元スレ勇者「ハーレム言うな」
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601 = 1 :
僧侶「はい……ここまで無事に帰ってこれたのも、おじいさんのおかげです」
女勇者「?? おじいさん?」
僧侶「はい!そこにいらっしゃる……」
クルッ
僧侶「…………」
僧侶「…………あれ?」
武道家「…………そ、僧侶」
遊び人「…………言い難いんだけど……」
魔法使い「僧侶、最初から一人だったよ?」
僧侶「えっ!?そ、そんなはずは……!」
盗賊「…………」
僧侶「た、確かに『わしの村に行こう』って途中まで……」
商人「…………それってまさか……」
戦士「…………幽霊?」
武道家「ちょ……やめてよ……」
女勇者「な、何か用事があって村の外にいるんじゃないのかな!?」
602 = 1 :
商人「……この暗い中ですか?」
遊び人「それに、こんなに皆が眠ってる村に一人だけ眠ってない人間なんて…………」
魔法使い「…………うぅ」
武道家「…………なんか…………魔物より怖いわね……」
女勇者「と、とりあえず……今日のところは……」
勇者「あのさ」
一同「「「「きゃあっ!!!!!!!!」」」」ビックゥゥ!!!!
勇者「うおおぉっ!!??なになに!!??」ビクッ
遊び人「あ、勇者ちゃんか……急に男の声が聞こえるものだから…………」
武道家「死ぬほどビックリしたわ…………」
商人「ってか勇くんの事忘れてました」
戦士「ビックリさせるなよ!!全く!!」
勇者「あ……なんかごめん」
603 = 1 :
女勇者「で?どうしたんだい?」
勇者「あ、うん。いや、この村の事はカザーブで聞いて来たんだけどさ」
商人「あぁ、カザーブでもう少し聞き込みしていけばよかったですね」
戦士「で?それがどうしたんだ?」
勇者「うん。この村の人達は皆眠ってるんだよね?」
僧侶「は、はい」
盗賊「……そうだけど……」
勇者「……じゃあさ、あの灯りはなんだろう」
一同「「「「「…………え?」」」」」
勇者「あの、あっちの町外れの灯り……」
武道家「…………ホントだ…………」
遊び人「…………」
魔法使い「だれか……いるのかな…………」
商人「…………マジですか。こんな村に?」
僧侶「…………あの、おじいさんですかね」
戦士「あ、あぁ!そうじゃねえの!?」
女勇者「多分そうだよ!きっと!」
604 = 1 :
勇者「…………ちょっと、僕見てくるよ」
女勇者「お、お義兄ちゃん!!」
戦士「何言ってんだよ!!お前が行くならあたしが――――……」
勇者「ははは、戦士こういうの苦手じゃないか」
戦士「うっ」
勇者「大丈夫、ちょっと行って戻ってくるさ」
勇者「普通の村人だったらそれでOKだし、幽霊だったらそれでOK」
勇者「この辺りの魔物は火を嫌がる種類ばかりだから灯りを点すとは思えないしね。大丈夫さ」
遊び人「じゃ、じゃああたしも」
商人「いきますよ!」
勇者「すぐ行って帰るだけだから大丈夫だって」
勇者「じゃ、行ってくるよ」
スタスタ……
魔法使い「……ゆーしゃ…………」
盗賊「…………男らしい…………」
女勇者(な、なんだろうこの二人のこのうっとりした目は)
…………
……
…
・
605 = 1 :
スタスタ……
勇者「……」
勇者「……ふふっ」
勇者(皆、普段はあんなに強いくせに幽霊とかの事になるとあんな調子なんだよな)
勇者(あぁいうとき、女の子なんだなって感じるよ)
勇者「……」
勇者「……」
勇者(…………あいつは……)
勇者「……」
勇者(……………………馬鹿か、僕は)
勇者(馬鹿か、僕は)
スタスタ……
勇者「…………」
勇者「…………考えるな、馬鹿が」
…………
……
…
・
606 = 1 :
-ノアニール・町外れ-
スタ……
勇者「…………」
勇者(……やっぱり、この家から灯りが漏れてる)
勇者(…………入ってみるか)
ガチャッ
勇者「…………おじゃましまーす……」
勇者(…………)
勇者「……こんばんわー……」
シーン……
勇者(埃は……そんなに被っていない)
勇者(生活感がある……という事は人間か)
勇者(火もどうやら新しい……家の中にいるのか)
勇者「あの、すみませーん!」
シーン……
勇者「…………」
勇者(出掛けたのかな……?)
