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    元スレ祥鳳「ここは、はずれの鎮守府ですから・・・」

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    601 :

     どうも、時間がないときほど筆がはかどるという現象を身をもって体感しました、>>1です。

     連休があったのにぜんぜん書き溜め作らず、忙しくなってからどたばた書いたらめっちゃ書けたという……これがライターズハイか()

     それでは今夜も少し投下していきます

    602 = 601 :

     通された艦内は様々な機械で埋め尽くされていた。そのほとんどは食品製造用の物で、他にも見かけたものなら艦内農園や屠畜施設などもあってさながら移動食品工場だ。
     そしてそれらを運用しているのは全て妖精だ。この場合は艦娘の装備品に憑く妖精で、ちょこまかと機械の間を走り回っていた。これだけの数の装備を一度に制御しているというから間宮と言う艦娘は規格外である。無論、全員と言うわけではないのだが。
     そんな艦内施設に圧倒されるその後ろ、

    満潮「……ねぇ、人間って海面に浮けたっけ?」

    「無理……だったはず……だと思う」

    五十鈴「間違えちゃだめよ二人とも……普通は無理」

    如月「ふふ、五十鈴さんそれ遠回しにあの提督さんが普通じゃないっていってるわ」

     何やらひそひそと良く聞こえる会話に提督は思わず苦笑する。

    祥鳳「普通はこういう反応ですよね」

    加古「慣れって怖いよなぁ……」

     そうこう言っているうちに間宮の先導で一行は船の前方甲板に到着した。船に船が乗っているというなんとも不思議な光景だが、昨今では珍しくもなくなっていることだ。

    子日「うわぁ、おっきいよーぅ!」

    初霜「うわぁ、海が遠いです!」

    由良「こうして船の上に乗るのはいつぶりかな」

    間宮「それでは動きますので、足元にお気をつけくださいね」

     はしゃぐ駆逐艦たちに微笑むと、間宮は表情を改める。先程までの柔らかな表情は成りを潜め、集中している真剣な顔になった。

    間宮「機関始動、両限微速進路そのまま」

     足元から重厚な音が響き、ゆっくりと動き出す。進路は鎮守府からすこし離れた岩場付近だ。

    603 = 1 :

    加古「お、おい、このまま行くとぶつかるんじゃないのか?」

    名取「あ、あのあの、進路大丈夫ですか!?」

    五十鈴「ふふふ、大丈夫よ。まぁみてなさい」

    満潮「なんでアンタが偉そうなのよ・・・・・・」

     心配して騒ぐ端野の艦娘たちをよそに、間宮は岩場へ真っ正面から接近していく。

    提督「そろそろ海底が浅くなる。このままだと座礁するが・・・・・・」

    間宮「大丈夫ですよ。・・・・・・深海式掘削機構起動します」

     一度目を閉じ、集中してカッと開く。重厚なエンジン音にキィィイと甲高い音が混ざり始めた。皆が何事かと周囲を伺う中、

    長良「光?」

     気づいたのは長良だった。
     舳先の方、海面から光の粒子のような粒が散っている。淡い青の光は陸に近づくにつれ増えて行くようだ。

    提督「この光は・・・・・・まさか」

    五十鈴「そうよ」

    五十鈴「これが深海棲艦を研究して開発された深海式掘削機構。この間宮さんにだけ搭載された新技術よ」

     言っている間に船体は岩場へ到達した。覗き込めば、船体の表面に力場のようなものが発生しており、そこに陸地が触れることで光になっているのが見える。

    提督「実践配備外も含めた一番良い間宮……こういうことか」

    604 = 1 :

     曰く、今後艦娘勢力が海外進出を果たした際、港の無い場所に補給物資を届ける必要があるかもしれない。
     もちろん揚陸艇等を使えば良いのだが、長期的な運用を行う拠点を築くのには不便だ。そこで注目されたのが敵である深海棲艦のもつ「陸を削り取る」能力だった。
     通常サイズの艦艇に積んで陸地に突っ込ませれば、船一隻がちょうど収まる入り江が出来る。そこに軽く施設を整えれば簡易の港が完成、そこからさらに整えていけば泊地の完成という寸法……らしい。

