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    元スレ勇者「ハーレム言うなよ!絶対言うなよ!」武道家「4よっ!」

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    152 :

    まってるよ!

    153 = 152 :

    すまんsage忘れてた泣

    154 :

    ぎりぎり!

    155 :

    やばい

    156 :

    ―ポルトガ城・城門―


    ポルトガ兵「……」

    ポルトガ兵2「なあ」

    ポルトガ兵「なんだ?」

    ポルトガ兵2「さっき兵や国連の人達のほとんどが出てったのって、何だったんだ?」

    ポルトガ兵「さあな。でかい豪華なコーチも用意してあったしな。お偉いさんを運ぶんじゃないか?」

    ポルトガ兵2「ダーマまで?」

    ポルトガ兵「ああ、行き先はダーマだったらしいけど」

    ポルトガ兵2「お偉いさんがお偉いさんと兵を率いてダーマまで?なんかおかしくね?」

    ポルトガ兵「俺がそんな事しるかよ。とにかく俺らは今見張り兵なんだからここで持ち場を守ってりゃいいんだ」

    ポルトガ兵2「……あの、勇者って奴とは別件って事だろ?ダーマに行くのは」

    ポルトガ兵「だから俺がそんな事――……」

    ポルトガ兵2「落日の七日間の手引きをした、本当なら相当な犯罪者を置いておかないといけない別件ってなんだ?」

    ポルトガ兵「……あ……」

    ポルトガ兵2「……なあ、俺なんか嫌な予感すんだよ」

    ポルトガ兵「嫌な予感?」

    ポルトガ兵2「ああ、なんだか……」


    ガシャッ


    ポルトガ兵2「予感……が――……?」

    ポルトガ兵「ん?どうした?」

    ポルトガ兵2「……」

    ポルトガ兵「おい……」

    ポルトガ兵(……?なんで俺の後ろを見て固まって……)クルッ

    ポルトガ兵「……」

    ポルトガ兵2「……」

    ポルトガ兵「……は?」

    157 = 1 :

    ―地下牢―


    ガシャン!


    勇者「とにかくっ!!お願いだ!もう僕一人がどうこうって話じゃなくなったんだ!」

    勇者「早く止めないと大変な事になる!!」

    イシス勇者「ゆ、勇者くん一旦落ち着いて!」

    勇者「でも、そんな悠長な事を言ってる場合じゃ……!」

    ポルトガ勇者「馬鹿野郎」

    ゴンッ!!

    勇者「あぎゅんっ!!」

    イシス僧侶「ポルトガ勇者様!?」

    イシス魔法使い「わぁ……今のゲンコツは痛そうね」

    勇者「あいだだだ……!!」

    ポルトガ勇者「何か事情があって焦ってんのは分かったけど、だからといって簡単に打開できるような状況じゃねえだろうが!」

    ポルトガ勇者「てめえ一人盛り上がって突っ走った状態じゃ強行突破もクソもできやしねえよ!」

    勇者「うっ……」

    ポルトガ勇者「……とりあえず落ち着け」

    勇者「……うん……、悪かった。ごめん」

    イシス勇者「いや、いいんだ。何かわけありみたいだしね」

    ポルトガ勇者「そのワケってのは何なんだ?」

    イシス戦士「今、お前一人がどうこうって話じゃなくなった……と言っていたが」

    勇者「……」

    ポルトガ勇者「……話せねえ事か?」

    勇者「……ごめん」

    勇者「これは、本来なら……ずっと内密にしないといけない事なんだ」

    158 = 1 :

