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    元スレP「大人を舐めるなッ!」

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    551 = 1 :

    「音無さん、律子が堅いです」

    小鳥「うーむ、ここはこたつを買って態度を軟化させましょう」

    「では行ってき――」

    律子「あーもう!待てと言うに!」

    「律子よ……何がお前をそこまで頑なにさせるんだ?」

    律子「あなたも懲りない人ですね……」

    律子「いいですか?仮に、こたつを買ったとしますよ?」

    「うむ」

    律子「でも、私達は社会人です。そんなだらけた姿勢で仕事に取り組むなんてできませんよね?」

    「確かに……」

    律子「そういう訳で、こたつを買うのは諦めましょう?ね?」

    「分かった」

    小鳥「あれ!?普通に説得されてますけど!?」

    552 = 1 :

    >>531の訂正をします

    「どうせなら就業時間まで粘ろうかと」

    「どうせなら終業時間まで粘ろうかと」

    酒が飲めない時間まで粘ってどうする……アホですか私は

    >>519についてですが
    アイドル達を均等に出そうしているので、継続したお話に同じキャラを出さない場合があります
    まあ、鍋を二人で食べきる事はない……という事でどうかお願います。ややこしくてすみません

    553 :

    ずっと食わないつもりなんだろ(適当)

    554 :

    いつの間にか500超えてたのか
    ゆっくりでもいいから完走して欲しいな

    555 :

    大人のバレンタイン(意味深)を期待

    556 :

    大人といえば親父ギャグ

    558 :

    大人と言えばおもちゃ

    559 :

    【バレンタインデー1、事務所】

    やよい「うーん、どうしよう……」

    春香「どうしたの、やよい?何か悩み事?」

    やよい「はい。実は、チョコを作りたいんですけど……」

    春香「うんうん」

    やよい「私、こういうのした事なくて……どうしたらいいか分からないんです」

    春香「なるほど……じゃあ、私と一緒にする?」

    やよい「いいんですか!?」

    春香「うん、いいよ。私も一人じゃない方が楽しいし」

    やよい「やったぁ!ありがとうございますっ!」

    560 = 1 :

    春香「そういえば、プロデューサーさんには頼んでみたの?」

    やよい「それも考えたんですけど、プロデューサーは忙しそうでしたから……」

    春香「そうなんだ。まあ、プロデューサーさんも何か作ってるって事なのかな?」

    やよい「でもでも『手伝えないから代わりに』って、これを貰いました!」

    春香「これは?」

    やよい「カカオ豆……?らしいです!よく分かりませんけど、これからチョコレートが出来るんですよね?」

    春香「何を渡してるのあの人は!?」

    やよい「もしかして違うんですか?」

    春香「いや、違わないけど……カカオ豆から作るのは無理じゃないかな……」

    やよい「春香さんなら大丈夫だって言ってましたよ?」

    春香「何を根拠に!?」

    やよい「えっと『俺に勝ってるんだから、きっとできる』って」

    春香「基準が辛い……」

    561 = 1 :

    【バレンタインデー2、ショッピングモール】

    律子「今日はバレンタインね」

    千早「そうね」

    律子「チョコレートは用意しているの?」

    千早「律子。私がそういう事に興味がない事は――」

    律子「知ってる。でも、これぐらいは受け取ってくれてもいいんじゃない?」

    千早「これは……」

    律子「チョコレートよ。もしかして嫌いだった?」

    千早「いえ、そうじゃなくて」

    律子「何か気になる事でも?」

    千早「その、非常に言いにくいのだけど……」

    律子「ん?」

    千早「ごめんなさい。私にそういう趣味は――」

    律子「いやいやいや!私だってないわよ!」

    千早「じゃあ、これは一体……?」

    律子「友チョコ。まあ、これからもよろしくって事ね」

    千早「はぁ……そんなものもあるのね」

    律子「世の中、イベントにかこつけて何かしたいって人は多いから」

    千早「そういうものなの?」

    律子「そういうものよ」

    562 = 1 :

