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    元スレ祥鳳「ここは、はずれの鎮守府ですから・・・」

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    201 = 1 :

     きちんと整列した艦娘達が次々に桟橋から海へと降りていく……が、

    名取「ふわわわわっ!?」

    長良「名取!? しっかり!」

    古鷹「加古、大丈夫?」

    加古「お、おお、だ、だいじょぶだいじょぶ……」

     言いつつ、加古は機関を始動させずに海面を足を上げて地面のように踏んで歩いていた。

    提督「……いや、今は言うまい」

     彼女らの言う言葉の片鱗を、提督は感じ始めた。頭の片すみに燻っていた予感がひょっとしなくても、くらいの大きさに変わっていく。
     だが止めてはいけない。予感が正しいとすれば、それらすべてを見届けねばなるまい。
     考えている間にも状況は進んでいく。紆余曲折を経つつもどうにか艦隊は指定位置に着いたようだ。加古はそのまま歩くように移動している。

    長良「青艦隊、配置につきました!」

    古鷹「あ、赤艦隊、配置につきましたっ!」

    提督「よし、それでは、演習開始!」

    202 = 1 :

     提督の号令で一斉に動き始めた両艦隊だが、まずは陣形構築からして滅茶苦茶だった。

    古鷹「えっと、各艦単縦陣にて航行します! 並び順は、えっとえっと!」

    由良「古鷹、おちついて!」

    長良「複縦陣で敵艦隊の攻撃に備えます!」

    加古「ふくじゅう……?」

    若葉「しっかりしてくれ加古さん!」

     陣形を構築するのにかなりの時間を要した。移動がなってない加古は言うまでもなく、巡洋艦娘達は体がなまってでもいたのかふらついてばかりいる。何度も駆逐艦娘に支えてもらいながらの陣形構築になった。

     そしてそこから先は、目も当てられない状況になった。

    長良「砲雷撃戦、始めっ!」

     長良の号令で一斉射を行う中、

    名取「ひあああああ!?」

     名取が砲音におびえ、一射も撃つことなくその場にうずくまり、

    203 = 1 :

    加古「お、おおおおわああああ!?」

    由良「きゃっ!」

    古鷹「きゃあ!?」

     砲撃の反動を制御できずに後ろにすっ転ぶ。

    子日「うりゃあ~!」

    初春「止まって撃つなら、妾にだって!」

    初霜「撃ちます!」

    若葉「バカっ、射程距離くらい考えろ!」

     訓練をしていた駆逐艦たちはかろうじて砲雷撃戦をこなしていたが、距離や照準の取り方はさっぱりだ。
     そうして各艦隊が動くこともできずにじたばたとして、お互いの弾が尽きたころ。

    提督「そこまで。全員帰ってこい」

    204 = 1 :

     呼ばれて帰ってきた艦娘達は海水で頭からつま先までぬれ鼠だった。そして皆、一様にばつの悪そうな顔をしている。

    提督「全員、体を拭いてきなさい」

    長良「あ、あの、司令官……」

    提督「風邪をひく、早くしろ。終わったら各自休憩を取って、ヒトフタマルマル全員執務室に来るように」

    提督「鬼怒と名取は食事に関しては気にするな、何とかする。以上、解散」

     提督は静かに告げるとその場を足早に去って行った。後に残されたのは、落胆した表情の艦娘達と、

    祥鳳「………」

     飛ばしていた艦載機を回収した、ただただ淋しげな表情を浮かべて提督を見送る祥鳳だった。

    ―――――
    ―――

    205 = 1 :

     本日は以上とさせていただきたく。難しいですね、ダメダメっぷりを書くのは……もう少し分かりやすく書ければいいのですが……ともかく、戦闘が全くできない艦娘たちなのでした。誰がどうできないかはまた追々……

