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    元スレ祥鳳「ここは、はずれの鎮守府ですから・・・」

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    651 = 1 :

     よろけて後ろへ下がる若葉。自然と距離が出来、お互いに手を止めてにらみ合いになる。

    若葉「はぁ、はぁ…ッ」

    満潮「はぁ、はぁ……いい? よく聞きなさい」

    若葉「……何だ」

     さすがに疲れたのか若葉も素直に応じた。満潮は少し息を整えると、

    満潮「……弱いやつが何吠えたって意味無いのよ! わかる!?」

     キッと真っ直ぐ若葉を見据えて言い放った。

    若葉「この期に及んで、まだそうやって!」

    満潮「弱いとなんにも出来ないのよ!!」

     若葉の言葉を遮って満潮は叫ぶ。

    満潮「アンタはさっき確実に沈んだわ、なすすべもなくね! わかる!? 沈んだの! 死んだの!!」

    五十鈴「…………」

    満潮「アンタが沈めばアンタの後ろに居る人たち全員がどう思うかわかってんの? あとに残される人たちのこと、考えたことある!?」

    「満潮……」

    満潮「残されることが、どんなに辛いことか……!」

     ぎゅっと胸で手を握って、さらに言う。

    満潮「だから私たちは強くならないといけない、誰よりも」

    提督「…………」

     満潮がゆっくりと若葉に歩み寄る。若葉は何も言わない。無言のままお互いの距離が縮まり、満潮がぐいっと若葉の胸ぐらをつかんだ。

    満潮「それくらいの覚悟で、死ぬ気で強くなりなさい」

     言って、満潮は若葉を無造作に突き放すと、そのまま砂浜へ勝手に帰って行った。

    五十鈴「やれやれね」

    「もう、満潮は……」

     残されたのは肩をすくめる五十鈴や呆れる朧と、

    若葉「…………」

    初霜「若葉ちゃん……」

     気遣わしげな初霜やうつむいたまま動かない若葉たちだった。

    ―――――
    ―――


    652 = 1 :

     本日は以上とさせていただきたく。クオリティ低くてマジでスンマセン……戦闘シーンの練習せねばと思い知るこの2週間でした。

     次々改二が増えますね。扶桑姉妹もいいですが、まさか端野のメンバーからさらに改二が来るとは思いませんでした……少々興奮抑えられない>>1です。
     秋イベもE-3まで無事クリアして、夏に引き続きラストダンスは見送りの方向で……イベント中始めて舞風を手に入れたのでぜひ野分もお迎えしたかったんですけどね……秋月可愛いです(^q^)

     次回の投下のめどは立ってませんが、今回ほど遅くならない予定です。気長に待ってもらえるとうれしい>>1です。
     では、今夜はこの辺で……

    654 :

    ありがとうございます!
    明日は登場人物の古鷹の改二ですね。楽しみです。

    655 :



    気長に待ってる

    656 :

    乙、史実の事があった満潮だからこそ言葉が心に来るな
    続き楽しみにしてます

    657 :

    乙です
    次を楽しみに待ってます

    658 :



    駆逐艦は猛特訓あるのみだね

    659 :

    年末近いし忙しいんかね~ 待とう

    660 :

    どうも、やっと忙しいのが終息しつつある>>1です。この一週間以上まともに艦これ開けてなくて禁断症状出てます、祥鳳さんに会いたいぞ……

    書き溜めも良い量になってきたので、今晩あたり投下に来ます。次回からは(行き詰まらなければ)週一くらいのペースに戻れるかと思われます。

    では、また後程……

    661 :

    了解です

    662 :

    把握

    663 :

     どうも、宣言通り投下しにまいりました>>1です。書き溜めたといっても、大概その8割は1日で書いてたりします。時間があってなおかつ『降りて』来た時が狙い目なんですよねー
     それでは今夜も投下していきましょう

    664 :

    書ける時に書く、それでええねん

    665 = 1 :

