元スレ勇者「ハーレム言うな」
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401 = 1 :
…………………………
ルイーダ『…………え…………』
盗賊父『…………本当だよ……』
ルイーダ『……』
盗賊父『……サマンオサの旦那は行方知れず、ホビットの旦那と私を置いて、オルテガはネクロゴンドに旅立ったよ』
ルイーダ『…………』
盗賊父『ホビットの旦那はカタギの人間だ……サマンオサの旦那の二の舞になる事を恐れたんだろうさ』
盗賊父『私は、元々盗賊でオルテガを陰から支える役だった』
盗賊父『…………しかし、今回ばかりは単身でネクロゴンドに向かうオルテガについていくつもりだったんだ』
盗賊父『……でもあいつ、それを拒みやがった……』
盗賊父『…………俺に娘がいる、って理由だけでな…………』
ルイーダ『…………』
盗賊父『……笑えるよ……自分にも子供が居るくせに……』
盗賊父『……でも一番笑えるのは、それを、拒まれた事を、娘とまだ一緒にいられる事を喜んだ自分が確かにいたって事だ……』
ルイーダ『…………カンダタさん……』
盗賊父『…………でも……』
盗賊父『…………オルテガに、ある事を頼まれたんだ』
ルイーダ『……?』
盗賊父『……その頼まれ事は、いつ終わるかもわからない……』
盗賊父『…………今回アリアハンに来たのは、ルイーダにお願いがあってきたんだ』
…………
……
…
・
402 = 1 :
―――――――――――
-宿屋-
ガチャ……
盗賊『……すー……すー』zzz
ナデ……
盗賊『……ん……』
盗賊『…………ぱぱ…………?』
盗賊父『…………』
盗賊『……どうしたの……?』
盗賊父『…………』
盗賊『……なんでないてるの?……』
盗賊父『……盗賊…………すまない……』
盗賊父『しばらく、お別れだ』
盗賊『…………』
盗賊父『今日から、お前はここで暮らすんだ』
盗賊父『ここは平和だから、何も心配する事はない……』
盗賊『…………やだっ…………やだよっ』
盗賊父『…………』
盗賊『……ぱぱとお別れなんてやだよ……』
盗賊父『…………』
ナデ……
盗賊父『大丈夫、安心しなさい。……私はいつも傍にいるよ』
盗賊『やだっ!ぱぱ……』
盗賊父『…………すまない』
盗賊父『…………ラリホー……』
パァッ……
盗賊『…………ぱ……ぱ……』
盗賊『…………ど……して…………』
盗賊父『……絶対』
盗賊父『絶対、迎えにくるよ』
盗賊『…………ぱ…………ぱ』
盗賊『…………』
盗賊『……すー……すー……』zzz
盗賊父『…………』
スッ……
盗賊父『…………この子に』
盗賊父『……ルビス様の幸がありますよう……』
…………
……
…
・
…―――――そうして、パパは私の前からいなくなった
403 = 1 :
―――――――――――
-ルイーダの酒場-
カランカラン
盗賊『……いらっしゃいませ……』
客『あれ?何この子』
客『ルイーダちゃん、新しい子雇ったの?』
客『まだ子供じゃないか!』
ルイーダ『その子、私の友人から預かってる子なの。いいって言ってるんだけど手伝うってきかなくて……』
客『でもさっきからよくやってるよその子』
客『助かってんじゃないの?ルイーダちゃん!』
客『ルイーダちゃんドジなところあるしな!ガハハ!』
ルイーダ『…………ロマとポルトガ、十丁追加、ね♪まいどー☆』
客『ちょっ』
アハハハハ
盗賊『…………』
ルイーダ『…………』
…………
……
…
・
404 = 1 :
―――――――――――
カランカラン……
ルイーダ『またいらしてねー♪』
ルイーダ『…………ふう、今日はありがとうね。盗賊』
盗賊『…………いえ、大丈夫です……』
ルイーダ『でも、店なら大丈夫なのよ?あなたは外で遊んでても……』
盗賊『…………ううん、大丈夫です……』
ルイーダ『……』ウーン
盗賊『…………』
ルイーダ『……まぁとりあえず明日は休みにするからさ、街を散歩でもしておいでよ』
ルイーダ『まだちゃんと見て回ったこと無いでしょ?良い所よ!』
盗賊『…………』
盗賊『…………はい…………』
ルイーダ『…………』
ルイーダ『……(笑ってくれないなぁ……)』
…………
……
…
・
405 = 1 :
-アリアハン・街中-
テクテク…
盗賊『…………』
~~~~~~~~~~
……――――絶対、迎えに来るよ――――……
~~~~~~~~~~
盗賊『…………』
盗賊『……(いつ、むかえにきてくれるのかな)』
盗賊『……(あした?あさって?)』
盗賊『…………』
