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    元スレ勇者「ハーレム言うなよ!絶対言うなよ!」武道家「4よっ!」

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    251 :

    乙でございます

    253 :

    ドラクエやったことないけどすんごくおもしろい
    3年も続いてるってすんごい
    国名がどこがどこだかわからなくなるのはドラクエやったことないからかなw

    254 :

    いや、更新は嬉しいんだけど1レスでまた2ヶ月待たなきゃならんって正直どうなの・・・

    255 :

    サンタには大量投下を願うとするか…

    256 :

    まぁ日にちが空けば飽きてくるわな

    257 :

    もうやる気ないんじゃない?

    258 :

    もう更新しねーなこりゃ

    259 :

    1続きを書いてくれおねがいだみんな楽しみにしてるんだ!!!

    260 :

    きっと来るはず………歩朱

    261 :

    やらないならせめて生きてるかどうかしらせてくれ

    262 :

    あくまでLR推奨範囲で言われている事だけど作者自らせめて
    生存報告兼ねて保守して欲しいなととは思う
    前に2ヶ月当日ギリギリに投稿することが多いのを知らないのか
    2ヶ月丁度になったからって他者からのHTML依頼だした人もいるし
    まあ気長にこれからも待つしかないけどね

    266 :

    ペース的に今月中頃には書いてくれるのかな?

    267 :

    書いてくだしあ

    268 :



    イシス戦士「しかし、ムオル勇者殿は何故あんな演技をしてまで……上層部に直接言えば、また状況も違ったのではないか」

    勇者「いや、無駄だろうさ」

    イシス戦士「えっ、なぜだ?ムオル勇者殿程の人間の言となれば」

    勇者「異端者の烙印を押されて終わりだよ。今回の主導者の騎士団長は、国連から今回の出来事の全権を任されてる」

    勇者「どんなに名が売れていようと、一勇者と国連……どうしようもないさ」

    勇者「つまり、それらを理解した上でムオル勇者さんが秘密裏に上手くお義兄ちゃんを逃がせるように動いてくれたってわけなんだ」

    勇者「……」


    ――――――――――


    ムオル勇者『……誰かを守りたいと思うのなら、無謀ではいかん』

    ムオル勇者『謀を無くしては、全てが無謀になる』


    ――――――――――


    勇者(ムオル勇者さん……)


    イシス戦士「ムオル勇者殿といつ会っていたのだ?というか、そういえば何故お前は拘束されなかったのだ?」

    勇者「ああ。皆が拘束された日……拘束される直前に保護されたんだ」

    イシス戦士「そうか……よく国連側はお前の存在を見逃したものだな」

    勇者「…………」

    イシス戦士「ん?何だ?」

    勇者「や、なんでもない」

    勇者「そして、保護されて打ち合わせをして……ああいう芝居を打つ算段になったってわけさ」

    勇者「打ち合わせって……ムオル勇者さんは城を抜け出してたの?」

    勇者「ああ。皆の目を盗みながら二度ほどね」

    イシス戦士「確かにムオル勇者殿は、遊び人・お前達の仲間達・勇者……と監視を転々としていたからな。少し抜け出しても誰も気にしなかったんだろう」

    勇者「そうだね。あまり纏まった時間で話せなかったから歯痒かったけれども」

    イシス戦士「ん?ちょっと待てよ……という事は……さっきのあの城の部屋を用意したのもムオル勇者殿が?」

    勇者「いや、あれはもう一人の協力者が用意してくれたんだ」

    勇者・イシス戦士「「!」」

    勇者「もう一人協力者が居たの?」

    勇者「うん。こっちは本人の希望で誰かは明かせないんだけどね。拘束される直前の私を保護してくれたのもその人だよ」

    イシス戦士「信頼できる相手か?」

    勇者「安心していいよ。ちゃんと条件も飲んで協力をお願いしてる」

    269 = 1 :


    勇者「……さて、そういった経緯で私はここに居るんだ。他に質問はあるかい?」

    勇者「ううん、ある程度把握できたよ。ありがとう」

    イシス戦士「…………それで」

    勇者「うん?」

    イシス戦士「それで……これからどうするのだ?」

    イシス戦士「勇者の脱出は成功したが……遊び人の転職は……?」

    勇者「……」

    イシス戦士「止めねば、とんでも無い事になるのだろう?」

    イシス戦士「……何か策が……」

    勇者「ある」

    イシス戦士「!本当か!?」

    勇者「……――と、言いたいところなんだけれどね」

    イシス戦士「……無い、のか」

    勇者「ムオル勇者さんと、もう一人の協力者とも色々と話し合ったんだけど」

    勇者「いくつか出た案でも……結局、完璧に転職を防ぐビジョンは描けなかったよ。今回は相手側が大きすぎる」

    イシス戦士「……国連だ。無理もない。勇者を脱出させる事ができただけでも奇跡のような話だ」

    勇者「とりあえず、二人は色んな策を今も模索してくれてる。それを待ちつつ私達も何か策を考えよう」

    勇者「で、でも遊び人の転職まで時間が無いんじゃ」

    勇者「ああ、それが儀式が執り行われるのが明後日なんだ」

    勇者「明後日?」

    勇者「一番近い加護日が明後日だからさ。今日と明日は式の準備らしい」

    イシス戦士「……という事は、猶予は今日と明日という事になるな」

    勇者「一日と半。短いと泣くべきか、猶予がある事を喜ぶべきか……どうであれ、時間が無い」

    勇者「一刻も早く何か解決方法を考えないと」

    270 = 1 :