    間宮「少し狭いので、広げておきましょうか」

     奥まで削りきって、どう動いているのか横へ滑るように移動して入り江を拡張する間宮。
     そうして、瞬く間に船二隻が停泊できる入り江が出来てしまったのだ。

    ―――――
    ―――


     入り江から鎮守府までは少し歩かねばならなかったが、大発を使ってのピストン輸送に比べれば圧倒的に効率よく補給を済ませることが出来た。補給艦は次の鎮守府を目指して出港、五十鈴たちは護衛を他鎮守府の艦娘たちに引き継いで端野に戻ってきた。
     艤装の点検も兼ねて少しの間停泊したいとのことだ。
     そして、もろもろの作業が終わり、食事の時間となった。

    間宮「はい、どうぞ」

    初春「おお、これは」

    古鷹「すごい・・・」

     食堂に満ちる香辛料の香り。誰でなくともそれだけで涎が出るであろうその香りのもとが各々の前に並べられていた。

    間宮「間宮秘伝の特製カレーです。お口に会うとよいのですが」

    提督「・・・・・・いただこうか」

    一同「「いただきます」」

    605 = 1 :

     スプーンをとって、一口食べる。

    鬼怒「こ、これは・・・・・・!」

    長良「おいしい!」

    提督「これは魂消たな・・・」

     口に入れた途端、カレー独特の風味が一杯に広がった。しかしそこで終わらずジワッと舌に広がるコク、染み出した具の旨味がご飯によく絡む。そして具もルーが染み込んだよく煮込まれた大振りなものだ。

    由良「これ、すごく美味しい!」

    加古「ああ! 鬼怒や名取にも負けてないな! おかわり!!」

    古鷹「はやっ!?」

    若葉「むっ、わたしも負けてはいられないな」

    初春「なぜそこで張り合うのかのう」

    初霜「でもこれ、本当に美味しいです!」

    子日「子日、感激の日ー!」ネッノヒー!!

    祥鳳「味が芯までしみ込んだジャガイモがまた……おいしいです」

    名取「うぅ……おいしい、です……」

     皆が納得するおいしさに、名取と鬼怒も認めざるを得なかったようだ。本当においしいカレーだった。

    間宮「誰もが納得する、自分だけのカレーができて始めて間宮としての第一歩なんですよ、お口に合ったようで安心しました」

    長良「お、オリジナル……」

    鬼怒「これが、給量艦の実力……!」

    提督「…………」

     舌鼓を打ちつつもスプーンを握り締める鬼怒と名取に不穏なものを感じながらフォローの方法を考えていた提督だったが、しかし火種は予想だにしないところから飛び出したのだった。

    ―――――
    ―――

    606 = 1 :

     ちと少ないですが、引きがいいので今回は以上とさせていただきたく。ダメ間宮さんも悪くないですが、この間宮さんには鬼怒名取の代わりに働いてもらわねばならないのでまともな艦娘として出させていただきました。期待していた方には申し訳ない

     皆様秋イベの準備は進んでおられますでしょうか? こちらは現在各資材3万程度、できればもう1~2万ずつためたいところですね。今度の海域突破報酬は何が来るのか楽しみな>>1です。もっとも、この>>1は史実ぜんぜん知らない無学なので何がこられてもよくわからないんですけどね

    607 :


    こんな特殊能力を持ってる間宮さんを配備できる友提督とは一体何者なんだ
    イベントでは秋月と海外重巡は確定っぽい?(大型建造のおかげで資源は)ないです

    608 :

    この新技術、強襲揚陸艦に搭載したらあっという間に港湾要塞消滅兵器に変わるな

    612 :

    環境アセスメントとは一体何だったのか

    613 :

    乙です
    明石・夕張・あきつ丸にもこれ装備させたら良さそうだな

    614 :

    なーんかこの提督も実験的くさいしそういう意味でもこの間宮が来たんじゃないのかね

    615 :

    端野は実験的な鎮守府だった・・・?