    千早「まあ、友チョコというものがあるのは分かったけれど……」

    律子「どうしたの?」

    千早「律子って『イベントにかこつけて何かしたい人』だったかな、と思って」

    律子「……さぁ?私には分からないわ」

    千早「プロデューサーの影響かしら?」

    律子「あぁ……あるかもしれないわね」

    千早「いい影響だと思う?」

    律子「それも分からないわね。ただ……」

    千早「ただ?」

    律子「仕事じゃなく、あくまで『自分が楽しむイベント』としてバレンタインデーに向き合えたし……」

    律子「そのお陰で千早にチョコを渡せたんだから、そういう意味ではいい影響……なのかも」

    千早「ふふっ……」

    律子「ちょっ!?どうして笑うのよ!」

    千早「ごめんなさい。プロデューサーに似てたから、つい……」

    律子「まったく……変な事を言ってると、私まであの人みたいになるわよ?」

    千早「……それは恐ろしいわね」

    律子「でしょう?」

    563 = 1 :

    千早「まあ、それはさておき……律子、ありがとう」

    律子「へ?何の話?」

    千早「チョコレートの話よ。嬉しかったわ」

    律子「そう?よかった」

    千早「ただ、今は返せる物がないから……その……」

    律子「うん?」

    千早「少し、買い物に付き合って貰えないかしら?」

    律子「いいわよ。でも、どういう風の吹き回し?」

    千早「どういうって……律子の所為よ」

    律子「何で?」

    千早「チョコを貰った時、凄く嬉しくなったから……」

    千早「だから、こういうのもたまにはいいかなって……そう思っただけよ」

    律子「素直じゃないわね」

    千早「そうかしら?律子に言われたくはないけど」

    律子「私がこうなったのはプロデューサーの所為よ」

    千早「……じゃあ、全部プロデューサーが悪いという事で」

    律子「ふふ、そうしましょうか」

    564 = 1 :

    【バレンタインデー3、響宅】

    貴音「響、そちらはどうですか?」

    「んー……まあ、いい感じかな。貴音は?」

    貴音「わたくしも順調ですよ。しかし、料理というのはなかなか疲れますね」

    「料理って……ただ溶かして固めてるだけでしょ。何が疲れるんだ?」

    貴音「目の前の食料を我慢する事が、です」

    「ああ、そういう事ね」

    貴音「このままでは、つい全滅させてしまいそうです……」

    「少し休憩したら?冷蔵庫に飲み物あるし」

    貴音「そうですね……そうさせて頂きます」

    「あ、コップはそこだからね」

    貴音「分かりました。では、お先に」

    「はいはーい」

    565 = 1 :

    貴音「ふぅ……しかし……」

    「ふんふふ~ん♪」

    貴音(響のお菓子ですか。気になりますね……)

    貴音「あの、響」

    「ん~?」

    貴音「その、少し味見をしてもよろしいでしょうか?」

    「いいよ~」

    貴音「真ですか!?」

    「うん。食べすぎないでね」

    貴音「はい、心得ております」

    「ならいいけど。もし食べすぎたら……」

    貴音「食べすぎたら……?」

    「貴音の分が減るから」

    貴音「なっ!?そんな事が……!?」

    「え?驚くところ?」

    貴音「……響、いつの間にか強かになりましたね」

    「そりゃ、身内にあんなのが居るからね」

    貴音「なんと……!プロデューサー、許すまじ……!」

    「八つ当たりは駄目だぞ」

    貴音「では、この憤りをどこに向けろと?」

    「自分の胃じゃない?」

    貴音「そんな事をしては、わたくしはシクシクと泣いてしまいます……胃だけに」

    「上手い事言ったつもり!?」

    566 = 1 :

    【バレンタインデー4、双海宅】

    亜美「うーん……やっぱりタバスコ入れようかな?」

    真美「駄目だよ亜美。一応、これもプレゼントなんだし」

    亜美「でもさ。兄ちゃん的に考えれば、楽しいは正義だよね?」

    真美「まあね」

    亜美「じゃあ、ロシアン的な要素も入れた方がよくない?」

    真美「それって真美達が楽しいだけなんじゃ……」

    亜美「兄ちゃんもそんな感じだと思うよ?」

    真美「でもアレだよ?兄ちゃんは……ほら、相手の事も考えてるし……」

    真美「多分、タバスコは入れないんじゃないかな?」

    亜美「そっかぁ……じゃあ、他に入れる物ある?」

    真美「入れないって選択肢はないんだね……」

    亜美「当然っしょ!これだけは兄ちゃんも同じ答えだって!」

    真美「うぅ……反論できない……」

    567 = 1 :

