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    元スレ祥鳳「ここは、はずれの鎮守府ですから・・・」

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    701 = 1 :

    提督「二人とも、気合が入っているな」

    若葉「うぐ……実況が追いつかない」

    祥鳳「無理に実況する必要は無いと思うんですが……」

     審査員席にも両組の熱気が伝わっていた。気合のこもった空気に、観戦している艦娘達も思わず手に汗握るほどだ。

    加古「料理してるのを眺めるだけって何か暇しそうだなー、って思ってたけど」

    由良「なんだろうね、なんかわくわくしてきた」

    主任妖精「というか腹の減る時間だねぇ、目の前で着々と出来上がっていくさまってのはそれだけでわくわくするもんさ」

     盛り上がってきている。実に楽しそうだ。
     そしてそうこう言っている間に二組とも調理が佳境を迎えようとしている。本格的に胃袋を刺激するにおいに審査員達のテンションもつられてどんどん上がっていく。

    若葉「両者とも、煮込みに入ったようだぞ」

    提督「見ているこっちは生殺しだな」

    主任妖精「匂いだけが充満して、それでもこっちは手を出せないからね。料理を見せ付けるだけって拷問、ありだと思い始めたさね」

    子日「うー、お腹空いたー! 空腹の日ーッ!」

    初春「騒ぐでない子日、妾も空腹でひもじいのじゃ」

     完成までは今少し時間がかかるようだった。

    ―――

    702 = 1 :

     本日は以上とさせていただきたく。次回、決着です

     足柄さんと吹雪に続き、今度は那智さんと初霜に改二が来るようですね。端野鎮守府に3人目の改二ですかー、流れ来てますよね? ね!?
     そしてついに始まりました艦これのTVアニメです。つっこみどころや違和感が多少残るものの>>1は悪くないのではないかと思っておりますが皆様はいかがでしょうか。弓道がどうとかおっしゃる方もいますが、まぁ、肩肘張らずに楽しみたい所存です

     さて、次回の投下ですが、また忙しくなり始めたので少し間が空きそうです。今月中には出来ると思いますので、少々お待ちいただきたく
     では今夜はこの辺で…

    705 :


    アニメには若葉らしき子がお風呂シーンで一瞬映ってたね

    707 :


    このスレのお陰で子日が可愛くて仕方ない

    >那智
    これで祥鳳さんに念願の改二が来たら、bob艦は改二コンプだな

    708 :

    祥鳳さんの前に初霜が改二だね

    709 :

    祥鳳さんアニメ出ないのかな

    出たら多分沈みそうだけど・・・

    710 :

    如月が沈んだ理由は吹雪と同じ艦隊に所属している睦月の姉妹艦で別艦隊所属だったから(震え声

    711 :

    今日、明日で1月終わるけど更新まだかな?

    712 :

    エタったか

    713 :

    >>709
    サ、サンゴ礁海戦までは無事だから……(震え声

    714 :

     今月中……今月中って何だっけ? 遅刻が基本になってまいりました、いけない傾向に背筋が寒くなる>>1でございます、毎度毎度申し訳ない……
     ようやく料理対決の決着シーンが書きあがったので投下に来ました。正直gdgd感半端無いのですが、これ以上は厳しそうなのでそのまま上げることとします。精進が足りませんねぇ……

     では、今夜も少し投下していきましょう

    715 = 1 :

    若葉「両者、料理が出揃ったようだぞ」

    提督「そうらしいな」

    祥鳳「もうお腹と背中がくっついてしまいそうですね」

    主任妖精「まったく地獄のような時間だったさね」

     料理の仕上げと言うのは一番食欲をそそる匂いを発する行程だ、待っている艦娘は皆一様にどこか異様な視線を料理に向けていた。

    如月「空腹は栄養が足りてない証拠、続くと脂肪の吸収が多くなって太っちゃうのよ?」

    満潮「や、そういう蘊蓄いいから」

    「早く、食べたいな」

    若葉「審査員も皆お待ちかねだ、まずは間宮の料理から審査しようか」

     なお、配膳するのは手間なので、直接もらいにいくという形式だ。何ともしまらない絵だが、そこはきにしてはいけない。

    間宮「間宮特製カレー、炒め風です」

     皿に盛られているのは水分少な目のカレーライスだった。

    若葉「では、全員揃っていただきます」

    全員「「「いただきます」」」

     スパイスの香りが空腹の胃袋に突き刺さる。みんなスプーンを手に取る間も惜しいとばかりに食いついた。

    加古「ん、お、お!? これは!?」

    716 = 1 :