勇者「…………すみま」
ガバァ!!!!
?「ウワァアアアアアアアアァアアア!!!!!!」ヒゴエエェェェェェェ!!
おっさんがいきなり襲い掛かってきた!
勇者「いやああああああああああああ!!!!!!!!」
607 = 1 :
ゴスッ!!
?「外したか!!くそ!!強盗覚悟オォォォォォオォ!!!!」
勇者「ま、待ってください!!!!僕強盗じゃありません!!!!」
?「嘘付けェェェエエエエエエエエエエエエエエ!!!!」
勇者「そもそもこんばんわとかわざわざ言う強盗が居るわけないでしょ!!!!」
?「それもそうか」グググ……
勇者「温度差すげぇな!!じゃあその振りかぶった檜の棒を収めてください!!」
?「あぁっそんなこと言われても振りかぶった棒は急には……止まれ、止まれ――――ッ!!」
ヒゴシャアッ!!
勇者「オゴエェッ」
だめでした
?「ごめんよ、ごめんよ名前も知らない誰か――――……」
…………
……
…
・
608 = 1 :
ピチャ……
ギュ ポタポタ
?「本当にすまなかった、これで冷やしてくれ」
勇者「ありがとうございます……いててて」
?「君は……旅人かい?ここいらじゃ見かけないが」
勇者「あ、はい。アリアハンから来ました」
?「アリアハンから!!それは長旅じゃないか!」
勇者「アリアハンをご存知なんですか?」
?「あぁ、今でこそ私はこの村で植物学者をしておるが、昔は色んな大陸に行って植物を研究したものだ」
勇者「……学者さん……なんですか」
村学者「あぁ……アリアハンは良い町だったなぁ……」
村学者「……」
村学者「……この村も」
村学者「この村も、……昔は…………」
勇者「…………?」
村学者「……いや、すまない。こちらの話だ」
609 = 1 :
村学者「…………すまないが、その左手は……?」
勇者「あ、はい。先日切り落としてしまいまして……動かないんです」
村学者「そうか……すまない」
勇者「いえいえ!一応この村に辿り着いたのもこの手が原因といいますか……」
村学者「? どういう事かね?」
勇者「この辺りにエルフが住んでいると聞きまして」
村学者「……」
勇者「薬草のエキスパートのエルフなら、この腕を治す方法も何か知っているかなと……」
村学者「……気の毒だが、それは無理だ」
勇者「…………え……」
610 = 1 :
村学者「結論から言えば彼女達の薬草の技術でその腕を治す事は可能だろう」
勇者「……?」
村学者「ただ、その方法をエルフから授かるのは……無理だ」
勇者「……なぜです?」
村学者「…………私がこの村に来たのは、20年程前の事だ」
勇者「…………」
村学者「その時は、ここも小さいながらも活気のある良い村でね……」
村学者「私がこの村を愛するようになるのにそう時間はかからなかったよ」
村学者「この村に骨を埋めたい…………そう思っていたんだ」
村学者「掛け替えの無い友人もできた…………」
村学者「…………愛する人だってできた」
村学者「…………」
村学者「しかし、ある日を境に……全て眠りについてしまった」
611 = 1 :
勇者「…………ある日?」
村学者「…………近くにエルフの隠れ里があるのだが……」
勇者「はい……それは……」
村学者「そこには、エルフの隠れ里を取り仕切る女王様が住んでいてね」
村学者「……………………その、女王様には、娘がいたんだ」
勇者「…………娘…………」
村学者「うむ……」
村学者「それはそれは綺麗でなぁ…………」
勇者「…………」
村学者「…………それはそれは、…………綺麗だったんだ……」
村学者「…………」
村学者「その娘さんと…………この村の私の親友が」
村学者「…………恋に落ちてしまったのだ」
…………
……
…
・
612 = 1 :
-18年前・ノアニール-
村学者『…………おぉ……この細胞は……』
コンコン
村学者『? 入ってくれ』
ガチャ
青年『やあ、村学者。こんにちわ』
村学者『あぁ、お前か。どうしたんだ?』
青年『…………紹介したい人がいるんだ』
村学者『…………紹介?この村の奴らなら大抵もう知ってるぜ?』
青年『いいから来てくれないか?時間はとらせないからさ』
村学者『いや、いいけど……』
…………
613 :
スタスタ……
村学者『何の人だよ?』