    イシス戦士「……ああ!!私にできる事があれば何でも言ってくれ!どんな事でもするぞ!」

    勇者「……イシス戦士ちゃん、ありがとう」

    イシス戦士「それで私は――……」


    勇者「でも、イシス戦士さんはポルトガに戻ってくれ」


    イシス戦士「なっ!?」

    勇者「元々、無理やりここに連れて来たようなものなんだ」

    勇者「ごめんよ、お義兄ちゃんを確保した時一番近くに居るのが君だったから……」

    イシス戦士「そ、それはいいのだ!私にも何かさせてくれ!真相を知ってしまったからには何かしなくてはっ」

    勇者「もし、イシス戦士ちゃんが私達と行動を“共に”してるのが見つかったら凄く厄介な事になる」

    イシス戦士「!!……ぐ……!」

    勇者「だから、イシス戦士ちゃんにはポルトガに帰ってもらってムオル勇者さんに伝言をお願いしたいんだ」

    イシス戦士「し、しかし!」

    勇者「……それに、イシス勇者くん達もきっと心配してるよ」

    イシス戦士「!!」

    勇者「…………変な形で巻き込んでごめん」

    勇者「でも今は……無事にポルトガに帰って欲しい」

    イシス戦士「っ……」

    イシス戦士「…………了解だ。伝言を承った」

    271 = 1 :

    勇者「うん。お願いします」

    勇者「それで……私達二人なんだけど」


    勇者「僕は僕で身を隠しながらダーマを視察して来る」


    勇者「!」

    イシス戦士「は?」

    勇者「隠れながら少しでも情報を収集しようと思ってる」

    イシス戦士「いや、貴様は下手に動かない方がいいだろう?」

    勇者「でも少しでも情報が必要だから。ダーマ神殿の構造とか警備の穴とか」

    イシス戦士「だからそれらは女勇者がやるか、女勇者と一緒に――……」

    勇者「女勇者は……行くところがあるから」

    イシス戦士「え?行くところ?」

    勇者「だろ?」

    勇者「……」

    勇者「……」

    イシス戦士「……?」

    勇者「……お義兄ちゃん」

    勇者「どうした?」

    勇者「…………ごめん」

    勇者「……はは」

    勇者「んーん。いいから。頼んだよ」

    272 = 1 :


    ドサッ

    勇者「!」

    勇者「これ……、お義兄ちゃんの荷物と武器。ムオル勇者さんが渡してくれた」

    勇者「ありがとう、よかった。流石に荷物も武器も無いと心許ないからね」

    勇者「明後日までには、必ず戻って来る」

    勇者「うん」

    勇者「だから、それまでは……必ず、無事に」

    勇者「うん、絶対」

    イシス戦士「おい、どういう事だ?今の状況でそんな」

    勇者「ごめん、イシス戦士ちゃん」

    イシス戦士「いや、ごめんと言われても……」

    勇者「……」

    イシス戦士「……女勇者?」

    勇者「……女勇者」

    勇者「……」

    勇者「…………ありがとう、ごめんね」

    勇者「……!」

    勇者「もうあまり余裕無いんだろ?……行ってきてくれ。女勇者」

    勇者「向こうの事、頼んだ」

    勇者「……うんっ」

    ダッ!!

    イシス戦士「あっ、おい!」

    勇者「また明後日までにここで!!」タッタッタ

    ガチャッ!!


    勇者「ルーラ!!!!」


    イシス戦士「女勇――……」

    273 = 1 :



    ゴォッ!!

    ブワァァッ!!!


    イシス戦士「ぐっ……!」


    バシュゥゥゥゥゥゥ……!!


    パラパラ…


    イシス戦士「……行ってしまった……」

    勇者「……さ、イシス戦士さんも早くポルトガに」

    イシス戦士「ちょ、ちょっと待て!それではお前一人になってしまうんだぞ!!」

    勇者「大丈夫。なんとか見つからないようにするよ」

    イシス戦士「というより、女勇者はどこに行ったんだ!?この緊急時に――……」

    勇者「……」

    イシス戦士「……?勇者?」

    勇者「……アリアハンだよ」

    イシス戦士「アリアハン?何故、故郷に今……帰る必要が」


    勇者「義母さんが、危ないんだ」


    イシス戦士「!?」

    274 = 1 :

    勇者「……女勇者ってさ。誰かが僕を魔物扱いするのを人一倍嫌うんだ」

    勇者「小さい頃からルビス様の加護のない僕はそう言われ続けてきたから……ずっと一緒だった女勇者は、本当にそれに敏感でね」

    勇者「…………でも、その女勇者が、あの時僕に魔物として演技するように仕向けた」

    イシス戦士「……」

    勇者「……大方、アリアハンにも僕が国連に魔物の容疑で捕まったって情報が入ったんだろうね」

    勇者「そして、義母さんが槍玉にあげられたんだろう。今頃、危ない目にあっているんだと思う」

    勇者「以前から僕を快く思っていない人達が多かったから。多分そういう人達に……」


    勇者「…………だから、僕が魔物で。母さんや色んな人達を騙してたって事にしたんだ」


    イシス戦士「……!!」

    勇者「……あいつは……女勇者は、賢いから」

    勇者「僕が後々、後悔しないような……僕が望む選択肢をあそこで選んでくれたんだよ」

    勇者「本当にできた奴だよ。情けなくなるくらいに」

    イシス戦士「……」

    イシス戦士(そうか……だから)

