元スレ勇者「ハーレム言うなよ!絶対言うなよ!」武道家「4よっ!」
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201 = 1 :
ギュッ
イシス勇者「っ……『貴様!まさかアリアハンの王や民まで魔物の手に染めたのではないのか!?』」
イシス勇者「『上階に居る娘達は、お前の仲間ではないのか!?』」
勇者「!」
イシス勇者「……っ!」
勇者(……イシス勇者くん、ありがとう)
勇者「お前達のお陰でその順調にいってた計画は全ておじゃんだ」
勇者「もうすぐで脅威の芽であるオルテガの娘までもどうにかする事ができた筈なのに」
勇者「……こんなタイミングで僕の正体がバレちまうなんてね」
勇者「あの上階の娘達も……魔族にとって脅威になりうるから……利用するだけして、処分してやろうと思ったんだけどなあ」
勇者「全てばれてしまったし……もういい、いらないよ」
勇者「どの道、オルテガもガルナも居ないアリアハンなど恐るるに足らないからね」
勇者「…………いけない、少し喋りすぎたかな」
ザッ
勇者「そろそろ僕達はお暇させて貰うとしようか」
鉄仮面「ああ」
ムオル勇者「待て!」ザッ
勇者「待たないよ。僕は魔王様の所へ帰らないといけない」
鉄仮面「追ってきたら、この人質は八つ裂きにする」
勇者「素直に僕達を帰してくれたら、後でこの娘は返してやるよ」
イシス戦士「くっ」
ムオル勇者「……」
ポルトガ兵「ムオル勇者様!!」
ポルトガ兵2「ご命令を!!二人程度、皆でかかれば容易いでしょう!!」
サマンオサ兵「ムオル勇者様、攻撃命令を」
サマンオサ兵2「さあ」
ムオル勇者「……」
202 = 1 :
スチャ…
一同「「「「!!!」」」」
ムオル勇者「……人命が最優先だ」
ムオル勇者「『今剣を交えて理解したが……俺達が束になったところでこいつには適わん』」
ポルトガ兵「そんな……!!」
ムオル勇者「『行け。人質が返ってこなければ後を追ってでも殺してやる』」
勇者「分かった分かった、それじゃ失礼するよ……行こう」
鉄仮面「ああ」
グイッ!
イシス戦士「ぐう!」
勇者「ほら、来い!」
イシス勇者「イシス戦士!」
イシス魔法使い「待って!!連れて行かないで!!」
イシス僧侶「お願い!!その子を離して!!」
イシス戦士「っ……イシス勇者様!!」
イシス戦士「必ず、必ず戻って参ります!」
勇者「……それじゃ、さよならだ!人間共!!」
ダッ!!
タッタッタ…
イシス勇者「イシス戦士!!!」
イシス僧侶「誰か!!早くあいつらを追って!!イシス戦士がっ!」
イシス魔法使い「ムオル勇者様!ポルトガ勇者様!!」
203 = 1 :
ザッ!!
ムオル勇者「皆城外へ!!ポルトガ兵もサマンオサ兵も総員外へ出次第、目視で奴らを捕捉しろ!!」
ポルトガ勇者「水路だ!!奴らは水路を辿って表の大水門に出る筈だ!!」
ポルトガ勇者「……」チラッ
ムオル勇者「……」コクッ
ポルトガ勇者「!」
ポルトガ勇者「……総員!!大水門へ移動し、奴らを見つけ次第隠れて追え!」
ポルトガ勇者「排水路は出口は一つしかない!!奴らが霧のように消えない限り、必ず大水門に姿を現す!!」
ポルトガ勇者「繰り返す!大水門へ移動し奴らを隠れて追え!!」
ワーワー!!
イシス勇者「……」
ポルトガ兵「イシス勇者様……!私達が付いていながら、側近の方を……!!申し訳御座いません!!」
ポルトガ勇者「おい!喋ってる暇があったら早く移動しろ!!」
ポルトガ兵「は、はいっ!!」ダッ
タッタッタ
ポルトガ勇者「……ったく、おい。イシス勇者お前も」
イシス勇者「……ポルトガ勇者君」
ポルトガ勇者「……」
イシス勇者「…………本当に、これで……良かったんだろうか」
ポルトガ勇者「…………さあ、な」
ポルトガ勇者「ただ……あいつ、一瞬の躊躇も無くこの選択肢をとりやがった」
ポルトガ勇者「……これしかねえんだろうよ、あいつの選択肢は」
イシス勇者「……うん」
ポルトガ勇者「ほら!!お前も移動だ!兵達に怪しまれるぞ!」
タッタッタ
イシス勇者「……」
イシス僧侶「……行こう、イシス勇者様」
イシス魔法使い「勇者くんのためにも」
イシス勇者「……」
イシス勇者(勇者くん)
イシス勇者(どうか、無事で……)
…………
……
…
・
204 = 1 :
―ポルトガ城・客室―
ジパング勇者「さぁーて!荷解きも終わったし!」
ザッ!!