    長良「美味しい!」

    「前に食べたのに比べると、ちょっと辛いかも……でもおいしい!」

    主任妖精「マサラカレーの類いか」

    間宮「はい、そんな感じです」

     間宮カレーと言えばきっちり煮込んで作るためこの場で作るには時間がかかりすぎる。

    提督「味付けを濃いめにして炒めでさっと味を通したか」

    祥鳳「味が染み込んでない分、具の味が引き立っててまた違う味わいになってますね」

    子日「おかわりー!」

    初霜「子日ちゃん! まだ鬼怒さんたちの料理があるから我慢だよ!」

     空腹にお預けということもあったからか、ずいぶんと好評のようだ。
     その様子に鬼怒と名取は、

    鬼怒「うーん、さすが間宮さんだなぁ」

    名取「さすがのプロですね……」

     感心こそすれ焦りの色は見えない。名取もどこか落ち着いた様子だ。それが自分の料理に対する自信なのかそれとも別の何かなのかは定かではないが、

    提督(楽しめているようだな)

     少なくとも、自分で挑んだ勝負であるとはいえ、今のこの状況を楽しんではいるらしい。きっとそれは彼女たちにとっていい刺激になるはずだ。

    提督「ふむ、堪能した……では、次は鬼怒名取組だな」

    717 = 1 :

     そんな思考は水と一緒に一度飲みこんで、今は審査員としての役目を果たすこととした。

    鬼怒「はい! 私たちのは肉じゃが定食……」

    名取「……風ですっ」

     どこかで聞いたことあるフレーズと共に出てきたのは、見た目もシンプルな肉じゃがと白いご飯、漬物のセットだ。まさしく、定食風。

    提督「ふむ、では行きわたったところで」

    全員「「いただきます」」

     さっきまでとは違ってお預け状態ではなかったという事もあってか、間宮カレーほどのがっつきは無かったが、

    祥鳳「あ……これは」

    主任妖精「ああ、これは美味い」

    古鷹「うーん、落ち付く……」

    若葉「よく味が染みてて、これはいいな」

    満潮「あ、おいし……じゃなくてッ、まっ、まあまあね?」

     歓声が上がるわけではない。しかし、染みわたるような充足感が艦娘達の間に満ちているようだった。

    祥鳳「よく、味が染みていますね」

    若葉「この短時間に、良くできたな」

    名取「本当は、もう少し時間がほしかったんですけど……」

    718 = 1 :

    提督「いや、この短い時間でここまでできたという事が称賛に値するよ」

    鬼怒「あ、あはは、やだなぁ、照れちゃうなぁ」

     大絶賛の空気だが、間宮も混ざってニコニコしている。むしろ味見しつつ「なるほど……」と何かしきりにうなずいている。

    若葉「うむ、堪能したな……さて、それではそろそろ決着と行こうか」

     空腹からの解放に満足感溢れる空気が充満していてすっかり忘れていたらしく、その言葉に反応するのに少しタイムラグが発生していた。

    初春「お、おお、そうであった」

    主任妖精「あー、満腹で満足してすっかり忘れてたねぇ」

    提督「で、では採決をとろうか」

    若葉「方法はいたって単純、挙手するだけだ。これには私や提督も投票権があるのだが、集計は私たちが合同で行い、不正の無いようにする」

     鬼怒名取、間宮。両者の間に微かな緊張が流れる。まぎれもなくこれは勝負であり、両者は対戦者同士だ。この勝負の勝敗によって明確に何かが変わるというわけでは無いが、真剣勝負であることに変わりは無い。

    提督「では、採を取ろうと思う」

    如月「迷うわねぇ」

    五十鈴「心に従うまでよ、迷う余地は無いわ」

    初霜「うー……うーん!!」

     頭を悩ませている者もいるが、提督は進めることとした。

    提督「では、挙手してもらおうか――」

    ―――――
    ―――

    719 = 1 :

    鬼怒「あー、終わっちゃったねー」

    名取「うん、そうだね……」

     かちゃかちゃと。
     食器を片づける音が厨房に響く。日も暮れかけていて、照明が落としてある食堂はどこか物悲しい。
     終わってみればなかなかの接戦だった。票はかなり割れ、実際に数えてみるまではっきりしなかったが、