盗賊『…………(私がわるいこだから、捨てられたのかな)』
盗賊『…………』
ワーワー
盗賊『…………?……』
盗賊『…………けんか…?…』
盗賊『…………(子供たちが、けんかしてる)……』
ガスッ ドガッ
子供A『嘘つき!嘘つき!』
子供B『どうせ戻ってこないってうちの母ちゃんいってたぞ!』
子供C『バーカバーカ!!!!』
盗賊『…………(…けんかっていうより、いじめてる?)』
406 = 1 :
?『………っ!…』
ガスッ ガスッ
子供A『本当の息子じゃないくせにー!』
子供C『だからそんなに弱いんじゃねーの?』
子供B『どうせお前の父ちゃんも弱いから戻ってこねーよー!』
?『…………うるさい!!』
子供B『うわー!拾い子がきれたー!』
子供C『やっちまおーぜー!』
子供A『口だけオルテガの嘘つき息子ー!!!!バカ勇者ー!!!!』
盗賊『…………!?……』
ドガッ ガスッ
勇者『とうさんはくちだけじゃない!つよいんだ!』
盗賊『……(あの子、オルテガおじさんの……!?……)』
勇者『とりけせ!!とうさんをわるくいうな!!!!』
勇者『とうさんは、もどってくるんだ!』
勇者『ぜったいぜったい、もどってくるんだ!!!!』
盗賊『…………!!……』
407 = 1 :
ガスッ ガスッ
子供C『絶対戻ってこねーよー!馬鹿じゃねーの!?』
盗賊『…………ッ!!…』
スタスタ……
子供B『どうせ今頃魔物に食べられてるぜー!!』
子供A『ぎゃははは!!!!』
勇者『…………ッ!!』
ヒュンッ
子供C『アオッ』
子供B『え?』
子供A『へ?』
ドサッ
勇者『…………?……』
子供C『……ありのまま起こった事を話すぜ……いつの間にか地面に仰向けになって寝ていた……何を言って(ry』
子供A『な、何だお前!!』
子供B『あっ、こいつ!!』
盗賊『…………』
子供B『ルイーダの所に最近来た盗賊の子供だ!!』
408 = 1 :
子供A『と、盗賊……?』
子供B『うわぁ!!殺される!!!!』
ダッ
子供A『ひいいっ!!!!』
子供C『ま、待てよ!!!!』
タッタッタッタ……
勇者『…………と、とーぞくの……』
盗賊『…………』
ダダダダダダ……
?『こら―――――!!』
盗賊『……?……』
戦士『ゆーしゃをいじめるな――――!!!!』
魔法使い『なーっ』
武道家『ぶっとばすぞ!!!』
勇者『み、みんな!』
盗賊『…………』
409 = 1 :
武道家『ゆうしゃ、だいじょうぶ?』
勇者『みんな、どうして』
魔法使い『ゆーしゃがいじめられてるってきいたからっ』
戦士『おまえかー!ゆーしゃいじめてたのはー!!』シャー!!
盗賊『…………』
勇者『せんし、ちがうよ!そのひとは……』
スタスタ……
勇者『あ……』
盗賊『…………』スタスタ
戦士『まてー!くびおいてけー!』
魔法使い『わぁっ、ぶっそうだねっ』
盗賊『…………』スタスタ
盗賊『…………(……1人なのかなって思ったけど……)』
盗賊『…………(あなたには、友達がいるんだね)』
盗賊『…………(…………うらやましいな……)』
…………
……
…
・
410 = 1 :
―――――――――――
-ルイーダの家-
カチャ……
盗賊『……ごちそうさまでした……』
ルイーダ『うん、お粗末さま♪』
ルイーダ『ところで、今日はどうだった?良いところだったでしょ?』
盗賊『…………はい……』
盗賊『…………』
盗賊『…………あの……』
ルイーダ『ん?どうしたの?』
盗賊『…………オルテガおじさんのこどもに会いました……』
ルイーダ『あら、勇者くん?女勇者ちゃん?どっちかしら』
盗賊『…………おとこのこでした…………』
ルイーダ『じゃぁ勇者くんね!可愛い子でしょー!』
盗賊『……………………』
ルイーダ『…………どうかしたの?』
盗賊『…………いえ……』
~~~~~~~~~~
子供『ルイーダの所に最近来た盗賊の子供だ!!』
~~~~~~~~~~
盗賊『…………すみません……』
ルイーダ『んもう、盗賊は謝ってばかりなんだから!』
盗賊『…………すみません…………』
ルイーダ『…………盗賊?』
盗賊『………………本当に、すみません…………』
ルイーダ『…………』
…………
……
…
・
411 = 1 :
―――――――――――
-アリアハン・街中-
ガスッ ドスッ
勇者『……うっ……!!』
子供B『この前はお前のせいでとんだ恥かいたじゃねーか!』
子供C『うらっ!!うらっ!!』
勇者『……ぐっ……!!』
子供A『今日はさすがにこねーよな!うらっ!!』
ガスッ
勇者『やめっ……!!』
ヒュン!