    イシス勇者「内密、に?」

    ポルトガ勇者「まあ無理に話せとは言わねえがな……それじゃなんでお前が焦りだしたか不安にもなるしなぁ」

    勇者「……」

    イシス魔法使い「……勇者くん」

    勇者「え、あ、はい?」


    イシス魔法使い「……もしかして、その内密が明かされる事に焦ってるの?」


    勇者「!」

    イシス僧侶「へ?どういう事?」

    ポルトガ勇者「……ああ、なるほどな」

    イシス僧侶「ん?」

    イシス戦士「このままガルナの一族の末裔がダーマに着けば、それが日の下に曝け出されてしまうという事か」」

    イシス僧侶「ああー、なるほどー……」

    イシス僧侶「……え?じゃあそれって……」

    イシス勇者「……ああ」

    勇者「……うん」

    勇者「とんでもなく……やばい事なんだ」



    勇者「今、騎士団長がやろうとしてる“事”――……」

    勇者「遊び人が……火贈りの儀式で人間としての業を“遊び人”とした事を取り消して」

    勇者「騎士団長はあいつに“賢者”の業を背負わそうとしてる……塗り替えようとしてるって事」

    勇者「それ、途轍もなくやばいんだ」

    勇者「それだけは絶対にやめさせなくちゃ……!!!」



    ポルトガ勇者「……!」

    イシス勇者「……!」

    勇者「……お願いだ、二人共……!協力して欲しい!」

    ポルトガ勇者「ああ、迅速に脱出案を考えよう」

    イシス勇者「それと同時に、勇者くんの脱出後に国連側に感づかれずに自由に勇者くんと行動を共にできる人間の考慮もした方がいいね」

    イシス僧侶「それなら私達の誰かが適役かも」

    イシス魔法使い「そうね。そっちは私達で打ち合わせましょう」

    イシス戦士「イシス勇者様とポルトガ勇者殿、勇者は脱出方法の話し合いを――……」




    「……――詳しく聞かせてもらおうか?」

    159 = 1 :



    イシス勇者・ポルトガ勇者「「ッッ!!!?」」バッ!!


    カツ… カツ…


    イシス僧侶「なっ……!!」

    イシス魔法使い「な、なんで」

    イシス戦士「いつの、間に……!!?」


    カツ… カツ…

    カツ…


    ザッ!!


    勇者「……っ!!」



    ムオル勇者「……勇者の脱出がどうこうという話が聞こえていたが……」

    ムオル勇者「聞き違いか?」

    ムオル勇者「ポルトガ勇者……イシス勇者」



    一同「「「…………!!!」」」


    イシス勇者(最悪、だっ……!!)

    ポルトガ勇者(こいつ、“いつ”この地下牢階に入って来やがった……!?どのくらい前から!?)

    イシス戦士(まるで気配が無かった!足音も、甲冑の金属音はおろか衣擦れの音さえも……!)

    イシス魔法使い(これ、もはや言い逃れできないくらいイケない状況よね……!)

    イシス僧侶(……無事にここ出られるかな)



    ムオル勇者「……お前らはその牢の中で何をしている?」

    ムオル勇者「尋問には見えんが……何をしているんだ?」

    ムオル勇者「…………」


    ムオル勇者「質問に、答えろ」


    163 = 162 :

    やっちまったわすんません
    乙でございます

    164 :

    このタイミングで帰ってくるのか
    狙ってるのか?

    165 :

    またギリギリまで来ないのか?

    166 :

    書けないなら依頼出せばいいのに…

    167 :

    ギリギリでも、ちゃんと更新してくれるんだから、ありがたいだろ。

    168 :

    まあここの作者は来ないがな
    楽しみにしてるんだが……
    無理なら無理と言って欲しいわ

    169 :

    >>168
    お前本当に読んでるか?
    ここの作者きっちり二ヶ月置きではあるけど、きっちり落ちない様に更新してるじゃん
    ある意味安心だわ

    170 :

    もうやめよう
    無理なら作者も言うだろ
    更新されてたらラッキーくらいの心づもりで待とう

    171 :

    ぎりぎりじゃなきゃ投下しないって事は投下できないほどリアルが忙しいか、書く気がないのどちらかでしょ?
    忙しくてできないなら一回落として余裕ができたら再開すればいいじゃんもちろん続ける気があればだけど

    172 :

    馬鹿かこいつらは
    黙って待っとけ早漏

    173 :

    早漏なので頑張って待ちます

    174 :

    ほんとに黙ったままだと落ちちゃうから
    定期的に待機保守

    176 :

    イシス勇者「……」

    ポルトガ勇者「……」


    ムオル勇者「……」

    ムオル勇者「両者共、牢から出て来い」


    イシス勇者「……ポルトガ勇者君」

    ポルトガ勇者「……ああ」

    ザッ!