     加古たちは五十鈴たちに遅れる形で浜辺に戻り、そのまま一言もしゃべることもなく鎮守府へ引っ込んでいった。話は聞いていたらしく、ちゃんとシャワーで塗料や海水を流して艤装は妖精に預け、各々の自室へと引っ込んでいったようだ。
     分かってはいたが、完膚なきまでに叩きのめされていた。それはそうだろう、相手は実戦経験豊富な前線で戦う艦娘だ。実戦にも出られず、いまだ訓練の必要がある端野の艦娘達が対抗できる道理は最初からなかった。
     その事を実感したのか、観戦していた他の艦娘達も沈みこみ気味だ。みな押し黙ったまま鎮守府へ引き返していく。

    長良「これで、よかったんでしょうか?」

     すっかりお通夜ムードな加古たちを見送った、長良がぽつりと漏らした。

    提督「ああ、想定通りだよ」

    由良「想定通りって……」

    提督「それはもちろんうちの艦隊を心の中で応援してたさ。だが、今回は負けることに意味がある」

    古鷹「負けることに、意味がある……?」

    初春「提督殿は、彼女らが負けることを期待しておった、ということかの?


    提督「まぁ、そういうことになるな」

     頷き、鎮守府へ帰っていった塗料まみれの艦娘たちの方を見遣る。

    提督「負けた後どうするか、そこも期待しているんだがね」

    ―――――
    ―――

    666 = 1 :

    ~初春姉妹の部屋~

     初春が部屋に戻ると、妹たちは先に部屋に戻っており、案の定の重苦しい空気が充満していた。
     ムリもない、あれだけ手酷くやられればショックも受けると言うものだ。極めつけに満潮の言葉だ、落ち込むなと言う方が酷である。

    初春「……あー」

     取り合えずなにか話そうにも掛ける言葉が見つからない。満潮の言葉は自分とも無関係ではない。駆逐艦である以上、そしてそれ以上に戦う艦娘であるなら誰もが無関係ではない。
     自分達は実戦と言うものを経験したことはない。それゆえに提督がやって来て訓練を付けて貰えるようになって、強くなった気がしていた。しかし結果はどうだろう、実戦を経験している艦娘の足元にも及ばない結果だ。

    初春(ああ、そうか……)

    ―――


    ~古鷹型の部屋~

     古鷹が部屋に戻ると、加古は布団に丸まって部屋の片隅に転がっていた。傍目から見て、誰でも解るくらいに落ち込んでいる。

    古鷹「加古ー?」

     呼び掛けても、加古はピクリとも動かない。あれだけ大口叩いてあの結果では仕方のないことだろう。
     ただ、それだけが理由ではなさそうだが。

    古鷹「ほーら、そんなことしてるとキノコが生えてくるよ」

     ぐいぐいと引っ張って布団をひっぺがすと、

    加古「ふるたかぁ……」

     目を真っ赤に腫らして顔をグシャグシャにしていると言う、ウルトラレア級に珍しい加古が転がり出てきた。

    古鷹「うわぁ、ひどい顔」

    加古「うるさいなぁ、別に良いよそんなの……」

     言いながら、加古はあきれる古鷹の胸に顔を埋めた。しばらくすると、小刻みに肩が震え出す。古鷹は黙って両腕を加古の背中に回して叩いてやる。

    667 = 1 :

