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    元スレ垣根「女…だと…」一方通行「…もォ開き直る」

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    タグ : - 垣根「女になって + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    351 = 1 :




    百合子「……別にもォ怒ってねェよ」



    一瞬丸くなった目を、それから彼も悪戯っぽく細める。

    垣根「………そうか」

    百合子「…ふ、」

    垣根「はは」

    百合子「まったく…」


    肩を揺らしてくつくつとくぐもった笑いを溢す一方通行の表情は、かつて垣根が思い描いていた最凶最悪の第一位というイメージから既に遠くかけ離れている。

    垣根「あ。なあなあ、一個言ってみたい台詞あるんだけど言っていい?言っていい?」

    百合子「本当に安定のウザさだなオマエ。……なンだよ」

    垣根「お前笑ってる方が可愛いよ」

    百合子「…………15点」

    垣根「ちくしょう」

    百合子「クサい、寒い、キモい、垣根、以上の要素から厳密に採点した正当な評価だ」

    垣根「ねえ、だからなんで俺ってだけでマイナス評価に繋がんの?イジメ?イジメなの?」

    百合子「日頃の行いを省みてまだそれ言えンなら大物だわ。前も言ったが本当にキメ顔似合わねェなオマエ」

    垣根「とかなんとか言うのはただの照れ隠しで実はちょっとときめいたんだろ?ん?
    笑わないから正直にお兄さんに言ってみ?」

    百合子「それはない」スッパリ

    垣根「即答速攻大否定かよ」

    百合子「そンなことより全然食い足りねェンだが」グー

    垣根「お前その身体の割によく食うよな…。あー、またどっか入るか?」

    百合子「結局同じこと繰り返すよォな気がすンな…」

    垣根「……迷惑かかるのは店にだからなあ」

    百合子「つゥか別に帰りゃちょうど飯時だからいいンだけどよォ」

    垣根「あ、それはダメだ。お前だけ黄泉川お姉さんの手料理食うとかムカつくわ」

    百合子「オマエも来りゃイイだろ」

    垣根「………流石に今日行く勇気はねえ」

    百合子「クソガキが鬼の形相で怒ってやがったぞ」

    垣根「マジすんませんっした」

    百合子「まァアイツなら菓子の一つでもやっときゃコロッと機嫌直すだろ」

    垣根「なるほどその手が……。よし、ちょっと待ってろ。そこのコンビニ行ってくる」クルッ

    百合子「コーヒー」

    垣根「はいはい分かってる……って、あ。ダメだ。やっぱ今から行くの無理だわ」

    百合子「あン?」

    垣根「洗濯物干しっぱなしなの忘れてた」

    百合子「………家事するオマエって似合わなさ過ぎて気持ち悪ィな」

    352 = 1 :


    垣根「仕方ねえだろ一人暮らしなんだから…。まあいいや、とりあえずこの場はお前も道連れだ。
    満腹まで食わせて帰して家族団欒の夕食の風景から疎外させてやるよ」

    百合子「また地味過ぎる嫌がらせだなァオイ」

    垣根「なんとでも言え。お前肉まんでいい?」

    百合子「食えりゃなンでもイイ」

    垣根「んじゃちっと待ってろ」

    百合子「ン」



    道路を横切り斜め向かいのコンビニに入っていく垣根の後ろ姿を横目で見送り、一方通行は近くのバス停のベンチに適当に腰かける。

    百合子「……なンなンだかねェ…」

    お世辞にも気が長いとは言えない自分たちには火が点くのも早いが、どうやら同じく空気が緩んでいくのも早いらしい。


    黄泉川や芳川に対して自分が子供のように安心して身を預けてしまうことを一方通行は知っている。

    そして打ち止めや番外個体に対しては、上手くいっているかどうかは分からないながらも親のように接しようとしていることを自覚している。

    しかし垣根に対してはそのどちらとも違う。

    前に打ち止めに、垣根といる時のあなたは年相応で砕けていると言われたが。

    そう、確かにこんな風に上も下もなく互いに歯に衣着せぬ物言いが出来るこの感じも。

    なんだか、悪くない。







    353 :