    勇者「!」


    イシス勇者「……」スタスタ

    ポルトガ勇者「……」スタスタ


    勇者「イシス勇者君、ポルトガ勇者っ……」ザッ


    ムオル勇者「動くな」


    勇者「っ!」ピタッ

    ムオル勇者「お前は動くな。イシスの従者達もだ」

    イシス僧侶「ぐ……」

    イシス魔法使い「……分かりましたわ」

    イシス戦士「イシス勇者様……!」


    ザッ


    イシス勇者「……」

    ポルトガ勇者「……」

    ムオル勇者「……さて」

    ムオル勇者「もう一度問う。そこで何をしていた?」

    177 = 1 :

    イシス勇者「……ムオル勇者さん」

    ムオル勇者「なんだ」

    ポルトガ勇者「話がある」

    ムオル勇者「なら話せ」

    ポルトガ勇者「……アンタなら分かってくれると信じて話すぜ」

    ムオル勇者「話せと言っている」


    ポルトガ勇者「こいつは……勇者は、魔物でもなんでもねえ」


    ムオル勇者「……」

    イシス勇者「ポルトガ勇者君は、彼に過去の全てを聞いたそうなんです」

    ポルトガ勇者「ああ、そのどれもが本当の話だ。あいつの目を見りゃわかる」

    イシス勇者「それに、彼は以前僕を救ってくれました。そして仲間の事をとても大切に想っている」

    イシス勇者「落日の七日間の手引きをした魔物が、そんな事をするとは思えません」

    勇者「二人共……」

    イシス僧侶「ムオル勇者様!私達からも言わせてください!」

    勇者「!」

    イシス魔法使い「彼とは短い付き合いですが、それでも魔の者でない事は分かります!」

    イシス戦士「この男の裁判など無用です。時間の無駄であります」

    イシス僧侶「サマンオサへ連行する前に、どうか勇者君の言葉を聞き入れてあげて下さい!」

    ムオル勇者「……」

    ポルトガ勇者「……そういうこった。ムオル勇者」

    ムオル勇者「……」

    ポルトガ勇者「頼む。アンタからも国連の奴らに――」




    ムオル勇者「戯言を垂れ流すな」




    一同「「「!!」」」

    ムオル勇者「上の決定は絶対だ。それは国連の勇者になった時点でお前達も分かっているだろう」

    ムオル勇者「一時の情に流されてそれを蔑ろにするなど言語道断」

    ムオル勇者「そいつのサマンオサ行きは絶対であり、それは決定事項だ」


    イシス勇者「ムオル勇者さんっ!!」

    ポルトガ勇者「っ……」


    ムオル勇者「……ポルトガ勇者、お前は地下に出入りするな」

    ムオル勇者「イシス勇者もだ。これ以上私情で無計画に何をしでかされるか……堪ったものではない」

    178 = 1 :



    ジャキン!!!


    勇者「!?」

    イシス僧侶「ちょっ!」

    イシス戦士「イシス勇者様!?」

    イシス魔法使い「何をっ……!」


    ムオル勇者「……」


    イシス勇者「……っ」チャキッ…


    ムオル勇者「……なんの真似だ?」


    イシス勇者「……ムオル勇者さん、お願いです」

    イシス勇者「勇者くんを解放してください」

    ムオル勇者「……」

    イシス勇者「サマンオサの魔族裁判は……実質死刑のようなものだ。ここで国連に全て任せれば、彼を見殺しにする事になる」

    イシス勇者「それに、勇者くんの話だと、ここで足踏みをしている時間なんてないんです」

    イシス勇者「もし……貴方がそれを承知してくれないのなら……」

    ギリッ…

    イシス勇者「……貴方に対しても……僕は剣を抜いてやる」


    勇者「イシス勇者君!それはダm――……」


    ポルトガ勇者「俺も、こいつと同意見だ。ムオル勇者」

    勇者「!」


    ジャキン!


    ポルトガ勇者「……こいつの話を聴く限り、今は結構やばそうな分岐点らしい」

    ポルトガ勇者「あのガルナの末裔をダーマに連れてくのをやめさせてくれ。そしてこいつを解放してやってくれ」

    ポルトガ勇者「俺は、嘘を吐く奴ってのは眼を見りゃわかるんだ……こいつは信じて良い」

    ポルトガ勇者「……もし無理ってんなら」


    ギリッ…!


    ポルトガ勇者「悪いが、少し抵抗させて貰うぜ」


    ムオル勇者「……」


    イシス勇者「……っ」

    ポルトガ勇者「……」


    ムオル勇者「……」

    179 = 1 :



    ドッ!!!!!!


    ガキイィィン!!!!