    加古「ふるたかぁ……」

    古鷹「うん」

     頷く古鷹。加古はぎゅっと彼女の服を握る。

    加古「くやしいよぉ……」

    古鷹「うん、うん」

     ただただ頷いて、背中をさすってやった。あんなやられ方をすれば古鷹だって悔しい、それに彼女にとってはなおさらだ。

    加古「提督、馬鹿にされたのに……勝てなかったよぉ…!」

     くぐもった嗚咽が漏れ、古鷹の服がぬれる。個人的に負けるわけにはいかない戦いだったはずだ。その理由が何なのかもわからないまま、戦って、そして負けた。

    古鷹「悔しいよね、悲しいよね」

    加古「うっ、ふっる、たかぁ……っく、うあぁ……あぁ!」

     苦しくて、悲しくて、つらいはずだ。それが悔しいということだ。

    古鷹「ね、加古……?」

    ―――


    初春「なにをウジウジしておるんじゃお主らは!」

     張り上げた声が室内に響いた。子日たちは今、初春の存在に気づいたようにびくりと肩を跳ね上げた。

    初霜「初春ちゃん……?」

    初春「お主らは負けた! 完膚なきまでにの!」

    子日「う……」

     はっきり言われて子日も顔をしかめる。

    若葉「そんなことを、わざわざ言いに来たのか……?」

     満潮を相手に疲れ果てたのか若葉も緩慢な動きでこちらを見遣るだけだ。
     やれやれ完全にたたき折られているようだ。内心首を振る初春はあえて声を張り上げた。

    初春「情けない奴等じゃのう、お主らは負けはしたがまだ沈んではおらん。つまりまだまだ強くなることができるじゃろうて!」

    初霜「強く、なれる……?」

    ―――

    668 = 1 :

    加古「あたし、が……?」

    古鷹「ちゃんと言ってたじゃない、『強くなりなさい』って。だから、強くなって見返してやればいいじゃない?」

     加古が顔を上げる。古鷹はじっと、優しい顔で加古を見ていた。

    加古「あたし、強くなれるかな……?」

    古鷹「もちろん」

    加古「提督のこと馬鹿にされても、ちゃんと否定できる?」

    古鷹「きっとね」

    加古「誰にも負けないくらい……?」

    古鷹「そのためには、もっとがんばらないとね」

    ―――


    若葉「そうか……そうだな、私たちはまだ未熟だったんだな」

    初霜「ふふっ、提督が来て、毎日訓練して……それで強くなった気がしてただけなんですね」

     徐々に明るさが戻ってくる。

    子日「子日たちは、弱いんだよーぅ……」

    初春「だからこそ、もっと強くならねばならん」

     うなだれていた姉妹艦たちの顔が前を向いて晴れやかな表情が浮かんでいた。

    初春(提督殿の言っていたことは、こういうことかの……)

    ―――

    669 = 1 :

     発案は祥鳳だった。

    祥鳳「実戦経験を積んでらっしゃる方たちと真正面からぶつかって、どういう結果になるのかということを知ってもらうんです」

     結果は火を見るより明らかだ。勝てるわけもないし、まともに相手になるかどうかすら怪しい。だが、

    提督「一度くじけさせることでそれをばねにする、と」

    祥鳳「どうせ喧嘩するならおもいっきりやってすっきりさせたほうがいいというのが一番ですけど、そういう風に持っていけば訓練の一環として処理することもできますし」

    提督「……祥鳳、何気に腹黒いな?」

    祥鳳「物は考えよう、ですよ♪」

     そういう会話がなされて、今回の艦隊戦演習が執り行われたのであった。
    ―――


    ~食堂~

    加古「はふはふっ、ガツガツ!!」

    若葉「あぐんぐっ、んぐんぐ……!」

    長良「うわぁ……」

    鬼怒「すごい……」

     その日の夕食。 傍目から見てあきれるほど食事を掻きこむ敗北組の姿があった。

    子日「んぐっ、んぐ! 間宮さんおかわり!」

    初霜「私もです!」

    間宮「はい、あわてなくてもちゃんとありますよ」

     流石の間宮はニコニコ平然としてご飯をよそっている。鎮守府の一般職員や整備士たちの対応もしていた分、慣れているのだろう。

    670 = 1 :