    ~~~

    垣根「ほら、お前の分」ポスッ

    百合子「……どォも」

    垣根「えっ…まさか一方通行の口からそんな感謝の台詞が出るなんて…」

    百合子「ぶち殺すぞ」

    垣根「……まあ二言めにはそうなるとこがお前らしいっちゃらしいな」

    百合子「ふン」ガサガサ

    垣根「ていうかやっぱ『いちごおでんまん』ってやつ売られてたんだけど何あれ。実は流行ってんの?」

    百合子「物好きもいるもンだな」

    垣根「ところで“まん”ってエロいよな」

    百合子「………オマエのその唐突に何でも無理矢理下ネタに持っていく特技にはいっそ敬服するわ」

    垣根「いやいや、それほどでも」

    百合子「突っ込まねェぞ」

    垣根「突っ込むとかエロ…」

    百合子「黙って食え」

    垣根「ハイ」

    百合子「ったく…」


    百合子「オマエと喋ってると……ホントに、飽きねェよ」

    垣根「え~?……なんだ、やっぱお前も下ネタ好きなんじゃん。
    だよなー、前々からむっつりっぽいと思ってたわ」

    百合子「そォいう意味じゃねェよ!!オマエいい加減ガチで息の根止めンぞ!?」

    垣根「だから冗談だっつーのに…。分かってるって、つまりあれだろ?
    今のはお前なりのデレだという解釈でいいんだろ?」モグモグ

    百合子「………もォそれでいいわ。本当に面倒臭ェなコイツ」

    垣根「うおっ」

    百合子「あ?」

    垣根「やべえ……このピザまん超美味ぇ。なんだこれ、めちゃくちゃ当たりじゃねえか…」モグモグ

    百合子「……」

    垣根「うわやっべえ、コンビニ舐めてた。絶対また買うわこれ」

    百合子「………」ジッ

    垣根「……で、その物欲しそうな目線はなんだ?」

    百合子「……はァ?」

    百合子「なにが?見てませンし全然見てませンしィ?
    こっちの肉まンのが全然美味いンですけどォ」モグモグモグ

    354 = 1 :


    垣根「死ぬほど分かりやすい百合子ちゃんにちょっとだけときめいたから一口やるよ。ほら」

    百合子「……」

    垣根「要らねえならいいけど」ヒョイ

    百合子「ばか、ばァーーか!!」ガシッ

    垣根「ぶはっwww」

    百合子「………うっぜェ」

    垣根「はいはい。一口な」スッ

    百合子「…………アリガトウ」

    垣根「あ、今のなんか可愛かった。もっかい言ってみ?もうちょい声高めに舌足らずな感じで」

    百合子「死ね」

    垣根「だからなんでそうなるんだよ」

    百合子「…うるせェ」モグモグ

    垣根「照れてる百合子ちゃん可愛…」

    百合子「」カチッ

    垣根「ごめんなさい」


    355 = 1 :

    ここまでです、続きは出来れば明日か明後日に

    ではまた

    356 :


    百合子たんマジ天使

    357 :

    乙乙
    なんだかんだ仲良くなっていってんの超かわいいな
    あとケンカしてんのもかわいいな

    358 :


    ケンカっつーかもうこれ普通にイチャついてるよな垣根もげろ

    359 :

    もうここまで来ると砂糖菓子のようだな

    360 = 1 :

    やっwwべえwwwwwwたった今気付いたけど基本学園都市って子供たち親元離れて暮らしてるじゃんwwwwww
    なのに家族連れたくさんいるとかあり得ねえじゃんwwwwww自分wwwwwwバカスwwwwwwww










    ごめんなさい

    361 :

    私はいっこうに構わんッッ

    362 :

    こまけぇこたぁいいんだよ!!

    363 :

    くそ!チャラチャライチャラしやがって!

    364 :

    くっそ、垣根がかわいいとかww
    しかし百合子超かわいいww
    一位と二位マジ天使な

    365 :

    おつおつ
    2人ともかーわいいーー

    366 :

    乙です!
    垣百合最高

    367 :

    百合子ちゃんが垣根の毒牙にかかるのも時間の問題か

    369 :


    百合子「オマエは本当に何一つ学ばねェな」

    垣根「いやだってお前なんだかんだ甘いし。多少からかい過ぎても最終的にこうして許してくれるじゃん」

    百合子「多少どころじゃねェだろォが。
    あンま舐めてっとマジでうっかり手が滑ってオマエの耳からその腐った脳ミソ引きずり出しちまわねェ保障はねェぞ?」

    垣根「そっちも散々俺のことコケにしてんだからイーブンだろ。まーどっちにしろお前はもう俺のことどうこう出来ねえよ。
    お嬢ちゃんたちが望まない云々抜きにして既に個人的に情がわいてんのがバレバレだ」

    百合子「……オマエのそォいうとこに腹が立つっつってンだよ。その根拠のねェ自信は一体どこから湧いてくンだこのナルキッソス野郎が」

    垣根「根拠?そんなもんいくらでもあるだろ。お前見てれば分かる」

    百合子「………買い被ってンじゃねェぞ。俺は善人でもなンでもねェンだよ、本気でブチ切れたら自分でも何するか分からねェ。
    そンだけの力持った人間兵器の化け物だ、オマエも身をもって知ってるだろォが。第一今まで俺が――」