    ―――――――――――――――


    勇者『全部全部、演技さ』

    勇者『アリアハンに……オルテガの所へ転がり込んだのも、あの賢者ガルナに近づいたのも』

    勇者『あの女達を僕に懐かせたのも……ぜーんぶ計算通りだった」


    ―――――――――――――――

    イシス戦士(あんな演技を大勢の前で……こいつ達は)

    勇者「もっとも、ポルトガ勇者もイシス勇者くん達も気付いてくれてたみたいだったけどね」

    勇者「皆には感謝してもしたりないよ」

    275 = 1 :

    イシス戦士「…………」

    勇者「……さ、だからイシス戦士さんもポルトガに早く戻ってイシス勇者くん達に――……」

    イシス戦士「お前は」

    勇者「え?」

    イシス戦士「お前は……それでいいのか」

    勇者「……」

    イシス戦士「そんな嘘を吐いて、汚名を被って、故郷を失って」

    イシス戦士「きっとお前はこれから魔物として追われ続ける。魔族が滅ばない限り。いや、最悪、滅んだとしてもだ」

    イシス戦士「それでいいのか?お前は」

    勇者「ああ」

    イシス戦士「……即答か」

    勇者「……正直、覚悟はしてたしね」

    勇者「でも、それでもこれしか無いんだよ。結局」

    イシス戦士「……」

    勇者「……イシス戦士さん?」

    イシス戦士「……」


    イシス戦士(何故お前は、そこまで……自分を蔑ろにしていられるんだ)

    イシス戦士(何故、そんなに空虚な覚悟がお前の背中を押すんだ)

    イシス戦士(ルビス様の加護も無く、人からも蔑まれ……なぜ)

    276 = 1 :

    勇者「イシス戦士さん?どうしたの?」

    イシス戦士「……」

    勇者「……?」

    イシス戦士「……いや……すまない。では私も戻るとする」

    勇者「うん。伝言をよろしくお願いします」

    イシス戦士「承った」

    スタスタ

    勇者「……?」

    イシス戦士「……」スタスタ

    勇者「イシス戦士さん?出口はそっちで」

    イシス戦士「帰る前にちょっとな」スタスタ

    勇者「?」

    ザッ

    イシス戦士「……」

    勇者「どうしたの?それ、僕の荷物だけど……」

    イシス戦士「少し失礼するぞ」ゴソゴソ

    勇者「えっ、ちょっ……何を?」


    ジャキッ


    勇者「え?」

    イシス戦士「……これがお前の剣だったな」

    勇者「うん……それが一体」

    イシス戦士「……」

    勇者「……?」

    イシス戦士(……綺麗に手入れされている)

    イシス戦士(それなのに、柄には血が染み込み、刃はグズグズだ)

    イシス戦士(…………悲しい剣)

    イシス戦士「……お前らしい剣だ」

    勇者「何さ、それは――」

    イシス戦士「少し」


    ヒュンッ


    勇者「は?」



    イシス戦士「借りるぞ」



    ゾムッ!!!!!


    イシス戦士「…………っ!!!!!」


    勇者「!!!!?」

    277 = 1 :

    ダッ!!

    勇者「イシス戦士さん!!!!」ザッ!

    イシス戦士「ぐ、ふぅっ……!!!かはっ!!!」

    勇者「一体何をやって……!!ああ、こんなお腹深くまで!!」

    勇者「ちょっと待って!!ここに薬草が――……」

    ガシッ

    勇者「!?」

    イシス戦士「い、らんっ……!!」

    勇者「えっ!?で、でも」

    イシス戦士「お、お前が魔物、なら……!!この状況で、人質を、無事に返すと、思うか……?」

    イシス戦士「こうした、方が……命からがら、逃げてきた体を、装った方が……自然だろう……!」

    勇者「!!……それは、そうだけどっ」

    イシス戦士「勇……者、肩を貸せ……ドアの外、まで」

    勇者「……っ」

    ガシッ

    イシス戦士「……うむっ……!」

    勇者「……早く帰って、手当てを受けてよ……!!」

    イシス戦士「ああ……!そのつもり、だ……!!」

    278 = 1 :



