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    元スレ勇者「ハーレム言うなよ!絶対言うなよ!」武道家「4よっ!」

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    751 :


    青い肌で三つ目ということは…

    752 :

    乙でございます

    753 :

    おつ

    754 :

    サマンオサ全滅か…合掌乙

    755 :

    賢者の秘密も明かされてきたし勇者の正体も見えてきたしどうなるんや!

    756 :

    まだ戻るの早いよっ!

    757 :

    スタスタ…

    エジンベア勇者「賢者様。お願いします」

    エジンベア勇者「その男をお渡し下さい。今しかありません」


    ランシール勇者「遊び人さん……仕方ありませんが、わたくしもそう思います」

    ランシール勇者「その男は」


    遊び人「……」


    ランシール勇者「……」

    ランシール勇者(なんですのその目は……)

    ランシール勇者(まるで、まだ彼が魔物ではないと信じているような)

    ランシール勇者(……でも)



    エジンベア勇者「……賢者様」


    ダーマ兵「「「……」」」


    エジンベア兵「「「……」」」



    ランシール勇者(貴女が庇おうと、もう私達は見てしまいましたわ)

    ランシール勇者(その男は、有害)

    ランシール勇者(逃げられませんわよ。遊び人さん)


    遊び人「……」

    遊び人「……この人は」


    ギュッ


    遊び人「……――――勇者ちゃんは」

    758 = 1 :





    ドガアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!!




    遊び人「!!?」


    ランシール勇者・エジンベア勇者「「「!!!!!?」」」


    ダーマ兵「うわああああああっ!!!?」

    ダーマ兵B「なんだっ!!?なんだっ!!!」

    エジンベア兵「まさかまた」

    エジンベア兵B「いや、でも魔物はここに……」



    モクモク



    「だから私の言った通りだったじゃない!やっぱりここが階段だったのよ!」


    「暗いし石で塞がってるしでわかるわけねーじゃんか!!」



    遊び人「……」



    「んもー!!ふたりとも、またけんかして!そんなばあいじゃないでしょ!」


    「今の衝撃大丈夫でした?誰も怪我してません?」


    遊び人「…………」


    「私らは大丈夫ですよ。それよか勇くんたちですよ」


    「……早く、探さないと…………あれ?……」



    遊び人「………………」

    759 = 1 :




    「「「「……」」」」


    「……お出ましね。勇者と遊び人は?」

    「ああ、あそこにいる。無事そうだ」

    「そっこうでおわらせようっ」

    「はい!早く連れて帰りましょう!」

    「気を抜いちゃダメですよ。国連の奴らもいるんです」

    「……大丈夫……」


    エジンベア勇者「……なんだこいつら」

    ランシール勇者「……!」

    ダーマ兵「な、なんだ貴様達は!!!!」



    「私達?そうね」



    ジャキッ!!!!




    鉄仮面集団「「「「 魔 物 だ !!!!!」」」」




    760 = 1 :

    ………………
    …………
    ……









    勇者「……」

    勇者「…………ん」

    パチ

    勇者「……」

    勇者「……」

    勇者(……あれ……?)

    勇者(ここは……?)

    ムクッ…

    勇者「あづっ……あたたた……」

    勇者(頭がボーっとする……体中の骨が痛い)

    勇者「……」


    シーン…


    勇者「……?」

    勇者(どこだここ?……宿屋じゃないよね)

    勇者(大きな部屋。まるでお城の一室みたいだ)

    勇者(こんな立派なベッド、寝転がった事ないよ)

    勇者(なんでこんな凄い部屋に……)

    勇者「……」

    勇者「……あれ?」

    勇者(僕、今まで何してたんだっけ)

    761 = 1 :

    勇者(落ち着け……順を追って考えよう)

    勇者(まず、ポルトガで掴まって、脱獄してから遊び人を連れ戻しに行って……)

    勇者(そしで、ガルナの塔に行って…………賢者の託した本、手に入れて)

    勇者(ランシール勇者さんに会って……それから)

    勇者(ジパングの……)

    勇者「……」

    勇者「……っ!!」

    ガタッ

    勇者「遊び人っ!!!!!」


    ズキィッ!!!


    勇者「あっ、ぐぅっ……!?」

    ドサッ

    勇者「づっ……!!!!」


    ガチャッ


    「目が覚めたか」


    勇者「え?……!!」


    ムオル勇者「……」


    勇者「ムオル勇者さん……!」

    762 = 1 :

    スタスタ

    ムオル勇者「体の調子はどうだ」

    勇者「い、痛みはありますけど……なんとか」

    ムオル勇者「そうか」

    勇者「あのっ」

    ムオル勇者「なんだ?」

    勇者「ここは一体……それに、今どういう状況か、把握できなくて……」

    勇者「どこからどこまでが本当の事なのか……」

    ムオル勇者「……どこまで記憶がある?」

    勇者「えっと……確か」

    勇者「ガルナの塔で、ランシール勇者さんと会って、それから」

    勇者「ジパングのあの人が……あ、そう、です!!」

    勇者「遊び人は!?遊び人は大丈夫ですか!?」

    ムオル勇者「……そう慌てるな。体に響くぞ」

    勇者「でもっ!!」

    ムオル勇者「あの娘は無事だ」

    勇者「…………え」

    ムオル勇者「……国連の連絡網で、騎士団長がお前達を追ってガルナの塔へ兵を派遣したと聞いてな」

    ムオル勇者「お前の仲間達に変装をさせて、お前達二人を連れ戻す為ににガルナの塔へあの日の早朝向かわせたのだ」

    ムオル勇者「無事、国連の者達から取り返す事ができた」

    勇者「……」

    勇者「そ」

    ヘタッ…


    勇者「…………そう、ですか」

    勇者「よかった……」


    ムオル勇者「……」

    763 = 1 :