    垣根「だーからそうやってすぐぐずぐず言うのやめろっつってんだろマジで腹立つな。あれか、悲劇のヒロイン気取りか」

    百合子「…………」

    垣根「………そんなマジにヘコむなよ。ゾクゾクきちまうだろうが」

    百合子「……オマエは本当になンなンだよ…」


    貶しているのかなんなのか。よく分からない言い草に混乱して一方通行は深く力ないため息を吐く。

    対してその胸中をまるごと見抜いているとでも言わんばかりの人を食った表情で、垣根は片手のペットボトルに口を付けながらだらりとベンチに深く背を預けている。

    370 = 1 :


    垣根「んー、あれだろ?お前はどっかで誰かが自分の懐に入ってくんの怖がってんだろ?
    自分みてえな奴がヘラヘラ浮かれてフツーの人間ぽく他人と遊んだりすんのに罪悪感があるんじゃねえのか」

    百合子「……そ、それは」

    垣根「図星か。うわー、まさに厨二ど真ん中じゃねえか。恥ずかしい奴だな」

    百合子「うぐっ…!」グサッ

    垣根「そういうのなんていうか知ってるか?自意識過剰っつーんだよ。俺よりお前のがよっぽどナルシストじゃねーか」

    百合子「ぐう…っ!!」グサグサッ

    垣根「自分で自分のこと悪く言ってりゃそりゃ楽だわな。正直俺にもそういうとこあるからお前のこと言えた義理じゃねえが…。
    でも結局そんなの所詮テメェに酔ってるだけの一人遊びの域を出てねえんだよ。自慰だ、オナニーだ、まごうことなきマスターベーションだ」

    百合子「…………」ズーン



    ズバッともっとも自身を傷つけてくる言葉の散弾銃が一方通行の心臓を正確にぶち抜いてくる。

    周りに恐れられ、距離を置かれ、常に顔色を窺われていた自分に情け容赦なくそんな台詞を言ってのける垣根に明らかな敗北感と共にズキズキと痛む胸を押さえる。

    ……なのに、何故か同時にそこに抱く感情は決して嫌悪ではない。
    いや、容赦がないからこそ新鮮ですらある。

    空々しい世辞で持ち上げられてくる相手より正確に痛いところを突いてくる相手の方が大抵において信頼を置けるように。

    どこかである種ほっとしているのかもしれない。

    揃いも揃ってお人好しな家族たちはあまりに優し過ぎる。

    特に打ち止めは一方通行への人物像を過剰なまでに美化している節がある。

    その手放しな信頼と甘えは一方通行にとってこの世で一番大切なものであり、事実それに何度も癒され救われてきた。

    加えて最近は妹達の自分に対する態度も少しずつ柔らかくなってきているような気がする。

    ※それはただの勘違いで今でもミサカネットワーク内では一部例外を除いて常に散々にこき下ろされています


    371 = 1 :


    ……とにかく、そんな風に身近にきつく断罪してくる相手が少ないことは、一方通行に限りなく暖かいものを与えてくれると同時に、本当にこれでいいのだろうかという不安をも抱かせる。

    垣根があっさり黄泉川に許されてしまったことで逆に打ちのめされたと言ったように、一方通行自身もまた穏やかな日常の中で自分の贖罪を忘れてしまいそうになる。

    だからこそその都度反射的に自分を卑下することでそれを忘れないように、何度も反復して己に刷り込むことで自分の本性、過去が薄れないようにしようとしている。

    けれどもそんなやり方はただ後ろ向きなだけで、本気で心配してくれる家族たちに言えば確実に強烈なビンタが返ってくるであろうことだということもよくよく分かっている。

    垣根の鋭い言葉は逃げ場を奪ってくる。もっともキツい指摘であるからこそ、きっと誰かにずっと言って欲しかった。

    否定でも肯定でもなく、悪意でも善意でもなく。

    突き放しているようで受け入れてくるような、そんな垣根の言い方に喜んでいる……のだろうか。

    しかし傷つけられて内心喜ぶというのは……



    百合子(…………まさか俺Mなンじゃ…。い、いや。違う違う違うそれはない、違う)

    一瞬よぎった不吉過ぎる考えに青くなった顔をぶんぶん振る。


    垣根「なあ、一つ聞きてえんだけどよ」

    百合子「あ、あァ?」

    垣根「お前は俺といてつまんねーか?」

    百合子「………別に……つまらなくはねェ…よ」

    垣根「そうか」

    百合子「……」

    垣根「……」

    百合子「……何が言いてェンだよ」

    垣根「つまりあれだ。前も似たようなこと言った気がするが……本当に俺がこんな風に対等に気兼ねなく話せる相手ってのはお前が初めてなんだよ」

    百合子「ふ……ン」

    372 = 1 :