青年『まぁまぁ、来てくれって』
村学者『…………』
村学者『!』
村学者『…………お前さ』ニヤリ
青年『?』
村学者『……恋人?』
青年『!!』
村学者『……おいおい図星かよこの野郎!』
青年『あ、あはは』
村学者『どんな不細工を捕まえたんだよ!!ってかこの野郎いつの間に~!!』
青年『…………』
村学者『……?どうし……』
青年『…………小さい頃からさ、好きだったんだ』
村学者『…………』
青年『……ずっとずっと、大好きでさ』
青年『…………夢みたいだよ。本当に』
614 = 1 :
村学者『…………』
村学者『なんだぁー?早速のろけかぁ?』
青年『か、からかうなよ~』
村学者『はははっ!!とりあえずそのカワイコちゃんを見せてくれよ!!』
青年『その言い方やめろって…………』
…………
……
…
・
615 = 1 :
-ノアニール・郊外・丘-
サァァッ……
村学者『…………おいおい』
青年『ん?』
村学者『何もこんな所でなくてもいいんじゃないか?』
青年『…………』
村学者『どっか、店で何か飲みながらとかでもさ……』
青年『…………駄目なんだ』
村学者『…………え?』
青年『ここじゃなきゃ、駄目なんだ』
村学者『……?』
青年『…………』
青年『…………あ!』
村学者『? 来たのか?』
青年『あぁ! おーい!こっちだ!』
616 = 1 :
……―――私はその時、自分の目を二度ほど疑ったよ―――……
村学者『…………』
青年『ちょっと連れてくる』ダッ
……―――1度目は、その娘が―――……
村学者『…………おいおい』
青年『……。…。…』
?『…。……。…』
村学者『…………あれ……』
?『……。……』
村学者『…………』ゴクリ
……―――エルフだったって事に―――……
女エルフ『…………こんにちは……』
村学者『(…………エルフじゃねぇか…………!)』
617 = 1 :
青年『…………紹介するよ、彼女は女エルフ……彼は、僕の友達の村学者だ』
女エルフ『……よ、よろしくお願いしますっ……』
村学者『あ、あぁ』
……―――そして、2度目は―――……
青年『……彼女はちょっと恥ずかしがりやなんだ』ハハ
女エルフ『も、もう……そんな事言わないでください……』
村学者『…………』
……―――そのエルフの―――……
女エルフ『……。…。…』
青年『…。……。…』
村学者『…………』
女エルフ『……』ニコッ…
ザァァッ……
……―――あまりの、美しさに―――……
618 = 1 :
今日はおしまいだよ
全然進まなくて申し訳ないです
忙しいのよ師走近いからね
619 :
いいさいいさ
仕方ないさ
620 :
おつおつ
621 :
乙したああああ
勇者おもろいなww
622 :
乙ですー
色々気になる振りがあるので楽しみにしてます
今回は勇者がお茶目だったね
623 :
勇者「…………」
村学者「…………そして知り合って以来、私達は友人として……数々の楽しい時間をすごした」
村学者「あの頃は本当に楽しかった……何も、心配など……していなかった」
村学者「…………しかし、あの二人は違った」
村学者「彼と彼女は、互いを愛するにつれ……大きくなる苦悩を抱えていたんだ」
勇者「…………愛するにつれ……ですか?」
村学者「…………エルフは、人間を好いていない」
村学者「特にあの里の連中は、人間を憎んでさえいる」
勇者「……」
村学者「その里の女王を母に持つ彼女だ……」
村学者「どうしようもなく、悩んでいたよ。里をとるか、愛をとるか」
村学者「……そしてある時、青年は里の女王に直々に彼女との交際の許しを請いに行ったのだ」
624 = 1 :
勇者「どうだったんですか……?」
村学者「…………結果は最悪、青年は追い出され女エルフは里に幽閉されることになった」
村学者「…………それで彼らの愛は余計に強まったのだろう」
村学者「青年は女エルフを連れ出し、女エルフは青年と一緒に里を逃げた」
村学者「…………それから1年、彼らは姿を消した」
村学者「私でさえどこに居るのか分からなかった……」
村学者「当然、エルフの里とノアニールは大騒ぎさ……」
村学者「しかし、ある日、里を逃げてから1年たった後に……」
村学者「彼らは姿を見せた」
村学者「…………どうしようもない状況でね」