    勇者「みんなが……来てくれたんだ」

    勇者「それで、ここは……?」

    ムオル勇者「ああ、ポルトガ城だ」

    勇者「ポルトガ城……だったら、皆にお礼を」

    スクッ

    勇者「言わ……ぁれ?」フラッ

    ガシッ

    ムオル勇者「暫く寝ていろ。体の自由がまだきかんだろう」

    ムオル勇者「お前はここに戻ってから三日も眠り通しだったのだ」

    勇者「み、三日も!?」

    ムオル勇者「あの娘達は今、王やその他の者と会議室で話をしている」

    ムオル勇者「礼を言うのはそれからでも遅くは無かろう」

    勇者「はい……そうですね」

    ぼふっ

    勇者「ふはっ……」

    ムオル勇者「……それでは、俺も会議室に行く」

    ムオル勇者「終わったらあの娘達も顔を出すだろう」

    ムオル勇者「…………給仕の方!」

    ガチャッ

    メイド「は、はい、なんでしょう」

    ムオル勇者「この者の様子を見ていて欲しい」

    メイド「わた、私がですかぁっ!?」

    勇者「……?」

    ムオル勇者「安心していい……自分もすぐに戻る」

    メイド「は、い……わかり、ました」

    764 = 1 :

    ムオル勇者「ではな」

    勇者「は、はい!」


    バタン


    勇者「……」

    メイド「……っ」

    勇者(なんでこんなに怯えられてるんだろ)

    勇者(あ……そっか。僕はまだ魔物の疑いが)

    勇者「あ、あの」

    メイド「はいっ!?」ビクッ!

    勇者「えっと、ここってポルトガ城なんです、よね?」

    メイド「はい……そうですけど」

    勇者「だったら……僕ってここに居ていいんですか?」

    勇者「僕、魔物だって疑いをかけられてたんですし」

    勇者「貴方達ポルトガの方々からしたら、まだ疑いは晴れていない状況なんじゃ」



    メイド「……――はい……?」



    勇者「……え?」

    メイド「……」

    勇者「……」

    勇者(なんだ、この反応)

    勇者(単に、疑ってるって感じじゃない)

    勇者(本当に怯えてる)

    メイド「……えっと、そ、そうですね」

    メイド「貴方の事は、国王からポルトガ城の一部の者だけの秘密として扱えと」

    メイド「ですので、貴方の事を知るのはこの城でもごく一部の者だけです……」

    勇者「……そうなんですか」

    メイド「私は、ポルトガ勇者様の幼馴……いいえ、専属の給仕なので。この事は知らされましたが」

    765 = 1 :

    メイド「それにここはポルトガ勇者様の御部屋です」

    勇者「えっ!?」

    キョロキョロ

    勇者「ポルトガ勇者の……!?じゃあ、王族の部屋!?」

    勇者(どうりで凄い部屋だと……)

    勇者「そうだったんだ……ポルトガ勇者にも、ポルトガ王にも、頭が上がらないなぁ」


    メイド「……本当、ですよ」


    勇者「……え」

    メイド「貴方が来てから、めちゃくちゃです」

    メイド「せっかく王子……ポルトガ勇者様が、久々に帰って来たと思ったら」

    メイド「色んな事でめちゃくちゃにされて……あんな罰をポルトガが背負わされてっ」

    勇者「……」

    メイド「オルテガ様の息子か何か、存じませんけど……!」

    メイド「貴方みたいな魔物の――……!!」


    「おやめなさい、メイドちゃん」


    メイド「!!」

    勇者「?」


    スタスタ


    「それ以上はいけません」


    メイド「……姫様」

    勇者「……お姫様?」
     

    ポルトガ姫「いくら貴女でも、許しませんよ」

    766 = 1 :


    ザッ

    メイド「し、失礼しました」

    ポルトガ姫「……メイドちゃん」

    ポルトガ姫「ちょっと、この方と二人きりで話したいから……」

    メイド「はいっ、失礼しますっ……」

    タッ

    スタスタ

    バタン…


    ポルトガ姫「……」


    勇者「……」


    勇者(この人がポルトガのお姫様……ずいぶん若い)

    勇者(そういえば、この前ポルトガ王に一人で謁見した時に王が仰ってた)

    勇者(“一番下の娘が家出して時折しか帰って来ない”って)

    勇者(って事は、ポルトガ勇者の妹さんなんだ……)


    ポルトガ姫「……お体は、もう?」

    勇者「えっ!?は、はい!お陰さまで、なんとか」

    ポルトガ姫「そうですか。よかった」

    勇者「……?」

    勇者(あれ?)

    勇者(なんだ?僕)

    勇者(この人、どこかで)


    スッ


    ポルトガ姫「……手を、お出し下さい」

    勇者「え?手を、ですか?」

    スッ

    勇者「はい、えっと、何を」

    767 = 1 :




    チャリン



    勇者「……?」

    ポルトガ姫「……はい」


    ポルトガ姫「これ。黒胡椒の御代金です」


    勇者「え?」

    勇者(なんだ、金貨?黒胡椒?)

    ポルトガ姫「お遣い頼んでしまってすみませんでした」

    ポルトガ姫「どうやらうちのオヤジも御代金渡すの忘れてたみたいで」

    勇者「……」

    勇者「…………あ……?」


    ―――――――――――――


    『あ、そうだ!勇者くん!』

    『もしよければ、私も黒胡椒をお土産として頼んでもいいっすかね?』


    ―――――――――――――


    ポルトガ姫「いやはや、親子揃って申し訳ない」

    ニコッ


    ポルトガ姫「恩に着るっす!」



    勇者「船乗り娘さんっ……!!!!!?」



    768 = 1 :