    亜美「そういえば」

    真美「どしたの?」

    亜美「今、中に何を入れるかって話してるけどさ」

    真美「うん」

    亜美「……カプセルチョコ、閉じちゃったよね?」

    真美「あ」

    亜美「どうしよっか、これ」

    真美「とりあえず、中身はカスタードクリームにするとして」

    亜美「するとして?」

    真美「……どうやって入れようか?」

    亜美「えっと……穴を開けて、ストローで入れるとか?」

    真美「無理じゃない?」

    亜美「クリームを口に含んで、それをストローから吐き出せば――」

    真美「ねえ、亜美」

    亜美「ん?」

    真美「その作り方で出来たチョコ……欲しい?」

    亜美「……要らないかな」

    真美「だよね」

    亜美「はぁ……相手の立場で考えるのって大事だね」

    亜美「兄ちゃんも案外そうしてるのかな?」

    真美「……さぁ?」

    亜美「いや、そこは頷いてあげなよ」

    真美「流石に兄ちゃんの考えは読めないかな―って」

    亜美「確かに……」

    568 = 1 :

    【バレンタインデー5、事務所】

    「美希、ちょっといいか?」

    美希「どうしたの?」

    「はい、チョコレート」

    美希「え?何で?」

    「バレンタインデーだから?」

    美希「それっておかしくない?」

    「何が?」

    美希「だって、普通は女の子が渡す日なの。プロデューサーは男の人でしょ?」

    「確かにそうだが、俺の場合は習慣みたいなものだ。気にしないでくれ」

    美希「習慣?」

    「うむ。子供の頃、親から『恩は売れる時に売るものだ』と教えられたからな。それ以来、こうして配ってるんだよ」

    「菓子を作るのは楽しいし、人間関係もよくなる。まさに一石二鳥だな」

    美希「なんて可愛げのない子供なの……」

    「素直に喜ばないお前の方こそ、可愛げがないんじゃないか?」

    美希「さっきの話の後で素直に喜ぶ子が居たら、それはそれで怖いと思うけど」

    「……言われてみればそうだな」

    569 = 1 :

    あずさ「何の話をしてるんですか?」

    美希「あ、聞いてよあずさ。プロデューサーって、下心でチョコ配ってるんだよ?」

    「おい、誤解を招く表現はやめろ」

    あずさ「あら、そうなんですか?」

    「違います!俺はただ、純粋な好意でですね……」

    美希「恩は売れる時に売るものだ、とか言ってなかった?」

    「……それはアレだ。昔の話だ」

    美希「嘘っぽいの」

    「なんて可愛げのない……」

    美希「プロデューサーには言われたくないって思うな」

    あずさ「まあまあ、二人とも落ち着いて。ね?」

    「そうですね……分かりました」

    美希「あずさが言うなら……」

    570 = 1 :

    あずさ「――それで、プロデューサーさんが言うには『下心はない』と」

    「無論です。というか、下心って具体的に何なんだ……」

    美希「え?うーん……皆と仲良くなりたい、とか?」

    「俺には仲良くなる事すら許されないのか!?」

    あずさ「いや、そんな事はないと思いますけど……」

    あずさ「とにかく、私は疑ってませんよ。プロデューサーさんは信用できる人ですし」

    「あずささん……」

    あずさ「美希ちゃんもそう思うでしょう?」

    美希「まあね。さっきは色々言ったけど、プロデューサーって嘘吐くの下手だし……」

    美希「これだって、ミキの為にくれたんだよね?」

    「それは……」

    (待てよ……?ここで肯定するのは何だか癪だな……)

    「ふん、何を馬鹿な事を。当然、恩を売る為に決まって――」

    美希「そう、なんだ……残念なの、あはは……」

    「というのは冗談で、本当は配りたいから作ったんだ」

    美希「そうなの?あはっ☆ありがとうなの!」

    「う、うむ……どういたしまして」

    あずさ(この人の将来が心配だわ……)

    571 = 1 :

