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    元スレ八幡「やはり俺の世にも奇妙な物語は間違っている」

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    801 = 15 :

    八幡「あっ!」

    思わずその手を離す。何やっちゃってんだよ、俺。

    川崎「あ……」

    川崎は少し残念そうな表情を浮かべる。えっ、どういう事ですか? これはそういう事ですか? 違いますか、違いますね。

    八幡「すま――」

    川崎「……ありがと」

    八幡「ふぇ?」

    むしろ今は俺が謝らなきゃいけないところだよな。非常事態だったとは言え、勝手に女子の手を握っちゃったんだし。

    川崎「助けて……くれて……」

    そこまで言い切ると、川崎はすぐにそっぽを向いた。

    しかし一瞬月明かりのせいで見えてしまった。

    真っ赤に染まった、川崎の顔を。

    802 = 787 :

     

    803 = 15 :

    思わずこっちまで気恥ずかしくなってしまい、俺も横を向いた。何だよこれ、川崎可愛すぎんだろ。中学の俺だったら告白して振られてたわ。

    八幡「……もう、帰ろうぜ」

    川崎「そうだ……ね。こんなんじゃ取りに行けないし」

    八幡「ああ」

    プリントなんてあとからどうだってできる。朝一で来てやったっていいし、最悪他の誰かのをコピペすればいい。オボカタ? 何の事かさっぱりだ。

    昇降口へ降りるために、階段のある方へ向かう。もう早く帰って今日あった事忘れたい。あんな気持ち悪い光景には二度と出くわしたくない。

    804 = 787 :

     

    805 = 15 :

    川崎「……ごめん」

    八幡「何でお前が謝るんだよ」

    川崎「だって、あたしのせいであんな……それに結局プリント取れなかったし……」

    八幡「いーんだよ、俺にはいくら迷惑かけたっていいんだ。時間の浪費には慣れているからな」

    川崎「それは……どうなの……?」

    八幡「それに俺は二度もお前に世話になってるしな。その借りは返さねぇと」

    川崎「別に、あんなのは……」

    807 = 15 :

    ……おかしい。

    ここで違和感に気づく。

    いつまで俺たちはここを、『渡り廊下』を歩いているんだ?

    いくら歩いても、周りの風景は変わらない。歩いている感覚は、あるのに。

    八幡「……あっ」



    四、夜、渡り廊下が長くなる。



    ……長くなりすぎだろ。



    すみません、今日はもう眠いので寝ます。
    なるだけ早めに続きを投下できるよう頑張ります。
    おやすみなさい。
    支援レスありがとうございました。

    808 = 787 :



    サキサキ可愛すぎんだろ

    809 :

    乙です
    川崎可愛すぎんだろ

    810 :

    >八幡「ふぇ?」
    可愛すぎワロタ

    811 :

    こんばんは。作者です。
    今日は早めに投下します。
    ただ、間が一時間とか空く可能性もありますので、ごめんなさい。
    あと、支援レスよろしくです。



    いくら歩いても、渡り廊下の端までの距離は変わらない。まるで動く歩道を逆走している気分だ。しかし横を見ると確かに進んではいるのだ。確かに進んでいるのに、進まない。

    八幡「……なんだこりゃ」

    川崎「…………」ギュ

    気づけばまた川崎は俺の上着を握っていた。確かに脅かしてくるようなお化けなどはいない。しかし異様な状況というのは、下手すればそれ以上に人の精神を蝕む。

    俺だってまだ平気なふりをしているが、内心は相当焦っているしな。いや、本当に。このままずっと渡り廊下で一生を終える事になったらどうしよう。

    813 = 15 :

    川崎「比企谷ぁ……」

    彼女は涙目になりながら俺の名を呼ぶ。他の誰かにすがらないと、やってられないのだ。

    八幡「もう少し、歩けばいけんだろ」

    そしてそれは俺もだ。常日頃ぼっち至上主義をとっているが、流石にこんな状況に一人で耐えられるほど、俺のメンタルは強くない。

    だから今のは川崎を安心させるためではない。今は一人ではないと自分に言い聞かせるために言葉を発したにすぎない。

    そういう意味では、川崎がいてくれて、助かったと思う。

    まぁ、川崎がいなかったら、こんな時間に学校に来る事もなかったのだが。

    814 :

     

    815 = 15 :

    結局十分ほど同じ方向に歩き続けたが、向こう側までの目測での距離は変わらなかった。

    川崎「このまま……出られなかったら……」

    ぼそりと呟く。その声は半分泣き声になっていた。上着を掴む手は相当な力なようで、その部分がクシャクシャになっている。これはアイロンかけねぇと着れねぇな。ねぇねぇうるさいな、パヒュームなの?