ジパング勇者「勇者っちとお喋r……ゲフン」
ジパング勇者「勇者っちの尋問、監視といきましょうかねい!!」
ジパング従者「ジパング勇者様、ご機嫌ですな?」
ジパング勇者「当たり前じゃよー!だってこれのためにわざわざ召還されたんじゃから!」
ジパング勇者「だからほらっ!質問のリストも持って来てあるんじゃよっ☆」バーン
ジパング従者「いやはや、流石でございます!」
ジパング勇者「じゃろじゃろー?☆もっと褒めるがよいよ!」
ジパング従者「いよっ!質問上手!」
ジパング従者2「いよっ!かわいい!かわいい!」
ジパング従者3「いよっ!色女!」
ジパング勇者「ふっふーん☆じゃろうよじゃろうよー!」
タッタッタ!! バターン!!
ポルトガ兵「突然申し訳ありません!!!!ジパング勇者様!!!」
ポルトガ兵「たった今容疑者・勇者が脱獄しました!!!」
ジパング勇者「えっ」
ジパング従者達「「「えっ」」」
ポルトガ兵「至急、捜索に協力願います!失礼致しました!!!」
バタン!!
ジパング勇者「……」
ジパング従者達「「「……」」」
ジパング勇者「……えっ」
ジパング勇者「質問リスト……えっ」
ジパング従者達「「「……」」」
…………
……
…
・
205 = 1 :
―地下水路―
バシャバシャ!!
鉄仮面「……」
勇者「はぁっ!はぁっ!」
イシス戦士「……」
バシャバシャ
勇者「はぁっ……はぁっ……!」
勇者(追手は……来てないみたいだ)
鉄仮面「……!あった!」
勇者「!」
バシャ……ピタッ
鉄仮面「ここだ。ついて来て」
勇者「この、細い道?」
鉄仮面「ああ」
パシャパシャ
勇者「イシス戦士さん、気を付けてね」
イシス戦士「ああ、大丈夫だ」
鉄仮面「!ここだ」
鉄仮面「この壁の杭を登ってくよ……滑らないようにね」
・
…
……
…………
…………
……
…
・
―ポルトガ城の一室―
シーン…
…ト
ゴト、ゴトッ
ゴゴゴッ!
ヒョコッ
鉄仮面「……」
シーン
鉄仮面「よいしょっ!」
ゴトン!
スタッ
鉄仮面「……よし、誰も居ないみたいだ」
206 = 1 :
ガシッ スタッ!
勇者「ふうっ……イシス戦士さん、手を」
イシス戦士「馬鹿にするな、このくらいなんでもない……っと」
スタッ
イシス戦士「……ふぅ……」
シーン…
イシス戦士「…………ここは?」
鉄仮面「協力者が用意してくれたんだ」
勇者「協力者……?」
鉄仮面「ああ、えっと――……」
勇者「あー、ちょっと待って、まだもっと聴きたい事が……」
イシス戦士「私もだ……あまりまだ頭の整理がついていなくてな」
勇者「えっと……まずどこから話し合い始めようか」
鉄仮面「そうだね……」
勇者「……まずは、どうしてお前がそんな事になってるか……聴いてもいいかな」
鉄仮面「……」
イシス戦士「流石に、口裏を合わせろと言われた時は辟易したぞ」
鉄仮面「……」スッ
カチャッ
勇者「……」
カチャカチャッ ガタンッ
スッ
勇者「……話、聞かせてくれ」
勇者「女勇者」
女勇者「……了解だよ。お義兄ちゃん」
207 = 1 :
今日はおしまいです
208 :
また来てた!!
乙!!
210 :
乙!!
ジパング勇者アホの子可愛い。
211 :
待ってた!
215 :
1の過去絵見たいなー
216 :
そろそろ更新の時期ですね~
217 :
次の更新はいつだろう…
218 :
最後の更新から二ヶ月以内には・・・
219 :
女勇者「……と、言いたいところだけど」
<……!…!