    スタ…スタ…


    イシス戦士「…………なあ、勇者……!」

    勇者「何!?痛む!?」

    イシス戦士「……私達は、平気だ」

    勇者「いや、そんな状態で――」

    イシス戦士「怪我を、しても……私達は、平気、だ……!」

    イシス戦士「人間、同士の争い、でも……回復のまじないは、ルビス様の加護を、働かせて、くれる」

    イシス戦士「ましてや、魔物との、戦い、なら……!命を、落としたとて……!!また蘇られる……!!」

    勇者「……」

    イシス戦士「この、傷も……向こうに戻れば、イシス僧侶が、治してくれるだろう」

    イシス戦士「……だが」

    イシス戦士「だが……お前は、違うの、だろう」

    勇者「……うん」

    イシス戦士「……なら、ば。私は、それを……こんな風に利用してやる……!」

    イシス戦士「だがな……勇者……!」

    イシス戦士「お前は、違うのなら……お前は、お前は……」


    ギュッ


    勇者「!」


    イシス戦士「お前はもう、容易に、傷つくな」

    イシス戦士「お前が傷ついて、一人に、なろうとするほど、私の主は……悲しむのだ」

    イシス戦士「私の主を悲しませたら……許さんぞ」

    279 = 1 :


    勇者「……。………………」


    ガチャッ


    イシス戦士「……もう、いい。離せ」

    勇者「……」パッ…

    イシス戦士「…………それでは、無事を……祈るぞ」スタ…スタ…

    勇者「……」

    イシス戦士「……この辺りなら、飛べるな……」

    勇者「……っ、イシス戦士さん!僕は――……」

    イシス戦士「勇者」

    勇者「え?」

    イシス戦士「もし、お前に居場所が……無くなったら」

    イシス戦士「どこにも、行く場所が、無くなったら……イシスに、来い」

    イシス戦士「イシス勇者様の、家来として、こき、使ってやる」

    イシス戦士「だから――……」


    フワッ


    イシス戦士「……――絶対、無事でいろ」



    イシス戦士はキメラの翼を使った!!


    …………
    ……

    280 = 1 :




    ……
    …………


    ――ダーマ神殿・大聖堂――


    ツカツカ

    ツカツカ…

    ピタ…

    騎士団長「……」




    ルビス像「……」




    騎士団長「……」

    スタスタ

    神官「おや、騎士団長殿。ここにおられましたか」

    騎士団長「ん?ああ。すみません。落ち着かないものでしたから」

    神官「ルビス様を眺めておられたのですか?」

    騎士団長「ええ」

    神官「敬虔な方なのですなあ。感心感心」

    騎士団長「いえいえ、そんな。……そうです、各国の神官の方々は?」

    神官「あっ、その件で呼びに参ったのでした。皆さんお待ちですぞ」

    騎士団長「そうですか。では参りましょうか」

    281 = 1 :



    …………



    ――ダーマ神殿・会議室――


    ザワザワ…


    「全く、なぜこんな急に……」


    「ガルナ様の妹君だと?」


    「加護日は明後日でしたか、だったらその日に」



    ガチャッ ギィッ



    「「「!!」」」


    騎士団長「皆様、お待たせいたしました」

    ツカツカ

    ザッ

    騎士団長「今回の件、主権を任せられております騎士団長です。よろしくお願いいたします」


    「あんな若造が……」

    「国連に全てを任せられてるんだって?」

    「サマンオサの人間のようですな」


    騎士団長「色々と思うところはあると思いますが、どうかご静粛にお願いいたします」

    騎士団長「さて、早速ですが何か今回の件でご質問や不満はございますか?何でもお答えいたしましょう」

    「……」

    騎士団長「各国皆様の承諾を得る以前の急な式の決定で、未だ不安、そして不満に思っておられる方も多いかと」

    騎士団長「それについて、この場で解決しておきたいと思いまして。何かございませんか?」

    282 = 1 :

    「……」

    ザワザワ

    「……質問、します」

    「質問だ!」

    「質問です」

    騎士団長「ええ、では最初に手をあげた……そちらの方」

    「ガルナ様の妹君の再火贈りだそうですが……ガルナ様の血族だというのは確かなのでしょうか?」

    騎士団長「ええ。それは安心してください。生前のガルナ様から、確認もとれております。次のお方お願いします」

    「なぜ、最初の火贈りの儀式の際に聖職を避けられたのだ?」

    騎士団長「ガルナ様曰く、『まだ修行不足の小娘だから』との事でした。今では修行もちゃんと積んでありますのでご心配なく。次のお方」

    「……どうして今までガルナ様の妹君の存在を隠しておられたのですか?」

    騎士団長「……」

    「……」

    騎士団長「……ガルナ様の意思です」

    騎士団長「きっとガルナ様は昔から、賢者職の人間が狙われるという事をどこかで感じ取っておられたのでしょう」

    騎士団長「ですから、未だ力不足だった妹君が力を蓄えるまで隠しているようアリアハンの人間に命じたのです」

    騎士団長「……他に何かございませんか?」


    ザワザワ


    騎士団長「……無いようでしたら、今回の件について少しお話させていただきましょう」

    騎士団長「えー、今回のガルナ様の妹君の再火贈りには、意図が二つございます」

    「意図?」

    「二つ?」

    騎士団長「まず一つ目……『聖者をこの世に復活させる』……という事です」

    「復活だと?」

    「失礼な。聖者……賢者ならナジミ様が」

    騎士団長「皆様も神官なら、ご存知のはずですね?」

    騎士団長「ナジミ様はもう力のほとんどを失っておられる事を」


    「「「……!」」」

    283 = 1 :