    勇者「!!!?」

    イシス従者達「「「!!!」」」



    パラパラ



    イシス勇者「っ……!?……な……ぐっ……!」

    ポルトガ勇者「!!?……くっ」



    ムオル勇者「……先程行った筈だ」


    ギリィッ……


    ムオル勇者「戯言を垂れ流すな、と」



    ポルトガ勇者「ぎ……ぃっ!」

    ポルトガ勇者(こいつ……!いとも簡単に、間合いを縮めて)

    イシス勇者「か、はっ……!!」

    イシス勇者(素手で、素手でっ!、僕らの剣を薙ぎ飛ばして、喉を掴んで、壁と地面に抑えこんだっていうのか……!!)

    イシス勇者(今の、一瞬で!!)



    ムオル勇者「お前達、自分達が何をしているのか分かっているのか?」

    ムオル勇者「自分達が今手に持った物が何か」

    ムオル勇者「それを抜く事が何を意味するのか……分かっているのか?」


    イシス勇者「それ、はっ」


    ムオル勇者「お前達は剣を抜いた。剣を抜き、俺に向かって構えた」

    ムオル勇者「いや……俺に対してでは無い」

    ムオル勇者「国連に向けてその敵意を鞘から抜き出し、突きつけたのだ」

    ムオル勇者「……これがどんな事か理解しているのか」


    ポルトガ勇者「んな事っ」

    180 = 1 :


    ムオル勇者「お前達は勇者である以前に王子だという事を忘れているのか?」


    ポルトガ勇者「!」

    イシス勇者「!」


    ムオル勇者「こんな愚行で国連に背き、国はどうなる。国連からの信用はどうなる」


    ポルトガ勇者「……っ」


    ムオル勇者「ポルトガの王はどうなる。イシスの女王はどうなる」

    ムオル勇者「ポルトガの民は、イシスの民は」

    ムオル勇者「親国の信用は、貿易は、経済は、国の未来はどうなる」

    ムオル勇者「言ってみろ」


    イシス勇者「……」

    ポルトガ勇者「……俺はっ……だから、俺は」

    ポルトガ勇者「王子なんか……っ、縛られるなら」

    ポルトガ勇者「何も……できねえなら……!!……王子、のっ……身分なんかっ」


    ムオル勇者「お前の心境など関係あるものか。お前は王位継承権を放棄したにしろ王子である事は変わらん」

    ムオル勇者「背負っているものの大きさも忘れ、自分の一存だけでそれらを放り投げるのか」

    ムオル勇者「……馬鹿共が」


    パッ

    ドサッ!!


    イシス勇者「がはっ!!」

    ポルトガ勇者「はぁっ……はぁっ!!くっ……っそ!!」

    ムオル勇者「……また何か不穏な動きをすれば、同じように捻じ伏せる」

    ムオル勇者「愚行を繰り返すな」

    勇者「二人共!!」ザッ!!

    ムオル勇者「動くなと言っただろう」

    勇者「っ……!!ムオル勇者さん!彼らは関係無い!!僕が誑かしただけなんです!」

    ポルトガ勇者「勇者、っかはっ!お前ッ」

    勇者「ポルトガやイシスの国々には何も関係無い!!僕が脱獄するために、彼らを騙したんだ!!だから彼らは――……」

    181 = 1 :

    ムオル勇者「お前もよくそんな愚言が吐き出せるな」

    勇者「!!」

    ムオル勇者「……今こいつらが剣を抜いたのが誰の為か、もう忘れてしまったようだな」

    ムオル勇者「自分が巻き込んで、誑かし……そして自分の身を捧げてその覚悟や決意を無碍にするのか」

    ムオル勇者「……よほど自分が可愛く、よほど自分の身を蔑ろにしていて……そしてよほどの馬鹿のようだ。お前は」

    勇者「……っ」


    イシス勇者「ムオル勇者さんっ!!何をっ――……」ザッ!!

    ポルトガ勇者「イシス勇者!」ガシッ!

    イシス勇者「っ……でもっ……!」


    ムオル勇者「上であの女達にも旅の間の事情を聴取したが……お前の無謀さには閉口した」

    ムオル勇者「何かあれば自分の身を顧みずにあの女達を守ったそうだが」

    ムオル勇者「俺にしてみれば、それらはただの愚行だ。他人の事を考えたふりをした、極めて利己的な行動だ」

    勇者「……」

    ムオル勇者「策と称して左手を失い、策と称して死霊の群れに飛び込み……その他も諸々」

    ムオル勇者「結果全ての場面で生き延びたはいいが、いつ死のうがおかしくはない状況」

    ムオル勇者「全て匹夫の勇だ。下策であり、餓鬼の空想。……それらが偶々上手くいったにすぎない」

    勇者「…………」

    ムオル勇者「お前……」


    ムオル勇者「……自己犠牲を償いだと思っているんじゃあないか」


    勇者「!!!!!」


    ムオル勇者「……」

    勇者「……………………」

    勇者「………………そ、んな……」

    ムオル勇者「……」

    勇者「違……僕は、そんなの」

    勇者「僕は……」

    ムオル勇者「……」

    勇者「………………」

    ムオル勇者「……まあいい」

    勇者「……」

    イシス僧侶「……勇者君……」

    イシス魔法使い「……」

    イシス戦士「……っ」

    182 = 1 :


    ザッ!!