     さて、書き溜めが9割方尽きましたので、明日はお休みになるかと思われ。艦これの方も、明日は終戦記念日ということで、遠征のお出迎え以外は基本的にプレイしない方向で行こうと思います……終戦の日くらい、鎮守府でゆっくりしてもらいたいですので。
     その間に、私は書き溜めを進めていこうと思っております。がんばって面白い物書くから、見捨てないでぇえええ!(比叡並感)

     失礼、では今夜はこの辺で……

    どうでもいい追記:せっかくリプレイも発売されたので、TRPGやりたいです……(>>1はTRPG好き)

    206 :

    拡張工事なんて安いものですし、しとくべきですよ 今キャンペーンでポイントお得になってますし(ニッコリ)
    ついでに女神とバケツも如何ですか?(ニコッ)

    207 = 195 :

    乙です。
    ついでに今日は「土崎空襲」という日本で最後の空襲があった日です by.秋田県民

    208 :

    スポ根系の序盤ような展開やな、ダメな子が成長していく過程とか凄い好き 
    現行の艦これSSで一番期待しておるでー

    209 :

    乙したー

    TRPG好きとは今時珍しいのぅ

    210 :

    青姦隊?(難聴

    211 :


    艦これTRPGって有った筈 ……やってみたい

    212 = 211 :


    艦これTRPGって有った筈 ……やってみたい

    213 :

    乙です

    艦これRPGは中々再現率高くて面白いですよ!ルールも簡単な方ですし、是非プレイしてみて下さい!(ステマ)

    214 :


    これは酷い……
    そして提督はシスコンか

    215 :

    おつ!
    細かいようだけど、艦これTRPGじゃなくて艦これRPGだね。
    TRPGわかんない人は先にリプレイ買うといいんじゃないかな。

    216 :

     どうも、なんとなくあきつを秘書艦にしてつつきながら書き溜めを作っておりました、>>1です。2日分は書けたかと思います。
     今日は終戦記念日、隼鷹さんの命日も近かったはずなので、このあと隼鷹さんのおつまみをいただきながら一杯やる所存です。ゲームの方も宣言通り、デイリー建造等以外は演習も遠征もしていません。あんな時代が来ないことを切に願います。

     さて、今夜も少し投下して行きましょう。

    217 = 1 :

    ~工廠~

     当の提督は、半ば駆け足で旧体育館へやってきていた。扉を開けると、すぐ目の前に立っている一人の妖精。

    主任妖精「よう、来ると思っていたさね」

    提督「……昨日行ってたのは、そう言うことなのか?」

    主任妖精「さぁ、よくわからんね?」

     とぼける妖精に、提督は静かに話を続ける。

    提督「彼女らは普通の艦娘じゃない、そうだろ?」

    主任妖精「……あんたは艦娘がどうやって作られているか、知っているかい?」

    提督「……いや、詳しいことは、何も」

    218 = 1 :

    主任妖精「ふん、だろうね、提督連中には何にも知らされちゃいないから」

    主任妖精「ま、あんたに教える義理なんか無いんだけどな……資料室にはたぶんあるんじゃないかね、その秘密を解くカギが、さ」

     挑発的な笑みを浮かべているのは、彼を試しているからであろうか。静かに見返す提督との、暫し無言の応酬が続いた。
     が、やがて提督は踵を返して工廠を後にしようとする。

    主任妖精「おい」

    提督「……なんだ」

    主任妖精「あんたの言葉、忘れちゃいねーよな?」

    提督「無論だ。だからこそ、調べに行くんだ」

     言うと、彼は妖精の返答を聞く前に去っていった。

    主任妖精「……そうかい」

    ―――――
    ―――

    219 = 1 :