――――――――――――
-ノアニール・村学者の家-
コンコン……
村学者『……?誰だ…………こんな夜中に……』
村学者『はーい』
ガチャッ……
村学者『どなたでしょうk…………』
青年『…………久しぶりだな』
女エルフ『…………』
村学者『お、お前ら!!』
…………
……
…
・
625 = 1 :
カチャッ
村学者『全く……居なくなるくらいなら連絡をよこせってんだ!』
村学者『心配したんだからな!!本当にお前らは…………』
女エルフ『…………』
青年『…………すまなかった』
村学者『…………まぁ、無事でよかったよ。ホラ、茶が冷めるぞ』
青年『…………ここにも、長くいられないんだ』
村学者『?どうしてだ?』
青年『…………今、ここに居るとエルフ達に見つかってしまう』
村学者『それがどうした!女エルフを連れ出したからか?そんなもの、謝ってしまえば……』
コトッ
村学者『…………?これは……』
青年『…………エルフの里から逃げる際に、持ち出して来てしまったんだ』
村学者『これは、一体?』
女エルフ『…………夢見るルビー…………』
女エルフ『…………エルフの里に伝わる……秘宝です』
村学者『なっ……!!』
626 = 1 :
村学者『どうしてそんなものを……!!』
青年『……』
女エルフ『……このルビーは……持っている者に幸せを与えると言われています……』
女エルフ『……私は、…………幸せになりたかった……』
村学者『…………!!』
女エルフ『…………でも』ポロ…
女エルフ『私の頭の中から…………私から、“エルフである”という事が離れない……!!』ポロポロ
女エルフ『彼を愛せば愛するだけ……苦しくなっていくんです……!!』
青年『…………もう、どこにも行き場がないんだ』
青年『気付けば……ここにやってきていたよ』
村学者『…………』
村学者『(…………そうなのだ。彼女はエルフだ)』
村学者『(エルフと人間の恋……奇異の目を向けられないことなど無い……)』
村学者『(…………しかし行き場が無いからといって、今、里にルビーを返しに行けば恐らく、青年は……)』
青年『…………』
青年『…………このルビーは、西の洞窟の奥に……捨てに行こうと思う』
女エルフ『……っ』ポロポロ……
村学者『…………そうか』
村学者『……その後は、どうするんだ?』
女エルフ『…………』
青年『…………』
青年『……もう……』
青年『…………もう何も、縋れるものなど無いんだ』
村学者『…………ッ』
627 = 1 :
ガタッ
村学者『何を言っているんだ!!』
村学者『俺が!!友がいるだろう!!俺に頼れ!!俺だけはお前らの味方だ!!』
青年『……村学者……』
村学者『俺は世界を転々と旅してきたんだぞ!!』
村学者『お前らの居場所なんてなぁ!すぐに見つかるさ!』
女エルフ『……村学者さん……』
青年『…………ありがとう』
村学者『っ!』
村学者『ま、待ってろ!すぐに昔使ってた地図をもってくるから!』
ガタッ
スタスタ……
女エルフ『…………』グスッ
青年『…………ありがとう、村学者……』
青年『…………』
青年『…………すまない…………』
…………
……
…
・
628 = 1 :
村学者「……そして私が地図を持って戻ったときには、もう二人は居なくなっていた」
村学者「……私の嘘が、彼らにはわかってしまったんだろう」
村学者「エルフと人間が結ばれる事を許される場所など……見たことも無いという事を……」
勇者「……」
村学者「……そして、私は彼等を追って西の洞窟に行ったのだが……すぐに魔物に怪我を負わされ、彼らを見つけることはできなかったよ」
村学者「彼らはエルフの秘薬か何かで魔物を避けて行ったのだろう……考えたくも無いが、魔物に喰われた後も無さそうだった」
村学者「そして、怪我を癒すためにこの村に帰ってみれば……後は、君も見た通りさ」
勇者「……これは、エルフ達の仕業なんですか?」
村学者「……あぁ。その時、女エルフは我慢できずに里の近くに行ってしまったらしくてね」
村学者「それを見つけて追いかけるエルフ達から、泣いて逃げる彼女を見た女王は、彼女が青年に捨てられてしまったものだと思い込んだらしく……」
村学者「激しくお怒りになって、この通りだよ……」