    提督「これは、なんだ?」

     問う提督に、答えるのは苦笑する古鷹だ。

    古鷹「ええ、提督の言った通り悔しさをばねに復活はしたんですが」

    初春「まずはしっかり食べるのじゃとかのたもうて、このざまじゃ」

     何やらやけ食いの様相を呈している四人に、遠征艦隊組も少々引き気味だった。

    五十鈴「まぁ、いいんじゃない? しっかりした体作りは重要よ」

    長良「体、作りねぇ……」

    名取「え、えっと、なに……?」

     何やら議論を醸しそうな空気が一部で流れる中、押し黙って黙々と食事を口に運ぶだけの満潮に、

    若葉「みひひお!!」

    満潮「……しゃべるか食べるかどっちかにしなさいよ汚いわね」

     力強く箸を突き付ける若葉と、あくまで冷静に突っ込む満潮。しばし考えた若葉はむぐむぐと口の中のものを呑みこんで一息、

    若葉「満潮、お前にだけは絶対負けないから覚えておけよ」

    満潮「勝手に言ってなさい」

    「とか言って、あれから散々『きつい事言ったかしら』とか頭抱えてt満潮「わあああああああああああああ!!!」」

    如月「ちょっとぉ、食事中に大声出すもんじゃないわよぉ?」

    671 = 1 :

    祥鳳「ふふっ、人が増えるとにぎやかですね」

     4人はもうすぐ元の鎮守府に帰っていくとはいえ今この瞬間は同じ釜の飯を食べているという、この鎮守府の風景だ。

    由良「こういうのもいいわね。ね、鬼怒? ……鬼怒?」

     由良が声をかけているのに、鬼怒は反応が無い。みれば、じっと料理の盛られた皿を見つめて何かを考え込んでいるようだ。そして、何かを決心したように顔を上げると、

    鬼怒「提督、ひとつお願いがあるんだけど、良いかな?」

    提督「鬼怒? どうした」

    名取「鬼怒ちゃん?」

     鬼怒は一度名取を見、そして間宮を見、一息置いて、言った。

    鬼怒「間宮さんと、勝負させてくれませんか」

    提督「…………え?」

    ―――――
    ―――

    672 = 1 :

     本日は以上とさせていただきたく。一回は挫折してもらわないとなー、とか思いつつ書いてみました。

     クリスマスアプデ来ましたね。那珂ちゃんもクリスマス続投とのことで嬉しい限りですが、相変わらず祥鳳さんには何にもないですねー瑞鳳にはあるのに……くっ
     それは置いておいて(は良くないけどとりあえず脇にのけて)何やら去年に比べて特殊ボイスがいっぱいある模様、まだ艦これ開けてないの早く楽しみたいところですなぁ……

     さて、次回は鬼怒と間宮さんまさかの対決です。来週のこの時間くらいに上げられればと思っておりますが、予定はあくまで未定なのでお許し下さると幸いです。
     では、今夜はこの辺で……

    674 :


    駆逐艦は錬度さえ上がれば十分戦える、改二の子だっているし

    675 :

    乙です
    対決の課題となる料理は何になるのやら

    676 :

    ありがとうございました。楽しく読ませていただきました。
    続きを楽しみにしています。
    主さんも祥鳳さん一押し(?)と知ってうれしいです。

    677 :

    おつおつ!

    678 :

     どうも、メリークリスマス(遅刻)な>>1です。こちらはホワイトクリスマスなんてものもなく(雨が降りました……)結局1日うだうだレベリングして終わりましたが皆様いかがお過ごしでしたでしょうか?
     何やら行き詰まりが長引く予感ですので取りあえず軽く1~2レス分ほど投下しておきます。料理の描写は、普段からやってても存外難しいものです……
     では、ちょっぴり投下していきましょう

    679 = 1 :

     ぶつかって、それで無理なら踏ん切りが着く。
     加古たちの演習を見て触発されたらしく、そんなことを鬼怒は言っていた。熱血の気がある彼女らしい言葉だが、名取は少し乗り気ではなかった。

    名取「あ、あの、私からもお願いします!」

     なかったと思っていた。

    名取「私も、なんか納得のいく結果が欲しい、といいますか、その……」

    提督「納得のいく、結果か」

     騒がしかった夕食後の執務室、提督は祥鳳と顔を見合わせていた。長くなりそうだったので、食後のこの時間に執務室に呼んだのだ。
     余談だが、あの後食べに食べた4人は食べ過ぎで膨れ上がった腹を抱えて唸りながら軽巡組に部屋まで搬送されていた。満潮も心底呆れた顔で見送っていたが、あとで隅っこでぷるぷる肩を震わせていたのを提督を含めた数人が目撃している。