    垣根「だから刷り込み効果で実際以上にお前のこと過大評価してんのかもしれねえけど……それでも俺はお前と知り合えてよかったと思ってるよ」

    百合子「………そォか」

    垣根「おう。あ、ちなみに一応ちゃんと言っとくとこれは俺のデレだからな?有り難く受け取っとけ」

    百合子「……ああそォ…。有り難過ぎて頭痛くなってくるわ」


    ふざけているとしか思えない正直過ぎる告白に半ば呆れ、半ば羨ましさを感じ一方通行は適当な返事を返す。

    どうにもこの男と話していると悩んでいることが馬鹿らしくなってくる。

    そんな彼女の心の内を知ってか知らずか垣根はどこか飄々とした、いまいち読み取ることの出来ない表情のままコキコキと首を鳴らす。

    垣根「にしてもなんかあれだな。お前めちゃくちゃ気ぃ強くて口汚ぇのに実は打たれ弱いよな」

    百合子「はァ?だ、誰が…」

    垣根「いや、いくらお前が否定したところで事実だから。見た目とボキャブラリーだけじゃなく中身まで貧弱とかどんだけだよ、三重苦じゃねえか。
    こんなんに負けたとか信じたくねえんだけど」

    百合子「…………なァ、オマエやっぱ喧嘩売ってンだろ」

    垣根「違う違う。なんつうの、そういうギャップみてえのもいいんじゃねえのってハナシ。
    まあもし狙ってやってんだとしたらあざといけど」

    百合子「なンで俺がンなギャップ狙わなきゃなンねェンだよ!!」

    垣根「つまり素でそれなわけだ。いいじゃねえか、俺はお前のそういうとこ素直にいいと思ってんだよ」

    百合子「……」

    垣根「あとそうやってすぐ照れるとこもな」

    百合子「照れてねェ!!!!」

    垣根「んでさらにそれを誤魔化すためにキレるとこもまあ面倒臭ぇけど嫌いではねーよ」

    百合子「………………」

    垣根「言ったろが、もうお前の性格は大体把握してきてんだよ。自分で思ってるより単純だぞお前」

    百合子「………オマエは時々妙に鋭いこと言ってきやがるよな。ムカつくわ」チッ

    373 = 1 :


    垣根「これでもスクールのリーダー張ってたんだ。そこら辺の洞察力については自信がある」

    百合子「自慢かよ」

    垣根「自慢になるのかねえ。まあ一応長所ってことにしとくか」

    百合子「……」


    軽い調子でそう言い、コンビニのピザまんを頬張る垣根の横顔を一方通行は静かに覗く。

    何を考えているのか、実にくだらないことばかりぺらぺら饒舌によく喋るこの男のペースにはいつでもいつの間にか巻き込まれてしまう。

    緩やかな誘導尋問にかけられて、気が付けば本音を晒させられている。

    この手練手管は一体なんなのだろう。

    心の底に近いところまで暴かれて、けれど無理矢理抉じ開けてくるわけでもなく。

    生き抜くために身につけた知恵なのか、それとも生まれ持った性質なのか。見極めることは難しい。

    それにどちらにせよそれは大した問題ではない。

    かつて一方通行は垣根帝督という人間が暗部に星の数ほどある悲劇の一つに触れて壊れたのだろうと推測した。そして事実それはその通りなのだろう。

    しかし少なくとも今隣に座っている人物はとてもそんな風には見えない。

    実際死にかけてネジがふっ飛んだのか、以前のピリピリと憎悪を纏った姿からは考えられないほどにただの馬鹿になっているのは確かではあるが。

    それでも垣根にも思うところはあるのだろう。

    けれどそれをまるで悟らせない実に暢気そうな横顔は、それこそが彼の強さなのだろうと一方通行は思う。

    こんなにも普通の――いや限りなく自分をイラッとさせる不遜な性格を持ち合わせてはいるが――
    そんな本来は明るい人好きのするタイプの少年をそこまで徹底的に地の底へと叩き落とした悲劇というのは一体なんだったのだろう。

    少しだけ気になって、けれどそれについて今更言及するのは酷く不粋なことに違いないと思い直す。

    今が幸せだとはっきりそう言い切れる彼にそんな些末なことを聞く必要はない。

    374 = 1 :