イシス戦士「!」
勇者(外で兵士達が……!)
女勇者「ここも一時を凌ぐための部屋なんだ。まずここを出よう」
クルッ
女勇者「付いて来て、二人共」スタスタ
勇者「ああ」
イシス戦士「分かった」
スタスタ…
イシス戦士「しかしどこへ行くのだ?こんな状況で……」
女勇者「一旦外に出るんだ。こっちから中庭へ行ける」
勇者「中庭?」
イシス戦士「それだと袋の鼠になってしまうだろう」
女勇者「いや、いいんだ。今、城の兵達はほとんど水門に集められてる」
女勇者「……このドアだ」
ガチャッ
―中庭―
サァァァ…
イシス戦士「……こんな所が……」
勇者「兵は……居ないみたいだ」
スタスタ
イシス戦士「しかし、他に道は無い様だが」
勇者「ここからどこに移動を……そりゃ兵が水門に集められて警備が薄くなってるって言っても、ここからじゃ」
女勇者「だから、ここから移動するのさ」
勇者「え?」
220 = 219 :
スッ
女勇者「それじゃ、二人共掴まって」
イシス戦士「……?」
勇者「何を……」
女勇者「いいから。私の手を強く握っていて」
イシス戦士「……ああ」ギュッ
勇者「?」ギュッ
女勇者「今、水門や水路を見張ってるなら、上の警戒はしない」
イシス戦士「上の?」
女勇者「例え見られたとしても、魔力軌道と方角を特定、魔法兵へのされるまで多少の時間差が生まれる」
女勇者「そのくらいの時間があれば十分なのさ」
イシス戦士「!」
勇者「え?女勇者、お前まさか」
女勇者「さて……行くよ!!」
ゴォォォッ!!!
女勇者「ルーラ!!!」
221 = 1 :
――――――――――――――
ゴォォォォッ!!
ポルトガ兵「王子!あれを!」
ポルトガ勇者「何だ!?」
ポルトガ兵2「移動魔法です!!何者かが移動魔法を使って飛び立ちました!!」
ポルトガ勇者「移動魔法を!?」
サマンオサ兵「どちらの方角だ!!」
サマンオサ兵2「南東だ!!早く移動魔法を取得している者を向かわせろ!!!!」
ザッ
ムオル勇者「ここより南東の魔力場の強い都市へ移動魔法取得者は移動!!」
ムオル勇者「それ以外は城内を捜索、警備する隊とダーマへ向かう隊へと分かれろ!!」
ムオル勇者「ガルナの末裔に万が一の事があってはならん!!急げ!!」
兵達「「「「「はっ!!!!」」」」」
ザワザワ!!
イシス勇者「……」
ポルトガ勇者「イシス勇者!お前は城内へ行け!俺は続けて水路を捜索する!」
イシス勇者「えっ?あ、ああ!!了解した!」
ポルトガ勇者「……ひとまず安心だな」ボソッ
イシス勇者「……!!」
イシス勇者「……うん」
ダッ
イシス勇者「ポルトガ勇者君!水路は任せた!イシス僧侶!イシス魔法使い!」
イシス僧侶「はい!」ダッ
イシス魔法使い「ええ!」ダッ
タッタッタ
イシス勇者「……」
イシス勇者(勇者くん……)
イシス勇者(どうか、無事に……!)
…………
……
…
・
222 = 1 :
―バハラタ―
ゥゥゥゥウウウウウ
ゾドンッ!””
イシス戦士「ゃぁっ!」ドンッ!!
勇者「おぼごぇぇっ!!!!!」ボギャァァッ!!!
女勇者「いたぁっ!!」ドゴッ!!
パラパラ……
イシス戦士「つ、痛た……っ……!」
勇者「女、勇、者っ、おまっ、ちょ」ビクビクッ
女勇者「あたた……やっぱり魔法使いちゃんみたいにはいかないな」
スクッ
女勇者「よし!二人共!急いで!追っ手が来る前に移動だ!!」
イシス戦士「移動?」
勇者「オア、石、石が、ケツ、ケツにっ」フルフル
女勇者「……」
イシス戦士「……」
女勇者「……こっちだ!」ダッ
イシス戦士「承知した!」ダッ
勇者「呪うっ……!!絶対……!!呪う……!!」ヨチヨチ
…………
――森の中の小屋――
ザッ!!