    騎士団長「……あの落日の七日間の際、唯一テドン入りが遅れたナジミ様はそのままアリアハン近くの監視者の塔で隠居を続けました」

    騎士団長「しかし、あの七日間で賢者様方が余さず殺され……この大地を包むルビス様のご加護のバランスが崩れ」

    騎士団長「それにより、元より老いによって魔力を失いつつあったナジミ様は……力のほとんどを失いました」

    騎士団長「今では、長い時間アリアハン付近から離れられない程になっております」

    「……」

    騎士団長「……しかし、彼女は若い。力に溢れている」

    騎士団長「彼女が賢者になった時、ルビス様より新しい奇跡を授かるやもしれません」

    騎士団長「そして、意図の二つめ……『彼女を民の希望にする』」

    「民の希望?」

    騎士団長「はい。あの七日間以来、世界中の民の心に拭えない不安が渦巻いております」

    騎士団長「それによりいらぬ諍いが起こる事もしばしばです……しかし、この世に賢者が再臨するとなれば、皆の心の支えになりましょう」

    騎士団長「そうすれば、民の団結もより強いものになる……そう考えております」

    「つまり、彼女を偶像に?」

    騎士団長「少し語弊がありますが、概ねそういう事です」

    騎士団長「今この世界の人間に必要なのは、“カリスマ”です」

    騎士団長「嘗ての四賢者や、オルテガ、サイモンなど……心の支えが必要なのです。彼女にはそれを担ってもらいます」

    「しかし、賢者様と言えど少女一人では……」

    騎士団長「そこで、です」



    騎士団長「彼女はサマンオサを拠点として活動して頂きます」



    ザワッ

    「何?」

    「どういう事だ?」

    「サマンオサと何の関係が……!」

    騎士団長「今現在、サマンオサ軍の成長が著しいものとなっているのは、耳にした方もいらっしゃるのでは?」

    「聞いた事はあるが……」

    騎士団長「我々は特殊な徴兵・兵訓練を行っており、軍は拡大する一方。兵は掃いて捨てる程の数となっております」


    騎士団長「つまり……『彼女の護衛専用軍』を用意する事も可能なのです」


    「馬鹿なっ」

    「そんな冗談を」

    騎士団長「冗談ではありません。数だけで言えば、ロマリアの軍に匹敵する規模のものを用意できます」

    「は……!?」

    284 = 1 :

    騎士団長「…………何か、この件について異論のある方は?」


    「……」


    騎士団長「……」

    騎士団長「……それでは、彼女の所へ行かねばなりませんので、私はこのあたりで失礼します」

    スタスタ

    ピタ

    騎士団長「……最後に申し上げますが」

    騎士団長「今、私達が臨んでいる事態は、ルビス祭のようなお祭りではありません」

    騎士団長「『戦争』です。人類の存亡を懸けた、『魔族との戦争』、その反撃の1手目です」

    騎士団長「中途半端な覚悟で儀式に参加される事の無い様………………よろしくお願いいたします」




    ………
    ……





    ……
    ………



    ――ダーマ・別塔・貴賓室前廊下――


    給仕「ねえ、どうしようかしら……」

    給仕2「どうしようと言われましても、国連の方に相談を」

    ツカツカ

    騎士団長「おや?部屋の前で一体どうされたのですか?」

    給仕「ああ、騎士団長様」

    給仕2「実は、御召し物の聖衣を整え終わったんですが……」

    給仕「食事をお持ちすると言っても、頑として何もいらない、と」

    給仕2「そして、『出て行ってほしい』と……」

    騎士団長「なるほど……分かりました。御役目ご苦労様です。後は私にお任せください」ニコッ

    給仕「騎士団長様っ」

    給仕2「すみません、お願いいたします……!それでは私どもは失礼します」

    スタスタ…

    騎士団長「……」

    285 = 1 :

    クルッ

    騎士団長「……」

    コンコン

    騎士団長「…………入りますよ」


    シーン…


    騎士団長「……それでは、失礼」

    ガチャッ 

    ギィィィ…

    騎士団長「……」

    騎士団長「……」

    騎士団長「……お」









    遊び人「……」









    騎士団長「おお……」

    286 = 1 :

    スタスタ

    騎士団長「素晴らしい、とても美しいですよ遊び人さん。いえ、賢者様」

    遊び人「……寄らないで。気分悪い」

    騎士団長「……ふふっ、中身は昔と何も変わってはいないのですね」

    騎士団長「しかし……さすがダーマの聖法衣。あまりに美しい……」

    騎士団長「勿論、それを着た貴女が、という事ですがね」ニコッ

    遊び人「……」

    騎士団長「どうされたのです?気分が優れませんか?」

    遊び人「優れないに決まってるじゃん」


    ガコッ


    遊び人「こんな手枷付けられて……無理やり服着せられて」

    遊び人「私、アンタ達の御人形じゃないんだけど」

    騎士団長「人形だなんてとんでもない!勿論私共も貴女を敬っていますとも」

    騎士団長「ただ……貴女の魔力はあまりに未知数です」

    騎士団長「その枷には魔法制御・魔力瓦解の呪文がかけられていますので、迂闊に暴走することも無いかと」

    遊び人「……ものは言いようね」

    騎士団長「それに、その法衣はとても大切なものなのですよ?」

    騎士団長「貴女はこれから『平和の女神』として、『人類の反撃の象徴』として。この世界に君臨するのです。今回の儀式はその第一歩」

    騎士団長「臨む際には、相応の神聖さを持ち合わせていなければいけません」

    287 = 1 :