    ポルトガ姫「あ、やっと気付きました?あとそれ偽名っす」

    勇者「ええ!?ええええ!?な、なんでっ!?うそぉ!?」

    ポルトガ姫「……勇者くん、慌てすぎっす」

    勇者「いや慌てるよ!いや、慌てますよ!!」

    ポルトガ姫「敬語なんていいっすよ。今までどおりで」

    ポルトガ姫「やー、いつ気付くかな?って心ん中でニヤニヤしてたっすよ」

    ポルトガ姫「確かに宿で会った時みたいな身なりじゃなく、ちゃんとしてますしね。今」

    ポルトガ姫「化粧もしてないですし……本当は船乗りの格好の方がいいんすけどねぇ」

    勇者「なな、なんでお姫様なのに、船乗りに扮して――……」

    ポルトガ姫「ん?んー……別に扮してたってわけじゃないっすよ?」

    ポルトガ姫「本当に船乗りになろうって思ってたんすよ。実際色んな船に乗らせてもらったりしてましたしね」

    勇者「えー……?でも、お姫様なんでしょ?」

    ポルトガ姫「そっすよ」

    勇者「だったらなんで……船乗りにならなくとも、船くらい乗れるんじゃ」

    ポルトガ姫「あ、わかってないっすねー勇者くん。別に船に乗るのが目的じゃないんすよ」

    ぽすっ

    ポルトガ姫「よっと、ちょっと座らせてもらうっす」

    ポルトガ姫「……ほら、ポルトガってご存知の通り港国じゃないすか」

    ポルトガ姫「だからこの国には色んな船乗りが集まってくるっす」

    ポルトガ姫「そういう人らって大抵王の所に謁見に来るし、ましてや私は王の娘だから、小さい頃からそういう人らにいっぱい会って話を聴いて育ったっすよ」

    ポルトガ姫「この城の中で、お姫様として大事に育てられてきた私にはそれが絵本代わりで、教科書代わりで。生きがいだったんす」

    ポルトガ姫「そして、ある時……そうっすね、6歳の頃ですかね」

    ポルトガ姫「あなたの父……オルテガ様に会ったんす」

    勇者「!」

    769 = 1 :

    ポルトガ姫「まあそれまでもちょこちょこ来てたらしいんですけど、小さかった私にはそれが最初の記憶っすね」

    ポルトガ姫「で、オルテガ様に色んな話を聴いたっす。世界の話を」

    ポルトガ姫「もうそれはそれは面白くって面白くって……で、気付いたら。船乗りに憧れてたってわけっす」

    勇者「なんかすみませんうちの父が……」

    ポルトガ姫「あはは!なんで謝るんすか!」

    ポルトガ姫「まあオヤジ……ポルトガ王とお母様には反対されまくったんすけどね」

    ポルトガ姫「だからちょいちょい家出しては船に乗ったんす」

    ポルトガ姫「……結果は、王族の私が、船乗りに認めて貰えるわけもなく……ってカンジで」

    ポルトガ姫「で、自棄酒してた時に勇者くんと会ったんすよ」

    勇者「そうだったんだ……あれ」

    ポルトガ姫「どうしたんすか?」

    勇者「……もしかして、なんだけど」

    勇者「女勇者が言ってた……“ムオルさんともう一人の協力者”の、もう一人って」

    ポルトガ姫「そ!ご名答っす!」

    ポルトガ姫「私がオヤジやその他に事情を聴いて――……」



    ――――――――――――――


    ――勇者一同が拘束された日――


    スタスタ

    遊び人『……』


    勇者『……』

    勇者『(何か引っかかる事でもあったのかな……)』


    ガシッ


    勇者『え?』


    ポルトガ姫『……』


    勇者『(船乗り娘ちゃん?)』

    勇者『ど――……』

    ギュッ!!

    勇者『んぐっぅ!!!?~~~~!!』ジタバタ

    ポルトガ姫『静かに!こっち来て!』ボソボソ!

    ズルズル

    770 = 1 :



    ――路地裏――


    ズル…


    勇者『ぷはっ!けほ、けほ!』

    勇者『いきなり何するんだい!船乗り娘ちゃん!』

    ポルトガ姫『しっ!騒がないで!』

    勇者『え?なんでだい、な――……!!!』



    ザッザッザッ!!!!


    女勇者・ポルトガ姫『『……!』』

    勇者『(なんだ、今の兵達)』

    勇者『(全員剣を抜いて、何かを探すように)』

    ポルトガ姫『あなた達を探してるんすよ』

    勇者『は!?な、なんでだい!!』

    ポルトガ姫『……なんでも、勇者くんを捕まえるらしいっす』

    ポルトガ姫『魔物の……容疑で』


    勇者『……なんだって?』


    ポルトガ姫『っ』ゾクッ

    勇者『……くっ!!』ダッ

    ガシッ!

    ポルトガ姫『ちょっと待つっす!どこに行くっすか!』

    勇者『お義兄ちゃんの所だよ!!早く行かなきゃ!!!』

    ポルトガ姫『おそらくもう遅いっす!!!この件は国連が総出で絡んでるんすよ!!』

    勇者『……!!!!?』

    ポルトガ姫『今出て行っても、国連の勇者達全員に迎え撃たれるっす』

    勇者『じゃあ黙って見てろっていうの!!!?』

    ポルトガ姫『そうじゃないっ』

    771 = 1 :




    ポルトガ姫『多分ですが……話聴く限り、向こうは女勇者ちゃん。貴女の存在を知らない』


    勇者『!!』

    ポルトガ姫『……やっぱり心当たりあるんすね』

    勇者『……』

    スッ

    勇者『スー……はー……』

    勇者『……私を隠してくれてありがとう』

    ポルトガ姫『いいんすよ』

    勇者『いや、船乗り娘ちゃんがこうしてくれなかったら多分詰んでいた』

    勇者『でも、なんで船乗り娘ちゃんがこんな事……事情も知ってるみたいだし』

    ポルトガ姫『んー……まあ私の事情はおいおい話すとして。女勇者ちゃん』

    勇者『なんだい?』


    ポルトガ姫『取引、しませんか?』


    ――――――――――――


    勇者「……そうだったんだ」

    ポルトガ姫「いやあ、結果オーライでみんな無事でよかったっすよ」

    勇者「本当に、ありがとう」

    ペコ

    勇者「おかげで遊び人も、みんなも……僕も」

    勇者「助かりました。……――本当に、なんて言ったらいいか」

    ポルトガ姫「……」

    勇者「……?ポルトガ姫さん?」

    ポルトガ姫「……ふふ、いえ」

    ポルトガ姫(やっぱり、宿で会った時となんら変わりないっすね)