    鬼怒「やっぱプロには勝てないね」

     最終的に勝利を手にしたのは間宮だった。

    間宮「いえ、お二人の腕には正直感服しましたよ。私もまだまだだなー、って身が引き締まる思いでした」

     鬼怒と名取が皿を洗う横で、間宮は夕食の準備をしつつそう笑う。

    間宮「実は、内心焦ってたんですよ?」

    鬼怒「またまた~」

    名取「やっぱり、私たちは修行不足でした……」

     悲しそうに言う名取だが、その顔はどこか晴れ晴れとしていて、言葉ほどの暗い雰囲気は無い。

    提督「やぁ、今日はお疲れ様だったな」

    鬼怒「あ、提督」

    間宮「夕食にはまだ早いですよ?」

     厨房をのぞきこんでいるのは提督だ。間宮の指摘に苦笑しながら首を振ると、

    提督「いやいや、今日の事をねぎらいに来たのと……」

     鬼怒と名取を見遣り、

    提督「二人に提案を持ってきた」

    鬼怒「私たちに」

    名取「提案?」

     顔を見合わせる二人に、提督となぜか間宮は少し楽しそうな顔をしていた。


    ―――

    720 = 1 :

     提督の話を纏めればこうだ。
     鬼怒と名取の二人がちゃんと訓練を維持できるというのなら、間宮と相談して当番制で食事の用意をしてほしいというものだ。

    鬼怒「え、あの、いいの!?」

    提督「ちゃんと両立するならな」

    名取「えと、あのっ、がんばります!!」

    鬼怒「でも、間宮さんはいいの?」

     そう問う鬼怒に、間宮はいたずらっぽい笑顔で答えた

    間宮「ふふっ、提督ったら人が悪いんですよ? 先に私の方には話を通してあったんですよ」

    提督「まぁ、あれだ。知らない方が余計な事を考えずに勝負に集中できるだろう?」

    名取「まぁ、そうなんですけど……」

    鬼怒「提督ー、まーた勝手に話を進めてるー」

    提督「うっ、その、なんだ……すまん」

     ばつが悪そうに肩をすぼめる提督が変におかしくて、鬼怒も名取も、そして間宮も堪え切れずに吹き出した。

    提督「あー、えー……コホン! と、とにかく! 当番のシフトは三人で相談して決めて、こちらに提出するようにっ、以上だ!」

     せくようにまくし立てて足早に去る提督の背中を、三人分の笑い声が叩いた。

    ―――――
    ―――

    721 = 1 :

     暗く冷たい場所だった。
     光届かぬ場所に、一つ二つと。浮かび上がるように仄かなしかし妖しい光がともる。

    ――コッチ、カ……?

     声は無い。しかし何かが語らうそんな気配。

    ――タブン、ソウダ……タシカ、ニ、キコエ…タ

     こぽりこぽりと、泡が昇って行き、闇の中に消える。光はそこここから湧きあがってきて、群れを成し、どこかを目指した。

    ――イ、コウ……ヨンデ、イルカラ

     光たちは、そのまま闇へと消えて行った。
     後に残るのは静寂と、微かな泡だけだった。

    ―――――
    ―――

    722 = 1 :

     次回以降への展開をにおわせつつ、本日は以上とさせていただきたく。自分から首を絞めて行くスタンス、>>1でございます。

     那珂那珂に今回は難産でした。うまく状況が脳裏に浮かんでこないといいますか、プロットは基本最低限の感覚で書くからこうなるんですよねー……しかしプロットを固め過ぎると逆に書けないという、我がままorz

     さて、次回の更新……の前に、時系列が小ネタに追い付いたので一つ投下する事にします。ちなみにこちら、書きあがったのは去年の11月だったり。これを投下するためにこの難産を乗り切ったといっても過言ではありませんw

     では投下しましょう、『提督、お菓子を作る』です

    723 = 1 :

     間宮が来たことで鬼怒と名取が厨房に立つことは少なくなった。とはいえ、当番制ということで今でも美味しいご飯をつくってもらっているし、暇さえあれば間宮の調理補助として手伝いにいそしんでいる。