    祥鳳「どうしましょう?」

    提督「そうだな……」

     考えるそぶりを見せつつ、提督は承諾するつもりだった。
     これはもうそういう流れが来ているということだろう。これは落ちこぼれとして腐っていくだけだった彼女らの間に風が来ている。

    提督「いいだろう。ただ、まずは間宮に確認を取ってからだがな」

    鬼怒「わぁ……! ありがとうございます!」

    名取「あ、ありがとうございます!」

     きっとチャンスが巡ってきていると、そう思うことにした。

    提督「さしあたっては食材との兼ね合いに、日程や審査方法だな……」

    鬼怒「私、間宮さんに聞いてくる!」

    名取「ま、まってよ鬼怒ちゃ~ん!」

     きっと多少の手間を取られるのだろうが、それで彼女たちの成長が促せるなら悪くは無いだろう。

    祥鳳「私も、お二人と一緒に行ってきますね」

    提督「ああ、頼んだよ」

     提督はさっそく書類の作成に取り掛かった。もちろん報告すべき上官がいるのかどうかすら怪しい(強いてあげるなら大本営だが、まだ一度も届いた事は無い)ので形だけの話だが、やらないよりはましだ。
     手書きなのでフォーマットも何もあったもんじゃないからやはり手間だ。

    提督(だが、惜しむまいよ)

     ただ、主任妖精にワープロの開発くらいは依頼しても罰は当たるまい、そう思わなくもない提督であった。

    ―――――
    ―――

    680 = 1 :

     ~次の日・中庭~

    若葉「と言うわけで始まったぞ、第一回端野鎮守府料理対決だ」

    祥鳳「次回があるのでしょうか……」

     その後、手続きはトントン拍子に進み、結局次の日に開催の運びとなった。思い立ったが吉日、というより善は急げということだろうか。
     中庭にはどこから持ってきたかガスボンベとガスコンロ、屋外用のシンク等の調理スペースが設営され、運動会用のテントの下に長机とパイプいすが並び、審査員として艦娘たちが座っている。ちなみにテントは体育倉庫の奥に眠っていたもので、「端野臨海学校」と書かれているものだ。そう考えれば、こうした屋外調理設備があってもおかしくはなさそうだ。
     その横にもうひとつテントが並び、四人分の席が用意してあった。

    若葉「気にしてはいけない。とにもかくにも始まった料理対決、実況は私、若葉が務めさせてもらう」

     ご丁寧にマイクスタンドを立て、「実況」と書かれた三角柱の紙が貼られている。

    若葉「解説には、提督の秘書艦で鎮守府のまとめ役でもある祥鳳さんと、縁の下の力持ちな主任妖精さんに頼むことにした」

    祥鳳「わ、私そんなにえらくなってるんですか?」

    主任妖精「縁の下ねぇ……セリフでの登場は>>425以来だから、よっぽど縁の下の底なんだろうね」

    若葉「気にしてはいけない」

     さらにその隣には審査員長と書かれた紙が張り付けてあり、

    若葉「そして審査員長として提督にもこちらに座ってもらっている」

    提督「気合入ってるな、若葉?」

    若葉「気にしてはいけない」

     どこまでそれで通すつもりだろうか?

    681 = 1 :