勇者「……そうだったんですか」
村学者「それから私は、この村に来る盗人や魔物達、好奇の目で見に来る人々から村を守っておるのだ」
村学者「…………時が経っても、眠った人々が年老いずにいるのは、エルフなりの情けなのかもしれんがな」ハハハ
勇者「…………」
村学者「……まぁ、このとおり、エルフ達は人間を毛嫌いしている。」
村学者「さっき言った様に君のその手を治す方法は……残念ながら見つからないだろう」
629 = 1 :
勇者「……話して下さって、ありがとうございます」
村学者「いや、こちらこそ話に付き合ってくれてありがとう。そういえば、一人かね?」
勇者「あ、いえ。仲間を待たせて……しまった!忘れてた!」
村学者「あぁ、それは悪かったね。もうこんな夜だ。宿は宿屋の二階を使うといいよ」
勇者「えっ、でも……」
村学者「いいのさいいのさ、家具達も長年腰を下ろされずに不貞腐れておるだろうよ」
村学者「宿屋の主人には、目覚めた後私が言っておくさ」
勇者「あ、ありがとうございます!」
村学者「では……今日は色々と悪かった。もう仲間の所へお帰りなさい」
勇者「はい。失礼しました!」
ガチャッ
バタン……
村学者「…………」
村学者「…………待てよ……」
村学者「……もしや、彼等なら……」
…………
……
…
・
630 = 1 :
――――――――――――
-ノアニール・入り口-
武道家「ね、ねぇ!勇者遅くない!?」
商人「い、一時間くらい経ったでしょうかね…………」
戦士「どうするよ!い、い、行くか!」
魔法使い「そうだね!みんなでいけばこわくないよ!」
遊び人「そうね!そうよね!じゃあ行きましょう!」
盗賊「……うん!……あ」
女勇者「どうかしたのかい?盗賊ちゃん?」
盗賊「…………足音……」
武道家「勇者!?勇者よね!!」
オーイ
魔法使い「あ!ゆーしゃのこえだ!」
僧侶「無事で良かった……」
戦士「おーい!勇者ー!こっちだぞー!」
商人「さすがに村灯りが無いと松明だけじゃ良く見えないですね」
女勇者「あ、きたきた」
タッタッタッタ
ぬぅっ
勇者「いやぁ、遅くなってごめんよ」
女勇者「あ、お義兄ちゃ……だれだ貴様!!!!」ヒィ――――!!!!!
一同「「「「きゃぁぁ――――――――――!!!!!!!!」」」」
勇者「えっ!!!??どうしたのさ皆……あ!!!!」
勇者(そういえば僕、殴られて顔が腫れてるんだった!!!!)
勇者「いや、ちがっ!!!!」
女勇者「お義兄ちゃんを返せ―――――!!!!」
ゴシカァッ
勇者「めたりかっ」
…………
……
…
・
631 = 1 :
-宿・ロビー-
勇者「…………いつつつ」
女勇者「ご、ごめんなさいお義兄ちゃん……」
勇者「いや、大丈夫だよ」ハハ
戦士「しかし本当にいいのかよ?勝手に宿に泊まって……」
勇者「あ、うん。大丈夫だって。町外れに住んでる人から許しを得たよ」
遊び人「え!?やっぱり人だったの!?」
武道家「何かエルフやこの村の話は聴けた?」
勇者「うん……じゃあ、聴いた事を全部話すよ……」
…………
……
…
・
・
…
…………
商人「はぁー…………そんな事があったんですね……」
武道家「なんというか……これまた最悪な状況ね……」
遊び人「なんとかしてエルフに薬草をもらって村の人達を目覚めさせてもらいたかったけど……」
魔法使い「うん……これはむずかしそうだねぇ」
戦士「…………うー、難しい話はわかんねーよー……」
盗賊「……難しい……?……」
僧侶「…………」
勇者「うーん……なんとかしてエルフの誤解だけでも解きたいなぁ」
女勇者「でも駆け落ちしたのは事実だよね……難しいんじゃないかい?」
一同「「「「うーん……」」」」
632 = 1 :
僧侶「…………もう一度」
勇者「え?」
僧侶「もう一度、エルフの隠れ里に行きましょう」
女勇者「もう一度かい?」
僧侶「えぇ。もう一度エルフの女王様と話をして、なんとか説得をしてみましょう」
遊び人「うーん、それしかないよね……」
武道家「じゃあ今日は暗いから、明日の朝行ってみましょうか」
戦士「そうだな!場所はもう僧侶が知ってることだし、怖くないぜ!」
勇者「よし!明日はエルフの隠れ里だ!」
武道家・遊び人・戦士「「「アンタは留守番!!!!!」」」
