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    元スレ八幡「やはり俺の世にも奇妙な物語は間違っている」

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    351 = 15 :

    今の持ち駒でこの場を打開する方法が思いつかない。

    ならば方法は一つだ。

    この現状を信じてくれそうな誰かの力を借りる。……それに該当するのは誰だ……?

    ……あの人しかいない。

    もしもあの人が現実にいて、なおかつ総武高にいるのなら、雪ノ下たちと知り合っていてもおかしくはない。

    八幡「あー、ちょっとトイレ行ってきてもいいか?」

    話し合っている二人に許可を取る。本当は外に出たいが、雪ノ下が許さないだろう。

    雪乃「ええ、構わないわ。逃げたりしなければね」

    八幡「逃げねぇよ」

    逃げても通報されてバッドエンドだ。そんな事くらいわかる。

    352 :

    ちくわ大明神

    353 :

    ぱおーん

    354 = 15 :

    八幡「……今度は『俺ガイル』の知識に助けられるかもな」

    あの中で『比企谷八幡』は何度もその人物からの着信を受けていた。だから、その番号を覚えていたのだ。

    あの人なら……もしかしたら信じてくれるかもしれない。

    何度も何度も確かめながらゆっくりと番号を押す。

    そして受話器のボタンを押す。

    トゥルルルルルル

    八幡「よし、コールが鳴った!」

    つまり、この番号を持っている携帯が存在しているという事だ。緊張で心臓の鼓動が早まる、

    トゥルルプツッ

    ??『もしもし、平塚ですが』

    355 = 353 :

    北加賀屋

    356 = 15 :

    ビンゴ!! トイレの個室内で思いっきりガッツポーズを決める。こりゃ、Gacktさんも顔負けだな。ガッツポーズ世界選手権とかあったら、余裕で一位取れるレベル。

    平塚『何でしょうか? いたずら電話なら切りますよ?』

    雪ノ下たちと話している時にも思ったが、さっきまでゲームの中でしか聞けなかった声が現実で聞こえると、少し変な感じがする。

    八幡「いえ、いたずら電話とかではありません」

    平塚『男……』

    八幡「えっ?」

    平塚『い、いえっ! 何でもありません!』

    ……これは、多分本物だよな。

    八幡「総武高で勤務している平塚先生で間違いないでしょうか?」

    平塚『ひゃっ、はい、そうです!』

    何この平塚先生、すごく可愛い。ひらつかわいい、しずかわいい。

    360 = 15 :

    平塚『えっと……そちらは……?』

    八幡「比企谷八幡といいます。平塚先生、これから俺の言う話を信じてください」

    平塚『えっ、あっ、はい』

    そこから俺は話した。俺自身の事や、『俺ガイル』の事を。

    平塚『……俄かには信じられない話だな』

    こっちが年下とわかると、平塚先生はいつものような話し方になった。……あの平塚先生可愛かったのに。

    八幡「でも、本当なんです。信じてください」

    平塚『いや、比企谷とか言ったか? 信じるも何も、私は信じざるを得ないのだよ』

    八幡「えっ?」

    363 :

    これあれか上司を殺したOLのやつ

    364 = 15 :

    平塚『君の話は、私たちの身に起きた出来事とあまりに一致しすぎている。……まるで、本当にその場にいたかのように』

    平塚『もちろん、君がいたわけではなかったから、解決方法は違ったが』

    やはり、あの卑屈な方法を使う人間はいないか。まあそうだよな、『比企谷八幡』もあくまで解決ではなく、問題の解消しかしてなかったし。

    平塚『例え、君がずっと私たちを見張っていたとしても、そこまで細かい説明はできないだろう』

    平塚『だから信じる信じないの話じゃないんだ。信じざるを、得ない』

    八幡「ありがとうございます。先生なら信じてくれると思いました」

    平塚『だが、勘違いするな。私が信じたのはあくまでも、『君が言った事』のみだ。君自体を全面的に信じたわけじゃない』

    八幡「それでも構いません」

    今は協力者を得た、ということだけで十分だ。

    366 = 15 :