    【バレンタインデー6、事務所】

    「バレンタインデーですね、プロデューサー」

    「そうだな」

    「いい機会ですから、一つ勝負でもしませんか?」

    「勝負か……受けて立とう。内容は?」

    「街を歩いて、どっちが多くチョコを貰えるか……とかどうですか?」

    「卑怯だぞ!」

    「何がです?」

    「自ら勝負を挑むんだ。相手のフィールドで戦うべきだろう?」

    「プロデューサーのフィールドで戦ったら勝ち目ゼロじゃないですか」

    「だからってアイドルのフィールドで戦ったら俺の勝ち目がゼロだろうが!」

    「はぁ……まさか真がこんな奴だったとはな。俺はいつも相手の得意分野で勝負しているというのに」

    「とか言いますけど、プロデューサーってボクらの得意分野でも強いじゃないですか」

    「別に不得意だとは言ってないからな」

    「ズルいですよ!」

    「どこがだ!持っている技能を発揮しているだけだろう!」

    572 = 1 :

    「……このままじゃ話がまとまりませんね」

    「確かにな……何か代案はあるのか?」

    「そうですね……ここにチョコがあります。プロデューサーも持ってますよね?」

    「無論だ」

    「では交換して……はい、どうぞ」

    「ありがとう。俺からも……はい」

    「ありがとうございます」

    「それで、どうするんだ?」

    「その前に一つ訊いておきたいんですけど、チョコの味見はしましたか?」

    「したぞ」

    「じゃあ大丈夫ですね。さて、勝負方法ですが……」

    「うむ」

    「交換したチョコを食べて、自分と相手のどちらが美味しいか決める……というのはどうですか?」

    「いいだろう。まあ、俺が勝つに決まっているがな」

    「分かりませんよ。ボクだって自信作ですから」

    「いい気迫だな……では――」

    「勝負――!」

    573 = 1 :

    (プロデューサーのチョコレート……一見すれば、何の変哲もない普通のトリュフチョコだけど……)

    「はむっ……」

    (この深みとまろやかさ……!およそ市販の物を使っているとは思えない……!)

    (いや、プロデューサーの事だ……きっとカカオ豆から作るとか、恐ろしく手間を掛けているんだろうな……)

    (これは……悔しいけど完敗、かな)

    (真のチョコレート……一目見るだけで、凄く精巧なチョコ細工だと分かる……)

    (味は……)

    「あむ……」

    (悪くない……市販品をいくつか混ぜたのか……?)

    (ふむ……カカオ豆から作った事で、時間が足りず形を妥協した俺……)

    (対して、味にも形にも気を遣った真……)

    (……悔しいが、俺の負けだな)

    「結論は出ましたか?」

    「ああ」

    「じゃあ……せーの、で言いますよ?」

    「分かった」

    「……せーのっ!」

    「真だ」
    「プロデューサーです」

    574 = 1 :

    P・「……え?」

    「こうなるとは思わなかったな……」

    「ボクも意外です」

    「……結論を変える気は?」

    「ある訳ないでしょう?プロデューサーも一緒ですよね?」

    「無論だ。一度決めた評価を覆すなど、相手に失礼だからな」

    「はぁ……どうしますか?」

    「どうしようもないな。ただ……お前に認められた事だけは、素直に嬉しいと言っておこう」

    「ボクもプロデューサーからの評価はありがたく頂きます。でも、今度は勝ちますからね」

    「いつでもかかってこい。全力で相手してやる」

    「はいっ!」

    「でも、知名度勝負だけは許してくれよ?」

    「もう……締まりませんね」

    「真面目に終わるのって苦手なんだよな……」

    「ですよね。分かってます」

    575 = 1 :

    【バレンタインデー7、事務所】

    「伊織」

    伊織「何?」

    「チョコレートをやろう」

    伊織「へ?あ、ありがと――って何でよ!」

    「それは美希とやったぞ。配りたいから配ってるんだよ」

    伊織「ふぅん……まあ、アンタらしいわね」

    「雪歩も受け取ってくれ」

    雪歩「ありがとうございます。私のもよければ……はい」

    「ありがとう」

    雪歩「伊織ちゃんもどうぞ」

    伊織「ありがと。私もお返ししないとね……はい」

    雪歩「ありがとう」

    576 = 1 :