    イシス戦士「お、お言葉ですがムオル勇者殿!!」

    イシス僧侶「イシス戦士!?」

    ムオル勇者「……何だ」

    イシス戦士「私達の主、イシス勇者様は、その匹夫の勇に……たとえそれが自己犠牲の感情によるものだったとしても!!」

    イシス戦士「それが奴の利己的な衝動の副産物だったとしても!……それらに私達の主は救われました!!」

    イシス戦士「その衝動の根源が何であれ!私達はその男に感謝しているのです!これは紛れも無い事実です!!」

    イシス戦士「それでもムオル勇者殿はそれらを無駄であったと仰るのですか!!」


    勇者「……!」

    イシス僧侶「イシス戦士……!」


    ムオル勇者「……」


    イシス戦士「その愚行がなければ、事態は動かなかったかも知れぬのです!いえ、悪化していたかもしれない!!」

    イシス戦士「差し出がましいとは、思いますが!!言わせていただきます!!」


    イシス戦士「この者の行動は!!無駄ではありません!!」


    ムオル勇者「……」

    イシス戦士「……し、失礼しました!!」

    イシス僧侶「……イシス戦士」

    イシス魔法使い(こんなに感情剥き出しのイシス戦士、久々ね……)

    183 = 1 :

    ムオル勇者「……」

    ムオル勇者「…………」


    <……


    ムオル勇者「……!」


    イシス戦士「く、口答えなど、出すぎた真似をしてしまい……申し訳御座いません」

    イシス戦士「しかし――……!!」


    ジャキン!!


    一同「「「「!!!?」」」」


    ムオル勇者「…………謝罪などいらん」チャキッ…

    スタスタ…

    ムオル勇者「……そこから動くな」


    イシス戦士「っ……!」ゾクゥッ

    イシス僧侶「ムオル勇者様!!」ガバッ!

    イシス魔法使い「お、お許し下さい!!剣をお下げになってください!!」ガバッ!!

    ムオル勇者「動くなと言っているだろう」スタスタ

    イシス魔法使い「ひっ……!!」

    イシス勇者「ムオル勇者さん!!何を!!!」

    ポルトガ勇者「おい!!何するつもりだ!!!」


    ムオル勇者「……」スタスタ

    イシス戦士「っ……!!処罰ならっ!!なんなりと……!!」

    184 = 1 :


    ガバァッ!!


    ムオル勇者・イシス戦士「「!!」」


    勇者「……っ!!」


    ムオル勇者「……」

    イシス戦士「ゆ、勇者……私は平気だ!お前は下がっていろ!今のは私の咎だ!」

    勇者「……」

    ムオル勇者「……」

    勇者「……ムオル勇者さん」

    ムオル勇者「……なんだ」

    勇者「……全部、全部僕の責任だ……この人達は、関係ない」

    勇者「斬るなら僕を斬れ」

    ムオル勇者「……また自分を差し出すのか」

    勇者「差し出しますよ」

    ムオル勇者「愚かだな」

    勇者「ええ、愚かです」

    勇者「そっちの方がマシだ」

    勇者「どんなに、みっともなくても……愚かでも」

    勇者「……そっちの方がマシだ」

    ムオル勇者「……」

    勇者「誰かを僕のせいで死なせて……僕は生き延びて」

    勇者「後悔して、後悔して、後悔して生きるより」

    勇者「意地張って……意地張って、あがき続けて、もがいて、死ぬ方がマシだ」

    勇者「…………マシなんだ」

    ムオル勇者「……」

    勇者「……」

    ムオル勇者「……」

    勇者「……斬るなら、僕を斬ってください」

    ムオル勇者「……」

    勇者「……っ」

    185 = 1 :

