が深々と食い込み、力任せに潰されていく。

    骨も折れただろう、内臓も相当やられただろう、余りの痛みに脳が壊れそうになり、目の前の景色が一気に色を失っていった。


    これが『死ぬ』という事なのか……。


    薄れゆく意識の中で、ふと勇者の頭の中に次々と過去の光景が映し出されていった。

    ああ、これが走馬灯というやつかと、勇者はぼんやりとそれを見つめていた。




    少年B「せやっ!」ブンッ (木剣を振る)

    子供勇者「当たるかっ! それっ!」ベシッ!!

    少年B「うぎっ!! っ痛ーーー!!!」ピョン、ピョン


    子供勇者「やったね! また、俺の勝ちだよ!」

    少年B「ちっくしょー! 何でいっつもお前に勝てないんだよ!」

    子供勇者「そりゃ、そうだよ。少年Bって、目でどこ狙ってくるかすぐわかるし!」

    少年B「目って何だよ! そんなん俺、わかりゃしねえぞ!」

    子供勇者「わかるって。目とか見てたら、多分ここ狙ってくるんだなあ、みたいなのが」

    少年B「わかんねえよ! そんなのお前だけだ! ちくしょう、もう一回勝負だ! 覚悟しろ!」サッ

    子供勇者「いいよ! でも、絶対負けないから!」サッ


    「「そりゃ!!」」


    カンッ、コンッ、カンッ

    ベシッ!!

    「っ痛ーーーーー!!! またかよ、ちくしょう!」


     

    285 = 275 :




    「ふふ……。ここをこうして……。これはこっちのがいいかな……?」ゴソゴソ

    子供勇者「あれ、少女A。何してるの?」


    「あっ、見ちゃダメ……。秘密なんだから」サッ

    子供勇者「えー、そういうの気になる」

    「気になってもダメ……。もうすぐ出来上がるから、その時に教えてあげる」

    子供勇者「ホントに?」

    「ホント」

    子供勇者「なら……待ってる。後ろ向いてればいい?」

    「うん」ニコッ



    「出来たよ。お待たせ。ほら」ポフッ

    「え? これ、花冠?」

    「ううん、兜。子供勇者にあげたいと思って作ったの。……大事にしてね」

    「兜なんだ。これ、カッコいい? 勇者みたい?」

    「うん。勇者みたい」

    「やった! ちょっと、お母さんに見せてくる!」

    「あっ、待って、私も行く! 置いてっちゃやだ!」


     

    286 :

    主人公の聞きなのに茶番にしか見えないというこの

    287 = 275 :




    「川の向こう? そっちに行くの?」

    子供勇者「うん! イチジク見つけたんだ! だから行こう!」

    「イチジク! あたしも食べたい。でも、他のみんなは誘わなくていいの?」

    子供勇者「だって、危ないから。少女Cじゃないときっと無理だし。だから、みんなには秘密だよ」

    「秘密はいいけど、あたしじゃないと無理ってどいう事?」

    子供勇者「ほら、ここ。あそこの川の上に出てる石を飛んでくんだ。見ててね」

    子供勇者「よっ、それっ、もう一回っと」ピョン、ピョン、タンッ

    「うわ、上手……」

    子供勇者「ほら、少女Cも」

    「え、でも……」

    子供勇者「大丈夫。少女Cなら出来るよ。すっごい身軽じゃん」

    「う……。わかった。ちょっと怖いけど……」


    「せーのっ」

    「それっ、わっ、きゃあっ、っとっと」

    「ほら、やっぱり! 少女Cなら絶対出来るって思ってた!」

    「ホントだ……! スゴい、あたしスゴいかも!」

    「じゃあ、行こう! ここ越えたらすぐだから!」

    「うん! 二人でいっぱい食べようね!」


     

    288 = 275 :