    「俺には無いのか?」

    伊織「……あげないでもないわ。ほら」

    「ありがとう」

    伊織「ただ、勘違いしないで欲しいんだけど」

    「うん?」

    伊織「それは単なるお返しであって、深い意味はないから。全くないから」

    「分かっている。食べてもいいか?」

    伊織「好きになさい」

    「雪歩は?」

    雪歩「どうぞ。お口に合えばいいんですけど……」

    「そこは心配していない。では頂きます――はむ」

    伊織「……どう?」

    「美味いな。形も整っているし、手間を掛けた事が窺える出来だ」

    雪歩「美味しいね。これ、伊織ちゃんが一人で作ったの?」

    伊織「ええ、そうよ」

    「雪歩のも……これは相当いい抹茶を使っているな?お茶の味がよく際立っている」

    伊織「確かに美味しいわね。口当たりもいいわ」

    雪歩「分かりますか!?抹茶チョコを作る時は、いつもこれを使ってるんですよ!」

    雪歩「これは雑味も少なくてですね、それはもう重宝してるんですぅ!」

    「そ、そうか……こだわりがあるんだな……」

    雪歩「はいっ!」

    577 = 1 :

    伊織「アンタのも食べるわよ?」

    「ああ、どうぞ」

    雪歩「私も頂きます」

    伊織雪歩「あむ……」

    伊織「……美味しいわね。それもかなり」

    雪歩「うん、美味しい……どうやって作ったんですか?」

    「カカオ豆からじっくりと時間を掛けて作った。形にこだわる時間がなくなったのは痛かったが」

    伊織「伊織ちゃんの舌を唸らせるなんて……やるじゃない」

    「当然だ。だが、勘違いするなよ」

    伊織「何がよ?」

    「これはあくまで俺が求めるレベルを満たすよう作ったから出来たのであって、お前に認めて貰おうとかそんなんじゃないからな」

    伊織「そう。なら私だって言っておくけど、アンタに渡したのは全体の一部よ。アンタの分だから特に手間を掛けた訳じゃないわ」

    雪歩「あの……別に意地を張らなくてもいいんじゃ……」

    伊織「じゃあ雪歩はどうなのよ?」

    雪歩「私?私は……皆が美味しく食べてくれたらいいなって思って作ったよ?」

    「ぐっ……」

    伊織「うっ……」

    雪歩「二人とも喜んでくれたみたいだし、嬉しいけど……二人は違うの?」

    P・伊織「それは……そうだけど」

    雪歩「じゃあ、二人とも頑張ったんだって事でいいよね」

    「あ、ああ……」

    伊織「そうね……」

    P・伊織(何か負けた気がする……)

    578 = 1 :

    【バレンタインデー8、居酒屋】

    小鳥「はぁ……」

    「やけに辛気臭いですね。酒の席ですよ?」

    小鳥「とか言われましても……ねぇ?」

    「何が『ねぇ?』なんですか?」

    小鳥「だって、バレンタインですよ?私には縁もゆかりもないじゃないですか」

    「千早とかから貰ったでしょう?ちゃんと縁はあると思いますが」

    小鳥「そうじゃなくて、特定の……ほら、いい人みたいな?」

    「居るんですか?」

    小鳥「居ませんよ!察してください!」

    「そうは言いますけど……音無さんなら、その辺の男にチョコを投げつけても受け取って貰えるのでは?」

    小鳥「どこに投げつける必要があるんですか」

    「勢いが大事って話です」

    小鳥「砕け散れとでも言いたいんですか、あなたは……」

    579 = 1 :

    「それはいいとして、遅くなりましたけど……はい、どうぞ」

    小鳥「ありがとうございます。でも、普通は逆ですよね」

    「いいじゃないですか、楽しければ。皆も喜んで受け取ってくれましたよ」

    小鳥「……まあ、そうですね」

    小鳥「ところで、プロデューサーさん」

    「はい?」

    小鳥「お返しとか……要ります?」

    「貰えるなら嬉しいですよ」

    小鳥「色んな意味でギリギリな義理チョコですよ?」

    「賞味期限ギリギリみたいな言い方はやめてくださいよ。不安になるじゃないですか」

    小鳥「誰が賞味期限ギリギリですか!」

    「……音無さん、酔ってますね?」

    小鳥「酔ってません!で、欲しいんですか?欲しくないんですか!?」

    「貰えるのなら、是非」

    小鳥「そうじゃなくて!」

    「何ですか?」

    小鳥「欲しいって、言ってくださいよぉ……」

    (相当酔ってるのか……仕方ない)