女勇者「ここだよ。誰も追って来てないかい?」
イシス戦士「ああ、そのようだ」
勇者「いてて……ここは?」
女勇者「ただの廃屋だよ。ひとまずここに隠れよう」
イシス戦士「廃屋?しかし――……」チラッ
馬「ブルル……」
イシス戦士「馬小屋に馬がいるぞ?」
勇者「誰かの家じゃないの?」
女勇者「ああ、その馬はムオル勇者さんが用意してくれたんだ」
勇者・イシス戦士「「!!!」」
勇者「じゃあやっぱり協力者って……」
ガチャッ!
女勇者「ひとまず、話は中でするよ。入って」
223 = 1 :
――小屋の中――
ピトッ
勇者「いたっ!」
女勇者「ごめん、痛かったかい?」
勇者「や、大丈夫。薬草がしみただけだから」
イシス戦士「……不便な体質だな。平気か?」
勇者「もう慣れたよ……えっと、忘れない内に聞くけど、女勇者」
女勇者「ん?」
勇者「お前、移動魔法使えたの?」
女勇者「え?ああ、一応ね。魔法使いちゃんと遊び人ちゃんにしか話していなかったけど」
勇者「すごくビックリしたよ。いつの間に……」
女勇者「もうだいぶ前にね。けどやっぱりどうも安定させるのが難しくてね。魔法使いちゃんの天才具合を思い知ったよ」
勇者「まあ、魔法使いはね……でもお前もよっぽどだよ。ホント」
女勇者「やめてほしいな。器用貧乏ってヤツさ」
女勇者「それに……こんな切羽詰った状況じゃなきゃ絶対使ってなかったよ」
イシス戦士「……じゃあ次はその切羽詰ったこの状況を説明してもらおうか」
女勇者「うん。それじゃあ本題に入ろう」
スタスタ… ガタ
女勇者「……有り体に言おう」
女勇者「状況は最悪だ」
勇者「……うん」
女勇者「お義兄ちゃんはもう殆ど分かってるんだろう?今の状況」
イシス戦士「少しいいか?」
女勇者「ん?」
イシス戦士「正直私はあまり状況全体を飲み込めていない。特にガルナ様関係の部分をな」
イシス戦士「その辺りをまじえて整理して貰えるとありがたい」
女勇者「うん。そうしようか」
224 = 1 :
女勇者「まず、そうだな……」
女勇者「とりあえずお義兄ちゃんの事はもう騎士団長が話したとおりだ。まずそこは切り離して賢者関係の事を話すよ」
イシス戦士「ああ。頼む」
女勇者「では……」ゴホン
女勇者「数年前まで、ルビス様に仕える四人の賢者が居たんだ。ナジミ・ガルナ・シャンパーニ・アープ。この四人だ」
イシス戦士「うむ。噂程度には聴いた事があった」
女勇者「そうだね。一般人からしたらそんな認識さ。さて、この四人だけど、魔物側からしたら相当な脅威だったんだ」
女勇者「ただでさえ強い力を持つ魔術や千里眼を持つ方々だ。その四人が世界の四つの塔から全てを監視していた」
女勇者「魔物側はこの塔に怯えて中々侵攻を進められなかった。そう思われていた」
女勇者「でも、ある時これが覆されたんだ」
イシス戦士「……それが」チラッ
勇者「……うん」
女勇者「ああ……“落日の七日間”だね」
女勇者「一般的には“魔物が偉い聖者様を沢山殺して、ある地方、テドン地方を死地へと変えた七日間”」
女勇者「“それにより魔物の力が増し、魔王が侵攻を本格的に進めてきた、七日間”……そういう認識さ」
イシス戦士「違うのか?」
女勇者「全く違うわけでは無いさ。けれど本当は四賢者のうち三人が殺され、世界の均衡が崩れてしまった……というだけじゃないんだ」
イシス戦士「……と、いうのは?」
女勇者「“聖者……【賢者】という職業の人間が、得体の知れない強大な【魔物】に駆逐された七日間”」
イシス戦士「……!?」
女勇者「……そう言った方が正しいと、私も二日前までは全然知らなかったよ」
女勇者「“魔王バラモスがテドンへと攻めて来て、それを食い止めるために聖者様方が応戦”」
女勇者「“死闘の末、聖者様方は殺され、テドンは壊滅。バラモス側も相当な痛手を負って撤退”」
女勇者「“しかし、魔物側が圧倒的に優勢になった”……噂どおり、そう信じていた」
イシス戦士「どういう事だ……!?つまり」
女勇者「ああ」
女勇者「賢者様方が殺され、テドンが滅んだのは……テドンへの侵攻を賢者様方が止めようとしたからじゃない」