    子供勇者「蛇の脱け殻?」

    少年D「そう。昨日、見つけたんだ。子供勇者も見に行く?」

    子供勇者「何かちょっと気持ち悪そう」

    少年D「じゃあ、やめる?」

    子供勇者「でも、気になる」

    少年D「だよね。みんな見たくないって言ってたけど、子供勇者だけはそう言うって思ってた。じゃあ、やっぱり行くよね?」

    子供勇者「うん……。行く。で、どこで見つけたの?」

    少年D「内緒だよ。村の柵の外に出ちゃうから」

    子供勇者「え、それまずいよ。っていうか、外に出たの、昨日?」

    少年D「うん。だから内緒。小さな抜け穴見つけてさ。そこからたまに外に出るんだ。そんなに遠くまで行かないけど」

    子供勇者「見つかったら物凄く怒られちゃうよ」

    少年D「その時はその時」

    子供勇者「見かけによらず、こういう悪さするよね、少年Dって」

    少年D「だって、外の世界って気になるじゃん。大きな柵で囲ってて、まったくわかんないしさ。だから、見たくなるんだよ。大人になるまで待ってられないもん」

    子供勇者「それはわかるけど……」


    「実は、この前、魔物も見たんだ。これは本当に内緒だからね」

    「え! どんなんだった! 何を見たの!? スライム!?」

    「うん。スライム。急いで逃げてきた」

    「そっか、スライム見たんだ。いいなあ、俺も見たい。そして、倒したい」

    「勇者とか魔物の事とかになると、僕以上に食いつくよね、少年勇者って」

    「だって、俺、勇者になりたいもん!」

    「そうなんだ。でも、僕は魔法使いになりたいなあ。そして、いつかは賢者になって、世界中を見て回るんだ。行けるんだったら、妖魔の森だって一度行ってみたいし」

    「妖魔の森って?」

    「ああ、それはね……」


     

    289 = 275 :




    「あーあ、今日は雨降りかあ……。つまんないね」

    子供勇者「そう思ってさ、これ、持ってきたんだ」

    「本……?」

    子供勇者「うん、この前町長さんから借りたんだ。冒険のお話。ほら」パッ (本を広げて挿し絵を見せる)

    「面白そう……。でも、子供勇者、この本読めるの? 難しい言葉でいっぱいなのに……」

    子供勇者「お父さんとかに聞きながら、ちょっとずつ読んでる。もう半分まで読んだんだよ」

    「そうなの? どんなお話? この子、お姫様?」

    子供勇者「うん、そうだよ。お姫様がお城の外に出ちゃって困ってるところを、この主人公が助けるんだ。それでね」

    「あ、待って。出来れば、私も読みたい。だから先に言わないで」

    子供勇者「じゃあ、一緒に最初から読む? わからない言葉が出てきたら教えてあげるから」

    「うん! 読む。そうする」


    「そういえば、子供勇者って、本、好きなの?」

    「うん。好きだよ。外で遊ぶのも好きだけど、本を読むのも好きなんだ。だって、読んでてワクワクするから。大きくなったら、絶対、俺もこんな冒険するんだ」

    「勇者になって?」

    「うん! 勇者になって! それで、みんなと冒険の旅に出るんだ! もう約束してるし!」

    「私も、一緒に行きたい……って言ったら、仲間に入れてくれる?」

    「もちろん! 少女Eも大切な友達だもん!」

    「そっか……。良かった。なら、私もがんばるから」

    「うん!」


      

    290 = 275 :




    「今日は、お父さん、お母さん……遅いな。まだ帰って来ない」

    コンコン

    「あ、やっと帰ってきた! お帰りなさい!」ガチャッ

    「……子供勇者」

    「おじさん……? どうしたの? 何か顔が真っ青だけど……」

    「落ち着いて……よく……。よく聞いてくれ」

    「え? うん……」

    「昨日、大雨が降っただろ。それで……。お前の畑の近くで、ついさっき……」

    「…………」

    「土砂崩れが……あって……。お前のお父さんとお母さんが……そこで畑仕事してて……」

    「!!」

    「土砂をどけた時には……もう……」

    「お、お父……さん……と……お母さん……は……?」

    「天国に……。行ってしまった……」

    「あ、う……あ、あ、ああああああああ!!」


     