子供ABC『ゥワァ―――――オ!!!!』
ドサッ
勇者『…………あっ……』
盗賊『……………………』ゴゴゴゴゴゴ
子供A『ウワー――――!!!!出たー!!』
子供B『盗賊だ―――――!!!!』
子供C『首取られる―――――!!!!』
ダダダダダダ……
勇者『…………』
盗賊『…………』
勇者『…………あ、あのっ……』
スタスタ……
勇者『…………あ…………』
盗賊『…………』スタスタ…
タッタッタッタ
戦士『ゆーしゃ!だいじょうぶか!!』
魔法使い『いたいとこある?おまじないする?』
武道家『あ!』
盗賊『…………』スタスタ
武道家『あの女!!またあいつにやられたの!?』
勇者『ち、ちがうよ!!あのひとはたすけてくれたんだよ』
武道家『?じゃあなんでにげるようにかえってくの?』
勇者『…………なんでだろう…………』
…………
……
…
・
412 = 1 :
……………………
勇者『…………(あれからなんかいもあのひとにたすけられました)』
子供A『とりゃー』
子供B『えい』
子供C『いじめてやるー』
ポカポカ
勇者『…………(さいきんだんだんいじめっこのようすがおかしくなってきました)』
子供B『せーい』ソワソワ
子供A『りゃー』ソワソワ
子供C『ぱーう』ソワソワ
ポカポカ
勇者『…………(なんだこれ)』
スタスタ……
子供ABC『!!!!』
勇者『あ……』
盗賊『…………』スタスタ…
子供ABC『キタ―――――――――――――――!!!!!!』
勇者『!?』ビクッ
盗賊『…………』
ヒュン
子供ABC『足払いキタ――――――――――――――――――――!!!!!!!!!』
ドスゥーン
子供ABC『女王様…………』ウットリ
勇者『…………(きぜつしている)』
スタスタ……
勇者『…………あ』
盗賊『…………』スタスタ…
勇者『…………』
勇者『…………また、おれいをいいそびれちゃった…………』
413 = 1 :
-ルイーダの店-
カランカラン……
盗賊『…………ただ今戻りました……』
ルイーダ『あら、おかえり。勇者くん大丈夫だった?』
盗賊『…………はい……』
ルイーダ『ここなら色んな人が集まるから勇者くんが苛められてればすぐわかるから便利よね』
盗賊『…………仕事のとちゅうでぬけだしてすみません…………』
ルイーダ『だからいいのよー。気にしなくて。っていうか貴女がんばり過ぎよ?』
客『そうだぜ?盗賊ちゃん。だってルイーダちゃんより働いてるんじゃない?』
ルイーダ『っさい!!』
盗賊『…………』
ルイーダ『…………?盗賊?』
盗賊『…………すみません…………』
ぽてんっ
ルイーダ『ちょ、盗賊!!??盗賊!!!!』
客『きゃぁぁ!!盗賊ちゃんが倒れたわ!!』
客『!!医者だ!医者と神父よべ!!』
客『この中に僧侶職の奴はいるか!!?』
ワーワー
盗賊『………っ…』ハァ…ハァ…
…………
……
…
・
414 = 1 :
-ルイーダの家-
ガチャッ
ルイーダ『あ、神父様!!あの子は、あの子は大丈夫ですか!?』
神父『えぇ、どうやら疲れが溜まっていただけのようです。』
神父『なれない土地で馴れない人々に囲まれていますからね……仕方ない事ではあります』
神父『でも回復呪文を唱えておいたので体力は回復しましたから2、3日もすれば呪文でどうにもならない熱も引いて良くなりますよ』
ルイーダ『…………良かった……』
神父『ルイーダが気に病む事はありませんよ。疲れと言っても精神的なものですから』
ルイーダ『…………でも、どうにもしてあげられなかったのも事実ですから…………』
神父『…………まぁこれからも優しく接してあげてください』
ルイーダ『はい……。今日は本当にありがとうございました』
神父『あ、お礼なら私にではなくこの子に言ってあげて下さい』
ルイーダ『え?』
神父『ホラ、ちゃんと挨拶しなさい』
ヒョコッ
?『……こ、こんにちわ……』
415 = 1 :
ルイーダ『あら可愛い、こんにちわ』
ルイーダ『神父様、この子は?』
神父『昔、私が引き取った子でね。そういえばルイーダの所に連れてくるのは初めてでしたね』
神父『この子は回復の呪文の才に長けていまして、盗賊ちゃんを癒してくれたのもこの子です。ホラ、自己紹介しましょう?』
?『は……はい、そ、僧侶っていいます…はじめまして』
ルイーダ『…………僧侶ちゃん、か。はじめまして。私はルイーダ』
ルイーダ『…………盗賊を助けてくれてありがとう』
僧侶『…………えへへ///』テレテレ
神父『うふふ、マジプリティ。マジプリティですよ僧侶』
ルイーダ『し、神父様?』
神父『失礼。取り乱しました。それでは私たちはこれで』
ルイーダ『はい、今日は本当にありがとうございました』
ガチャ………バタン
ルイーダ『…………』
ルイーダ『……盗賊……』
…………
……
…
・
416 = 1 :
-アリアハン・街中-
子供A『…………りゃー』
子供B『…………』
子供C『…………てい』
勇者『…………』
子供B『…………』
子供C『…………』
子供A『…………ハァ…………』
勇者『…………あのおねえちゃん、こないね』
子供ABC『…………』
スタスタ…
子供B『…………かえろかえろ』
子供C『……お腹へったなぁ……』
子供A『…………ハァ……』
勇者『…………』
勇者『…………どうかしたのかな』
勇者『…………』
勇者『!そうだ!』
タッタッタッタ…
…………
……
…
・
417 = 1 :
-ルイーダの酒場-
カランカラン……
ルイーダ『はい、いらっしゃーい』
勇者『ルイーダさん!』
ルイーダ『あら!勇者くん!!お久しぶりね!相変わらず可愛いわね~』ウフフ
ナデナデ
勇者『んへへ……あ、ちがうの』
ルイーダ『え?』
勇者『あの、えと、しろいかみのおねぇちゃん、いる?』
ルイーダ『しろいかみ…………?……あぁ、盗賊の事ね?』
ルイーダ『ちょっと今病気なのよ。だから私の家で寝てるわ』
勇者『だいじょうぶなの!?』
ルイーダ『え?うん、大丈夫よ』
勇者『…………』
ルイーダ『…………』
ルイーダ『……お見舞い、行ってくる?』
勇者『!!うん!』パァァ
ルイーダ『じゃあ、コレ。家の鍵よ。二階の私の部屋で寝てるわ』チャリン
勇者『うん!ルイーダさん、ありがとう!いってくる!』
ルイーダ『はいなー』
タッタッタッ…
ルイーダ『…………』
ルイーダ『……元気出してくれるといいなぁ……』
…………
……
…
・
418 = 1 :
―――――――――――
…――――ぱぱ
盗賊父『大丈夫、ちゃんと迎えに来るよ』
……―――――ぱぱ
盗賊父『いい子にしてるんだぞ、盗賊……』
……―――――やだ……行かないで
盗賊父『ちゃんと』
……―――――やだ、やだ
盗賊父『“私達”は、いつでもお前を見守ってるよ』
……―――――やだ
……――――隣にいるのはだれ?