    提督「というわけで、労いの意味も込めてなにかごちそうでもしようと思うわけだが」

    間宮「なるほど、優しいですね提督」

     夜、執務や雑用を終わらせたあと、提督は間宮にこっそり相談を持ちかけていた。

    提督「とはいえ、私もこれと言って得意な料理があるわけでもないし、あの二人に敵う味を出す自信はない。なにかいい案はないだろうか?」

     二人の腕前は身を以て実感している。日々世話になっているのだから当然だが、贈り物をしようにも買い物ができるような場所があるのかどうか、そういった地理的な知識は残念ながらない。そうなると労いとして贈れる一番簡単な物が料理なのだ。

    ――その辺りのリサーチもそのうちせねばなるまいな

    間宮「それでしたら、簡単な物がありますよ」

     間宮は考えるまでもなくすぐに答えてくれた。

    提督「本当か?」

    間宮「ええ、有り合わせの材料で簡単に作れますよ」

    提督「ぜひ教えてれ」

    間宮「ふふ、かしこまりました♪」

     実に楽しそうな笑みを浮かべる間宮。元来こういうことは好きらしい。

    提督「すまないな、君も忙しいだろうに」

    間宮「いいえ、これも仕事のうちですよ」

     そう言うと、うきうきした様子で食材倉庫へと入っていった。

    ――――――
    ―――

    724 = 1 :

     >>723酉変わってますが、ちゃんと>>1ですよー)

    名取「私に呼び出しがかかるなんて……」

    鬼怒「いや、あたしもだけど」

    鬼怒「しかし、なんで食堂?」

     次の日。昼の訓練のあとに二人は食堂へと足を運んでいた。提督に呼び出されたためだ。何やら大事な用事があるといっていたが、いったい何だというのだろうか。皆目見当のつかぬまま二人は食堂へと入っていった。

    名取「し、失礼します」

    鬼怒「提督? 来たよー」

    提督「おお、来たか。すまないがもう少し待ってくれないか?」

     声はすれども姿は見えず。見回していると、厨房から音がしているのに気づいた。

    鬼怒「提督? 厨房ですか?」

    提督「ああ、すぐ出来るから座って待っててくれ」

    名取「すぐ、出来る……?」

     思わず顔を見合わせる二人。まさか、提督が料理をしているのだろうか。確かに以前手伝いをしてくれたときは慣れた手つきでこなしていたが、まさか料理を振る舞うつもりとは。

    鬼怒「座ろ、名取。覗くのは失礼だよ」

     他人が料理してるのをじろじろ見るのは失礼だと考えた二人は、黙って待つことにした。
     そして待つこと数分。

    提督「すまない、待たせたな」

    725 = 1 :

     そう言って厨房から出てきた提督は、どこから持ってきたのかエプロン姿で、両手に皿を持っていた。

    鬼怒「ううん、全然」

    名取「えと、はい、全然待ってないです」

    提督「はは、ありがとう。それでは、どうぞ」

     ことり、と、皿がおかれる。ふわりと甘い匂いが飛んできた。

    鬼怒「え、これって……」

    名取「ホットケーキ?」

     クリーム色の生地にきれいな焼き色のついた丸く平べったいそれは、まさしくホットケーキだ。四角いバターが焼き立てであろうそれの熱でとろけているのがまたなんとも食欲をそそる見た目だ。

    提督「まぁ、食べてみてくれ。シロップはここに置いておくぞ」

     飴色のシロップで満たされた容器がおかれる。

    名取・鬼怒「い、いただきます」

     二人は少し呆然とした様子でナイフとフォークを手に取り、シロップをかけて口に運ぶ。

    鬼怒「お、これは……」

    名取「甘くて、美味しい……!」

     口一杯に広がる甘味に二人の顔も思わず綻んだ。二人ともこういうお菓子は久しぶりで、夢中で一枚平らげた。

    鬼怒「すっごく美味しいよ!」

    名取「ちょっと感激です……!」

     気弱な名取も思わずトーンが上がる。それを見た提督も安堵の表情だ。

    提督「喜んでもらえたようで何よりだ」

    鬼怒「でも、急にどうしたの?」

    726 = 1 :