    ポルトガ姫(……私には、あの塔に居た人間のいう事はにわかには――)

    772 = 1 :

    ポルトガ姫「……ま、いいっす」

    ポルトガ姫「本当に気にしないで下さいっす。こっちだって条件出したんですし」

    勇者「条件?」

    ポルトガ姫「ええ。実は――……」


    コンコン

    ガチャッ


    メイド「あの、ポルトガ姫様」

    ポルトガ姫「え?なんですかメイドちゃん」

    メイド「お后様がお呼びです。なんでも、今回の家出の件でお説教とか――……」

    ポルトガ姫「ホントっすか……うええ、お母様、怒ってたっすからねぇ……」

    メイド「あ、口調戻ってますよ」

    ポルトガ姫「いいんすいいんす、勇者くんは元々知り合いでしたし」

    メイド「……」

    勇者「……」

    メイド「……とにかく。私も一緒に説教されてあげますから。行きましょう」

    ポルトガ姫「はいはい。今行くっす……それじゃ、勇者くん。続きはまた後で」

    勇者「……うん、ありがとう」

    メイド「ここには他の給仕の者を来させますので、何か御用がありましたらその者に」

    メイド「では」


    バタン……


    勇者「……」

    773 = 1 :

    ボフッ


    勇者「……」

    勇者(色々ありすぎて、ちょっと混乱しそうだ)

    勇者「……」

    勇者(でも、なんだろう)

    勇者(何か、何かを忘れてる気がする)

    勇者(僕は、ランシール勇者どうやって助かった?)

    勇者(ジパングの勇者の人に、綱から落とされて……どうなったんだ?)

    勇者(……)


    スッ


    勇者(……なんで)


    勇者(なんで、体中の傷が、捕まる前より治っているんだ?)


    勇者(僕に回復呪文を使える僧侶でも、こんなに完全に傷を治癒させるのは無理だったはずなのに)


    勇者「……」

    ――――――――――


    メイド『貴方みたいな魔物の――……!!』


    ――――――――――

    勇者「……」

    勇者(……一体、何が)

    勇者「……」


    ムクッ


    勇者「……会議室か」



    ――――――――――――――――――――
    ――――――――――――――――――――



    ――ポルトガ城・会議室――



    ガチャッ


    ムオル勇者「……失礼します」

    774 = 1 :

    ポルトガ王「おお、ムオル勇者か」

    ポルトガ大臣「これで全員揃いましたな」

    ポルトガ将軍「……」

    ポルトガ勇者「イシスん所は?」

    イシス勇者「ああ、全員いるよ」

    イシス魔法使い「イシス勇者様と従者3人です」

    イシス僧侶「ばっちしです!」

    イシス戦士「……勇者の所は?勇者はまだ、目覚めないのか?」

    勇者「ああ、まだみたいだ」

    武道家「でも眠ったままでも水は飲んでくれるし、心配ないみたい」

    戦士「傷も無いしな。少しは安心だ」

    魔法使い「でも、これでみっかめだね……」

    僧侶「なんで目覚めないんでしょう……」

    商人「あーもう、そんな心配しなくて大丈夫ですって。勇くんですよ?あの生命力の塊ですよ?」

    盗賊「…………」

    商人「だから盗賊ちゃんもそんな虚ろな目してないでくださいって!」


    遊び人「……ムオル勇者さん、勇者ちゃんの所に行ってたんですよね?」

    遊び人「勇者ちゃん、どうでした?」


    ムオル勇者「ああ、今言おうとしたんだが……先ほど、目を覚ました」


    「「「「!!!!」」」」


    遊び人「本当!?」

    魔法使い「ゆーしゃ、めをさましたの!?」ガタッ

    戦士「ちょっと行って――……」ガタッ


    ムオル勇者「まあ待て。ようやく皆が集まったんだ。話が終わってからでも遅くなかろう」

    ムオル勇者「奴の事は給仕の者に頼んでいる。体調も良かった。安心しろ」


    勇者「……よかった」

    775 = 1 :

    ポルトガ王「それでは、話を始めようか」

    ポルトガ王「まず、今回の件について……質問がある者は居るか?」

    スッ…

    遊び人「……はい」

    ポルトガ王「おお、では賢者様」

    遊び人「ありがとうございます……では質問なんですが」

    遊び人「なぜ今になって国連が私を賢者に祀り上げようと動き始めたんですか?」

    遊び人「私がガルナの妹、賢者の末裔だという事は国外不出だったんですが……もしやそれがどこかから」

    勇者「それは私が答えるよ」

    遊び人「え?」

    勇者「……前回の首脳会議に出席した方々はご存知なんだろうけど」


    勇者「ナジミ様さ」


    遊び人「!!?」

    武道家「ナジミ様……?」

    商人「え、どういう事ですか」

    勇者「……三日前に、ナジミ様にお会いする事があってさ」


    ――――――――――――


    ――アリアハン城・城門――

    ワーワー


    『自分の息子って……!目を覚ませよ勇者母さん!!』

    『騙されてたのよ!!貴女!』

    『ああ、ルビス様、彼女をお赦しください……』


    勇者『……何度でも言います、あの子は私の息子です!』


    勇者『…………母、さん……』

    776 = 1 :