    「……音無さんのチョコが欲しいです」

    小鳥「本当ですか!?じゃあ、はいっ!」

    「ありがとうございます」

    小鳥「よしっ……!これ、一回やってみたかった――すぅ」

    (……酒の席だし、聞かなかった事にしておくか)

    580 = 1 :

    バレンタインデーってこんな感じなんでしょうかね
    このSSはどこに向かっているのやら……

    社長との絡みが見たい、というご意見を頂きましたが
    私自身、社長が何をしてるのかよく分かってないので難しいです。申し訳ありません

    581 :

    おつ

    ことりさんかわいい

    582 :

    乙です

    カカオから作るとかここのPはすげぇな

    583 :

    いいPだなぁ乙

    584 :


    ちはりつってとてもいいと思うんだ

    585 :




    それでどこに行ったら亜美真美のストローチョコがもらえるんだ?

    586 :

    【ひなまつり1、事務所】

    「ただいま戻りました。そして……」

    「よっしゃあぁぁぁ!ひなまつりだぁぁぁ!」

    春香「プロデューサーさん」

    「出遅れた感は否めないが、お雛様を買わなければ!それと、ひなあられも忘れずに!」

    春香「プロデューサーさん」

    「もう甘酒も買っちゃう!これは盛大なパーティになるぞ!」

    春香「プロデューサーさん」

    「どうした春香?ひなまつりが楽しみじゃないのか?」

    春香「それは楽しみですけど、プロデューサーさんは違いますよね?」

    「何の話だ?俺はちゃんと楽しみにして――」

    春香「千早ちゃんの誕生日を祝えなかったから」

    「…………」

    春香「だから、気を紛らわす為に無理矢理テンションを上げてるように見えるんですけど……違いますか?」

    「いえ、合ってます……」

    587 = 1 :

    春香「気落ちするのは分かりますけど、仕方がないじゃないですか。急な出張だったんですから」

    「確かにそうだが、雪歩や貴音の誕生日を祝っておきながらこの体たらく……」

    「もはや千早に合わせる顔がない……大人として立つ瀬もない……」

    「きっと千早も怒っていて、取りつく島もないんだ……ああ、終わった……」

    春香「深刻に考えすぎですって。千早ちゃんは気にしてないと思いますよ?」

    「なっ……!?まさか、千早は俺の事なんてどうでもいいのか……!?」

    「だから誕生日祝いが無くても気にしないと……そういう事なのか!?春香ぁ!」

    ガクガク

    春香「ちがっ……違いますよ!肩を揺するのはやめてください!」

    「す、すまん……つい気が動転して……」

    春香「はぁ……そんなに心配なら、本人に直接訊けばいいじゃないですか」

    「何を?」

    春香「プロデューサーさんの事をどう思っているのか、ですけど」

    「それで『まあ、どうでも、いいですけれど』とか言われたらどう責任を取ってくれるんだ!?」

    春香「あれ?年下の人間に責任を求めるんですか?」

    「うぐっ……」

    588 = 1 :

    春香「まあ、それは置いといて……プロデューサーさんは大袈裟なんですよ」

    「何がだ?」

    春香「だって、千早ちゃんは誕生日をそんなに重要視してないというか……」

    春香「私が『誕生日おめでとう!』って言ったら『え?誰の?』って返してきたんですよ?」

    春香「だから、少し遅れたぐらいで怒るなんてあり得ませんよ」

    「それは……そうかもしれないが……」

    春香「プロデューサーさんだって『自分の誕生日を祝って貰えないから怒る』なんて事はしないでしょう?」

    春香「私達も子供じゃないんですから、もうちょっと信用してくれてもいいんじゃないですか?」

    「春香……」

    春香「もし信用してくれないなら……千早ちゃんも私も傷付いちゃいますよ」

    春香「ああ、私達ってそんなに信用ないんだなって。プロデューサーさんよりはあるのになって」

    「お前は慰めたいのか貶したいのかどっちなんだ!?」

    春香「あれ?ウィットに富んだジョークのつもりだったんですけど……駄目でした?」

    「それで喜ぶのは千早ぐらいだ」

    春香「えぇっ!?酷いですよ!」

    「お前もかなり酷いぞ!?」

    589 = 1 :