    617 :

    深海連中が出張ってきたらそれどころじゃないで
    戦時特例よ(適当

    618 :

     どうも、先日艦これ缶バッジのガチャをまわしたら中身間違ってました、>>1です。第2弾をまわしたはずが、中身が第1弾だったんですねー。近くの店員に報告して返金してもらい、改めて別のものをまわしたら長良が出ました。やったね。

     では今夜も少し投下していきませう

    619 = 618 :

     全てを見ていてなおかつ一番冷静だった初春の話を纏めると、ことの発端は満潮

    の発言によるものらしい。
     曰く、満潮がこの鎮守府がボロいだの何だのとこぼし、それを聞いた若葉が我が

    家を馬鹿にするなと怒ったらしい。
     それを止めに入った初霜も提督についての発言に怒りを覚え、なぜか子日に飛び

    火し、何事かとやって来た加古にも延焼したらしい。
     そして、この事情を聴いた五十鈴が演習で決着をつければ良いと言い出すに至っ

    て、事は穏便な収集の着かない所にまでやって来てしまったということだ。

    提督「はぁ……」

     初春の冷静な報告に思わず頭を撫でてまで誉めてしまうくらいには参っていた提

    督は執務室の机に突っ伏していた。ちなみに初春には気安く撫でるなと怒られた。

    顔が赤くなってたのには気づいていない。

    祥鳳「大丈夫ですか?」

    提督「まったく、まさかこんなことになるなんて……」

     祥鳳の差し出すお茶を一口のんで落ち着きを求めた。冷えた緑茶が頭の芯を冷や

    してくれる気がする。

    祥鳳「確かに、勝手に話を進めたことに鬼怒さんたちが怒るのは予測してたんです

    が」

    提督「う……やっぱまずかったよなぁ」

     彼としては少しサプライズで労ってやりたいくらいのつもりでいたのだが、裏目

    に出てしまった。極論を言ってしまえば提督が変な気さえ起こさなければこんな騒

    動にはならなっかということだ。

    提督「はぁぁぁぁ……」

    祥鳳「気を落としすぎてる気がしますよ」

    620 = 1 :

     軽く頭を抱える提督に、少し考えて祥鳳は、

    祥鳳「……いっそ提督公認の演習として実施してしまえば良いんじゃないでしょう

    か」

    提督「え?」

     怪訝な顔をする提督だったが、話を聞くにつれ表情を改めていった。

    提督「そうか……そういう落とし方があるな」

    祥鳳「どうでしょう?」

    提督「フォローの必要もあるだろうが、このままにしておくよりはずっと良い。そ

    れでいこう」

    祥鳳「ふふ、お役に立てたなら何よりです」

    提督「ああ、感謝するよ祥鳳。ありがとう」

     そう言って提督が何やら書類を用意し始めるのを見て、祥鳳は何も言わずにそっ

    と机を離れるとお茶の準備をしに執務室をあとにした。
     今夜は少し長くなりそうだった。

    ―――――
    ―――

    621 = 1 :

     そして迎えた次の日。演習場には友提督の遠征艦隊と端野の有志で編成した艦隊

    が向かい合っていた。

    提督「本当にやるんだな?」

    若葉「当たり前だ。ここは我が家のようなものだ、それを愚弄されて黙って引くこ

    とはできん」

    初霜「私も、提督をバカにされて平気でなんていられません!」

    子日「子日だって怒るんだよーぅ!」

    加古「あたしも、ちょっと引けないんだよね」

     提督の問いに、四者四様の答えで迷いなく答える。分かってはいたが梃子でも動

    くつもりはないらしい。

    五十鈴「ふふっ、愛されてるのね」

     対して、五十鈴は愉快そうに笑って立っていた。

    「やっぱり流石にあれは言い過ぎだよ満潮……謝った方が良い、と思う」

    満潮「ここの提督がどうかはともかくここがボロっちぃのは事実よ、そこは撤回し

    ないわ」

    「ああもう……曙といい満潮といいどうしてこうなのかなぁ」

    如月「そうよぉ、潮風はお肌にも髪にも悪いのに、いやねぇ」

    「如月も如月でこの調子……うぅ、今日ほど漣が恋しくなったことはないよぉ…

    …」

    622 = 1 :