    なにより、そんな深くまで踏み込めるような関係じゃない。

    そこまで考えてふと思う。



    だとしたら自分たちの関係は一体何なのだろう。



    家族、では勿論ない。敵、というのももはや過去のことだ。

    仕事の同僚でもなければ仲間というのも当然ズレている。

    曖昧な、よく分からないこの関係を上手く定義付けるには。


    少しの間考えあぐねて、それからふっと頭に一つの単語が浮かぶ。

    しかしその瞬間この場で蹲って身悶えてしまいたくなるような気恥ずかしさが込み上げて、それはすぐに打ち消した。

    誤魔化すようにゴクゴクと甘味の一切ない苦い缶コーヒーを喉に流し込む。

    するとそんな一方通行を見て呆れとも感心ともつかない顔で垣根が率直な感想を洩らす。

    垣根「……お前本当にコーヒー好きなのな」

    百合子「……美味いだろォが」

    垣根「まあコーヒー自体は美味いとは思うがわざわざブラックで飲む利点が何一つ思い浮かばねえ」

    百合子「……オマエはたった今全世界のブラック好きを敵に回した。土下座して謝罪しろ」

    垣根「すーんませーん」

    百合子「あァ、やっぱオマエは死ぬべきだわ」

    垣根「死ねって言われると生きたくなるよな。特にお前に言われると死ぬほど生きたくなるわ」

    百合子「だから言ってること矛盾してンだろ」

    垣根「お前本当に可愛くねーのな。一周回って逆に可愛く見えるわ。百合子ちゃん超可愛…」

    百合子「オマエとりあえずその手の台詞言っときゃ俺のことイジれると思ってンだろ。もォネタは割れてンだよ」ジロ

    垣根「あ、バレた?」

    百合子「こっちもオマエの性格は掴ンできてンだよボケ。第一位の頭脳舐めンな」

    垣根「いやいや。なんかこうお前が焦ってるとこ見ると嗜虐心くすぐられるというか……子供が好きな子苛めちゃうみたいな感じ?」

    百合子「自分で言ってりゃ世話ねェな。軟派なのは見た目だけにしとけチャラ男が」

    垣根「頭堅いなお前」

    百合子「柔らか過ぎて豆腐レベルのオマエよりゃマシだ」

    375 = 1 :


    垣根「だからそうやって憎まれ口叩くとこも嫌いじゃねーつってんだろ墓穴なんだよ。
    いちいち可愛い反論してんなよ、惚れちまうぞ」

    百合子「………」

    垣根「………やっぱ照れてんじゃん」

    百合子「死ねよ」

    垣根「なるほど一方通行は不意打ち系に弱いわけか。よし、覚えた」

    百合子「死ねよ」

    垣根「お前意外と乙女(笑)なのな。そんなんでもやっぱ女のk…」

    百合子「死ねよ」

    垣根「分かった分かった、まあこれくらいにしとくって。やり過ぎてまたお前の機嫌損ねんの怖いし」

    百合子「……本当に自分に正直だなオマエは」

    垣根「お前頑固だしバランス取れてていいだろ」

    百合子「はン、クソガキが俺たちのこと似てるだのなンだの言ってたのは大外れだったな」

    垣根「そうか?お嬢ちゃん相当鋭いなと今になって思ってるけど」

    百合子「どォ贔屓目に見ても俺とオマエは正反対だろが。
    つゥかオマエと似てるとか気持ち悪過ぎて吐き気催すわ」

    垣根「気が合ってなきゃそもそもこんな風に並んでくっちゃべってる光景自体実現してねーだろ。
    ていうかさっきお前から俺と喋ってると飽きないとかデレ発言したくせに今更何言ってんの?」

    百合子「…………あれは失言だ」

    垣根「素直じゃねえなあ」

    百合子「言ってろ」






    ――――――
    ――――
    ――

    376 = 1 :

    ここまでです

    ほんと設定とかの凡ミスは多いわ投下するする詐欺だわで申し訳ない
    相変わらずのノロノロ進行だけどよかったらまた気が向いた時にでもこのスレ覗きにきて下さい

    ではまた

    378 :


    おいおい仲良しすぎて全俺が悶え転げてるんだけどどうしたらいいですか

    379 :



    もうだめだ悶える
    垣根に陥落しかけてる百合子マジ天使

    380 :

    木原くゥゥウン!娘さんにホストっぽい男の毒牙が迫ってるよ!
    百合子たんは俺がぺろぺろしとくのでその隙にあいつを!!

    381 :

    >>380
    待て! そんな血液逆流されるかもしれないリスクをお前だけに背負わせるわけにはいかない!
    俺もぺろぺろするぜ!

    382 :



    照れてる百合にゃんも可愛いなぁ

    383 :

    なんというツンデレカップル……上条さんにそげぶって貰わないと……

    384 :

    乙だぜ
    これどっからどう見ても仲の良い友達だよな

    385 :