    遊び人「……」

    騎士団長「……やはり、浮かない顔をされておりますね」

    遊び人「……平和の女神」

    遊び人「……ふっ」

    騎士団長「?」

    遊び人「反撃の象徴……ふふっ……ははは」

    騎士団長「どうしました?何かおかしな事でも」

    遊び人「本当に、ものは言いようだね」

    騎士団長「と、いいますと?」

    遊び人「女神?象徴?違うでしょ?」




    遊び人「囮でしょ?私は」




    騎士団長「……」

    288 = 1 :

    遊び人「アンタの本当の目的は賢者を復活させる事じゃない」

    遊び人「復活させれば……それを高確率で、落日の七日間の時みたいに、魔族が狙いに来る。しかも強大な力を持った魔族が」

    騎士団長「……」

    遊び人「アンタはそいつらを叩き潰すつもりなんでしょ?サマンオサ軍を使って」

    遊び人「サマンオサの軍の力が隆盛を極めてる今、私の存在を思い出して……そして利用するために転職をけしかけた」

    騎士団長「……」

    遊び人「……何か間違った事、言った?」

    騎士団長「……確かに。ものは、言いようですね」

    スタスタ

    騎士団長「遊び人さん……違う、違いますよ」

    騎士団長「貴女をそんな危険に晒すわけ無いではないですか」

    遊び人「……」

    騎士団長「嗚呼、貴女は昔から少し卑屈になりすぎる」

    ピタ

    騎士団長「……」

    遊び人「……何?」

    騎士団長「……」

    スッ

    遊び人「……私の目の前に跪かないでくれる?」

    遊び人「目障りだよ」

    騎士団長「……お手を拝借します」

    スッ…

    騎士団長「……」


    チュッ…


    遊び人「……」

    騎士団長「……おや、抵抗されないのですね」

    騎士団長「手の甲への口づけと言えど、昔の貴女なら暴れて嫌がっておられたでしょうに」

    遊び人「……私はね」

    騎士団長「はい?」

    遊び人「別に、アンタ達が私をどう扱おうとどうでもいい」

    遊び人「女神としてシンボル扱いしようが、囮として扱おうが、どうでもいいの」

    遊び人「ただね……」

    ギリッ

    遊び人「この件のついでみたいに勇者ちゃんを魔物として糾弾して」

    遊び人「そして思い出したように勇者ちゃんを罪人として刑にかけようとしてる」

    遊び人「アンタも……!!国連も……頭にくる……!!」

    289 = 1 :

    騎士団長「……いけませんよ」

    騎士団長「魔物の疑いがある“あれ”を賢者様がそう庇われては」

    遊び人「……」

    遊び人「……」

    遊び人「……」

    遊び人「……」

    遊び人「……勇者ちゃんが」

    遊び人「何を、したっていうのよ」

    騎士団長「賢者さんを殺しました」

    遊び人「……」

    騎士団長「それは当時貴女も仰っていた事ではないですか」

    遊び人「……」

    騎士団長「無駄な情を注ぐのはおすすめしません」

    騎士団長「“あれ”は、魔物です」

    遊び人「……出てって」

    騎士団長「……」

    290 = 1 :

    スクッ

    騎士団長「……遊び人さん」

    遊び人「……」

    騎士団長「貴女を……囮なんかにはしません」

    騎士団長「私は……必ず貴女を守ります」

    ザッ

    遊び人「……!」

    騎士団長「……」

    騎士団長「……美しい……」

    スッ

    騎士団長「随分、あの頃より……賢者さんに似られた……」

    遊び人「やめ……!」

    騎士団長「遊び人さん……」



    バシィッ!!!!



    騎士団長「……っ……!」

    遊び人「……~っ!」

    騎士団長「……ふふ、唇はお気に入りの彼専用、ですか?」

    遊び人「出てって」

    騎士団長「すみませんが、勘違いをしておられるようで……前髪に糸くずがついておられますよ」

    スッ パッ

    騎士団長「取ろうとしただけです」

    騎士団長「この後は各国の貴賓の方々や神官が貴女への謁見のためにこの部屋に訪れます」

    騎士団長「身嗜みを崩すことなく、挨拶は丁重に――……」

    遊び人「……出てって!!」

    騎士団長「……機嫌を損ねてしまわれたのなら申し訳ありませんね」

    スタスタ

    騎士団長「それでは私は失礼しましょう」

    遊び人「……!」

    スタスタ

    ガチャッ

    騎士団長「……遊び人さん」

    騎士団長「その手枷がついているにせよ、貴女の力は脅威です」

    騎士団長「どうか大人しくしておいてくださいね」

    遊び人「……」

    291 = 1 :