    ザッ


    『お前さんがた、少し静かにせい』


    勇者『え?……えっ!!?』

    勇者『……?』


    『なんだこのジジイ?』

    『今大事な話をしてるんです!邪魔を』


    勇者『ナジミ様!!』


    ナジミ『……』


    『ナジミ、様?』

    『ナジミって……あのナジミの塔と何か関係が?』

    『お、おい!!お前さんがた!!頭を下げろ!!失礼じゃぞ!!』

    『え?どうして』

    『このじいさんが一体』

    『この方は賢者様じゃ!!世界的にも高名な!!!』


    『『『!!!?』』』


    ナジミ『はは……アリアハンではもうわしの名は死につつあるな』

    ナジミ『しかし、その名をここで使わせてもらうぞ』

    ナジミ『勇者母にこれ以上無意味な悪意を向けるでない』

    ナジミ『その女と魔族は無関係じゃ……これ以上お前達がなにか喚くようなら』

    ナジミ『……ただでは済まさん』


    勇者『ナジミ様……』

    777 = 1 :


    『し、失礼しました……』

    『帰ろうぜ』

    『っくそ、俺達は他の国にどんな顔向けりゃいいんだよ……』

    スタスタ…


    勇者『……ナジミ様!』タッ

    ザッ

    勇者『ナジミ様、ありがとうございます!』

    勇者『おかげで母は――……』

    ナジミ『やめるんじゃ』

    勇者『……――え?』

    ナジミ『……謝るのは、謝らんといかんのはワシのほうじゃ』

    ナジミ『…………すまない』


    ナジミ『今回の騒動は……――ワシが引き起こしたものじゃ』


    ――――――――――――


    勇者「そこでナジミ様が全て教えてくれたんだ」

    勇者「ほら、遊び人ちゃん……覚えてる?お義兄ちゃんが捕まる前の日」

    遊び人「前の日?……あの、魔物達の群れと、大きな竜が空を飛んでた事?」

    勇者「そう。ナジミ様はあれを予知夢に見たんだ。そしてあれは落日の七日間の状況に酷似していたらしい」

    勇者「だから、遊び人ちゃんを狙いに来るものだと思ったナジミ様は、首脳会議でその件をみんなに訴えた」

    勇者「そしてそれがサマンオサの奴らの耳に入り……――後はご存知の通り」

    勇者「異様なまでに軍を拡大しているサマンオサが遊び人ちゃんを擁し……賢者として復活させ、守る」

    勇者「それに利用されたんだ」

    戦士「あんのジジイ……」

    遊び人「戦士、ナジミ様は正しい事をしただけよ」

    勇者「……そこで、サマンオサで力を得ていた騎士団長がアリアハン王の隠蔽を告発、アリアハン王が全てを自白」

    勇者「お義兄ちゃんと遊び人ちゃんの事が、国連の目下に晒されたって事さ」

    遊び人「……そっか、そういう事だったんだ」

    778 = 1 :

    遊び人「……ポルトガ王様、この度はご迷惑をお掛けしたどころか、こんな風に匿っていただいて」

    ポルトガ王「ガッハッハ!!!お気になさらず!!私どもはなんともない!!」

    ポルトガ勇者「ああ。それにここに居る奴らは皆あんた等の仲間だ。話が漏れる恐れもないから安心しな」

    ポルトガ大臣「王子!賢者様にむかって――……」

    遊び人「いいんです、大臣さん……ありがとうございます。みなさん」


    ポルトガ将軍「……お言葉ですが、私は不満があります」


    「「「!!」」」

    ポルトガ大臣「しょ、将軍!!何を言うか!!」

    ポルトガ王「将軍よ。抑えろとあれ程言ったではないか」

    ポルトガ勇者「不満って……なんだよ?言えっつうの」


    ポルトガ将軍「では、言わせて頂きましょう」

    ポルトガ将軍「昨日行われた緊急の国際連合会議で……我がポルトガが負った責をお忘れで無いでしょうね」

    ポルトガ将軍「我々は、“容疑者勇者を逃した”……“檻としての役割を果たせなかった”」

    ポルトガ将軍「よって、“世界各国の五港のポルトガ領の港の所有権を国連へ譲渡”」

    ポルトガ将軍「そして“ポルトガ国王の国際連合での発言権を3年間無効化”」

    ポルトガ将軍「そう言い渡されたのですぞ!」


    イシス勇者「……!」

    勇者「……っ」

    戦士「……それってまずい事なのか?」ボソボソ

    魔法使い「まずいどころのさわぎじゃないよっ」ボソボソ

    商人「アホな戦士ちゃんに分かりやすく言いますとね……“3年間、国連の財布・パシリ・そして奴隷になれ”って事です」ボソボソ

    盗賊「……横暴って枠を超えてる……」

    779 = 1 :

    ポルトガ王「……頼むから、抑えてくれ将軍」

    ポルトガ将軍「いいえ、抑えられませぬ!王、これはあまりにも酷い」

    ポルトガ将軍「我々の国で勝手に争われ、勝手に城を檻にされ、そしてほぼ、属国にされてしまった!!」

    ポルトガ将軍「国民達はどうなります!五港に、現地に居を構えていた者達は!この国に住む者達は!」

    ポルトガ将軍「これから無茶な駆り出され方をするであろう者達は!!如何なさる!!」


    ポルトガ将軍「こんな事になるのならあのような魔物など、突き出してしまえばよかったのです!!」


    戦士「……」

    武道家「……抑えてね」ボソ

    武道家「この人の言ってる事……これはこれで、間違っちゃいないんだから」ボソボソ

    戦士「ああ……大丈夫」ボソ

    戦士「この人も、この人の守るもんがあるんだろ」ボソボソ


    ポルトガ王「将軍。口が過ぎるぞ」

    ポルトガ王「それに、あの者は魔物では――……」

    ポルトガ将軍「何を仰います!!今回の件の報告をお聞きになったでしょう」

    バッ

    ポルトガ将軍「もうみなさんもご存知のはずだ!!」


    遊び人「……っあの」


    ポルトガ将軍「なんでしょう、賢者様っ」

    遊び人「……実は、まだ」チラ


    魔法使い「……?」

    僧侶「報告?」


    遊び人「仲間の、みんなには……」


    ポルトガ将軍「……いい機会ですっ……!教えて差し上げよう」

    780 = 1 :