……―――――まま…?
……―――――ぱぱ?まま?
盗賊父・母『…………』
…………―――――やだ、行かないで、行かないで
盗賊父・母『…………』
…………―――――置いていかないで
…………―――――わたしを、置いていかないで!!!!
419 = 1 :
ガバァッ!!
盗賊『ハァッ……ハァッ……!!』
盗賊『…………』ゼェゼェ
盗賊『…………夢……』ゼェゼェ
盗賊『…………』
盗賊『…………』
盗賊『…………ぱぱ…』
盗賊『…………ぱぱ……!!』ポロ…
~~~~~~~~~~
ガチャッ
勇者『おじゃまします……』
勇者『にかいの……ルイーダさんのへや……』
トコトコ……
勇者『ねむってるかな…………』
『……!……!』
勇者『……なにかきこえる』
『……!…!…』
勇者『ルイーダさんのへやだ』
勇者『おきてるのかな……』
カチy
『……ぱぱ!!!!……ぱぱぁ!!!!』
勇者『!!!!』ピタッ
『……やだっ!!!やだよぉっ!!!!』
勇者『………!!…』
『……置いていかないで…早く帰ってきてよぉ…!!!!』
420 = 1 :
盗賊『……ぱぱぁっ!!!!……やだよぉ!!!!……』ポロポロ
盗賊『……ぱぱ…!!………ううぅっ…!!!!…』ポロポロ
盗賊『……ぱぱ…!!…………ぱぱ!!…』ポロポロ…
盗賊『なんで…………!!』ポロポロ…
盗賊『なんでわたしをおいてったの…………』ポロポロ…
盗賊『…………』グスッ…グスッ…
盗賊『…………』ポロポロ…
盗賊『…………』ポロポロ…
盗賊『………やだよぉ……』グスッ…グスッ…
盗賊『…………おいてかないでぇっ………!!!!………』ポロポロ…
ガチャ…
盗賊『っ』ビクッ
盗賊『…………』グスッ…グスッ…
盗賊『…………』グスッ…
盗賊『…………だれ…………?』
ギィ……
勇者『…………』
盗賊『…………!』
盗賊『……(オルテガおじさんの……)』
421 = 1 :
テクテク…
盗賊『…………』ポロポロ…
勇者『…………』テクテク…
ギュッ……
盗賊『…………?』ポロポロ…
勇者『…………』
盗賊『……わたしを……こわがらないの……?』
勇者『…………』フルフル
勇者『………っ…』ポロポロ…
盗賊『…………』グスッ
盗賊『…………わたしといっしょに…ないてくれるの……?』
勇者『………グスッ…』ポロポロ…
盗賊『…………』
ナデ……
盗賊『……いい子だね……』グスッ
勇者『…………』ギュッ
盗賊『…………あなた……、おなまえは…………?』グスッ
422 = 1 :
勇者『…………勇者……』グスッ…
盗賊『…………そっか……』ポロポロ…
ギュッ……
盗賊『……ごめんね、勇者……』ポロポロ…
ギュゥ…
盗賊『…………もうすこし、こうさせて……』ポロポロ…
盗賊『…………もうすこしだけ、泣かせて…っ…』ポロポロ…
勇者『…………おねぇちゃん……』ポロポロ…
盗賊『…………………どうしたの…………?…』グスッ
勇者『おねぇちゃんも…………』
勇者『おねぇちゃんも……おとうさんがいなくなって…………さびしかったの…?』ポロポロ…
盗賊『…………』
盗賊『…………あ…………』
盗賊『(……そうか……)』
盗賊『(……そうだよね……)』
盗賊『(……このこも……ぱぱに…オルテガおじさんに…………)』
勇者『…………っ』ポロポロ…
勇者『こわいよねぇ………やだよね……!』ポロポロ…
ギュウゥ……
勇者『……やだよっ……!!』ポロポロ…
盗賊『…………』グスッ…
423 = 1 :
盗賊『(…………わたしだけじゃないんだ)』
盗賊『(……わたしだけじゃなかったんだ……)』
ギュウッ
勇者『………っ…』グスッ
盗賊『…………もう、泣き止もう……?』グスッ
勇者『…………』グスッ
盗賊『……わたしにも…いまはルイーダさんがいるし、勇者もかぞく…いるんでしょ?……』
勇者『………グスッ…』コクッ
盗賊『……だから…いまのかぞくと、ぱぱを待とう?…』グスッ
勇者『…………っ…』コクッ
盗賊『…………わたしも……』
盗賊『…………わたしもいっしょにいるから、さびしくないよ……?』
勇者『…………!』
ぐしぐし
勇者『……うんっ……!!』ニコッ
盗賊『…………ふふ』ニコ
…………
……
…
・
424 = 1 :
-アリアハン・街中-
勇者『まってー!ぎぶぎぶ!!』
子供B『キャメルクラッチ!!』
勇者『いたいいたい!そういうのなしっていったのにー!』
子供A『まぁそう堅い事いうなって!』
子供C『本気ではやってないから!』
勇者『いやぁ―――っ!!』
?『……うりゃ…』
ヒュン!!