    垣根「よし、んじゃそろそろ帰るか」ガタッ

    百合子「……おォ」ガタッ

    垣根「腹の方は膨れたか?」

    百合子「むしろ食い過ぎた」ウプ

    垣根「調子こいて俺のまで食うからだ。まあいい、これで当初の目的は達成した」

    百合子「夕食から俺だけ疎外させるってやつか?みみっちい野郎だな」

    垣根「お前に一人暮らしの寂しさが分かってたまるかってんだ」ケッ

    百合子「俺も前は一人で暮らしてたがな。……まァオマエの場合そっちの方がイイだろ」

    垣根「うん?」

    百合子「好きな時に好きなだけ人目気にせず自家発電に励めるじゃねェか」

    垣根「…………お前いい加減その口の汚さなんとかしろ、普通の男ならドン引きだぞ。女の子がそんな下品なこと言うんじゃありません」

    百合子「オマエ散々俺に下ネタ振ってきといてよく言えンな。そンな見た目だけカッコつけてる暇あったらもっと内面磨けボケ」

    垣根「お前の方こそただでさえ色気もクソもねー体型してんだからちょっとは恥じらい持った振る舞いの一つでもしてみろ、なんだかんだ男は大和撫子に弱いんだよ」

    百合子「……」

    垣根「……」


    百合子「っふww」

    垣根「く、くく…っww」

    百合子「あは、」

    垣根「ははは。……なんだかなあ」

    百合子「まったく、オマエのせいで俺ン中のいろンなモンが崩れちまった」

    垣根「俺の『おかけで』だろ?」

    百合子「……そォかもな」

    垣根「あらやだ素直」

    百合子「なンでカマ言葉なンだよ…。マジでキモいなオマエ」

    垣根「お前はそろそろキモいウザい死ね以外の言葉覚えろ、メシ風呂寝るしか言わねえ中年のおっさんか」

    百合子「絶妙にイラッとする例えすンなうぜェ死ね」

    垣根「………駄目だこいつ。まあ、んじゃ本当にそろそろ帰るか。あんまりずっとお前独占してるとお嬢ちゃんたちに恨まれるしな。
    ああそうそう、この菓子ちゃんとあの子らに渡しといてくれよ?」ガサッ

    百合子「ン、」


    386 :


    垣根「あー、今から帰っていろいろすんの面倒臭ぇな。マジで通い妻してくれる彼女出来ねえかな~」スタスタ

    垣根「手料理とかさー、愛情たっぷりの」スタスタ

    垣根「もういっそお前ん家住みた………一方通行?」ピタ


    すたすたと先に歩き出した垣根は何故か返ってこない反応に首を傾げるとぴたりとその足を止めた。

    振り向くとベンチの前で一方通行はぼんやりと突っ立ったまま黙っている。

    垣根「どうした、置いてくぞ。つってもまあすぐ別れるけど」

    百合子「……あァ」カツカツ

    声をかけたところでようやく彼女は返事を返し歩き出す。けれどどこかその様子はおかしい。

    垣根「?なんだよ」

    百合子「いや、別に」カツカツ

    垣根「……」

    百合子「……」カツカツ

    垣根「嘘だろ。お前のそういう時はなんか言いてえ時だ」

    百合子「」ピタ


    百合子「いや。ホントに大したことじゃねェ」

    垣根「なら言えんだろ」

    百合子「や、やっぱ大したことじゃねェこともない」

    垣根「ああ?……随分回りくどい言い方しやがる。勿体振ると逆にハードル上がんぞ?」

    百合子「……やっぱりなンでもねェ」

    垣根「なんだそりゃ…。ほらさっさと言わねーと俺は気ぃ長くねえんだから待たねーぞ。
    三秒以内だ、それ以上経ったらスルーする。ハイ、さーん、にーー……」

    百合子「だ、だから!!」

    垣根「おう」

    百合子「……だから……その、結論つゥか今日改めて思ったつゥか…」ボソボソ

    垣根「はあ?」

    百合子「オマエは、」

    垣根「……」

    百合子「オマエは……」











    百合子「オマエは馬鹿でチャラくて口軽くて自信過剰で馬鹿で変態で酒乱ですぐ調子に乗る馬鹿で人おちょくンの上手いクソうぜェホストもどきなチンピラ面のどうしようもねェ馬鹿だ」

    垣根「おい」

    百合子「あと馬鹿で死ぬほど馬鹿で物凄ェ馬鹿だ」

    387 = 1 :


    垣根「……七回も馬鹿って言いやがったこいつ…。
    テメェ女だと思って俺が手ぇ出さないと思ったら大間違いだからな?一回マジでぶん殴るぞ?」ピキピキ

    百合子「でも根っから腐った奴でもねェ」

    垣根「……」

    百合子「まァ、善人でもなンでもねェ俺が言えたような台詞でもねェが」

    垣根「………相変わらず卑屈だなテメェは」

    百合子「俺もオマエも人殺しだ。その枷だけは外せねェ。泥ン中顔突っ込ンでる点においては何も変わらない」

    垣根「……。ああ、そうだ」

    百合子「だがオマエが言ったように、俺がテメェに酔って自分を卑下して気持ちよく自己陶酔に浸ろうとすンのは……ただの逃げだ」

    百合子「それに俺がそォいうことするとギャンギャン泣き喚いて止めてきやがるガキ共もいる。だから時間がかかっても……ちゃンとこの癖は、直す」

    垣根「……そうか」

    百合子「あァ」

    垣根「お前ホント厨二臭い台詞吐くの好きだな…」ハァ

    百合子「うる、うるっっっせェな!オマエも人のこと言えねェだろォが!!」ガァッ!