    ムオル勇者「…………どうやらお前は俺の言う愚かさの意味を理解していないようだな」

    勇者「……え?」

    ムオル勇者「勇気があるのは悪い事ではない。それは賞賛されるべき事なのであろう」

    ムオル勇者「そのイシスの従者達の言うとおり、それによって救われた者が居るのも事実なのであろう」

    ムオル勇者「しかし、それは結果論だ。お前は無謀すぎる」

    ムオル勇者「いざという時に、命をがむしゃらに投げ出し、考え無しに突っ込む」

    ムオル勇者「先程も言ったが、それは勇気というにはあまりに愚かで稚拙だ。自己満足の自己犠牲の域を出ない」

    勇者「……それは……っ」

    ムオル勇者「お前には、考えが足りない」

    勇者「…………」

    イシス勇者「ムオル勇者さん!!それ以上勇者くんを馬鹿にしたら――……!!」ザッ!!

    ムオル勇者「イシス勇者もそこを動くな」

    ムオル勇者「少しでも動けば皆の首を刎ねるぞ」

    イシス勇者「っ……!」ピタ

    ポルトガ勇者「……」

    イシス勇者「ポルトガ勇者君!!君も何か」

    ポルトガ勇者「待て、イシス勇者」ボソッ

    イシス勇者「えっ?」

    ポルトガ勇者「……」

    ポルトガ勇者(何だ……?)

    ポルトガ勇者(なんだか……)


    <……!…!


    ポルトガ勇者(上階が騒がしい……?)

    186 = 1 :

    ムオル勇者「……今一度問いただそう」

    ムオル勇者「お前、本当にあの娘達を守りたいのか?」

    勇者「……」

    ムオル勇者「自分の罪悪感を、あの娘達を守ろうとする事で晴らそうとしているんじゃあないか?」

    勇者「……違う」

    ムオル勇者「危険な状況に身を投じる事で、全てを放り出そうとしているんじゃあないか?」

    勇者「……違う……っ」

    ムオル勇者「強くない事を言い訳に、命を粗末にしているんじゃあないか?」

    勇者「……違う……!!」


    ムオル勇者「……お前は」





    ムオル勇者「そのままで良いと思っているのか?」





    勇者「……」

    勇者「……」

    ムオル勇者「……」

    勇者「……」

    勇者「……」

    勇者「……がう……」

    勇者「違う…………」

    勇者「…………違う」

    勇者「違う…………違う!!」

    勇者「違う!!違う!!違う!!違う!!違ってる!!!」


    ギリィッ!!!!





    勇者「違うに!!!!!決まっているだろ!!!!!!!」





    ムオル勇者「……!」

    187 = 1 :

    イシス勇者「……!!」

    イシス僧侶「勇者くん……」


    勇者「……っ……!!!!」

    ムオル勇者「……」

    ムオル勇者「……」

    スッ

    勇者「っ!?」ビクッ



    ポン



    勇者「へ?」


    ムオル勇者「……うむ」

    ナデナデ

    ムオル勇者「…………そうか」


    勇者「……え……?」


    イシス勇者「へ……?撫で……?」

    ポルトガ勇者「おい、イシス勇者」

    イシス勇者「ん?え?な、なんだい?」

    ポルトガ勇者「一応、剣構えとけ」

    イシス勇者「え……?」


    ムオル勇者「ならば、お前はもっと強くならなければならないな」ナデナデ

    勇者「そ、それは、え?あれ?」

    188 = 1 :

    ピタ

    ムオル勇者「そして、覚えておけ」

    ジャキッ!!

    勇者「!?」

    ムオル勇者「…………強くなるというのは、腕力や魔法力を鍛えるだけではない」

    ムオル勇者「ましてや戦術を駆使する事だけでもない」


    ゴ


    イシス戦士「……ん?」

    イシス魔法使い「……?」


    ゴゴ


    イシス僧侶「……?」

    イシス僧侶(なに……この音……?)


    ゴゴゴゴ


    イシス勇者「なんだ……?この地鳴りみたいな……」


    タッタッタ


    イシス勇者「!」

    ポルトガ勇者「……やっぱりか」


    ポルトガ兵「王子ー!!!」タッタッタ


    ポルトガ勇者「どうした!!!」

    ポルトガ兵「火急の用件にて!!失礼します!!」タッタッタ


    ポルトガ兵「侵入者です!!!城に魔の手先の侵入者が現れました!!!」


    勇者「!?」

    勇者(侵入者……!?魔物の!?)