子供ABC『キタ――――――――――!!』
ズッテーン
勇者『あ!おねぇちゃん!』
盗賊『……勇者、だいじょぶ?』
子供A『女王様、今日の足払いも最高っす!』
子供B『またお願いしまっす!』
子供C『それでは失礼しまっす!!』
タッタッタッタ…
盗賊『……だからって勇者をいちいちいじめないで…あと女王様はやめて…』
勇者『おねぇちゃ―――ん!!』
ダキッ
盗賊『……あっ……ふふ、よしよし……』
勇者『えへへー』
425 = 1 :
タッタッタッタ……
戦士『だいじょぶか、ゆ……あ!!』
武道家『な、なにあまえてんのよー!』
魔法使い『あー、とーぞくだーっ』
勇者『あ、お、おねぇちゃん!は、はなしてっ///』
盗賊『…………』
ギュウッ
戦士・武道家『『!?』』
盗賊『……勇者は独り占め……』ニヤーリ
勇者『ちょ、おねぇちゃん!///』カァァ
魔法使い『やぁ――――!!わたしもとーぞくとゆーしゃとぎゅってするのーっ!!』
ギュウッ
盗賊『……魔法使いも、ぎゅ。……』
魔法使い『にへへへー。あったかいねぇ』
戦士『わ、わたしもー!!』
武道家『え!?じゃ、じゃあわたしも!』
ギュウゥ
勇者『み、みんな、くるしい……』
魔法使い『にへへっ』
戦士『……っ』ギュウゥ
盗賊『……みんな、ぎゅ。……』フフ
武道家『なんだこれ』
…………
……
…
・
426 = 1 :
-アリアハン・街中-
スタスタ……
盗賊『……次は、魚屋さん……』
盗賊『………あ…』
勇者『…………』スタスタ…
盗賊『……勇者だ……』
タッタッタッタ…
盗賊『……勇者っ!…』
勇者『?あ、おねえちゃん!何してるの?ってお使いか。見る限り』
盗賊『……うん、もうあと一件だけだけどね。勇者は…?…』
盗賊『………(よく見たら、傷だらけ)…』
勇者『あ、うん。ちょっと遊んでたんだ』
盗賊『……そうなの…?…』
勇者『うん。じゃ、僕まだ色々やらなきゃいけない事あるからっ』
盗賊『……あっ…』
勇者『またね!』
タッタッタッ
盗賊『…………』
盗賊『……(……勇者も、もう11歳だもんね、お年頃だよね……)』
盗賊『…………』
盗賊『……(でも……ちょっとは、特訓の事、隠れて修行してるって事、言ってくれてもいいんじゃないかな……)』
盗賊『……寂しい……』
…………
……
…
・
427 = 1 :
-アリアハン・郊外-
タッタッタッタ……
盗賊『……ハァ……ハァ…』
盗賊『……(……この辺だと、思うんだけど……)』
ブンッ ブンッ
盗賊『……!!…』
盗賊『……こっち…!!…』
タッタッタッタ……
盗賊『……ハァ……ハァ…………あ!……』
盗賊『………勇者!!!!…』
勇者『……ふっ…!!!!………ふっ…!!!!…』
ブンッ ブンッ
盗賊『………!!!!!…』
盗賊『………何やってるのっ!!!!…』ダッ
ピタッ
勇者『…………え?あ……いたんだ……』
盗賊『……何やってるの!?…神父様に、あと1ヶ月は安静にって…!!!!…』
勇者『あはは、大丈夫だよ。平気平気』
盗賊『………っ!!!!…』
428 = 1 :
バチンッ
勇者『………っ…』
盗賊『……バカッ…!!!!…』
ギュッ
盗賊『……バカ……』
勇者『…………』
盗賊『…………』
盗賊『……勇者まで……』ポロ…
盗賊『……体壊して、勇者までいなくなっちゃったら、どうするの……!!!!……』ポロポロ…
勇者『…………』
盗賊『………っ…!!!…』ポロポロ…
勇者『……お……』
勇者『はは、大げさだなぁ。大丈夫だって』
勇者『今日だって少し調子が良かったから素振りしてただけだし』
勇者『心配しすぎなんだよ。“盗賊”は』
盗賊『…………』
盗賊『……え……』
……―――――その時、わたしは分かった
勇者『昔からそうなんだから……皆も心配しすぎだよ』アハハ
勇者『このままじゃ僕なんにもできなっちゃう』
……―――――『おねぇちゃん』じゃなく、『名前』で呼ばれた時
勇者『…………強くなれなくなっちゃうんだ』
……―――――勇者が私を、必要としなくなった時
429 = 1 :
盗賊『…………』ポロポロ…
……―――――あぁ、そうか
盗賊『…………っ!!……』ポロポロ…
……―――――私は、勇者を救ったつもりでいて
盗賊『……ッ!!!!……』ポロポロ…
……―――――実は
勇者『……泣かないで……』
ギュッ
勇者『……泣かないで…僕が、僕が何がなんでも守るから』
勇者『…………今までの分、守れなかった分も、守るから』
勇者『…………盗賊』
……―――――私の方が、救われていたんだ
430 = 1 :
-シャンパーニの塔・最上階-
盗賊「…………」グスッ
盗賊「(……違うんだよ…勇者…)」
盗賊「(……私の方が、救われてばっかりなんだよ……!!)」ポロポロ…
盗賊「(……初めて会ったときも、その次も、今日に至るまで……)」
盗賊「(……私の方が、助けられてばかりなの………!!!!!………)」
盗賊「…………」
盗賊「……何やってるの、私……」
盗賊「……泣いてる、場合じゃない……」
ギュッ!!