    垣根「はいはい。……まったくお前は恵まれてるよ」

    百合子「……自分でもそォ思う」

    垣根「ノロケやがって。羨ましい限りだ、ったく」

    百合子「―――それで、」

    垣根「ん?」

    百合子「だから……そォいうオマエが指摘してきた欠点とかは直すから…」


    百合子「これからも普通にそこらの奴みたく!!オマエと遊ンだりしてェ…………つゥか…」ボソッ

    垣根「……………、お前今日デレ過ぎじゃね?キャラぶっ壊れてんじゃねえか」

    百合子「うるせェェェ!!全部オマエのせいだ!全部、全部全部全部!!!!」

    垣根「うん」

    百合子「―――――」



    百合子「それで、結局、遠回しになったが……つまり一番言いてェのは…」

    垣根(あ、まだ続きあんのか)

    388 = 1 :




    一方通行は迷っていた。

    口に出すべきか出さぬべきか。でも今を逃したらもう絶対に言えない気がして、別に言わなくてもいいのかもしれないけれど言ってみたくて何度もパクパクと口を開けては閉じる。

    そして最後に、自分のプライドに負けて切り出した。


    百合子「俺と、その…………………と、」

    垣根「と?」

    百合子「と、とも……」

    垣根「……あ」

    百合子「……」カァー

    垣根「あ、あー…」

    百合子「……」マッカ

    垣根「……」

    百合子「や、やっぱイイ。やっぱこォいうのいらねェ」プイ

    垣根「……いや。いやいやいやここまできてそれはねえだろ」

    百合子「知らねェよ!……こンなン、今まで知らなかったンだよ…クソ」

    垣根「俺もだよ」

    百合子「……」

    垣根「俺もだから……そうだな。ここまでお前がお膳立てしてくれたんだしあとは俺に言わせてくれ」

    百合子「……ン」

    垣根「つまり……あー…」






    垣根「改めて―――俺と友達になってくれ」

    百合子「………………うン」



    389 = 1 :



    垣根「……」

    百合子「……」


    垣根「え、なにこれ羞恥プレイ?恥ずかし過ぎるんだけど」

    百合子「……心配すンな。俺もだ」

    垣根「そうか」

    百合子「そォだ」

    垣根「……普通ならわざわざこんなこと言う必要ねえのかな」

    百合子「だせェな。俺もオマエも」

    垣根「本当にな。こんな当たり前のことも上手く出来ない」

    百合子「でも、」

    垣根「うん。まあとりあえず」スッ

    百合子「あ…」

    垣根「これからもよろしくってことで」ギュッ

    百合子「…………おゥ」ギュッ




    さっきは頭に浮かんだ瞬間、気恥ずかし過ぎて、自分には過ぎたもののような気がして打ち消してしまった気持ちを、ちゃんと形に出来た。

    普通の子供たちとは違うところにいた、ほんの少し……大分ひねくれてしまった大きな子供たちの、これはほんのささいな話。

    とても綺麗とはいえない歪な線と線が交差した、つまりただそれだけの話。

    ともすれば陳腐で青臭過ぎて苦笑いが溢れそうな、とるに足りない出来事。


    390 = 1 :

    もっと区切りのいいとこまで投下したかったけどちょっとここまで

    今日中にはもう一回来たい……とりあえずおやすみなさい

    392 :

    乙華麗!
    この進展の遅さが素晴らしいwww

    393 :

    乙乙!
    やべぇ萌死んじまうwwww

    394 :



    萌えすぎ泣いた

    395 :

    乙乙!!
    もーなんか最高だな!
    続きが楽しみで仕方がない

    396 :

    まずは友達からですね

    397 :

    おつ!
    読んでるこっちが恥ずかし過ぎてヤバいww
    次も楽しみにしてます

    398 :