    平塚『……で、君は私にどうして欲しいんだ?』

    八幡「今、俺は雪ノ下たちに捕まっているんです」

    平塚『……それは、どういう状況だ?』

    八幡「あっ、いや、別に犯罪的な意味ではなくてですね。さっきの話からもわかる通り、俺の中で雪ノ下たちは現実にいない人物だと思っていたので、道端で出くわして興奮してつい話しかけたら……」

    平塚『ああ……もうわかった』

    受話器の向こうから、はぁ……という溜息が聞こえる。

    八幡「なので、俺が雪ノ下たちを知っていた理由の証人になってください」

    平塚『つまり……嘘をつけと?』

    367 :

     

    369 = 15 :

    八幡「察しが早くて助かります」

    平塚『君がさっき私に話したみたいに、彼女たちにも真実を言えばいいじゃないか』

    八幡「……雪ノ下たちが俺の言う事を信じてくれると思います?」

    平塚『…………』

    八幡「漫画とかそういうのを読む先生だから、話せたんです。そうじゃなかったら話せませんよ」

    平塚『ま、待て、比企谷! 私はそのゲームの中でも私が見ていたアニメとかの話をしていたのか……?』

    八幡「はぁ……まぁ……」

    平塚『つまり君は私が話していた話がわかっていたんだな!?』

    八幡「そうっすね」

    平塚『そうか……!』

    平塚先生は受話器の向こうで嬉しそうな声を出している。だからこの平塚先生可愛すぎるだろ。何で結婚できないんだよ。

    371 = 15 :

    八幡「とりあえずこの場をやり過ごすために、先生の力が必要なんです」

    平塚『……状況は理解した。ただし一つ条件がある』

    八幡「……なんですか?」

    何故だろうか、すごく嫌な予感がする。

    372 :

    ハリーハリーハリー

    373 = 15 :




    八幡「……どうしてこうなった」

    雪乃「比企谷くん、それはこっちのセリフよ?」

    雪乃「どうしてあなたがここにいるの?」

    俺が今いるのは、見慣れた部屋。

    奉仕部の部室だった。

    八幡「……平塚先生に頼まれてな」

    374 :

    はやくはやく

    375 = 372 :

    眠いな

    376 = 15 :

    以下、回想

    平塚『なら比企谷。奉仕部に入らないか?』

    八幡「はっ? いや、それおかしくないすか?」

    平塚『君が話しているのが本当なら、そのゲームの中で君は奉仕部に入っていたわけだろう? なら君としても実は願ったりなんじゃないか?』

    八幡「…………」

    俺はそれを否定できなかった。なぜあんなにも金を湯水のように使っていたのか、それはあの世界を望んでいたからじゃないのか?

    八幡「でも、いきなり俺のようなやつが入って来ても、雪ノ下たちに迷惑がかかるんじゃ……」

    平塚『そうかも知れないがな、ただ、今のままでも、よくないんだ……』

    八幡「……?」

    平塚『とりあえず、君が奉仕部に入るのなら、私は君と口裏を合わすが、どうする?』

    俺の答えは、想像の通りだ。

    以上、回想、終ワリ

    377 = 374 :

    ホモォ

    378 :

     

    379 = 15 :

    雪乃「平塚先生が入れろと言うから入部させたけれど……」

    八幡「他校の人間が校内にいるから、いろんなやつにジロジロ見られたわ」

    雪乃「ええ、そうね。……それ以上にその目が原因と思われるけれど」

    八幡「…………」ジーン

    雪乃「!?」

    まさか現実でこうなる日が来るなんて思わなかった……! 思わず感極まって泣きそう。

    雪乃「……ごめんなさい」

    八幡「!?」

    380 = 374 :

    >>378
    没ネタ

    381 = 15 :

    何で雪ノ下が俺に謝ってんだ!? 雪ノ下こんなに優しかったっけ!? まだあっちからしたら会ったばかりだから、もっと酷い事を言われると思ってたんだけど!?