    春香「……話が逸れましたね」

    「誰の所為だ」

    春香「とにかく、そういう訳ですから安心してください」

    春香「祝って貰って喜びはしても、それがないからって怒ったり拗ねたりしませんよ」

    「そう……なのか?」

    春香「はい。祝ってくれる気持ちだけで十分嬉しいんですから。少なくとも、私はそうです」

    「……すまないな。気を遣わせてしまって」

    春香「いいんです、これぐらい。でも……」

    「うん?」

    春香「どうせなら『ありがとう』って言って貰える方が嬉しいです」

    「そう、だな……ありがとう、春香」

    春香「えへへ、どういたしましてっ♪」

    590 = 1 :

    【ひなまつり2、事務所前】

    美希「あ、千早さん」

    千早「何?」

    美希「プロデューサー、帰ってきたみたいだよ」

    千早「そう。じゃあ、挨拶に――」

    美希「ちょっと待って」

    千早「どうしたの?」

    美希「あのね。多分だけど、プロデューサーは落ち込んでると思うの」

    千早「落ち込んでる?何かミスをしたの?」

    美希「うん。かなり致命的なミスなの」

    千早「あのプロデューサーが……?正直、考えられないわ」

    591 = 1 :

    美希「まあ、不可抗力なんだけどね」

    千早「よく分からないけど……それを私に言ってどうするの?」

    千早「プロデューサーだって、自分のミスを人に知られるのは嫌でしょう」

    美希「いや、千早さんには伝えておいた方がいいかなって」

    千早「私に……?どうして――はっ!?」

    千早「まさかとは思うけれど、ミスを言いふらして楽しんでる――」

    美希「違うよ!?そういう趣味がある訳じゃないよ!?」

    千早「なら、どうしてこんな……」

    美希「今のプロデューサーはかなりデリケートな状態だから、アドバイスしとこうと思って」

    千早「アドバイス、ね……そもそも、私に関係ある事なの?」

    美希「うん」

    千早「何かしら?」

    美希「千早さんの誕生日を祝えなかった事」

    千早「……そんな事で落ち込んでるの?」

    美希「うーん、祝って貰う側からしたらそうかもしれないけど……」

    美希「もし、千早さんが誰か――例えば春香とか――を祝う立場だったとして、誕生日をすっぽかしたらどう思う?」

    千早「それは……失敗したと思うでしょうね」

    美希「でしょ?まあ、そういう訳だから、正直めんどくさいけど許してあげて欲しいの」

    千早「なるほど……分かったわ」

    592 = 1 :

    千早「ところで」

    美希「ん?」

    千早「事情は分かったけれど……私はどうすればいいのかしら?」

    美希「えっと、プロデューサーの前で『気にしてない』とか言わないようにすればいいと思うよ」

    千早「え?それを言っては駄目なの?」

    美希「うん。これを言うと『別にあなたからのお祝いがなくても気にしません』みたいになっちゃうから」

    千早「そうだったの……じゃあ、『祝って貰いたいです』と言えばいいのかしら?」

    美希「それ、正解だと思う?」

    千早「……いえ、きっと負担を増やすだけになるわね」

    美希「その通りなの」

    千早「あれ?ちょっと待って?これ……」

    美希「うん、詰んでるの」

    千早「えぇっ!?」

    美希「だから……頑張ってね!」

    千早「それだけ!?アドバイスってそれだけなの!?」

    593 = 1 :

    美希「まあ、さっきのは冗談として……」

    千早「あなた、いつからそんな意地悪になったの?」

    美希「さぁ……?分かんないの。原因は分かるけど」

    千早「確かに……原因は分かりやすいわね」

    美希「まあね。で、話を戻すけど」

    千早「ええ」

    美希「こういう場合、代わりになる目標を設けて、相手の達成感を満たす事が大切なの」

    千早「なるほど……それで相手の罪悪感を払拭すると。美希は物知りね」

    美希「――って、プロデューサーが言ってたよ?」

    千早「……何故か汚れた手段に思えてきたわ」

    美希「言っておいて何だけど、ミキもそう思う……」

    千早「はぁ……仕方ないわね」

    美希「千早さん?」

    千早「自分の言葉で接してみるわ。それが一番自然だと思うし……」

    千早「何より、打算的な言葉を貰っても嬉しくないもの」

    美希「そっか……そうだね」

    千早「色々とありがとう、美希」

    美希「どういたしましてなの!あはっ☆」

    594 = 1 :