    ~~~



    街灯に照らされて二つの影が並ぶ。

    くっついても離れてもいない、少し間隔を空けて隣同士並んだその影はゆっくりゆっくりと薄暗い舗道を歩く。

    お互い慣れないことを言ってしまった余韻か、少しシンとした静かな空気が二人の間にまとわりついている。

    その余韻に浸れるほど大人にはなりきれていない一方通行は頭の中で必死に会話の糸口を手繰り寄せた。

    こういう時に自身の明晰と言われる頭脳はいかに役に立たないか思い知る。





    百合子「……昔」

    百合子「まだ俺がクソガキと変わンねェくらいの見た目と中身だった頃……俺はただちょっと突っかかってきただけの相手の腕を折ったことがある」

    垣根「ああ」

    百合子「触れただけでソイツの腕が小枝みてェに折れて俺の方は何一つ傷を負わなかった」

    垣根「俺も変わんねーよ。同じようなことは何度もやった」

    百合子「……根本的なところで似てる、か」

    垣根「お嬢ちゃんの言ってた意味はそういうことじゃねえだろうけどな。それに別にそれは同情されるようなことでも何でもない」

    垣根「こんな力さえなければ、なんてのは希望的観測に過ぎねえしその力を私欲のために使ってきたのは事実だ」

    百合子「あァ」

    垣根「外道がちょっといいことしたらすげえ美化されるけど実際は最初から真面目に堅実に正直に生きてきた奴の方がよっぽどまともで立派だもんな」

    百合子「そォだな」

    百合子「だが、」


    あっという間に反対方向に別れる道に差し掛かり、一方通行はひと足先にその杖を止める。

    百合子「だが俺はオマエと傷舐め合う気はさらさらねェ。……だからオマエは今まで通り全力で俺のこと馬鹿にしてろ。こっちも全力でやり返してやンよ」

    垣根「……随分的外れなこと言いやがる。俺だってお前の傷なんて頼まれたって舐める気ねーよ。どうせ舐めるなら美人の裸がいい。ていうかむしろ俺のを舐めて欲しい」

    百合子「…………オマエはホンッットいちいち下ネタに走りやがるな」

    垣根「シリアスは性に合わねえんだよ。こっちの方が俺らしいだろ?」

    百合子「ったく、馬鹿が」

    399 = 1 :


    垣根「ああ、でもなんかあったらいつでも好きな時に言えよ?なんなら俺の胸で泣いてもいいぞ。ほら飛び込んでこい。
    あ、やべえ。この台詞も一度言ってみたかった。お前に言ってもしょうがねえけど」

    百合子「口が減らねェってまさしくオマエのためにある言葉だな。オマエの胸に飛び込むくらいならコンクリ抱いて地中海に飛び込むわ」

    垣根「口が減らねえのはどっちだよ。ああ言えばすぐこう言いやがって」

    百合子「……でもそォいうとこも嫌いじゃねェンだろ?」

    垣根「……おっと、そう反撃してきたか。そうだな。そういうとこも嫌いじゃねえよ?」

    百合子「チッ、キザ野郎が」

    垣根「まー実際話聞くだけならタダだしな」

    百合子「オマエ金持ってるくせにそォいうとこセコいな。ケチ臭ェ男はモテねェぞ?」

    垣根「それは暗にこれからもなんか奢れって言ってんのか?」

    百合子「そォいうことだ」

    垣根「お前は本気で一回その傲岸不遜を地で行く性格を矯正するべきだな」

    百合子「何言ってンだ?」

    垣根「あん?」

    百合子「……こっちの方が俺らしいだろ?」

    垣根「……ちくしょう、一本取られた」

    百合子「バーカ」



    百合子「まァ、そォいうバカは嫌いじゃねェよ」

    垣根「…………マジでお前今日デレのオンパレードだな。よし、後でワーストちゃんに一方通行が垣根大好き☆って言ってたってメールしとく」

    百合子「よし、殺す」

    垣根「ウソウソ。しないしない」

    百合子「信用ならねェンだよオマエだけは!軽薄が服来て歩いてるよォなモンだろォが、っつゥか好きとは言ってねェ!!」

    垣根「大丈夫だって。本当にしないから」

    百合子「…………、」


    百合子「『信じる』ぞ」

    垣根「……おう。『信じろ』」


    「じゃあな」

    「じゃあな」


    400 = 1 :



    一度止めた足を、再び一方通行は一歩踏み出す。


    垣根「……ああ、一方通行」

    百合子「あァ?」

    背を向けたまま顔だけ向き直った彼女は、そこで歩き出したと思った垣根がその場でだらしなくポケットに手を突っ込みながら真っ直ぐこちらを見ていることに気がつく。

    垣根「んー……そうだな。うん」

    垣根「お前は無愛想で仏頂面でお粗末体型の貧弱モヤシで口悪くて沸点低くて親バカで卑屈なコミュ障で厨二病でクール気取ってるつもりらしいけど実際はテンパりやすいただのツンデレで常に死ぬほど憎たらしかったりするけど」

    百合子「オイ」

    垣根「でも俺も結構お前のこと好きだぞー」


    片手をメガホンのように口元に当てて嘯く垣根に、一方通行は一瞬面食らった顔をするとそれからくしゃりと破顔して、いつもの皮肉っぽい口端を歪めるあのやり方で



    だから好きとは言ってねェよばーか、



    捨て台詞のように笑いの滲んだ言葉を残して、今度こそ振り返らず歩き出した。




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