勇者「へ?」
商人「なーに鳩が豆鉄砲くらったような顔してるんですか!!今日のこと忘れたんですか!!」
勇者「で、でもさ」
盗賊「……縄ならあるよ……」
勇者「え、ちょっと待ってその縄で一体どうするつもりさ、ねぇ」
魔法使い「きちゃだめ!あんせーにねてるんだよ!」
女勇者「来たら…………分かるよね?」
勇者「…………寝てます」
女勇者「ん。それでよし。それじゃ皆、寝ようか」
一同「「「「おー」」」」
僧侶「…………」
633 = 1 :
テクテク……
魔法使い「おふろはどうしようねぇ?ゆーしゃ」
勇者「な、なんで僕に聞くのさ」
魔法使い「ち、ちがうよ!えっち!おふろはちゃんとつかえるかなってこと!///」
勇者「え、あ、ご、ごめん!」
魔法使い「もう……すけべっ///」
勇者「いやいやいや!」
盗賊「……縄……」ボソ
勇者「え!?だからその縄で何をするつもりさ!!」
ワーワー
僧侶「…………」
タッタッタッ
勇者「なんだよ二人とも!!ちょっとやめ……」
クイッ
勇者「うぇ?」
僧侶「…………勇者くん」
勇者「?どうしたの僧侶??」
634 = 1 :
僧侶「…………」チョイチョイ
勇者「?」
僧侶「耳を貸してください」
勇者「ん……」
僧侶「……」
ボソリ
僧侶「(後で、勇者くんの部屋に行っていいですか?)」
勇者「え!?」
勇者「な、何言って……」
僧侶「…………」
勇者「……」
勇者「うん。わかったよ」
僧侶「……ありがとうございます」
勇者「ううん、気にしないで」
スタスタ……
勇者「…………」
魔法使い「ゆ、ゆーしゃ?僧侶となにをはなしてたのっ」
勇者「ん?……ううん。なんでもないんだ」
魔法使い「…………」
盗賊「……魔法使い、部屋行こうか……勇者、おやすみ……」
魔法使い「りょーかいだよっ。…………ゆーしゃ、おやすみ」
勇者「うん。二人ともおやすみ」
…………
……
…
・
635 = 1 :
-宿・勇者の部屋-
勇者「…………」
勇者(僧侶、どうしたんだろう)
コンコン……
勇者「……どうぞ」
ガチャッ……
僧侶「……すみません、我侭言って」
勇者「いいんだよ、別に。何かあったの?」
僧侶「…………いえ……」
勇者「?」
僧侶「…………」
勇者「…………言い難い事だったら、無理しなくても……」
僧侶「……勇者くんは」
勇者「?」
僧侶「…………今日、勇者くんが来てくれたのは……」
僧侶「…………」
僧侶「……本当は、私のためなんでしょう?」
勇者「……!」
勇者「ち、ちがうよ?僕は別に……」
僧侶「嘘つかなくてもわかります!」
勇者「……」
僧侶「勇者くんは、優しいから……」
636 = 1 :
勇者「……ごめんね」
僧侶「……ううん、こちらのセリフです」
勇者「…………何かあったんだね?」
僧侶「…………」
勇者「エルフに会ったとき……何か言われたんだろ?」
僧侶「……」
僧侶「私は…………」
僧侶「…………」
僧侶「……わかりませんでした」
勇者「…………そっか」
僧侶「……私は」
僧侶「私は……」
ギュッ……
僧侶「……エルフ、なんでしょうか」
637 = 1 :
勇者「……僧侶」
僧侶「……ご、ごめんなさい」
僧侶「だって……急に不安になって……」
僧侶「私、こんな目だし、こんな耳だし……」
僧侶「……私……!」
勇者「僧侶」
ナデ……
僧侶「……あ……」
勇者「よしよし」
僧侶「……」
勇者「……なんだろうと、僧侶は僧侶だよ」
勇者「前も言ったとおり、その目も、その耳も」
勇者「僕は綺麗だと思う」
ニコッ
勇者「……ね」
638 = 1 :
僧侶「…………はい……」
僧侶(あぁ、ルビス様、お許し下さい)
僧侶(私は汚らわしい者です)
僧侶(色んな事を悩んでも、結局は)
僧侶(……―――勇者くんから、この言葉を聴きたかっただけなのです)
勇者「ん。今日はもう寝よう?」
僧侶「……そうですね。ご、ごめんなさい」
勇者「大丈夫だって。気にしないで」
僧侶「は、はい。おやすみなさい」
ガチャ……
勇者「……僧侶」
僧侶「はい?」
勇者「…………いや、おやすみ」
僧侶「……?はい。おやすみなさい」ニコッ
バタン……
勇者「……」
勇者(大丈夫かな……)
…………
……
…
・
639 = 1 :
――――――――――――