    291 = 275 :




    コンコン、コンコン、コンコン、コンコン

    「ぇぐっ……ぅっ、ぅっ……」


    ギィッ……

    「鍵もかけてないのか……」

    「あ……。騎士さん……ぅぐ……」

    「あいつが亡くなったという報せを聞いてな……王都から飛んできた。残念な事に……葬儀には間に合わなかったがな……」

    「ぅ、ぇぐっ……ぅぅっ……」

    「墓にあいつの好きだった酒を供えておいた……。天国で飲んでくれてるといいが……」

    「……ぉ、お母さんも……一緒に」

    「わかってる……。良い人を亡くした。本当に、良い人間ほど早く亡くなる……。何でなんだろうな……」

    「だから……お、俺……一人になって……。と、遠くの町の……教会に……。ぃ、行かなきゃ……ならなくなったって……。そう……言われて……」

    「ああ……聞いたよ。去年も今年も冷害が続いてるからな……。どこも余裕がないんだろう……」

    「ぃ、行きたく……ないっ……。この家も……離れたくない……。なのに……。みんなと……一緒にいたいのに……。行かなきゃ……いけないって……ぃ、言われて……」

    「……それなんだが。良かったら……俺の家に来ないか?」

    「ぅぁ、騎士さんの……家に……?」

    「ああ、王都だから遠くに行かなきゃいけないってのは変わりないんだけどな……。だが、教会に孤児として引き取られるよりはいいだろう。あそこの生活は辛いと聞いているからな……」

    「ぅう……ぅっ……」

    「それに、うちにはお前と同じ歳ぐらいの娘がいる。きっと寂しくはないぞ。少しおてんばだから、お前と気が合いそうだしな」

    「ほ……本当に……いいの……?」

    「ああ、遠慮せずに来い。気にするな」


     

    292 = 275 :




    「……みんな。……そういう訳で、俺、王都に行く事になったから……。だから、もうみんなとは……」


    「何でだよ……。俺、お前にまだ一回も勝った事ないのに……!」

    「やめなよ……! 少年勇者のせいじゃないでしょ! 辛いのはみんな同じよ!」

    「見送らないと……。僕たちは何も出来ないんだから……」

    「ぅっ、うあ……」

    「泣かないでよ。泣いたら、私まで……ぅぅ」



    「俺も……。みんなと離れたくない……。だけど、だけど……。う、ぅぁ……」


    「いやだ……。そんなの俺はいやだ……! もっと一緒にいたいのに……! これでお別れなんていやだ!」

    「もう会えなくなるなんて……。わたしもいやだよ……! また帰ってくるんだよね……? でなきゃ、でなきゃ……」

    「また会えるよね……! そうでなきゃ……あたしもいや……!」

    「だって……! 僕たち、仲間なんだから……!」

    「また、きっと……。きっとじゃなくて、絶対に……ぅぅ」


    「うん……! 絶対にまた……会おう……! 大きくなって大人になったら、絶対にまた俺はこの村に帰ってくるから……!!」



    「だから、その時は……! この木の下で……!! もう一度会おう……!!!」



    「その時、俺は……勇者になってるから……!! 絶対に勇者になってるから!! それまでみんな、待ってて……!!!」


     

    293 = 275 :

    ーーーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーー


    そんな約束……してたのに……。

    一体……何してんだよ……俺は……。


    こんなんじゃ……勇者失格だ……。勇者だって……名乗れない……。


    子供の頃からずっと……。ずっと聞かされてきたのに……。

    勇者は諦めない……。

    勇者は挫けない……。

    だから、勇者は不可能を可能にするんだって……。


    そう……俺は……こんなところで……死ねない……。

    死んじゃいけない……。


    あの木の下で……。

    みんなが……。

    きっと待ってるから……!