    ムオル勇者「勇者」

    勇者「!」

    ムオル勇者「……誰かを守りたいと思うのなら、無謀ではいかん」

    ムオル勇者「謀を無くしては、全てが無謀になる」

    ムオル勇者「全てにおいて、数手先を読む事も……」



    ムオル勇者「下準備……策も大切だという事を、覚えておけ」

    189 = 1 :





    ドゴオオオオオオオオオン!!!!!




    一同「「「「!!!?」」」」


    勇者(何だ!!!?突然、壁が――……!!!!)

    ガシッ!!!

    勇者「ぐあぁっ!!?」

    ガシィッ!!

    イシス戦士「なっ!!!?」


    イシス僧侶・イシス魔法使い「「イシス戦士!!!!」」


    イシス勇者「イシス戦士ぃ!!!!!勇者くん!!!!」ダッ!!!

    ポルトガ勇者「待て!」ガシッ!!

    イシス勇者「!?っ、何を!!離してっ――……!!」

    ポルトガ勇者「少し、待て」ギリ…



    パラパラ……


    ムオル勇者「……『何者だ』」ジャキッ!!


    鉄の仮面を被った者「…………」


    勇者「っ……な」

    勇者(こいつが、さっき兵の人が言ってた魔物……!?)

    イシス戦士「ぐっ……!!」ギリィッ!!

    イシス戦士(なんという力……!!私でも振り解けないとは……!!)

    190 = 1 :

    ポルトガ兵「お、王子!!あいつです!!!」

    ポルトガ兵「先程、城門に突如として現れて、自分を魔物と名乗って……」

    ポルトガ兵「最初は、冗談かと思ったのですが……!!城門兵とサマンオサ兵が数十人負かされて――……!!」

    ポルトガ勇者「ああ、わかってる」

    ポルトガ勇者「……っ」スゥゥゥゥ


    ポルトガ勇者「侵入者だ!!!!!!!!」

    ポルトガ勇者「地下牢階に魔物侵入!!!!!上階の者は余さず地下牢階へ集結せよ!!!!!!」



    ムオル勇者「……『何者だと問うている』」ザッ

    ジャキッ!!

    鉄仮面「……『動くな』」

    鉄仮面「『動けば、この女は殺す』」


    イシス戦士「ぎっ……!!ぐ、がぁっ……!!」ギリギリ

    イシス戦士(後ろ手を纏めて握られ……くそ!!ビクともしない!!)

    イシス勇者「くっ……!!」

    イシス勇者(勇者くんとイシス戦士を人質として……!!これじゃ迂闊に手が出せな――……!!)

    イシス勇者「……」

    イシス勇者(………………ん?)

    イシス勇者(……今、あいつ……何て言った?)

    イシス僧侶(『この……女』?)

    イシス魔法使い(『勇者くんを人質の勘定に入れてない……?』)


    勇者「……」

    勇者「……え?」

    勇者(この……声)

    勇者「まさか……」



    鉄仮面「……」



    ボソッ


    勇者「!!!!」

    イシス戦士「!!!!」

    191 = 1 :


    ボソボソ ボソボソ


    鉄仮面「……」

    勇者「……」

    イシス戦士「……」


    イシス勇者「……?」

    イシス勇者(何だ?二人の様子が急に……)


    タッタッタ!!

    ポルトガ兵達「「王子!!!!」」

    ポルトガ勇者「早く来い!!魔物だ!!」

    ザッ!!

    ポルトガ兵「魔物は一体何処から……!!」

    ポルトガ勇者「……排水路だ。地下の水路の分厚い壁を壊して入って来やがった」

    ザッザッザッ!!

    サマンオサ兵達「「「……」」」

    ポルトガ勇者「へっ、サマンオサの面々もご到着か」

    ザッ!!

    ポルトガ兵「王子!!あの者ですか!!」

    ポルトガ勇者「ああ。油断するな、剣を持て」

    ポルトガ兵「はっ!!」

    ジャキン!!ジャキッ!!

    ポルトガ勇者(……さて)


    ムオル勇者「……」

    鉄仮面「……」

    勇者「……」


    ポルトガ勇者「……」

    ポルトガ勇者(この後どう出る……)

    ポルトガ勇者(……つっても、決まってるか)

    192 = 1 :


    勇者「もういいよ、離してくれ」

    鉄仮面「……ああ」


    パッ

    スッ


    イシス勇者「!!」

    イシス僧侶「!」

    イシス魔法使い「!?」



    勇者「ふう……ご苦労様」


    鉄仮面「構わないさ」



    イシス勇者・イシス僧侶・イシス魔法使い「「「勇者くんっ!!?」」」

    ザワッ!!