    雪乃「あなたがそんなに傷つくと思ってなくて……」

    あ、なるほど。俺が感極まって泣きそうになってたのを、雪ノ下は自分の言葉のせいだと勘違いしたのか。俺の事をよく知らないからこそ、この事態が起こったんだな。何これ、自分がタイムトラベルものの主人公になった気分。

    八幡「あー、いや、大丈夫だから。そんなんで俺は傷つかん。今のはちょっとあくびで目がうるんだだけだ」

    雪乃「そ、そうなの?」

    少し遠慮がちに話してくる雪ノ下が可愛過ぎて生きるのが辛い。こんなの『俺ガイル』でもなかった気がするぞ。

    八幡「あ、ああ」

    382 = 374 :

    小町は?ねぇ、小町は?

    383 = 15 :

    ガララ

    結衣「やっはろー!」

    結衣「ってヒッキー何でいるの!?」

    八幡「平塚先生に入れと頼まれたんだ」

    正確にはほぼ命令に近いがな。

    結衣「へぇー、先生が……」

    八幡「そんなわけでよろしくな、由比ヶ浜」

    結衣「あっうん! よろしくね! ヒッキー!」

    八幡「ああ」

    こうして、俺は現実世界でも奉仕部に入る事になった。俺はこの世界に、人生に意味を持てないでいたが、小さな偶然、勇気のおかげでそれを得る事ができた。

    人生何が起こるかわからないものである。ゲームの話が現実で起こるなんて事も、本当ならば世にも奇妙な物語に出て来そうなものだが、俺はそれを否定したりしない。これは、俺が望んだ事なのだから。

    だから――

    やはり俺の世にも奇妙な物語は間違っている。



    世にも
    奇妙
    な物語

    385 :

    だが、小町はいない…

    386 = 372 :

    えっ?

    387 = 374 :

    乙です
    よかったです

    391 :

    うーん…微妙
    なんか丸く収まりすぎだな

    392 = 15 :

    ここで終わると思ったか?
    残念、むしろここからが本番だ。



    八幡「さて……と」

    あれから数日が過ぎ、特にやる事もなく奉仕部は、そのまま冬休み前最後の日になった。

    八幡「特にやる事はなかったな」

    せいぜいこの数日もここで本を読むか、由比ヶ浜と少し喋るかのどちらかだった。まだ向こうからしたら、出会って数日だから話し方はぎこちない。

    雪乃「ええ、そうね。……比企谷くん」

    八幡「ん、なんだ?」

    雪乃「あなた……この場の溶け込み方、異常じゃないかしら?」

    八幡「と言いますと?」

    雪乃「まるで、ずっと前からここにいたみたいに感じるわ」

    八幡「……っ!? そっそうか……っ?」

    395 = 15 :

    雪乃「ええ、……まあ、そんなのあり得ないのだけれど」

    八幡「…………」

    雪ノ下の勘が鋭くてたまに焦る。しかし俺がゲームでここを体験していたとは思わないだろう。トンデモな話って予想されないから助かるわ。

    結衣「ヒッキー」

    八幡「ん?」

    結衣「今日、この後空いてる?」

    八幡「ああ、暇だな」

    むしろボッチだから24時間暇なまである。24の音楽ってカッコいいよな。

    397 = 15 :

    結衣「じゃあカラオケ行こうよ! 新入部員歓迎会って事で!」

    八幡「まあ……別にいいが」

    結衣「やったぁ! ゆきのんも来るよね?」

    雪乃「……由比ヶ浜さんの場合、断ってもあまり意味はない……」

    結衣「よし、決定ぃー!」

    わお、こんな関係になってたのか、この二人。雪ノ下さん、とことん由比ヶ浜さんに弱くなっていますね。

    399 = 374 :

    はやく

    400 = 15 :

    雪ノ下「じゃあ、部室の鍵を返してくるから、由比ヶ浜さんたちは下駄箱で待っててくれるかしら?」

    結衣「うん! じゃあヒッキーと待ってるね!」

    由比ヶ浜さん、その言い方はこっちが勘違いしちゃうんですけど?

    八幡「……じゃ、俺先に行ってるわ」クルッ

    結衣「あっ、待ってよ! ヒッキー!」タッタッタッ



    雪乃「…………」

    雪乃「……今が……」

    雪乃「……ハッ!」フルフル

    雪乃「…………」

    雪乃「はぁ……」


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