    提督「いやなに、当番制になったとはいえ二人には毎日美味しい料理をごちそうになってたからな。そのお礼とでも言おうか」

    名取「提督……」

    提督「勝手な真似をして君たちに嫌な思いもさせてしまったし、先日の料理勝負も頑張ってもらった。とにかくそういった諸々の意味を込めて作ってみた」

    提督「いつもありがとう、二人とも。今後ともよろしく頼む」

     ペコリと頭を提げる提督に暫し呆然とし、

    鬼怒「そんな、提督……」

    名取「ちょ、ちょっと、胸一杯です……」

     不意に目頭が熱くなる。提督は自分達をちゃんと大切に思ってくれている。その事が改めて実感できると、胸に来るものがあった。

    鬼怒「こっちこそ、意地張ったり我が儘言っちゃったりで」

    名取「その、ごめんなさい」

    提督「いいんだ。こっちも悪かった。まだまだ至らない点もあるだろうが、よろしく頼むな」

    鬼怒・名取「「はいっ!」」

     満面の笑みに、提督も思わず笑顔になる。

    提督「さぁ、種はまだあるんだ、じゃんじゃん食べてくれ」

    鬼怒「それいいんだけど、私たちだけってのはちょっと」

    名取「気が引けちゃいますね」

    提督「そういうと思って、もう手配してあるさ」

     言うが早いか、食堂の扉が勢い良く開いた。

    子日「子日、お呼ばれの日ー!」ネッノヒー!!

    初春「これ子日、行儀が悪いぞ」

    加古「ん~、いい匂いだぁ!」

    古鷹「ふふ、楽しみだな」

    「ホットケーキなんて、久しぶりかも」

     子日を先頭にぞろぞろとみんなが入ってくる。友提督のところの艦娘も一緒だ。

    727 = 1 :

    間宮「連れてきましたよ、提督」

    提督「ああ、ありがとう。さぁ諸君、席についてくれ。精一杯ご馳走させてもらうからな」

    艦娘たち「「おおー!」」

     大盛り上がりである。内心さばききれるか心配ではあるが、やるからには全力だ。

    提督「それでは、じゃんじゃん焼くので残すんじゃないぞ」

     歓声を背に受けて厨房へと入る。
     忙しくなりそうだった。

    ―――――
    ―――


     ひとしきり騒いで、みんなで楽しんだらしく満足そうな顔で帰っていった。
     疲れはてた提督だが、間宮にも手伝ってもらってなんとかさばききった。今は残ると言って聞かなかった間宮、名取、鬼怒と後片付けをしている。

    鬼怒「今日は本当に楽しかったなぁ」

    名取「もう、お腹一杯です」

    提督「楽しんでもらえたようで何よりだ」

    名取「あ、あの、シロップとかホットケーキミックスなんて、どこから調達したんですか?」

    提督「ああ、間宮から教えてもらった自作品だ。案外作れるものだな」

    鬼怒「え? あれって自作できるの!?」

    間宮「よろしければ、今度お教えしますよ」

    名取「ぜ、ぜひお願いします!」

    間宮「ふふっ、喜んで」

     提督は、やいのやいのいい始める三人の声を聞きながらもくもくと皿を洗っていた。
     自分のせいとはいえ一時はどうなるかと思ったが、うまく回りそうだ。自分もよりいっそう精進せねばなるまい。なんのためかは良くわからないが、提督してここにいるのだから、当然のことだろうと思っておくことにした。
     この後、食堂では度々ホットケーキが並ぶようになり、艦娘たちの士気を大いに盛り上げることとなる。間宮と鬼怒、名取も日々甘味の研究にいそしむようになるのだが、それもまた、やはり別のお話なのである。

    728 = 1 :

     以上、です。何と言うか、本編の更新より長くないですか……?

     残りの古鷹との休日はもう少し後になります。出してくれた方にはもう少しお待ちいただきたく。

     さて次回ですが、できれば2週間以内に上げたいつもりです。しかし降りてこなかった場合もう少しかかることになります……大目に見ていただけると幸いです。

     では、今夜はこの辺で……

    729 :

    乙!! 

    >>1の無理のないペースで頑張ってくれ、俺は応援する(上から目線失礼

    730 :


    今更だけど提督の有能ぶりがぱない

    732 :



    楽しみにしてます!