盗賊「………勇者…」
盗賊「(……だから、お願い……)」
ダッ
盗賊「…………っ!!!!……」タッタッタッタ
盗賊「…………私に……」タッタッタッタ
盗賊「…………」タッタッタッタ
盗賊「……これからは私に、あなたを救わせて…!!!!…」タッタッタッタ…
タッタッタッ…
…………
……
…
・
431 = 1 :
-シャンパーニの塔・最上階下・屋外-
ゴシャァッ!!!!
痛恨の一撃!
勇者「がぁっ…!!!!…」
ドシャッ
カンダタ「なんだよ?意気込んできた割には全然大した事ねぇな?」
カンダタ「時間の無駄だ…………てめぇら、行くぞ」
カンダタ子分B「うっす」
カンダタ子分C「でもいいんすか?」
カンダタ「あ?」
カンダタ子分A「あいつ、まだ立ち上がってきてますよ」
ザッ…
勇者「…………」ヨロ…
カンダタ「…………この野郎」
432 = 1 :
スタスタ……
カンダタ子分E「?親分?」
カンダタ「フッ!!!!」
ガッ!!!!
勇者「っ!!!!」
ガッ!!!!
ガッ!!!!
ガッ!!!!
カンダタ子分B「うっわ……エグ……」
カンダタ「っらぁ!!!!!」
ゴシャアッ!!!!
勇者「っっ!!!!!」
ドシャァッ
カンダタ子分D「うぇ……ありゃ死んだな……」
カンダタ「…………行くぞ」
カンダタ子分A「う、うす」
カンダタ子分B「……あ……」
カンダタ「…………あぁ?」
433 = 1 :
チャキッ……
勇者「…………」ヨロッ…
カンダタ「…………まだ剣を構えんのか」
カンダタ「…………」
カンダタ「…………死にたいらしいな」
ジャコッ……
カンダタ「もう手加減しねぇよ」
カンダタ「真っ二つにしてやらぁ」
434 = 1 :
痛恨の一撃!!
痛恨の一撃!!
痛恨の一撃!!
痛恨の一撃!!
痛恨の一撃!!
痛恨の一撃!!
痛恨の一撃!!
痛恨の一撃!!
痛恨の一撃!!
痛恨の一撃!!
痛恨の一撃!!
痛恨の一撃!!
勇者は倒れた!!
435 = 1 :
勇者「…………」
カンダタ子分C「うわ……!!」
カンダタ子分D「もうありゃ駄目だ……左腕が千切れちまってるよ」
カンダタ子分A「ってかもう死んでるんじゃね……?」
カンダタ「…………」
勇者「…………」
カンダタ「…………死ん…」
ギロッ
カンダタ「…………!!?」ゾッ
勇者「…………ッ…………」
カンダタ「…………」
カンダタ「……そんな体になってもまだやる気か……?」
勇者「…………お前は…………」
勇者「…………盗賊を…傷つけたんだ……」
勇者「………今まで…………さんざん…………父の帰りを待って…………」
勇者「……それを信じてきた…………盗賊の……気持ちを……」
勇者「……………………踏みにじったんだ…………」
勇者「…………お前が……盗賊の……父を殺して…………」
勇者「…………」
勇者「…………お前は……」
勇者「………それを笑ったんだ…………!!!!」
グッ…………
カンダタ「…………!!!!」
カンダタ「まだ……立ちやがるか…………!!!!」
436 = 1 :
ヨロッ…
勇者「…………まだ」
勇者「まだ、右腕が、残ってるぞ…………カンダタァッ…………」
勇者「まだ、立てるぞ………!!!!…」
カンダタ子分B「ひっ……!!!!」
カンダタ子分E「親分!アイツ狂ってるよ!!!!」
カンダタ「…………」
カンダタ「…………惜しいな」
カンダタ「違う形で会ってたら、子分にしてやりたかったぜ」
スタスタ……
カンダタ「…………だが」
ガシッ
勇者「…ッ」
カンダタ「もうテメーは駄目だ。俺に牙を剥いた」
ブンッ!