     友提督側の方も、端野の艦娘たちほど闘志に満ちている様子ではなかったが概ね

    やる気のようだ。
     取り合えず準備よしと判断して、提督は声を張った。

    提督「それではこれより、呉第四艦隊所属遠征隊と端野鎮守府臨時編成艦隊による

    演習を行う。制限時間内に砲雷撃戦を行い、演習規定に従って勝敗を決定する。実

    戦に則って轟沈判定の下されたものはその場でリタイアとし、引き下がること。ま

    た、簡易の演習であるので夜戦は行わないとする。なお、判定は祥鳳、由良、長良

    、そして私の艦載機による観測のもとで行うものとする。では双方開始地点へ移動

    せよ」

     号令に従って双方の艦隊が海へ出た。練習の甲斐あってか加古も両の足で波を立

    てて航行している。密かに感慨を覚えつつ、両艦隊が位置についたのを確認すると

    、提督は後ろに控える祥鳳たちに目配せして観測機を発進させた。
     そして、艦載機も配置についたところで、

    提督「演習始めッ!」

     火蓋がきって落とされた。

    ―――

    623 = 1 :

     まず動いたのは呉艦隊の方だ。素早く陣形を組み攻撃に備える。この場合は単横

    陣のようだ。
     対して端野側もごたつきながらも陣形を組んだ。旗艦である加古を先頭に置いた

    単縦陣だ。

    五十鈴「バカね! 撃ってくれってことかしら?」

     長良や名取と同じく肩から提げた単装砲を構えて照準を合わせようと腰だめにグ

    リップを握り直す。それにならって、朧たちも各々連装砲や単装砲を構えた。
     状況的には端野側がT字不利ということになる。このままでは先頭の艦から順番

    に各個撃破されるだろう。
     が、しかし。

    如月「え? きゃあ!?」

    「如月!?」

     砲音一つ、如月の顔面を砲弾が直撃した。上半身が塗料でぐちゃぐちゃになる。

    如月「うぅ、髪が傷んじゃう」

    五十鈴「相手は重巡洋艦だったわね……でも、いくら射程が長いといったって一発

    で当ててくるなんて」

    ―――


    提督「加古を全面に押し出して射程距離ギリギリから砲撃を叩き込んだか」

     航行がまだ下手な加古を後ろから押してやることで機動力も多少ではあるが確保

    してある。彼女らなりに考えたようだ。

    祥鳳「如月さん、不意を突かれて大破ですね」

    長良「駆逐艦じゃ重巡の砲撃をもろに食らえば即大破も仕方ないね」

    由良「むしろ轟沈判定もらわなかっただけ幸運ね」

    祥鳳「先手はこちらの有利ですね」

    提督「ああ、そうだな。しかし……」

     そううまくことが進むかな?
     提督は黙って戦闘に目を向けていた。

    ―――

    624 = 1 :

     本日は以上とさせていただきたく。戦闘描写とかあまり書いたことないのでこれまで以上の駄文注意です。ご容赦くださいませ……

     >>616 祥鳳さん珊瑚嫌いなんでありかなーとか思いましたけど、まぁよくないですよね、ええ

     憶測を呼んでいるようですが決して過度な期待はなさらぬよう、プレッシャーで>>1が氏にますので……では、今夜はこの辺で。次回も一週間以内にできればと思っております

    630 :

    読み辛い! 右端折り返し設定のメモ帳に下書きしてからコピペ投下してる?