    騎士団長「それでは、また用がありましたら――……」

    遊び人「……大人しく」

    騎士団長「はい?」

    遊び人「……」

    遊び人「大人しくしてたら」

    騎士団長「……」

    遊び人「……」

    騎士団長「……くふふっ」

    騎士団長「はい。約束通りです」

    騎士団長「勇者君の安全は保証しましょう」

    遊び人「……」

    騎士団長「全てが終わるまで彼の処分は下しません」

    騎士団長「もし魔族を滅ぼし終えたら、必ず勇者君は貴女の元へ」

    遊び人「……破ったら、死ぬから」

    騎士団長「ははは、勿論約束は守りますよ」

    遊び人「……」

    騎士団長「……」

    ギィッ

    騎士団長「どうやら、貴女にはそんな手枷よりも、彼の存在の方が効くようですね」

    騎士団長「そして同時に――……その強力な手枷よりも、彼の存在が枷になっているように思えます」

    遊び人「……」

    騎士団長「……それでは。失礼しました――『賢者様』」

    292 = 1 :



    バタン


    遊び人「……」

    遊び人「……」

    スタスタ…

    ギシッ…

    遊び人(……賢者?)

    遊び人(何が賢者よ……私ほど馬鹿な奴もいない)



    騎士団長『勇者くんの安全は保証しましょう』



    遊び人(あんな見えすいた嘘に……縋らなくちゃいけないんだから)

    遊び人(ほんと……)

    ギリッ…

    遊び人「ほんと、馬鹿だ……私……」

    293 = 1 :


    ギィッ

    バタン


    騎士団長「ふぅ……」

    騎士団長「……」

    スタスタ

    騎士団長「……」スタスタ

    騎士団長(さて、私の読みが正しければ――……)


    タッタッタ


    サマンオサ兵「騎士団長様!」

    騎士団長「む?」

    ザッ

    騎士団長「どうしたのです。騒がしいですよ」

    サマンオサ兵「申し訳御座いません、報告に参りました!」

    騎士団長「報告?」

    サマンオサ兵「はい!たった今、ポルトガ城から魔法兵が伝達を」

    騎士団長「どうしたのです」

    サマンオサ兵「……容疑者、勇者が脱獄した模様です!」

    騎士団長「!」

    サマンオサ兵「なんでも、仲間の魔族が地下水路を破り、容疑者と人質を奪って脱走し……未だ行方は捕捉できていないとの事」

    騎士団長「……ふむ」

    騎士団長「……」

    サマンオサ兵「……騎士団長様?」

    騎士団長「ああ、いえ。すみません」

    騎士団長「了解しました。下がってよろしい」

    サマンオサ兵「はっ!」

    294 = 1 :


    スタスタ

    騎士団長「……」

    騎士団長(ん、まあ脱獄するのは想定内でした)

    騎士団長(あの男は悪運の強い人間ですからねえ……)

    騎士団長(さて、そしてもし、まだ彼の行動が想定内の範囲に収まるのであれば――……)

    騎士団長「……」

    騎士団長「……少しお待ちください!」

    サマンオサ兵「はい?」ピタッ

    騎士団長「もう各国の貴賓、並びに神官達は揃っておりますね?」

    サマンオサ兵「はい。皆様明後日の儀式のために貴賓室で待機されておりますが……どうされましたか?」

    騎士団長「……では」

    騎士団長「緊急指令です。全員に伝達してください」



    騎士団長「式を――……」



    …………
    ……

    295 = 1 :



    ―ダーマ神殿付近・森中―



    チチチチ…

    ギャァギャァ…



    ザッ ザッ ザッ


    勇者「……はぁっ……はぁっ……」


    ザッ ザッ ザッ

    勇者「はぁっ……はぁ」

    勇者(どれくらい歩いただろう……もう日が沈みかけてる)

    勇者(昼前にポルトガを出て……丁度日が天辺にある頃にあの小屋を出たから……もう半々日は歩いてるのか)

    勇者「はぁっ……はぁ……」

    勇者「はぁ……」

    ザッ

    勇者「!!」

    勇者(見えた……!あの塔や円形の大きい建物だ!)

    勇者(早く……早く行かなきゃ)

    ズキィッ

    勇者「がっ……!!」

    勇者(くっそ……!腹の骨が数本限界っぽい……!)

    勇者(やっぱり牢での尋問の時に折られてたんだ……!)

    勇者「……っふぅぅぅ……!!」

    296 = 1 :


    ザッ…

    ザッ ザッ ザッ

    勇者(こんな時に手負いなんて……)

    勇者(早くしなきゃいけないのに……!早くしなきゃ)

    勇者「遊び人……!!」


    …………
    ……





    ……
    …………


    ―ダーマ神殿―


    ザワザワ


    「ロマリアの神官様が馬車でお越しだ!馬車置き場を案内して差し上げろ!」


    「別塔に貴賓室がございます。そこに今現在――……」


    「サマンオサ兵は至急中庭に――……」


    ザワザワ




    ガサッ…

    勇者「……」

    勇者(人が凄く多い……木陰に隠れてないと見つかっちゃうな)

    勇者(街道も人が多かったから森中を歩いてこないといけなかったけど……やっぱり大仰な式なんだ)

    勇者(とりあえず……)

    ガサガサ

    勇者(移動しながら、ダーマの全景と……建物の構造)

    勇者(そして可能なら遊び人の居場所を突き止めなきゃ)

    297 = 1 :