勇者「!!!!!!」
カンダタ「落ちな。真っ逆さまにな」
ヒュウウウ…………
437 = 1 :
カンダタ「…………行くぞ、てめぇら」
カンダタ子分ズ「「「う、うす!!」」」
「……待って!!!!……」
カンダタ「あん?」
ザッ
盗賊「ハァッ……ハァ……」
カンダタ「…………てめぇか」
盗賊「…………っ…」
盗賊「………勇者は…」
盗賊「……勇者はどうしたの…!!!!…」
カンダタ「あぁ?アイツか」
カンダタ「死んだよ。殺した」
盗賊「…………」
盗賊「 え ? 」
438 = 1 :
カンダタ「ホラ、そこに血の水溜りあるだろ」
カンダタ「そこでこの斧の錆びにして、こっからブン投げて落としてやったよ」
カンダタ「今、地上に降りれば愉快な肉塊が見れるぜぇ」
ガッ!!!!
カンダタ「!!!!!????」
盗賊「 お、お前ッ お前ッ!!!! 」
ガッ!!!!ガッ!!!!
カンダタ「なっ!!なんだこの女!!素早ッ……!!!!くっ!!!!」
ガッ!!!!ガッ!!!!
盗賊「 勇 者をッ なん、で勇者をッ !!!!!」
カンダタ「…………ッ!!このッ!!」
439 = 1 :
盗賊「 よ、くもっ !!!! 」
ガッ!!
盗賊「……っ…!!!!…」
カンダタ「…!?」
ドサッ
カンダタ子分A「大丈夫ですか?親分」
カンダタ子分B「こいつは俺らが取り押さえときますんで」
盗賊「……はなっ…離してッ!!!!………私は…そいつにッ…!!!!!……」
カンダタ「…………ふぅ、すまねえなお前ら」
カンダタ「……しかし油断ならねぇな…流石はカンダタさんの娘ってところか…………」
盗賊「…………お前が……!!その名をッ………呼ばないで…!!!!」
カンダタ「まぁそういがむないがむな!」
カンダタ「すぐにあのガキの所に連れてってやるからよ」
盗賊「…………ッ…」
盗賊「…………っ!!…………」ポロポロ…
カンダタ「お?なんだ?死ぬのが怖いか?」
盗賊「…………守れなかった…………!!!!」
盗賊「…………守れなかった!!!…………」
盗賊「…………私が、グズグズしてたから…………!!!!」
盗賊「…………守れなかった…………!!!!!!」
カンダタ「…………」
カンダタ「おい、お前ら」
カンダタ子分ズ「は、はい!」
カンダタ「そいつ、突き落とせ」
440 = 1 :
カンダタ子分B「!!……うす!!」
グイッ
盗賊「……ッ」
―――――――――――
勇者『おねぇちゃん!!』
―――――――――――
盗賊「…………ッ!!!!…………」
―――――――――――
勇者『さびしかったの?』
―――――――――――
盗賊「…………!!!!…………(勇者…………!!!!!!)」
―――――――――――
勇者『………守るから』
―――――――――――
ポロポロ…
盗賊「…………ゆーしゃぁ…!!!!……ごめんねぇ…!!!!…」
441 = 1 :
カンダタ子分C「ひ、ひいいっ!!!!」
盗賊「………?…」
カンダタ「!!??どうした!!?」
カンダタ子分A「あ…………あそこ!!」
カンダタ子分B「あの淵の所…………!!!!」
カンダタ子分C「誰かしがみついてますっ……!!!!」
カンダタ「な!?…………!!!!」
盗賊「…………!!!!??…………」
442 = 1 :
カンダタ子分E「親分!!俺もうやだ!!アイツ化けもんだよぉ!!!!」
カンダタ子分A「きっと這い登ってきたんだ!!!!」
カンダタ子分C「もうとっととズラかろうぜ!!!!」
カンダタ「お前ら!!落ち着け!!!!ちゃんと確認して来い!!!!」
カンダタ子分B「で、でもぉっ!!!!」
カンダタ「っ!!!えぇい!!!俺が行く!!!!お前らはそいつ見てろ!!!!」
スタスタ……
カンダタ(ありえねぇ……!!ありえねぇ!!)
カンダタ(ありえねぇ!!あの状況から這い上がってこれるワケがねぇ!!!!)
カンダタ(もし這い上がってこれるやつがいるんなら……そいつは化け物だ!!!!)
カンダタ(化け物…………)
~~~~~~~~~~
ギロッ
勇者「…………!!……」
~~~~~~~~~~
カンダタ「」ブルッ
カンダタ(いや!!そんな筈はねぇ!しっかりしろ!)
ザッ
カンダタ「…………」
カンダタ「…………これは……!!!!!!!」
443 = 1 :
ブラ・・・
カンダタ(これは…………!!!!さっき俺が切り落としたアイツの左腕!!!!)
ネバッ
カンダタ(粘着力が強い“何か”で、淵にくっつけられてやがる!!!!)
カンダタ(誰がこんな…………!!!!アイツがあの瀬戸際で…………?いや、考えにくい!!!!)
カンダタ(何だこれは…………!!!!まさか罠か!!!??)クルッ!!
カンダタ「おい!!お前ら!!!!」
カンダタ子分C「は、はい!!」
カンダタ「何も変わったことはねぇな!!??」
カンダタ子分D「はい!!ありません!!」
盗賊「…………?……」
カンダタ「…………」
カンダタ(何にしてもココを早く離れたほうがいいな……)
カンダタ「よし、お前ら!その女をここから早く突き落として……」
「させねぇよ」
カンダタ「……あ?何だ?」
カンダタ子分A「…………」
カンダタ子分B「…………」
カンダタ子分C「…………」
カンダタ子分D「…………」
カンダタ子分E「…………」
盗賊「…………」
カンダタ(…………何だ?)