    631 :

    1は順調に毛根に刺激を与えているかな
    E4が極悪らしいけど

    632 :

    頑張れ1ちゃん、待ってる

    633 :

    特に、読み辛くもないけど…

    634 :

    多分、携帯やスマホだとちょうどよく見えているんじゃないだろうか

    パソの画面だと、途切れ途切れになる

    635 :

    PCだけど、途切れている位置が全部同じなら問題ないな

    逆にワイドモニタだと、改行しないで端から端まで使われると、視界に入りきらなくて読みにくい。
    適当な長さで改行してくれたほうが助かる。

    636 :

    1のやりやすいようにやればいいよ

    637 :

    やっと追いついた。
    レベルソート1ページ目に祥鳳(嫁)、朝潮、古鷹、鬼怒(他は戦艦と伊号)な漏れからするとほんと神SSなんだけど,終わっちゃったのかな…。
    ゆっくりでいいので,最後まで読みたいな。

    638 :

     お待たせして大変申し訳ない……生きております、生きておりますよ! ちょっと行き詰ってますが、生きてますぞ!!

     日曜には投下に足る量が書けるはずなので投下に参ります、今回は生存報告ということで一つ。あと秋イベE-3までクリアしました。資材の関係でE-4は見送りであります。

     では、日曜日にお会いしましょう……

    639 :

    了解

    640 :

    お、よっしゃ~楽しみにしてるで!!

    641 :

    了解です

    642 :

    了解
    待ってます

    643 :

    やったぁ!
    楽しみにしてます!

    644 :

    おぅ大型建造で大和狙いながらまってるよ

    3枠ともぽち~

    645 :

    了解デース
    そういえば大天使古鷹さんが改二ですね

    646 :

     どうも、2週間以上も空いた割に大した量がかけてないことに絶望を感じないでもない>>1です、皆さまお久しぶりです。

     制作意欲の低下とは恐ろしいですな……行き詰るととことん書けなくなる。いただいた小ネタはかなりかけたんですけどね……残念ながらまだ投下のタイミングに至っていないのでお見せできませんが。

     今回は少し満潮が嫌な子として描写されております。満潮ファンには申し訳ない。でもいい子ですから! いい子ですから!! 

     さて、そろそろ投下しますね

    647 = 1 :

    加古「よっしゃぁ! 見たか加古スペシャル!」

     会心の砲撃に思わずガッツポーズを決める加古。海上での砲撃はあまりやったことはなかったが、なかなかどうして行けるものだ。

    子日「やっちゃえーぃ!」

    若葉「まだ油断はできん、向こうの反撃が来るぞ」

     加古の後ろで背中を押す子日もテンションが上がっているようだ。若葉も口ではそういいながらも少し嬉しそうな顔をしている。

    初霜「混乱してるところに、一気に攻め入る……うまくいってくれるといいんですけど」

     初霜は不安げだが、足並みに迷いはない。このまま押しきれると践んだ加古は、

    加古「このまま一気に接近して、魚雷を叩き込むよ!」

    子若初「「「了解!」だよーぅ!」」

     全員で主機の回転をあげてスピードに乗る。巡洋艦や駆逐艦の武装は砲よりも魚雷の方が威力が高い。故に確実に仕留めるなら魚雷の方が効果的なのは授業できっちり習ったところだ。
     ーー提督教わったことをいかさなくちゃ!
     思って両足の魚雷を意識する。提督と子の鎮守府をバカにした付けはきっちり払ってもらうんだから!
     きっ、と。正面に意識を戻した加古の視界の真正面に何かの影が見え、一瞬。

    加古「へ?」

     と思ったときにはベチャッという水音と衝撃が顔面を強打した。

    子日「うわわわわ!?」

    若葉「か、加古さん!?」

    648 = 1 :