     提督は執務室に集まった艦娘たちに、やはり待機を命じた。

    提督「今回の結果で、色々と考えねばならんことができた。私はしばらく資料室にこもるつもりだ。その間私に用がある場合は祥鳳に伝えてくれ」

    鬼怒「あ、あの……質問、良いですか?」

    提督「何かな」

    鬼怒「考えることって、たとえばどういう……?」

     恐る恐る聞いてくる鬼怒。皆同じような顔をしている。ここで発言した鬼怒を褒めてやりたいところではあるが、今はそういう場合ではない。

    提督「君たちの実力は分かった。ならそれをどうするかとか、それに伴う資材のやりくりなど……主なところはそんな感じだ」

     ここの艦娘達は、自分たちが普通と違うということを何処まで理解しているか分からないうえ、どう普通じゃないのかこちらが把握していない以上下手な事は言えない。

    若葉「どう、とは?」

    220 = 1 :

    提督「それをこれから考えるんだ……」

     と、ふと気付くと、皆不安そうな顔をしている……無理もない。前任がどれほど彼女らと接していたかはわからないが、少なくとも恐怖を抱いているのは確かだ。提督は「恐怖」の対象である以上、あんな醜態をさらせばどんな罵倒が飛んで来るかもと不安になるのも当然か
     ……少し、言葉が足らなかったか。

    提督「大丈夫だ」

     少しあわててしまっていたらしい。

    提督「安心していい、悪いようにはしないから」

    子日「ほわわわ!?」

    初霜「ふわっ!?」

     ちょうど正面に立っていた初霜と子日の頭をなでてやる。出来る限り声音は柔らかくしたつもりだ……あまり得意ではないので自信はないが。

    221 = 1 :

    提督「まぁ、そう言うことだ、解散」

    提督「ああ、由良、古鷹、すまないが資料室はしばらく借りさせてもらうぞ」

    古鷹「は、はい!!」

    提督「おっと、昼食だが……」

    鬼怒「やっぱり私たちが作ります!」

    名取「か、簡単なものしかできませんけど!」

    提督「そうか? では頼む」

     そのまま艦娘たちは執務室を後にした。一人になった提督は、しばらくしてから応接ソファに座りこみ、深く息をついた。
     うまく恐怖を与えないようにできただろうか。そうでなくても彼女らは提督を恐れているのだ、どうにか怖がらせないように信頼を得なくてはいけない。

    提督「……厳しいなぁ」

     そういうのはあまり得意ではなかった。と言うより、経験がなかった。士官学校で習ってきたことは戦術と鎮守府運営の基礎、艦娘の運用方法くらいだ。育て導くともなるとそれは個人の資質になってくる。
     しかし、士官学校の卒業生全員が提督になれるわけではない。成績上位をキープできる実力と、そう言った諸々の資質を兼ね備えていると判断された生徒のみが卒業後すぐに提督に着任できるのだ。

    222 = 1 :

     ちなみに他の卒業生は提督就任可能な予備要員として記録され、鎮守府運営の補佐を行う職員になるのが普通だ。中には技官として妖精の補佐をするような生徒もいる。あくまで噂だが、そんな生徒がそのうち妖精になってしまうなどと言う話もまことしやかに語られているが、事実かどうかは定かではない。
     しかし、

    提督「そんな資質があるとも思えないんだがな……いや、だからこの鎮守府に配属になったのか……?」
     
     座学の成績なら上位をキープしていた。そういう意味では提督になる資格はあるのだが、そういった資質は無い。しかし提督にしないのは惜しいから適当に飛ばされたのだろうか。

    提督「なんて、考えたも仕方ないな……今は艦娘の事だ」

     提督は学生時代の座学演習の記憶をひも解く。
     艦娘と言うのは艦の魂を宿した人間の娘で、資質があれば艤装と呼ばれる兵装を装備して海面を滑るように移動しながら戦闘を行うことができる、現状、深海棲艦に対抗できる唯一の手段となっている。
     しかし思い返してみれば、その開発ルーツや艦娘になる方法、着任した艦娘がすぐに戦闘を行える理由などはきちんと習った覚えがない。

    223 = 1 :

    提督「つまり、ここを知る必要があるわけだな……」

     そうと決まれば、

    提督「資料室に籠ってみるか」

     果たして士官学校で習うことのない――提督に知らされないようなことが鎮守府の資料室にあるかは分からない。分からないが、主任妖精はあるといったのだ、今はそれを信じるしかない。