    ……
    …………


    ―ダーマ神殿・裏手―


    スタスタ

    神官「命名官様ー?命名官様ー?」

    神官「どこ行ったんですか本当……」


    「ここにおるよ」


    神官「あ!命名官様!」


    命名官「なんのようじゃい、さわがしいねえ」


    スタスタ

    神官「探しましたよ、全く。すぐ居なくなるんですから」

    命名官「騒がしいのは嫌いでね。喧騒は婆には辛いんじゃ」

    神官「そんな事より、サマンオサの方々が呼んでおられましたよ」

    命名官「サマンオサの奴らがかい?」

    神官「はい。なんでも賢者様への謁見の準備が」

    298 = 1 :

    命名官「嫌じゃ」

    神官「はい!?駄目ですって!ちゃんと謁見してください!」

    命名官「めんどい」

    神官「めんどいじゃないですよ!あたしがどやされるんですよ!行ってください!」

    命名官「なんで私が行かなくちゃなんないのかね……。こういう時だけお偉いさん扱いしおって」

    神官「お偉いさん扱いって……お偉いさんじゃないですか。別にこういう時だけじゃなく常にみんなそう扱ってますって」

    命名官「今現在もマリナン様を本気で信仰している人間なんてどれくらい居るんだろうねえ?」

    命名官「年々信者は減って……たかが名前などと皆、名前の魔力を軽視しておる」

    命名官「今ではお偉いさんの儀式で御飾りのように戯れに名前を乞われるくらいだろう」

    神官「それは……そうかもしんないですけど」

    神官「でも聖マリナン様は歴とした神様ではないですか。誇りを持つべきですって!」

    命名官「じゃあアンタが後を継ぐかい?」

    神官「それはイヤですけど」

    命名官「こんの小娘……」


    タッタッタ


    神官・命名官「「!」」


    サマンオサ兵「……何か居たか?」

    サマンオサ兵2「いや、こっちには」


    神官「うああもうホラ命名官様がもたもたしてるからサマンオサの人達とさかに来て探しに来ちゃったじゃないですか」

    命名官「面倒くさいねえ……」

    サマンオサ兵「む、そこの二人」

    神官「はい!!すみませんこの人が命名官様です!すぐ連れて行きます!!」

    299 = 1 :

    サマンオサ兵「ああ、なんと命名官様でしたか。失礼致しました」

    命名官「ん?なんだい、私を探しに来たんじゃないのかい」

    サマンオサ兵2「ええ。実は、ポルトガで拘束していた落日の七日間の罪人が脱獄しまして」

    神官「ええっ!!?」

    命名官「そりゃ怖いねえ」

    サマンオサ兵「その罪人が賢者様を狙いに来る可能性が高く……もし何か見かけたら、すぐにサマンオサの兵へ連絡をお願いします」

    サマンオサ兵2「それでは失礼します」

    スタスタ

    神官「こ、こわいですねぇ……どうしましょう命名官様」

    命名官「どうしましょうったって、どうしようもないだろう。気を付けとくこったね」

    ピタ

    サマンオサ兵「ああ、それと」

    命名官「また何かあるのかい?」

    サマンオサ兵「ええ、実は――……」






    サマンオサ兵「式の予定が、明後日から明日へ変更になりました」






    神官「はい?」

    命名官「何だって……?なぜまたそんな事」

    サマンオサ兵「ええ、理由は下々の私どもは存じ上げていないのですが――……」



    ドサッ!!ズザァッ!!ガサッ!!



    一同「「「!!?」」」


    サマンオサ兵2「なんだ今の音は」

    サマンオサ兵「そっちの茂みの方から……」

    神官「ま、まさか……さっき言ってた罪人が」

    命名官「どうせ動物か何かだろう?」スタスタ

    神官「あっ!ちょっと命名官様!危ないですって!」

    命名官「びびりだねえ、アンタも」スタスタ

    命名官「きっと鹿か何かが――……」ヒョイ

    命名官「……」

    サマンオサ兵「どうです、何か居ましたか?」スタスタ

    300 = 1 :

    命名官「いや……」

    スッ


    命名官「こりゃ鹿の糞だね。まだ暖かい」


    サマンオサ兵「うっ」

    命名官「暖かいって事は今ここにいたんだろう。うん。やわっこいしねえ」

    神官「うわ!手で新しいフン触ってる!ばっちい!」

    命名官「ばっちいわけあるもんかい?新しい鹿の糞は食えるんだよ?」

    サマンオサ兵2「ええーっ」

    サマンオサ兵「いや、ちょっとそれは……」

    神官「信じられない、ほんと無理ほんと無理」

    命名官「ほら、どうだい?できたてだよ?」

    サマンオサ兵「いや私どもは……」

    命名官「ほら、今が食い時じゃて」

    ズイズイ

    命名官「ほらほら」

    サマンオサ兵「う、わ!私どもはこれにて!」

    ダッ

    サマンオサ兵2「先程も言いましたが何か異変があればすぐに報告をお願いします!」

    タッタッタ…


    神官「……」

    命名官「……男のくせに度胸の無い奴らじゃな」

    命名官「さ、神官の小娘も試しに」

    神官「 」ダッ

    命名官「はやい」


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