     衝撃でくらっとのけ反る加古を必死に支える子日と若葉。突然の衝撃に加古も目を白黒させるばかりだ。
     加古の砲撃をあてにするなら付かず離れずの距離を保つべきだ。上手くすれば正確な砲撃でアウトレンジで圧倒する事も出来ただろう。
     が、如何せん加古の航行は不安定な上、子日と若葉に支えられている状態だ。そこまで細かい動きは難しかった。

    五十鈴「一気に囲んで叩き潰すわよ!」

    「了解、です。負けないんだから!」

    満潮「…了解」

     ごたついて動きの鈍っているの横目に素早く単縦陣に切り替えた五十鈴たちが、回り込むように加古たちの側面に展開する。

    若葉「くっ、この!」

     気付いた若葉が連装砲で牽制を仕掛けるも、加古を支えながらと言うこともあってあまり効果はなさそうだ。

    子日「負けないんだよーぅ!」

    加古「くっそぉー、この!」

    初霜「当たってください!」

     至近弾こそあれど、命中させることができない。飛び跳ねる塗料に気を止めることも無く走る五十鈴たちは、陣形をきっちり維持して側面に展開、

    五十鈴「一斉砲撃! 畳みこんじゃいなさい!」

     一部の迷いもない号令がくだされ、

    649 = 1 :

    「いけっ!」

     朧が気合を入れて叩き込み、

    如月「やり返しちゃうんだから!」

     如月が少々の恨みを込め、

    満潮「…………」

     そして満潮は、なんともつまらないという顔をして打ち込んだ。

    ―――

    提督「……勝負あり」

     勝負はあっという間に決着がついた。
     全身塗料まみれにした加古たちは、未だ水面に浮いている。対して、五十鈴たちも一並びでその場に立っている。

    提督「呉第四艦隊所属遠征隊の勝利だ。両艦隊とも速やかに帰還せよ」

    満潮「……ふん、口だけってことを証明しちゃったわね」

     提督の通信を聞いて、満潮が至極面白くなさそうに鼻を鳴らした。

    満潮「あーあ、時間の無駄だったわ、帰りましょ」

    「あ、み、満潮……はぁ、またそういうこと言う……」

    満潮「何よ、こんなボロ鎮の艦娘なんかロクなもんじゃないんだから気なんか使うこと無いわよ」

     文句でもあるのかといわんばかりの視線を飛ばして踵を返す満潮。

    若葉「…まれ……」

    如月「あら?」

     まだ顔面が塗料で染まっている如月がそれに気づく。

    若葉「黙れぇぇぇぇえええ!!」

    650 = 1 :

     膝をついていた若葉が、連装砲を振りかざして飛び出した。完全に不意を突かれた形になった満潮は、しかしどうにか反応して魚雷発射管を盾のように構えてそれを受け止めた。

    満潮「いきなり何すんのよ!」

    若葉「うるさい! 口を開けばロクでもないだのぼろいだの……よくも知らない奴が勝手を言うなぁぁぁあ!!」

    満潮「……ッ!」

     満潮が気圧されたことでバランスが崩れる。連装砲が振り抜かれて満潮の魚雷発射管がはじかれた。がら空きになった彼女の体に、勢い余って連装砲がすっぽ抜けたのもお構いなしに若葉が拳をたたき込んだ。

    満潮「ぐッ!?」

    若葉「」

    「満潮!」

    五十鈴「ほっときなさい」

    「五十鈴さん!?」

     飛び出そうとした朧を五十鈴が止める。

    五十鈴「あれでいいのよ。全く、満潮も不器用よね」

    「そんな……き、如月」

    如月「んもぅ、髪に影響があんまりないとはいえ塗料まみれのままは嫌よねぇ」

    「……はぁ」

    満潮「ッ! 調子にのってんじゃないわよ!」

     朧が人知れず肩を落とす中、ここで防戦一方だった満潮が一発殴り返した。攻撃優先でがら空きの左ほほへモロに入る。

    若葉「ッぐぅ!」


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