    提督「さしあたっては、腹ごしらえだな……」

     すぐに動きたいところではあるが、ここは大人しく名取達お手製の昼食を待つことにした。

    ―――――
    ―――

    224 = 1 :

     本日は以上とさせていただきたく。最近文章が荒れてますね、集中力欠如中ですかなorz もっと読みやすく書ければよいのですが……皆様にはご苦労をおかけします、申し訳ない。

     イベントですが、明日はE-3をさくっと終わらせてE-4に挑みたいと思います。E-6に行けるほどの戦力は無いので、E-5まで行って雲龍さんをお迎えしたいと思います。空母好きとして、逃すわけにはいきませんから。

     明日の更新は……がんばってみます。が、書き溜め的にお休みしたいところではあります。来なかったら、「ああ、書き溜め書いてるな」と思って明後日までお待ちください、申し訳ない。

     ではまた……

    225 :

    おつ
    投下は自分のペースでええんやで

    226 :



    無理して体壊したら事だし
    のんびりでいいのよ

    228 :

     どうも、E-3のバケツ消費に恐怖しております、>>1です。

     結構まとまった量の書き溜めが出来ましたので、今夜も少し投下していこうと思います。

     と言っても、少々短めです。次の場面が無駄に長いので、わけ無いと(書き溜め的に)厳しいので、ご容赦いただきたく。

     では、少しだけですが投下します。

    229 = 1 :

     その後、提督は昼食もそこそこに資料室にこもり始めた。しばらく出て来る気

    配はなく、艦娘達はやることもなく待機するしかなかった。由良や古鷹は仕事場

    がないので手持無沙汰である。

    古鷹「………」

     しかし、古鷹が資料室の前で佇むのはただ手持無沙汰だからというわけではな

    さそうだ。

    祥鳳「提督にご用ですか?」

    古鷹「あ…祥鳳さん」

     古鷹はいたずらが見たかったようなばつの悪い顔をするが、祥鳳は軽く笑みを

    見せ、

    祥鳳「別に怒りに来たわけじゃないですよ」

    古鷹「あ、あはは……」

    祥鳳「それで、こんな所でどうしたんですか?」

     恥ずかしそうに頭を掻きながら、古鷹は言う。

    230 = 1 :

    古鷹「えと、なんだかじっとしてられなくて」

    祥鳳「じっとしてられない?」

    古鷹「はい、だって……」

    名取「あ、祥鳳さん、古鷹さん……」

     古鷹が何か言いかけたところに、今度は名取が現れた。やはり夏の悪そうな顔をしている。これには祥鳳は少し苦笑する。

    祥鳳「あなたも、提督にご用ですか?」

    名取「あ、あの、用というわけではないんですけど……なんだか、じっとてしてるのが、なんだか悪いというか……」

    古鷹「そう! なんだか悪いような気がして……」

    祥鳳「提督に、ですか?」

    若葉「なんだ、皆考えることは一緒なのか」

    初霜「こうなると、なんだか出遅れた感じがしますね」

     言っている間にも、今度は若葉と初霜がやってきた。遅れて、初春と子日もやって来る。

    231 = 1 :

    初春「ほれ、妾の言うたとおりじゃろ? みな考えることは同じということじゃ」

    子日「子日、遅刻の日ぃ?」ネノネノ?