カンダタ(今、“誰が”喋った?)
カンダタ(…………)
カンダタ(何だお前ら)
カンダタ(“何で俺の後方を凝視してるんだ”?)
444 = 1 :
「言ったろカンダタ」
カンダタ(後ろ)
「右腕は残ってるぞって」
カンダタ(後ろに)
「言ったろカンダタ」
カンダタ「…………!!!!」
バッ
勇者「絶対、許さないって……!!!」
カンダタ「てめぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇええええぇぇぇぇぇぇぇえええぇぇええええぇぇ!!!!!!!????」
ズバァッッ!!!!
勇 者 の こ う げ き !!
会 心 の 一 撃 !!
445 = 1 :
カンダタ「っぎああああああああああああ!!!!!!!!」
ドシャァッ!!!!
盗賊「勇者!!!!!!!!」
勇者「今だ!!盗賊!!」
盗賊「ッ!!!!」
バッ
カンダタ子分B「あっ!!!」
カンダタ子分A「まっ……!!!!」
タッタッタッタ……
盗賊「……勇者!!!!大丈夫!!!??」
勇者「…………平気だよ…」
盗賊「……でも、腕が!!腕が……!!」
勇者「…………盗賊が平気で、良かったよ……」
盗賊「…………ッ!!!!」
ギュッ!!
盗賊「…………勇者ぁぁ!!!私、わたしぃっ!!!!!」ポロポロ…
勇者「…………」
盗賊「……勇者が死んだんじゃないかって……!!!!!もう…………だめかって…………!!!!」ポロポロ…
勇者「…………盗賊、一先ず、離れるんだ」
盗賊「…………ッ」グスッ
ザッ
カンダタ「…………ッッ!!!!っの野郎ォ…………!!!!」
446 = 1 :
カンダタ「てめぇ…………どうして上がってこれた……!!?」
勇者「…………お前のやり口は憲兵さんに聴いていてたんだ」
勇者「……落とし穴を多用して……相手を階下に落としたりして撒くってやり方さ」
勇者「それを聴いて、思いついたんだ…………コレをね」
カンダタ「!!!!っ…………それは!!!!」
勇者「運が良かったよ……この辺りにキャタピラーが生息してくれてて……」
カンダタ「キャタピラーの糸……!!!」
勇者「こんな事もあるかなって思って、回収しておいたんだ……本当に運が良かった」
盗賊「…………あの時の…!!!!…」
カンダタ「…………ッ!!でも、お前は虫の息だった筈じゃ……」
447 = 1 :
勇者「まさかお前らと一人で対峙する事になるとは思わなかったんだ…………」
勇者「だから……お前が“僕を片付けた”と思い込んでしまう状況を作るしか、道がなかったんだ」
勇者「お前にどうしても、一発入れられるようにするにはね…………!!!!」
カンダタ「…………!!!!」
勇者「あとは演技と運次第…………さすがに左腕を持ってかれた時は、どうしようかと思ったけどさ」
勇者「そして運良くお前が僕を投げ捨ててくれた……それからが大変だったよ」
勇者「この糸を使って、なんとかぶら下がって……こっそり懐に入れた左腕を糸の粘膜で塔の淵にくっつけて……」
勇者「あとは窪みに隠れて、機が熟すまで薬草で止血、回復……」
勇者「……そして、油断したお前に一撃をお見舞いする」
勇者「これを右腕一本でやらなきゃならなかったからね…」
勇者「……本当に、骨が折れたよ」
448 = 1 :
カンダタ「…………」
勇者「…………僕は凡人だからね」
勇者「こういう手でも使わなきゃ、お前に一発入れられなかったんだ……」
カンダタ子分B「…………」
カンダタ子分A「…………ど、どこが凡人だよ…………」
カンダタ子分C「化け物だ…………」
カンダタ「…………お前、名前は?」
勇者「…………勇者……」
カンダタ「…………お前、俺の子分にならねえか」
盗賊「…………ッ…………」
勇者「…………」
カンダタ「子分になれば、命は許してやるし色んな富もくれてやるぜ」
勇者「…………」
んべっ
勇者「…………ならないよ……バーカ」
カンダタ「…………満身創痍なのにまだ強がるか……ますます気に入ったぜ」
449 = 1 :
カンダタ「…………だがいいのか?」
ジャキッ
カンダタ子分A「…………!」
カンダタ子分B「…………っ」
カンダタ子分C「…………ッ!」
カンダタ子分D「…………!」
カンダタ子分E「…………」
カンダタ「…………お前ら、今、とんでもなくヤバイ状況なんだぜ?」
盗賊「…………っ!!…………」
勇者「…………」
勇者「…………お前は」
カンダタ「あ?」
勇者「お前は……僕が単にお前を殴るためだけにこんな事をしたと思ってるのか……?」
カンダタ「…………?」
勇者「……僕がだらだらと喋っていたのも、意味はないと思ってたのか?」
カンダタ「………」
450 = 1 :
カンダタ「……」
タッ……
カンダタ「…………まさか」
タッタッ…
カンダタ「まさか、お前」
タッタッタッタ…
勇者「…………言ったろ、僕は凡人で弱い」
タッタッタッタ!!!!
勇者「だけど……お前を許すつもりは無いんだ」
カンダタ「時間稼ぎをっ……!!!!」
みんなの評価 : ★★★
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