    ポルトガ将軍「あの者は、本当に魔族だったのです!!」


    勇者「……」

    魔法使い「……」

    盗賊「……」

    僧侶「……」

    武道家「……」

    戦士「……」

    商人「…………は?」


    ポルトガ将軍「ガルナの塔で、ジパングの勇者に追い詰められた彼は豹変」


    ポルトガ将軍「魔物の姿を現し、捜索の兵士達を蹂躙した!!!」


    ポルトガ将軍「その際、その場に居たサマンオサ兵は全員死亡!!!!!」


    ポルトガ将軍「あの男に殺されたのです!!!!」


    魔法使い「……な、何を」

    盗賊「……嘘……」

    ポルトガ将軍「嘘ではない!その場に居合わせたランシールの勇者とエジンベアの勇者」

    ポルトガ将軍「そしてダーマの兵とエジンベアの兵……全員が口を揃えてそう供述した!」

    ポルトガ将軍「……賢者様。貴女様も証人のお一人のはずですねっ……!!」

    戦士「……お、おいおい遊び人」

    盗賊「……遊び人……」

    遊び人「……」

    商人「……今、の……本当、なんですか」



    遊び人「……」

    遊び人「……うん」



    遊び人「……今の、全部……本当の事だよ」

    781 = 1 :









    勇者「………………」






    ――会議室・外――


    <ですからあの魔族は――……!有害――……!



    勇者「……」


    勇者「……」


    勇者「……」


    勇者「……」


    勇者「……」


    勇者(ころ、した?)


    勇者(僕が)


    勇者(僕)


    勇者「……」


    勇者「……」


    勇者「魔物」


    勇者「…………」


    勇者「魔物、だったんだ」


    勇者「……」


    勇者「……」


    勇者「……」


    スタスタ…


    スタ…





    ・ 

    782 = 1 :

    今日はおしまいです

    783 :

    乙!
    これからどうなるんだろう

    784 :

    乙でございます

    785 :

    あぁ、まずいぞこの展開!

    786 :

    乙、改めてゲームし直すとそうかサマンオサってそう言えばと思うところも多々あり、やっぱりこの人凄い

    787 :

    続きが気になるんじゃ早く投下してくれえええええ

    788 :

    ポルトガ将軍「ですからあの魔族は匿うべきでは無いと私は主張したい!有害でしかないのです!」

    ポルトガ将軍「わが国にとって……いえ!人類にとって!」


    勇者「……」


    盗賊「……」


    僧侶「……」


    武道家「……」


    戦士「……」


    商人「……」


    魔法使い「……や」

    ポロ…

    魔法使い「やめてよ……!やめてよぉ」ポロポロ

    ポルトガ将軍「……捲し立てて申し訳ない。しかし、事実だ」

    僧侶「……」

    ギリッ…


    僧侶「…………実は……なんとなく、わかっていました」


    イシス魔法使い「僧侶ちゃん!?」

    イシス戦士「お前っ、お前まで何を!?」

    イシス僧侶「……“あの回復呪文”の事、だよね」

    僧侶「……」コク

    イシス戦士「なに?どういうことだ」

    イシス僧侶「前に僧侶ちゃんから聞いたんだけど……僧侶ちゃんは、ルビス様の加護が無い勇者くんに回復呪文を使えるじゃない?」

    イシス僧侶「それを使った際に、体に黒い痣みたいなものが浮かび上がってくるんだって」

    イシス魔法使い「黒い、痣……!?」

    イシス戦士「それがどうしたというのだ!」

    イシス僧侶「……回復呪文のからくりってね。循環なんだ。対象者に力を与えるんじゃなくて、対象者の、ルビス様の加護を纏ったエーテルを自分に促すの」

    イシス僧侶「そこで自分の魔力でその促されたエーテルを治癒形態に書き換えて、相手に戻す……だから、ルビス様の加護がなければ、できない」

    イシス僧侶「でも、僧侶ちゃんはそれができる……」

    イシス魔法使い「……黒い痣は、通常悪魔を召喚したり、人知を超えた魔力に接する際にできるものって言われてるわ」

    イシス魔法使い「でも、悪魔を召還したりなんて、御伽噺のようなものと判明してる現代では正直迷信めいたものだと思われてたの」

    イシス戦士「……それが」

    僧侶「……」

    イシス戦士「……お前には、浮かぶのか……」

    789 = 1 :

    魔法使い「で、でも!浮かんでも、すぐにきえていくんだよ!?」

    イシス僧侶「それは多分、僧侶ちゃんの魔力が膨大すぎるからだよ」

    イシス僧侶「……私がやったとしたら、恐らく一回で真っ黒になって、息絶えてる」

    魔法使い「……!」

    僧侶「……」

    僧侶「……でも」

    僧侶「でも、でも私は」

    僧侶「私は!勇者くんが魔物であっても、なんであっても!……――敵ではないと」

    僧侶「勇者くんは、勇者くんだと……!!そう思っています……!!」

    武道家「……」

    商人「僧侶ちゃん……」

    ポルトガ将軍「しかし、彼は実際に人間を殺した!」

    ポルトガ将軍「仲間として過ごし、情が湧くのも分かるが、あの男は危険――……」



    「「「それに関して、言いたい事が」」」



    ポルトガ将軍「!!?」

    僧侶「!!」

    「「「「「「!!?」」」」」」



    ポルトガ王「……」


    イシス勇者「……」


    勇者「……」


    遊び人「……」



    ポルトガ将軍「……な、何を」

    ポルトガ王「……賢者様。お先にどうぞ」

    遊び人「では、失礼して」

    790 = 1 :