    734 :

    久々乙
    続きは気長に待ってるぞー

    735 :


    あまりほのぼのしてない片言の台詞がすごく気になる

    736 :

    ありがとうございました。
    次回も楽しみにしてます。
    イベントも始まりますし,あんまり無理をされぬよう。

    737 :

     ハッピーバレンタイン(遅)、>>1です。皆様バレンタインはいかがでしたか? >>1はアイテム欄のチョコが二つになっただけで大したことはありませんでしたね、ええ、ホント……
     大した量ではありませんが、キリのいいところまで書けたので、少し投下していこうと思います。そろそろ次のお話にシフトしていきますよ……

    738 = 1 :

     エンジンの回転する音と風を切る高い音が合わさり、そしてそれらがいくつも重なって周囲を旋回している。重い音、高い音、そこにひっきりなしに音を立てる対空電探の音が木霊して頭が痛い。

    五十鈴「くっ、五十鈴をなめないで!」

    如月「もうっ、耳が痛いわぁ……!」

     対空機銃をばらまくが一向に当たる気配は無く、隙を的確について艦戦が機銃を撃ちかけてくる。

    「っく! 負けないから!」

     本来艦上戦闘機は艦船に直接損傷を与えるためのものではないが、艦娘の戦闘に置いてはその限りではない。有効打を与えることはもちろん無理だが、その艦上戦闘機本体の速度とそこから放たれる機銃の速度と威力はそれなりの物があり、けん制には十分すぎる効果を発揮するようになっていた。

    満潮「ブンブン……鬱陶しいのよっ!」

    五十鈴「満潮! 直上よっ、避けなさい!!」

    満潮「えっ、あっ!?」

    739 = 1 :

     零式艦戦21型に交じってひらりと舞い降りてきた九九式艦爆が満潮の真上から腹に抱えた爆弾を手放す。艦爆の下降速度と自由落下の速度が乗った爆弾は正確に見上げた満潮の眉間に突き刺さった。

    満潮「きゃあっ!?」

     水音と共に塗料がぶちまけられて満潮が全身赤色に染まる。

    「満潮っ!」

    如月「朧ちゃんいけない!」

     満潮に気を逸らした朧のその死角、水面ギリギリをすべるように飛んできた九七式艦攻が魚雷を放った。

    五十鈴「させないわ!」

     機銃を向ける五十鈴だが、それを阻止するように艦戦が視界を遮り機銃で体勢を崩しにかかる。

    五十鈴「ああもうっ、ちょこまかと!!」

     振り払うように機銃をばらまくも、一瞬遅かった。

    「くっ、きゃあ!!」

     朧の足元から爆音とともに青色の塗料の水柱が上がる。一瞬朧の姿が見えなくり、

    「うぅ…やられた……」

     出てきたのは全身塗料まみれの哀れな駆逐艦だった。

    740 = 1 :

    如月「いやぁん、ちょっとかかったぁ」

    五十鈴「くぅっ! 五十鈴がここまでやられるなんて!!」

     けん制の機銃もペイント弾なので、叫ぶ五十鈴も当然そこここ緑色の塗料で汚れている。
     そして数分後、奮戦むなしく如月ともども頭から塗料を被ることになった。

    ―――


    ~大浴場~

    「うぅ、悔しい……」

     湯船につかる朧がぶくぶくと泡を立てて膝を抱えている。如月はその横でのんびりとお湯をすくっては落としして入浴を楽しんでいた。

    五十鈴「しかしまぁ、こんな辺境にえらい手練がいたもんね」

     手で肩に湯をかけながら、肩越しに五十鈴は石けんで体を洗う祥鳳に言った。

    祥鳳「手練だなんてそんな……条件が良かっただけですよ」

     今回の訓練は敵機動部隊の包囲を受けたという想定で、最初から艦載機に囲まれた状態での戦闘開始だった。つまり、祥鳳の圧倒的有利だったというわけだ。

    五十鈴「だからって軽空母一隻の航空隊で仮にも水雷戦隊一つを完全に手玉に取っといて良く言うわ」

    741 = 1 :

    「彗星とか使われてたら、もっと危なかった、と思います」

    満潮「はんっ、手加減してたっていうの?」

    祥鳳「い、いえ、そういうわけでは……」

    五十鈴「…………」

     困った顔をする祥鳳をじっと見る五十鈴。祥鳳は隠れるように身を縮みこませた。

    五十鈴「あんたもしかして――」

    ―――――
    ―――

    742 = 1 :

     ~桟橋~

    提督「じゃあ友督には長い事拘束して済まなかったと伝えてくれ」

     海上は風こそ強いが概ね天気は良好、悪くない航海日和だ。

    五十鈴「なかなか楽しかったし、またきてもいいのよ?」

    満潮「ふんっ、私はごめんだけどね」

     五十鈴達が元の鎮守府に帰ることになった。遠征としてやってきたのだ、むしろ数日も滞在してた事は異常と言える。
     任務としては間宮を送り届けたうえでしばらく運用の観察などを行うという物だったから仕方は無いのだが、小規模の部隊を数日も鎮守府から出すとなるとそれなりの手続きや準備が必要だ。礼に一度まいらねばならんなと思いつつ提督は既に海面に並ぶ4人を見渡した。