    八幡「……まぁ、七不思議では夜って条件付きだったから、朝になればどうにかなるんじゃねぇの?」

    川崎「……なら、いいんだけど」

    確証はない。ただ、俺自身が現実から逃避したいだけだ。だからこれも、川崎のためではない。

    816 = 814 :

     

    817 :

    八幡「よし、戻るか」

    川崎「えっ?」

    八幡「押してダメなら引いてみろって言うだろ?」

    川崎「でも……それじゃあ今まで歩いたのを……」

    否定する事になる。それはわかっている。

    ただ、今俺たちに必要なのは継続ではない。自らが間違っているという判断をする勇気だ。

    このまま歩いていても向こう側に辿り着けるとは、到底思えない。

    ならば、方法を変えるのがベストだ。

    八幡「ずっと同じ考えに固執していても、埒が明かないしな」

    818 :

    819 = 15 :

    そうして反対側に歩いていったわけだが……。

    八幡「……逆は普通に戻れたな」

    こちらの距離は変わっていなかった。この道は通れない、という事なのだろうか。

    その時、ふと、何かに似ていると感じた。

    八幡「あ、ゲームだ。ゲームとかでよくある」

    大体まだレベルが足りなかったりとか、その先のデータがなかったりとかで強制的に進めなくなるやつ。あれに似ている。ドラクエで何回か戻されたのを思い出す。

    八幡「……つまり、こっちは通ってはいけないと」

    川崎「何一人でブツブツ言ってんの?」

    八幡「ああ、いや、何でもない」

    821 :

    この渡り廊下は使えない、つまり反対側へと向かわなければならないという事だ。また教室の前通らなきゃならんのかよ……

    ドンッドンッ

    その時、遠くの方から音がした。微かに聞こえる音は、少し耳をすまさなければ聞こえない程だ。

    川崎「……何の音?」

    八幡「あれだな、多分体育館だ」

    川崎「体育館? なんでそん……」



    三、誰もいないはずの体育館から何故か物音がする。



    川崎「……あ」

    823 = 15 :

    八幡「まあこれは実害なさそうだし、放っておこうぜ。……不気味ではあるが」

    川崎「……そうだね。気になりはするけど、見に行きたくはない」

    八幡「おう。じゃあ、またここを走って通り過ぎるか」

    川崎「……うん」ブルブル

    そう言いながらも川崎の足は震えている。確かに走れば捕まらないとわかっていても、あの光景を見たくないというのは、人間として普通だ。俺だって壁や扉から何十本もの手が飛び出してくる様なんて見たくない。

    ただ、俺は、これでも男で、川崎は、女だ。

    なら、彼女を助けるのは、男としての義務だろう。

    824 = 814 :

     

    825 = 15 :

    八幡「おい」スッ

    川崎「えっ?」

    八幡「お前は目をつぶってただ走れ。手、つないどけば、それでも走れるだろ?」

    うわああああああああ恥ずかし恥ずかし恥ずかしいいいああああ!!! 何でこうも俺は黒歴史を増やしてしまうんだあああああああああ!!!

    川崎「…………」ソー

    川崎はゆっくりと手を伸ばす。確かに俺みたいなのと手を繋ぐなんて、あまり気が進まないに違いない。あ、なんかキャンプファイヤー思い出しちまった。どうしよう、泣きたい。

    川崎「……ありがと」プイッ

    彼女は俺の手を掴むと同時に顔を逸らした。そんなに俺の事が嫌ですか、そうですか。

    ……顔が真っ赤になってたのは、気のせいだよな。

    826 = 814 :

     

    827 = 15 :

    その頃、体育館にて。

    シュッ

    パスッ

    ??「もうオレには、リングしか見えねえ……」

    シュッ

    パスッ

    ??「静かにしろい。この音が……オレを甦らせる……」

    ??「何度でもよ……!」

    シュッ

    パスッ

    ??「……まあ一人だから静かなんだけどな」

    ??「しずかだけに? フフフ……」

    ??「はぁ……結婚したい……」

    828 = 814 :

     

    829 :

    怪談なのかギャグなのかどっちだよww

    830 = 15 :

    >>829
    一粒で二度美味しいんだよ。
    ※実際は、ギャグやろうとするとホラーになって、ホラーやろうとするとギャグになるみたいです。



    八幡「行くぞ、川崎」

    川崎「う、うん」

    八幡「せーの!」ダッ

    タタタタタタタタタタタタ

    八幡「……あれ?」

    川崎「……? どうしたの?」

    八幡「目、開けていいぞ。何だか知らんが出てこない」

    川崎「本当に……?」

    八幡「ああ。何か拍子抜けって感じだな」

    川崎「そ、そう……」

    八幡「走る必要もないし歩いて行こうぜ」

    川崎「う、うん……」

    川崎(あんた、気づいてないのかな……)

    川崎(手……繋ぎっぱなしって事に……)

    川崎(……まぁ、今度は言わないけど)

    831 :

    サキサキかわいい支援

    832 = 15 :