-ノアニール・入り口- 朝
女勇者「それでは今日はエルフの隠れ里に向かいます!」
一同「「「「おー!!」」」」
女勇者「頑張ってエルフを説得しましょう!!」
一同「「「「おー!!」」」」
女勇者「それでは点呼!いーち!」
遊び人「にー!」
魔法使い「さーん!」
戦士「しー!」
僧侶「ごー!」
商人「ろーく」
武道家「ななー」
盗賊「……はち……」
勇者「きゅー!」
女勇者「よし!一人多いね!!砂にしてしまえ!!」
ぎゃー
640 = 1 :
勇者「わかったよ……おとなしくしてますよ」
戦士「不貞腐れんなよ……」
商人「お土産買って来ませんから」
武道家「すぐ戻ってくるわ」
僧侶「…………」
勇者「……」
テクテク…
勇者「僧侶」ボソッ
僧侶「…あんっ…………あ、勇者くん?ど、どうしたの?」
勇者「…………無理しないでね」
僧侶「……大丈夫ですよ」ニコ
女勇者「それじゃ、みんな!出発だよ!」
…………
……
…
・
641 = 1 :
-道中・森の中-
ガサガサ
戦士「あー、こっちにこんな所あったのか」
遊び人「全然気付かなかったよー」
僧侶「私もおじいさんに案内されるまでは…………あ、次はこっちです」
武道家「こりゃホントに“隠れ里”ね」
女勇者「盗賊ちゃんのタカの目でも見つからないわけだよ」
僧侶「あ、そこ気をつけて下さいね」
魔法使い「よっと」
僧侶「魔法使いちゃん、大丈夫?」
魔法使い「このくらいどーってことないよっ!」
僧侶「ふふふ、もうすぐ着きますからね」
魔法使い「……僧侶」
僧侶「はい?」
魔法使い「…………きのうは、なにかあったの?」
僧侶「…………」
魔法使い「その……エルフのことで……」
僧侶「……」
僧侶「大丈夫です」
僧侶「今日は、それも確かめたいと……思っています」
魔法使い「……そっか」
僧侶「はい!あ、皆さん、見えてきましたよ!」
…………
……
…
・
642 = 1 :
-エルフの里-
タッタッタッ……
エルフ村民「エルフ女王様ー!!」
エルフ女王「なんですか、騒々しい」
エルフ村民「人間です!また人間が来ました!」
エルフ女王「……またですか……」
エルフ女王「……敵意はありそうですか」
エルフ村民「そ、それはわかりませんが……」
エルフ女王「?」
エルフ村民「昨日、エルフ娘が連れて来た者が中に……」
エルフ女王「…………」
エルフ村民「ど、どうしますか!?」
エルフ女王「……放っておきなさい」
エルフ村民「え、しかし……」
エルフ女王「…………ちゃんと説明しなければ気が済まないようですね」
エルフ村民「?」
…………
……
…
・
643 = 1 :
スタスタ……
戦士「ほぉー……ここが隠れ里かぁ」
魔法使い「でもぜんぜんえるふがいないねぇ」
女勇者「いや、木陰を見てごらん」
武道家「皆隠れてるわよ」
戦士「え?」
エルフ村民「……」ジーッ
エルフ村民「…………」ヒソヒソ
エルフ村民「……」ブツブツ
魔法使い「わわわ、ほんとだ」
戦士「そんなに人間が嫌いなのか?」
商人「きっと皆戦士ちゃんが怖いんですよ」
戦士「ひでー!」
僧侶「……女王様はどこでしょうか……」
女勇者「あ、あっちの高台の方じゃないかい?」
僧侶「あぁ、そうですn……あ!」
エルフ娘「!」ビクッ
僧侶「昨日の!」
644 = 1 :
盗賊「……?……」
武道家「誰?」
僧侶「昨日私を助けていただいた方です!会えて良かった、改めてお礼が……」
エルフ娘「こ、こないでっ!!!!!」
僧侶「!?」
エルフ娘「やめて、近づかないで!」
僧侶「あ……あの……」
エルフ娘「……っ!!」
ダッ
僧侶「…………」
戦士「…………なんだよ、穏やかじゃないな」
武道家「そんなに全力で逃げることかしら」
僧侶「…………あはは、逃げられちゃいました」
魔法使い「…………」
僧侶「それじゃ、進みましょうか……」
…………
……
…
・
645 = 1 :
-エルフの里・女王の玉座-
ザッ……
僧侶「……こ、こんにちわ……」
エルフ女王「……また来たのですね……愚かな」
商人「おーっと。いきなり暴言飛びましたよ」
女勇者「商人ちゃん、しっ!」
武道家「でも友好的ではないのは確かね」
エルフ女王「何の用ですか。すぐに立ち去りなさい」
僧侶「お、お願いがあります!」