    ポルトガ兵「おい!あいつ――……」

    ポルトガ兵2「あの鉄仮面と知り合いなのか……!?」

    ポルトガ兵3「って事は、やっぱり――……!!」


    勇者「全く、手酷い扱いを受けたよ」

    勇者「人間はこれだから嫌いだ」


    イシス勇者「勇者くん!?何を言って――……!!」


    勇者「……聴け!!!!人間共!!!!」

    ガシッ

    イシス戦士「ぐ、ぐあー」

    勇者「少しでも動いてみろ!!」

    勇者「この人間の命は無い!!首をその瞬間に刎ねる!!」

    イシス勇者「……なっ……!!?」

    勇者「……お前達がのんびりと僕を拷問してくれたおかげで時間が稼げたよ」

    鉄仮面「……」

    193 = 1 :


    勇者「いいか!!!よく聴け!!!!」

    勇者「あの“落日の七日間”の手引きをしたのは!!」

    勇者「この僕だ!!!お前達の言う通りな!!!!」

    勇者「……っ」

    ギリッ!!

    鉄仮面「……!」


    勇者「ははっ、はははははっ!!!」

    勇者「あのガルナを……賢者を殺したのも僕だ!!!!」

    勇者「全て、全て僕が手引きしてやったんだ!!!!!」

    勇者「……憎いか!!!!憎いだろう!!!!」

    勇者「そうだ!!!僕はお前達の憎む……人間の最も憎む……」


    勇者「…………魔族だ!!!!!」

    194 :


    こんな所で切るなんて…!

    196 :

    なんちゅうとこで切りやがる……

    197 :

    あわわわわ

    198 :

    続きはよ!!

    199 :

    ザワッ!!


    イシス勇者「ゆ……勇者くん……?」

    イシス僧侶「……!」

    イシス魔法使い(そっか……なるほどね)


    ムオル勇者「……」ジャキ


    ヒュンッ!!


    鉄仮面「!!」


    ガキィン!!


    兵達「「「!!!!」」」


    ムオル勇者「っ……!!」ギリギリ

    鉄仮面「……動くなと言った筈だ」ギリギリ


    ポルトガ兵「は、速い!!」

    ポルトガ兵2(ムオル勇者様の剣が受け止められただと……!?)

    ポルトガ兵3「鍔迫り合いも押し切れないなんて……!?」

    ポルトガ兵4「つ、つう事は」

    ポルトガ勇者「……ああ」


    鉄仮面「ふっ!!」

    ガキィン!!

    ムオル勇者「むぅっ!!」

    ズザァッ!!

    ムオル勇者「……」ギリッ

    鉄仮面「……もう一度言うよ、動くんじゃない」


    ポルトガ勇者「あの鉄仮面の魔物……ムオル勇者と同じ強さ……いや、それ以上だ」

    200 = 1 :

    勇者「お前ら、これ以上妙な真似はするなよ?」

    勇者「さっきも言った通り、その場合は」

    ギリッ

    イシス戦士「ぐあー」

    勇者「……」

    勇者「そ、その場合はこいつの首が飛ぶよ」


    イシス僧侶「『そ、そんな!』」

    イシス魔法使い「『なんて事を……!やめて!勇者君!』」

    イシス僧侶「『今までの事は嘘だったの!?あの娘達は君とグルだったの!?』」

    イシス魔法使い「『私達を騙してたの!?嘘、嘘よね!?』」


    勇者「!」

    イシス戦士・鉄仮面「「!」」


    ポルトガ勇者(イシスのお姉さん方、もう全部理解したみたいだな)

    イシス勇者「……っ」

    ポルトガ勇者(…………こいつはまだ気付いてないっぽいな、案外アホなのか)


    勇者「……ああ」

    ニタァ

    勇者「全部全部、演技さ」

    勇者「アリアハンに……オルテガの所へ転がり込んだのも」

    勇者「あの賢者ガルナに近づいたのも」

    勇者「あの女達を僕に懐かせたのも」

    勇者「ぜーんぶ計算通りだった」

    イシス勇者「そんなっ……!」

    勇者「面白いくらいにスムーズにいったなあ……おかげで」

    勇者「……っ」

    ギリッ


    勇者「オルテガも、ガルナも……殺す事ができたんだからなあ」


    イシス勇者「……」

    イシス勇者(…………あ)

    イシス勇者(そっか……)


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