    八幡「あっそうだ」

    もしかしたら、今なら教室に入れるかもしれない。もしそうなら、川崎のプリントを取りに行ける。

    ガララ

    八幡「……何も出てこないな」

    中に入っても何も起こらない。真っ暗なのは不気味だが、何かいるような気配はない。

    八幡「中に入っても大丈夫そうだぞ」

    川崎「本当に……? 何も出てこない……?」

    川崎は教室の外から顔だけこちらに出して俺に問う。やめろ、ちょっと可愛いだろ。ときめいちゃうだろ。

    834 = 15 :

    八幡「入るの嫌なら、俺が取ってくるけど」

    川崎「……でも」

    八幡「別に迷惑とかじゃねーしな。お前の席はわかるし」

    川崎「えっ」

    戸塚の後ろだからな。最早目をつぶっててもわかるレベル。

    八幡「えーと、確か」テクテク

    川崎「待って!」タタタ

    ギュッ

    八幡「!?」

    836 = 15 :

    突然川崎が俺の腰に抱きついてきた。あまりにも唐突すぎて状況の把握ができない。

    八幡「あの……川崎さん……?」

    川崎「……えっ? あっ!」パッ

    川崎「いや、これは……!」ワタワタ

    川崎「は……離れられると……困るから……」カァッ

    八幡「」

    何これ、深夜テンションってやつ? 今日の川崎さん可愛すぎだろ。戸塚が世界一可愛いと思ってたけど、これはいい勝負行くんじゃね? 川崎ルート直行するんじゃねぇの?

    川崎「……ダメ、かな」

    八幡「別にダメじゃねぇよ……。ほら、さっさとプリント取って来い」プイッ

    ダメだ、まともに顔見れん。

    837 = 814 :

     

    838 = 15 :

    ガララ

    八幡「……とりあえず、目的を果たせてよかったな。もう一回二年やる事にはならなそうだ」

    川崎「あんたのおかげだよ。今日だけで何回も言ってるけど、ありがとね」

    八幡「別に大した事はしてねーよ。ほら、帰るぞ」

    川崎「あ……その……」

    八幡「ん?」

    川崎「その……ね……」モジモジ

    八幡「何だよ?」

    川崎「…………」スッ

    無言で俺の後ろを指差す。そこはトイレだった。ああ、なるほど。トイレに行きたかったのか。確かにそれは言えんわな。

    840 :

    ひらつかわいい④

    841 :

    八幡「わかった。ここで待ってる」

    川崎「……勝手に帰らないでよね?」

    八幡「安心しろ。そんな事しねーから」

    まぁやられた事はあるんですけどね。修学旅行の班別行動の時、みんなでトイレ休憩って事で用を足して、外に出たら誰もいなかったっけな。一瞬俺だけ異次元に飛ばされたのかと思ったわ。

    川崎「絶対だよ?」

    八幡「わかったから」

    川崎「…………」タッタッタッ

    843 = 15 :

    あれ?

    俺何か大事な事忘れてない?

    忘れちゃいけない何か……。プリキュアの予約はしたよな……。玄関の鍵もちゃんとかけたし……。

    いや、そんなんじゃない。

    八幡「……あっそういや、ここ二階じゃん」

    川崎「きゃあっ!?」



    五、夜の二階のトイレの鏡に見知らぬ誰かが映る事がある。



    845 = 15 :

    川崎「……っ!」

    女子トイレから一人の女子が無言でダッシュしてくる。誰なのか知らなかったら怖いだろうな。いや、正直誰か知ってても怖いっす。川崎大臣っす。落選しろ。

    川崎「……っっ!! ……!」

    涙目で何かを訴えかけてくるが、それは最早声になっておらず、ただ手をブンブン振り回している川崎沙希の姿が、そこにはあった。

    八幡「とりあえず落ち着け」

    川崎「…………」

    あっすぐに静かになった。

    847 = 15 :

    八幡「すまん、七不思議のやつ忘れてたわ」

    川崎「突然、見覚えのない女の人が鏡に出てきた……」ガクガク

    八幡「まぁ、男じゃなくてよかったんじゃねぇの?」

    川崎「そういう問題なの?」

    八幡「幽霊だってトイレにくらい行きたくなるんだろうよ。むしろ変態じゃなくてよかったじゃないか」

    川崎「ゆう……れい……」ガクガクガクガク

    しまった、逆効果だったか。

    八幡「それか見間違いだろ。怖いって思ってると、本来見えない物も見えるらしいし」

    川崎「でも……七不思議で……」

    八幡「そいつも見間違えたんだろ」

    とりあえずそれで納得させるしかない。

    849 = 15 :

    ビクッ

    八幡「!」パッ

    悪寒がして振り返る。そこには誰も見えないが、俺のぼっちセンサー(対視線用)は反応した。

    今、後ろに、誰かがいた。

    そしてその誰かが、こっちを見ていた。

    川崎「どうした?」

    ……気のせい、だろうか。

    八幡「……いや、何でもない」

    850 = 822 :


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