    若葉「それは困る。次は負けないといったはずだぞ」

     端野の艦娘総出での見送りとあって、桟橋は少しばかり手狭だ。

    満潮「うるさいわね、遠いのよここ。それにボロいし、良いのは風呂だけじゃない」

    古鷹「あ、風呂は認めるんだ」

    満潮「だから、ほら、その……今度はそっちが出向いてきなさい!」

     言い放つと満潮は腕を組んでプイッと背中を向けてしまった。ちらりとのぞく耳たぶが赤くなっているように見える。難儀な性格のようだ、思わず顔を見合わせて笑う提督たぢた。

    五十鈴「祥鳳?」

    祥鳳「あ、はい」

    五十鈴「ちゃんとやるのよ?」

    743 = 1 :

    祥鳳「……はい」

    提督「……?」

     祥鳳と五十鈴の間で交わされる無言の会話にただ首をかしげる提督。この短時間に二人に通じる事があったんだろうか。
     そんな疑問も挟む余地もなく、その空気はどこかへ流れてゆき、

    五十鈴「それじゃ、五十鈴たちは行くわね。友提督に伝言ある?」

    提督「苦労をかけた、と」

    五十鈴「きっと『だったら飯の一つでも奢れってんだぜ!』って言うと思うわ。」

    提督「ははっ、違いない」

     軽口の応酬もそこそこに、五十鈴はさっと敬礼をして海へとこぎ出していった。続く駆逐艦たちも、朧などはたまに振り返っては手を振り、子日や初霜が手を振り返していた。何だかんだ言って、いい刺激になったようだ。

    由良「淋しくなるね……」

    古鷹「4人だと流石にね」

    提督「まぁ、友提督の艦娘ならまた会う機会もあるだろう」

    加古「提督の同級生だっけ? 士官学校時代の」

    提督「そんなところだ。さぁ、水平線に見えなくなったら戻って授業だ」

    子日「はーいっ!」ネノヒー!

    744 = 1 :

    提督「五十鈴たちがいる間は何だかんだあって授業が進まなかったからな、軽いおさらいの後テストをする」

    名取「えっ、テスト!?」

    提督「ちゃんと復習できていれば満点も難しくないぞ」

    若葉「と、当然できているとも」

    初春「目が泳いでおるぞ」

     4人減ったとはいえにぎやかはにぎやかだ。以前よりも笑顔が増え、元気が良くなったような気がするのはきっと気のせいではないだろう。あれもこれも友提督さまさまだ、本当に食事くらいおごらねばなるまい。

    祥鳳「……提督」

    提督「祥鳳、どうした」

     そんななかで、一人唇を真一文字に引き結んだ祥鳳が、まっすぐに提督を見ていた。

    提督「……わかった、あとで執務室まで」

    祥鳳「ありがとう、ございます……」

    提督「……さぁ、授業をするぞ。校舎に戻ろう」

     よく晴れた空。吹く風の音は少し低く唸りをはらんでいた。

    ―――――
    ―――

    745 = 1 :

     本日は以上とさせていただきたく。ゆっくりシリアスさんが顔を出し始めるころです、お付き合いいただければ幸いです。

     さて皆さん、イベント進捗はどうでしょう? 当鎮守府では甲乙丙丙ときて、現在E-5丙を攻略中でございます。ゆーちゃんや香取先生の育成は後回しで、少し資材回復しております。難易度低いとドロップが少々しょっぱいですが、初風、清霜、山雲のドロップを確認しました。このまま天城もきっちりお迎えする方針ですが、はてさて……

     それでは次回ですが、2週間以内の予定とさせていただきます。降りてくればすぐなんですがね……では今夜はこの辺で

    747 :

    乙乙乙丙丙で無事天城着任
    大鯨と雲龍もドロップして大満足であります

    748 :



    当方、甲乙甲甲にてE4攻略中。
    2/3ほどゲージは削ったものの、甲でE4クリアは厳しいのでそろそろ乙に変更予定。
    シオイちゃんが欲しいので、丙は論外なのです……。

    749 :



    次回で祥鳳の秘密が明らかに?


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