    294 = 275 :





    『勇者よ……』


    『聞こえますか……勇者よ……』


    『貴方にこの世界の命運を託します……』


    『この世界を正しい方向に導けるのは、世界にたった一人……。貴方しかいないのです……』


    『今の私は封印されし身……。加護と祝福を与える以外、ろくな力を持ちません……』


    『ですから、どうかお願いします……』


    『魔王を倒し、必ずやこの世界に平和をもたらして下さい……』


    『頼みましたよ……勇者よ……』








    『負けないで……』


     

    295 = 275 :

    ーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーー
    ーーーーーーー


    キメラ「ガルルルッ!!」ガギッ (噛み砕こうと更に力を込める)

    勇者「ぅっ……がはっ……!!」ボキッ、メキャッ!!



    その時の勇者は、ほとんど意識のない状態だった。

    だが、手が、口が、体が、勝手に動いていた。



    勇者「女神……よ……迷える……子羊に……祝福の光を……」パァァッ (回復魔法)
    体力:1→29

    キメラ「!?」


    勇者「あぐっ!! ぬぐあああっ!!」ググッ (牙を掴んで持ち上げていく)

    キメラ「!!??」

    296 = 275 :

    勇者「俺は……!! もう諦めない……!!」グギギギッ!!

    勇者「約束一つ果たせない勇者なんか……勇者と呼べない!!」グギギギッ


    ≪ 次に会う時は絶対にお前に勝ってやるからな! ≫

    勇者「ああ……。わかってる……。決着……つけないとな……!」グギギギッ!!


    ≪ 約束……。忘れないでね……。またここで会うんだよ……! ≫

    勇者「忘れる訳……ないだろ……! ずっと覚えてた……!」グギギギッ


    ≪ そして、あたしらで魔王を倒す冒険の旅に出るんだ! ≫

    勇者「そうだよな……! なのに、俺がここで死ぬ訳にはいかないよな……!!」グギギギッ!!


    ≪ みんなで世界中を旅するんだよ! ≫

    勇者「ああ……! 楽しみにしてるっ……!!」グギギギッ!!


    勇者「ぬああっっ!!!」メキョッ、バキッ!! (牙をへし折る)

    キメラ「グオアギガアアアアッッ!!!」ビクッ


    ≪ そして、世界を平和にするの! 私たちで! ≫

    勇者「約束だっっ!! 絶対に果たす!!」ドスッ!! (剣を突き立てる)

    キメラ「ギアアアアアアッッ!!」


    勇者「雷よ! 我が剣に宿れ!!」バチバチッ!!

    勇者「とどめだっ!!」


    『魔法剣!!  雷 鳴 閃 !!』



     

    297 = 275 :

    剣が煌めき、雷撃を伴って一閃された。

    その剣はキメラの固い皮膚を斬り裂き、そしてーー。


    一瞬の事だった。これまでの長い攻防がまるで嘘だったかの様に。


    勇者の剣がキメラの体を一刀両断にした。




    ズバッ!!


    キメラ「ガ……!! ギッッ…………」ドサッッ
    体力:51→0


    勇者「倒した……! どうにか……勝てた……!!」ガクッ (膝から崩れ落ちる)



    『勇者の強さが上がった!!』

    【伝説の勇者】
    『体力 :197
     攻撃力:112
     防御力:106
     魔力 : 73
     素早さ: 85』
        ↓
    【伝説の勇者】
    『体力 :204
     攻撃力:115
     防御力:110
     魔力 : 77
     素早さ: 87』

    『勇者は回復魔法を覚えた!!』
    回復魔法(弱)

    『勇者は雷魔法を覚えた!!』
    雷魔法(弱)

    『勇者は魔法剣を覚えた!!』
    雷斬り、炎斬り、氷斬り

    298 = 275 :

    ここまで

    299 = 286 :


    焼け石に水…


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