    カラン


    ポルトガ将軍「……あの、これは?」

    遊び人「……これは、ガルナの塔で勇者ちゃんに変化が起こる前、彼が吐き出したものです」

    ポルトガ勇者「吐き出した?って、この……刃物の欠片みたいな物をかよ?」

    盗賊「……これって?……」

    遊び人「最初は私も何かは分かりませんでした……でも、今なら分かります」


    遊び人「これは、お姉ちゃんが。賢者ガルナが他の賢者様と力を合わせて作った、魔力制御の為の魔力を込めた短剣の剣先です」


    ポルトガ勇者「……短剣」

    ――――――――

    騎士団長『その少年も、帰って来た時には、傷を負って満身創痍でしたが、しかしその傷には、おかしな点があったのです』

    騎士団長『全てが、刃物による傷だったのです!!!魔物に襲われてつけられた傷ではなく!!!人間の手によって付けられた傷でした!!!』

    騎士団長『そして、その傷の中で、一番深い傷。それは、切り口を医者が診てみたところ、ガルナ様の短剣によるものだという事が判明したのです!!!!』

    ――――――――

    ポルトガ勇者「騎士団長の言ってた、あの傷って」

    遊び人「……多分、この剣先によるものです。魔力で折られたような跡があるので、意図的に勇者ちゃんの体内に埋め込まれたものだと思います」

    ポルトガ将軍「でしたら、やはりあの男はガルナ様と闘い傷を――……」

    遊び人「いえ、もしそうでしたら無力化した勇者ちゃんを生かしておく筈がありません。剣を魔力で折る理由も無い。そのまま突き刺してしまえばいいんですから」

    ポルトガ将軍「ではなぜ――……」

    遊び人「……細かい理由までは、わかりませんが……“賢者ガルナが、殺そうとしなかった”という事はわかります」

    遊び人「それに大賢者三人で協力してこの剣に魔力を込めた、というのもなんだか妙なんです」

    遊び人「本当に危険であれば、こんな物を作らなくても、人間の状態の勇者ちゃんすぐに殺せばよかった。でもしなかったんです」

    ポルトガ将軍「……」

    遊び人「…………そして、私が。勇者ちゃんが危険な魔物じゃないと気付いた切欠があります」

    ポルトガ将軍「……それは?」



    遊び人「勇者ちゃんは、“サマンオサ兵以外の人間に、危害を加えなかった”んです」



    ポルトガ王「……!」

    イシス勇者「!」

    勇者「……」

    遊び人「いえ、危害をくわえなかっただけではありません」

    遊び人「ダーマの兵が、逃げようと躍起になったサマンオサ兵に危害を加えられそうになった際……それを助けるような素振りも見せました」

    ポルトガ将軍「それが一体なんだというのですか!それでもサマンオサの兵達は殺されたのですよ!!」

    ポルトガ将軍「サマンオサの兵だけを狙って殺す理由など、どこにも無い筈です!!」

    791 = 1 :

    ポルトガ王「それについては、私の話と繋げさせて頂こうか」

    ポルトガ将軍「王!?」

    ポルトガ王「……実は、私はオルテガとは旧知の仲でな」

    ポルトガ王「オルテガの仲間、サイモンとも仲が良かった」

    イシス勇者「……」

    ポルトガ王「しかしある時、サイモンの行方が分からなくなってしまった」

    ポルトガ王「サイモンはサマンオサの出だ。私はサマンオサの王にその件について捜査を協力しようと申し出た……しかし、王は」

    ポルトガ王「“居なくなった者は仕方あるまい。なに、すぐに強力な勇者をまた捻り出そう”と、取り付く島も無かった」

    ポルトガ王「その辺りの時期以来、サマンオサの王は人が変わった。魔族狩りと称して民を殺し、国内、近隣の住人達を強制的に徴兵したりと……それはまあ置くが」

    ポルトガ王「サイモンの失踪後しばらくして、この国にオルテガが来た。奴がネクロゴンドに向かう直前だった」

    ポルトガ王「……オルテガは、私に言ったのだ」


    オルテガ『サマンオサを信用するな。下手に追求もするな』


    ポルトガ王「……とな」

    ポルトガ将軍「ど、どういう事なのです?」

    イシス勇者「……僕の主張も似たようなものです」

    ポルトガ将軍「イシス勇者殿。一体何が」

    イシス勇者「僕も、故あってサマンオサの動向をずっと調べていました」

    イシス勇者「そして今回の件も、少し気になる所があって騎士団長に探りを入れるべく、ある提案をしてみたんです」

    イシス勇者「“容疑者勇者が魔物であれば、殺された者達は蘇生呪文で蘇るはず。急ぎましょう”と……でも、彼の答えは」


    騎士団長『必要ありません。殺された者達の補充はすぐにできます』


    イシス勇者「……頑なに、あの場の死体の蘇生を拒んだ」

    ポルトガ将軍「……」

    イシス勇者「それだけでしたら、彼のストイックな気質から来る独裁的な判断だと片付けられるかもしれません」

    イシス勇者「しかし……これを見てください」

    バサッ

    ポルトガ勇者「……これは、なんだイシス勇者?」

    イシス勇者「……15年前以前、サイモン失踪以前のサマンオサ国民の籍書類を写し書いたものだよ。とある筋で手に入れた」

    イシス勇者「多分これを持ってる事がばれたら、僕はただじゃ済まないだろうね。……まあそれはいい。話を戻します」

    イシス勇者「サマンオサは先進国です。籍は厳しく整えられていました……サイモンの失踪以前はね」

    バサッ

    イシス勇者「そしてこれが、国連に提出された事になっている、サマンオサ国民の籍書類です」

    イシス勇者「……サイモン失踪以前のものから、改竄された項目が多々ある事……お分かりいただけますか?」

    792 = 1 :