    若葉「ルールは簡単だ、料理を作って食べてもらい、多数決で勝敗を争う。審査員は端野鎮守府の艦娘達と、遠征でやってきてる呉の4人、そして私たちの全員だ」

    「えっと、私たちまでいいんでしょうか」

    満潮「というか、長居し過ぎな気がしないでもないわ」

    五十鈴「楽しめるものは楽しんでおくのも仕事のうちよ」

    如月「食べ過ぎは肥満のもと何だから気をつけないとだめよ?」

    若葉「では、本大会の対戦者を紹介しよう、まずは赤コーナー」

     ちなみに二つの調理場に赤青の区別はされていない。

    若葉「端野鎮守府の台所番、私たちの胃袋を支え続けた頼りある料理人たち。鬼怒さんと名取さんだ」

    鬼怒「よっし、気合入ってきた!」

    名取「ちょ、ちょっとはずかしい、です……」

     いつもの制服の上に、これもまたいつも付けていたエプロンを装着。まだ一月と経っていないのに妙に頼もしく見えるのはなぜだろうか。

    若葉「対して青コーナー。呉からやってきた正真正銘の専門家、あらゆる鎮守府の胃袋の番人が一人。間宮さんだ」

    間宮「本日は宜しくお願いしますね」

     割烹着を身に付け淑やかに礼をする。どこにも余計な力は入っておらず、まさしく平常心の彼女だ。

    若葉「食材は冷蔵庫に入っている物、食器は要望があれば何でも用意する、時間も無制限で造り終わったら終了。ただし終了宣言を出した時点で調理は温め直し以外は禁止とする」

    提督「なお、食材は間宮が持ってきた食材を使用させてもらっている。無駄にはしないように」

    若葉「それでは、スタートだ!」

    ―――

    682 = 1 :

     本日は以上とさせていただきたく。短い……わかってはいましたが短い……

     今回はコメディテイストでお送りいたしております。とはいえギャグセンス皆無の>>1に果たしてどこまで面白いコメディが書けるか……我ながら無謀な事をしているのではないかとorzな>>1です

     次回はおそらく年明けです。年内に投下に足る分は書けなさそうなので……と言うわけで皆様よいお年を。来年もうだうだ書いておりますがどうぞよろしく
     では、今夜はこの辺で……

    684 :


    お題も特に無いんだね。
    プロ相手に制約なしは厳しいね

    686 :

    ありがとうございました。
    よいお年を

    687 :

    乙ゥ~ 続き楽しみにしてます良いお年を~

    688 :

    謹賀新年
    今年もお話楽しみにしてます

    689 :

    あけおめ
    今年も楽しみにしています

    690 :

    あけおめ~今年も楽しみにしてる

    691 :

    あけましておめでとう
    艦娘ジャーナルの描きおろし祥鳳さんは素敵でしたよ
    >>1も満足する出来だと思います

    692 :

     どうも皆様、あけましておめでとうございます、>>1です
     皆様のおかげでこうして新年をまたぐ事ができました。いつもつたない文章に乙を付けていただきありがとうございます

     艦娘ジャーナルの祥鳳さんには大満足でした。祭壇に飾って三日三晩踊り狂うくらいには満足しました()
     来月には瑞鳳のノベルが出るそうで、当然祥鳳さんはメインで出ますよねー? ねー!? と、日々出版社に念を送っております。ああ、あと陽炎抜錨4にも出てましたね。ちゃんと活躍もしてましたし、祥鳳さんの波が来てるのか!? などと勝手な期待を抱いてみたり

     さて、次回の投下ですが、次の月曜日あたりを予定しております。明日ではなく、その次ですね
     今年もきっちり書いていきますので、どうぞよろしくお願いします

    693 :

    了解

    694 :

    了解です

    695 :

    ほーい 頑張れ

    696 :

    あれ更新きてない…残念

    697 :

     遅刻申し訳ない、>>1です。そんなに長くは無いですが、キリがある程度良いので投下しにまいりました
     料理の描写って戦闘以上に難しいですね、どうしても単調な文章になってしまいます。なにか資料になる本でもないものでしょうか?

     ともかく、少し投下していきましょう……

    698 = 1 :

     まず双方は冷蔵庫へ急いだ。中には備蓄されていた食料がまんべんなく詰めてある。そして双方が手に取ったのは

    若葉「両者ともに玉ねぎを取ったぞ」

    提督「それに肉だな。鬼怒名取組は豚肉、間宮は牛肉だ」

     備え付けのコンロは双方二つずつ、鬼怒たちは豚肉を炒め始めつつ玉ねぎを細切りにしていった。
     対して間宮は少し多めに取った玉ねぎをみじん切りと細切りに分け、コンロの一つでみじん切りの方をとろ火でいため、もう片方のコンロに牛肉と細切りの方を入れてこれも炒め始めた。