エルフ女王「…………」
僧侶「私の仲間の腕を治してあげて下さい!」
魔法使い「わ、わたしからもおねがいします!!」
盗賊「……おねがいしますっ!……」
一同「「「「おねがいします!!」」」」
エルフ女王「…………」
エルフ女王「できぬ相談です。立ち去りなさい」
戦士「な、なんでだよ!そのくらいあんた達なら軽いんだろ!!?」
遊び人「戦士、抑えて!」
646 = 1 :
エルフ女王「理由は簡単です。私が人間を好きではないからです」
戦士「……っ!」
エルフ女王「……立ち去りなさい」
女勇者「…………違う方法を探すしかないのか……」
僧侶「…………」
僧侶「…………そ、それでは」
僧侶「ノアニールの人々を、解放させてあげてください!」
魔法使い「…………僧侶……」
僧侶「…………お願いします……」
エルフ女王「…………それもできぬ相談です」
僧侶「…………お願いします!」
エルフ女王「できないと言っているでしょう。立ち去りなさい」
僧侶「…………っ」
エルフ女王「…………」
エルフ女王「理解できませんね…………なぜあなたがあの村を救いたがるのです?無関係でしょう」
僧侶「…………」
僧侶「勝手ながら……娘さんのお話は伺わせて頂きました」
エルフ女王「…………!」
エルフ女王「それがどうしたというのです……!」
647 = 1 :
僧侶「…………なぜ、ですか」
戦士「そ、僧侶?」
僧侶「なぜ、駄目だったのですか」
武道家「どうしたの僧侶?」
僧侶「どうして、二人の愛を認めてあげなかったのですか……!」
魔法使い「…………っ」
エルフ女王「……………………」
僧侶「どうして、どうして二人の愛を人種の壁だけで引き裂いたのですか!」
女勇者「僧侶ちゃん落ち着いて!」
エルフ女王「……………………」
僧侶「…………失礼致しました……っ」
エルフ女王「…………」
エルフ女王「…………ふ」
エルフ女王「ふふふふふ…………」
僧侶「…………?」
エルフ女王「やはり…………」
僧侶「……」
エルフ女王「やはり、親に似るものですね」
僧侶「!?」
648 = 1 :
戦士「お、親!?」
盗賊「……どういう事……?」
エルフ女王「親がそういった煩悩を持っていれば、やはり子供に受け継がれるのですね……」
僧侶「ど……どういう事ですか……」
エルフ女王「……教えてあげましょうか?」
僧侶「っ!!」ドキッ
エルフ女王「その昔、違う大陸にエルフの国はありました」
エルフ女王「里ではなく、国です」
僧侶「……」ドクン ドクン
エルフ女王「その国は、戦争で滅んでしまいました」
エルフ女王「人間によって、滅ぼされたのです」
僧侶「っ!!」ドクンドクン
女勇者「…………まさか」
遊び人「…………ちょっと…!」
エルフ女王「人間の侵略は残忍を極めたものでした……」
エルフ女王「…………その際に」
ギリッ
エルフ女王「…………たくさんのエルフの女性が……辱められました」
僧侶「……!!」ドクンドクン!!
商人「や、やめてください!!」
戦士「えっ……?えっ?」
魔法使い「もうやめてっ!」
649 = 1 :
エルフ女王「…………その時、生まれた汚らわしい存在」
エルフ女王「エルフのような寿命を持たず、中途半端な耳を持つ、望まれぬ、汚らわしい者達」
エルフ女王「それが、あなた」
女勇者「……」
遊び人「……」
武道家「……」
戦士「……?」
盗賊「……」
商人「……」
魔法使い「……っ」
僧侶「…………」
エルフ女王「…………」
エルフ女王「……―――――“ハーフエルフ”なのですよ」
650 = 1 :
僧侶「…………」
僧侶「っ!!!!」
ダッ
女勇者「あっ!!僧侶ちゃん!!」
魔法使い「まって!!」ダッ
商人「っ!もう!」ダッ
武道家「追うわよ!!」ダッ
盗賊「……!」ダッ
戦士「?どういう事だ?」
遊び人「馬鹿言ってないの!追わないと!!」ダッ
戦士「…………?」
エルフ女王「フン。汚らわしい……やっと姿を消しましたか」
エルフ女王「あなたも早く立ち去りなさい」
戦士「…………んー、よくわかんねーけどさ」
エルフ女王「?」
みんなの評価 : ★★★
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