    遊び人「……!!」

    ポルトガ勇者「……あー……?こりゃ……」

    イシス勇者「……気付いたかい?遊び人さん、ポルトガ勇者くん」

    商人「……なるほど」

    戦士「え?なんだよ、どういうことだよイシス勇者」

    イシス勇者「出生の欄と死亡の欄を見てもらえるかい?」

    武道家「これがどうかしたの?」

    戦士「……確かに、数を直されてるけどさ。これが一体」

    バサッ

    イシス勇者「これが、現在提出されているサマンオサの書類……ついこの間のものだよ」

    武道家「?…………!!」

    戦士「??これのどこがおかしいんだってば」

    イシス勇者「これに記述されている兵の数を見て欲しい。そしてそれから、改竄前のサマンオサの出生欄と死亡欄」

    イシス勇者「……どれだけ若い兵士といえど、せいぜい16歳くらいだよね。少なくとも、国連の規定では16歳だ」

    イシス勇者「ここには書いていないけれど……サマンオサでは魔族狩りと称して大規模な国民の処刑が行われてる」

    戦士「……あ」

    イシス勇者「…………足りないんだ」


    イシス勇者「数が、足りないんだ。どれだけ徴兵を強化しようと、とても軍なんて作れない」

    イシス勇者「でもそれは、改竄される前の書類での話だ」

    トントン

    イシス勇者「この、“改竄された、居るはずの無い人間達”は何だ?」

    イシス勇者「この、“居るはずの無い人間達”は何処から来た?」

    イシス勇者「……何故、サマンオサはこれを隠蔽しようとした?」


    ポルトガ将軍「……な、何かの間違い、では」

    ポルトガ将軍「移民や、国を流れた傭兵を雇って……それに、死刑囚を使って」

    ポルトガ勇者「それでこれだけの軍を作れるってか?反乱も何もおこさずに?」

    ポルトガ将軍「……」

    793 = 1 :

    勇者「……皆話したし、最後は私だね」

    僧侶「女勇者ちゃん」

    ポルトガ将軍「……お願いします」

    勇者「それでは。……といっても、私の場合短いんだけどね。……――でも、とてもシンプルで分かりやすい」

    勇者「さて、さっきも話しましたが、ナジミ様に会ったんです」

    勇者「一通りお話をしたあとに……最後、別れ際の事です」

    勇者「私は、ある事を告げられたんです」



    ――――――――――――



    ――ガルナの塔――


    スタスタ

    ダーマ兵「しかし……おぞましい光景ですな……」

    エジンベア兵「死体を回収してもらえないなんて、可哀想に」

    ポルトガ兵「仕方がないっすよ。国連の命令なんですから」


    エジンベア勇者「……」

    エジンベア勇者(ったく……調査とはいえ、なんでまたこのフロアに来なくちゃいけないんだ)

    オオォォォォ…

    エジンベア勇者(……このフロア、真っ赤だ……サマンオサの奴らの血で染まってる)

    エジンベア勇者(最早、僕にはトラウマだよ……ん?)



    スー勇者「……」



    エジンベア勇者「スー勇者じゃないかい!ちょっと、誰だこの子入れたのぉ!この子は塔外の調査だったろ!?」

    エジンベア兵「す、すみません。入るときかなくて」

    エジンベア勇者「ったく」

    ガシッ

    エジンベア勇者「スー勇者!ダメじゃないか入ってきちゃ」

    エジンベア勇者「ほら、見ちゃダメだって!!この赤いの全部血なんだよぉ!?」

    エジンベア勇者「トラウマになる前に出て行きなって……」

    スー勇者「……」

    エジンベア勇者「……?」

    スー勇者「……エジンベア、さん」


    クルッ




    スー勇者【〝貴方にはこれが、赤色に見えるんですか?〟】



    794 = 1 :

    ―――――――――――――――――


    ――サマンオサ城・騎士団長執務室――



    ジパング勇者「あーもう、ムカツク――!!!!」


    騎士団長「お静かにお願いします。書類の整理中です」

    ジパング勇者「だってイライラが止まらないんじゃよ!!なんでわらわが一撃でのされなきゃならないんじゃよ!!」

    ジパング勇者「んもー!!ちゃんと戦いたかったぁー!!」

    騎士団長「ふふ……楽しそうですね?」

    ピタ

    ジパング勇者「……」

    ニヤァ

    ジパング勇者「わかるぅ?」

    ジパング勇者「だって、あれ。勇者っち……一撃でわらわを気絶させたんじゃよ?」

    ジパング勇者「こんな強敵、はじめてかもしんないじゃん?」

    ジパング勇者「わらわ……勇者っちに恋しちゃった☆」

    騎士団長「これまた趣味の悪い」

    ジパング勇者「ふふ、お前さんは楽しく無さそうじゃね?」

    騎士団長「それはもう。あのカスを取り逃がされた上に、あのカスの正体が本当に分からなくなったのです」

    ジパング勇者「……上はなんて?」

    騎士団長「『そのような存在、よこしていない』との事です」

    ジパング勇者「……それはつまり」

    騎士団長「はい」


    騎士団長「ヤツの正体は、我々も分からない」


    騎士団長「言わば“第三勢力”です」


    795 = 1 :



    ジパング勇者「……」

    ジパング勇者「……くふ」

    ジパング勇者「くふっふふっ、くふふふふ!!!」

    ゴキゴキ

    ジパング勇者「くはっ、くはははははははははは!!!!」

    ゴキッ、ゴキゴキィ!!


    ―――――――――――――


    勇者「ナジミ様はこう仰いました」

    勇者「『昨日、夢を見た』」

    勇者「『女勇者よ、気を付けろ』」

    勇者「『国連の中に』」


    ―――――――――――――


    騎士団長「ほら、変身が解けていますよ」

    騎士団長「あなたは変身が本当に苦手ですね……」

    ゴキィ…!!

    ジパング勇者「次会ったら……くはっ」

    ジパング勇者「ぐちゃぐちゃのぐちゃぐちゃのぐちゃぐちゃのぐちゃぐちゃのぐちゃぐちゃに殺してやる!!!!!!」

    ジパング勇者「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!!!!!!!」

    騎士団長「……まったく」

    騎士団長「まあとにかく。あのカスは我々の“敵”です」

    796 = 1 :






    騎士団長「魔王様の邪魔になる前に、排除せねばなりませんね」





    ――――――――――――――――――――――――――





    勇者「……『二人、魔物が紛れ込んでいる』」





    797 = 1 :

    今日はおしまいです

    800 :

    乙でございます


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