    加古「やっぱ皆来るんだなぁ、ま、あたしも来てるくらいだもんな」

    鬼怒「よかった、鬼怒だけじゃなくて」

    由良「ふふ、じっとしてられないのはみんな同じなのね」

    長良「なんか、気持ち悪いもんね」

     続々とやってきて、全員が資料室の前に集合してしまった。生徒数はあまり多くなかったのかこの鎮守府の廊下はあまり広くないので、少々手狭だ。

    祥鳳「皆……提督の事を?」

    加古「あー、ほら、あたしら落ちこぼれも同然じゃん?」

    鬼怒「あんなヒドイ演習したのに、提督ったらすごく一生懸命になってくれてるみたいだしさ」

    長良「長良たちも、なんだかがんばらなくっちゃ、って思って」

    初霜「そしたら、なんだかいてもたってもいられなくなっちゃって」

     そう言う艦娘達は、嬉しそうな、恥ずかしそうな笑みを浮かべて並んでいる。

    232 = 1 :

    祥鳳「……どうして…?」

     問う祥鳳に答えたのは、名取だった。

    名取「私達、みたいな、お、落ちこぼれに……まっすぐ、向き合ってくれ、ました……」

     自信のない声で、臆病な彼女は必死に声を紡いだ。

    名取「私達、何にも、で、できないけど、それでもっ! こんな私たちのため、に! がんばってくれてる人に、何か、したいんですっ!」

    祥鳳「名取さん……」

     見回せば、皆が笑って頷いていた。
     皆が、提督に心を開いているのだ。この、短時間に。提督という存在への恐怖を払しょくして、その人に何かをしてあげたいと、そう思わせたのだ、彼が。
     ……本当に、ありがたい人、なんですね。

    祥鳳「……わかりました」

    祥鳳「皆さんの気持ち、私が伝えてきますね」

    若葉「祥鳳さん……」

    祥鳳「でも、ここに大勢つめかけたら少し騒がしいですから……私の部屋でゆっくり考えましょう?」

    初春「そうじゃな、あまり騒がしくては提督殿に迷惑じゃしのう」

    祥鳳「先に行っててくださいね、私は提督に話をしてきますので」

     そういうと、少しはしゃぎ気味の艦娘達を見送って、祥鳳は資料室へと足を踏み入れた。

    ―――――
    ―――

    233 = 1 :

     本日は以上とさせていただきたく。次回は祥鳳さんが……まぁ、ようやくスタート地点に立つといいますか、長々しく時間かけ過ぎですな……反省です。

     案外、E-3って厳しいですね、あと一回がなかなか届かない……対空稼ぎに連れていってるあきつがよく中間さんにワンパン大破くらうので。良く見たらまだ改装が済んでませんでした……反省

     次回も明日の夜になるかと思います。ではまた……

    234 :


    E-3も詰まる人は詰まるらしいから・・・
    前の海域に比べりゃマシだが楽勝ではないよな

    236 :

    乙 E3 Mi作戦か
    幼女と道中とかいう二つの壁を攻略せんといけない

    239 :

     どうも、例のコンビニで「まだ瑞鶴残ってたりするかなー」と、寄ってみたら物の見事に完売しておりました。横にあるP3の一番くじはずっと残ってるのにこの差は……と、割とペルソナも好きだったりします、>>1です。と言っても4のアニメを見ただけのにわかですが。

     無課金と課金の間で揺れておりますが、今夜も投下していきます……

    240 = 1 :

    「しかし、結構な量があるな……」

     机の上に山と積んだ本の間に埋もれるように提督はいた。開けては積み、積んでは開いて、何事かをノートに書いては消して、頭を抱えてまた書いて……そんなことをずっと続けていた。
     こんなに勉強じみた事をするのは士官学校の定期考査以来だろうか、ペンを持つ手が少し痛い。

    提督「……ふむ、少しはまとまったか……」

     ずっと艦娘について調べていた。運用とか戦術とかではなく、もっと根本的な艦娘という存在についてをもっと深く掘り下げる。
     学校で習った範囲では、艦娘は着任した時点で基本的な艤装の扱いや戦闘方法を一通り身に付けているのが常識だった。その後、艦隊運用していくうちに練度が上がり強力な艦娘へと成長するのが普通なのだ……教科書上は。
     しかしここの艦娘の大半はその基本的な部分が身についていない。ただただ常識はずれなだけなのか、いやそもそも、