    若葉「両方とも肉料理の様だな」

    祥鳳「ええ、しかもこれは両方とも煮込み系の料理でしょうね」

    提督「なるほどな……」

    若葉「どういうことだ?」

    提督「二人とも、真剣だということさ」

    ―――


     鬼怒、名取は真剣だった。
     もちろん真剣勝負を挑んだのだから当然だ。ただ、肝心の料理を何にするかは最後まで迷った。もちろん得意料理で挑めばいいのだが、自分たちの得意料理が一体何なのかと聞かれると首をかしげざるを得ない。
     そんなこと、一度も意識なんかしたこと無かったからだ。
     そこで思い出したのは、提督の事。
     着任してすぐの頃、ひょっこり彼が食堂を訪れた時の事である。

    699 = 1 :

    鬼怒「ここの艦娘達以外で初めて褒めてくれたんだ」

     肉、玉ねぎに続いて取りだしたニンジンを洗って乱切りにしながら鬼怒は言った。

    名取「じゃあそれが得意料理で、いいよ、ね?」

     肉と玉ねぎをごま油で炒めながら名取が引き継いだ。
     言っている間にも鬼怒は手際よくジャガイモの皮を剥いて一口大に切っていく。そして炒めていた肉の色が変わってきたところでニンジンとジャガイモを投入、これをよく炒めた。

    鬼怒「今のうちに、と……」

     鬼怒は別の器でしょうゆ、酒、みりん等を混ぜ合わせておき、計量カップに水を用意している。良く息のあった動きだ。
     ここにきてずっと二人でやってきた。ずっとというには少し短いかもしれないが、それでも何だかんだで二人でやってきたのだ。最初は当番で一緒になっただけだったけれど、気付けばこうしてみんなの胃袋を守った来たのは自分たちだ。
     そんな自負を抱くくらいには今の仕事を楽しみ、誇りのようなものを持っていた。
     そう、艦娘の本分から考えればとんでもない話だが、彼女らは自分の仕事にやりがいを持っていた。
     だからこそ

    鬼怒「この勝負」

    名取「負けられない……!」

    ―――


     対する間宮も、似たような行程で料理していた。玉ねぎと肉に火を入れつつ、ニンジンやジャガイモを切っていく。こちらは少し小さめだ。
     手を動かしつつ、提督の指示を思い出す。

    提督『遠慮はいらん、全力で戦ってやってほしい。それが彼女らのためになる』

    間宮「全力、ですか……」

    700 = 1 :

     本来競うために腕を磨いたわけではないし、そんな使い方をするだなんて思ってもみなかった。だから全力と言われてもいまいちピンときていない所がある。

    間宮「要は、自分の十八番を作れという事でしょうか……」

     そういう事なら話は早い。自分の十八番と言えばカレーだ。間宮ひとりひとり違うカレー粉を使って作りだされるそれは、もう失敗のしようのない料理だし誰にも負けない自信がある。
     ――勝ちたいですね
     そう思うと不思議と胸の奥に湧いてくるものがあった。これは、闘志……? 自然と手に力が入る。炒めていた牛肉と玉ねぎが少し跳ねた。

    間宮「わわっ! 危ない」

     フライパンで慌てて迎えに行く。初心者みたいなミスに思わず苦笑する間宮。だが調子は掴んだ。すると戸惑う自分はなりを潜めて、不思議な高揚感が身を包むのを感じた。久しく感じていない感覚だ、ひたすら訓練をして同期と高め合った養成学校時代を思い出す。普段とは違う充実感に自然と笑顔が浮かんでいた。

    間宮(勝負に熱くなる、やはり曲りなりにも艦娘なんですね、私も)

     肉に火が通ったあたりで一度皿に移し、代わりにジャガイモとニンジンを投入して炒める。肉から出た脂を絡めるようにしばらく火を入れたら肉と玉ねぎを戻して混ぜ、赤ワインを入れた。

    ―――


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