    【ひなまつり3、事務所】

    千早「ただいま戻りました」

    「あ、千早……おかえり」

    千早「はい。プロデューサーもおかえりなさい」

    「ああ、ただいま……えっと、その……」

    千早「何ですか?」

    「……誕生日を祝えなくてすまなかった!」

    千早「いえ、大丈夫ですよ。仕事だったんですから、私は気にしてません」

    「そうか……」

    千早「はい」

    「……なあ、千早」

    千早「はい?」

    「できれば、その……何か埋め合わせをさせて貰えないか?」

    千早「埋め合わせ、ですか?」

    「勿論、嫌なら断ってくれて構わない。俺の自己満足みたいなものだからな」

    千早「では……一つだけ」

    「聞かせてくれ」

    595 :

    千早「私と買い物に行きませんか?」

    「え……?」

    千早「ですから、買い物です。ひなまつりの準備もしてないようですし」

    「いや、それは分かるんだが……いいのか?そんな簡単な事で」

    千早「駄目ですか?」

    「そんな事はない。しかし、これではお詫びになるかどうか……」

    「もっとこう……絶版になったCDとか、高めのオーディオとかでもいいんだぞ?」

    千早「いえ、いいんです。今は特に欲しい物もありませんし……」

    千早「だから、プロデューサーの時間を貰おうと思います。あなたと居ると、いつも楽しいですから」

    「……千早、少し変わったな」

    千早「ええ。自分でもそう思います」

    「本当にいいのか?俺と買い物に行くだけで」

    千早「はい。最高の贅沢だと思いますよ」

    「そうか……ありがとう」

    千早「どういたしまして。さあ、早く行きましょう」

    「ああ!」

    596 = 1 :

    【ひなまつり4、事務所】

    律子「小鳥さん、プロデューサーを見ませんでしたか?」

    小鳥「プロデューサーさんですか?さっき千早ちゃんと出て行きましたよ」

    律子「千早と?仕事は入ってなかった筈だけど……」

    小鳥「あ、買い物です。ひなまつりの」

    律子「買い物!?出張中に溜まった書類があるのに!?」

    小鳥「まあ、今日ぐらいは許してあげましょうよ。千早ちゃんの誕生日祝いも兼ねてるようですし」

    律子「何をどうしたら買い物が誕生日祝いになるんですか」

    小鳥「そこはほら、人の考え方次第ですよ」

    律子「はぁ……これ、あの人が目を通さないと駄目なやつばっかりなのに……」

    小鳥「プロデューサーさんならすぐ終わりますよ」

    律子「……確かに」

    597 = 1 :

    小鳥「あれ?案外あっさりしてますね?」

    律子「そうですね……ここで愚痴っても仕方ないっていうのと……」

    律子「誕生日を祝い損ねたんだから、邪魔するのは野暮かなっていうのが混ざって……こう、アレな感じです」

    小鳥「アレですか」

    律子「はい、アレです」

    小鳥「それにしても、律子さんは丸くなりましたね」

    律子「ここで『あなたもですよ』と返したら――」

    小鳥「戦争しますか?」

    律子「ってなりますよね」

    小鳥「あんまり聞きたい言葉じゃないですから」

    律子「私に言うのはいいんですか?」

    小鳥「律子さんはまだ若いじゃないですか。私は来たる甘酒の恐怖に怯えてるんですよ?」

    律子「自制しましょうよ」

    小鳥「自制か……あいつは死んだよ……」

    律子「今日は体重計が生き生きしますね」

    小鳥「あー酷い!律子さんだって、いつかこの恐怖を味わうんですからね!」

    律子「でも今は?」

    小鳥「甘酒を味わいます♪」

    律子「まったく……どうなっても知りませんからね」

    598 = 1 :

    訂正します

    律子「誕生日を祝い損ねたんだから、邪魔するのは野暮かなっていうのが混ざって……こう、アレな感じです」

    律子「お祝いの邪魔をするのは野暮かなっていうのが混ざって……こう、アレな感じです」

    599 :

    美希がすごく使える良い子で可愛い

    600 :

    ミキミキは優しいいい子だからね


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