女勇者「“テドンに居た、三人の賢者が、狙われて殺された”んだ。テドンもろとも」
225 = 1 :
イシス戦士「……」
女勇者「……本当は私なんかよりお義兄ちゃんの方がよっぽど詳しいんだろうけどね」
勇者「……」
女勇者「……できればこの話題はお義兄ちゃんには振りたくないんだ」
勇者「…………ごめんね、気を遣わせて」
勇者「でも、いいんだ。そんな事言ってる場合じゃない」
勇者「本当だよ。魔王側は賢者の職を持った人間達を殺しに来たんだ」
勇者「あの日、確かにね」
イシス戦士「しかし!ちょっと待て!」
女勇者「なんだい?」
イシス戦士「先程の話では“賢者達の存在が魔物側にとって脅威”だった筈だ!それが――……」
勇者「ああ、少し違ったんだ」
イシス戦士「!?」
女勇者「つまりだよ。確信があるわけじゃないんだけど……」
勇者「……僕は確信を持って言えるよ」
226 = 1 :
勇者「魔物は、人間を弄んでいる」
227 = 1 :
イシス戦士「……」
女勇者「……やっぱり、かい?」
勇者「……うん」
イシス戦士「な……え……?それでは……」
勇者「魔物側は、賢者達の力が“脅威になってきたから”それを摘み取りに来た」
勇者「アリアハンや、一部の地域はルビス様の加護が根強く残ってるから難しいみたいだけれど」
勇者「奴らは……その気になれば、軽く人間の世界を蹂躙できるんだ」
イシス戦士「で、では何故そうしない!?何故世界を蹂躙しない!?奴らは世界を魔物の世にするのが目的だろう!?」
勇者「だから言ったろ。それが目的じゃなかった。“弄んでるんだ”」
イシス戦士「……!?」ゾク
勇者「理由までは僕も分からない」
勇者「でも、あの日……テドンで見た魔物は」
勇者「……っ」ギリッ
女勇者「……」
勇者「……とにかく、落日の七日間は……戦争なんかじゃない」
勇者「“剪定”だ。観賞用植物の、養分が行き過ぎた部分を切り取っただけ」
勇者「これ以上、力を伸ばし続けて脅威にならないよう、その部分を……“賢者”という枝を切り取っただけ」
勇者「それだけだよ」
228 = 1 :
イシス戦士「……っな……!」
勇者「……」
女勇者「……改めて言われると、少々くるものがあるね……」
イシス戦士「な、そん、な……!」
ギリッ!!
イシス戦士「なっ……ならなぜ!!」
イシス戦士「何故貴様はそれを皆に訴えなかった!!!」
女勇者「!!!」
イシス戦士「あの場に居合わせて、全て見ていたのだろう!!?ならなぜそれを世界に知らせなかった!!!」
イシス戦士「それを知っていれば――……!!!」
勇者「何が変わった?」
イシス戦士「……」
イシス戦士「……う、あ」
勇者「……」
勇者「……ごめん」
勇者「まあ、勿論皆に言ったよ。王様にも。アリアハンの皆にもね」
勇者「でも、誰も信じなかった」
イシス戦士「?……なぜd」
イシス戦士(……あ……)
勇者「……騎士団長君が言ってたとおりだよ」
勇者「信じるわけがない。僕が同じ立場だったら僕だって信じないよ」
勇者「…………何人かが庇ってくれなかったら、今頃僕は処刑されてる」
勇者「それくらい、僕は魔物の疑いがかけられてたんだ。今もだけどね」
229 = 1 :
イシス戦士「……あ、その」
イシス戦士「…………すまない」
勇者「ううん、いいんだ」
女勇者「……話を戻そうか」
女勇者「つまり、お義兄ちゃんの言葉を借りると、だ」
女勇者「魔物達は落日の七日間で“賢者の職を持った者”っていう枝を剪定しに来たんだ」
女勇者「……それはひとまず置いておこう」
イシス戦士「え?置くのか?」
女勇者「ああ、それは置いて現状最悪の問題に話を繋ごう」
女勇者「さて、さっき行った賢者達の内の一人……“ガルナ”」
女勇者「この人はちょっと色々あって、まだ小さい少女だったんだけど」
女勇者「それに出会った勇者オルテガ一行が色々と危惧してね」
女勇者「ガルナの塔に住んでいたところをルビス様の加護が強いアリアハンへ連れて行って匿っていたんだ」
イシス戦士「あの勇者オルテガが……」
女勇者「何を隠そう、そこで私達と仲良くなってさ」