    提督「艦娘達はどこで艤装の扱いを学ぶんだ?」

     魂を宿したとは言う物の何故そんなことが分かるのか、艤装ができた開発経緯は、年齢に差が生じるのは? わからないことだらけだ。

    提督「そこに、答えがあるのか…?」

    241 = 1 :

    提督「あー、ダメだ、考えが煮詰まってきたぞ…」

    祥鳳「では、お茶でも淹れましょう」

    提督「うわっ! しょ、祥鳳……いたのか」

    祥鳳「ちゃんと一声かけてから入ったのですが……」

    提督「すまん、全然聞いて無かったよ……」

     苦笑する祥鳳は奥へ引っ込むと、しばらくしてからお盆を持って出てきた。上には湯気の立つ湯のみが載せられている。

    祥鳳「本当はちゃんと葉っぱから入れた物の方が美味しいんですけど」

    提督「いや、構わないよ」

     湯呑を受け取り一口口に含む。茶葉の香りがすっと抜けて頭が少しすっきりする。インスタントとはいえ、誰かに入れてもらった茶は美味いというのは本当らしい。

    提督「落ちつくな……ありがとう。それで、何か用かな」

    祥鳳「あ、はい、他のみなさんについてなのですが」

    242 = 1 :

    祥鳳「自分たちに、何か出来ることはないか、と」

    提督「ああ、そうか……やることがないのか……」

    祥鳳「というより、提督の力になりたい、と」

    提督「俺の?」

    祥鳳「自分たちみたいな落ちこぼれと真っすぐ向き合ってくれる提督に、答えたい……そう言っていました」

    提督「そんな、ことを……」

    祥鳳「………提督、私からも、良いですか?」

    提督「何だ?」

     祥鳳は、視線をさまよわせ、ためらうようにしばらく口ごもり、

    祥鳳「なぜ、提督はそこまで一生懸命なのですか?」

    祥鳳「なぜ、私たちみたいな落ちこぼれのためにがんばるのですか?」

     問うた。

    提督「なぜ、か……俺にとっての最初の部下だから、じゃダメなのか?」

    祥鳳「だからって……私たちは、欠陥品なんですよ?」

    提督「……欠陥品?」

    243 = 1 :

    祥鳳「提督が今、調べようとしていることを、私はお教えできます」

     欠陥品。何とも不穏な響きに聞こえた。そしてそれが、彼女らの秘密なのだろう。
     が、

    提督「いや、もう少しがんばってみるよ。答えを聞いたんじゃ意味がないしな」

    祥鳳「ッ……何故ですかッ!?」

    提督「祥鳳?」

     何かが決壊したかのように、祥鳳は吐き出すように言う。

    祥鳳「だって……だって、艦娘なのに……知っていること、できること、全部知ってて、知っているからこそ艦娘なのに……ッ」 

     お盆を抱きしめ、こらえるように身をまげて、

    祥鳳「それがない私たちなんて、艦娘じゃ無い! 人でも、艦でもない艦娘の、その艦娘ですらない私たちは……一体何なんですかッ!!」

     溢れる涙を拭きもせず、提督に言葉をたたきつける、

    祥鳳「艦娘にもなれないなら、せめて何にも期待せずに消えてしまおうと思っていたのに……なんで! なんであなたはそんなに、まっすぐなんですかッ!?」

    提督「…………」

    244 = 1 :

     その姿が、あまりにも痛々しかったからだろうか。

    祥鳳「諦めてたのに、期待しちゃうじゃないですか!!」

    提督「……そうか」

     だから、思わず抱きしめていた。

    祥鳳「ッ!?」

    提督「…前に、君が言ったこと、憶えてるか?」

     問う提督は答えを待たない。

    提督「『出来ることしか知らない』、そう、艦娘ってのは艦でもなく人でもない何かで、所詮はただの兵器なのかもしれない」

     だから、兵器としての役割を果たすための知識を持たない『欠陥品』は、兵器でもないただのがらくたなのかもしれない。
     それでも、

    提督「『出来ることしか知らない』なんて、そんなの人間だって一緒じゃないか」

     人も、できるコト、知っているコト、それ以上の事を知りえないのだ。が、しかし人間と兵器は違う。

    提督「ここにきて大した時間は経ってないけど、艦娘達と触れ合って分かった。君たちは兵器である以前に、一人の人間だよ」

    245 = 1 :