女勇者「それで色々つるむようになったんだけど……いや、これはどうでもいいね」
女勇者「で、その賢者ちゃんには……ガルナ様には、妹が居たんだ」
イシス戦士「ああ、それがあの遊び人なのだろう?知った時には驚いたぞ」
女勇者「そう。ただガルナ様は遊び人ちゃんが妹だという事は国外不出にしていたんだよ」
女勇者「ガルナ様の言う事だからね。皆ちゃんとそれは破らなかったんだけど、ずっと疑問だったんだ」
女勇者「『なぜそんな事を秘密にするんだ?』……ってね」
イシス戦士「……?」
女勇者「……今思えば、なるほどと思うよ」
230 = 1 :
女勇者「遊び人ちゃんは、10才の時の火贈りの儀式で……賢者ちゃn、ガルナ様の命で“快楽者”の……所謂“遊び人”の職を背負わされた」
女勇者「ガルナ様は『遊び人は出来損ないだから、何の素質も無いから』と周りには言っていたよ」
女勇者「でも、それは嘘だった。遊び人ちゃんは、ちゃんと素質があったんだ。ちゃんとした末裔だったんだ」
女勇者「黙っていただけで……隠していただけで。魔術も使えれば、賢者として……ルビス様の奇跡も使えたんだ」
女勇者「……そして、それがついこの間、国連に知られてしまった」
勇者「……」
女勇者「…………現在、ダーマでは再火贈りの儀式……俗称では“転職”の儀式の準備が進められてる」
女勇者「遊び人ちゃんを賢者にするための儀式をね」
イシス戦士「ああ、それは知っているが……」
女勇者「イシス戦士ちゃん」
イシス戦士「ん?なんだ?」
女勇者「さっきの言葉……覚えてるかい?」
イシス戦士「さっきの言葉?たしか――……」
イシス戦士「……」
イシス戦士「……」
イシス戦士「…………――――!!!!」
女勇者「……騎士団長は『この世界に新たな希望を』という触れ込みで計画を進めてるらしいけど」
女勇者「駄目なんだ。こればかりは、阻止しないといけない」
女勇者「魔物達には、もう賢者の魔力を知られている」
女勇者「もし、再びこの世に賢者の職者が誕生したら、すぐに感付かれる」
女勇者「そうすれば――……」
イシス戦士「…………っ!!」
勇者「……“剪定”が始まる」
勇者「落日の七日間が……――――また始まる」
231 = 1 :
今日はおしまいです
233 = 1 :
>>220
×女勇者「例え見られたとしても、魔力軌道と方角を特定、魔法兵へのされるまで多少の時間差が生まれる」
○女勇者「例え見られたとしても、魔力軌道と方角を特定、魔法兵へ伝達されるまで多少の時間差が生まれる」
234 :
おつ
236 :
待ってたよ!!
237 :
乙でございます
238 = 237 :
やってしまったスイマセン
241 :
ほすほす
242 :
保守ついでにコテハンつける練習させてもらいます
244 :
まだかな?
246 :
まだ~?
248 :
イシス戦士「…………」
勇者「……」
女勇者「……」
イシス戦士「……」
女勇者「……さ、時間が無い。次の説明に行こう」
勇者「うん。……女勇者」
女勇者「なんだい?」
勇者「遊び人の事情について詳しくなってるみたいだけど……誰に教えてもらった?」
女勇者「……」
勇者「確かに落日の七日間や魔物については僕からも教えてたけど……遊び人の転職について危惧してた人間ってごく一部だ」
勇者「それ、誰かに教えてもらったんだろ?」
女勇者「……ああ、協力者にね」
勇者「それって――……」
女勇者「もう気付いてると思うけどね。……――ムオル勇者さんだよ」
イシス戦士「……やはりか」
勇者「ムオル勇者さんが……」
女勇者「今回、国連がお義兄ちゃんを拘束して遊び人ちゃんを強制的に転職させる事を知って、ムオル勇者さんは色々と手を打ってくれたんだ」
女勇者「元々遊び人ちゃんの事は父さん――……オルテガに頼まれていたらしいんだ。事情もそこで全部聞いたらしい」
女勇者「そして勿論」チラッ
勇者「?」
女勇者「……お義兄ちゃんにもしもの事があった時……その時の事も頼まれていたらしいよ」
勇者「……」
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