     泣いて、笑って、怒って、失敗だってする。だが艦娘は"艦"であり"娘"なのだ。唯の兵器にはあり得ない要素を、艦娘達は持っているのだから、

    提督「学べばいいんだ。知らないことを学んで自分の物に出来るのは、兵器にはできないことさ。でも、君たちにはきっとできるはずなんだ」

    祥鳳「私なんて……最初に沈んだ空母なのに……」

    提督「それは艦娘の「艦」の部分、の、過去だ。今の君は沈んじゃいない」

    祥鳳「運用できる艦載機だって少ないですし」

    提督「練度を上げればどうにでもなるさ」

    祥鳳「妹に比べて運も無いですし」

    提督「実力でひっくり返せばいい」

    祥鳳「………もう、どうして全部否定しちゃうんですか」

     泣き笑いの声で祥鳳は言う。

    祥鳳「なんだか、どうにかなってくる気がしてくるじゃないですか」

    提督「なぁ、今祥鳳は一つ学んだんだ、分かるか?」

    祥鳳「え?」

    246 = 1 :

     抱きしめられている今、祥鳳は提督を見上げる形になる。提督も祥鳳の顔を見て言う。

    提督「世の中、こんな提督もいるってことさ」

     何のことはない。祥鳳だって艦娘なのだから、知らないことは知らないのだ。しかし、今、知った。一歩前に進んだのだ。

    提督「それにな、ここはもともと学校だったんだろ? なら学ぶには最適の場所だとは思わないか?」

    祥鳳「……ふふっ、言ってる事かなり滅茶苦茶ですよ?」

    提督「ついでにもう一個学べ、物は考えようってことだよ」

    祥鳳「ふ、ふふふっ……そうですね!」

     提督から離れて一歩下がり、祥鳳は笑う。

    祥鳳「ありがとうございます、提督。私、嬉しい!」

    提督「うん、そっちが祥鳳の素なんだな」

     さっきまでとは打って変わった、愁いの晴れたきれいな笑顔に、提督の顔もほころぶ。

    247 = 1 :

    祥鳳「提督こそ、そっちの口調が素なんですね?」

    提督「え? ……あ」

     いたずらっぽく笑う祥鳳に、はっとなって提督は口を押さえた。
     祥鳳がやってきた時に驚いて気を抜いてしまったようだ。艦娘達の前では少しだけ作った話し方をしていたのだが、失念していたらしい。

    祥鳳「本当は"俺"なんですね、提督」

    提督「ぐ………………秘密だぞ?」

    祥鳳「ふ、ふふふ、あははは! はい、秘密ですね!」

    提督「元気になったとたん良く笑うようになりやがって……」

     ばつの悪そうな提督をみて、また少し笑う祥鳳。そしてさらにふてくされる提督に、やっぱり笑ってしまう祥鳳。そんなコントみたいなやり取りをしばらく続けた。

    ―――――
    ―――

    248 = 1 :

     本日は以上とさせていただきたく。この辺無駄に筆が走ってましたwww 少々展開早い気がしなくもないですが、物語としてはこれくらいの方が間延びしないで良いかと思う>>1であります。

     あと……あと5点だったのに……何故外した! 金剛ッ!? キラ付けだってタダじゃないんだからな!? 第2艦隊に配属した戦艦&重巡が仕事しない件。やはり軽巡駆逐じゃないと行かんのか……悩ましいところです。

     次回の投下もまた明日の夜ということになりそうです、ではまた……

    249 :

    おつ
    落ちこぼれの艦娘逹と彼女逹を立ち直らせる為に奔走する提督
    実に素敵な青春ドラマだ

    250 :

    おっつ


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